説明

鉄道旅客向け情報案内装置

【課題】駅を利用する利用者全てが、その駅頭にて現時点における到達可能な駅を視覚的に確認できる鉄道旅客向け情報案内装置を提供する。
【解決手段】本発明の鉄道旅客向け情報案内装置は、駅の利用者に視認可能な位置に配置された鉄道旅客向け情報案内装置であり、鉄道における駅及びその駅間を結ぶ接続線からなる複数の路線からなる路線図を表示する表示部と、列車毎に、路線を示す走行線区、列車の運行種別、停車する駅への到着時刻及び出発時刻を記憶するデータベースと、設定される出発駅から到達可能な駅を、出発駅から出発する列車毎に時刻表データベースから検索する到達可能性演算部と、設定された出発駅から到達できる駅までを結ぶ接続線である到達可能接続線と、到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変え、路線図に表示する表示制御装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置されている駅から出発する終電の情報を、鉄道利用者に対し通知する鉄道旅客向け情報案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の駅に設けられている終電案内表示は、駅頭におけるスペース面での制約から当該駅周辺の線区のみ、あるいは周辺の主要駅のみに対し、終電までに到達するための最終出発時刻や経路を文字情報にて掲載している。
したがって、各駅を利用する全ての旅客に対し、有用な終電情報が記載されているわけでは無く、視認性も低い掲示となっており、自身の行きたい駅への経路を直感的に把握することが難しい。
【0003】
そのため、携帯パーソナルコンピュータや携帯電話を用い、インターネットの終電検索において、各利用者の出発駅と目的地駅を入力することにより、目的地駅への終電の時間及びその乗り継ぎ経路を表示するサービスが提供されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】乗り換え案内、http://ekitan.com/、2000年1月16日に検索
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1等の経路検索サービスは、終電の電車の検索作業を行うために、文字情報を入力する必要があり、時間や手間がかかることになる。
また、上記経路検索サービスは、検索結果として目的地駅に到達できない場合、自身の行きたい場所への代替手段の再検討において、代替の目的地駅を順次、個々に入力し、再検索を繰り返す必要があり、到達可能な駅の範囲が明確でない場合に非常に煩雑な検索を強いられる欠点がある。
また、上記経路検索サービスは、経路検索するためのツールである携帯パーソナルコンピュータや携帯電話を有している、あるいはサービスに登録している利用者しか使用できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、駅を利用する利用者全てが、その駅頭にて現時点における到達可能な駅を視覚的に確認できる鉄道旅客向け情報案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉄道旅客向け情報案内装置は、駅の利用者に視認可能な位置に配置された鉄道旅客向け情報案内装置であり、鉄道における駅及びその駅間を結ぶ接続線からなる複数の路線からなる路線図を表示する表示部と、列車毎に、路線を示す走行線区、列車の運行種別、停車する駅への到着時刻及び出発時刻を記憶するデータベースと、設定される出発駅から到達可能な駅を、該出発駅から出発する列車毎に時刻表データベースから検索する到達可能性演算部と、設定された出発駅から到達できる駅までを結ぶ接続線である到達可能接続線と、到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変え、前記路線図に表示する表示制御装置とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の鉄道旅客向け情報案内装置は、前記到達可能性演算部が、出発駅から発車する列車のなかから、現在時刻から設定された乗車時間内に乗車しないと、前記路線図のいずれかの駅に到達できなくなる終発時刻となる終発列車を、前記データベースから検索することを特徴とする。
【0008】
本発明の鉄道旅客向け情報案内装置は、表示制御装置が、前記最終列車の走行する駅間を結ぶ接続線である終電接続線と、前記到達可能接続線及び到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変え、前記路線図に表示することを特徴とする。
【0009】
本発明の鉄道旅客向け情報案内装置は、前記到達可能性演算部が、発駅から出発する列車に乗車しても、前記路線図におけるいずれかの駅に到達できない駅が発生する時刻に対し、予め設定した時間前の案内開始時刻となったことを検出すると、到達可能な駅の検索を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の鉄道旅客向け情報案内装置によれば、利用者が個々に携帯電話などにより終電の検索を行うことなく、駅を利用する利用者全てが、現時点における到達可能な駅と、到達可能な駅への最適経路が表示された表示装置により、駅頭においてこれらの情報を視覚的に確認できるため、的確に自身の乗る電車を確認できるという効果が得られる。
また、本発明の鉄道旅客向け情報案内装置によれば、表示部に表示される路線図が一定範囲の領域(例えば、首都圏)における全駅に対応した案内であり、視覚的に到達範囲の駅が確認できるため、目的地駅へ到達できない場合の代替手段についての検討を容易とすることができる。
【0011】
また、本発明の鉄道旅客向け情報案内装置によれば、終発時刻(目的地駅に終電までに到着するため、出発駅を出発する最も遅い時刻)が迫っている列車が終電として到達する駅に対して接続する接続線からなる路線を、他の接続線と異なる色及び線種を用いることにより強調し、利用者に通知するため、一刻を争う状態においても、携帯電話等のように検索に時間がかからず、終発時刻に発車する列車に乗り過ごすことが無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による鉄道旅客向け情報案内装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態による鉄道旅客向け情報案内装置の構成例を示すブロック図である。
この図において、本実施形態における鉄道旅客向け情報案内装置は、駅頭などに設けられ、駅の利用者に視認可能な位置に配置された鉄道旅客向け情報案内装置であり、表示部1、表示制御部2、到達可能性演算部3及びデータベース4を有している。
表示部1は、鉄道における駅及びその駅間を結ぶ接続線からなる複数の路線からなる路線図を、図2及び図3に示すように表示する。図2及び図3は、首都圏の各路線(山手線、中央線、総武線、武蔵野線、東海道本線等)を示すものである。ここで、路線は、上述したように山手線や中央線などの走行線区であり、走行線区内に属する駅と、この各駅を結ぶ線路を擬似的に示した接続線とから構成されている。上記図2及び図3において、太い実線が到達可能な駅を結ぶ路線を示し、太い破線が次に発車する列車に乗らないと、到達できなくなる駅を結ぶ路線を示し、細い実線がすでに到達不可能な駅を結ぶ路線を示している。
【0013】
データベース4には、上記路線図に記載されている各路線を走行する列車毎に、列車を識別する列車IDに対応させて、走行する路線(走行線区)名、普通・急行・特急の運行種別と、停車する各駅への到着時刻及び出発時刻とを示す時刻表データが記憶されている。 また、データベースには、時刻表データにおける2以上の複数の路線が交差する駅において、それぞれの路線の駅が異なる名称(例えば、新宿を例にとると、中央線新宿駅、山手線新宿駅、埼京線新宿駅など)にて識別されて記憶され、これらの駅間の移動時間が記憶されている。すなわち、本実施形態においては、これら同一の駅にて乗り換える必要がある際、線路は存在していないが仮想の路線にて仮想の列車を走行させる。そして、実際には徒歩の移動時間であるが、この駅間を利用者が徒歩にて移動した場合にかかる平均移動時間を、この駅間を仮想の列車が走行する走行時間として、実在の路線と同様に、本実施形態の情報案内装置にて、到達可能計算の処理を行っている。したがって、この仮想の列車の走行時間が、乗り換えに必要な時間として、利用者には認識されることとなる。
到達可能性演算部3は、終発時刻の列車を検索する対象として設定した「出発駅から出発する列車が終電として到達可能な」駅を、該出発駅から出発する列車毎に上記データベース4から検索し、上記列車が出発駅を出発する時刻を終発時刻とする到達可能計算を行う。
【0014】
表示制御部2は、上記表示部に対して路線図を表示する制御を行う際、設定された出発駅から到達できる駅までを結ぶ接続線である到達可能接続線と、到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変えて、上記路線図を表示部1に表示する。
また、上記到達可能性演算部3は、出発駅から発車する列車のなかから、現在時刻から設定された乗車時間内に乗車しないと、表示部1に表示された路線図のいずれかの駅に到達できなくなる終発時刻となる終発列車を、データベース4から検索する。
【0015】
また、到達可能性演算部3は、出発駅から発車する列車のなかから、表示部3に表示された路線図のいずれかの駅に到達できなくなる、出発駅を次に出発する終発時刻となる終発列車を、データベース4から検索する。
そして、表示制御装置2は、到達可能性演算部3の求めた最終列車の走行する駅間を結ぶ接続線である終電接続線と、到達可能接続線及び到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変えて、表示部1に路線図を表示する。
【0016】
上述した終発列車の検索処理において、到達可能性演算部3は、予め設定した起動時間となると起動するよう設定されている場合、検出された終発時刻に出発する終発列車が到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線を示す接続線情報を表示制御部2に出力する。
あるいは、到達可能性演算部3は、継続的に到達可能な駅の検索動作をしており、出発駅から出発する列車に乗車しても、表示部1に表示される路線図におけるいずれかの駅にも到達できなくなる終発時刻に対し、予め設定した時間前の案内開始時刻となったことを検出した場合、検出された終発時刻に出発する終発列車が到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線を示す接続線情報を表示制御部2に出力する。
【0017】
図1、図2、図3、図4、図5及び図6を用いて、本実施形態による鉄道旅客向け情報案内装置の動作を説明する。図4及び図5は本実施形態による鉄道旅客向け情報案内装置の動作例を示すフローチャートである。図6は、図4及び図5のフローチャートにおける到達可能性演算の動作例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、出発駅から路線図に記載されたある駅に行く列車の終発時刻が近づいたことを示す終発接近警告を通知する終発接近警告基準を、n分以内に終発時刻となることと設定した場合の処理の流れであり、到達可能性演算部3は、終発時刻のn分前の時刻に終発接近警告を通知することになる。
【0018】
また、図5のフローチャートは、出発駅から路線図に記載されたある駅に行く列車の終発時刻が近づいたことを示す終発接近警告を通知する終発接近警告基準を、次に出発する列車の発車時刻が終発時刻となることと設定した場合の処理の流れであり、到達可能性演算部3は、終発となる列車の直前に出発した列車の発車時刻から、設定された時間の経過後、例えば1分経過後に終発接近警告を通知することになる。
上述した到達可能計算は、出発駅に接続した全ての路線を走行する列車に対して行い、また、上記路線の駅に接続した全ての路線、すなわち出発駅から路線図上に記載されている各駅及び各路線を経由して到達できる路線図に表示された駅すべてに対して行う。
【0019】
<終発接近警告基準をn分以内に終発時刻とした場合の図4のフローチャートの説明>
鉄道旅客向け情報案内装置のシステムが起動されると、到達可能性演算部3は現在時刻が予め設定されている案内開始時刻と一致したか否かを一定周期(例えば、1分毎)にて比較することにより検出し(ステップS1)、一致したことを検出した場合に処理をステップS2へ進め、一致していないことを検出した場合に処理をステップS1に戻す。
【0020】
到達可能性演算部3は、案内開始時刻からn分先までの時刻の到達可能計算を1分単位にn+1回行い、それぞれの計算結果毎に、データベース4に対して、到達可能な駅に対して到達可否フラグを「可」と設定し、到達不可能な駅に対して到達可否フラグを「否」と設定する(ステップS2)。ここで、データベース4には、時刻表データとは別に、到達可能駅テーブルとして各路線の各駅毎にn+1個の各フラグが設けられている。
到達可能性演算部3は、上記到達可能計算の過程において、終発接近警告フラグを可とした目的地駅と、出発駅からの路線でなく他の路線に乗り換える必要がある場合には乗換駅と、乗り換える路線と、出発駅から目的地駅に到達するために乗る必要がある列車の終発時刻とを、データベース4の時刻表データから検出し、駅単位に計算結果毎に記憶させる。
そして、到達可能性演算部3は、表示時刻を案内開始時刻、すなわち現在時刻として、表示制御部2を介して表示部1に表示する(ステップS3)。
【0021】
次に、到達可能性演算部3は、上記到達可能駅テーブルを参照し、到達可否フラグが「可」となっている駅の有無を検出し(ステップS4)、到達可否フラグが「可」となっている駅を検出した場合、処理をステップS5へ進め、到達可否フラグが「可」となっている駅が検出されない場合、システムの動作を終了させる。
【0022】
到達可否フラグが「可」となっている駅を検出すると、到達可能性演算部3は、到達可否フラグが「可」となっている駅を到達可能範囲に設定する(ステップS5)。
次に、到達可能性演算部3は、到達可能駅テーブルを参照し、到達可否フラグが「可」である駅のなかから、表示時刻のn分後において到達可否フラグが「否」である、すなわち到着不可能となる駅を検出し、その駅の終発接近警告フラグを可とする(ステップS6)。
【0023】
そして、到達可能性演算部3は、到着可能な駅及びその駅間の到達可能接続線を示す情報と、到着可能であるが終発接近警告を通知する必要のある駅及びその駅間の終電接続線を示す情報とからなる路線図表示情報を、表示制御部2に対して送信する。
また、到達可能性演算部3は、終発接近警告フラグが可である駅に対応した上記乗換駅、乗り換える路線、列車の終発時刻を文字データとして、表示制御部2へ出力する。
【0024】
上記路線図表示情報を入力することにより、表示制御部2は、上記到達可能接続線、終電接続線及びすでに到達できない駅間を結ぶ到達不可能接続線各々を、路線図における表示する色または線種のいずれかまたは双方を変更し、図2に示すように、表示部1に表示する(ステップS7)。
例えば、図2において、出発駅は中央線の立川駅であり、表示時刻が23時31分時点の表示部1に表示された路線図を示している。ここで、表示制御部2は、到達可能性演算部3から入力する表示時刻を、表示部1に表示している。この時点において八高線は到達不可能接続線の色で表示され、川越線及び京葉線などが終電接続線として表示部1に表示されている。
また、表示制御部2は、路線図とともに、終発対象となる各駅と、途中の乗り換え駅と、出発駅からの終発時刻、すなわち終電で到達できる各駅への最終連絡の列車情報を文字データにより、表示部1に表示する。
【0025】
そして、到達可能性演算部3は、表示時刻から現在時刻が1分経過すると、表示時刻を現在時刻とする(ステップS8)。
次に、到達可能性演算部3は、表示時刻からn分後における到達可能計算を、ステップS2の到達可能計算と同様に行い、計算後に、データベース4に対して、到達可能な駅に対して到達可否フラグを「可」と設定し、到達不可能な駅に対して到達可能可否フラグを「否」と設定し、かつ到達可能な駅においてn分後に到達不可能となっている駅に対して終発接近警告フラグを可と設定し(ステップS9)、処理をステップS4へ進める。
【0026】
そして、到達可能性演算部3は、すでに述べたように、到達可否フラグが可である駅の有無を確認し(ステップS4)、到達可否フラグが可である駅を到達可能範囲に設定し(ステップS5)、到達可否フラグが可である駅のなかで、終発接近警告フラグが可である駅を終発接近警告範囲に設定する(ステップS6)。
そして、到達可能性演算部3は、到達可能な駅及びその駅間の到達可能接続線を示す情報と、到達可能であるが終発接近警告を通知する必要のある駅及びその駅間の終電接続線を示す情報とからなる路線図表示情報を、表示制御部2に対して送信する。
【0027】
これにより、表示制御部2は、終発時刻となり終発接近警告範囲に到達可能な列車が発車したため、新たな到達可能範囲に設定された駅及び駅間の接続線と、終発接近警告範囲に設定された駅及び駅間の接続線の図2の表示を、新たに到達可能性演算部3から受信した情報により図3の表示に変更する。
例えば、図2において、武蔵野線の武蔵浦和から南越谷が終発接近警告範囲の駅として設定されていたが、図3においてはそれらの駅へ到達する終電に接続可能な終発列車が出発駅から発車したため、到達不可能な駅となり、経路(駅間を接続する接続線)が到達不可能接続線の色及び線種にて表示されている。また、図2においては東京から蘇我までの京葉線の全駅が終発接近警告範囲となっているが、図3においては全ての駅が到達不可能となっているため、経路が到達不可能接続線の色及び線種にて表示されている。
上述したように、到達可能性演算部3は、到達可否フラグが可である駅が存在する限り、ステップS4からステップS9の処理を繰り返し行う。
【0028】
<終発接近警告基準を次発が終発時刻とした場合の図5のフローチャートの説明>
終発接近警告基準を次発が終発時刻とした図5のフローチャートを以下に説明するが、図4のフローチャートと同様な処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略し、図4のフローチャートと異なるステップS12、S16、S19に付いて詳述する。
ステップS1にて到達可能計算を開始すると、到達可能性演算部3は、案内開始時刻及び各方面への次発列車それぞれの発車時刻の1分後について到達可能計算を行う(ステップS12)。このとき、到達可能性演算部3は、図4のステップS2と同様の到達可能計算を行う。また、到達可能性演算部3は、データベース4の到達可能駅テーブルにおいて、図4のフローチャートにおける演算と同様に、各フラグに対して到達可能計算の結果を書き込む。
【0029】
そして、到達可能性演算部3は、ステップS5において、到達可否フラグが可の駅を到達可能範囲に設定すると、到達可否フラグが可であり、かつそのとき出発駅(案内起点駅)から乗るべき列車が終発列車となる、すなわちその列車の発車時刻の1分後において到達可否フラグが否となっている駅を抽出し、その駅を終発接近警告範囲に設定する(ステップS16)。
【0030】
次に、到達可能性演算部3は、ステップS8において、表示時刻が現在時刻に変更されると、この現在時刻に起点駅を発車する列車の有無を検出し(ステップS20)、現在時刻に起点駅を発車する列車が検出されない場合、1分経過後に処理をステップS8へ進め、一方、現在時刻に起点駅を発車する列車を検出した場合、到達可能計算を発車した列車の次の列車の発車時刻の1分後について行う(ステップS19)。このとき、到達可能性演算部3は、図4のステップS9と同様の到達可能計算を行う。
【0031】
<図4及び図5における到達可能計算の処理を示す図6のフローチャートの説明>
到達可能性演算部3は、データベース4の到達可能駅テーブルにおいて、案内起点駅(出発駅)に対して到達可否フラグを可とし、最速着時刻を計算開始時刻とし、最終乗換駅を無しとし、最終乗車列車を無しとし、処理済みフラグを未了とする(ステップS21)。
次に、到達可能性演算部3は、データベース4の到達可能駅テーブルにおいて、路線図に記載されている対象駅の全てに対し、到達可否フラグを否(不可)とし、最速着時刻をその駅への終電到着より後(例えば、1分後)の時刻とし、最終乗り換え駅を無しとし、最終乗車列車(起点駅を出発する終発時刻の列車)を無しとし、処理済みフラグを未了とする(ステップS22)。
【0032】
次に、到達可能性演算部3は、到達可能計算を行う起点駅を案内起点駅とし、この起点駅を出発し、各路線図上における対象駅に対する到達可能計算を開始する(ステップS23)。
起点駅を設定すると、到達可能性演算部3は、到達可能計算を開始した計算開始時刻以降に、起点駅を出発する列車の有無を、データベース4の起点駅の時刻表データの出発時刻と、計算開始時刻とを比較し、計算開始時刻に比較して遅い出発時刻の列車の有無を検出することにより判定する(ステップS24)。
そして、到達可能性演算部3は、計算開始時刻以降に起点駅を出発する時刻の列車が存在することを検出すると、その全ての列車を一旦内部に記憶した後に処理をステップS25へ進め、一方、計算開始時刻以降に起点駅を出発する列車が存在しないことを検出すると、処理をステップS33へ進める。
【0033】
計算開始時刻以降に起点駅を出発する列車が存在する場合、到達可能性演算部3は、内部に記憶した列車を起点駅の出発時刻の早い順にソートして並べた列車の配列を生成する(ステップS25)。ここで、この配列は、列車の列車IDと出発時刻とが対応し、出発時刻の早い順に並んでいる。
次に、到達可能性演算部3は、上記配列において、走行線区・種別及び行き先(最終到着駅)が全て同一の列車が2以上の複数存在するか否かを、データベース4の時刻表データから各列車を検索することにより検出し(ステップS26)、配列中の列車に走行線区・種別及び行き先が同一の列車が複数存在する場合、処理をステップS28へ進め、配列中の列車に走行線区・種別及び行き先が同一の列車が複数存在しない場合、処理をステップS27へ進める。
【0034】
配列中の列車に走行線区・種別及び行き先が同一の列車が複数存在する場合、到達可能性演算部3は、走行線区・種別及び行き先が同一の列車を出発時間が最も早い1本目の列車のみを残し、2本目以降の列車(列車の列車ID)を全て削除し、処理をステップS27へ進める(ステップS28)。
そして、到達可能性演算部3は、上記配列において、この配列の先頭の列車を計算対象の対象列車とする(ステップS27)。
【0035】
次に、到達可能性演算部3は、対象列車の停車駅を、この対象列車の列車IDに対応してデータベース4の時刻表データから1つ選択し(例えば、走行線区の駅の配列順に選択)、到達可能駅テーブルにおけるこの選択した停車駅の到達可否フラグを可に書き換え、該駅の未抽出フラグを否とし(ステップS29)、処理をステップS30へ進める。
【0036】
そして、到達可能性演算部3は、上記対象列車に対応して抽出した駅の到着時刻が、すでに到達可能駅テーブルに設定されているこの駅の最速着時刻より早いか否かを検出する(ステップS30)。このとき、到達可能性演算部3は、到達可能駅テーブルに設定されている最速着時刻が上記到着時刻より遅い場合、ステップS31へ処理を進め、一方、到達可能駅テーブルに設定されている最速着時刻が上記到着時刻より早いかまたは同時の場合、ステップS32へ処理を進める。
【0037】
次に、到達可能性演算部3は、到達可能駅テーブルにおいて、上記選択した駅の最速着時刻を、対象列車のその駅の到着時刻に変更し、最終乗換駅を起点駅とし、最終乗車列車を対象列車とし、処理をステップS32へ進める(ステップS31)。
そして、到達可能性演算部3は、時刻表データから対象列車の列車IDに対応した停車駅を全て読み出し、読み出した駅それぞれを到達可能駅テーブルにおいて検索し、読み出した駅から未抽出フラグが可である駅の有無を検出し(ステップS32)、未抽出フラグが可である駅が存在する場合、未抽出フラグが可である駅のいずれかを選択し、処理をステップS29へ進め、一方、全ての駅の未抽出フラグが否である場合、処理をステップS37へ進める。
次に、到達可能性演算部3は、現在の対象列車が配列において末尾となっているか否かを検出する(ステップS37)。ここで、到達可能性演算部3は、現在の対象列車が配列の末尾となっている場合、処理をステップS33へ進める。
一方、到達可能性演算部3は、現在の対象列車が配列の末尾となっていない場合、対象列車を配列において現在の対象列車の次となっている列車とし(ステップS38)、処理をステップS29へ進める。
【0038】
対象列車の走行する走行線区において未抽出の駅が無ければ、到達可能性演算部3は、起点駅の処理済みフラグを了に変更し、処理をステップS34へ進める(ステップS33)。
次に、到達可能性演算部3は、到達可否フラグが可であり、かつ処理済みフラグが未了である駅が存在するか否かの検出を、到達可能駅テーブルを参照して行う(ステップS34)。
このとき、到達可能性演算部3は、到達可否フラグが可であり、かつ処理済みフラグが未了である駅が到達可能駅テーブルに存在する場合、処理をステップS35へ進め、一方、到達可否フラグが可であり、かつ処理済みフラグが未了である駅が到達可能駅テーブルに存在しない場合、到達可能計算の処理を終了する。
【0039】
次に、到達可能性演算部3は、到達可能駅テーブルにおいて、到達可否フラグが可であり、かつ処理済みフラグが未了である駅のなかから、最速着時刻が最も早い駅を検出し、その駅を新たな起点駅として抽出し、その駅の最速着時刻を計算開始時刻として、処理をステップS24へ進める(ステップS35)。
【0040】
上述したように、本実施形態の鉄道旅客向け情報案内装置は、案内起点駅から出発する終発列車及び目的地駅への乗換駅の情報を、終発時刻以前に旅客に対して通知するため、各旅客が目的地駅へ行ける列車の有無の確認、あるいは自身の乗車する終発列車の発車時刻の確認、あるいは目的地駅へ行くまでの乗換駅の確認を、表示されている路線図により視覚的に行えるため、終発に乗り遅れたり、乗換駅を間違える等、時間を不必要に使用することなくスムーズに目的地駅へ向かうことができる。
また、本実施形態の情報案内装置によれば、利用者が携帯電話等にて経路検索サービスにアクセスして、一々最終列車の検索を行う労力が不要になり、自身の乗らなければならない列車を、リアルタイムに視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による鉄道旅客向け情報案内装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の表示部1に表示される路線図の一例である。
【図3】図1の表示部1に表示される路線図の一例である。
【図4】図1における到達可能性演算部3の終電の案内処理の一動作例を示すフローチャートである。
【図5】図1における到達可能性演算部3の終電の案内処理の他の動作例を示すフローチャートである。
【図6】図4及び図5における到達可能計算の処理の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1…表示部
2…表示制御部
3…到達可能性演算部
4…データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅の利用者に視認可能な位置に配置された鉄道旅客向け情報案内装置であり、
鉄道における駅及びその駅間を結ぶ接続線からなる複数の路線からなる路線図を表示する表示部と、
列車毎に、路線を示す走行線区、列車の運行種別、停車する駅への到着時刻及び出発時刻を記憶するデータベースと、
設定される出発駅から到達可能な駅を、該出発駅から出発する列車毎に時刻表データベースから検索する到達可能性演算部と、
設定された出発駅から到達できる駅までを結ぶ接続線である到達可能接続線と、到達できない駅を結ぶ接続線である到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変え、前記路線図に表示する表示制御装置と
を有することを特徴とする鉄道旅客向け情報案内装置。
【請求項2】
前記到達可能性演算部が、出発駅から発車する列車のなかから、現在時刻から設定された乗車時間内に乗車しないと、前記路線図のいずれかの駅に到達できなくなる終発時刻となる終発列車を、前記データベースから検索することを特徴とする請求項1に記載の鉄道旅客向け情報案内装置。
【請求項3】
表示制御装置が、前記最終列車の走行する駅間を結ぶ接続線である終電接続線と、前記到達可能接続線及び到達不可能接続線との色及び線種のいずれかあるいは双方を変え、前記路線図に表示することを特徴とする請求項2に記載の鉄道旅客向け情報案内装置。
【請求項4】
前記到達可能性演算部が、発駅から出発する列車に乗車しても、前記路線図におけるいずれかの駅に到達できない駅が発生する時刻に対し、予め設定した時間前の案内開始時刻となったことを検出すると、到達可能な駅の検索を開始することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の鉄道旅客向け情報案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−241831(P2009−241831A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92597(P2008−92597)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】