説明

鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラム

【課題】 所定の路線上に任意に設定された各チェックポイントごとに自動的に運転士に停車駅の案内や予定時刻とのずれの程度、車速の制限などの注意喚起などの各種の運行案内を的確なタイミングで行って運転士をサポートでき、また、GPS信号を受信しにくい地域であっても安価でありながら高精度に車両の位置を予測し精度の高い運行管理を行うことができる鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムを提供する。
【解決手段】 路線特定位置データおよびチェックポイント位置データを記憶する路線データ記憶手段2と、運行予定データを記憶する運行予定データ記憶手段3と、GPS信号を受信するGPS信号受信手段6と、GPS信号に基づいて算出した車両のGPSデータおよび運行予定データに基づいて車両の運行管理を行う運行管理処理手段9と、運行管理処理手段によって取得した情報を運転手に案内する運行案内出力手段7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローバルポジショニングシステム(GPS)から受信するGPS信号に基づいて車両の運行を管理する技術に関し、特に、電車や汽車等のように既定路線上を走行する鉄道車両の運転士に対して注意を喚起したり、運行案内を行って運転を補助するのに好適な鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道は各市町村を結ぶ主要な交通手段であり、駅を中心に町が形成されるなど人々の生活に密着した存在となっている。また鉄道は輸送量が多く、安全性も高いという理由から利用率も高い。一方、万が一、鉄道事故が発生した場合には大惨事に繋がり多くの死傷者を出してしまうおそれがある。従って、鉄道各社は細心の注意を払っているが、人為的ミスを100%なくすることは不可能である。特に、近年では利用者の増大に伴って過密な運行スケジュールが組まれているが、発着時刻の厳守が求められていることから運転士には大きな緊張と負担が強いられている。
【0003】
さらに、運行車両には、普通、急行、快速、特急、特快など、様々な種類が決められており停車駅や通過駅が異なるため、運転士は常に集中していなければうっかり停車駅を間違えてしまう。しかも車両は景色の変化が少ない真っ直ぐな線路上を走行するため、集中力が持続しにくい環境といえる。
【0004】
以上のような状況下では、鉄道運転士に相当なストレスと負担が存在すると考えられ、このような鉄道運転士をサポートする仕組みを導入することが鉄道事故を未然に防ぐために急務であり、社会的ニーズとしても求められているところである。
【0005】
上述したニーズを考慮したものとして、GPSから車両の位置情報を取得し、この位置情報に基づいて車両の運行を管理するための技術が提案されている。例えば、特開2003−137099号公報には、車両の運行を管理する指令センタと、この指令センタによって管理される車両とから構成される運行管理システムが開示されている(特許文献1)。そして、指令センタが、運転指示に関する通告本文情報と、この通告本文情報に対する注意を喚起する位置を指定する注意喚起位置情報とを含む通告情報を車両に送信すると、車両の情報処理装置は、GPSからの位置情報と前記通告情報に含まれる注意喚起位置情報とを比較し、車両が前記注意喚起位置に到達したと判断した場合、通告本文情報に対する注意を運転士に喚起するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−137099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の運行管理システムにおいては、指令センタ側で車両の運行を監視している。このため、運転士の注意を喚起したい場合には、指令センタの管理者が通告情報を作成し、この通告情報を配信すべき車両を指定した上で送信しなければならず煩雑であるし、管理者のミスによって通告をし損ねる可能性がある。しかも車両に緊急事態が生じた場合、司令センタからの指令待ちでは注意喚起が遅すぎて意味がない場合も多い。
【0008】
また、GPSによる位置情報の取得に際しては、GPS信号を少なくとも3つ以上受信しなければ、正確な位置情報を算出することができない。このため、高層ビルが立ち並ぶ地域や、屋根のある駅舎等においては、GPS信号の受信数が減り、車両の現在位置を正確に特定できない場合が多い。そして、車両の位置情報が誤っていると、運転士に注意を喚起するタイミングまでずれてしまうため、正確な運行案内ができないという問題がある。
【0009】
その一方で、高精度なGPSユニットを採用すれば、正確な位置情報が得られるため、精度の高い運行管理を行うことができるが、当該GPSユニットが高価であるため運行管理システム自体のコストが高くなってしまうという問題がある。このため、安価でありながら精度の高い運行管理システムの開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、所定の路線上に任意に設定された各チェックポイントごとに自動的に運転士に停車駅の案内や予定時刻とのずれの程度、車速の制限などの注意喚起などの各種の運行案内を的確なタイミングで行って運転士をサポートすることができ、また、GPS信号を受信しにくい地域であっても安価でありながら高精度に車両の位置を予測し精度の高い運行管理を行うことができる鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムの特徴は、鉄道路線を走行する車両の運行を管理する鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムであって、鉄道路線上のカーブ位置を特定するカーブ特定点および車両の速度変更予定位置を特定する車速変更予定地点の各緯度・経度データからなる路線特定位置データ、およびこれら各路線特定位置を結んだ路線上に任意に設定した車両の運行を管理するためのチェックポイントの緯度・経度データからなるチェックポイント位置データを記憶する路線データ記憶手段と、前記チェックポイントの通過予定時刻、予定速度、停車駅案内情報を当該チェックポイント位置データに対応付けて適宜設定した運行予定データを記憶する運行予定データ記憶手段と、グローバルポジショニングシステム(GPS)からGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、前記GPS信号に基づいて前記車両に関するGPSデータを算出し、このGPSデータおよび前記運行予定データに基づいて前記車両のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を取得し、運行管理を行う運行管理処理手段と、この運行管理処理手段によって取得した通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を適宜運転士に案内する運行案内出力手段とを有する点にある。
【0012】
また、本発明において、前記運行管理処理手段は、前記GPS信号から前記車両に関する実測位置データ、時間データおよび時速データ等からなるGPSデータを算出するGPSデータ算出部と、前記GPS信号の受信数を判別するGPS信号受信数判別部と、このGPS信号受信数判別部によってGPS信号が3つ以上受信されたと判断された場合、このGPS信号によって算出された実測位置データを補正用位置データとして採用する補正用位置データ採用部と、前記GPS受信数判別部によってGPS信号の受信数が2つ以下と判断された場合、直前の補正用位置データ、前記時間データおよび前記時速データを取得する補正用データ取得部と、前記直前の補正用位置データにより特定される補正開始位置からの経過時間および前記時速データに基づいて前記車両の予測走行距離を算出する予測走行距離算出部と、前記路線特定位置データによって特定される鉄道路線に沿って前記補正開始位置から前記予測走行距離だけ進んだ予測位置を示す予測位置データを算出する予測位置データ算出部とを有していることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明において、前記運行管理処理手段は、前記GPS信号の受信数が2つの状態が所定時間連続した場合、この時点での前記予測位置データと2つのGPS信号から求められた実測位置データとを比較判別する位置データ比較判別部を有しており、この位置データ比較判別部により前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断された場合、前記補正用位置データ採用部が、前記予測位置データあるいは前記実測位置データを補正用位置データとして採用することが好ましい。
【0014】
また、本発明において、前記位置データ比較判別部は、直前の補正用位置データと次の路線特定点とをつないだ線上に前記予測位置を設定し、この予測位置を基準として所定の有効幅で設定された有効測定ゾーンの範囲内に前記実測位置データが位置している場合に、前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明において、前記路線データ記憶手段には、鉄道路線上においてチェックポイント位置から車両の進行方向後方に所定の間隔を隔てて設定されるサブチェックポイントの位置を特定するサブチェックポイント位置データが記憶されており、前記運行管理処理手段は、前記実測位置データまたは予測位置データにより特定される車両位置が、前記運行予定データにおけるチェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データによってそれぞれ特定される位置を基準にして所定の有効範囲をもって設けられるCP測定エリア内に入ったとき、当該車両がチェックポイントに到達したと判断するチェックポイント到達判断部を有していることが好ましい。
【0016】
また、本発明において、前記運行管理処理手段は、前記運行予定データと前記時間データおよび前記速度データとを比較し、所定のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれ、および予定速度とのずれを求めて、所定の許容値を超えていないか否か、あるいは三次元加速度センサから取得した加速度アナログデータが所定の許容値を超えていないか否かを判断する異常運行判断部と、この異常運行判断部により異常運行が検出されたとき、前記車両に搭載される各種機器から得られるデータ、あるいは前記車両外の機器から受信した各種のデータのうち、前記異常動作の発生前から発生後までの所定時間内における各種のデータを異常データ記憶手段に保存する異常時データ保存部とを有していることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明において、前記車両の周囲状況あるいは前記運転手の運転状況を撮影する運行状況撮影手段を有しており、前記異常時データ保存部は、前記運行状況撮影手段により撮影された映像データおよび前記GPSデータを異常データ記憶手段に保存することが好ましい。
【0018】
また、本発明において、前記異常時データ保存部は、ATS(Automatic Train Stop)の地上子から得られる地上子IDおよび車両速度からなるATSデータを異常データ記憶手段に保存することが好ましい。
【0019】
さらに、本発明において、前記運行管理処理手段は、前記車両の出発地点に関する緯度・経度データと前記GPSデータとの比較結果や、前記チェックポイント位置データと前記GPSデータとの比較結果、あるいはジャイロセンサの方位データとチェックポイント間の方位データとの比較結果に基づいて、前記鉄道車両運行管理システムが正常に動作しているか否かを判断するシステムチェック部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、所定の路線上に任意に設定された各チェックポイントごとに自動的に運転士に停車駅の案内や予定時刻とのずれの程度、車速の制限などの注意喚起などの各種の運行案内を的確なタイミングで行って運転士をサポートすることができ、当該運転士の負担やストレスを緩和することができる。また、GPS信号を受信しにくい地域であっても、高精度に車両の位置を予測し、安価でありながら精度の高い運行管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る鉄道車両運行管理システムおよび鉄道車両運行管理プログラムの実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の鉄道車両運行管理システム1を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態の鉄道車両運行管理システム1は、電車や汽車等のように鉄道路線を走行する車両の運転席に搭載され当該車両の運行を管理するものであり、図1に示すように、主として、路線に関する各種のデータを記憶する路線データ記憶手段2と、車両の運行予定に関する各種のデータを記憶する運行予定データ記憶手段3と、車両の運行実績に関する各種のデータを記憶する運行実績データ記憶手段4と、車両に異常運行が発生した際のデータを記憶する異常データ記憶手段5と、グローバルポジショニングシステム(GPS)からGPS信号を受信するGPS信号受信手段6と、車両の運転士に各種の運行案内を出力する運行案内出力手段7と、運行状況を撮影する運行状況撮影手段8と、車両の運行管理に関する各種の処理を実行する運行管理処理手段9と、から構成されている。
【0023】
以下、本実施形態を構成する各構成手段についてより詳細に説明する。路線データ記憶手段2、運行予定データ記憶手段3、運行実績データ記憶手段4および異常データ記憶手段5は、ハードディスクやメモリカード等の記憶手段によって適宜構成されている。本実施形態において、路線データ記憶手段2は、図1に示すように、路線特定位置データ、チェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データ等の路線データを記憶している。また、運行予定データ記憶手段3は、列車ダイヤ等の運行予定データを記憶しており、運行実績データ記憶手段4は、運行実績データを記憶しており、異常データ記憶手段5は、映像データ等の異常時データを記憶するようになっている。
【0024】
以下、上述した各データについて説明する。路線特定位置データは、鉄道路線を簡素な情報で特定するためのものであり、鉄道路線上のカーブ位置を特定するカーブ特定点の緯度・経度データ、車両の速度変更予定位置を特定する車速変更予定地点の緯度・経度データ、および有効測定ゾーンを特定する有効幅データから構成されている。
【0025】
カーブ特定点は、有効測定ゾーンを設定するためのものであり、図2に示すように、鉄道路線がカーブし車両の走行方向が変化する地点を特定する。このカーブ特定点は、たとえばカーブの頂点の緯度経度データとして特定される。また、鉄道路線は基本的に直線的に敷設された区間が多いため、上記のようなカーブ特定点を設定すれば、これらを連結することにより近似的に鉄道路線を特定しうる。このため、後述する車両の予測位置の算出が簡素化される。また、車速変更予定地点は、鉄道路線上における車両の制限速度が切り替わる地点を特定するものであり、予め運行予定に基づいて定められている。
【0026】
また、有効測定ゾーンは、車両が所定の鉄道路線に沿って走行する性質を利用して設定されるものであり、後述するように、GPSから得られた車両の実測位置データが有効か否かを判定するためのものである。有効測定ゾーンは、図2に示すように、路線に沿って主に隣接するカーブ特定点間に所定の有効幅をもって設定される。この有効幅を示す有効幅データは適宜設定変更することができるが、本実施形態では約1〜2m程度に設定されている。
【0027】
チェックポイント位置データは、車両の運行を的確なタイミングで管理するためのチェックポイントの緯度・経度データから構成されている。チェックポイントは、上述したカーブ特定点および車速変更予定地点等の路線特定位置を結んだ路線上に任意に設定され、主に運転士を補助する案内が必要な地点に設定されている。本実施形態におけるチェックポイントは、停車駅か通過駅かを知らせるために停車駅の手前地点で駅名を案内する停車駅案内地点、車両が時間通りに運行しているかどうかをチェックするためのダイヤ誤差確認地点等から構成される。また、本実施形態において、カーブ特定点および車速変更予定地点もチェックポイントとしても設定される。
【0028】
サブチェックポイントは、後述するように、各チェックポイントにおいてGPS信号の取得漏れをフォローするためのものである。本実施形態において、サブチェックポイントは、鉄道路線上において各チェックポイント位置から車両の進行方向後方に所定の間隔を隔てて設定される。そして、各サブチェックポイントに関する緯度・経度データが、サブチェックポイントデータとして記憶されている。なお、サブチェックポイントデータとしては、緯度・経度データではなく、チェックポイントの緯度・経度データに基づいて鉄道路線の後方側に上述した所定の間隔をもって特定するようにしてもよい。
【0029】
運行予定データは、車両の運行予定に関する各種のデータから構成されており、運行ダイヤが反映されている。本実施形態では、各チェックポイントに対応付けて、チェックポイント名、通過予定時刻、予定速度、停車駅案内情報等のデータが適宜設定されている。なお、運行予定データは、車両を基準として各車両ごとに当該車両が運行される各路線のデータから構成してもよいし、あるいは運転士を基準として各運転士ごと担当する各路線のデータから構成するようにしてもよい。
【0030】
運行実績データは、車両の運行実績に関する各種のデータから構成されている。本実施形態では、各チェックポイントにおける車両の通過時刻や、GPSから毎秒ごとに取得されるGPSデータ(実測位置データ、時間データ、時速データ、進行方向データおよび高度データ等)、および予測位置データ、補正用位置データ等から構成されている。
【0031】
本実施形態において、予測位置データは、車両の予測位置における緯度・経度データから構成されている。また、補正用位置データは、予測位置を算出するためのものであり、後述するように、GPS信号を3つ以上受信したときに算出された実測位置データや、信頼性の高い予測位置データを補正用位置データとして記憶するようになっている。
【0032】
異常時データは、車両の運行状況に異常動作が発生したときの各種のデータから構成されている。本実施形態では、運行状況撮影手段8により撮影される映像データ、GPSから取得されるGPSデータ、およびATS(Automatic Train Stop)の地上子から得られる地上子IDおよび車両速度等のATSデータから構成されている。そして、これらのデータのうち、異常動作発生前から発生後までの所定時間内におけるデータだけが異常データ記憶手段5に格納される。なお、異常時データは、上記のデータに限られるものではなく、異常動作の分析や原因究明に役立つものであれば、車両に搭載される各種機器から得られるデータや、管理センタ等の車両外の機器から受信した各種のデータを記録するようにしてもよい。
【0033】
GPS信号受信手段6は、GPSアンテナ等から構成されており、グローバルポジショニングシステムのGPS衛星から送信されるGPS信号を受信するものである。運行案内出力手段7は、音声案内を出力するスピーカや運行案内を表示するディスプレイ等の出力機器から構成されており、車両の運転士に対し、定時的な情報や緊急情報等の各種の運行情報を出力するものである。また、運行状況撮影手段8は、デジタルビデオカメラ等の動画撮影機器から構成されており、運行状況を映像データとして取得するものである。本実施形態では、2台のデジタルビデオカメラが車両の前方と運転席を撮影するように搭載されている。
【0034】
運行管理処理手段9は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、本実施形態の鉄道車両運行管理プログラムに基づいて各構成手段を制御するとともに、運行管理に必要な各種のデータを取得し、適時に運行処理を実行するものである。運行管理処理手段9の主な処理について説明すると、GPS信号受信手段6が受信したGPS信号に基づいて車両に関するGPSデータを算出し、このGPSデータおよび運行予定データに基づいて運行予定に対する車両の実際の運行状況を把握し、運転士をサポートするための運行管理を行うようになっており、合わせて運行上の異常発生を早期に喚起するようになっている。
【0035】
つぎに、前述のような処理を行う運行管理処理手段9の構成について説明する。運行管理処理手段9は、主として、運行用データ取得部91と、GPS信号取得部92と、GPSデータ算出部93と、システムチェック部94と、GPS信号受信数判別部95と、補正用データ取得部96と、予測走行距離算出部97と、予測位置データ算出部98と、受信不可時間判別部99と、位置データ比較判別部100と、補正用位置データ採用部101と、車両位置採用部102と、異常運行判断部103と、異常時データ保存部104と、チェックポイント到達判断部105と、運行案内出力部106と、運行実績データ保存部107と、次路線データ判別部108とから構成されている。
【0036】
運行用データ取得部91は、車両の運行に必要な各種のデータを取得するものである。具体的には、路線データ記憶手段2から路線特定位置データ、チェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データを取得するとともに、運行予定データ記憶手段3から運行予定データを取得するようになっている。
【0037】
GPS信号取得部92は、GPS信号受信手段6が受信したGPS信号を取得するものである。本実施形態では、約1秒間隔でGPS信号を取得し、GPSデータ算出部93へ供するようになっている。なお、GPS信号は、時刻情報やGPS衛星の位置を示す軌道情報等が多重された信号から構成されている。
【0038】
GPSデータ算出部93は、GPS信号取得部92が取得したGPS信号に基づいて、車両に関する実測位置データ、時間データ、時速データ、進行方向データおよび高度データ等からなるGPSデータを算出するものである。
【0039】
具体的には、まず、GPS信号内の時刻情報とGPS信号受信手段6における受信時刻からGPS信号を受信するのにかかった到達時間を算出し、この到達時間とGPS信号の伝播速度からGPS衛星とGPS信号受信手段6との距離を算出する。この距離は、GPS信号受信手段6の受信位置とGPS衛星の位置とを結ぶ距離に等しいため、3つの変数(緯度、経度、高度)からなる2次元方程式が成り立つ。したがって、GPS信号を3つ以上受信した場合、正確な実測位置データ(緯度、経度)および高度データが算出される。また、車両の高度はほぼ変わらないと仮定すれば、高度を一定値に設定できるため、GPS信号の受信数が2つでも、ある程度正確な実測位置データ(緯度、経度)が算出される。一方、時間データ、時速データおよび進行方向データは、GPS信号の受信数に関わらず、常に正確なデータが取得される。
【0040】
システムチェック部94は、鉄道車両運行管理システム1の動作状況をチェックして、故障を検出するものである。具体的には、出発時であれば、車両の出発地点に関する緯度・経度データと、GPSデータ算出部93が算出した実測位置データとを取得し、両者が合致しているか否かを判別する。そして、両者が合致していれば、本システムが正常に動作していると判断する。一方、不一致の場合やGPS信号を受信していない場合には、読み込んだ路線データが誤っている旨やGPS信号受信手段6が故障している旨のエラーメッセージを運行案内出力手段7から出力させる。なお、出発地点の緯度・経度データは、出庫時に運転士が手動入力してもよいし、路線データおよび運行予定データに予め設定されている始発地点の名称を選択することで自動的に緯度・経度データを特定する構成にしてもよい。
【0041】
また、本実施形態において、システムチェック部94は、走行中においても本システムの動作状況を自己診断する機能を有している。具体的には、チェックポイント位置データとGPSデータとを取得し、車両が各チェックポイントを順番にトレースしているか否かを判別する。そして、正確にトレースしている限り、本システムが正常に動作していると判断する。一方、異常が認められれば、エラーメッセージを出力させる。
【0042】
また、本実施形態の車両には、車両の方位を測定するジャイロセンサSjが設けられている。そこで、本実施形態のシステムチェック部94は、このジャイロセンサSjにより得られる車両の方位データと、チェックポイント間の方位データとを取得し、両者が一致しているか否かを判別する。そして、両者が一致していれば、本システムが正常に動作していると判断する。一方、一致していなければ、エラーメッセージを出力させる。なお、チェックポイント間の方位データは、チェックポイント位置データから算出される。
【0043】
GPS信号受信数判別部95は、GPS信号の受信数を判断するものである。上述したように、GPSデータは、GPS信号の受信数によってその精度が異なる。したがって、本実施形態では、GPS信号の受信数に基づいて、後述する位置データの補正処理を適宜実行するようになっている。
【0044】
補正用データ取得部96は、車両位置データの補正処理に必要なデータを取得するものである。本実施形態では、運行実績データ記憶手段4から、直前の補正用位置データ、時間データ、および時速データを取得するようになっている。ここで、直前の補正用位置データとは、GPS信号を3つ以上受信したときに算出された実測位置データ、あるいは所定時間連続してGPS信号の受信数が2以下であったときの実測位置データが、後述する予測位置データとほぼ等しい場合の当該実測位置データまたは当該予測位置データのうち、最新のものである。すなわち、信頼性の高い車両位置のうち、最新の車両位置を特定するものであり、本実施形態において、この位置を補正開始位置とする。
【0045】
予測走行距離算出部97は、信頼性の高い車両位置が得られない間、車両が走行したであろう予測走行距離を算出するものである。具体的には、補正用データ取得部96が取得した直前の補正用位置データおよび時間データに基づいて、補正開始位置からの経過時間を算出し、この経過時間と時速データに基づいて車両の予測走行距離を算出するようになっている。
【0046】
予測位置データ算出部98は、車両の予測位置を算出するものである。具体的には、補正用データ取得部96が取得した路線特定位置データによって鉄道路線を特定し、この路線に沿って補正開始位置から予測走行距離だけ進んだ予測位置の緯度経度を予測位置データとして取得するようになっている。
【0047】
例えば、予測走行距離がLの場合、補正開始位置と最寄りのカーブ特定点とを結ぶ第1直線を算出し、当該第1直線の長さがL以上であれば、当該第1直線上において補正開始位置からLだけ進んだ位置を予測位置として取得する。一方、前記第1直線の長さがLより小さい場合、次のカーブ特定点と最寄りのカーブ特定点とを結ぶ第2直線を算出する。そして、当該第2直線上において、最寄りのカーブ特定点から、[L−(第1直線の長さ)]だけ進んだ位置の緯度経度を予測位置データとして取得するようになっている。
【0048】
受信不可時間判別部99は、不感地帯を通過する等の理由でGPS信号の受信数が2以下の状態が、所定時間継続したか否かを判別するものである。本実施形態では、当該継続時間が5秒間に設定されているが、これに限られるものではなく、ユーザによって適宜設定しうる。また、GPS信号の受信数が2つ以下の状態が5秒経過する前にチェックポイントを通過してしまう場合が想定されるが、この場合には、チェックポイントが近傍にあることを認識して5秒を待たずに後述する車両位置データの補正処理を強制的に実行させるようにしてもよい。
【0049】
位置データ比較判別部100は、GPSデータ算出部93が算出した実測位置データと、予測位置データ算出部98が算出した予測位置データとを比較判別するものである。本実施形態では、予測位置を基準として所定の有効幅で設定された有効測定ゾーンの範囲内に、実測位置データが位置している場合に、予測位置データが実測位置データとほぼ等しいと判断する。一方、実測位置データが有効測定ゾーンの範囲外のとき、当該実測位置データを不正確なものとみなす。
【0050】
補正用位置データ採用部101は、車両の位置データを補正するための補正用位置データを採用するものである。具体的には、GPS信号受信数判別部95によって、GPS信号の受信数が3つ以上と判断された場合に、GPSデータ算出部93により算出された実測位置データを補正用位置データとして採用し、運行実績データ記憶手段4に格納する。また、受信数が2つに減った場合でも正確な位置情報を送信している場合がある。そこで受信不可時間判別部99により、GPS信号の受信数が2つ以下の状態が所定時間連続したと判別され、かつ、位置データ比較判別部100により予測位置データと実測位置データとがほぼ等しいと判断された場合、当該予測位置データあるいは当該実測位置データを補正用位置データとして採用し、運行実績データ記憶手段4に格納する。
【0051】
車両位置採用部102は、信頼性の高い実測位置データあるいは予測位置データを車両の位置データとして取得するものである。具体的には、補正用位置データ採用部101によって採用された実測位置データあるいは予測位置データを車両の位置データとして採用する。したがって、本実施形態では、GPS信号の受信数が3以上の場合のみならず、受信数が2以下の場合であっても、その状態が所定時間連続し、なおかつ、実測位置データが予測位置データとほぼ等しい場合には、それら実測位置データまたは予測位置データのいずれかを車両位置データとして採用するようになっている。これは、受信数が2つの場合であっても、実測位置データの誤差が必ずしも大きい訳ではないことを利用したものである。
【0052】
異常運行判断部103は、車両の運行状況が正常であるか否かを判断するものである。具体的には、運行予定データとGPSデータとを取得し両者を比較する。そして、所定のチェックポイントにおける実際の通過時刻と通過予定時刻とのずれや、実際の通過速度と予定速度とのずれを算出し、所定の許容値を超えていないか否かを判断するようになっている。
【0053】
また、本実施形態の車輌には、三次元方向における加速度を測定する三次元加速度センサSaが設けられている。そして、異常運行判断部103は、三次元加速度センサSaから出力される加速度アナログデータを常時取得し、このデータが通常運行範囲を示す所定の許容値を超えていないか否かを判断するようになっている。さらに、本実施形態では、ATS(Automatic Train Stop)システムが作動した場合等であっても、車両の運行に異常動作が発生したことを検知するようになっている。
【0054】
異常時データ保存部104は、車両の運行に異常動作が検出された場合、その異常動作の発生前後における各種の異常時データを異常データ記憶手段5に保存するものである。本実施形態において、異常時データとしては、映像データ、GPSデータおよびATSデータ等が蓄積される。なお、運行状況撮影手段8により撮影された映像データは、逐次、図示しない画像メモリ等に一時的に蓄積され、古くなったものから順に消去されている。したがって、異常時データ保存部104は、異常運行判断部103により異常が検知された場合、その異常動作の発生時刻を取得するとともに、当該発生時刻の前後2分間における映像データを画像メモリから取得し、異常データ記憶手段5に格納するようになっている。
【0055】
チェックポイント到達判断部105は、車両がチェックポイントに到達したか否かを判断するものである。本実施形態において、チェックポイント到達判断部105は、車両位置データの誤差を考慮して、各チェックポイントに対応させたチェックポイント測定エリア(以下、「CP測定エリア」という)を設定している。そして、このCP測定エリア内に車両位置が含まれたとき、車両が当該チェックポイントに到達したと判断するようになっている。
【0056】
具体的には、CP測定エリアは、図3に示すように、チェックポイント位置データによって特定される位置を基準(中心)にして所定の有効範囲をもって設定される略正方形状のメイン測定エリアと、このメイン測定エリアと隣接するように設けられ、サブチェックポイントデータによって特定される位置を基準(中心)にして所定の有効範囲をもって設定される略正方形状のサブ測定エリアとから構成されている。したがって、チェックポイント到達判断部105は、路線データ記憶手段2からチェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データを取得してCP測定エリアを特定するとともに、車両位置採用部102により採用された車両位置データを取得して、CP測定エリアと比較するようになっている。
【0057】
なお、CP測定エリアの大きさは、車両の速度に応じて設定するのが好ましく、本実施形態では、車両が60km/h(約18m/s)で走行することを想定し、メイン測定エリアおよびサブ測定エリアを1辺が36mの正方形であって2つの頂点を路線上に設定している。また、本実施形態のGPS信号取得部92は、毎秒1回の割合でGPS信号を取得するように構成されている。したがって、各測定エリアでは±約1秒の誤差範囲でGPS信号が受信されるため、1つのチェックポイントにつき、少なくとも4回はGPS信号を取得するチャンスが得られるようになっている。
【0058】
運行案内出力部106は、運行案内出力手段7に所定の運行案内を出力させるものである。具体的には、チェックポイント到達判断部105によって車両が所定のチェックポイントに到達したと判断されると、運行予定データ記憶手段3から当該チェックポイントに対応する各種の情報を取得する。そして、当該チェックポイントの通過予定時刻に対する実際の車両通過時刻のずれや予定速度に対する実際の通過速度のずれ、次の停車駅、あるいはチェックポイント名や制限速度が変化する旨等をスピーカから音声案内したり、ディスプレイに表示案内するようになっている。
【0059】
運行実績データ保存部107は、運行実績データを運行実績データ記憶手段4に保存するものである。具体的には、チェックポイント到達判断部105によって車両が所定の路線における終点に到達したと判断されると、各チェックポイントにおける車両の通過時刻、毎秒ごとに取得されるGPSデータ等を運行実績データ記憶手段4に格納するようになっている。
【0060】
次路線データ判別部108は、車両が1の鉄道路線の運行を終了したとき、運行予定データの中に、次に運行すべき鉄道路線が存在するか否かを判別するものである。判別した結果、次に運行すべき鉄道路線があれば、引き続き本実施形態の鉄道車両運行管理システム1に運行管理を実行させる一方、次に運行すべき鉄道路線がなければ、鉄道車両運行管理システム1を終了させるようになっている。
【0061】
つぎに、本実施形態の鉄道車両運行管理プログラムによって実行される鉄道車両運行管理システム1の作用について図4および図5を参照しつつ説明する。
【0062】
まず、本実施形態の鉄道車両運行管理システム1によって車両の運行管理を開始する場合、運転士が担当路線を入力する操作に従って、運行用データ取得部91が、当該車両が運行される鉄道路線に関する路線データおよび運行予定データを取得する(ステップS1)。つづいて、GPS信号取得部92が、GPS信号受信手段6からGPS信号を取得すると(ステップS2)、GPSデータ算出部93により各種のGPSデータが算出される(ステップS3)。このGPSデータと路線データおよび運行予定データに基づいて、システムチェック部94が鉄道車両運行管理システム1の動作状況をチェックする(ステップS4)。
【0063】
チェックの結果、システムの動作に異常がなければ(ステップS4:OK)、車両の運行開始を待機する一方(ステップS5)、不具合が見つかれば(ステップS4:NG)、運行案内出力手段7にエラーメッセージを出力する(ステップS6)。これにより、運転士は、誤った路線データや運行予定データを使用したり、GPS信号受信手段6が機能していない状態で車両を運行することが防止される。
【0064】
つづいて、車両の運行が開始されると(ステップS5:YES)、路線データおよび運行予定データに定められた鉄道路線上を運行する間、図5に示す車両位置データ補正処理により、随時、車両位置が取得される(ステップS7)。
【0065】
ここで、ステップS7で実行される車両位置データ補正処理について、図5を用いて説明する。車両が運行している間、GPS信号取得部92は、約1秒間隔でGPS信号受信手段6からGPS信号を取得し(ステップS21)、このGPS信号に基づき、GPSデータ算出部93がGPSデータを算出する(ステップS22)。なお、本実施形態では、運行の開始と同時に、運行状況撮影手段8が撮影を開始し、映像データを画像メモリに蓄積するようになっている。
【0066】
つづいて、GPS信号受信数判別部95が、ステップS21で受信したGPS信号の受信数を判断し(ステップS23)、受信数が3以上のとき(ステップS23:YES)、ステップS22で算出された実測位置データは高精度であると判断し、後述するステップS29へと進む。
【0067】
一方、GPS信号の受信数が2以下の場合(ステップS23:NO)、まず、補正用データ取得部96が、直前の補正用位置データ、時間データ、および時速データを取得し(ステップS24)、これらのデータに基づいて、予測走行距離算出部97が車両の予測走行距離を算出する(ステップS25)。そして、この予測走行距離と路線特定位置データに基づいて、予測位置データ算出部98が、車両の予測位置データを算出する(ステップS26)。
【0068】
つづいて、ステップS23で判別されたGPS信号の受信数が1の場合(ステップS27:NO)、実測位置データは不正確であるため、ステップS21に戻り、再びGPS信号を受信するのを待機する。一方、GPS信号の受信数が2の場合(ステップS27:YES)、実測位置データは必ずしも不正確であるとは限らない。このため、受信不可時間判別部99によりGPS信号の受信数が2以下の状態が所定時間連続していることが判別されると(ステップS28:YES)、位置データ比較判別部100により、実測位置データと予測位置データの同一性を判別する(ステップS29)。
【0069】
このとき、本実施形態では、鉄道車両が予め決まっている既定路線上を走行するという特徴を利用して、隣接するカーブ特定点間の路線に沿って所定幅の有効測定ゾーンを設定してある。そして、この有効測定ゾーン内に実測位置データが検出されるか否かによって、実測位置データと予測位置データとの同一性を判別している。これにより、両者の同一性の判断に要する演算処理が簡素化することになり、正確性を維持したまま位置データ比較判別部100の負荷を軽減できる。
【0070】
そして、位置データ比較判別部100による判別の結果、実測位置データと予測位置データとがほぼ等しいと判断されたとき(ステップS29:YES)、当該実測位置データまたは当該予測位置データはほぼ正確なものと推定される。このため、これらのうちいずれか一方が補正用位置データ採用部101により補正用位置データとして採用され、運行実績データ記憶手段4に格納される(ステップS30)。本実施形態では原則として計算された予測位置データを採用する。同様に、GPS信号の受信数が3以上のとき(ステップS23:YES)、ステップS22で算出された実測位置データは確度が高いため、当該実測位置データを補正用位置データとして採用し、運行実績データ記憶手段4に格納する(ステップS30)。
【0071】
そして、補正用位置データ採用部101により採用された実測位置データまたは予測位置データは、上記のように、許容される範囲内での精度を有しているため、車両位置採用部102により、車両位置データとして採用される(ステップS31)。以上のように、GPS信号の受信数が3つ以上のときのときのみならず、2以下の状態が所定時間続いた場合には、信頼性の高い実測位置データあるいは予測位置データを車両位置データとして採用するため、車両の位置データの精度を保持しつつ、位置データの取得確率が向上されるようになっている。
【0072】
一方、GPS信号の受信数が2以下の状態が所定時間連続していない場合には(ステップS28:NO)、ステップS21に戻り、再びGPS信号を受信するのを待機する。また、実測位置データと予測位置データとの同一性が否定された場合にも(ステップS29:NO)、実測位置データの信頼性が低いためステップS21に戻り、再びGPS信号を受信するのを待機するようになっている。
【0073】
上述した車両位置データ補正処理により、車両位置データが取得されると、再び、図4のフローに戻る。ステップS8では、異常運行判断部103が、運行予定データとGPSデータとに基づき、車両の運行状況を判断する。そして、運行予定データに対し、所定の許容値の範囲内で車両が正常に運行されている限り(ステップS8:YES)、処理はステップS9へと進む。一方、車両の運行状況に異常動作が認められたとき(ステップS8:NO)、異常時データ保存部104が、当該異常動作の発生時刻前後の映像データおよびGPSデータを異常データ記憶手段5に保存した後(ステップS10)、処理をステップS9へと進める。これにより、異常動作の発生前後におけるデータが自動的に保存されるため、当該異常動作の原因究明・再発防止に利用されるようになっている。
【0074】
また、本実施形態では、異常運行判断部103が、運行予定データやGPSデータとは無関係に、三次元加速度センサSaから取得される加速度アナログデータを常時監視するため、運行データとGPSデータとの比較では判断が遅れる可能性のある突発的な事故や車両異常を瞬時に判断するようになっている。具体的には、運転手により急ブレーキがなされた場合、車両が線路上に置かれた異物(置き石、丸太、自転車等)を踏んだ場合、あるいは突風により車両が不自然に傾斜した場合等には、通常運行時では見られない加速度が発生するため、異常運行を検知する。これにより、運転手でさえも事前に察知しにくい異常事故原因が発生した場合でも、当該異常発生前後におけるデータが保存されるようになっている。
【0075】
つづいて、ステップS9では、チェックポイント到達判断部105により、車両がいずれかのチェックポイントに到達したか否かが判断される。本実施形態では、ステップS7で得られた車両位置データがCP測定エリア内に到達したと検出されたとき、当該CP測定エリア内に設定されたチェックポイントに車両が到達したと判断する(ステップS9:YES)。このように、所定の有効範囲を有するCP測定エリアを用いて判別するため、各チェックポイントにおける車両の到達の検出漏れが少なく、運行案内ミスが防止される。一方、いずれのチェックポイントにも到達しない限り(ステップS9:NO)、ステップS7へと戻り、チェックポイントに到達するまでループ処理を繰り返すようになっている。
【0076】
車両がいずれかのチェックポイントに到達したと判断されると(ステップS9:YES)、システムチェック部94が、各チェックポイントのトレース状況や、ジャイロセンサSjによる方位情報に基づき、本システムの動作状況をチェックする(ステップS11)。このチェックの結果、システムの動作に異常が認められなければ(ステップS11:OK)、ステップS12へと進む。一方、異常が認められれば(ステップS11:NG)、運行案内出力手段7にエラーメッセージを出力する(ステップS13)。これにより、本システムが、万一、走行中に故障してしまった場合には運転手や運行管理者側が直ちに認識して適切な対応が可能となる。
【0077】
本システムに異常が無ければ、運行案内出力部106が、運行案内出力手段7から所定の運行案内を出力させる(ステップS12)。本実施形態では、車両の運転士に対し、当該チェックポイントの通過予定時刻に対する実際の通過時刻のずれや制限速度に対する実際の走行速度のずれを音声案内する他、次なる停車駅名、あるいは制限速度が変更される旨等を音声案内したり、ディスプレイに表示するようになっている。
【0078】
そして、車両が運行中における鉄道路線の終点に到達しない限り、ステップS7からS12までの処理が繰り返され(ステップS14:NO)、終点に到達した場合には(ステップS14:YES)、運行実績データ保存部107が、運行管理処理で得られた各種のデータを運行実績データ記憶手段4に格納する(ステップS15)。つづいて、次路線データ判別部108が、運行予定データ内の全ての鉄道路線について運行が終了するまで、ステップS1からS15までの処理が繰り返され(ステップS16:YES)、運行予定データ内の全ての鉄道路線について運行が終了したとき(ステップS16:NO)、本鉄道車両運行管理システムによる運行管理が終了する。
【0079】
つぎに、本実施形態の具体的な実施例について説明する。
【実施例】
【0080】
本実施例では、上述した本実施形態の鉄道車両運行管理システム1によって、電車を運行管理する試験を行った。本試験では、図6に示すような路線データおよび運行予定データを使用してA駅からB駅まで実際に運行した結果、図7に示すような結果が得られた。
【0081】
まず、0時0分0秒、車両がA駅を出発する際、A駅の名称および出発時間がスピーカから音声案内された。つぎに、車両が速度変更地点に到達すると、制限速度が50km/hに制限される旨のアナウンスがなされた。つづいての速度変更地点では、50km/hの制限速度が解除される旨のアナウンスがなされるとともに、実際の通過時刻が通過予定時刻より13秒遅れである旨のアナウンスがなされた。
【0082】
つぎに、車両がダイヤとの誤差を確認するチェックポイントに到達したとき、実際の通過時刻が通過予定時刻より10秒早い旨のアナウンスがなされた。つづいて、0時5分20秒、車両の走行速度に異常が検知されたため、当該発生時刻前後2分間の映像データが異常データ記憶手段5に保存された。
【0083】
つづいて、再び速度変更地点に差し掛かり、制限速度が40km/hに制限される旨のアナウンスがなされた後、停車駅を案内するためのチェックポイントに到達し、B駅の名称がアナウンスされた。そして、0時8分25秒、車両がB駅に到着すると、到着時刻が到着予定時刻より5秒早い旨のアナウンスがなされた。
【0084】
以上のような本実施形態によれば、
1.鉄道路線上に任意に設定された各チェックポイントにおいて、自動的に運転士に各種の運行案内をすることができ、ダイヤ通りの運行が要求される運転士の精神的圧迫を軽減し、安全な運行を補助することができる。
2.GPS信号を受信しにくい不感地域であっても、高精度な車両位置データを取得し、安価でありながら確度の高い運行管理を行うことができる。
3.各チェックポイントにおいて、所定の有効エリアを設定してGPS信号を取得するため車両位置データの取得漏れを低減できる。
4.異常運行の発生を認識し、その異常発生前後における映像データやGPSデータを自動的に保存するため、これらのデータを解析することで当該異常運行の原因を解明し、事故の再発防止の一助として利用することができる等の効果を奏する。
【0085】
なお、本発明に係る鉄道車両運行管理システム1および鉄道車両運行管理プログラムは、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0086】
例えば、運行実績データを解析することにより、GPS信号を受信しにくい不感地域を特定できるため、そのような不感地域にチェックポイントがある場合には、実測位置データよりも予測位置データを優先して車両位置データとして採用するようにしてもよい。また、鉄道が既定路線を運行する特徴を利用して、不感地帯における通過時間と通過位置を学習し、予め予測して設定しておいてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、運行用データ取得部91が、メモリーカードから各種のデータを取得するとともに、運行実績データ保存部107が、メモリーカードに運行実績データを保存しているが、これに限られるものではない。例えば、別途、データを送受信するための送受信手段を設け、所定の運行管理センターから運行用データを受信するとともに、運行実績データを運行管理センターへ送信するようにしてもよい。
【0088】
さらに、上述した実施形態では、毎秒ごとに取得されるGPSデータに基づいて、車両の進行方向データを収集しているが、これに限られるものではなく、ジャイロセンサSjから車両の方位データを常時取得するようにしてもよい。これにより、GPS信号を受信できない地域であっても、ジャイロセンサSjから出力される方位データを利用して、車両の走行補正を精度の高いデータに確立しうるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る鉄道車両運行管理システムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の鉄道路線を示す平面図である。
【図3】本実施形態のメイン測定エリアおよびサブ測定エリアを示す平面図である。
【図4】本実施形態の鉄道車両運行管理システムにより実行される処理のフローチャート図である。
【図5】本実施形態の鉄道車両運行管理システムにより実行される車両位置データ補正処理のフローチャート図である。
【図6】本実施例で使用した運行予定データを示す表である。
【図7】本実施例による実験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 鉄道車両運行管理システム
2 路線データ記憶手段
3 運行予定データ記憶手段
4 運行実績データ記憶手段
5 異常データ記憶手段
6 GPS信号受信手段
7 運行案内出力手段
8 運行状況撮影手段
9 運行管理処理手段
91 運行用データ取得部
92 GPS信号取得部
93 GPSデータ算出部
94 システムチェック部
95 GPS信号受信数判別部
96 補正用データ取得部
97 予測走行距離算出部
98 予測位置データ算出部
99 受信不可時間判別部
100 位置データ比較判別部
101 補正用位置データ採用部
102 車両位置採用部
103 異常運行判断部
104 異常時データ保存部
105 チェックポイント到達判断部
106 運行案内出力部
107 運行実績データ保存部
108 次路線データ判別部
Sa 三次元加速度センサ
Sj ジャイロセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道路線を走行する車両の運行を管理する鉄道車両運行管理システムであって、
鉄道路線上のカーブ位置を特定するカーブ特定点および車両の速度変更予定位置を特定する車速変更予定地点の各緯度・経度データからなる路線特定位置データ、およびこれら各路線特定位置を結んだ路線上に任意に設定した車両の運行を管理するためのチェックポイントの緯度・経度データからなるチェックポイント位置データを記憶する路線データ記憶手段と、
前記チェックポイントの通過予定時刻、予定速度、停車駅案内情報を当該チェックポイント位置データに対応付けて適宜設定した運行予定データを記憶する運行予定データ記憶手段と、
グローバルポジショニングシステム(GPS)からGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、
前記GPS信号に基づいて前記車両に関するGPSデータを算出し、このGPSデータおよび前記運行予定データに基づいて前記車両のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を取得し、運行管理を行う運行管理処理手段と、
この運行管理処理手段によって取得した通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を適宜運転手に案内する運行案内出力手段と
を有することを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項2】
請求項1において、前記運行管理処理手段は、
前記GPS信号から前記車両に関する実測位置データ、時間データおよび時速データ等からなるGPSデータを算出するGPSデータ算出部と、
前記GPS信号の受信数を判別するGPS信号受信数判別部と、
このGPS信号受信数判別部によってGPS信号が3つ以上受信されたと判断された場合、このGPS信号によって算出された実測位置データを補正用位置データとして採用する補正用位置データ採用部と、
前記GPS受信数判別部によってGPS信号の受信数が2つ以下と判断された場合、直前の補正用位置データ、前記時間データおよび前記時速データを取得する補正用データ取得部と、
前記直前の補正用位置データにより特定される補正開始位置からの経過時間および前記時速データに基づいて前記車両の予測走行距離を算出する予測走行距離算出部と、
前記路線特定位置データによって特定される鉄道路線に沿って前記補正開始位置から前記予測走行距離だけ進んだ予測位置を示す予測位置データを算出する予測位置データ算出部と
を有していることを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項3】
請求項2において、前記運行管理処理手段は、前記GPS信号の受信数が2つ以下の状態が所定時間連続した場合、この時点での前記予測位置データと2つのGPS信号から求められた実測位置データとを比較判別する位置データ比較判別部を有しており、この位置データ比較判別部により前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断された場合、前記補正用位置データ採用部が、前記予測位置データあるいは前記実測位置データを補正用位置データとして採用することを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項4】
請求項3において、前記位置データ比較判別部は、直前の補正用位置データと次の路線特定点とをつないだ線上に前記予測位置を設定し、この予測位置を基準として所定の有効幅で設定された有効測定ゾーンの範囲内に前記実測位置データが位置している場合に、前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断することを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記路線データ記憶手段には、鉄道路線上においてチェックポイント位置から車両の進行方向後方に所定の間隔を隔てて設定されるサブチェックポイントの位置を特定するサブチェックポイント位置データが記憶されており、
前記運行管理処理手段は、前記実測位置データまたは予測位置データにより特定される車両位置が、前記運行予定データにおけるチェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データによってそれぞれ特定される位置を基準にして所定の有効範囲をもって設けられるCP測定エリア内に入ったとき、当該車両がチェックポイントに到達したと判断するチェックポイント到達判断部を有していることを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかにおいて、
前記運行管理処理手段は、前記運行予定データと前記時間データおよび前記速度データとを比較し、所定のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれ、および予定速度とのずれを求めて、所定の許容値を超えていないか否か、あるいは三次元加速度センサから取得した加速度アナログデータが所定の許容値を超えていないか否かを判断する異常運行判断部と、
この異常運行判断部により異常運行が検出されたとき、前記車両に搭載される各種機器から得られるデータ、あるいは前記車両外の機器から受信した各種のデータのうち、前記異常動作の発生前から発生後までの所定時間内における各種のデータを異常データ記憶手段に保存する異常時データ保存部と
を有していることを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項7】
請求項6において、前記車両の周囲状況あるいは前記運転手の運転状況を撮影する運行状況撮影手段を有しており、
前記異常時データ保存部は、前記運行状況撮影手段により撮影された映像データおよび前記GPSデータを異常データ記憶手段に保存することを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項8】
請求項6において、前記異常時データ保存部は、ATS(Automatic Train Stop)の地上子から得られる地上子IDおよび車両速度からなるATSデータを異常データ記憶手段に保存することを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかにおいて、前記運行管理処理手段は、前記車両の出発地点に関する緯度・経度データと前記GPSデータとの比較結果や、前記チェックポイント位置データと前記GPSデータとの比較結果、あるいはジャイロセンサの方位データとチェックポイント間の方位データとの比較結果に基づいて、前記鉄道車両運行管理システムが正常に動作しているか否かを判断するシステムチェック部を有していることを特徴とする鉄道車両運行管理システム。
【請求項10】
鉄道路線を走行する車両の運行を管理する鉄道車両運行管理プログラムであって、
鉄道路線上のカーブ位置を特定するカーブ特定点および車両の速度変更予定位置を特定する車速変更予定地点の各緯度・経度データからなる路線特定位置データ、およびこれら各路線特定位置を結んだ路線上に任意に設定した車両の運行を管理するためのチェックポイントの緯度・経度データからなるチェックポイント位置データを記憶する路線データ記憶手段と、
前記チェックポイントの通過予定時刻、予定速度、停車駅案内情報を当該チェックポイント位置データに対応付けて適宜設定した運行予定データを記憶する運行予定データ記憶手段と、
グローバルポジショニングシステム(GPS)からGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、
前記GPS信号に基づいて前記車両に関するGPSデータを算出し、このGPSデータおよび前記運行予定データに基づいて前記車両のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を取得し、運行管理を行う運行管理処理手段と、
この運行管理処理手段によって取得した通過予定時刻とのずれや予定速度とのずれ、次の停車駅情報を適宜運転手に案内する運行案内出力手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする路線車両運行管理プログラム。
【請求項11】
請求項10において、前記運行管理処理手段は、
前記GPS信号から前記車両に関する実測位置データ、時間データおよび時速データ等からなるGPSデータを算出するGPSデータ算出部と、
前記GPS信号の受信数を判別するGPS信号受信数判別部と、
このGPS信号受信数判別部によってGPS信号が3つ以上受信されたと判断された場合、このGPS信号によって算出された実測位置データを補正用位置データとして採用する補正用位置データ採用部と、
前記GPS受信数判別部によってGPS信号の受信数が2つ以下と判断された場合、直前の補正用位置データ、前記時間データおよび前記時速データを取得する補正用データ取得部と、
前記直前の補正用位置データにより特定される補正開始位置からの経過時間および前記時速データに基づいて前記車両の予測走行距離を算出する予測走行距離算出部と、
前記路線特定位置データによって特定される鉄道路線に沿って前記補正開始位置から前記予測走行距離だけ進んだ予測位置を示す予測位置データを算出する予測位置データ算出部と
して機能することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項12】
請求項11において、前記運行管理処理手段は、前記GPS信号の受信数が2つ以下の状態が所定時間連続した場合、この時点での前記予測位置データと2つのGPS信号から求められた実測位置データとを比較判別する位置データ比較判別部として機能し、この位置データ比較判別部により前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断された場合、前記補正用位置データ採用部が、前記予測位置データあるいは前記実測位置データを補正用位置データとして採用することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項13】
請求項12において、前記位置データ比較判別部は、直前の補正用位置データと次の路線特定点とをつないだ線上に前記予測位置を設定し、この予測位置を基準として所定の有効幅で設定された有効測定ゾーンの範囲内に前記実測位置データが位置している場合に、前記予測位置データが前記実測位置データとほぼ等しいと判断することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項14】
請求項10から請求項13のいずれかにおいて、前記路線データ記憶手段には、鉄道路線上においてチェックポイント位置から車両の進行方向後方に所定の間隔を隔てて設定されるサブチェックポイントの位置を特定するサブチェックポイント位置データが記憶されており、
前記運行管理処理手段は、前記実測位置データまたは予測位置データにより特定される車両位置が、前記運行予定データにおけるチェックポイント位置データおよびサブチェックポイント位置データによってそれぞれ特定される位置を基準にして所定の有効範囲をもって設けられるCP測定エリア内に入ったとき、当該車両がチェックポイントに到達したと判断するチェックポイント到達判断部として機能することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項15】
請求項10から請求項14のいずれかにおいて、
前記運行管理処理手段は、前記運行予定データと前記時間データおよび前記速度データとを比較し、所定のチェックポイントにおける通過予定時刻とのずれ、および予定速度とのずれを求めて、所定の許容値を超えていないか否か、あるいは三次元加速度センサから取得した加速度アナログデータが所定の許容値を超えていないか否かを判断する異常運行判断部と、
この異常運行判断部により異常運行が検出されたとき、前記車両に搭載される各種機器から得られるデータ、あるいは前記車両外の機器から送信される各種のデータのうち、前記異常動作の発生前から発生後までの所定時間内における各種のデータを異常データ記憶手段に保存する異常時データ保存部と
として機能することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項16】
請求項15において、前記異常時データ保存部は、車両の周囲状況あるいは運転手の運転状況を撮影する運行状況撮影手段により撮影された映像データおよび前記GPSデータを異常データ記憶手段に保存することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項17】
請求項15において、前記異常時データ保存部は、ATS(Automatic Train Stop)の地上子から得られる地上子IDおよび車両速度からなるATSデータを異常データ記憶手段に保存することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。
【請求項18】
請求項10から請求項17のいずれかにおいて、前記運行管理処理手段は、前記車両の出発地点に関する緯度・経度データと前記GPSデータとの比較結果や、前記チェックポイント位置データと前記GPSデータとの比較結果、あるいはジャイロセンサの方位データとチェックポイント間の方位データとの比較結果に基づいて、前記鉄道車両運行管理システムが正常に動作しているか否かを判断するシステムチェック部として機能することを特徴とする鉄道車両運行管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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