鉄道車両
【課題】部品点数を増加させずに、曲線半径の小さなレール上を円滑に走行できるようにする。
【解決手段】台車枠11に取り付けられている軸輪ユニット20は、一対の車輪21と、輪軸22と、輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱25と、台車枠と軸箱との間に配置されている軸バネ30と、を有している。軸バネ30は、第一軸を中心軸とする複数の筒と、複数の筒の相互間であって、第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、第三軸を含む領域が低剛性部を成す。この軸バネ30は、第一軸が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cに沿うよう配置されて、旋回許容軸バネ30aを成している。
【解決手段】台車枠11に取り付けられている軸輪ユニット20は、一対の車輪21と、輪軸22と、輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱25と、台車枠と軸箱との間に配置されている軸バネ30と、を有している。軸バネ30は、第一軸を中心軸とする複数の筒と、複数の筒の相互間であって、第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、第三軸を含む領域が低剛性部を成す。この軸バネ30は、第一軸が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cに沿うよう配置されて、旋回許容軸バネ30aを成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体と、車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用台車としては、例えば、特許文献1に記載されている台車がある。
【0003】
この台車は、車体の下部に空気バネを介して取り付けられた台車枠と、左右一対の車輪と、一対の車輪を連結する輪軸と、この輪軸を回転可能に支持する左右一対の軸箱と、上下方向における台車枠と軸箱との間に配置されている軸バネと、を有している。
【0004】
軸バネは、基準となる第一軸を中心とする複数の筒と、複数の筒の相互間に配置されているゴムと、を有している。ゴムは、隣り合っている筒の相互間であって、第一軸と垂直な第二軸を含む領域に配置され、第一軸及び第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていない。この軸バネは、第一軸が上下方向を向き、且つ第三軸、つまりゴムが配置されていない部分が台車枠の左右方向を向くように配置され、台車枠の上下方向及び左右方向の剛性が低く、この方向に比較的弾性変形し易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2951368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の台車では、曲がっているレール上を鉄道車両が走行する際には、左右一対の車輪の中間を通り、上下方向に延びる仮想の旋回軸回り方向に、軸バネ等が僅かに変形することで、車輪及び輪軸を操舵可能にしていると考えられる。しかしながら、当該台車の軸バネは、前述したように、台車枠の上下方向及び左右方向に比較的弾性変形し易くなっているものの、前述の仮想の旋回軸回り方向の剛性が比較的高く、この方向における大きな変形は望めない。このため、上記特許文献1に記載の台車では、曲線半径の小さなレール上を走行することが困難である、という問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、曲線半径の小さなレール上を円滑に走行できる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための発明に係る鉄道車両は、
車体と、該車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両において、前記台車は、前記車体の下部に配置されている台車枠と、該台車枠に取り付けられている1以上の輪軸ユニットと、を備え、前記輪軸ユニットは、左右の一対の車輪と、該一対の車輪のそれぞれの回転軸となる輪軸と、該輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱と、第一方向で弾性変形し、前記軸箱を基準にした上下方向の成分を有する方向に該第一方向を向けて、前記台車枠と前記軸箱との間に配置されている軸バネと、を有し、前記1以上の前記輪軸ユニットのうちの少なくとも一の輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に垂直な方向で且つ前記軸箱に支持されている前記輪軸に垂直な前後方向の剛性、及び、該輪軸が延びている左右方向の剛性に対して、該上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が低い旋回許容軸バネである、ことを特徴とする
【0009】
当該鉄道車両では、軸バネが仮想旋回円に沿った方向の剛性が低いため、この仮想旋回円の旋回軸を中心として、比較的に容易に輪軸を旋回させることができる。このため、輪軸の旋回可能な角度が大きくなり、つまり、車輪の径方向と軌道の延存する方向との間の角度の差が小さくなり、曲線半径の小さなレール上も円滑に走行できる。また、当該鉄道車両では、台車枠に対する輪軸の上下方向の相対移動を吸収するための軸バネで、輪軸の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【0010】
ここで、前記鉄道車両において、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に垂直な面内方向で、剛性の高い高剛性部と、該高剛性部の剛性よりも低い低剛性部とを有し、該低剛性部が前記仮想旋回円の周上に位置する向きに配置されていてもよい。この場合、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に延びている第一軸を中心軸とする複数の筒と、該複数の筒の相互間であって、該第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、該第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、該第三軸を含む該領域が前記低剛性部を成してもよい。
【0011】
また、前記鉄道車両において、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板と、複数の境界板の相互間に配置されているゴムと、を有し、該第一方向が上下方向に対して傾斜し、且つ該境界板が前記仮想旋回円に沿った方向を向くように配置されていてもよい。
【0012】
また、前記鉄道車両において、前記旋回軸は、前記輪軸上であって、該輪軸が伸びている方向の中心に位置していてもよい。
【0013】
当該鉄道車両では、より小さな曲線半径のレール上を走行することができる。
【0014】
また、前記鉄道車両において、前記台車は、前記車体に対して該車体の前後方向に間隔をあけて一対配置されており、前記輪軸ユニットとして、前記車体の前後方向での外側に配置されている外側輪軸ユニットと、該車体の前後方向における中央側に配置されている中央側輪軸ユニットとを有してもよい。
【0015】
また、外側輪軸ユニット及び中央側輪軸ユニットを有している前記鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニット及び前記中央側輪軸ユニットは、いずれも前記旋回許容軸バネを有してもよい。この場合、前記外側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該外側輪軸ユニットの前記輪軸から前記中央側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置し、前記中央側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸から前記外側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置してもよい。
【0016】
当該鉄道車両でも、各輪軸ユニットが旋回許容軸バネを有しているので、曲率半径の小さなレール上を走行できる。また、当該鉄道車両では、中央側輪軸の軸バネに関し、当該軸バネのゴムが配置されていない領域を当該輪軸方向に配することにより、外側輪軸ユニットの輪軸のみをレール形状に沿って旋回させることができる。この場合、小さい曲線半径のレール上を走行できるとともに、直線状のレール上でも、安定走行することができる。
【0017】
また、前記鉄道車両において、前記外側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記旋回許容軸バネであり、前記中央側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸が延びている前記左右方向の剛性以上であってもよい。
【0018】
当該鉄道車両では、外側輪軸ユニットの輪軸は比較的容易に旋回できるものの、中央側輪軸ユニットの輪軸はほとんど旋回できない。このため、曲線半径の小さなレール上でも直線状のレール上でも、安定走行することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、軸バネが仮想旋回円に沿った方向の剛性が低いため、この仮想旋回円の旋回軸を中心として、比較的に容易に輪軸を旋回させることができる。よって、本発明によれば、曲線半径の小さなレール上も円滑に走行できる。また、本発明では、台車枠に対する輪軸の上下方向の相対移動を吸収するための軸バネで、輪軸の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の正面図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両の概略平面図である。
【図5】本発明に係る第一実施形態における軸バネの平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明に係る第二実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図8】本発明に係る第二実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図9】本発明に係る第二実施形態における軸箱リンクの平面図である。
【図10】本発明に係る第三実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図11】本発明に係る第三実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図12】本発明に係る第三実施形態における軸バネの断面図である。
【図13】本発明に係る第四実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図14】本発明に係る第四実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図15】本発明に係る第四実施形態における軸バネの断面図である。
【図16】本発明に係る第五実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図17】本発明に係る第五実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図18】本発明に係る第六実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図19】本発明に係る第六実施形態における鉄道車両が曲がっているレール上を走行している際の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る鉄道車両の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
「第一実施形態」
まず、図1〜図6を用いて、本発明に係る第一実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0023】
本実施形態の鉄道車両は、図4に示すように、車体1と、この車体1の下部において車体1の前後方向に間隔をあけて配置されている一対の台車10と、を備えている。この台車10は、図1〜図3に示すように、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、この空気バネ15を車体1の前後方向から挟むようにして台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪を含む輪軸ユニット20と、を備えている。なお、以下において、特に断りなく、単に、「上下方向」「前後方向」「左右方向」としている場合、これらの方向は、当該鉄道車両が水平で且つ直線レール上に位置しているときの車体1を基準にした方向を示しているものとする。すなわち、「上下方向」とは軌道の延在方向に直交する断面において該軌道に対して垂直な方向を意味し、「前後方向」とは軌道の延在方向を意味し、さらに、「左右方向」とは軌道の幅方向を意味している。
【0024】
台車枠11は、前後方向に延びる左右一対の台車枠側梁12と、一対の台車枠側梁12の前後方向の端部で両者を連結する端横梁13と、一対の台車枠側梁12の前後方向の中間部で両者を連結する中間横梁14と、有している。
【0025】
空気バネ15は、一対の台車枠側梁12のそれぞれの前後方向の中央部と、車体1との間に配置されている。
【0026】
輪軸ユニット20は、図4に示すように、前後方向に間隔をあけて配置されている一対の台車10のうち、前側の台車10に関しては、前側の台車10の前側(外側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、前側の台車10の後側(中央側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがあり、後側の台車10に関しては、後側の台車10の後側(外側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、後側の台車10の前側(中央側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがある。すなわち、1台の台車10の輪軸ユニット20としては、図1に示すように、台車枠11における車体1の前後方向での外側(図1における左側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、台車枠11における、車体1の前後方向における中央側(図1における右側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがある。
【0027】
各輪軸ユニット20は、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、を有している。
【0028】
左右一対の軸箱25は、それぞれ軸箱25が支持している輪軸22を基準にして、この輪軸22に対して垂直な前側及び後側に伸びる張出し部26を有している。各張出し部26は、台車枠側梁12の下方に位置している。軸バネ30は、軸箱25の前側の張出し部26と台車枠側梁12との間、この軸箱25の後側の張出し部26と台車枠側梁12との間に設けられている。すなわち、軸バネ30は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10には合計8個設けられている。
【0029】
各輪軸ユニット20の各軸バネ30は、いずれも図5及び図6に示すように、基準となる第一軸A1を中心軸とする複数の筒31と、複数の筒31の相互間に配置されている弾性体としてのゴム32と、を有している。複数の筒31は、いずれも円錐の底面に平行な面で、この円錐の頭部を切断した立体形状の周面の形状を成している。
【0030】
ゴム32は、第一軸A1に対して垂直な面内の方向で、第一軸A1に垂直な第二軸A2を含む領域に配置され、第一軸A1及び第二軸A2に垂直な第三軸A3を含む領域には、配置されていない。この軸バネ30で、ゴム32が配置されている領域が高剛性部33を成し、ゴム32が配置されていない領域が低剛性部34を成している。
【0031】
この軸バネ30は、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向くよう配置され、旋回許容軸バネ30aを成している。ここで、旋回円Cとは、図1に示すように、左右方向における輪軸22の中心を通り、上下方向に延びる旋回軸Acを中心として、軸バネ30の第一軸A1を通る円のことである。
【0032】
以上、本実施形態の旋回許容軸バネ30aは、第一軸A1が上下方向を向いているため、台車枠11に対する軸箱25及びこの軸箱25に支持されている輪軸22の相対的上下動を吸収することができる。
【0033】
また、この旋回許容軸バネ30aにおける旋回円Cの接線方向の剛性は、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向き、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円Cが横切っているため、この旋回許容軸バネ30aの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっている。
【0034】
ここで、旋回許容軸バネ30aの前後方向は、軸箱25を基準として上下方向に垂直な方向で、且つこの軸箱25に支持されている輪軸22に垂直な方向である。また、旋回許容軸バネ30aの左右方向は、この輪軸22が延びている方向である。なお、以上での定義した旋回許容軸バネ30aの前後方向及び前後方向と、当該鉄道車両が水平で且つ直線レール上に位置しているときの車体1を基準にしたこれらの方向とは、同じ方向になる。また、以下で説明する他の実施形態においても、旋回許容軸バネの前後方向及び左右方向は、以上で定義した意味である。
【0035】
このように、旋回許容軸バネ30aにおける旋回円Cの接線方向の剛性が、この旋回許容軸バネ30aの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっているため、この旋回許容軸バネ30a及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、前述の旋回軸Acを中心として、比較的容易に旋回することができる。さらに、本実施形態では、輪軸22が旋回軸Acを中心として旋回した場合、この輪軸22は、旋回許容軸バネ30aのゴム32から、この旋回を戻そうとする弾性力を常に受けることになる。
【0036】
よって、本実施形態では、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0037】
また、本実施形態では、軸箱25及びこの軸箱25に支持されている輪軸22の上下動を吸収するための軸バネ30で、輪軸22及び車輪21の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、軸バネ30の第三軸A3を旋回円Cの接線方向に向けているが、この第三軸A3を旋回円Cの接線方向に正確に向けなくても、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円Cが横切る向きに向ければ、以上と同様に、小曲線半径のレール上でも円滑に走行することができる。
【0039】
「第二実施形態」
次に、図7〜図9を用いて、本発明に係る第二実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0040】
本実施形態の鉄道車両の台車10bも、図7及び図8に示すように、第一実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20bと、を備えている。また、輪軸ユニット20bも、第一実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0041】
各輪軸ユニット20bは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、左右一対の軸箱25を上下方向に移動可能に支持する軸箱リンク27と、を有している。
【0042】
軸箱リンク27の一方の端部は、一つの軸箱25とピン結合し、他方の端部は、台車枠11の中間横梁14とピン結合している。各軸箱25の上方には、台車枠側梁12が位置している。すなわち、軸箱リンク27の一方の端部がピン結合する各軸箱25は、左右方向において、台車枠側梁12の位置に設けられている。一方、軸箱リンク27の他方の端部がピン結合する中間横梁14は、一対の台車枠側梁12に対して、左右方向の内側に設けられている。このため、軸箱リンク27は、軸箱25から中間横梁14に向かうに連れて、台車枠11の左右方向の内側に傾斜する傾斜部28を有している。
【0043】
各軸箱リンク27の各ピン結合部分には、図9に示すように、球面ブッシュ29が設けられており、各ピン結合部分を中心として他方のピン結合部分が相対的に揺動できるようになっている。
【0044】
図7及び図8に示すように、軸箱25と台車枠側梁12との間であって、前後方向において軸箱25が支持している輪軸22と同じ位置には、一つの軸バネ30が設けられている。すなわち、本実施形態において、軸バネ30は、一つの軸箱25に対して1個設けられ、一つの台車10bには合計4個設けられている。
【0045】
各軸バネ30は、第一実施形態と同様の軸バネ30であり、この軸バネ30は、第一実施形態と同様、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円C1の接線方向を向くよう配置され、旋回許容軸バネ30bを成している。但し、本実施形態における旋回円C1は、左右一対の軸箱リンク27のうち、一方の軸箱リンク27の軸箱25とのピン結合位置とこの軸箱リンク27の中間横梁14とのピン結合位置とを結ぶ線分の延長線と、他方の軸箱リンク27の軸箱25とのピン結合位置とこの軸箱リンク27の中間横梁14とのピン結合位置とを結ぶ線分の延長線との交点を通り、上下方向に延びる旋回軸Ac1を中心として、軸バネ30の第一軸A1を通る円のことである。
【0046】
以上、本実施形態でも、旋回許容軸バネ30bにおける旋回円C1の接線方向の剛性は、第三軸A3が旋回円C1の接線方向を向き、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円C1が横切っているため、この旋回許容軸バネ30bの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっている。このため、この旋回許容軸バネ30b及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Ac1を中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、旋回円C1の半径が第一実施形態の旋回円Cの半径よりも大きいため、円滑に走行できるレールの曲線半径は、第一実施形態よりも大きくなる。
【0048】
「第三実施形態」
次に、図10〜図12を用いて、本発明に係る第三実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0049】
本実施形態の鉄道車両の台車10cも、図10及び図11に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20cと、を備えている。また、輪軸ユニット20cも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0050】
各輪軸ユニット20cは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0051】
左右一対の軸箱25は、いずれも側面視(図11)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25hを底辺とする等脚台形状を成し、また、平面視(図10)でも左右方向の端側の辺、つまり上面における車幅方向の端部の辺25gを底辺とする等脚台形状を成している。この軸箱25で、側面視における等脚辺を含み且つ平面視における等脚辺を含む面は、軸バネ受け面26cを成している。すなわち、一つの軸箱25には、傾斜した二つの軸バネ受け面26cが形成されている。これらの軸バネ受け面26cは、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10cの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0052】
台車枠側梁12は、軸箱25の上方側に存在するものの、左右方向における位置が軸箱25と異なっている。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26cに平行な軸バネ受け面12cが形成されている。
【0053】
軸箱25の各軸バネ受け面26cと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12cとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態において、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10cには合計8個設けられている。
【0054】
各輪軸ユニット20cの各軸バネ35は、いずれも図12に示すように、基準となる第一軸A1が延びている第一方向に、所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板36と、複数の境界板36の相互間に配置されている弾性体としてのゴム37と、を有している。この軸バネ35は、第一方向の剛性が最も高く、第一方向に垂直な面の各方向の剛性は、互いにほぼ同じで、第一方向の剛性よりも低い。
【0055】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26cに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は、台車枠側梁12の軸バネ受け面12cに取り付けられている。よって、軸バネ35の第一軸A1は、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10cの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0056】
このため、軸バネ35が取り付けられている状態で、この軸バネ35中の全ての境界板36は、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、旋回円Cに沿った方向を向いている。より正確には、この軸バネ35のいずれかの境界板36面中のいずれかの点と旋回円Cとの交点が、実質的に、この旋回円Cの接点になっている。ここで、旋回円Cとは、左右方向における輪軸22の中心を通り、上下方向に延びる旋回軸Acを中心として、軸バネ35を横切る円のことである。
【0057】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35cを成し、この旋回許容軸バネ35cの上下方向、前後方向及び左右方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円Cに沿った方向の剛性は、上下方向、前後方向及び左右方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35c及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0058】
「第四実施形態」
次に、図13〜図15を用いて、本発明に係る第四実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0059】
本実施形態の鉄道車両の台車10dも、図13及び図14に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20dと、を備えている。また、輪軸ユニット20dも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0060】
各輪軸ユニット20dは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0061】
左右一対の軸箱25は、いずれも第三実施形態と同様、側面視(図14)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25hを底辺とする等脚台形状を成し、また、平面視(図13)でも左右方向の端側の辺、つまり上面における車幅方向の端部の辺25gを底辺とする等脚台形状を成している。この軸箱25で、側面視における等脚辺を含み且つ平面視における等脚辺を含む面は、軸バネ受け面26dを成している。すなわち、本実施形態も、一つの軸箱25には、傾斜した二つの軸バネ受け面26dが形成されている。これらの軸バネ受け面26dは、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0062】
台車枠側梁12は、第三実施形態と異なり、軸箱25の上方に存在し、左右方向における位置が軸箱25と同じである。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26dに平行な軸バネ受け面12dが形成されている。
【0063】
軸箱25の各軸バネ受け面26dと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12dとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態において、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10dには合計8個設けられている。
【0064】
各輪軸ユニット20dの各軸バネ35は、いずれも第三実施形態の軸バネ35と同じものである。但し、本実施形態では、図15に示すように、複数の境界板36は互いに平行であるものの、第一方向の一方の端に位置している境界板36に対して、この境界板36と平行な方向に、隣接している境界板36を所定距離だけ平行移動し、この境界板36に対して、さらに隣接している境界板36を同方向に所定距離だけ平行移動し、以下、同様に、隣接している境界板36を同方向に所定距離だけ平行移動したものである。このため、第三実施形態の軸バネ35において、境界板36に対して垂直な第一軸A1は、境界板36に対して傾斜した軸となっている。
【0065】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26dに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は、台車枠側梁12の軸バネ受け面12dに取り付けられている。このため、軸バネ35の第一軸A1は、台車10dの平面視で、前後方向を向いていると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。よって、第一軸A1に傾斜している各境界板36は、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、第三実施形態と同様の旋回円Cに沿う方向を向いている。
【0066】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35dを成し、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円Cに沿った方向の剛性は、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35d及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0067】
「第五実施形態」
次に、図16及び図17を用いて、本発明に係る第五実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0068】
本実施形態の鉄道車両の台車10eも、図16及び図17に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20eと、を備えている。また、輪軸ユニット20eも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0069】
各輪軸ユニット20eは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0070】
左右一対の軸箱25は、第四実施形態と同様、側面視(図17)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25iを底辺とする等脚台形状をなしている。一方、左右一対の軸箱25は、平面視(図16)が、第四実施形態と異なり、平行四辺形状を成している。側面視における等脚辺を含み且つ平面視における互いに平行な辺を含む面は、軸バネ受け面26eを成している。すなわち、本実施形態では、一つの軸箱25には、互いに平行で且つ傾斜した二つの軸バネ受け面26eが形成されている。これらの軸バネ受け面26eは、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0071】
台車枠側梁12は、軸箱25の上方に存在し、左右方向における位置が軸箱25と同じである。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26eに平行な軸バネ受け面12eが形成されている。なお、台車枠側梁12の各軸バネ受け面12eも互いに平行である。
【0072】
軸箱25の各軸バネ受け面26eと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12eとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態においても、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10eには合計8個設けられている。
【0073】
各輪軸ユニット20eの各軸バネ35は、いずれも第四実施形態の軸バネ35と同じものである。
【0074】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26eに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は台車枠側梁12の軸バネ受け面26eに取り付けられている。このため、軸バネ35の第一軸A1は、台車10eの平面視で、前後方向を向いていると共に、台車10eの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。さらに、本実施形態では、軸箱25の二つの軸バネ受け面26eと台車枠側梁12の軸バネ受け面12eとの間に配置されている二つの軸バネ35の境界板36は、第四実施形態と異なり、互いに平行である。
【0075】
よって、本実施形態では、第一軸A1に傾斜している各境界板36が、台車10eの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、旋回円C2に沿った方向を向いている。ここで、旋回円C2とは、左右方向における輪軸22の中心を通り、前後方向の伸びる線上であって、外側輪軸ユニット20eの輪軸22と中央側輪軸ユニット20eの輪軸22との中間点で上下方向に延びる旋回軸Ac2を中心として、これら軸バネ35を横切る円のことである。
【0076】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35eを成し、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円C2に沿った方向の剛性は、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35e及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Ac2を中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、旋回円の半径が第四実施形態よりも大きいため、円滑に走行できるレールの曲線半径は、第四実施形態よりも大きくなる。
【0078】
また、以上の第三〜第五実施形態では、軸バネ35の境界板36を旋回円に沿った方向を向くよう、配置しているが、この場合、境界板36が旋回円に沿った方向を向くとは、この境界板36面中のいずれか点と旋回軸とを通る線と、旋回円C2との交点での接線方向に対して、境界板36が0〜±45°の角度を成していることである。
【0079】
また、以上の各実施形態の鉄道車両は、いずれも、1台の車体1に対して2台の台車10が設けられているものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1台の車体1に対して台車10が1台のみ設けられているものにも適用することができる。この場合、1台の台車10に対して、4つの空気バネ15を設け、これら4つの空気バネ15で車体1を支持するようにすることが好ましい。これら4つの空気バネ15は、例えば、1台の台車10中の前後の輪軸22のそれぞれの上方に配置する方法が考えられる。このように、1台の車体1に対して台車10を1台のみ設ける場合、空気バネ15の数や位置に応じて、台車枠側梁12等の形状が変わる。
【0080】
「第六実施形態」
次に、図18及び図19を用いて、本発明に係る第六実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0081】
本実施形態の鉄道車両の台車10fは、第一実施形態の変形例であり、図18に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20fと、を備えている。また、輪軸ユニット20fも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニット20foと、中央側輪軸ユニット20fiとがある。
【0082】
各輪軸ユニット20fは、基本的に、第一実施形態の輪軸ユニット20と同一で、一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、を有している。各輪軸ユニット20fの軸箱25は、輪軸22を基準にして、この輪軸22に対して垂直な前側及び後側に伸びる張出し部26を有しており、各張出し部26と台車枠側梁12との間に、第一実施形態における軸バネ30が設けられている。
【0083】
外側輪軸ユニット20foの軸バネ30は、第一実施形態と同様、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向くよう、配置され、旋回許容軸バネ30aを成している。
【0084】
一方、中央側輪軸ユニット20fiの軸バネ30は、第一軸A1が上下方向を向いているものの、第一実施形態と異なり、第三軸A3が左右方向を向くよう配置され、この中央側輪軸ユニット20fiの旋回円に沿った方向の剛性が、左右方向の剛性より高く、旋回許容軸バネ30aを成していない。
【0085】
よって、本実施形態では、外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回する一方で、中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22はほとんど旋回しない。
【0086】
このため、本実施形態の鉄道車両が曲率半径Rのレール上を走行する場合、図19を示すように、車体1の前側の下部に配置されている前側台車10fの前側の輪軸ユニット、つまり外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、レールの形状に沿って旋回するものの、後側の輪軸ユニット、つまり中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22は、ほとんど旋回しない。また、車体1の後側の下部に配置されている後側台車10fの前側の輪軸ユニット、つまり中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22は、ほとんど旋回しないものの、後側の輪軸ユニット、つまり外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、レールの形状に沿って旋回する。
【0087】
以上のように、本実施形態では、前側台車10f及び後側台車10fの中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22がほとんど旋回しないものの、前側台車10f及び後側台車10fの外側輪軸ユニット20fo、つまり、この車両の最前部の輪軸ユニット20fo及び最後部の輪軸ユニット20foの輪軸22がレール形状に沿って旋回する。このため、本実施形態でも、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上を円滑に走行することができる。
【0088】
また、本実施形態では、各台車10fの中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22がほとんど旋回しないため、直線のレール上を安定走行することができる。
【0089】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、他の各実施形態においても同様に、変形してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1:車体、10,10b,10c,10d,10f:台車、11:台車枠、15:空気バネ、20,20b,20c,20d,20e,20f:輪軸ユニット、20o,20fo:外側輪軸ユニット、20i,20fi:中央側輪軸ユニット、21:車輪、22:輪軸、25:軸箱、30,35:軸バネ、30a,30b,35c,35d,35e:旋回許容軸バネ、31:筒、32:ゴム、33:高剛性部、34:低剛性部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体と、車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用台車としては、例えば、特許文献1に記載されている台車がある。
【0003】
この台車は、車体の下部に空気バネを介して取り付けられた台車枠と、左右一対の車輪と、一対の車輪を連結する輪軸と、この輪軸を回転可能に支持する左右一対の軸箱と、上下方向における台車枠と軸箱との間に配置されている軸バネと、を有している。
【0004】
軸バネは、基準となる第一軸を中心とする複数の筒と、複数の筒の相互間に配置されているゴムと、を有している。ゴムは、隣り合っている筒の相互間であって、第一軸と垂直な第二軸を含む領域に配置され、第一軸及び第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていない。この軸バネは、第一軸が上下方向を向き、且つ第三軸、つまりゴムが配置されていない部分が台車枠の左右方向を向くように配置され、台車枠の上下方向及び左右方向の剛性が低く、この方向に比較的弾性変形し易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2951368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の台車では、曲がっているレール上を鉄道車両が走行する際には、左右一対の車輪の中間を通り、上下方向に延びる仮想の旋回軸回り方向に、軸バネ等が僅かに変形することで、車輪及び輪軸を操舵可能にしていると考えられる。しかしながら、当該台車の軸バネは、前述したように、台車枠の上下方向及び左右方向に比較的弾性変形し易くなっているものの、前述の仮想の旋回軸回り方向の剛性が比較的高く、この方向における大きな変形は望めない。このため、上記特許文献1に記載の台車では、曲線半径の小さなレール上を走行することが困難である、という問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、曲線半径の小さなレール上を円滑に走行できる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための発明に係る鉄道車両は、
車体と、該車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両において、前記台車は、前記車体の下部に配置されている台車枠と、該台車枠に取り付けられている1以上の輪軸ユニットと、を備え、前記輪軸ユニットは、左右の一対の車輪と、該一対の車輪のそれぞれの回転軸となる輪軸と、該輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱と、第一方向で弾性変形し、前記軸箱を基準にした上下方向の成分を有する方向に該第一方向を向けて、前記台車枠と前記軸箱との間に配置されている軸バネと、を有し、前記1以上の前記輪軸ユニットのうちの少なくとも一の輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に垂直な方向で且つ前記軸箱に支持されている前記輪軸に垂直な前後方向の剛性、及び、該輪軸が延びている左右方向の剛性に対して、該上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が低い旋回許容軸バネである、ことを特徴とする
【0009】
当該鉄道車両では、軸バネが仮想旋回円に沿った方向の剛性が低いため、この仮想旋回円の旋回軸を中心として、比較的に容易に輪軸を旋回させることができる。このため、輪軸の旋回可能な角度が大きくなり、つまり、車輪の径方向と軌道の延存する方向との間の角度の差が小さくなり、曲線半径の小さなレール上も円滑に走行できる。また、当該鉄道車両では、台車枠に対する輪軸の上下方向の相対移動を吸収するための軸バネで、輪軸の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【0010】
ここで、前記鉄道車両において、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に垂直な面内方向で、剛性の高い高剛性部と、該高剛性部の剛性よりも低い低剛性部とを有し、該低剛性部が前記仮想旋回円の周上に位置する向きに配置されていてもよい。この場合、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に延びている第一軸を中心軸とする複数の筒と、該複数の筒の相互間であって、該第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、該第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、該第三軸を含む該領域が前記低剛性部を成してもよい。
【0011】
また、前記鉄道車両において、前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板と、複数の境界板の相互間に配置されているゴムと、を有し、該第一方向が上下方向に対して傾斜し、且つ該境界板が前記仮想旋回円に沿った方向を向くように配置されていてもよい。
【0012】
また、前記鉄道車両において、前記旋回軸は、前記輪軸上であって、該輪軸が伸びている方向の中心に位置していてもよい。
【0013】
当該鉄道車両では、より小さな曲線半径のレール上を走行することができる。
【0014】
また、前記鉄道車両において、前記台車は、前記車体に対して該車体の前後方向に間隔をあけて一対配置されており、前記輪軸ユニットとして、前記車体の前後方向での外側に配置されている外側輪軸ユニットと、該車体の前後方向における中央側に配置されている中央側輪軸ユニットとを有してもよい。
【0015】
また、外側輪軸ユニット及び中央側輪軸ユニットを有している前記鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニット及び前記中央側輪軸ユニットは、いずれも前記旋回許容軸バネを有してもよい。この場合、前記外側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該外側輪軸ユニットの前記輪軸から前記中央側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置し、前記中央側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸から前記外側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置してもよい。
【0016】
当該鉄道車両でも、各輪軸ユニットが旋回許容軸バネを有しているので、曲率半径の小さなレール上を走行できる。また、当該鉄道車両では、中央側輪軸の軸バネに関し、当該軸バネのゴムが配置されていない領域を当該輪軸方向に配することにより、外側輪軸ユニットの輪軸のみをレール形状に沿って旋回させることができる。この場合、小さい曲線半径のレール上を走行できるとともに、直線状のレール上でも、安定走行することができる。
【0017】
また、前記鉄道車両において、前記外側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記旋回許容軸バネであり、前記中央側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸が延びている前記左右方向の剛性以上であってもよい。
【0018】
当該鉄道車両では、外側輪軸ユニットの輪軸は比較的容易に旋回できるものの、中央側輪軸ユニットの輪軸はほとんど旋回できない。このため、曲線半径の小さなレール上でも直線状のレール上でも、安定走行することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、軸バネが仮想旋回円に沿った方向の剛性が低いため、この仮想旋回円の旋回軸を中心として、比較的に容易に輪軸を旋回させることができる。よって、本発明によれば、曲線半径の小さなレール上も円滑に走行できる。また、本発明では、台車枠に対する輪軸の上下方向の相対移動を吸収するための軸バネで、輪軸の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両用台車の正面図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における鉄道車両の概略平面図である。
【図5】本発明に係る第一実施形態における軸バネの平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明に係る第二実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図8】本発明に係る第二実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図9】本発明に係る第二実施形態における軸箱リンクの平面図である。
【図10】本発明に係る第三実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図11】本発明に係る第三実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図12】本発明に係る第三実施形態における軸バネの断面図である。
【図13】本発明に係る第四実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図14】本発明に係る第四実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図15】本発明に係る第四実施形態における軸バネの断面図である。
【図16】本発明に係る第五実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図17】本発明に係る第五実施形態における鉄道車両用台車の側面図である。
【図18】本発明に係る第六実施形態における鉄道車両用台車の平面図である。
【図19】本発明に係る第六実施形態における鉄道車両が曲がっているレール上を走行している際の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る鉄道車両の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
「第一実施形態」
まず、図1〜図6を用いて、本発明に係る第一実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0023】
本実施形態の鉄道車両は、図4に示すように、車体1と、この車体1の下部において車体1の前後方向に間隔をあけて配置されている一対の台車10と、を備えている。この台車10は、図1〜図3に示すように、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、この空気バネ15を車体1の前後方向から挟むようにして台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪を含む輪軸ユニット20と、を備えている。なお、以下において、特に断りなく、単に、「上下方向」「前後方向」「左右方向」としている場合、これらの方向は、当該鉄道車両が水平で且つ直線レール上に位置しているときの車体1を基準にした方向を示しているものとする。すなわち、「上下方向」とは軌道の延在方向に直交する断面において該軌道に対して垂直な方向を意味し、「前後方向」とは軌道の延在方向を意味し、さらに、「左右方向」とは軌道の幅方向を意味している。
【0024】
台車枠11は、前後方向に延びる左右一対の台車枠側梁12と、一対の台車枠側梁12の前後方向の端部で両者を連結する端横梁13と、一対の台車枠側梁12の前後方向の中間部で両者を連結する中間横梁14と、有している。
【0025】
空気バネ15は、一対の台車枠側梁12のそれぞれの前後方向の中央部と、車体1との間に配置されている。
【0026】
輪軸ユニット20は、図4に示すように、前後方向に間隔をあけて配置されている一対の台車10のうち、前側の台車10に関しては、前側の台車10の前側(外側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、前側の台車10の後側(中央側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがあり、後側の台車10に関しては、後側の台車10の後側(外側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、後側の台車10の前側(中央側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがある。すなわち、1台の台車10の輪軸ユニット20としては、図1に示すように、台車枠11における車体1の前後方向での外側(図1における左側)に配置されている外側輪軸ユニット20oと、台車枠11における、車体1の前後方向における中央側(図1における右側)に配置されている中央側輪軸ユニット20iとがある。
【0027】
各輪軸ユニット20は、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、を有している。
【0028】
左右一対の軸箱25は、それぞれ軸箱25が支持している輪軸22を基準にして、この輪軸22に対して垂直な前側及び後側に伸びる張出し部26を有している。各張出し部26は、台車枠側梁12の下方に位置している。軸バネ30は、軸箱25の前側の張出し部26と台車枠側梁12との間、この軸箱25の後側の張出し部26と台車枠側梁12との間に設けられている。すなわち、軸バネ30は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10には合計8個設けられている。
【0029】
各輪軸ユニット20の各軸バネ30は、いずれも図5及び図6に示すように、基準となる第一軸A1を中心軸とする複数の筒31と、複数の筒31の相互間に配置されている弾性体としてのゴム32と、を有している。複数の筒31は、いずれも円錐の底面に平行な面で、この円錐の頭部を切断した立体形状の周面の形状を成している。
【0030】
ゴム32は、第一軸A1に対して垂直な面内の方向で、第一軸A1に垂直な第二軸A2を含む領域に配置され、第一軸A1及び第二軸A2に垂直な第三軸A3を含む領域には、配置されていない。この軸バネ30で、ゴム32が配置されている領域が高剛性部33を成し、ゴム32が配置されていない領域が低剛性部34を成している。
【0031】
この軸バネ30は、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向くよう配置され、旋回許容軸バネ30aを成している。ここで、旋回円Cとは、図1に示すように、左右方向における輪軸22の中心を通り、上下方向に延びる旋回軸Acを中心として、軸バネ30の第一軸A1を通る円のことである。
【0032】
以上、本実施形態の旋回許容軸バネ30aは、第一軸A1が上下方向を向いているため、台車枠11に対する軸箱25及びこの軸箱25に支持されている輪軸22の相対的上下動を吸収することができる。
【0033】
また、この旋回許容軸バネ30aにおける旋回円Cの接線方向の剛性は、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向き、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円Cが横切っているため、この旋回許容軸バネ30aの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっている。
【0034】
ここで、旋回許容軸バネ30aの前後方向は、軸箱25を基準として上下方向に垂直な方向で、且つこの軸箱25に支持されている輪軸22に垂直な方向である。また、旋回許容軸バネ30aの左右方向は、この輪軸22が延びている方向である。なお、以上での定義した旋回許容軸バネ30aの前後方向及び前後方向と、当該鉄道車両が水平で且つ直線レール上に位置しているときの車体1を基準にしたこれらの方向とは、同じ方向になる。また、以下で説明する他の実施形態においても、旋回許容軸バネの前後方向及び左右方向は、以上で定義した意味である。
【0035】
このように、旋回許容軸バネ30aにおける旋回円Cの接線方向の剛性が、この旋回許容軸バネ30aの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっているため、この旋回許容軸バネ30a及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、前述の旋回軸Acを中心として、比較的容易に旋回することができる。さらに、本実施形態では、輪軸22が旋回軸Acを中心として旋回した場合、この輪軸22は、旋回許容軸バネ30aのゴム32から、この旋回を戻そうとする弾性力を常に受けることになる。
【0036】
よって、本実施形態では、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0037】
また、本実施形態では、軸箱25及びこの軸箱25に支持されている輪軸22の上下動を吸収するための軸バネ30で、輪軸22及び車輪21の旋回性を確保しているので、部品点数が増加せず、製造コストの増加を抑えることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、軸バネ30の第三軸A3を旋回円Cの接線方向に向けているが、この第三軸A3を旋回円Cの接線方向に正確に向けなくても、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円Cが横切る向きに向ければ、以上と同様に、小曲線半径のレール上でも円滑に走行することができる。
【0039】
「第二実施形態」
次に、図7〜図9を用いて、本発明に係る第二実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0040】
本実施形態の鉄道車両の台車10bも、図7及び図8に示すように、第一実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20bと、を備えている。また、輪軸ユニット20bも、第一実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0041】
各輪軸ユニット20bは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、左右一対の軸箱25を上下方向に移動可能に支持する軸箱リンク27と、を有している。
【0042】
軸箱リンク27の一方の端部は、一つの軸箱25とピン結合し、他方の端部は、台車枠11の中間横梁14とピン結合している。各軸箱25の上方には、台車枠側梁12が位置している。すなわち、軸箱リンク27の一方の端部がピン結合する各軸箱25は、左右方向において、台車枠側梁12の位置に設けられている。一方、軸箱リンク27の他方の端部がピン結合する中間横梁14は、一対の台車枠側梁12に対して、左右方向の内側に設けられている。このため、軸箱リンク27は、軸箱25から中間横梁14に向かうに連れて、台車枠11の左右方向の内側に傾斜する傾斜部28を有している。
【0043】
各軸箱リンク27の各ピン結合部分には、図9に示すように、球面ブッシュ29が設けられており、各ピン結合部分を中心として他方のピン結合部分が相対的に揺動できるようになっている。
【0044】
図7及び図8に示すように、軸箱25と台車枠側梁12との間であって、前後方向において軸箱25が支持している輪軸22と同じ位置には、一つの軸バネ30が設けられている。すなわち、本実施形態において、軸バネ30は、一つの軸箱25に対して1個設けられ、一つの台車10bには合計4個設けられている。
【0045】
各軸バネ30は、第一実施形態と同様の軸バネ30であり、この軸バネ30は、第一実施形態と同様、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円C1の接線方向を向くよう配置され、旋回許容軸バネ30bを成している。但し、本実施形態における旋回円C1は、左右一対の軸箱リンク27のうち、一方の軸箱リンク27の軸箱25とのピン結合位置とこの軸箱リンク27の中間横梁14とのピン結合位置とを結ぶ線分の延長線と、他方の軸箱リンク27の軸箱25とのピン結合位置とこの軸箱リンク27の中間横梁14とのピン結合位置とを結ぶ線分の延長線との交点を通り、上下方向に延びる旋回軸Ac1を中心として、軸バネ30の第一軸A1を通る円のことである。
【0046】
以上、本実施形態でも、旋回許容軸バネ30bにおける旋回円C1の接線方向の剛性は、第三軸A3が旋回円C1の接線方向を向き、この第三軸A3を含む領域である低剛性部34を旋回円C1が横切っているため、この旋回許容軸バネ30bの前後方向の剛性や左右方向の剛性よりも小さくなっている。このため、この旋回許容軸バネ30b及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Ac1を中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、旋回円C1の半径が第一実施形態の旋回円Cの半径よりも大きいため、円滑に走行できるレールの曲線半径は、第一実施形態よりも大きくなる。
【0048】
「第三実施形態」
次に、図10〜図12を用いて、本発明に係る第三実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0049】
本実施形態の鉄道車両の台車10cも、図10及び図11に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20cと、を備えている。また、輪軸ユニット20cも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0050】
各輪軸ユニット20cは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0051】
左右一対の軸箱25は、いずれも側面視(図11)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25hを底辺とする等脚台形状を成し、また、平面視(図10)でも左右方向の端側の辺、つまり上面における車幅方向の端部の辺25gを底辺とする等脚台形状を成している。この軸箱25で、側面視における等脚辺を含み且つ平面視における等脚辺を含む面は、軸バネ受け面26cを成している。すなわち、一つの軸箱25には、傾斜した二つの軸バネ受け面26cが形成されている。これらの軸バネ受け面26cは、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10cの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0052】
台車枠側梁12は、軸箱25の上方側に存在するものの、左右方向における位置が軸箱25と異なっている。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26cに平行な軸バネ受け面12cが形成されている。
【0053】
軸箱25の各軸バネ受け面26cと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12cとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態において、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10cには合計8個設けられている。
【0054】
各輪軸ユニット20cの各軸バネ35は、いずれも図12に示すように、基準となる第一軸A1が延びている第一方向に、所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板36と、複数の境界板36の相互間に配置されている弾性体としてのゴム37と、を有している。この軸バネ35は、第一方向の剛性が最も高く、第一方向に垂直な面の各方向の剛性は、互いにほぼ同じで、第一方向の剛性よりも低い。
【0055】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26cに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は、台車枠側梁12の軸バネ受け面12cに取り付けられている。よって、軸バネ35の第一軸A1は、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10cの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0056】
このため、軸バネ35が取り付けられている状態で、この軸バネ35中の全ての境界板36は、台車10cの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、旋回円Cに沿った方向を向いている。より正確には、この軸バネ35のいずれかの境界板36面中のいずれかの点と旋回円Cとの交点が、実質的に、この旋回円Cの接点になっている。ここで、旋回円Cとは、左右方向における輪軸22の中心を通り、上下方向に延びる旋回軸Acを中心として、軸バネ35を横切る円のことである。
【0057】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35cを成し、この旋回許容軸バネ35cの上下方向、前後方向及び左右方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円Cに沿った方向の剛性は、上下方向、前後方向及び左右方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35c及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0058】
「第四実施形態」
次に、図13〜図15を用いて、本発明に係る第四実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0059】
本実施形態の鉄道車両の台車10dも、図13及び図14に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20dと、を備えている。また、輪軸ユニット20dも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0060】
各輪軸ユニット20dは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0061】
左右一対の軸箱25は、いずれも第三実施形態と同様、側面視(図14)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25hを底辺とする等脚台形状を成し、また、平面視(図13)でも左右方向の端側の辺、つまり上面における車幅方向の端部の辺25gを底辺とする等脚台形状を成している。この軸箱25で、側面視における等脚辺を含み且つ平面視における等脚辺を含む面は、軸バネ受け面26dを成している。すなわち、本実施形態も、一つの軸箱25には、傾斜した二つの軸バネ受け面26dが形成されている。これらの軸バネ受け面26dは、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0062】
台車枠側梁12は、第三実施形態と異なり、軸箱25の上方に存在し、左右方向における位置が軸箱25と同じである。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26dに平行な軸バネ受け面12dが形成されている。
【0063】
軸箱25の各軸バネ受け面26dと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12dとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態において、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10dには合計8個設けられている。
【0064】
各輪軸ユニット20dの各軸バネ35は、いずれも第三実施形態の軸バネ35と同じものである。但し、本実施形態では、図15に示すように、複数の境界板36は互いに平行であるものの、第一方向の一方の端に位置している境界板36に対して、この境界板36と平行な方向に、隣接している境界板36を所定距離だけ平行移動し、この境界板36に対して、さらに隣接している境界板36を同方向に所定距離だけ平行移動し、以下、同様に、隣接している境界板36を同方向に所定距離だけ平行移動したものである。このため、第三実施形態の軸バネ35において、境界板36に対して垂直な第一軸A1は、境界板36に対して傾斜した軸となっている。
【0065】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26dに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は、台車枠側梁12の軸バネ受け面12dに取り付けられている。このため、軸バネ35の第一軸A1は、台車10dの平面視で、前後方向を向いていると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。よって、第一軸A1に傾斜している各境界板36は、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、第三実施形態と同様の旋回円Cに沿う方向を向いている。
【0066】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35dを成し、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円Cに沿った方向の剛性は、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35d及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0067】
「第五実施形態」
次に、図16及び図17を用いて、本発明に係る第五実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0068】
本実施形態の鉄道車両の台車10eも、図16及び図17に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20eと、を備えている。また、輪軸ユニット20eも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニットと、中央側輪軸ユニットとがある。
【0069】
各輪軸ユニット20eは、いずれも前述の一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ35と、を有している。
【0070】
左右一対の軸箱25は、第四実施形態と同様、側面視(図17)で下辺、つまり軌道に対向する面における車幅方向の端部側の辺25iを底辺とする等脚台形状をなしている。一方、左右一対の軸箱25は、平面視(図16)が、第四実施形態と異なり、平行四辺形状を成している。側面視における等脚辺を含み且つ平面視における互いに平行な辺を含む面は、軸バネ受け面26eを成している。すなわち、本実施形態では、一つの軸箱25には、互いに平行で且つ傾斜した二つの軸バネ受け面26eが形成されている。これらの軸バネ受け面26eは、台車10dの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜していると共に、台車10dの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。
【0071】
台車枠側梁12は、軸箱25の上方に存在し、左右方向における位置が軸箱25と同じである。この台車枠側梁12には、軸箱25の各軸バネ受け面26eに平行な軸バネ受け面12eが形成されている。なお、台車枠側梁12の各軸バネ受け面12eも互いに平行である。
【0072】
軸箱25の各軸バネ受け面26eと台車枠側梁12の各軸バネ受け面12eとの間には、軸バネ35が配置されている。すなわち、本実施形態においても、軸バネ35は、一つの軸箱25に対して2個設けられ、一つの台車10eには合計8個設けられている。
【0073】
各輪軸ユニット20eの各軸バネ35は、いずれも第四実施形態の軸バネ35と同じものである。
【0074】
この軸バネ35の複数の境界板36のうち、第一方向の一方の端側の境界板36は、軸箱25の軸バネ受け面26eに取り付けられ、第一方向の他方の端側の境界板36は台車枠側梁12の軸バネ受け面26eに取り付けられている。このため、軸バネ35の第一軸A1は、台車10eの平面視で、前後方向を向いていると共に、台車10eの側面視で、前後方向のいずれか一方に向かうに連れて、上下方向のいずれか一方に向かうよう傾斜している。さらに、本実施形態では、軸箱25の二つの軸バネ受け面26eと台車枠側梁12の軸バネ受け面12eとの間に配置されている二つの軸バネ35の境界板36は、第四実施形態と異なり、互いに平行である。
【0075】
よって、本実施形態では、第一軸A1に傾斜している各境界板36が、台車10eの平面視で、左右方向のいずれか一方に向かうに連れて、前後方向のいずれか一方に向かうよう傾斜し、旋回円C2に沿った方向を向いている。ここで、旋回円C2とは、左右方向における輪軸22の中心を通り、前後方向の伸びる線上であって、外側輪軸ユニット20eの輪軸22と中央側輪軸ユニット20eの輪軸22との中間点で上下方向に延びる旋回軸Ac2を中心として、これら軸バネ35を横切る円のことである。
【0076】
軸バネ35は、以上にように傾斜配置されることで、旋回許容軸バネ35eを成し、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性は、ほぼ同じで、旋回円C2に沿った方向の剛性は、台車枠11の上下方向及び前後方向の剛性よりも低くなっている。このため、この旋回許容軸バネ35e及び軸箱25を介して、台車枠11に取り付けられている輪軸22は、旋回軸Ac2を中心として比較的容易に旋回することができる。よって、本実施形態でも、小曲線半径のレール上でも、円滑に走行することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、旋回円の半径が第四実施形態よりも大きいため、円滑に走行できるレールの曲線半径は、第四実施形態よりも大きくなる。
【0078】
また、以上の第三〜第五実施形態では、軸バネ35の境界板36を旋回円に沿った方向を向くよう、配置しているが、この場合、境界板36が旋回円に沿った方向を向くとは、この境界板36面中のいずれか点と旋回軸とを通る線と、旋回円C2との交点での接線方向に対して、境界板36が0〜±45°の角度を成していることである。
【0079】
また、以上の各実施形態の鉄道車両は、いずれも、1台の車体1に対して2台の台車10が設けられているものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1台の車体1に対して台車10が1台のみ設けられているものにも適用することができる。この場合、1台の台車10に対して、4つの空気バネ15を設け、これら4つの空気バネ15で車体1を支持するようにすることが好ましい。これら4つの空気バネ15は、例えば、1台の台車10中の前後の輪軸22のそれぞれの上方に配置する方法が考えられる。このように、1台の車体1に対して台車10を1台のみ設ける場合、空気バネ15の数や位置に応じて、台車枠側梁12等の形状が変わる。
【0080】
「第六実施形態」
次に、図18及び図19を用いて、本発明に係る第六実施形態としての鉄道車両について説明する。
【0081】
本実施形態の鉄道車両の台車10fは、第一実施形態の変形例であり、図18に示すように、以上の各実施形態と同様、車体1の下部に配置されている台車枠11と、台車枠11と車体1との間に配置されている空気バネ15と、台車枠11に取り付けられている左右一対の車輪21を含む輪軸ユニット20fと、を備えている。また、輪軸ユニット20fも、以上の各実施形態と同様、外側輪軸ユニット20foと、中央側輪軸ユニット20fiとがある。
【0082】
各輪軸ユニット20fは、基本的に、第一実施形態の輪軸ユニット20と同一で、一対の車輪21と、一対の車輪21を連結する輪軸22と、輪軸22を回転可能に支持する左右一対の軸箱25と、台車枠11と軸箱25との間に配置されている軸バネ30と、を有している。各輪軸ユニット20fの軸箱25は、輪軸22を基準にして、この輪軸22に対して垂直な前側及び後側に伸びる張出し部26を有しており、各張出し部26と台車枠側梁12との間に、第一実施形態における軸バネ30が設けられている。
【0083】
外側輪軸ユニット20foの軸バネ30は、第一実施形態と同様、第一軸A1が上下方向を向き、第三軸A3が旋回円Cの接線方向を向くよう、配置され、旋回許容軸バネ30aを成している。
【0084】
一方、中央側輪軸ユニット20fiの軸バネ30は、第一軸A1が上下方向を向いているものの、第一実施形態と異なり、第三軸A3が左右方向を向くよう配置され、この中央側輪軸ユニット20fiの旋回円に沿った方向の剛性が、左右方向の剛性より高く、旋回許容軸バネ30aを成していない。
【0085】
よって、本実施形態では、外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、旋回軸Acを中心として比較的容易に旋回する一方で、中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22はほとんど旋回しない。
【0086】
このため、本実施形態の鉄道車両が曲率半径Rのレール上を走行する場合、図19を示すように、車体1の前側の下部に配置されている前側台車10fの前側の輪軸ユニット、つまり外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、レールの形状に沿って旋回するものの、後側の輪軸ユニット、つまり中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22は、ほとんど旋回しない。また、車体1の後側の下部に配置されている後側台車10fの前側の輪軸ユニット、つまり中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22は、ほとんど旋回しないものの、後側の輪軸ユニット、つまり外側輪軸ユニット20foの輪軸22は、レールの形状に沿って旋回する。
【0087】
以上のように、本実施形態では、前側台車10f及び後側台車10fの中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22がほとんど旋回しないものの、前側台車10f及び後側台車10fの外側輪軸ユニット20fo、つまり、この車両の最前部の輪軸ユニット20fo及び最後部の輪軸ユニット20foの輪軸22がレール形状に沿って旋回する。このため、本実施形態でも、小曲線半径(例えば、曲線半径が50m)のレール上を円滑に走行することができる。
【0088】
また、本実施形態では、各台車10fの中央側輪軸ユニット20fiの輪軸22がほとんど旋回しないため、直線のレール上を安定走行することができる。
【0089】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、他の各実施形態においても同様に、変形してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1:車体、10,10b,10c,10d,10f:台車、11:台車枠、15:空気バネ、20,20b,20c,20d,20e,20f:輪軸ユニット、20o,20fo:外側輪軸ユニット、20i,20fi:中央側輪軸ユニット、21:車輪、22:輪軸、25:軸箱、30,35:軸バネ、30a,30b,35c,35d,35e:旋回許容軸バネ、31:筒、32:ゴム、33:高剛性部、34:低剛性部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、該車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両において、
前記台車は、前記車体の下部に配置されている台車枠と、該台車枠に取り付けられている1以上の輪軸ユニットと、を備え、
前記輪軸ユニットは、左右の一対の車輪と、該一対の車輪のそれぞれの回転軸となる輪軸と、該輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱と、第一方向で弾性変形し、前記軸箱を基準にした上下方向の成分を有する方向に該第一方向を向けて、前記台車枠と前記軸箱との間に配置されている軸バネと、を有し、
前記輪軸ユニットのうちの少なくとも一の輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に垂直な方向で且つ前記軸箱に支持されている前記輪軸に垂直な前後方向の剛性、及び、該輪軸が延びている左右方向の剛性に対して、該上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が低い旋回許容軸バネである、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に垂直な面内方向で、剛性の高い高剛性部と、該高剛性部の剛性よりも低い低剛性部とを有し、該低剛性部が前記仮想旋回円の周上に位置する向きに配置されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に延びている第一軸を中心軸とする複数の筒と、該複数の筒の相互間であって、該第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、該第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、該第三軸を含む該領域が前記低剛性部を成す、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板と、複数の境界板の相互間に配置されているゴムと、を有し、該第一方向が上下方向に対して傾斜し、且つ該境界板が前記仮想旋回円に沿った方向を向くよう、配置されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の鉄道車両において、
前記旋回軸は、前記輪軸上であって、該輪軸が伸びている方向の中心に位置している、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の鉄道車両において、
前記台車は、前記車体に対して該車体の前後方向に間隔をあけて一対配置されており、前記輪軸ユニットとして、前記車体の前後方向での外側に配置されている外側輪軸ユニットと、該車体の前後方向における中央側に配置されている中央側輪軸ユニットとを有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項6に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニット及び前記中央側輪軸ユニットは、いずれも前記旋回許容軸バネを有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項7に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該外側輪軸ユニットの前記輪軸から前記中央側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置し、
前記中央側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸から前記外側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項6に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記旋回許容軸バネであり、
前記中央側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が、該中央側輪軸ユニットの前記左右方向の剛性以上である、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項1】
車体と、該車体の下部に配置されている台車とを備えている鉄道車両において、
前記台車は、前記車体の下部に配置されている台車枠と、該台車枠に取り付けられている1以上の輪軸ユニットと、を備え、
前記輪軸ユニットは、左右の一対の車輪と、該一対の車輪のそれぞれの回転軸となる輪軸と、該輪軸を回転可能に支持する一対の軸箱と、第一方向で弾性変形し、前記軸箱を基準にした上下方向の成分を有する方向に該第一方向を向けて、前記台車枠と前記軸箱との間に配置されている軸バネと、を有し、
前記輪軸ユニットのうちの少なくとも一の輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に垂直な方向で且つ前記軸箱に支持されている前記輪軸に垂直な前後方向の剛性、及び、該輪軸が延びている左右方向の剛性に対して、該上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が低い旋回許容軸バネである、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に垂直な面内方向で、剛性の高い高剛性部と、該高剛性部の剛性よりも低い低剛性部とを有し、該低剛性部が前記仮想旋回円の周上に位置する向きに配置されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に延びている第一軸を中心軸とする複数の筒と、該複数の筒の相互間であって、該第一軸に垂直な第二軸を含む領域に配置され、該第一軸及び該第二軸に垂直な第三軸を含む領域には配置されていないゴムと、を有し、該第三軸を含む該領域が前記低剛性部を成す、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記旋回許容軸バネは、前記第一方向に所定の間隔を開けて互いに平行に配置されている複数の境界板と、複数の境界板の相互間に配置されているゴムと、を有し、該第一方向が上下方向に対して傾斜し、且つ該境界板が前記仮想旋回円に沿った方向を向くよう、配置されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の鉄道車両において、
前記旋回軸は、前記輪軸上であって、該輪軸が伸びている方向の中心に位置している、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の鉄道車両において、
前記台車は、前記車体に対して該車体の前後方向に間隔をあけて一対配置されており、前記輪軸ユニットとして、前記車体の前後方向での外側に配置されている外側輪軸ユニットと、該車体の前後方向における中央側に配置されている中央側輪軸ユニットとを有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項6に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニット及び前記中央側輪軸ユニットは、いずれも前記旋回許容軸バネを有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項7に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該外側輪軸ユニットの前記輪軸から前記中央側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置し、
前記中央側輪軸ユニットの前記旋回軸は、該中央側輪軸ユニットの前記輪軸から前記外側輪軸ユニット側に寄った箇所に位置する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項6に記載の鉄道車両において、
前記外側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記旋回許容軸バネであり、
前記中央側輪軸ユニットの前記軸バネは、前記上下方向に平行な旋回軸を中心として該軸バネを横切る仮想旋回円に沿った方向の剛性が、該中央側輪軸ユニットの前記左右方向の剛性以上である、
ことを特徴とする鉄道車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−171413(P2012−171413A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33499(P2011−33499)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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