金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械
【課題】横にずれることなく走行することができる金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械を提供する。
【解決手段】駆動ローラ2と従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト4上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、駆動ローラ2又は駆動ローラ2及び従動ローラの周面に、掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、金網ベルトの両側部近傍に位置されると共に、金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯8を含むようにした。
【解決手段】駆動ローラ2と従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト4上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、駆動ローラ2又は駆動ローラ2及び従動ローラの周面に、掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、金網ベルトの両側部近傍に位置されると共に、金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯8を含むようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煎餅などの菓子類等の軽食品を製造する際に用いられて好適な金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
煎餅などの菓子類等の軽食品は、混練工程、圧延工程、型抜き工程、乾燥工程及び焼成工程等を経て製造されており、特に乾燥工程及び焼成工程での移送手段として金網コンベヤが用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。この金網コンベヤは、例えば、煎餅を製造する際の乾燥工程や焼成工程においては、さまざまな形状、厚さに型抜きした米菓生地が載せられて熱風乾燥室内や焼成装置内を移送することによって米菓生地を熱風乾燥したり、焼成したりするのに用いられている。
【0003】
この金網コンベヤは、その両側にそれぞれエンドレスチェーンを取り付け、こられ一対のエンドレスチェーン間を等間隔に配した複数のクロスバーで連結し、これらのクロスバーにステンレス或は亜鉛引き金網を同材質の針金(図示せず)で縛りつけて張り付けたものである。この金網コンベヤには、金網の片寄りを防ぐため、各クロスバーの適宜位置には、留め金具が取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−34460号公報
【特許文献2】特許第3380786号公報
【特許文献3】特開2006−131357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来公知の金網コンベヤは、駆動ローラと従動ローラ以外にエンドレスチェーンを掛け渡す部材としてスプロケットを必要とする上に、一対の長いエンドレスチェーン、複数のクロスバー、これらのクロスバーへ金網を針金で縛り付ける作業、留め具、さらには、エンドレスチェーンを案内するための機枠に設置したガイドレール等、を必要として、製作コストが高くつく上に、エンドレスチェーンとガイドレールの間に塗布して潤滑油の軽食品への混入等の問題があった。
【0005】
このため、本出願人は、先に駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送するもので、駆動ローラの周面に、掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、食品生地を載せて走行するキャリア側ベルトの下方に、そのキャリア側ベルトが接触してキャリア側ベルトのたわみを防止するたわみ防止部材を設けた食品製造装置用搬送機械を提案した(特許文献3参照。)。この食品製造装置用搬送機械は、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けた歯が金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトが走行する。このとき、キャリア側ベルトの下方にたわみ防止部材を設けたので、キャリア側ベルトはたわむことなく食品生地の搬送を行える。その結果、エンドレスチェーンを設けることなく食品生地を安定して搬送することができるので、小型化及びコストダウンを図れ、かつ、潤滑油の食品生地への混入を防止できる。
【0006】
しかし、駆動ローラの駆動により金網ベルトを走行させると、横にずれることがある。すなわち、米菓生地を搬送する場合、金網ベルトとしては、汎用性に優れていると共に、蛇行や片寄りを修正し、かつ抗張力に優れていることからバランスベルトが用いられる。このバランスベルトは、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせたものであり、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材により形成されている凹部に駆動ローラに設けた歯を噛み合わせている。つまり、歯は、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材により形成されている凹部に位置されているが、歯の先端部(上端部)は、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材に当接しているために、バランスベルトが歯を覆うように被さっているように駆動ローラに掛け渡されているので、走行中にバランスベルトの横ぶれ等によりバランスベルトが駆動ローラから浮き上がり歯とバランスベルトとの係合がはずれて、バランスベルトが横にずれることがある。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、横にずれることなく走行することができる金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明に係る金網ベルトは、駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行しつつ食品生地を搬送する金網ベルトであって、当該金網ベルトに、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に設けられた横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔を設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けられた横ずれ防止歯が金属ベルトの横ずれ防止孔に貫通挿入されて係合するために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても横ずれ防止歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく確実に金網ベルトは走行する。
【0010】
本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトの両側部近傍に、前記横ずれ防止歯が1列又は2列以上設けられていることが好ましい。また、本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止孔が形成されていることが好ましい。また、本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記の目的を達成するための本発明に係る食品製造装置用搬送機械は、駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に、前記掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、前記金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けた歯が金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトが走行する。このとき、金網ベルトには、金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯が噛み合っているために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、金網ベルトを横にずれることなく確実に走行することができる。
【0013】
本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記横ずれ防止歯が、前記従動ローラの周面に設けられていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記横ずれ防止歯が、少なくとも前記金網ベルトの両側部近傍に1列又は2列以上配置されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔が形成されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記駆動ローラが、前記金網ベルトの幅方向に間隔を隔てて配置された複数のローラ部を備え、これらローラ部のうちの両側に位置されるローラ部に、前記横ずれ防止歯が、2列設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明に係る金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械によれば、横ずれ防止孔に横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合されるために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく金網ベルトが確実に走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る金網ベルト及び食品製造装置用搬送機械を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜図5は本発明に係る食品製造装置用搬送機械の一例を示す図である。図8は本発明に係る金網ベルトの一例を示す図である。本発明に係る食品製造装置用搬送機械(単に搬送機械ということがある。)は、図1〜図5に示すように、煎餅などの菓子類等の軽食品の食品生地を搬送するための一種の金網ベルトコンベヤである。軽食品としては、煎餅などの菓子類等が挙げられるが、この煎餅に限定されないが、本発明の実施の形態では、煎餅を用いた場合について説明する。
【0017】
本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、駆動ローラ2と従動ローラ3とに掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト4上に食品生地を載せて搬送するものである。本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、駆動ローラ2の周面に、掛け渡された金網ベルト4の網目に噛み合って当該金網ベルト4を走行させる歯6、8を設け、この歯6、8は、金網ベルト4に噛み合ったときに、この金網ベルト4を貫通する横ずれ防止歯8を備えたことを特徴とする。また、本発明に係る金網ベルト4は、横ずれ防止孔47を設け、この横ずれ防止孔47に横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合することを特徴とする。
【0018】
搬送機械1は、例えば、細長の略矩形状の底板11が支持された4つの脚部材12に両側板13、13を介して取り付けられている。各脚部材12の下部には、それぞれストッパ付のキャスター16が取り付けられ、搬送機械1が移動可能になっている。また、各脚部材12の下部には、アジャストボルト17がそれぞれ設けられ、各脚部材12はそれぞれ個別にその垂直方向の高さを調節することができる。また、4つの脚部材12のうちの2つはそれぞれ対向しており、これら対向する脚部材12の下方が連結材19によってそれぞれ連結されている。
【0019】
側板13は、細長の矩形状に形成されている。側板13の上下の端部は、対向する側板13とは反対側に延びるフランジ部13a、13bが形成されている。すなわち、側板13は、コ字状(略コ字状を含む。)に形成されている。側板13の下方のフランジ部13aの前端部の近傍及び後端部の近傍がボルトとナットとにより脚部材12の上部に着脱可能に取り付けられている。
【0020】
各側板13の前端部及び後端部のいずれか一方、例えば後端部(金網ベルト4の走行方向後方側の端部)の上部には、側板13の長手方向に延びる従動ローラ取付部材14が取り付けられている。各従動ローラ取付部材14の下方には、ベアリング31がそれぞれ設けられている。これらベアリング31、31間に従動シャフト32が設けられ、この従動シャフト32の両端部がベアリング31、31によって回転可能に軸支されている。従動シャフト32には、1つ又は複数、図示例では5つのローラ部30が設けられており、この従動シャフト32とローラ部30とで従動ローラ3が構成されている。なお、ベアリング31及び従動ローラ3は、従動ローラ取付部材14に設けられているが、側板13に設けるようにしてもよい。
【0021】
各側板13、13の前端部及び後端部のいずれか他方、例えば前端部(金網ベルト4の走行方向前方側の端部)には、ベアリング21、21がそれぞれ設けられている。これらベアリング21、21間に駆動シャフト22が設けられ、この駆動シャフト22の両端部がベアリング21、21によって回転可能に軸支されている。駆動シャフト22の一方の端部は、ベアリング21からさらに外方に延びて形成されており、この一方の端部には、駆動シャフト22を回転駆動させる回転駆動装置50例えばモータ(図示せず)のシャフトに回転可能に接続されている。回転駆動装置50は、駆動シャフト22を回転駆動させることができれば特に限定されない。駆動シャフト22には、1つ又は複数、図示例では7つのローラ部20が設けられており、この駆動シャフト22とローラ部20とで駆動ローラ2が構成されている。
【0022】
この駆動ローラ2と従動ローラ3との間に本発明に係る金網ベルト4が掛け渡されている。金網ベルト4は、図8及び図10に示すように、エンドレスの無端状で網目41を有するベルトである。金網ベルト4としては、特に限定されず、例えば、右巻き螺旋線材43と左巻き螺旋線材44と屈曲線材45とを組み合わせて構成されているバランスベルト等が挙げられる。これらの線材43、44、45の材質は、例えば、煎餅の製造工程に耐え得るものであれば特に限定されず、ステンレス、亜鉛引き線材等が挙げられる。
【0023】
金網ベルト4には、後述する横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔47が設けられている。横ずれ防止孔47は、横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合するならば特に限定されず、例えば、金網ベルト4を構成する左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部が切断されて形成されている。なお、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の網目に横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合するならば、金網ベルト4の網目であってもよい。
【0024】
また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の両側部近傍に1列又は2列以上、例えば、横ずれ防止歯8と対向する箇所に2列設けられていることが好ましい。2列の横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の幅方向に平行に設けられていていもよいし、その幅方向に異なる位置、例えば、千鳥状に設けられていてもよい。また、2列の横ずれ防止孔47は、左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43のどちらか一方の線材にのみ設けてもよいし、両方の線材に設けるようにしてもよい。また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の表面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよいし、金網ベルト4の裏面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよいし、金網ベルト4の表面側及び裏面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよい。また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の両側部近傍以外に設けるようにしてもよい。また、左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して横ずれ防止孔47を形成したとき、この左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の切断した端部を溶接して丸みを形成するようにしてもよい。
【0025】
また、金網ベルト4の両側部の右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると共に、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていることが好ましい。なお、連結部48は、右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが固定された状態で連結されているか、又は、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが固定された状態で連結されていれば、溶接以外の手段で形成してもよい。
【0026】
駆動ローラ2に設けられている7つのローラ部20は、例えば、金網ベルト4の両端部近傍に2つと、それら2つの間に残りの5つが等間隔にそれぞれ配置されている。なお、ローラ部20の個数及び配置位置は、図示例に限定されない。また、ローラ部20の軸方向の長さも特に限定されない。また、ローラ部は、1つであってもよく、この場合、ローラ部は、両端部が金網ベルト4の両端部近傍に位置される長さに形成されている。
【0027】
ローラ部20の周面には、図2、図4、図7及び図9〜図11に示すように、掛け渡された金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させる歯6、8が設けられている。歯6、8は、金網ベルト4に噛み合ったときに、この金網ベルト4を貫通する横ずれ防止歯8を備えている。横ずれ防止歯8以外の歯6(係合歯6ということがある。)は、金網ベルト4を貫通することなくその網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させるものである。
【0028】
歯は、全てが横ずれ防止歯8であってもよいし、歯の一部が横ずれ防止歯8であって残りが係合歯6であってもよいが、金網ベルト4の両側部近傍に位置される歯が横ずれ防止歯8であることが好ましい。すなわち、横ずれ防止歯8は、7つのローラ部20の全てに設けてもよいが、7つのローラ部20のうちの両側の2つのローラ部20に設けることが好ましい。残りの5つのローラ部20に、係合歯6を設けるようにしてもよい。例えば、横ずれ防止歯8が設けられているローラ部20(第1ローラ部20aということがある。)の内側からそれぞれ1つおいた2つのローラ部20に、係合歯6が設けられているローラ部20(第2ローラ部20bということがある。)を配置するようにしてもよい。つまり、合計4つのローラ部20に歯8、6が設けられている。
【0029】
横ずれ防止歯8と係合歯6は、高さが異なるだけでその形状は特に限定されず、例えば、断面略台形、断面略矩形状等に形成されている。横ずれ防止歯8の高さは、横ずれ防止孔47と噛み合ったとき、横ずれ防止孔47を貫通して先端部が金網ベルト4から突出し得る寸法で形成されていることが好ましい(図7参照。)。係合歯6の高さは、金網ベルト4の網目41に噛み合う寸法から任意に選択される。これら横ずれ防止歯8及び係合歯6は、金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させることができれば、個数及び配置位置は特に限定されない。なお、横ずれ防止歯8の形状は、金網ベルト4の網目を貫通する形状に形成してもよい。
【0030】
横ずれ防止歯8は、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に貫通挿入されて係合するものである。横ずれ防止歯8は、例えば、図7に示すように、ローラ部20の周面にその周方向に所定の間隔をあけて複数設けられていると共に、ローラ部20の軸方向に所定の間隔を空けて2列以上例えば2列設けられている。ローラ部20の周方向の横ずれ防止歯8の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法であることが好ましい。ローラ部20の軸方向の横ずれ防止歯8の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法である。
【0031】
また、ローラ部20の軸方向の係合歯6の間隔は、金網ベルト4の幅方向の2つの網目41を隔てた長さと略同じ寸法である。係合歯6は、例えば、図9に示すように、ローラ部20の周面にその周方向に所定の間隔をあけて複数設けられていると共に、ローラ部20の軸方向に所定の間隔を空けて3列設けられている。ローラ部20の周方向の歯6の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法である。また、係合歯6は、図11に示すように、駆動ローラの軸方向に揃えられることなく円周方向にずらして設けてもよい。このように構成すると、荷重が金網ベルトの1本の屈曲線材に加わることがなく、複数の屈曲線材に加わることから、金網ベルトが変形してしまうことを極力防止することができる。
【0032】
従動ローラ3に設けられている5つのローラ部30は、例えば、金網ベルト4の両端部近傍に2つと、それら2つの間に残りの3つが等間隔にそれぞれ配置されている。なお、ローラ部30の個数及び配置位置は、図示例に限定されない。また、ローラ部30の軸方向の長さも特に限定されない。また、ローラ部は、1つであってもよく、この場合、ローラ部は、両端部が金網ベルト4の両端部近傍に位置される長さに形成されている。
【0033】
また、従動ローラ3のローラ部30の周面には、駆動ローラ2と同様の横ずれ防止歯8や係合歯6が設けられていることが好ましい。すなわち、ローラ部30の周面に設ける歯は、全てが横ずれ防止歯8であってもよいし、歯の一部が横ずれ防止歯8であって残りが係合歯6であってもよいが、この場合、金網ベルト4の両側部近傍に位置されるローラ部30に横ずれ防止歯8が設けられていることが好ましい。また、ローラ部30の周面に設ける歯は、全てが係合歯6であってもよく、この場合、このローラ部30は歯付ローラ部30aとなる。歯付ローラ部30aは、5つのローラ部30の全てに用いられていてもよいし、5つのローラ部30のうちの任意のローラ部30に用いられていてもよい。例えば、歯付ローラ部30aは、5つのローラ部30のうち両側の2つと中央部の1つの計3つ用いられていてもよい。なお、横ずれ防止歯8を設けた従動ローラを金網ベルト4の搬入端と搬出端との間に例えば案内ローラとして設けるようにしてもよい。
【0034】
両側板13、13間には、図2、図3、図5及び図6に示すように、たわみ防止部材7が設けられていることが好ましい。たわみ防止部材7は、キャリア側ベルト4aのたわみを防止できれば特に限定されない。たわみ防止部材7は、例えば、両側板13、13間を連結する連結部材71に取り付けられている。
【0035】
連結部材71は、金網ベルト4の走行方向と直交する方向に延びて形成されている。連結部材71は、例えば、断面円形、断面矩形等の棒状に形成されている。連結部材71の両端部が両側板13、13の対向する面(内面ということがある。)に当接して、両側板13、13の外面(その内面とは反対の面)からボルト、ネジ、ビス等の固定部材により両側板13、13に取り付けられている。連結部材71は、キャリア側ベルト4aの下面の近傍に設けられている。連結部材71は、図示例では4つ設けられているが、たわみ防止部材7をたわむことなく支持できれば、その数及び配置位置は特に限定されない。連結部材71の上部にたわみ防止部材7が取り付けられている。
【0036】
たわみ防止部材7の取付は、特に限定されず、例えば、連結部材71の上部に矩形状の取付部72を溶接等により固定し、この取付部72に取り付けるようにしてもよい。この場合、たわみ防止部材7は、例えば、コ字状に形成され、このコ字状の内側(両側部の間)に取付部72が挿入されるように取付部72に取り付けられている。たわみ防止部材7は、摩擦抵抗が低い低摩擦抵抗材で形成されていることが好ましい。低摩擦抵抗材としては、摩擦抵抗が低い材料であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンを主原料としたもの(作新工業株式会社製、商品名:ニューライト)等が挙げられる。なお、たわみ防止部材7は、全体が低摩擦抵抗材で形成されているが、金網ベルト4が接触する個所に低摩擦抵抗材が設けられていれば、その他は他の部材で構成するようにしてもよい。また、たわみ防止部材7の形状は、コ字状に限定されるものではなく、他の形状、例えば、断面円形、断面楕円形、断面矩形、断面三角形等どのような形状に形成してもよい。
【0037】
たわみ防止部材7は、金網ベルト4の走行方向に延びて形成されている。たわみ防止部材7は、両端部が従動ローラ3及び駆動ローラ2の近傍に位置される寸法の長さに形成されている。このたわみ防止部材7は、両端部が従動ローラ3及び駆動ローラ2の近傍に位置されていれば、寸法の短いたわみ防止部材7を複数連結したり連結部材71の取付部72にそれぞれ取り付けたりして形成するようにしてもよい。また、たわみ防止部材7は、走行する金網ベルト4の両端部近傍に2列と、その金網ベルト4の中央部の計3列設けられているが、キャリア側ベルト4aのたわみを防止することができれば、その数及び配置位置は特に限定されない。
【0038】
また、両側板13、13間には、リターン側ベルト4bを案内する案内ローラ81が設けられている。この案内ローラ81は、両側板13、13に回転可能に軸支されている。案内ローラ81のリターン側ベルト4bが接するローラ部81aの長さは、例えば、そのリターン側ベルト4bの幅より短い、好ましく若干短い寸法で形成されている。案内ローラ81の個数及び配置位置は、特に限定されないが、例えば、駆動ローラ2の近傍、リターン側ベルトの略中央部、従動ローラ3よりの3箇所であることが好ましい。
【0039】
また、両側板13、13の上方のフランジ部(上フランジ部13bということがある。)には、キャリア側ベルト4a上に載せられた食品生地をキャリア側ベルト4aの両側部近傍よりその中央部側に案内するガイド部材9が設けられている。ガイド部材9は、キャリア側ベルト4aの上方の全域に設けてもよいが、キャリア側ベルト4aに食品生地が載せられる載置位置に設けられていれば特に限定されず、例えば、その載置位置、すなわち、従動ローラ3側のキャリア側ベルト4aの上方からキャリア側ベルト4aの走行方向の中央部寄りまでに設けられている。
【0040】
ガイド部材9は、例えば、上フランジ部13bに取り付けられる取付部91と、その取付部91に取り付けられるガイド部92とからなる。取付部91は、平板状に形成され、金網ベルト4の走行方向と略直交する方向に延びるように、一端部が上フランジ部13bにボルト、ネジ、ビス等の固定部材で取り付けられている。取付部91の他端部である先端部は、上方(キャリア側ベルト4aの面に対して直交する方向)に折り曲げられてフランジ部として形成されている。この取付部91の先端部、特に先端部の折り曲がってる個所は、金網ベルト4が接触しても金網ベルト4に傷等がつかないようにヘミング加工が行われていることが好ましい。取付部91は、多少湾曲等させて形成されていてもよい。取付部91は、キャリア側ベルト4aとの間に隙間が形成されていることが好ましく、この隙間は、食品生地が取付部とキャリア側ベルト4aとの間に侵入することがない寸法で形成されていることが好ましい。取付部91の取付位置及び個数は、特に限定されず、図示するように、従動ローラ3寄りとキャリア側ベルト4aの走行方向の中央部よりの2箇所でもよい。
【0041】
ガイド部92は、細長の平板状に形成され、実質的にガイド部材9を構成するものである。ガイド部92は、その2箇所が取付部91にビス等で取り付けられ、2つのガイド部92が互いに対向するようになっている。ガイド部92の上端部は、側板13側に90°(略90°を含む。)に折り曲げられている。
【0042】
次に、本発明に係る金網ベルト4並びに食品製造装置用搬送機械1の作用を説明する。
【0043】
駆動ローラ2と従動ローラ3とに無端状の金網ベルト4を掛け渡す。このとき、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に横ずれ防止歯8を貫通挿入して噛み合わせる(係合させる)と共に、金網ベルト4の網目41に係合歯6を噛み合わせ(係合させ)、かつ、歯付ローラ部30aの歯6を金網ベルト4の網目41に噛み合わせる(係合させる)。そして、回転駆動装置50を駆動させて駆動シャフト22を回転駆動させると、ローラ部20(第1ローラ部20a及び第2ローラ部20bを含む。)が回転駆動して、第1ローラ部20aの横ずれ防止歯8が金網ベルト4の横ずれ防止孔47に噛み合うと共に、第2ローラ部20bの係合歯6が金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4が循環走行する。このように、金網ベルト4が走行すると、金網ベルト4の網目41に噛み合った歯6を介して歯付ローラ部30aが回転する。これにより、従動シャフト32を介して歯付ローラ部30aを含む従動ローラ3が回転するので、金網ベルト4は、片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく循環走行することになる。
【0044】
すなわち、横ずれ防止歯8及び係合歯6が金網ベルト4の横ずれ防止孔47及び網目41にそれぞれ噛み合っているために、金網ベルト4が片寄りなく循環走行する。また、横ずれ防止歯8は、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に挿入されて、先端部が横ずれ防止孔47(金網ベルト4)から突出するために、金網ベルト4が駆動ローラ2から多少浮き上がっても横ずれ防止歯8と金網ベルト4との係合が解除されることがない。また、横ずれ防止歯8が金網ベルト4の両側部に係合しているために、一層横ずれ防止歯8と金網ベルト4との係合が解除されることがない。従って、金網ベルト4は横にずれることなく確実に循環走行することになる。
【0045】
金網ベルト4を走行させながら、キャリア側ベルト4a上に食品生地を載せる。すなわち、食品生地は、従動ローラ3の近傍からキャリア側ベルト4a上に載せられ、従動ローラ3の近傍から駆動ローラ2方向に搬送される。このとき、ガイド部材9によって食品生地はキャリア側ベルト4aの両側部近傍よりその中央部側に案内されるので、食品生地がキャリア側ベルト4aから落ちることなく食品生地の搬送を行える。
【0046】
また、食品生地を搬送するとき、キャリア側ベルト4aの下面がたわみ防止部材7に接触してキャリア側ベルト4aがたわむことなく走行するので、金網ベルト4を食品生地の搬送に使用することができる。
【0047】
したがって、本発明に係る金網ベルト4並びに食品製造装置用搬送機械1は、片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく金網ベルト4を循環走行させることができ、食品生地の搬送を安定して行える。
【0048】
また、たわみ防止部材7が金網ベルト4の走行方向に沿って設けられていると、食品生地の搬送を安定に行えることになる。すなわち、例えば、たわみ防止部材7が金網ベルト4の幅方向に設けられていると、たわみ防止部材7の間では金網ベルト4がたわむために、たわみ防止部材7の個所だけ金網ベルト4が上方に位置されるので、その個所を食品生地が通過する際に食品生地が例えば金網ベルト4の幅方向に移動したりすることもある。つまり、極端に言うと、キャリア側ベルト4aは波打って走行することになり、安定して食品生地の搬送を行えないことがある。これに対して、たわみ防止部材7が金網ベルト4の走行方向に沿って設けられていると、走行するキャリア側ベルト4aは、波網打って走行することがほとんどないので、食品生地の搬送を安定に行える。特に、食品生地が煎餅である場合に、乾燥工程、焼成工程、味付け工程の搬送の際に食品生地がベルト上を移動すると、食品生地の乾燥や焼成がむらになることがあり得るが、その心配も要らない。よって、本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、特に煎餅などの菓子類を製造する食品製造装置の搬送機械として有用なものである。
【0049】
また、金網ベルト4の両側部の右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると共に、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると、金網ベルト4の両側部が循環走行するときに、金網ベルト4の両側部が解けることがないので、食品生地を安定して確実に搬送することができる。
【0050】
また、従動ローラ3の周面に横ずれ防止歯8を設けることで、金網ベルト4を一層片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく循環走行させることができ、食品生地の搬送を一層安定して行える。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように本発明に係る金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械は、横ずれ防止孔に横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合されるために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく金網ベルトが確実に走行することができることから、特に煎餅などの菓子類を製造する食品製造装置の搬送機械として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す側面図である。
【図4】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す正面図である。
【図5】図3中のA−A線矢視概略断面図である。
【図6】図5中のB部分の拡大図である。
【図7】本発明に係る第1ローラ部の一例を示す図で、(a)は概略正面図、(b)は一部破断断面図である。
【図8】本発明に係る金網ベルトの一例を示す平面図である。
【図9】本発明に係る第2ローラ部の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は一部破断断面図である。
【図10】本発明に係る第2ローラ部の歯と金網ベルトとが噛み合っている状態を示す図である。
【図11】本発明に係る第2ローラ部の他の例を示す一部破断断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送機械
2 駆動ローラ
3 従動ローラ
4 金網ベルト
6 係合歯
8 横ずれ防止歯
20a 第1ローラ部
20b 第2ローラ部
30a 歯付ローラ部
41 網目
47 横ずれ防止孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、煎餅などの菓子類等の軽食品を製造する際に用いられて好適な金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
煎餅などの菓子類等の軽食品は、混練工程、圧延工程、型抜き工程、乾燥工程及び焼成工程等を経て製造されており、特に乾燥工程及び焼成工程での移送手段として金網コンベヤが用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。この金網コンベヤは、例えば、煎餅を製造する際の乾燥工程や焼成工程においては、さまざまな形状、厚さに型抜きした米菓生地が載せられて熱風乾燥室内や焼成装置内を移送することによって米菓生地を熱風乾燥したり、焼成したりするのに用いられている。
【0003】
この金網コンベヤは、その両側にそれぞれエンドレスチェーンを取り付け、こられ一対のエンドレスチェーン間を等間隔に配した複数のクロスバーで連結し、これらのクロスバーにステンレス或は亜鉛引き金網を同材質の針金(図示せず)で縛りつけて張り付けたものである。この金網コンベヤには、金網の片寄りを防ぐため、各クロスバーの適宜位置には、留め金具が取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−34460号公報
【特許文献2】特許第3380786号公報
【特許文献3】特開2006−131357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来公知の金網コンベヤは、駆動ローラと従動ローラ以外にエンドレスチェーンを掛け渡す部材としてスプロケットを必要とする上に、一対の長いエンドレスチェーン、複数のクロスバー、これらのクロスバーへ金網を針金で縛り付ける作業、留め具、さらには、エンドレスチェーンを案内するための機枠に設置したガイドレール等、を必要として、製作コストが高くつく上に、エンドレスチェーンとガイドレールの間に塗布して潤滑油の軽食品への混入等の問題があった。
【0005】
このため、本出願人は、先に駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送するもので、駆動ローラの周面に、掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、食品生地を載せて走行するキャリア側ベルトの下方に、そのキャリア側ベルトが接触してキャリア側ベルトのたわみを防止するたわみ防止部材を設けた食品製造装置用搬送機械を提案した(特許文献3参照。)。この食品製造装置用搬送機械は、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けた歯が金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトが走行する。このとき、キャリア側ベルトの下方にたわみ防止部材を設けたので、キャリア側ベルトはたわむことなく食品生地の搬送を行える。その結果、エンドレスチェーンを設けることなく食品生地を安定して搬送することができるので、小型化及びコストダウンを図れ、かつ、潤滑油の食品生地への混入を防止できる。
【0006】
しかし、駆動ローラの駆動により金網ベルトを走行させると、横にずれることがある。すなわち、米菓生地を搬送する場合、金網ベルトとしては、汎用性に優れていると共に、蛇行や片寄りを修正し、かつ抗張力に優れていることからバランスベルトが用いられる。このバランスベルトは、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせたものであり、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材により形成されている凹部に駆動ローラに設けた歯を噛み合わせている。つまり、歯は、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材により形成されている凹部に位置されているが、歯の先端部(上端部)は、右巻き螺旋線材又は左巻き螺旋線材に当接しているために、バランスベルトが歯を覆うように被さっているように駆動ローラに掛け渡されているので、走行中にバランスベルトの横ぶれ等によりバランスベルトが駆動ローラから浮き上がり歯とバランスベルトとの係合がはずれて、バランスベルトが横にずれることがある。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、横にずれることなく走行することができる金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明に係る金網ベルトは、駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行しつつ食品生地を搬送する金網ベルトであって、当該金網ベルトに、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に設けられた横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔を設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けられた横ずれ防止歯が金属ベルトの横ずれ防止孔に貫通挿入されて係合するために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても横ずれ防止歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく確実に金網ベルトは走行する。
【0010】
本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトの両側部近傍に、前記横ずれ防止歯が1列又は2列以上設けられていることが好ましい。また、本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止孔が形成されていることが好ましい。また、本発明に係る金網ベルトにおいて、前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記の目的を達成するための本発明に係る食品製造装置用搬送機械は、駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に、前記掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、前記金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、駆動ローラが駆動されると、その周面に設けた歯が金網ベルトの網目に噛み合って金網ベルトが走行する。このとき、金網ベルトには、金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯が噛み合っているために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、金網ベルトを横にずれることなく確実に走行することができる。
【0013】
本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記横ずれ防止歯が、前記従動ローラの周面に設けられていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記横ずれ防止歯が、少なくとも前記金網ベルトの両側部近傍に1列又は2列以上配置されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔が形成されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることが好ましい。また、本発明に係る食品製造装置用搬送機械において、前記駆動ローラが、前記金網ベルトの幅方向に間隔を隔てて配置された複数のローラ部を備え、これらローラ部のうちの両側に位置されるローラ部に、前記横ずれ防止歯が、2列設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明に係る金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械によれば、横ずれ防止孔に横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合されるために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく金網ベルトが確実に走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る金網ベルト及び食品製造装置用搬送機械を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜図5は本発明に係る食品製造装置用搬送機械の一例を示す図である。図8は本発明に係る金網ベルトの一例を示す図である。本発明に係る食品製造装置用搬送機械(単に搬送機械ということがある。)は、図1〜図5に示すように、煎餅などの菓子類等の軽食品の食品生地を搬送するための一種の金網ベルトコンベヤである。軽食品としては、煎餅などの菓子類等が挙げられるが、この煎餅に限定されないが、本発明の実施の形態では、煎餅を用いた場合について説明する。
【0017】
本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、駆動ローラ2と従動ローラ3とに掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト4上に食品生地を載せて搬送するものである。本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、駆動ローラ2の周面に、掛け渡された金網ベルト4の網目に噛み合って当該金網ベルト4を走行させる歯6、8を設け、この歯6、8は、金網ベルト4に噛み合ったときに、この金網ベルト4を貫通する横ずれ防止歯8を備えたことを特徴とする。また、本発明に係る金網ベルト4は、横ずれ防止孔47を設け、この横ずれ防止孔47に横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合することを特徴とする。
【0018】
搬送機械1は、例えば、細長の略矩形状の底板11が支持された4つの脚部材12に両側板13、13を介して取り付けられている。各脚部材12の下部には、それぞれストッパ付のキャスター16が取り付けられ、搬送機械1が移動可能になっている。また、各脚部材12の下部には、アジャストボルト17がそれぞれ設けられ、各脚部材12はそれぞれ個別にその垂直方向の高さを調節することができる。また、4つの脚部材12のうちの2つはそれぞれ対向しており、これら対向する脚部材12の下方が連結材19によってそれぞれ連結されている。
【0019】
側板13は、細長の矩形状に形成されている。側板13の上下の端部は、対向する側板13とは反対側に延びるフランジ部13a、13bが形成されている。すなわち、側板13は、コ字状(略コ字状を含む。)に形成されている。側板13の下方のフランジ部13aの前端部の近傍及び後端部の近傍がボルトとナットとにより脚部材12の上部に着脱可能に取り付けられている。
【0020】
各側板13の前端部及び後端部のいずれか一方、例えば後端部(金網ベルト4の走行方向後方側の端部)の上部には、側板13の長手方向に延びる従動ローラ取付部材14が取り付けられている。各従動ローラ取付部材14の下方には、ベアリング31がそれぞれ設けられている。これらベアリング31、31間に従動シャフト32が設けられ、この従動シャフト32の両端部がベアリング31、31によって回転可能に軸支されている。従動シャフト32には、1つ又は複数、図示例では5つのローラ部30が設けられており、この従動シャフト32とローラ部30とで従動ローラ3が構成されている。なお、ベアリング31及び従動ローラ3は、従動ローラ取付部材14に設けられているが、側板13に設けるようにしてもよい。
【0021】
各側板13、13の前端部及び後端部のいずれか他方、例えば前端部(金網ベルト4の走行方向前方側の端部)には、ベアリング21、21がそれぞれ設けられている。これらベアリング21、21間に駆動シャフト22が設けられ、この駆動シャフト22の両端部がベアリング21、21によって回転可能に軸支されている。駆動シャフト22の一方の端部は、ベアリング21からさらに外方に延びて形成されており、この一方の端部には、駆動シャフト22を回転駆動させる回転駆動装置50例えばモータ(図示せず)のシャフトに回転可能に接続されている。回転駆動装置50は、駆動シャフト22を回転駆動させることができれば特に限定されない。駆動シャフト22には、1つ又は複数、図示例では7つのローラ部20が設けられており、この駆動シャフト22とローラ部20とで駆動ローラ2が構成されている。
【0022】
この駆動ローラ2と従動ローラ3との間に本発明に係る金網ベルト4が掛け渡されている。金網ベルト4は、図8及び図10に示すように、エンドレスの無端状で網目41を有するベルトである。金網ベルト4としては、特に限定されず、例えば、右巻き螺旋線材43と左巻き螺旋線材44と屈曲線材45とを組み合わせて構成されているバランスベルト等が挙げられる。これらの線材43、44、45の材質は、例えば、煎餅の製造工程に耐え得るものであれば特に限定されず、ステンレス、亜鉛引き線材等が挙げられる。
【0023】
金網ベルト4には、後述する横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔47が設けられている。横ずれ防止孔47は、横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合するならば特に限定されず、例えば、金網ベルト4を構成する左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部が切断されて形成されている。なお、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の網目に横ずれ防止歯8が貫通挿入されて係合するならば、金網ベルト4の網目であってもよい。
【0024】
また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の両側部近傍に1列又は2列以上、例えば、横ずれ防止歯8と対向する箇所に2列設けられていることが好ましい。2列の横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の幅方向に平行に設けられていていもよいし、その幅方向に異なる位置、例えば、千鳥状に設けられていてもよい。また、2列の横ずれ防止孔47は、左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43のどちらか一方の線材にのみ設けてもよいし、両方の線材に設けるようにしてもよい。また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の表面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよいし、金網ベルト4の裏面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよいし、金網ベルト4の表面側及び裏面側となる左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して設けるようにしてもよい。また、横ずれ防止孔47は、金網ベルト4の両側部近傍以外に設けるようにしてもよい。また、左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の一部を切断して横ずれ防止孔47を形成したとき、この左巻き螺旋線材44や右巻き螺旋線材43の切断した端部を溶接して丸みを形成するようにしてもよい。
【0025】
また、金網ベルト4の両側部の右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると共に、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていることが好ましい。なお、連結部48は、右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが固定された状態で連結されているか、又は、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが固定された状態で連結されていれば、溶接以外の手段で形成してもよい。
【0026】
駆動ローラ2に設けられている7つのローラ部20は、例えば、金網ベルト4の両端部近傍に2つと、それら2つの間に残りの5つが等間隔にそれぞれ配置されている。なお、ローラ部20の個数及び配置位置は、図示例に限定されない。また、ローラ部20の軸方向の長さも特に限定されない。また、ローラ部は、1つであってもよく、この場合、ローラ部は、両端部が金網ベルト4の両端部近傍に位置される長さに形成されている。
【0027】
ローラ部20の周面には、図2、図4、図7及び図9〜図11に示すように、掛け渡された金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させる歯6、8が設けられている。歯6、8は、金網ベルト4に噛み合ったときに、この金網ベルト4を貫通する横ずれ防止歯8を備えている。横ずれ防止歯8以外の歯6(係合歯6ということがある。)は、金網ベルト4を貫通することなくその網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させるものである。
【0028】
歯は、全てが横ずれ防止歯8であってもよいし、歯の一部が横ずれ防止歯8であって残りが係合歯6であってもよいが、金網ベルト4の両側部近傍に位置される歯が横ずれ防止歯8であることが好ましい。すなわち、横ずれ防止歯8は、7つのローラ部20の全てに設けてもよいが、7つのローラ部20のうちの両側の2つのローラ部20に設けることが好ましい。残りの5つのローラ部20に、係合歯6を設けるようにしてもよい。例えば、横ずれ防止歯8が設けられているローラ部20(第1ローラ部20aということがある。)の内側からそれぞれ1つおいた2つのローラ部20に、係合歯6が設けられているローラ部20(第2ローラ部20bということがある。)を配置するようにしてもよい。つまり、合計4つのローラ部20に歯8、6が設けられている。
【0029】
横ずれ防止歯8と係合歯6は、高さが異なるだけでその形状は特に限定されず、例えば、断面略台形、断面略矩形状等に形成されている。横ずれ防止歯8の高さは、横ずれ防止孔47と噛み合ったとき、横ずれ防止孔47を貫通して先端部が金網ベルト4から突出し得る寸法で形成されていることが好ましい(図7参照。)。係合歯6の高さは、金網ベルト4の網目41に噛み合う寸法から任意に選択される。これら横ずれ防止歯8及び係合歯6は、金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4を循環走行させることができれば、個数及び配置位置は特に限定されない。なお、横ずれ防止歯8の形状は、金網ベルト4の網目を貫通する形状に形成してもよい。
【0030】
横ずれ防止歯8は、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に貫通挿入されて係合するものである。横ずれ防止歯8は、例えば、図7に示すように、ローラ部20の周面にその周方向に所定の間隔をあけて複数設けられていると共に、ローラ部20の軸方向に所定の間隔を空けて2列以上例えば2列設けられている。ローラ部20の周方向の横ずれ防止歯8の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法であることが好ましい。ローラ部20の軸方向の横ずれ防止歯8の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法である。
【0031】
また、ローラ部20の軸方向の係合歯6の間隔は、金網ベルト4の幅方向の2つの網目41を隔てた長さと略同じ寸法である。係合歯6は、例えば、図9に示すように、ローラ部20の周面にその周方向に所定の間隔をあけて複数設けられていると共に、ローラ部20の軸方向に所定の間隔を空けて3列設けられている。ローラ部20の周方向の歯6の間隔は、例えば、金網ベルトの長手方向の網目41の間隔の2倍(略2倍を含む。)の寸法である。また、係合歯6は、図11に示すように、駆動ローラの軸方向に揃えられることなく円周方向にずらして設けてもよい。このように構成すると、荷重が金網ベルトの1本の屈曲線材に加わることがなく、複数の屈曲線材に加わることから、金網ベルトが変形してしまうことを極力防止することができる。
【0032】
従動ローラ3に設けられている5つのローラ部30は、例えば、金網ベルト4の両端部近傍に2つと、それら2つの間に残りの3つが等間隔にそれぞれ配置されている。なお、ローラ部30の個数及び配置位置は、図示例に限定されない。また、ローラ部30の軸方向の長さも特に限定されない。また、ローラ部は、1つであってもよく、この場合、ローラ部は、両端部が金網ベルト4の両端部近傍に位置される長さに形成されている。
【0033】
また、従動ローラ3のローラ部30の周面には、駆動ローラ2と同様の横ずれ防止歯8や係合歯6が設けられていることが好ましい。すなわち、ローラ部30の周面に設ける歯は、全てが横ずれ防止歯8であってもよいし、歯の一部が横ずれ防止歯8であって残りが係合歯6であってもよいが、この場合、金網ベルト4の両側部近傍に位置されるローラ部30に横ずれ防止歯8が設けられていることが好ましい。また、ローラ部30の周面に設ける歯は、全てが係合歯6であってもよく、この場合、このローラ部30は歯付ローラ部30aとなる。歯付ローラ部30aは、5つのローラ部30の全てに用いられていてもよいし、5つのローラ部30のうちの任意のローラ部30に用いられていてもよい。例えば、歯付ローラ部30aは、5つのローラ部30のうち両側の2つと中央部の1つの計3つ用いられていてもよい。なお、横ずれ防止歯8を設けた従動ローラを金網ベルト4の搬入端と搬出端との間に例えば案内ローラとして設けるようにしてもよい。
【0034】
両側板13、13間には、図2、図3、図5及び図6に示すように、たわみ防止部材7が設けられていることが好ましい。たわみ防止部材7は、キャリア側ベルト4aのたわみを防止できれば特に限定されない。たわみ防止部材7は、例えば、両側板13、13間を連結する連結部材71に取り付けられている。
【0035】
連結部材71は、金網ベルト4の走行方向と直交する方向に延びて形成されている。連結部材71は、例えば、断面円形、断面矩形等の棒状に形成されている。連結部材71の両端部が両側板13、13の対向する面(内面ということがある。)に当接して、両側板13、13の外面(その内面とは反対の面)からボルト、ネジ、ビス等の固定部材により両側板13、13に取り付けられている。連結部材71は、キャリア側ベルト4aの下面の近傍に設けられている。連結部材71は、図示例では4つ設けられているが、たわみ防止部材7をたわむことなく支持できれば、その数及び配置位置は特に限定されない。連結部材71の上部にたわみ防止部材7が取り付けられている。
【0036】
たわみ防止部材7の取付は、特に限定されず、例えば、連結部材71の上部に矩形状の取付部72を溶接等により固定し、この取付部72に取り付けるようにしてもよい。この場合、たわみ防止部材7は、例えば、コ字状に形成され、このコ字状の内側(両側部の間)に取付部72が挿入されるように取付部72に取り付けられている。たわみ防止部材7は、摩擦抵抗が低い低摩擦抵抗材で形成されていることが好ましい。低摩擦抵抗材としては、摩擦抵抗が低い材料であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンを主原料としたもの(作新工業株式会社製、商品名:ニューライト)等が挙げられる。なお、たわみ防止部材7は、全体が低摩擦抵抗材で形成されているが、金網ベルト4が接触する個所に低摩擦抵抗材が設けられていれば、その他は他の部材で構成するようにしてもよい。また、たわみ防止部材7の形状は、コ字状に限定されるものではなく、他の形状、例えば、断面円形、断面楕円形、断面矩形、断面三角形等どのような形状に形成してもよい。
【0037】
たわみ防止部材7は、金網ベルト4の走行方向に延びて形成されている。たわみ防止部材7は、両端部が従動ローラ3及び駆動ローラ2の近傍に位置される寸法の長さに形成されている。このたわみ防止部材7は、両端部が従動ローラ3及び駆動ローラ2の近傍に位置されていれば、寸法の短いたわみ防止部材7を複数連結したり連結部材71の取付部72にそれぞれ取り付けたりして形成するようにしてもよい。また、たわみ防止部材7は、走行する金網ベルト4の両端部近傍に2列と、その金網ベルト4の中央部の計3列設けられているが、キャリア側ベルト4aのたわみを防止することができれば、その数及び配置位置は特に限定されない。
【0038】
また、両側板13、13間には、リターン側ベルト4bを案内する案内ローラ81が設けられている。この案内ローラ81は、両側板13、13に回転可能に軸支されている。案内ローラ81のリターン側ベルト4bが接するローラ部81aの長さは、例えば、そのリターン側ベルト4bの幅より短い、好ましく若干短い寸法で形成されている。案内ローラ81の個数及び配置位置は、特に限定されないが、例えば、駆動ローラ2の近傍、リターン側ベルトの略中央部、従動ローラ3よりの3箇所であることが好ましい。
【0039】
また、両側板13、13の上方のフランジ部(上フランジ部13bということがある。)には、キャリア側ベルト4a上に載せられた食品生地をキャリア側ベルト4aの両側部近傍よりその中央部側に案内するガイド部材9が設けられている。ガイド部材9は、キャリア側ベルト4aの上方の全域に設けてもよいが、キャリア側ベルト4aに食品生地が載せられる載置位置に設けられていれば特に限定されず、例えば、その載置位置、すなわち、従動ローラ3側のキャリア側ベルト4aの上方からキャリア側ベルト4aの走行方向の中央部寄りまでに設けられている。
【0040】
ガイド部材9は、例えば、上フランジ部13bに取り付けられる取付部91と、その取付部91に取り付けられるガイド部92とからなる。取付部91は、平板状に形成され、金網ベルト4の走行方向と略直交する方向に延びるように、一端部が上フランジ部13bにボルト、ネジ、ビス等の固定部材で取り付けられている。取付部91の他端部である先端部は、上方(キャリア側ベルト4aの面に対して直交する方向)に折り曲げられてフランジ部として形成されている。この取付部91の先端部、特に先端部の折り曲がってる個所は、金網ベルト4が接触しても金網ベルト4に傷等がつかないようにヘミング加工が行われていることが好ましい。取付部91は、多少湾曲等させて形成されていてもよい。取付部91は、キャリア側ベルト4aとの間に隙間が形成されていることが好ましく、この隙間は、食品生地が取付部とキャリア側ベルト4aとの間に侵入することがない寸法で形成されていることが好ましい。取付部91の取付位置及び個数は、特に限定されず、図示するように、従動ローラ3寄りとキャリア側ベルト4aの走行方向の中央部よりの2箇所でもよい。
【0041】
ガイド部92は、細長の平板状に形成され、実質的にガイド部材9を構成するものである。ガイド部92は、その2箇所が取付部91にビス等で取り付けられ、2つのガイド部92が互いに対向するようになっている。ガイド部92の上端部は、側板13側に90°(略90°を含む。)に折り曲げられている。
【0042】
次に、本発明に係る金網ベルト4並びに食品製造装置用搬送機械1の作用を説明する。
【0043】
駆動ローラ2と従動ローラ3とに無端状の金網ベルト4を掛け渡す。このとき、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に横ずれ防止歯8を貫通挿入して噛み合わせる(係合させる)と共に、金網ベルト4の網目41に係合歯6を噛み合わせ(係合させ)、かつ、歯付ローラ部30aの歯6を金網ベルト4の網目41に噛み合わせる(係合させる)。そして、回転駆動装置50を駆動させて駆動シャフト22を回転駆動させると、ローラ部20(第1ローラ部20a及び第2ローラ部20bを含む。)が回転駆動して、第1ローラ部20aの横ずれ防止歯8が金網ベルト4の横ずれ防止孔47に噛み合うと共に、第2ローラ部20bの係合歯6が金網ベルト4の網目41に噛み合って金網ベルト4が循環走行する。このように、金網ベルト4が走行すると、金網ベルト4の網目41に噛み合った歯6を介して歯付ローラ部30aが回転する。これにより、従動シャフト32を介して歯付ローラ部30aを含む従動ローラ3が回転するので、金網ベルト4は、片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく循環走行することになる。
【0044】
すなわち、横ずれ防止歯8及び係合歯6が金網ベルト4の横ずれ防止孔47及び網目41にそれぞれ噛み合っているために、金網ベルト4が片寄りなく循環走行する。また、横ずれ防止歯8は、金網ベルト4の横ずれ防止孔47に挿入されて、先端部が横ずれ防止孔47(金網ベルト4)から突出するために、金網ベルト4が駆動ローラ2から多少浮き上がっても横ずれ防止歯8と金網ベルト4との係合が解除されることがない。また、横ずれ防止歯8が金網ベルト4の両側部に係合しているために、一層横ずれ防止歯8と金網ベルト4との係合が解除されることがない。従って、金網ベルト4は横にずれることなく確実に循環走行することになる。
【0045】
金網ベルト4を走行させながら、キャリア側ベルト4a上に食品生地を載せる。すなわち、食品生地は、従動ローラ3の近傍からキャリア側ベルト4a上に載せられ、従動ローラ3の近傍から駆動ローラ2方向に搬送される。このとき、ガイド部材9によって食品生地はキャリア側ベルト4aの両側部近傍よりその中央部側に案内されるので、食品生地がキャリア側ベルト4aから落ちることなく食品生地の搬送を行える。
【0046】
また、食品生地を搬送するとき、キャリア側ベルト4aの下面がたわみ防止部材7に接触してキャリア側ベルト4aがたわむことなく走行するので、金網ベルト4を食品生地の搬送に使用することができる。
【0047】
したがって、本発明に係る金網ベルト4並びに食品製造装置用搬送機械1は、片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく金網ベルト4を循環走行させることができ、食品生地の搬送を安定して行える。
【0048】
また、たわみ防止部材7が金網ベルト4の走行方向に沿って設けられていると、食品生地の搬送を安定に行えることになる。すなわち、例えば、たわみ防止部材7が金網ベルト4の幅方向に設けられていると、たわみ防止部材7の間では金網ベルト4がたわむために、たわみ防止部材7の個所だけ金網ベルト4が上方に位置されるので、その個所を食品生地が通過する際に食品生地が例えば金網ベルト4の幅方向に移動したりすることもある。つまり、極端に言うと、キャリア側ベルト4aは波打って走行することになり、安定して食品生地の搬送を行えないことがある。これに対して、たわみ防止部材7が金網ベルト4の走行方向に沿って設けられていると、走行するキャリア側ベルト4aは、波網打って走行することがほとんどないので、食品生地の搬送を安定に行える。特に、食品生地が煎餅である場合に、乾燥工程、焼成工程、味付け工程の搬送の際に食品生地がベルト上を移動すると、食品生地の乾燥や焼成がむらになることがあり得るが、その心配も要らない。よって、本発明に係る食品製造装置用搬送機械1は、特に煎餅などの菓子類を製造する食品製造装置の搬送機械として有用なものである。
【0049】
また、金網ベルト4の両側部の右巻き螺旋線材43の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると共に、左巻き螺旋線材44の端部と屈曲線材45の端部とが溶接されて連結部48が形成されていると、金網ベルト4の両側部が循環走行するときに、金網ベルト4の両側部が解けることがないので、食品生地を安定して確実に搬送することができる。
【0050】
また、従動ローラ3の周面に横ずれ防止歯8を設けることで、金網ベルト4を一層片寄りが起こることがないと共に横ずれが起こることなく循環走行させることができ、食品生地の搬送を一層安定して行える。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように本発明に係る金網ベルト並びに食品製造装置用搬送機械は、横ずれ防止孔に横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合されるために、金網ベルトが駆動ローラから多少浮き上がっても歯と金網ベルトとの係合が解除されることなく走行するので、横にずれることなく金網ベルトが確実に走行することができることから、特に煎餅などの菓子類を製造する食品製造装置の搬送機械として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す側面図である。
【図4】本発明に係る食品製造装置用の搬送機械の一例を示す正面図である。
【図5】図3中のA−A線矢視概略断面図である。
【図6】図5中のB部分の拡大図である。
【図7】本発明に係る第1ローラ部の一例を示す図で、(a)は概略正面図、(b)は一部破断断面図である。
【図8】本発明に係る金網ベルトの一例を示す平面図である。
【図9】本発明に係る第2ローラ部の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は一部破断断面図である。
【図10】本発明に係る第2ローラ部の歯と金網ベルトとが噛み合っている状態を示す図である。
【図11】本発明に係る第2ローラ部の他の例を示す一部破断断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送機械
2 駆動ローラ
3 従動ローラ
4 金網ベルト
6 係合歯
8 横ずれ防止歯
20a 第1ローラ部
20b 第2ローラ部
30a 歯付ローラ部
41 網目
47 横ずれ防止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行しつつ食品生地を搬送する金網ベルトであって、当該金網ベルトに、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に設けられた横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔を設けたことを特徴とする、金網ベルト。
【請求項2】
前記金網ベルトの両側部近傍に、前記横ずれ防止歯が1列又は2列以上設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の金網ベルト。
【請求項3】
前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止孔が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金網ベルト。
【請求項4】
前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金網ベルト。
【請求項5】
駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、
前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に、前記掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、前記金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯を備えたことを特徴とする、食品製造装置用搬送機械。
【請求項6】
前記横ずれ防止歯が、前記従動ローラの周面に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項7】
前記横ずれ防止歯が、少なくとも前記金網ベルトの両側部近傍に1列又は2列以上配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項8】
前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔が形成されていることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項9】
前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項10】
前記駆動ローラが、前記金網ベルトの幅方向に間隔を隔てて配置された複数のローラ部を備え、これらローラ部のうちの両側に位置されるローラ部に、前記横ずれ防止歯が、2列設けられていることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項1】
駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行しつつ食品生地を搬送する金網ベルトであって、当該金網ベルトに、前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に設けられた横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔を設けたことを特徴とする、金網ベルト。
【請求項2】
前記金網ベルトの両側部近傍に、前記横ずれ防止歯が1列又は2列以上設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の金網ベルト。
【請求項3】
前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止孔が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金網ベルト。
【請求項4】
前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金網ベルト。
【請求項5】
駆動ローラと従動ローラとの間に掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルト上に食品生地を載せて搬送する食品製造装置用の搬送機械であって、
前記駆動ローラ又は前記駆動ローラ及び前記従動ローラの周面に、前記掛け渡された金網ベルトの網目に噛み合って当該金網ベルトを走行させる歯を設け、この歯は、前記金網ベルトに噛み合ったときに、この金網ベルトを貫通する横ずれ防止歯を備えたことを特徴とする、食品製造装置用搬送機械。
【請求項6】
前記横ずれ防止歯が、前記従動ローラの周面に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項7】
前記横ずれ防止歯が、少なくとも前記金網ベルトの両側部近傍に1列又は2列以上配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項8】
前記金網ベルトが、バランスベルトであり、この金網ベルトを構成する線材の一部が切断されて前記横ずれ防止歯が貫通挿入されて係合する横ずれ防止孔が形成されていることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項9】
前記金網ベルトが、右巻き螺旋線材と左巻き螺旋線材と屈曲線材とを組み合わせてなるバランスベルトであり、この金網ベルトの両側部が、前記右巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されていると共に、前記左巻き螺旋線材の端部と前記屈曲線材の端部とが溶接されて形成されていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【請求項10】
前記駆動ローラが、前記金網ベルトの幅方向に間隔を隔てて配置された複数のローラ部を備え、これらローラ部のうちの両側に位置されるローラ部に、前記横ずれ防止歯が、2列設けられていることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の食品製造装置用搬送機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−150188(P2008−150188A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341873(P2006−341873)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(591095708)株式会社新井機械製作所 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(591095708)株式会社新井機械製作所 (15)
【Fターム(参考)】
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