説明

鉄塔の腹材交換方法及び腹材交換装置

【課題】腹材にかかる荷重を肩代わりした状態を何等の操作をすることなく維持することで腹材の交換を容易にすることにある。
【解決手段】第1の斜材S1の下端側で、隣接する主柱材P(L)を下側水平補強治具2(6)によって連結し、第1の斜材S1の上端側で、隣接する主柱材P(L)を上側水平補強治具3(7)によって連結し、第1の斜材S1に沿うワイヤ4によって隣接する主柱材P(L)を連結した後、ワイヤ4の途中に設けた機械式の引き寄せ治具でワイヤ4に張力を加えることで、第1の斜材S1に作用する引張荷重を解除してから、第1の斜材S1を新たなものに交換し、ワイヤ4の張力によって第2の斜材S2に作用する圧縮荷重を解除してから、第2の斜材S2を新たなものに交換するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空線等からの外力によって引張荷重や圧縮荷重が作用した状態になっている腹材を交換するための鉄塔の復材交換方法及び腹材交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の鉄塔の腹材交換方法や装置としては、間隔をおいて隣接する2位置の主柱材を連結する水平材や斜材等の腹材のうち、交換対象となる腹材に対応させるようにして、その間隔をおいて隣接する主柱材を油圧ジャッキで連結し、その腹材に作用する荷重を油圧ジャッキで肩代わりすることにより、当該腹材を交換することを可能にするものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記鉄塔の腹材交換方法及び装置においては、手動ポンプ及び切換弁を使用することによって、油圧ジャッキ内の作動油の圧力を調整し、これにより腹材にかかる荷重を油圧ジャッキで肩代わりすることにより、その腹材を交換することを可能にしている。
【0004】
しかしながら、上記鉄塔の腹材交換方法及び装置においては、油圧ジャッキに供給する作動油の圧力が上昇することに伴って、その油圧ジャッキ内や、当該油圧ジャッキに作動油を供給する切換弁等内における作動油のリーク量が増大することになる。このため、油圧ジャッキを用いて腹材にかかる荷重を肩代わりした後そのまま放置すると、当該作動油の内部リークに伴って油圧ジャッキ内の圧力が低下し、荷重を解除したはずの腹材に再び荷重が作用することになり、そのままでは腹材の交換が不可能になる。このため、腹材の交換作業中においては、手動ポンプ及び切換弁を常に操作することによって、油圧ジャッキにかかる荷重を常に一定の状態に調整しなければならず、腹材の交換作業が極めて面倒であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−268758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、腹材にかかる荷重を肩代わりした後はその状態を何等の操作をすることなく維持することができ、当該腹材を簡単に交換をすることができる鉄塔の腹材交換方法及びその腹材交換装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の鉄塔の腹材交換方法の発明は、間隔をおいて隣接する主柱材を連結する腹材としての傾斜方向の異なる第1の斜材及び第2の斜材を少なくとも有し、外力の作用によって前記第1の斜材には引張荷重が作用し、前記第2の斜材には圧縮荷重が作用する鉄塔構面における前記第1の斜材及び前記第2の斜材の交換を少なくとも可能にするための鉄塔の腹材交換方法であって、前記第1の斜材の下端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を下側水平補強治具によって連結すると共に、当該第1の斜材の上端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を上側水平補強治具によって連結し、かつ当該第1の斜材に沿って延在するワイヤによって前記隣接する主柱材を連結した後、前記ワイヤの途中に設けた機械式の引き寄せ治具で当該ワイヤに張力を加えることにより、当該張力が少なくとも前記各主柱材を介して前記第1の斜材に圧縮力として伝達することを利用して当該第1の斜材に作用する前記引張荷重を解除してから、当該第1の斜材を新たな第1の斜材に交換し、前記ワイヤに作用する張力が前記各主柱材、前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具を介して前記第2の斜材に引張力として伝達することを利用して当該第2の斜材に作用する前記圧縮荷重を解除してから、当該第2の斜材を新たな第2の斜材に交換することを特徴としている。なお、第1の斜材を交換してから第2の斜材を交換するようにしてもよいし、第2の斜材を交換してから第1の斜材を交換するようにしてもよく、またこれらの第1の斜材及び第2の斜材を同時に交換するようにしてもよい。
【0008】
請求項2に記載の鉄塔の腹材交換方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具のそれぞれに設けた機械式の間隔補正治具によって前記隣接する主柱材の間隔を調整することによっても、前記第1の斜材及び前記第2の斜材のそれぞれに作用する前記引張荷重及び前記圧縮荷重を解除することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の鉄塔の腹材交換装置の発明は、間隔をおいて隣接する主柱材を連結する腹材としての傾斜方向の異なる第1の斜材及び第2の斜材を少なくとも有し、外力の作用によって前記第1の斜材には引張荷重が作用し、前記第2の斜材には圧縮荷重が作用する鉄塔構面における前記第1の斜材及び前記第2の斜材の交換を少なくとも可能にするための鉄塔の腹材交換装置であって、前記第1の斜材の下端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を連結する下側水平補強治具と、前記第1の斜材の上端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を連結する上側水平補強治具と、前記第1の斜材に沿って延在し、前記隣接する主柱材を連結するワイヤと、前記ワイヤの途中に設け当該ワイヤに張力を発生させる機械式の引き寄せ治具とを備えてなることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の鉄塔の腹材交換装置の発明は、請求項3に記載の発明において、前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具のそれぞれには、前記隣接する主柱材の間隔を調整する機械式の間隔補正治具が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の鉄塔の腹材交換装置の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具は、前記各主柱材に連結する連結部材と、各連結部材に掛け渡される連結バーとを備えてなり、前記連結部材は、前記連結バーを水平方向に安定的に支持するライナプレートを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、機械式の引き寄せ治具でワイヤに張力を作用させることにより、交換対象の第1の斜材に作用する引張荷重を解除することができる。この場合、ワイヤに加える張力は油圧によって得るものではなく、機械式の引き寄せ治具によって得るものであるので、そのまま放置した場合でも、第1の斜材に引張荷重が再び作用することがない。即ち、腹材としての第1の斜材にかかる荷重をワイヤで肩代わりした後はその状態を何等の操作をすることなく維持することができるので、当該第1の斜材を新たなものに簡単に交換をすることができる。
【0013】
しかも、ワイヤの張力は第2の斜材に引張力として伝達することにもなるので、当該第2の斜材の圧縮荷重も解除することができる。この場合も、第2の斜材の圧縮荷重を解除した後は何等の操作をすることなくその解除した状態を維持することができるので、第2の斜材についても新たなものに簡単に交換することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、間隔補正治具によって隣接する主柱材の間隔を調整することによっても、第1の斜材及び第2の斜材のそれぞれに作用する引張荷重及び圧縮荷重を解除するようにしているので、第1の斜材及び第2の斜材に作用する引張荷重及び圧縮荷重をより簡単に解除することができる。即ち、第1の斜材及び第2の斜材をより簡単に交換することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1の斜材の下端側に対応する部位で隣接する主柱材を連結する下側水平補強治具と、第1の斜材の上端側に対応する部位で隣接する主柱材を連結する上側水平補強治具とを備えているので、隣接する主柱材における第1の斜材の上下の各部位を下側水平補強治具及び上側水平補強治具で補強することができる。
【0016】
また、第1の斜材に沿って延在し、隣接する主柱材を連結するワイヤと、当該ワイヤの途中に設け当該ワイヤに張力を発生させる機械式の引き寄せ治具とを備えているので、引き寄せ治具でワイヤに張力を発生させることにより、この張力を少なくとも各主柱材を介して第1の斜材に圧縮力として伝達することができる。このため、第1の斜材の引張荷重を解除することができる。しかも、ワイヤに発生した張力は各主柱材、下側水平補強治具及び上側水平補強治具を介して第2の斜材に引張力として伝達することになるので、当該第2の斜材の圧縮荷重をも解除することができる。
【0017】
そして、ワイヤに張力を作用させる引き寄せ治具は油圧式のものではなく、機械式のもので構成されているので、ワイヤに張力を作用させたまま放置した場合でも、その張力が変化することがない。即ち、第1の斜材及び第2の斜材に作用する引張荷重及び圧縮荷重を解除した状態に維持することができる。従って、第1の斜材及び第2の斜材のそれぞれを新たなものに簡単に取り換えることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、下側水平補強治具及び上側水平補強治具のそれぞれに、隣接する主柱材の間隔を調整する機械式の間隔補正治具を設けているので、その間隔補正治具によって隣接する主柱材の間隔を調整することによっても、第1の斜材の引張荷重や第2の斜材の圧縮荷重を解除することができる。従って、第1の斜材及び第2の斜材に作用する引張荷重及び圧縮荷重をより簡単に解除することができるので、第1の斜材及び第2の斜材をより簡単に交換することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、下側水平補強治具及び上側水平補強治具は各主柱材に連結する連結部材と、これらの連結部材に掛け渡される連結バーとを備え、連結部材は連結バーを水平方向に安定的に支持するライナプレートを備えているので、所定の傾斜角度で立設された主柱材に取り付ける場合でも、その主柱材の傾斜角度に応じた傾斜角度のライナプレートを用いることにより、連結バーを水平状態に安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1として示した鉄塔の腹材交換装置を示す正面図である。
【図2】同鉄塔の腹材交換装置における下側水平補強治具(上側水平補強治具)を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。
【図3】同鉄塔の腹材交換装置における下側水平補強治具(上側水平補強治具)の他方の主柱材との連結部分を示す図であって、(a)は要部正面図であり、(b)は(a)のX矢視図である。
【図4】本発明の実施例2として示した鉄塔の腹材交換装置を示す正面図である。
【図5】同鉄塔の腹材交換装置における下側水平補強治具(上側水平補強治具)を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は(a)のC−C線に沿う断面図であり、(d)は(b)の要部平面図で有り、(e)は第2連結バーと連結部材との連結状態を示す断面図であり、(f)は(a)のF矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
この実施例1で示す鉄塔の腹材交換装置1は、図1〜図3に示すように、間隔をおいて隣接する2位置の主柱材Pを連結する腹材としての傾斜方向の異なる第1の斜材S1及び第2の斜材S2を少なくとも有し(この例では水平材Hも有する(図1参照))、電線等の架空線(図示せず)からの水平方向成分荷重Wを有する外力の作用によって第1の斜材S1には引張荷重が作用し、第2の斜材S2には圧縮荷重が作用する鉄塔構面Aにおける少なくとも第1の斜材S1及び第2の斜材S2の交換を可能(この例では水平材Hも交換可能)にするように構成したものである。
【0023】
即ち、鉄塔の腹材交換装置1は、第1の斜材S1の下端側に対応する部位で、隣接する主柱材Pを連結する下側水平補強治具2と、第1の斜材S1の上端側に対応する部位で、隣接する主柱材Pを連結する上側水平補強治具3と、第1の斜材S1に沿って延在し、隣接する主柱材Pを連結するワイヤ4と、このワイヤ4の途中に設け当該ワイヤ4に張力を発生させる機械式の引き寄せ治具(図示せず)とを備えた構成になっている。また、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3のそれぞれには、図2(b)に示すように、隣接する主柱材Pの間隔を調整する機械式の間隔補正治具24が設けられている。
【0024】
また、図1で示す鉄塔T1は、平面視で正方形(あるいは長方形や他の多角形)の各頂点部位を基礎部として、4基(あるいは多数基)の主柱材Pを立ち上げ、それぞれの隣接する2基の主柱材Pを第1の斜材S1、第2の斜材S2、水平材H等の腹材によって連結したもので構成されている。そして、それぞれの隣接する2基の主柱材Pの間が鉄塔構面Aとなっている。なお、図1は、第1の斜材S1には引張荷重が作用し、第2の斜材S2には圧縮荷重が作用している鉄塔構面Aの図を示している。また、鉄塔T1は、主柱材Pが鋼管によって構成されたいわゆる鋼管鉄塔である。
【0025】
第1の斜材S1は、中間プレートMを介して二本のものが一直線に延在するように連結されており、その上方に位置する当該第1の斜材S1の上端部がガセットプレートP1を介して一方の主柱材Pに連結され、その下方に位置する当該第1の斜材S1の下端部がガセットプレートP1を介して他方の主柱材Pに連結されている。即ち、第1の斜材S1は、左から右に向って約45度の角度で漸次下方に変位するように傾斜している。また、第1の斜材S1は、ガセットプレートP1や中間プレートMに複数のボルト及びナットによって着脱可能に連結されている。なお、図1においては、ボルトBのみを符号を付して示す。
【0026】
また、第2の斜材S2は、左から右に向って約45度の角度で漸次上方に変位するように傾斜しており、この傾斜方向が異なる点を除いて、第1の斜材S1と同様に構成されている。
【0027】
更に、水平材Hについては、水平方向に延在する1本の部材によって形成されており、その中間部分が中間プレートMに溶接等により固定され、各端部がガセットプレートP1を介して各主柱材Pに連結されている。また、水平材HとガセットプレートP1との連結も複数のボルト及びナットによってなされている。この場合も、ボルトBのみを符号を付して図示する。
【0028】
下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3は、共に同一の構造のもので構成されている。従って、下側水平補強治具2を用いて、その構成を説明する。即ち、下側水平補強治具2は、図2に示すように、鋼管製の主柱材Pに取り付けることを目的として構成されたものであり、一方の主柱材Pとの連結を図る第1連結部材21と、他方の主柱材Pとの連結を図る第2連結部材22と、これらの第1連結部材21及び第2連結部材22に掛け渡される二本の連結バー23と、上述した間隔補正治具24とを備えている。
【0029】
第1連結部材21は、一方の主柱材Pの外周面を外側から挟んで圧迫することにより当該主柱材Pに固定された状態になる一対の固定部21aと、各固定部21aから突出する支持プレート21bと、各支持プレート21b上に設置して連結バー23を水平方向に安定的に支持するためのライナプレート21cと、各ライナプレート21c上に設置して連結バー23を軸方向に摺動自在に支持する軸受部21dとを備えている。
【0030】
各固定部21aは、半円弧状の筒体を備えたもので構成されており、各筒体を主柱材Pの外周面にあてがった上でこれらを複数のボルト及びナット(図2にはボルトBのみを示す)で連結することにより主柱材Pの外周面を圧迫し、当該主柱材Pとの連結が強固になされるようになっている。
【0031】
ライナプレート21cと軸受部21dは、共に、支持プレート21bに複数のボルト及びナット(図2にはボルトBのみを示す)で固定されるようになっている。そのライナプレート21cにより、軸受部21dにおける軸受孔の軸線が水平方向に保持され、当該軸受部21dによって、連結バー23を水平方向に摺動自在に支持することが可能になる。
【0032】
第2連結部材22は、図2及び図3に示すように、他方の主柱材Pの外周面を外側から挟んで圧迫することにより固定する一対の固定部22aと、各固定部22aから突出する支持プレート22bと、各支持プレート22b上に設置して連結バー23を水平方向に安定的に支持するためのライナプレート22cとを備えている。なお、第2連結部材22の固定部22a、支持プレート22b及びライナプレート22cは、第1連結部材21の固定部21a、支持プレート21b及びライナプレート21cと同様に構成され互換性を有するものとなっている。
【0033】
連結バー23は、複数の鋼管をその端部のフランジ部でボルト及びナットによって同軸状に連結することにより、その軸方向の長さが調整可能なものとなっており、その長手方向の一端部及び他端部にはブラケット23aが設けられている。この連結バー23は、二本のものが一方及び他方の主柱材Pを共に挟むようにして平行に配置することを可能にすべく、その一端部がブラケット23aを介して架橋材25に連結され、その他端部がブラケット23aを介して第2連結部材22の支持プレート22bにライナプレート22cを介して連結されている。また、一端部のブラケット23aと架橋材25とは複数のボルト及びナットによって連結されるようになっており、他端部のブラケット23aと、ライナプレート22cと、支持プレート22bとも複数のボルト及びナットで連結されるようになっている。なお、図2及び図3においては、ボルトBのみを符号を付して示す。
【0034】
また、連結バー23は、図2に示すように、長手方向の所定の部分が第1連結部材21の軸受部21dによって摺動自在に支持されるようになっており、架橋材25に連結された部分が一方及び他方の主柱材Pの間の外に位置するようになっている。
【0035】
ここで、一方のライナプレート21cは、第1連結部材21が所定の角度で傾斜する一方の主柱材Pに固定された状態において、連結バー23が軸受部21dによって水平方向に支持された状態となるように、その厚さが漸次所定の角度で変化するように形成されている。他方のライナプレート22cも同様に形成されている。但し、一方のライナプレート21cは、支持プレート21bと軸受部21dとの間に挿入することにより連結バー23を水平に支持するのに対して、他方のライナプレート22cは、第2連結部材22の支持プレート22bとブラケット23aとの間に挿入することによって連結バー23を水平に支持するようになっている。
【0036】
また、第1連結部材21の各支持プレート21bには、図2(b)に示すように、一方及び他方の主柱材Pの間の内側に対応する位置に第1貫通孔21eが形成されていると共に、当該主柱材Pの間の外側に対応する位置に第2貫通孔21fが形成されている。第2連結部材22の各支持プレート22bにも、第1連結部材21の各支持プレート21bと同様に、第1貫通孔22e及び第2貫通孔22fが形成されている。即ち、貫通孔21e、21f、22e、22fの点においても、第1連結部材21と第2連結部材22とは共通するものとなっている。
【0037】
また、架橋材25には、一方の主柱材P側に寄った位置に2つの貫通孔25aが形成されている。そして、それぞれ2つずつ設けられた貫通孔21e、21f、22e、22f、25aは、図2(b)に示す平面視において、第1連結部材21及び第2連結部材22の軸心を通る直線Cに対して対称となるように形成されている。
【0038】
間隔補正治具24は、第1連結部材21の各支持プレート21bと、第2連結部材22の各支持プレート22bとを、第1貫通孔21e、22eを利用して平行に連結する2本の内方ワイヤ24aを有し、第1連結部材21の各支持プレート21bと、架橋材25とを、第1貫通孔21f及び貫通孔25aを利用して連結する2本の外方ワイヤ24bを有し、更に各内方ワイヤ24aの途中に設けられた機械式の内方引き寄せ治具(図示せず)及び各外方ワイヤ24bの途中に設けられた機械式の外方引き寄せ治具(図示せず)を有している。
【0039】
内方引き寄せ治具は、各内方ワイヤ24aの途中に設けることによって第1連結部材21側の内方ワイヤ24a部分と、第2連結部材22側の内方ワイヤ24a部分とを引き寄せることにより、当該内方ワイヤ24aに張力を発生させると共に、機械式の逆動防止機能により、内方ワイヤ24aに発生した張力をそのまま維持し続けるようになっている。この内方引き寄せ治具としては、例えばレバーブロック、チェーンブロック、手巻きウインチ(ハンドウインチ)、手動チルホール、ターンバックル等のいずれかを使用することが可能である。
【0040】
外方引き寄せ治具は、各外方ワイヤ24bの途中に設けることによって架橋材25側の外方ワイヤ24b部分と、第1連結部材21側の外方ワイヤ24b部分とを引き寄せることにより、当該外方ワイヤ24bに張力を発生させると共に、機械式の逆動防止機能により、外方ワイヤ24bに発生した張力をそのまま維持し続けるようになっている。この外方引き寄せ治具としても、例えばレバーブロック、チェーンブロック、手巻きウインチ(ハンドウインチ)、手動チルホール、ターンバックル等のいずれかを使用することが可能である。
【0041】
一方、ワイヤ4は、図1に示すように、第1の斜材S1に沿って延在させるべく、その各端部を一方及び他方の主柱材Pのそれぞれに巻き付けることにより固定するようになっている。なお、この実施例においては、その交換対象の第1の斜材S1に交差するように設置されている第2の斜材S2についても交換対象とし、この第2の斜材S2に沿うようにワイヤ41を設けている。このワイヤ41は、想定外の引張荷重が第2の斜材S2の交換作業中にその第2の斜材S2に対応する部分に発生した場合でも、当該第2の斜材S2に代わってその引張荷重を受け持ち、鉄塔T1が不安定になるのを防止することを可能にしている。
【0042】
機械式の引き寄せ治具は、ワイヤ4の途中に設けることによって一方の主柱材P側のワイヤ4部分と、他方の主柱材P側のワイヤ4部分とを引き寄せることにより、当該ワイヤ4に張力を発生させると共に、機械式の逆動防止機能により、ワイヤ4に発生した張力をそのまま維持し続けるようになっている。この引き寄せ治具としても、例えばレバーブロック、チェーンブロック、手巻きウインチ(ハンドウインチ)、手動チルホール、ターンバックル等のいずれかを使用することが可能である。
【0043】
なお、他方のワイヤ41にも機械式の引き寄せ治具を設けて、当該ワイヤ41の張力を調整することを可能にしている。
【0044】
上記のように構成された鉄塔の腹材交換装置1においては、引張荷重が作用する交換対象の第1の斜材S1の下端側に対応する部位で、隣接する主柱材Pを下側水平補強治具2によって連結すると共に、当該第1の斜材S1の上端側に対応する部位で、隣接する主柱材Pを上側水平補強治具3によって連結し、かつ当該第1の斜材S1に沿ってワイヤ4を延在させて、当該ワイヤ4の各端部を隣接する各主柱材Pに連結する。また、第2の斜材S2に沿うようにワイヤ41を延在させて、そのワイヤ41の各端部を各主柱材Pに連結する。また、ワイヤ4、41の途中には機械式の引き寄せ治具を介在させておく。
【0045】
それから、ワイヤ4の途中に設けた機械式の引き寄せ治具で当該ワイヤ4に張力を加えることにより、当該張力が少なくとも各主柱材Pを介して第1の斜材S1に圧縮力として伝達することを利用して当該第1の斜材S1に作用する引張荷重を解除してから、当該第1の斜材S1を新たな第1の斜材S1に交換する。
【0046】
また、ワイヤ4に作用する張力が各主柱材P、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3を介して第2の斜材S2に引張力として伝達することを利用して、当該第2の斜材S2に作用する圧縮荷重を解除してから、当該第2の斜材S2を新たな第2の斜材S2に交換する。なお、第2の斜材S2を交換する際には、ワイヤ41に設けた引き寄せ治具を操作することにより、当該第2の斜材S2の交換に支障が生じない程度にワイヤ41に張力を作用させて、第2の斜材S2を交換する際の安全性を確保することが好ましい。
【0047】
一方、下側水平補強治具2や上側水平補強治具3に設けた間隔補正治具24を用いて隣接する主柱材Pの間隔を調整することによっても、第1の斜材S1や第2の斜材S2に作用する荷重を微妙に解除することが可能になる。ここで、隣接する主柱材Pの間隔を狭める場合には、外方引き寄せ治具によって外方ワイヤ24bの引き寄せを解除しながら、内方引き寄せ治具によって内方ワイヤ24aを引き寄せることになる。また、隣接する主柱材Pの間隔を広げるには、内方引き寄せ治具によって内方ワイヤ24aの引き寄せを解除しながら、外方引き寄せ治具によって外方ワイヤ24bを引き寄せることになる。
【0048】
また、水平材Hについても、ワイヤ4、41や、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3の内方ワイヤ24a及び外方ワイヤ24bに設けた引き寄せ治具の少なくとも一つを用いることによって、当該水平材Hに作用する荷重を解除してから、当該水平材Hを交換することになる。
【0049】
以上のように、ワイヤ4、41、24a、24bに加える張力は油圧によって得たものではなく、機械式の引き寄せ治具によって得たものであるので、そのまま放置した場合でも、第1の斜材S1に引張荷重が再び作用することになったり、第2の斜材S2に圧縮荷重が再び作用することになったりすることがない。即ち、腹材としての第1の斜材S1、第2の斜材S2、水平材H等にかかる荷重をワイヤ4、41、24a、24bで肩代わりした後はその状態を何等の操作をすることなく維持することができるので、当該第1の斜材S1等の腹材を新たなものに簡単に交換をすることができる。
【0050】
また、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3は各主柱材Pに連結する第1連結部材21及び第2連結部材22と、これらの連結部材21、22に掛け渡される連結バー23とを備え、各連結部材21、22は連結バー23を水平方向に安定的に支持するライナプレート21c、22cを備えているので、所定の傾斜角度で立設された主柱材Pに取り付ける場合でも、その主柱材Pの傾斜角度に応じた傾斜角度のライナプレート21c、22cを用いることにより、各連結バー23を水平状態に安定的に支持することができる。
【0051】
しかも、上述した水平方向成分荷重Wに対しては、一方及び他方の主柱材P、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3による四角形状の骨組み構造の対角方向に、張力を受け持つワイヤ4が入ることにより、2つの三角形からなるいわゆるプラット結構が構成されることになり、鉄塔T1を強固に補強することができる。このため、腹材の交換作業を極めて安全に行うことができる。また、仮に、上記水平方向成分荷重Wとは反対方向の荷重が作用した場合でも、今度はワイヤ41が張力を受け持つプラット結構が構成されることになるので、この点からも腹材の交換作業を極めて安全に行うことができる。
【実施例2】
【0052】
次に、本発明の実施例2を図4及び図5を参照して説明する。この実施例2で示す鉄塔の腹材交換装置11が実施例1で示した鉄塔の腹材交換装置1と異なる点は、下側水平補強治具6及び上側水平補強治具7が山形鋼の主柱材Lに取り付けることを目的として構成されている点である。なお、実施例1と共通する構成要素については極力説明を省略する。
【0053】
下側水平補強治具6及び上側水平補強治具7は、後述する第1連結バー61の長さが異なる点を除き、同一の構造のもので構成されている。従って、下側水平補強治具6のみについて、その構成を説明する。
【0054】
即ち、下側水平補強治具6は、図4及び図5に示すように、第1連結バー(連結バー)61と、第2連結バー(連結バー)62と、これらの第1連結バー61と第2連結バー62とを連結するための第1継手部材63、第2継手部材64及びスペーサ65と、第2連結バー62を他方の主柱材Lに固定するための連結部材66と、間隔補正治具67を備えている。
【0055】
第1連結バー61は、図5に示すように、山形鋼で形成されたものであり、一端部が一方の主柱材Lに複数のボルト及びナット(図にはボルトBのみを示す)によって連結されるようになっている。この場合、第1連結バー61の一端部は、そのL字状に屈曲する一方の外面61aを他方の外面61bに対して下方に下がる方向に向け、当該一方の外面61aを一方の主柱材Lの一内面に当接させた状態で、当該主柱材Lにボルト及びナットで固定されるようになっている。なお、第1連結バー61は、一方の主柱材Lに固定された状態において、その他方の外面61bが上方を向いた状態になっている。
【0056】
第2連結バー62は、第1連結バー61と断面形状及び断面寸法が同一の山形鋼によって形成されたものであり、その長手方向の中間部に形成された3つの長孔62cのそれぞれを介して連結部材66にボルトB及びナットNで連結されるようになっている。この場合、第2連結バー62は、一方の外面62aを他方の外面62bに対して上方に上る方向に向け、その一方の外面62aを他方の主柱材Lの一外面に当接させた状態で、当該他方の主柱材Lに連結部材66を介して固定されるようになっている。
【0057】
なお、第2連結バー62は、連結部材66を介して他方の主柱材Lに固定された状態において、その他方の外面62bが下方を向いた状態になっていると共に、一方の主柱材Lに固定された第1連結バー61における上方を向く他方の外面61bと高さ方向において同一レベルとなっている。また、第1連結バー61の他端部と第2連結バー62の一端部とは、平行にずれた状態でオーバーラップした状態になっている。
【0058】
そして、そのオーバーラップした部分については、図5(c)に示すように、第1連結バー61の一方の外面61aと、第2連結バー62の一方の外面62aとが主柱材Lの平板部の厚さ分だけ間隔があいた状態になることから、その間隔部分にスペーサ65を挿入した上で、第1継手部材63及び第2継手部64を用いて、第1連結バー61と第2連結バー62とを複数のボルト及びナット(図にはボルトBのみを示す)で連結するにようになっている。これにより、第1連結バー61と第2連結バー62とは一本の連結バーの状態になる。
【0059】
第1継手部材63及び第2継手部64は、第1連結バー61と断面形状及び断面寸法が同一の山形鋼によって形成されている。スペーサ65は、主柱材Lの平板部の厚さと同一の厚さの鋼板によって形成されている。
【0060】
連結部材66は、図5(d)及び(e)に示すように、第2連結バー62と断面形状及び断面寸法が同一の山形鋼によって形成されたものであり、その長手方向の中央部を他方の主柱材Lに複数のボルト及びナット(図にはボルトBのみを示す)で連結されるようになっている。この場合、連結部材66は、一方の外面66aを他方の外面66bに対して下方に下がる方向に向け、当該一方の外面66aを他方の主柱材Lの一外面に当接させた状態で当該他方の主柱材Lにボルト及びナットで固定されるようになっている。そして、連結部材66は、他方の外面66b上に第2連結バー62の他方の外面62bを載置させた状態で、その第2連結バー62に形成された各長孔62c及び連結部材66に形成された各貫通孔66cに挿入するボルトB及びこのボルトに螺合するナットNによって、第2連結バー62を固定的に支持するようになっている。
【0061】
また、第2連結バー62の他端部には、図5(a)及び(f)に示すように、第2連結バー62と断面形状及び断面寸法が同一の山形鋼によって形成されたブラケット68が設けられている。このブラケット68は、一方の外面68aを他方の外面68bに対して下方に下がる方向に向け、他方の外面68bを第2連結バー62の他方の外面62bに当接させた状態でボルトB及びナットNによって、当該第2連結バー62に固定されるようになっている。また、ブラケット68は、その一方の外面68aが第2連結バー62の一方の外面62aと同一面状となるように、当該第2連結バー62に固定されるようになっている。
【0062】
そして、図5(a)に示すように、第1連結バー61にはその他端部に貫通孔61hが形成され、連結部材66にはその一端部及び他端部に貫通孔66h、66iがそれぞれ形成され、ブラケット68にはその一端部に貫通孔68hが形成されている。貫通孔61h、66h、66i、68hは、それぞれ第1連結バー61、連結部材66及びブラケット68の一方の外面61a、66a、68aとして符号を示した平板部に設けられている。
【0063】
間隔補正治具67は、第1連結バー61と連結部材66とを、貫通孔61h、66hを利用して連結する1本の内方ワイヤ67aを有し、連結部材66とブラケット68とを、貫通孔66i及び貫通孔68hを利用して連結する1本の外方ワイヤ67bを有し、更に各内方ワイヤ67aの途中に設けられた機械式の内方引き寄せ治具(図示せず)及び各外方ワイヤ67bの途中に設けられた機械式の外方引き寄せ治具(図示せず)を有している。
【0064】
内方引き寄せ治具は、各内方ワイヤ67aの途中に設けることによって第1連結バー61側の内方ワイヤ67a部分と、連結部材66側の内方ワイヤ67a部分とを引き寄せることにより、当該内方ワイヤ67aに張力を発生させると共に、機械式の逆動防止機能により、内方ワイヤ67aに発生した張力をそのまま維持し続けるようになっている。この内方引き寄せ治具としては、上述した引き寄せ治具と同様にレバーブロック等を使用することが可能である。
【0065】
外方引き寄せ治具は、各外方ワイヤ67bの途中に設けることによって連結部材66側の外方ワイヤ67b部分と、ブラケット68側の外方ワイヤ67b部分とを引き寄せることにより、当該外方ワイヤ67bに張力を発生させると共に、機械式の逆動防止機能により、外方ワイヤ67bに発生した張力をそのまま維持し続けるようになっている。この外方引き寄せ治具としても、上述した引き寄せ治具と同様にレバーブロック等を使用することが可能である。
【0066】
また、山形鋼からなる主柱材Lを備えた鉄塔T2は、図4に示すように、第1の斜材S1や第2の斜材S2等の腹材についても山形鋼で形成されている。各腹材は、ガセットプレートを介さずに各主柱材Lにボルト及びナットによって連結されるようになっている。
【0067】
上記のように構成された鉄塔の腹材交換装置11において、隣接する主柱材Lの間隔を狭める場合には、まず第2連結バー62と連結部材66との連結状態を、これらを連結するボルトB及びナットNによって緩める。これにより、第2連結バー62が連結部材66上を各長孔62cの長手方向に移動可能となる。そして、外方引き寄せ治具によって外方ワイヤ67bの引き寄せを解除しながら、内方引き寄せ治具によって内方ワイヤ67aを引き寄せる。また、隣接する主柱材Pの間隔を広げるには、内方引き寄せ治具によって内方ワイヤ67aの引き寄せを解除しながら、外方引き寄せ治具によって外方ワイヤ67bを引き寄せることになる。
【0068】
また、ワイヤ4、内方ワイヤ67a及び外方ワイヤ67bの引き寄せ等の調整により、第1の斜材S1、第2の斜材S2及び水平材Hに加わる荷重が解除された後は、第2連結バー62と連結部材66とをボルトB及びナットNによって確実に連結した上で、第1の斜材S1等を交換することになる。
【0069】
また、図4に示す鉄塔T2は、第1の斜材S1、第2の斜材S2及び水平材Hの他に複数の腹材を備えた構成になっているが、第1の斜材S1、第2の斜材S2及び水平材Hを交換する際に、他の複数の腹材についても交換することができる。
【0070】
更に、鉄塔T2は、図4に示すように、山形鋼鉄塔からなるものであることから、その左側の主柱材Lである一方の主柱材Lから右に向って上昇する腹材としての第2の斜材S2は、その下端部が一方の主柱材Lの外面に固定されことになる。また、右側の他方の主柱材Lから左に向って上昇する腹材としての第1の斜材S1は、その下端部が他方の主柱材Lの内面に固定されることになる。一方、下側水平補強治具6及び上側水平補強治具7は、第1連結バー61の一端部が一方の主柱材Lの内面に固定され、第2連結バー62が連結部材66を介して他方の主柱材Lの外面に固定されるようになっている。従って、下側水平補強治具2及び上側水平補強治具3は、第1の斜材S1や第2の斜材S2の下端部の少し上側に設けることで、これらの第1の斜材S1や第2の斜材S2との緩衝を避けながら各主柱材Lに確実に固定することができる。
【0071】
しかも、第1連結バー61や第2連結バー62は、主柱材Lの内面や外面に沿って延在する山形鋼によって形成されているので、鉄塔T2からの突出量を極力抑えることができる。従って、水平補強治具6、7としては、コンパクトで軽量なものを得ることができる。しかも、鉄塔T2の構成部材と同様の山形鋼を用いて、第1連結バー61や第2連結バー62等を構成しているので、堅固な水平補強治具6、7を得ることができる。
【0072】
その他、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0073】
なお、上記各実施例においては、外力として水平方向成分荷重Wが作用する場合を示したが、上述したプラット結構によって鉄塔を補強することが可能な方向の外力であれば水平方向成分荷重に限らず他の方向の外力であっても、鉄塔を有効に補強しながら、腹材を交換することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、11 鉄塔の腹材交換装置
2、6 下側水平補強治具
3、7 上側水平補強治具
4 ワイヤ
21 第1連結部材(連結部材)
21c、22c ライナプレート
22 第2連結部材(連結部材)
23 連結バー
61 第1連結バー(連結バー)
62 第2連結部材(連結バー)
66 連結部材
A 鉄塔構面
L、P 主柱材
S1 第1の斜材
S2 第2の斜材
T1、T2 鉄塔
W 水平方向成分荷重(外力)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて隣接する主柱材を連結する腹材としての傾斜方向の異なる第1の斜材及び第2の斜材を少なくとも有し、外力の作用によって前記第1の斜材には引張荷重が作用し、前記第2の斜材には圧縮荷重が作用する鉄塔構面における前記第1の斜材及び前記第2の斜材の交換を少なくとも可能にするための鉄塔の腹材交換方法であって、
前記第1の斜材の下端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を下側水平補強治具によって連結すると共に、当該第1の斜材の上端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を上側水平補強治具によって連結し、かつ当該第1の斜材に沿って延在するワイヤによって前記隣接する主柱材を連結した後、
前記ワイヤの途中に設けた機械式の引き寄せ治具で当該ワイヤに張力を加えることにより、当該張力が少なくとも前記各主柱材を介して前記第1の斜材に圧縮力として伝達することを利用して当該第1の斜材に作用する前記引張荷重を解除してから、当該第1の斜材を新たな第1の斜材に交換し、
前記ワイヤに作用する張力が前記各主柱材、前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具を介して前記第2の斜材に引張力として伝達することを利用して当該第2の斜材に作用する前記圧縮荷重を解除してから、当該第2の斜材を新たな第2の斜材に交換することを特徴とする鉄塔の腹材交換方法。
【請求項2】
前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具のそれぞれに設けた機械式の間隔補正治具によって前記隣接する主柱材の間隔を調整することによっても、前記第1の斜材及び前記第2の斜材のそれぞれに作用する前記引張荷重及び前記圧縮荷重を解除することを特徴とする請求項1に記載の鉄塔の腹材交換方法。
【請求項3】
間隔をおいて隣接する主柱材を連結する腹材としての傾斜方向の異なる第1の斜材及び第2の斜材を少なくとも有し、外力の作用によって前記第1の斜材には引張荷重が作用し、前記第2の斜材には圧縮荷重が作用する鉄塔構面における前記第1の斜材及び前記第2の斜材の交換を少なくとも可能にするための鉄塔の腹材交換装置であって、
前記第1の斜材の下端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を連結する下側水平補強治具と、
前記第1の斜材の上端側に対応する部位で前記隣接する主柱材を連結する上側水平補強治具と、
前記第1の斜材に沿って延在し、前記隣接する主柱材を連結するワイヤと、
前記ワイヤの途中に設け当該ワイヤに張力を発生させる機械式の引き寄せ治具とを備えてなることを特徴する鉄塔の腹材交換装置。
【請求項4】
前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具のそれぞれには、前記隣接する主柱材の間隔を調整する機械式の間隔補正治具が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の鉄塔の腹材交換装置。
【請求項5】
前記下側水平補強治具及び前記上側水平補強治具は、前記各主柱材に連結する連結部材と、各連結部材に掛け渡される連結バーとを備えてなり、
前記連結部材は、前記連結バーを水平方向に安定的に支持するライナプレートを備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の鉄塔の腹材交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−256623(P2011−256623A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132783(P2010−132783)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(306033025)日本鉄塔工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】