鉄道運行管理における監視制御装置および監視方法
【課題】
アラームが発生するとそれを原因としたアラームが連鎖的に発生し対処が難しい。
【解決手段】
監視制御装置は、進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、アラームが生じた閉そくの名称、閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、線路を構成する複数の閉そくの間の幾何的な接続関係を記録する閉そく関係格納部と、アラームが生じた第一の閉そくの名称をアラーム発生状況格納部から取得して、閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じていることをアラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有する。
アラームが発生するとそれを原因としたアラームが連鎖的に発生し対処が難しい。
【解決手段】
監視制御装置は、進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、アラームが生じた閉そくの名称、閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、線路を構成する複数の閉そくの間の幾何的な接続関係を記録する閉そく関係格納部と、アラームが生じた第一の閉そくの名称をアラーム発生状況格納部から取得して、閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じていることをアラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄道運行管理で発生するアラームの監視、分析、対処方法の提示に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道運行管理の進路制御においては、ATS(Automatic Train Stop)による列車スピードの管理や、信号機による一定区間(閉そく区間)内の列車の在線管理等、地上設備による安全性の確保がなされている。このような基本的な安全が確保された上で、ダイヤ通りの列車運行を自動で行う自動進路制御装置が多くの線区で利用されている。自動進路制御装置は列車の在線状況や信号機の状態等地上設備の状態に関する情報を駅や線区ごとに収集し、ダイヤ情報と照らし合わせながらダイヤ通りの列車の運行がなされているかを逐次確認し、ダイヤ通りの運行に近づけるよう地上設備に対して命令を行う。しかし、列車のダイヤが大きく乱れた場合や地上設備が故障した場合には、自動進路制御装置は自動制御を行わず、指令員に対してアラームを発するとともに指令員に以降の制御をゆだねる。このような進路制御装置において、指令員は専用のマンマシンインターフェイス(以降、監視制御卓と呼ぶ)を用いて運行管理状況の確認や地上設備の制御命令を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-234345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指令員が運行状況の把握や地上設備に対する指示を行う監視制御卓において、地上設備の故障や列車の不具合によって運行が乱れた場合には、アラーム情報が監視制御卓に多数表示され、どのアラームに対処するべきなのか判断が難しかった。
【0005】
特許文献1ではこのような問題に対し一定区間内のアラーム発生を時刻ごとに記録し、その時系列情報を用いて解決を行っている。しかし、複数の原因が絡み合ってアラームが発生している状況ではアラーム同士の因果関係が不明瞭となるため、どのアラームを優先して解決すべきなのかを決定するためには因果関係の解明手段が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置は、
進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、
線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくを特定し当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録する閉そく関係格納部と、
アラームが生じた第一の閉そくの名称をアラーム発生状況格納部から取得して、閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかをアラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、
アラーム関係生成部によって格納される、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
複数のアラームが同時に発生しているような状況においても、どのアラームに対して対処すべきかが明確となり、アラームが発生するような事故や設備の不具合に対して迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アラームの分析と対処方法の提示の一例を示す概念図である。
【図2】鉄道運行管理システムの全体構成例を示す図である。
【図3】鉄道の線路を閉そくの単位で分割した例を示す図である。
【図4】制御監視卓のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】制御監視卓のソフトウェア構成例を示す図である。
【図6】制御監視卓の画面イメージの一例を示す図である。
【図7】アラーム−幾何対応テーブルの一例を示す図である。
【図8】順方向接続の関係を有する2つの閉塞区間の例を示す図である。
【図9】逆方向接続Aの関係を有する2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図10】終点片封鎖Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図11】終点両封鎖Aの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図12】終点両封鎖Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図13】交差Aの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図14】交差Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図15】アラーム発生状況の一例を示す図である。
【図16】アラーム発生状況テーブルの一例を示す図である。
【図17】ダイヤ情報テーブルの一例を示す図である。
【図18】閉そく関係テーブルの一例を示す図である。
【図19】アラーム関係生成部の動作フローの一例を示す図である。
【図20】アラーム原因関係テーブルの一例を示す図である。
【図21】提案出力部の動作フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は鉄道運行管理システムにおいて発生したアラームが分析され、対処方法が司令員に提示される様子を表した概念図である。
【0011】
監視制御卓制御部では、地上設備や列車から「他列車出発待ち」「進路妨害」「信号機故障」などのアラームを受信すると、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくの線路形状に基づいて、アラームを分析し、分析結果に応じてとり得る対処方法を監視制御卓画面に出力することで、対処方法を指令員に対して通知する。
【0012】
線路は閉そく(図3で説明)単位で区切られており、互いに接続している2つの閉そく間の幾何的な関係(以降、幾何関係とも呼ぶ)に基づいて、線路形状は定義できる。アラームの対処方法は、アラームの内容とこの幾何関係に基づいて定義することができるので、アラームが発生した時は、アラームの内容に応じて、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくや、当該閉そくと当該閉そくに接続する他の閉そくとの間の幾何関係を調べることで対処方法を決定し、対処方法を指令員に通知できる。
【0013】
図2は、列車の在線位置や、信号機、転轍機などの設備状態を監視しながら、列車運行計画に基づいて列車の運行を管理する鉄道運行管理システムの構成例を示す。鉄道運行管理システムは、進路制御装置201と計画系システム202と地上装置203と列車204と地上設備群205(図では軌道回路206と信号機207と転轍機208のみ記載)と監視制御卓(監視制御装置とも呼ぶ)209から構成される。
【0014】
進路制御装置201は計画系システム202によって決定された列車ダイヤ情報および地上設備203によって収集された地上設備群205の状態をネットワークを介して受信し、内部に有している。進路制御装置201は軌道回路206から得られる列車204の在線位置と列車ダイヤ情報に記載された出発時刻や計画進路を参照して、列車204の進路上に設置されている信号機207や転轍機208を地上装置203を介して制御する。
【0015】
監視制御卓209は監視制御卓制御部401と監視制御卓画面を有する。監視制御卓209は進路制御装置201と接続し、地上設備群205の制御状態や列車204の在線状況を監視し、状況に応じて地上設備群205に対する制御命令を司令員から受け付けてこれを進路制御装置201と地上装置203を介して地上設備群205へ送信する。もし、地上設備群205のトラブルや列車遅延状況等があった場合には、制御監視卓209は監視制御卓画面にアラームを出力する。
【0016】
計画系システム202は列車ダイヤや車両運用計画、点検・保守計画など列車の運行に関連する計画の作成を支援するシステムで、進路制御装置201とネットワークを介して接続されている。
【0017】
地上装置203は進路制御装置201とネットワークを介して接続されており、進路制御装置201から制御要求を受信して信号機207、転轍機208の反位制御を行う。また信号機207や転轍機208の状態(定位/反位)や軌道回路206の状態(落下/扛上)を監視し、結果を進路制御装置201に伝達する。
【0018】
列車204は内部にATS(Automatic Train Stop)やATC(Automatic Train Control)といった列車の自動停止や自動制御を行うための安全装置、車上の詳細な動作状態や故障情報を収集・表示・記録する情報管理システムなどの車上装置を有している。また車上装置が有する情報はデジタル無線を介して地上装置に送信する事が可能である。本実施形態では列車204の在線位置を軌道回路206の状態から判断する事を想定しているが、例えば車上装置が自列車の位置を算出または計測して、デジタル無線を介して地上装置に伝達することにより列車204の在線位置を判断してもよい。
【0019】
図3は線路形状の一例を示す図である。
【0020】
線路は閉そくを単位に区切られている。ここで閉そくとは信号機の防護区間のことであり、信号機の内方区間に設置された第一内方軌道回路から最終内方軌道回路までの線路領域を指す。図3においては、閉そくとは例えば閉そくA301、閉そくB302、閉そくC303、閉そくD304、閉そくE305、閉そくF306である。閉そくへの列車進入許可を運転手や指令員へと指示する装置が信号機であり、例えば閉そくへの列車進入許可は青信号を現示(進行現示)することにより、閉そくへの列車進入不許可は赤信号(停止現示)を現示することにより指示する。図3においては、例えば信号機D307が進行現示であれば列車U308は閉そくD304へ進入することができるが、信号機D307が停止現示であれば列車U308は閉そくD304へ進入することができない。
【0021】
ある任意の閉そく(閉そく1と呼ぶ)とこれに接続する他の一の閉そく(閉そく2と呼ぶ)との間の幾何関係は、重複する端点の数、重複する端点の種類、閉そく1に包含される閉そく2の端点数、閉そく1に包含される閉そく2の端点種類、閉そく2に包含される閉そく1の端点数、閉そく2に包含される閉そく1の端点種類、閉そく1と閉そく2の方向関係を基準に分類すると、実現不可能なものを除いて22パターンに分類できる。
【0022】
図4は監視制御卓制御部401のハードウェア構成例である。監視制御卓制御部401は、中央処理装置402と主記憶装置403と内部バス404とバスインタフェース405と外部バス406と入出力装置410と入出力装置インタフェース407と大容量記憶装置411と大容量記憶装置インタフェース408と通信装置412と通信装置インタフェース409から構成される。
【0023】
中央処理装置402はプログラム実行等の演算を行うための装置である。
【0024】
主記憶装置403はプログラム実行時の処理領域および計画系システム202や地上装置203との送受信に使用するデータの一時格納領域として使用される。例えばOS(Operating System)などの基本プログラムや、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509、従来制御卓制御部510、監視制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、提案出力部514、指令員制御出力部515を実現するプログラムや、アラーム−幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508、アラーム原因関係テーブル513等のデータをプログラム実行時に一時的に格納する。
【0025】
中央処理装置402と主記憶装置403は内部バス404により接続されており、内部バス404はバスインタフェース405を介して外部バス406に接続されている。
【0026】
入出力装置410はディスプレイやキーボード、マウスなど、ユーザとのインターフェースデバイスおよび外部媒体に読み書き可能なドライブ装置などである。図1に示した監視制御卓画面は入出力装置410としてのディスプレイの画面に相当する。ユーザはキーボードやマウスなどの入力デバイスを用いてプログラムの実行を制御することができる。
【0027】
大容量記憶装置411は例えばHDD(Hard Disk Drive)といった装置であり、基本プログラムや処理結果、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509、従来制御卓制御部510、監視制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、提案出力部514、指令員制御出力部515を実現するプログラムや、アラーム-幾何関係テーブル502、は閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508、アラーム原因関係テーブル513といったデータを、監視制御卓制御部の電源を切った後でも記憶することができる。各種処理実行の際には、中央処理装置402が主記憶装置403にこれらのプログラムやデータを読み出してプログラムを実行する。
【0028】
通信装置412は例えばEthernet(登録商標)を介して外部サーバ装置などと接続するための装置であり、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、アラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509は、外部装置と接続して動作する処理を通信装置412を通じて行う。
【0029】
入出力装置410と大容量記憶装置411と通信装置412はそれぞれ入出力装置インタフェース407と大容量記憶装置インタフェース408と通信装置インタフェース409を介して外部バス406と接続されている。尚、監視制御卓制御部410は入出力装置410、大容量記憶装置411、通信装置412を含まない構成とし、これらの構成要素は各種インタフェースを介して監視制御卓制御部410に接続される構成であってもよい。
【0030】
図5は監視制御卓制御部401のソフトウェア構成例を示す図である。
【0031】
監視制御卓制御部401は、アラーム-幾何関係入力部501、アラーム-幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、閉そく関係入力部504、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、ダイヤ情報テーブル508、在線状況情報受付部509、従来監視制御卓制御部510、制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、アラーム原因関係テーブル513、提案出力部514、指令員制御出力部515から構成される。
【0032】
アラームに対する対処方法を指令員へ提案するために、監視制御卓制御部401では大まかに2つのステップで処理を行う。第1のステップは、アラーム関係生成部512で同時期に発生しているアラーム同士のひもづけを行う処理であり、第2のステップはひもづけたアラームの情報を提案出力部514で解析し、解析結果に基づいて監視制御卓画面に出力するメッセージを決定する処理である。 複数アラーム間の関係のひもづけを行うためにアラーム関係生成部512は、アラーム−幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508の情報を用い、ひもづけた結果をアラーム原因関係テーブル513に格納する。
【0033】
アラーム-幾何関係テーブル502は線区開発時や改修時に指令員からアラーム−幾何関係入力部501を介して入力されるデータを格納したテーブルで、アラーム名称と2つの閉そく間の幾何関係からアラームの種別を決定するためのテーブルである。アラーム関係生成部512は、現在発生しているアラームの名称と、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくとこの閉そくに接続する他の閉そくであって別のアラームの対象となっている地上装置や列車含む閉そくとの間の幾何関係情報をキーとして、アラーム-幾何関係テーブル502を検索することで、現在発生しているアラームの種別を得ることができる。
【0034】
アラーム-幾何関係入力部501は指令員や開発者がその線区に存在する線路の幾何形状に合わせてアラーム-幾何関係テーブルの設定を行うためのI/Fである。
【0035】
閉そく関係テーブル503は、線区に存在する閉そくの名称と、それぞれの閉そくについて当該閉そくと接続される他の閉そくの名称、当該閉そくと当該他の閉そく間の接続関係(幾何関係)の名称、及び当該他の閉そくが番線を持っているか否かに関する情報が記載されたテーブルであり、これらの情報は司令員から閉そく関係入力部504を介して入力されて閉そく関係テーブル503に登録される。アラーム関係生成部512は、閉そく関係テーブル503に対し閉そく名称をキーとして与えると、その閉そくに接続する他の閉そくの名称及び、当該閉そくと当該他の閉そくとの間の幾何関係の名称、及び当該他の閉そくがもつ番線の情報を参照できる。
【0036】
閉そく関係入力部504は指令員や開発者がその線区に存在する閉そくや、閉そく間の接続関係や、互いに接続される2つの閉そく間の幾何関係等、閉そく関係テーブル503の要素を入力するためのI/Fである。
【0037】
アラーム発生状況テーブル505は、1日の間で刻々と変化するアラームの発生状況を保持するテーブルであり、アラーム発生時刻、アラーム名称、アラームの対象の地上設備や列車の識別情報、及びアラームが発生した閉そくの識別情報を格納する。アラーム発生状況テーブル505に登録される情報はアラーム情報受付部507が地上設備や列車から受信したアラームに基づき、アラーム情報受付部507によって入力される。アラーム関係生成部512は、アラーム発生状況テーブル505に閉そくの識別情報をキーとして与えると、当該閉そくで発生しているアラームのアラーム名称等の情報を得ることができる。またアラーム発生状況テーブル505は従来監視制御卓制御部510によっても参照される。
【0038】
アラーム情報受付部507は進路制御装置によってアラームと判断された設備・列車に関する情報を受信するためのI/Fであり、受け取ったアラームをアラーム発生テーブルに逐次記述する。
【0039】
ダイヤ情報テーブル508は、列車を運行する当日のダイヤデータを保持するテーブルであり、運転整理等でダイヤが変更された場合でも変更内容を反映した最新のダイヤ情報(制御時刻、制御対象列車、経由番線等)をダイヤ情報として保持する。ダイヤ情報テーブル508に登録される情報は、ダイヤデータ受付部506から入力され、アラーム関係生成部512、提案出力部514、従来監視制御卓制御部510によって参照される。アラーム関係生成部512は、ダイヤ情報テーブル508に列車番号をキーとして与えることで経由番線等の情報を得る。
【0040】
ダイヤデータ受付部506は、列車を運行する当日のダイヤデータを受け取るためのI/Fであり、当日分のダイヤ情報及び運行整理等で変更されたダイヤ情報を計画系システム202から進路制御装置201経由で受信し、ダイヤ情報テーブルに記録・更新する。
【0041】
アラーム関係生成部512はアラームが発生している閉そくをアラーム発生状況テーブル505から読み出し、閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508を用いて閉そく間の幾何関係から当該アラームに関係する他の閉そくを見つけ出す。そしてアラーム関係生成部512は、当該他の閉そくについて再度アラーム発生テーブル505を参照することで当該他の閉そくにおいて発生している他のアラームを特定して、当該アラームと当該他のアラームとの関係を見つける。更にアラーム関係生成部512は、アラーム-幾何関係テーブル502を用いて、アラームのアラーム種別を決定する。そしてアラーム関係生成部512は、アラーム原因関係テーブル513に対して、アラームの種別や、アラームの原因となっている他の閉そく等の情報を書込む。
【0042】
アラーム原因関係テーブル513はアラーム関係生成部512で作成された複数アラーム間の関係を保持するテーブルである。具体的には、アラームの原因となる他のアラームを出力している他の閉そく(原因閉そくとも呼ぶ)と、当該アラームに関係する対象列車と、当該アラームのアラーム種別が記録されている。提案出力部514は、このアラーム原因テーブル513に対し、閉そくの識別情報をキーとして与えることにより、当該閉そくにおいて発生しているアラームに対し、他のどの閉そくでアラームが出力されているのかを把握することができる。
【0043】
指令員に対するメッセージを決定するために提案出力部514は、アラーム原因関係テーブル513と閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508の情報を用いる。
【0044】
提案出力部514はアラーム原因関係テーブル513を参照して、アラームが出力されている閉そく間の関係をたどり、アラーム間の関係に基づいてどの列車に対して進行制御を行ってよいかを必要によって閉そく間関係テーブル503を用いながら判断する。もし、閉そく間の関係において進路が重複する2列車があった場合には、提案出力部514はダイヤ情報テーブル508の出発時刻情報を用いて進行させる列車を判断する。そして提案出力部514は判断結果を従来監視制御卓制御部510に通知する。
【0045】
提案出力部514で判断されたアラームに対する対処案は、提案として最終的に従来監視制御卓制御部510に渡され外部に出力される。従来監視制御卓制御部510は、ディスプレイに対して従来の監視制御卓画面に加えてアラーム対処方法に関する提案を出力する。
【0046】
従来監視制御卓制御部510は、指令員が利用するマンマシンモニタに対する入出力を制御するものであり、司令員が見る画面(ディスプレイ)への情報の出力を制御するとともに、司令員からの入力情報を進路制御装置201に対して出力する。
【0047】
在線状況情報受付部509は現在の列車の在線状況など現在の在線列車に関わる情報を進路制御装置201から受け取り、従来監視制御卓制御部510に送信するI/Fである。
【0048】
監視制御卓画面入出力部511は従来監視制御卓制御部510からの入力を得て指令員が見る画面の描画を行い、線路形状と列車在線状況の表示、及び司令員に対するメッセージウィンドウを出力する。また監視制御卓画面入出力部511は、指令員からの制御命令入力を受付け従来監視制御卓制御部510に送信する。
【0049】
指令員制御出力部515は従来関し制御卓制御部510経由で送られてきた、指令員からの命令を、進路制御装置201に対して出力するためのI/Fであり、列車の制御順序改変等の命令を進路制御装置201に対して出力する。
【0050】
図6は監視制御卓の画面イメージの一例を示す図である。指令員が列車の運行情報やアラームの発生状況をこの画面を見ることで確認する。
【0051】
画面は、指令員用モニタ601、アラーム原因ツリー表示画面602、線形表示部603、アラームリスト表示部604、提案表示部605、アラーム対処ボタン606で構成される。
【0052】
指令員用モニタ601は、指令員がこの画面を見ながら、時々刻々変化する列車の運行状況を把握し、アラーム発生等問題が発生した場合の確認、対処を行うための画面である。指令員用モニタ601は、アラーム原因ツリー表示画面602、線形表示部603、アラームリスト表示部604、提案表示部605から構成されている。
【0053】
アラーム原因ツリー表示画面602には、複数のアラームが発生している時に、どのような関係で当該複数のアラームが発生しているのかを示すためにアラーム間の発生関係がツリー状に表示される。指令員はこのアラーム原因ツリーを見ることでアラーム発生の根本原因を知ることができ、迅速な障害復旧を実現できる。例えば図6の例では、100Tについての他列車待ちアラームは、200Tについての信号機故障アラームに起因して発生しているアラームであることをツリー形式で表している。
【0054】
線形表示部603は、指令員が線区内の線形(線路形状)及び列車の在線状況を確認するための画面であり、線路形状と線路上の列車の在線状況及び信号機等の設備制御状態が表示される。アラームが発生した場合には線形表示部603上に、アラームの対象となる列車や設備と、アラーム発生の因果関係を図示できる。
【0055】
アラームリスト表示部604はアラームの発生状況を指令員が確認するための画面であり、アラーム発生時刻とアラーム名称、アラームの対象となった列車や設備の情報が表示され、アラーム対処ボタン606を有する。
【0056】
アラーム対処ボタン606は、指令員がアラームに対する対処を行うときに利用するボタンであり、このボタンが押下されると順序改変等、提案表示部605に表示された対処方法に従った処理が実行される。
【0057】
提案表示部605は提案出力部514によって作成されたアラームに対する対処方法案を表示する。提案表示部605を見て、指令員が対処方法案に従った制御を実行するかどうか判断を下す。この結果、指令員が複数アラームの関連性を画面から読み解く手間を軽減でき、アラームが多数起こった場合に迅速な復旧が可能となる。
【0058】
図7はアラーム−幾何対応テーブル502の一例を示す図である。
【0059】
アラームは、アラームの解消方法に応じて後述する3つのアラーム種別に分類することができる。アラーム名称だけではアラームの種別が特定できない場合がある。しかし、アラームを発生させている閉そくと、他のアラームを発生させている他の閉そくとの間の幾何関係を、アラーム名称と組み合わせて用いれば、アラームの種別を特定することができる。アラーム−幾何対応テーブルは、アラーム名称と、この幾何関係とに基づいてアラーム種別を特定するために用いられるテーブルである。
【0060】
アラームは以下の3つのアラーム種別に分類できる。
【0061】
(1)「列車・設備以上」:1閉そく内の列車または信号機等の設備に障害が発生したことによって列車の進行が不可能になった場合のアラーム種別。
【0062】
(2)「対応策なし」:1本の線路上に直列に接続した2つの閉そく間において前方の列車が何らかの問題により進行不能となった場合のように、後方の列車の進行が線形上不可能な場合のアラーム種別。
【0063】
(3)「順序改変で進行可」:2つの線路からそれぞれ1列車ずつ列車が進行しており、それら2列車がそれぞれ時間差で1つの番線に進入する予定であったが、先に進入予定の列車が遅れたことで、後に進入予定の列車が定刻になっても番線に進入できない場合のアラーム種別。
【0064】
これらのアラームのうち、(1)(2)のアラームについてはその場で解決ができないが(3)のアラームについては、番線に対する列車の進入順序を指令員が変更することで解決が可能となる。
【0065】
発生しうるアラーム各々について、アラーム種別を特定するための幾何関係の情報と、アラームのアラーム種別を、線区開発時や改修時に予めアラーム−幾何対応テーブル502に設定しておく。
【0066】
なお、単一の閉そくにおいて発生し他の閉そくにおけるアラームを原因としない上記(1)のようなアラームについては、幾何関係を確認する必要がなく、むしろ他の閉そくとの間の幾何関係を確認すると誤ったアラームとの結び付けをしてしまう恐れがある。そこで、列車や設備の異常についてのアラームは、(1)の種別のアラームであることを認識しその対応が判るよう、指令員や有識者の手によってアラーム−幾何対応テーブル502を設定する必要がある。
【0067】
アラーム−幾何対応テーブルは「アラーム名称」701、幾何関係702、アラーム種別703を有する。
【0068】
「アラーム名称」701は地上装置や列車から発せられるアラームの識別情報である。 「幾何関係」702は、アラーム名称701に記録されたアラームを発生させている閉そくと、当該閉そくに接続されている別の閉そくであって別のアラームを発生させている閉そくとの間の幾何関係を表す情報である。幾何関係702として記録される幾何関係の詳細については、図8〜13を用いて詳述する。但し、アラーム名称701が「列車以上」「信号機異常」である場合には、幾何関係702には”−”が記載される。例えば、「アラーム名称」が「列車異常」であるものの「幾何関係」は「-」であり、「アラーム名称」が「信号機異常」であるものの「幾何関係」は「-」である。これらのアラームについては、当該アラームを発生している閉そくと他の閉そくとの間の幾何関係に関わらず、アラーム種別は「列車・設備異常」となることから、幾何関係を特定しない「−」が記録されているのである。
【0069】
「アラーム種別」703には、先述の3つのアラーム種別のいずれかを識別する情報が記載される。
【0070】
図8は順方向接続と呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある2つの閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法は1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が順方向接続である場合、アラーム種別703には「対応策なし」と表記される。
【0071】
図8において矢印は線路を表しており、実線で表された分岐器、着点、矢印は閉そく1を、破線で表された分岐器、着点、矢印は閉そく2を表している。なお、閉そく1、閉そく2の両方に属する分岐器は実線で示している。矢印の向きは閉そく内で列車が進む向きを表しており、例えば左方向が上り、右方向が下りである。図8の発点1、着点1はそれぞれ閉そく1の発点、着点であり、発点2、着点2はそれぞれ閉そく2の発点、着点である。信号機1、信号機2はそれぞれ閉そく1、閉そく2への列車進入許可を表示する信号機である。なお、図中の信号機は丸印方向から縦棒方向へと表示面を向けており、信号機の縦棒方向に在線している列車に対して指示を行う。
【0072】
図8に示す幾何関係の特徴は着点1と発点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないことおよび、閉そく1、閉そく2とも列車の方向が右方向であることである。なお、図8に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係は分岐器がなくても実現可能である。
【0073】
このような閉そくの接続関係にある2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、何らかの理由で発点2に列車が在線したまま発点1に列車が到達した時であり、この場合発点2に在線している列車が出発するまでは発点1に在線する列車を進行させられない。
【0074】
図9は、逆方向接続Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法は1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が逆方向接続Aである場合、アラーム種別703は「対応策なし」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0075】
図9の幾何関係の特徴は着点1と発点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないことおよび閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。図9に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0076】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、何らかの理由で発点2に列車が在線したまま発点1に列車が到達した時であり、この場合発点2に在線している列車が出発するまでは発点1に在線する列車を進行させられない。
【0077】
図10は、終点片封鎖Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例をしめす。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法が1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点片封鎖Bである場合、アラーム種別703は「対応策なし」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0078】
図10の幾何関係の特徴は発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、着点2が閉そく1に含まれていること及び閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。なお、図10に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0079】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、発点1に列車が在線している状態で発点2から列車が出発しようとした場合であり、この場合においては、発点1から列車が出発し、着点1に到達しない限りは発点2に在線する列車は進行できない。
【0080】
図11は、終点両封鎖Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例をしめす。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点両封鎖Aである場合、アラーム種別703は「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0081】
図11の幾何関係の特徴は、着点1と着点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1、閉そく2とも方向が右方向であることである。なお、図11に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0082】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0083】
図12は、終点両封鎖Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点両封鎖Bである場合、アラーム種別703は、「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0084】
図12の幾何関係の特徴は、着点1と着点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1が右方向、閉そく2が左方向である。なお、分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係は分岐器がなくても実現可能である。
【0085】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0086】
図13は、交差Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって列車の進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が交差Aである場合、アラーム種別703には「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0087】
図13の幾何関係の特徴は、発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1、閉そく2とも方向が右方向であることである。なお、分岐器の数は上記特徴に関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低二つの分岐器が必要である。
【0088】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0089】
図14は、交差Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、順序改変によって列車の進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が交差Bである場合、アラーム種別703には「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0090】
図14の幾何関係の特徴は、発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。なお、分岐器の数は上記特徴に関係ないが、この幾何関係を実現するためには最低二つの分岐器が必要である。
【0091】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0092】
図15は、アラーム発生状況の一例を示す図であり、駅の線形(線路形状)と閉そくへの列車の在線状況、及びアラームの出力状況を示した図である。図15に示す駅では、上り、下りのホームが存在し、それぞれに対して上り本線、下り本線に在線する列車が着発できる。また、上りと下りの間には中線が設けられており、他列車の待ち合わせを行う際にはこの中線を利用する。このような線形の駅において上り方向の中線には列車1000Tが在線しており、上り本線の駅ホームには列車2000Tが在線しており、下り本線の駅入場前には中線に進入しようとしている列車3000Tが在線しており、下り本線の駅ホームには列車4000Tが在線している。また、この駅内の複数の閉そくではアラームが発生しており、閉そくEでは信号機故障アラーム、閉そくDでは進路妨害アラーム、閉そくFでは他列車待ちアラーム、閉そくBでは他列車待ちアラーム、閉そくGでは他列車待ちアラームが発生している。このような状況において、2つの閉そく間の幾何関係は閉そく関係テーブル503に記述されており、アラームの発生状況についてはアラーム発生状況テーブル505、それぞれの列車の運行予定については、ダイヤ情報テーブル508が保持している。以降では、このような状況に対し、さらにアラーム-幾何関係テーブル502を用いてアラームの因果関係を抽出し、どの列車を進行させるべきかを提案するための方法について説明する。
【0093】
図16はアラーム発生状況テーブル505の一例を示す図である。アラーム発生状況テーブル505は、進路制御装置201から時々刻々上がってくるアラーム情報を格納する。図16の場合は、図15に示す線路で図15に示すアラームが生じた場合にアラーム発生状況テーブル505に登録される情報の一例を示している。アラーム関係生成部412はアラーム発生状況テーブル505の対象閉そく1602を起点として閉そく関係テーブルを検索し、アラーム間の関係をひもづけを行う。また、従来監視制御卓510では、アラーム発生状況テーブル505に記録された情報を監視制御卓画面入出力部511を通して監視制御卓画面に出力することにより、図6に示したアラームリスト表示部604を描画する。
【0094】
アラーム発生状況テーブル505は、発生時刻1601、対象閉そく1602、対象列車1603、アラーム名称1604を有する。
【0095】
「発生時刻」1601はアラームが発生した時刻を記録している列である。
【0096】
「対象閉そく」1602にはアラームが発生した閉そくの名称が記載される。
【0097】
「対象列車」1603には、アラームが発生した閉そくに在線する列車の番号が記録される。但し、アラームの対象が信号機や列車等の機器・設備であった場合は、“-”が記録される。
【0098】
「アラーム名称」1604には、生じたアラームのアラーム名称が記載される。
【0099】
図17はダイヤ情報テーブル508の一例を示す図である。ダイヤ情報テーブル508は計画系システム202にて作成された列車の運行に関する情報を駅ごとに保持する。図17の場合は図15に示した駅におけるダイヤ情報テーブル508を表している。
【0100】
アラーム関係生成部512はダイヤ情報テーブル508の経由番線1703を用いて、ある閉そくに在線する列車が進出する次の閉そくがどれであるかを計算し、提案出力部514はアラーム解決方法の提案の際、進路を同じくする複数の提案があった場合に出発時刻1701を用いて提案の優先決定を行い、従来監視制御卓制御部510には指令員の要求に従ってダイヤ情報テーブル508の任意の情報を表示する。
【0101】
ダイヤ情報テーブル508には、列車の出発時刻1701と、列車番号1702と、列車が経由する経由番線1703が登録されている。
【0102】
「出発時刻」1701は、各列車が駅を出発する時刻である。
【0103】
「列車番号」1702は各列車を識別するための列車番号である。
【0104】
「経由番線」1703は各列車がどの番線を経路して進行していくのかを示す経由番線情報である。
【0105】
図18は閉そく関係テーブル503の一例を示す図であり、図15に示した線路形状についてこの線路形状を構成する閉そく間の接続関係と幾何関係、及び番線情報を記したものである。
【0106】
閉そく関係テーブルはアラーム関係生成部412がアラームを発生している閉そくに関係する閉そくを見つけ出し、また見つけたアラーム間の関係を調べるために利用される。また、提案出力部514においては進路同士の競合がないかを判断するために用いる。
【0107】
閉そく関係テーブル503は、閉そく名1801と、接続先閉そく1802と、幾何関係名称1803と、番線情報1804とを有する。
【0108】
「閉そく名」1801は線形・線区で一意に定まる閉そくの識別情報である。
【0109】
「接続先閉そく」1802には閉そく名1801に記載の閉そくに図8〜図14に示す幾何関係で接続する他の閉そくの名称が記載される。
【0110】
「幾何関係名称」1803には、閉そく名1801に記された閉そくと接続先閉そく1802に記された閉そくとの間の幾何関係の名称が記載される。 「番線情報」1804には、接続先閉そく1802の持つ番線が記載され、もし番線を持たない場合には“-”が記載される。
【0111】
図19はアラーム関係生成部512の動作の一例を示すフロー図である。
【0112】
この動作フロー図は、アラーム発生状況テーブル505に記載の全てのアラームについて、閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508を利用して関連のあるアラームを導き出し、併せてアラーム幾何関係テーブル502を利用してアラーム種別を導き出し、これらの情報をアラーム原因関係テーブルに格納する方法を表している。
【0113】
ステップ1901はアラーム発生状況テーブル505に記載の全てのアラームについて、以降の処理を繰返す処理である。以降、ステップ1901の繰り返し処理においてアラーム発生状況テーブル505から処理対象として選択されたアラームを、処理対象のアラームと呼ぶ。
【0114】
ステップ1902は、処理対象のアラームについて、アラーム-幾何対応テーブル502のアラーム名称701の列をアラーム発生状況テーブル505のアラーム名称1604で検索しアラーム種別703を読み出す処理である。
【0115】
ステップ1903は、ステップ1902で読み出したアラーム種別703が「列車・設備異常」かどうか調べる処理である。アラーム種別が「時列車・設備異常」のアラームに関してはアラーム名称のみからアラーム種別を判断できるためアラーム種別703の特定が可能である。しかし、他のアラーム種別703についてはアラーム名称のみからはアラーム種別を特定できない場合があり、ステップ1902でアラーム名称からアラーム種別を特定することができなかった場合は、ステップ1903ではアラーム種別が「列車・設備異常」であったとはみなさない。
【0116】
以降、ステップ1916、ステップ1917は、アラーム種別703が「列車・設備異常」であった時の動作である。もし、アラーム種別703が列車・設備異常であったなら、処理対象のアラームは他のアラームを原因とするアラームではないものとして、アラーム原因関係テーブル513への記録を行う。
【0117】
具体的には、まずステップ1916では、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく2001に、アラーム発生状況テーブル505に記載されている処理対象のアラームについての対象閉そく1602を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象列車2002にアラーム発生状況テーブル505に記載されている処理対象のアラームについての対象列車1603を記録する。
【0118】
ステップ1917では、アラーム原因関係テーブル513の原因閉そく2004に「無し」を記録し、アラーム原因関係テーブル513のアラーム種別2003に「列車・設備異常」を記録する。
【0119】
ステップ1904〜ステップ1906は、処理対象のアラームを発生させた閉そくから列車が次に進入する閉そく(進入閉そくと呼ぶ)を決定するための処理である。
【0120】
ステップ1904では、アラーム発生状況テーブル505の処理対象アラームについての対象閉そく1602をキーとして、閉そく関係テーブル503の接続先閉そく1802を検索し、抽出される閉そくがひとつだけかどうか調べる。もし閉そく関係テーブル503の接続先閉そく1802の列を検索して抽出された接続先閉そくが当該対象閉そくに対してひとつだけであれば、ステップ1905へ進む。もしひとつだけでなければ、ステップ1906へ進む。
【0121】
ステップ1905では、ステップ1904で閉そく関係テーブル503から抽出した接続先閉そく1802を読み出して、この閉そくを進入閉そくとする。
【0122】
ステップ1906では、アラーム発生状況テーブル505の処理対象のアラームについての対象列車1603をキーとして利用し、ダイヤ情報テーブル508を検索して対象列車の経由番線1603を決定する。そして、決定した経由番線を閉そく関係テーブル503の番線情報1804と照合し、対象列車がどの番線を経由するかを確認することで当該対象列車が次に進入する閉そく(すなわち進入閉そく)を決定する。
【0123】
ステップ1907は進入閉そくにアラームが発生しているかどうか調べる処理である。ステップ1905またはステップ1906で決定された進入閉そくをキーとして、アラーム発生状況テーブル505を検索することで、進入閉そくにおけるアラームの有無が確認できる。もし進入閉そくにアラームが生じていれば、ステップ1908へ進む。もし進入する閉そくにアラームがなければ、ステップ1914へ進む。
【0124】
以降、ステップ1914,1915では、処理対象のアラームを発している閉そくに在線している列車が次に進入する閉そく(進入閉そく)にもアラームが発生していた場合の処理である。進入閉そくにアラームが発生しているなら、列車は進入閉そくに進入できないため、進入閉そくを処理対象のアラームの原因閉そくとしてアラーム原因関係テーブル513に記録する。
【0125】
具体的にはまずステップ1914で、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく1901にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームについての対象閉そく1602を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象列車2002にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームについての対象列車1603を記録し、アラーム原因関係テーブル513の原因閉そく2004に進入閉そくを記録する。
【0126】
ステップ1915では、アラーム原因関係テーブル513のアラーム種別に「対応策なし」を記録する。
【0127】
ステップ1908、1909では、進入閉そくとこれに接続する他の閉そくの2閉そく間の幾何関係を調べる。
【0128】
ステップ1908では、進入閉そくに対し順方向接続(図8参照)以外の幾何関係で接続する閉そくを、閉そく関係テーブル503から検索する。
【0129】
ステップ1909は、ステップ1908で特定された閉そくに、順方向接続の幾何関係で接続する閉そくを、閉そく関係テーブルから検索する処理である。この時どこまでの範囲で接続関係を調査するかは必要により増やしてもよい。
【0130】
ステップ1910では、ステップ1908およびステップ1909の検索で抽出した閉そくにアラーム生じているか調べる。もしアラームが生じていれば、ステップ1911へ進む。もしアラームが生じていなければステップ1918へ進む。
【0131】
以降、ステップ1911〜1913ではステップ1908と1909で調べた閉そくにアラームが発生していた場合にアラーム-原因関係テーブル513に記録する内容について説明する。
【0132】
ステップ1911はアラームを発生させているステップ1908またはステップ1909で抽出した閉そくを、アラーム-原因関係テーブル513の原因閉そく2004に記録する処理である。
【0133】
ステップ1912では、ステップ1908で抽出した閉そくと進入閉そくとの間の幾何関係と、ステップ1908またはステップ1909の検索で抽出した閉そくで生じているアラームのアラーム名称で、アラーム-幾何対応テーブル502を検索し、アラーム種別を決定して、アラーム-原因関係テーブル513のアラーム種別2030に記録する。
【0134】
ステップ1913はアラーム原因関係テーブル513の対象列車2002に、アラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームを発生させた閉そくに在線している対象列車1603を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく2001にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームを発生させた閉そくを記録する処理である。
ステップ1918は繰返し終りする処理である。
【0135】
図20はアラーム原因関係テーブル513の一例を示す図である。アラーム原因関係テーブル513は、アラームが発生している閉そくに対して他のアラーム発生閉そくとの関係を保持するとともに、解決方法を提案する判断材料となるアラーム種別の情報を保持する。アラーム原因関係テーブル513はアラーム関係生成部512で生成され、提案出力部514の入力となる。提案出力部514は上記アラームを発生している閉そく(対象閉そく2001と原因閉そく2004)の関係を解析し、アラーム種別2003を用いて最終的な提案を出力する。
【0136】
アラーム原因関係テーブル513は、対象閉そく2001、対象列車2002、アラーム種別2003、原因閉そく2004を有する。
【0137】
対象閉そく2001はアラームを出力している閉そくの名称である。
【0138】
対象列車2002には対象閉そくに在線している列車番号が記載される。対象閉そくに列車が在線していない場合には在線列車なしをしめす「-」が記録される。
【0139】
アラーム種別2003はアラーム−幾何関係テーブルのアラーム種別703と同じく、1閉そく内のアラームであって他の閉そくで生じているアラームを原因とするアラームではない「列車・設備異常」または、複数閉そくが関係するが、直接対処ができない「対応策なし」または、複数閉そくが関係し、指令員の判断で進行可能な「順序改変で進行可能」といったアラームの種別を示す情報が記載される。
【0140】
原因閉そく2004は対象閉そく2001に対し関係のある閉そくであって、アラームを出力しており、対象閉そく2001のアラームの原因となっていると推定される閉そくの名称が記載される。原因閉そくがないばあいにはその旨を示す「−」が記録される。
【0141】
尚、図20は図15に示すアラームが発生している状況で図19に示す処理をアラーム関係生成部512が実行した結果作成されるアラーム原因関係テーブルを示している。
【0142】
図21は提案出力部514の動作の一例を示すフロー図である。
【0143】
提案出力部514ではアラーム原因関係テーブル513において原因閉そく2004がない対象閉そく2001を起点として閉そく間の関係をたどることにより、アラームの関係を追ってゆく。原因閉そくがない場合、可能性の高いアラームの原因は列車・設備の異常であり、アラームの原因がこのような機器・設備の異常であったなら即時の復旧は難しく、これを原因としたアラームの解決には長い時間がかかる。そこで、原因閉そくがない場合のアラームに端を発したアラームに、指令員の手による即時解決可能な方法があるなら、その方法を提案出力部が分析して提案することで、障害の影響を小さくできる。
【0144】
ステップ2101は、アラーム原因関係テーブルから原因閉そく2004が登録されていない対象閉そく2001を全て特定する処理である。
【0145】
ステップ2102はステップ2001で特定された対象閉そく2001の各々について、以降の処理を繰り返し実行する処理である。
【0146】
以下、ステップ2103、2104ではアラーム原因関係テーブル513において原因閉そくがない対象閉そくを原因閉そくとしてアラームが発生している他の閉そくを探し出す処理を行う。
【0147】
具体的にはまずステップ2103で、ステップ2101で特定した原因閉そく2004のない対象閉そく2001のうちまだ以降の処理が実施されていない対象閉そくの1つを選んで(選ばれた対象閉そくを、以降処理対象の対象閉そくと呼ぶ)、アラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在するかどうか調べる。もしアラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在するのであれば、ステップ2104へ進む。アラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在しなければ、ステップ2105へ進む。
【0148】
ステップ2104はアラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行を読出する処理である。
【0149】
ステップ2103と2104は、アラーム原因関係テーブル513に存在する、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる全ての行が読み出されるまで繰り返し実行される。
【0150】
ステップ2105では、ステップ2104で読み出された行のアラーム種別2003を参照して、アラーム種別が「順序改変で進行可」であるものが複数存在しているかどうか調べる。もし複数存在していれば、ステップ2106へ進む。もし複数存在していなければ、ステップ2112へ進む。
【0151】
ステップ2112は、ステップ2104で読み出された行のアラーム種別を参照して、アラーム種別が「順序改変で進行可」であるものが1つ存在するか調べる処理である。もし1つ存在するのであれば、ステップ2113へ進む。もし存在しないのであれば、ステップ2114へ進む。
【0152】
ステップ2113は指令員に対しステップ2104で読み出された行に対象列車2002として記録されている列車に対する制御を提案するための処理である。このとき検索の発端となった原因閉そくのない対象閉そく(処理対象の対象閉そく)の対象閉そく名と、制御提案の対象となっている列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。更に、処理対象の対象閉そくと当該処理対象の閉そくを原因閉そくとする閉そくのうちアラーム種別が「順序改変で進行可」である閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510に送信することで、アラーム原因ツリー表示画面602の表示が可能となる。
【0153】
ステップ2106はアラーム種別が「順序改変で進行可」である複数の行各々について、その行の対象閉そく2001に登録されている閉そくをキーに閉そく関係テーブル503を参照し、各対象閉そく2001の接続先閉そくを読み出す処理である。
【0154】
ステップ2107は、ステップ2106の結果に基づいて接続先閉そくが同じである対象閉そくがあるかどうか調べる処理である。もし接続先閉そくが同じである対象閉そくがあれば、ステップ2108へ進む。もし接続先閉そくが同じである対象閉そくがなければ、ステップ2111へ進む。
【0155】
ステップ2111は指令員に対し、ステップ2104で読み出した行に対象列車2002として登録されている全ての列車に対する順序改変を提案するための処理である。このとき検索の発端となった原因閉そくのない対象閉そく(処理対象の対象閉そく)の閉そく名と、ステップ2104で読み出した複数の行に対象列車2002として記録されている列車全ての列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと当該処理対象の閉そくを原因閉そくとする閉そくのうちアラーム種別が「順序改変で進行可」である閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510に送信することで、アラーム原因ツリー表示画面602の表示が可能となる。
【0156】
以下、ステップ2108〜2110では複数列車に関して提案対象列車同士の進路競合が起こっている場合の処理を実行する。
【0157】
ステップ2108では、アラーム原因関係テーブル513を参照して、接続先閉そくが同じである対象閉そく2001の対象列車2002を特定し、特定された対象列車の出発時刻をダイヤ情報テーブル508から読み出し、出発時刻の早い対象列車を優先列車とする。
【0158】
ステップ2109は指令員に対し優先列車を出発させるための順序改変を提案するための処理である。処理対象の対象閉そくの閉そく名と、優先列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと優先列車が在線している閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510へ送信することで、アラーム原因ツリー表示画面606の表示が可能となる。
【0159】
ステップ2110は接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくに在線する列車を出発させるための順序改変を提案するための処理である。処理対象の対象閉そくの閉そく名と、接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくに在線する列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと、接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくについて、ラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510へ送信することで、アラーム原因ツリー表示画面606の表示が可能となる。
【0160】
ステップ2114は繰り返しを終了する処理である。ステップ2101で特定された原因閉そくのない対象閉そく全てについてステップ2103から2113までの処理が完了すると、繰り返し処理は修了する。
【符号の説明】
【0161】
410:監視制御卓制御部
502:アラーム−幾何関係テーブル
503:閉そく関係テーブル
505:アラーム発生状況テーブル
508:ダイヤ情報テーブル
512:アラーム関係生成部
513:アラーム原因関係テーブル
514:提案出力部
510:従来監視制御卓制御部
511:監視制御卓画面入出力部
【技術分野】
【0001】
鉄道運行管理で発生するアラームの監視、分析、対処方法の提示に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道運行管理の進路制御においては、ATS(Automatic Train Stop)による列車スピードの管理や、信号機による一定区間(閉そく区間)内の列車の在線管理等、地上設備による安全性の確保がなされている。このような基本的な安全が確保された上で、ダイヤ通りの列車運行を自動で行う自動進路制御装置が多くの線区で利用されている。自動進路制御装置は列車の在線状況や信号機の状態等地上設備の状態に関する情報を駅や線区ごとに収集し、ダイヤ情報と照らし合わせながらダイヤ通りの列車の運行がなされているかを逐次確認し、ダイヤ通りの運行に近づけるよう地上設備に対して命令を行う。しかし、列車のダイヤが大きく乱れた場合や地上設備が故障した場合には、自動進路制御装置は自動制御を行わず、指令員に対してアラームを発するとともに指令員に以降の制御をゆだねる。このような進路制御装置において、指令員は専用のマンマシンインターフェイス(以降、監視制御卓と呼ぶ)を用いて運行管理状況の確認や地上設備の制御命令を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-234345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指令員が運行状況の把握や地上設備に対する指示を行う監視制御卓において、地上設備の故障や列車の不具合によって運行が乱れた場合には、アラーム情報が監視制御卓に多数表示され、どのアラームに対処するべきなのか判断が難しかった。
【0005】
特許文献1ではこのような問題に対し一定区間内のアラーム発生を時刻ごとに記録し、その時系列情報を用いて解決を行っている。しかし、複数の原因が絡み合ってアラームが発生している状況ではアラーム同士の因果関係が不明瞭となるため、どのアラームを優先して解決すべきなのかを決定するためには因果関係の解明手段が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置は、
進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、
線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくを特定し当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録する閉そく関係格納部と、
アラームが生じた第一の閉そくの名称をアラーム発生状況格納部から取得して、閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかをアラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、
アラーム関係生成部によって格納される、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
複数のアラームが同時に発生しているような状況においても、どのアラームに対して対処すべきかが明確となり、アラームが発生するような事故や設備の不具合に対して迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アラームの分析と対処方法の提示の一例を示す概念図である。
【図2】鉄道運行管理システムの全体構成例を示す図である。
【図3】鉄道の線路を閉そくの単位で分割した例を示す図である。
【図4】制御監視卓のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】制御監視卓のソフトウェア構成例を示す図である。
【図6】制御監視卓の画面イメージの一例を示す図である。
【図7】アラーム−幾何対応テーブルの一例を示す図である。
【図8】順方向接続の関係を有する2つの閉塞区間の例を示す図である。
【図9】逆方向接続Aの関係を有する2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図10】終点片封鎖Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図11】終点両封鎖Aの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図12】終点両封鎖Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図13】交差Aの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図14】交差Bの関係をもつ2つの閉そく区間の例を示す図である。
【図15】アラーム発生状況の一例を示す図である。
【図16】アラーム発生状況テーブルの一例を示す図である。
【図17】ダイヤ情報テーブルの一例を示す図である。
【図18】閉そく関係テーブルの一例を示す図である。
【図19】アラーム関係生成部の動作フローの一例を示す図である。
【図20】アラーム原因関係テーブルの一例を示す図である。
【図21】提案出力部の動作フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は鉄道運行管理システムにおいて発生したアラームが分析され、対処方法が司令員に提示される様子を表した概念図である。
【0011】
監視制御卓制御部では、地上設備や列車から「他列車出発待ち」「進路妨害」「信号機故障」などのアラームを受信すると、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくの線路形状に基づいて、アラームを分析し、分析結果に応じてとり得る対処方法を監視制御卓画面に出力することで、対処方法を指令員に対して通知する。
【0012】
線路は閉そく(図3で説明)単位で区切られており、互いに接続している2つの閉そく間の幾何的な関係(以降、幾何関係とも呼ぶ)に基づいて、線路形状は定義できる。アラームの対処方法は、アラームの内容とこの幾何関係に基づいて定義することができるので、アラームが発生した時は、アラームの内容に応じて、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくや、当該閉そくと当該閉そくに接続する他の閉そくとの間の幾何関係を調べることで対処方法を決定し、対処方法を指令員に通知できる。
【0013】
図2は、列車の在線位置や、信号機、転轍機などの設備状態を監視しながら、列車運行計画に基づいて列車の運行を管理する鉄道運行管理システムの構成例を示す。鉄道運行管理システムは、進路制御装置201と計画系システム202と地上装置203と列車204と地上設備群205(図では軌道回路206と信号機207と転轍機208のみ記載)と監視制御卓(監視制御装置とも呼ぶ)209から構成される。
【0014】
進路制御装置201は計画系システム202によって決定された列車ダイヤ情報および地上設備203によって収集された地上設備群205の状態をネットワークを介して受信し、内部に有している。進路制御装置201は軌道回路206から得られる列車204の在線位置と列車ダイヤ情報に記載された出発時刻や計画進路を参照して、列車204の進路上に設置されている信号機207や転轍機208を地上装置203を介して制御する。
【0015】
監視制御卓209は監視制御卓制御部401と監視制御卓画面を有する。監視制御卓209は進路制御装置201と接続し、地上設備群205の制御状態や列車204の在線状況を監視し、状況に応じて地上設備群205に対する制御命令を司令員から受け付けてこれを進路制御装置201と地上装置203を介して地上設備群205へ送信する。もし、地上設備群205のトラブルや列車遅延状況等があった場合には、制御監視卓209は監視制御卓画面にアラームを出力する。
【0016】
計画系システム202は列車ダイヤや車両運用計画、点検・保守計画など列車の運行に関連する計画の作成を支援するシステムで、進路制御装置201とネットワークを介して接続されている。
【0017】
地上装置203は進路制御装置201とネットワークを介して接続されており、進路制御装置201から制御要求を受信して信号機207、転轍機208の反位制御を行う。また信号機207や転轍機208の状態(定位/反位)や軌道回路206の状態(落下/扛上)を監視し、結果を進路制御装置201に伝達する。
【0018】
列車204は内部にATS(Automatic Train Stop)やATC(Automatic Train Control)といった列車の自動停止や自動制御を行うための安全装置、車上の詳細な動作状態や故障情報を収集・表示・記録する情報管理システムなどの車上装置を有している。また車上装置が有する情報はデジタル無線を介して地上装置に送信する事が可能である。本実施形態では列車204の在線位置を軌道回路206の状態から判断する事を想定しているが、例えば車上装置が自列車の位置を算出または計測して、デジタル無線を介して地上装置に伝達することにより列車204の在線位置を判断してもよい。
【0019】
図3は線路形状の一例を示す図である。
【0020】
線路は閉そくを単位に区切られている。ここで閉そくとは信号機の防護区間のことであり、信号機の内方区間に設置された第一内方軌道回路から最終内方軌道回路までの線路領域を指す。図3においては、閉そくとは例えば閉そくA301、閉そくB302、閉そくC303、閉そくD304、閉そくE305、閉そくF306である。閉そくへの列車進入許可を運転手や指令員へと指示する装置が信号機であり、例えば閉そくへの列車進入許可は青信号を現示(進行現示)することにより、閉そくへの列車進入不許可は赤信号(停止現示)を現示することにより指示する。図3においては、例えば信号機D307が進行現示であれば列車U308は閉そくD304へ進入することができるが、信号機D307が停止現示であれば列車U308は閉そくD304へ進入することができない。
【0021】
ある任意の閉そく(閉そく1と呼ぶ)とこれに接続する他の一の閉そく(閉そく2と呼ぶ)との間の幾何関係は、重複する端点の数、重複する端点の種類、閉そく1に包含される閉そく2の端点数、閉そく1に包含される閉そく2の端点種類、閉そく2に包含される閉そく1の端点数、閉そく2に包含される閉そく1の端点種類、閉そく1と閉そく2の方向関係を基準に分類すると、実現不可能なものを除いて22パターンに分類できる。
【0022】
図4は監視制御卓制御部401のハードウェア構成例である。監視制御卓制御部401は、中央処理装置402と主記憶装置403と内部バス404とバスインタフェース405と外部バス406と入出力装置410と入出力装置インタフェース407と大容量記憶装置411と大容量記憶装置インタフェース408と通信装置412と通信装置インタフェース409から構成される。
【0023】
中央処理装置402はプログラム実行等の演算を行うための装置である。
【0024】
主記憶装置403はプログラム実行時の処理領域および計画系システム202や地上装置203との送受信に使用するデータの一時格納領域として使用される。例えばOS(Operating System)などの基本プログラムや、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509、従来制御卓制御部510、監視制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、提案出力部514、指令員制御出力部515を実現するプログラムや、アラーム−幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508、アラーム原因関係テーブル513等のデータをプログラム実行時に一時的に格納する。
【0025】
中央処理装置402と主記憶装置403は内部バス404により接続されており、内部バス404はバスインタフェース405を介して外部バス406に接続されている。
【0026】
入出力装置410はディスプレイやキーボード、マウスなど、ユーザとのインターフェースデバイスおよび外部媒体に読み書き可能なドライブ装置などである。図1に示した監視制御卓画面は入出力装置410としてのディスプレイの画面に相当する。ユーザはキーボードやマウスなどの入力デバイスを用いてプログラムの実行を制御することができる。
【0027】
大容量記憶装置411は例えばHDD(Hard Disk Drive)といった装置であり、基本プログラムや処理結果、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509、従来制御卓制御部510、監視制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、提案出力部514、指令員制御出力部515を実現するプログラムや、アラーム-幾何関係テーブル502、は閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508、アラーム原因関係テーブル513といったデータを、監視制御卓制御部の電源を切った後でも記憶することができる。各種処理実行の際には、中央処理装置402が主記憶装置403にこれらのプログラムやデータを読み出してプログラムを実行する。
【0028】
通信装置412は例えばEthernet(登録商標)を介して外部サーバ装置などと接続するための装置であり、アラーム-幾何関係入力部501、閉そく関係入力部504、ダイヤデータ受付部506、アラーム情報受付部507、在線状況情報受付部509は、外部装置と接続して動作する処理を通信装置412を通じて行う。
【0029】
入出力装置410と大容量記憶装置411と通信装置412はそれぞれ入出力装置インタフェース407と大容量記憶装置インタフェース408と通信装置インタフェース409を介して外部バス406と接続されている。尚、監視制御卓制御部410は入出力装置410、大容量記憶装置411、通信装置412を含まない構成とし、これらの構成要素は各種インタフェースを介して監視制御卓制御部410に接続される構成であってもよい。
【0030】
図5は監視制御卓制御部401のソフトウェア構成例を示す図である。
【0031】
監視制御卓制御部401は、アラーム-幾何関係入力部501、アラーム-幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、閉そく関係入力部504、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤデータ受付部506、はアラーム情報受付部507、ダイヤ情報テーブル508、在線状況情報受付部509、従来監視制御卓制御部510、制御卓画面入出力部511、アラーム関係生成部512、アラーム原因関係テーブル513、提案出力部514、指令員制御出力部515から構成される。
【0032】
アラームに対する対処方法を指令員へ提案するために、監視制御卓制御部401では大まかに2つのステップで処理を行う。第1のステップは、アラーム関係生成部512で同時期に発生しているアラーム同士のひもづけを行う処理であり、第2のステップはひもづけたアラームの情報を提案出力部514で解析し、解析結果に基づいて監視制御卓画面に出力するメッセージを決定する処理である。 複数アラーム間の関係のひもづけを行うためにアラーム関係生成部512は、アラーム−幾何関係テーブル502、閉そく関係テーブル503、アラーム発生状況テーブル505、ダイヤ情報テーブル508の情報を用い、ひもづけた結果をアラーム原因関係テーブル513に格納する。
【0033】
アラーム-幾何関係テーブル502は線区開発時や改修時に指令員からアラーム−幾何関係入力部501を介して入力されるデータを格納したテーブルで、アラーム名称と2つの閉そく間の幾何関係からアラームの種別を決定するためのテーブルである。アラーム関係生成部512は、現在発生しているアラームの名称と、アラームの対象となっている地上設備や列車が属する閉そくとこの閉そくに接続する他の閉そくであって別のアラームの対象となっている地上装置や列車含む閉そくとの間の幾何関係情報をキーとして、アラーム-幾何関係テーブル502を検索することで、現在発生しているアラームの種別を得ることができる。
【0034】
アラーム-幾何関係入力部501は指令員や開発者がその線区に存在する線路の幾何形状に合わせてアラーム-幾何関係テーブルの設定を行うためのI/Fである。
【0035】
閉そく関係テーブル503は、線区に存在する閉そくの名称と、それぞれの閉そくについて当該閉そくと接続される他の閉そくの名称、当該閉そくと当該他の閉そく間の接続関係(幾何関係)の名称、及び当該他の閉そくが番線を持っているか否かに関する情報が記載されたテーブルであり、これらの情報は司令員から閉そく関係入力部504を介して入力されて閉そく関係テーブル503に登録される。アラーム関係生成部512は、閉そく関係テーブル503に対し閉そく名称をキーとして与えると、その閉そくに接続する他の閉そくの名称及び、当該閉そくと当該他の閉そくとの間の幾何関係の名称、及び当該他の閉そくがもつ番線の情報を参照できる。
【0036】
閉そく関係入力部504は指令員や開発者がその線区に存在する閉そくや、閉そく間の接続関係や、互いに接続される2つの閉そく間の幾何関係等、閉そく関係テーブル503の要素を入力するためのI/Fである。
【0037】
アラーム発生状況テーブル505は、1日の間で刻々と変化するアラームの発生状況を保持するテーブルであり、アラーム発生時刻、アラーム名称、アラームの対象の地上設備や列車の識別情報、及びアラームが発生した閉そくの識別情報を格納する。アラーム発生状況テーブル505に登録される情報はアラーム情報受付部507が地上設備や列車から受信したアラームに基づき、アラーム情報受付部507によって入力される。アラーム関係生成部512は、アラーム発生状況テーブル505に閉そくの識別情報をキーとして与えると、当該閉そくで発生しているアラームのアラーム名称等の情報を得ることができる。またアラーム発生状況テーブル505は従来監視制御卓制御部510によっても参照される。
【0038】
アラーム情報受付部507は進路制御装置によってアラームと判断された設備・列車に関する情報を受信するためのI/Fであり、受け取ったアラームをアラーム発生テーブルに逐次記述する。
【0039】
ダイヤ情報テーブル508は、列車を運行する当日のダイヤデータを保持するテーブルであり、運転整理等でダイヤが変更された場合でも変更内容を反映した最新のダイヤ情報(制御時刻、制御対象列車、経由番線等)をダイヤ情報として保持する。ダイヤ情報テーブル508に登録される情報は、ダイヤデータ受付部506から入力され、アラーム関係生成部512、提案出力部514、従来監視制御卓制御部510によって参照される。アラーム関係生成部512は、ダイヤ情報テーブル508に列車番号をキーとして与えることで経由番線等の情報を得る。
【0040】
ダイヤデータ受付部506は、列車を運行する当日のダイヤデータを受け取るためのI/Fであり、当日分のダイヤ情報及び運行整理等で変更されたダイヤ情報を計画系システム202から進路制御装置201経由で受信し、ダイヤ情報テーブルに記録・更新する。
【0041】
アラーム関係生成部512はアラームが発生している閉そくをアラーム発生状況テーブル505から読み出し、閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508を用いて閉そく間の幾何関係から当該アラームに関係する他の閉そくを見つけ出す。そしてアラーム関係生成部512は、当該他の閉そくについて再度アラーム発生テーブル505を参照することで当該他の閉そくにおいて発生している他のアラームを特定して、当該アラームと当該他のアラームとの関係を見つける。更にアラーム関係生成部512は、アラーム-幾何関係テーブル502を用いて、アラームのアラーム種別を決定する。そしてアラーム関係生成部512は、アラーム原因関係テーブル513に対して、アラームの種別や、アラームの原因となっている他の閉そく等の情報を書込む。
【0042】
アラーム原因関係テーブル513はアラーム関係生成部512で作成された複数アラーム間の関係を保持するテーブルである。具体的には、アラームの原因となる他のアラームを出力している他の閉そく(原因閉そくとも呼ぶ)と、当該アラームに関係する対象列車と、当該アラームのアラーム種別が記録されている。提案出力部514は、このアラーム原因テーブル513に対し、閉そくの識別情報をキーとして与えることにより、当該閉そくにおいて発生しているアラームに対し、他のどの閉そくでアラームが出力されているのかを把握することができる。
【0043】
指令員に対するメッセージを決定するために提案出力部514は、アラーム原因関係テーブル513と閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508の情報を用いる。
【0044】
提案出力部514はアラーム原因関係テーブル513を参照して、アラームが出力されている閉そく間の関係をたどり、アラーム間の関係に基づいてどの列車に対して進行制御を行ってよいかを必要によって閉そく間関係テーブル503を用いながら判断する。もし、閉そく間の関係において進路が重複する2列車があった場合には、提案出力部514はダイヤ情報テーブル508の出発時刻情報を用いて進行させる列車を判断する。そして提案出力部514は判断結果を従来監視制御卓制御部510に通知する。
【0045】
提案出力部514で判断されたアラームに対する対処案は、提案として最終的に従来監視制御卓制御部510に渡され外部に出力される。従来監視制御卓制御部510は、ディスプレイに対して従来の監視制御卓画面に加えてアラーム対処方法に関する提案を出力する。
【0046】
従来監視制御卓制御部510は、指令員が利用するマンマシンモニタに対する入出力を制御するものであり、司令員が見る画面(ディスプレイ)への情報の出力を制御するとともに、司令員からの入力情報を進路制御装置201に対して出力する。
【0047】
在線状況情報受付部509は現在の列車の在線状況など現在の在線列車に関わる情報を進路制御装置201から受け取り、従来監視制御卓制御部510に送信するI/Fである。
【0048】
監視制御卓画面入出力部511は従来監視制御卓制御部510からの入力を得て指令員が見る画面の描画を行い、線路形状と列車在線状況の表示、及び司令員に対するメッセージウィンドウを出力する。また監視制御卓画面入出力部511は、指令員からの制御命令入力を受付け従来監視制御卓制御部510に送信する。
【0049】
指令員制御出力部515は従来関し制御卓制御部510経由で送られてきた、指令員からの命令を、進路制御装置201に対して出力するためのI/Fであり、列車の制御順序改変等の命令を進路制御装置201に対して出力する。
【0050】
図6は監視制御卓の画面イメージの一例を示す図である。指令員が列車の運行情報やアラームの発生状況をこの画面を見ることで確認する。
【0051】
画面は、指令員用モニタ601、アラーム原因ツリー表示画面602、線形表示部603、アラームリスト表示部604、提案表示部605、アラーム対処ボタン606で構成される。
【0052】
指令員用モニタ601は、指令員がこの画面を見ながら、時々刻々変化する列車の運行状況を把握し、アラーム発生等問題が発生した場合の確認、対処を行うための画面である。指令員用モニタ601は、アラーム原因ツリー表示画面602、線形表示部603、アラームリスト表示部604、提案表示部605から構成されている。
【0053】
アラーム原因ツリー表示画面602には、複数のアラームが発生している時に、どのような関係で当該複数のアラームが発生しているのかを示すためにアラーム間の発生関係がツリー状に表示される。指令員はこのアラーム原因ツリーを見ることでアラーム発生の根本原因を知ることができ、迅速な障害復旧を実現できる。例えば図6の例では、100Tについての他列車待ちアラームは、200Tについての信号機故障アラームに起因して発生しているアラームであることをツリー形式で表している。
【0054】
線形表示部603は、指令員が線区内の線形(線路形状)及び列車の在線状況を確認するための画面であり、線路形状と線路上の列車の在線状況及び信号機等の設備制御状態が表示される。アラームが発生した場合には線形表示部603上に、アラームの対象となる列車や設備と、アラーム発生の因果関係を図示できる。
【0055】
アラームリスト表示部604はアラームの発生状況を指令員が確認するための画面であり、アラーム発生時刻とアラーム名称、アラームの対象となった列車や設備の情報が表示され、アラーム対処ボタン606を有する。
【0056】
アラーム対処ボタン606は、指令員がアラームに対する対処を行うときに利用するボタンであり、このボタンが押下されると順序改変等、提案表示部605に表示された対処方法に従った処理が実行される。
【0057】
提案表示部605は提案出力部514によって作成されたアラームに対する対処方法案を表示する。提案表示部605を見て、指令員が対処方法案に従った制御を実行するかどうか判断を下す。この結果、指令員が複数アラームの関連性を画面から読み解く手間を軽減でき、アラームが多数起こった場合に迅速な復旧が可能となる。
【0058】
図7はアラーム−幾何対応テーブル502の一例を示す図である。
【0059】
アラームは、アラームの解消方法に応じて後述する3つのアラーム種別に分類することができる。アラーム名称だけではアラームの種別が特定できない場合がある。しかし、アラームを発生させている閉そくと、他のアラームを発生させている他の閉そくとの間の幾何関係を、アラーム名称と組み合わせて用いれば、アラームの種別を特定することができる。アラーム−幾何対応テーブルは、アラーム名称と、この幾何関係とに基づいてアラーム種別を特定するために用いられるテーブルである。
【0060】
アラームは以下の3つのアラーム種別に分類できる。
【0061】
(1)「列車・設備以上」:1閉そく内の列車または信号機等の設備に障害が発生したことによって列車の進行が不可能になった場合のアラーム種別。
【0062】
(2)「対応策なし」:1本の線路上に直列に接続した2つの閉そく間において前方の列車が何らかの問題により進行不能となった場合のように、後方の列車の進行が線形上不可能な場合のアラーム種別。
【0063】
(3)「順序改変で進行可」:2つの線路からそれぞれ1列車ずつ列車が進行しており、それら2列車がそれぞれ時間差で1つの番線に進入する予定であったが、先に進入予定の列車が遅れたことで、後に進入予定の列車が定刻になっても番線に進入できない場合のアラーム種別。
【0064】
これらのアラームのうち、(1)(2)のアラームについてはその場で解決ができないが(3)のアラームについては、番線に対する列車の進入順序を指令員が変更することで解決が可能となる。
【0065】
発生しうるアラーム各々について、アラーム種別を特定するための幾何関係の情報と、アラームのアラーム種別を、線区開発時や改修時に予めアラーム−幾何対応テーブル502に設定しておく。
【0066】
なお、単一の閉そくにおいて発生し他の閉そくにおけるアラームを原因としない上記(1)のようなアラームについては、幾何関係を確認する必要がなく、むしろ他の閉そくとの間の幾何関係を確認すると誤ったアラームとの結び付けをしてしまう恐れがある。そこで、列車や設備の異常についてのアラームは、(1)の種別のアラームであることを認識しその対応が判るよう、指令員や有識者の手によってアラーム−幾何対応テーブル502を設定する必要がある。
【0067】
アラーム−幾何対応テーブルは「アラーム名称」701、幾何関係702、アラーム種別703を有する。
【0068】
「アラーム名称」701は地上装置や列車から発せられるアラームの識別情報である。 「幾何関係」702は、アラーム名称701に記録されたアラームを発生させている閉そくと、当該閉そくに接続されている別の閉そくであって別のアラームを発生させている閉そくとの間の幾何関係を表す情報である。幾何関係702として記録される幾何関係の詳細については、図8〜13を用いて詳述する。但し、アラーム名称701が「列車以上」「信号機異常」である場合には、幾何関係702には”−”が記載される。例えば、「アラーム名称」が「列車異常」であるものの「幾何関係」は「-」であり、「アラーム名称」が「信号機異常」であるものの「幾何関係」は「-」である。これらのアラームについては、当該アラームを発生している閉そくと他の閉そくとの間の幾何関係に関わらず、アラーム種別は「列車・設備異常」となることから、幾何関係を特定しない「−」が記録されているのである。
【0069】
「アラーム種別」703には、先述の3つのアラーム種別のいずれかを識別する情報が記載される。
【0070】
図8は順方向接続と呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある2つの閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法は1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が順方向接続である場合、アラーム種別703には「対応策なし」と表記される。
【0071】
図8において矢印は線路を表しており、実線で表された分岐器、着点、矢印は閉そく1を、破線で表された分岐器、着点、矢印は閉そく2を表している。なお、閉そく1、閉そく2の両方に属する分岐器は実線で示している。矢印の向きは閉そく内で列車が進む向きを表しており、例えば左方向が上り、右方向が下りである。図8の発点1、着点1はそれぞれ閉そく1の発点、着点であり、発点2、着点2はそれぞれ閉そく2の発点、着点である。信号機1、信号機2はそれぞれ閉そく1、閉そく2への列車進入許可を表示する信号機である。なお、図中の信号機は丸印方向から縦棒方向へと表示面を向けており、信号機の縦棒方向に在線している列車に対して指示を行う。
【0072】
図8に示す幾何関係の特徴は着点1と発点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないことおよび、閉そく1、閉そく2とも列車の方向が右方向であることである。なお、図8に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係は分岐器がなくても実現可能である。
【0073】
このような閉そくの接続関係にある2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、何らかの理由で発点2に列車が在線したまま発点1に列車が到達した時であり、この場合発点2に在線している列車が出発するまでは発点1に在線する列車を進行させられない。
【0074】
図9は、逆方向接続Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法は1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が逆方向接続Aである場合、アラーム種別703は「対応策なし」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0075】
図9の幾何関係の特徴は着点1と発点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないことおよび閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。図9に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0076】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、何らかの理由で発点2に列車が在線したまま発点1に列車が到達した時であり、この場合発点2に在線している列車が出発するまでは発点1に在線する列車を進行させられない。
【0077】
図10は、終点片封鎖Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例をしめす。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生すると、アラームの解決方法が1通りに特定される。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点片封鎖Bである場合、アラーム種別703は「対応策なし」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0078】
図10の幾何関係の特徴は発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、着点2が閉そく1に含まれていること及び閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。なお、図10に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0079】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、発点1に列車が在線している状態で発点2から列車が出発しようとした場合であり、この場合においては、発点1から列車が出発し、着点1に到達しない限りは発点2に在線する列車は進行できない。
【0080】
図11は、終点両封鎖Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例をしめす。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点両封鎖Aである場合、アラーム種別703は「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0081】
図11の幾何関係の特徴は、着点1と着点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1、閉そく2とも方向が右方向であることである。なお、図11に表記されている分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低1つの分岐器が必要である。
【0082】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0083】
図12は、終点両封鎖Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が終点両封鎖Bである場合、アラーム種別703は、「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0084】
図12の幾何関係の特徴は、着点1と着点2が重複していること、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1が右方向、閉そく2が左方向である。なお、分岐器の数は上記特徴と関係ないが、当該幾何関係は分岐器がなくても実現可能である。
【0085】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0086】
図13は、交差Aと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、列車の順序改変によって列車の進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が交差Aである場合、アラーム種別703には「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0087】
図13の幾何関係の特徴は、発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1、閉そく2とも方向が右方向であることである。なお、分岐器の数は上記特徴に関係ないが、当該幾何関係を実現するためには最低二つの分岐器が必要である。
【0088】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0089】
図14は、交差Bと呼ばれる閉そく間の幾何関係の一例を示す。この幾何関係にある閉そくにアラームが発生した場合、順序改変によって列車の進行が可能になる。アラーム-幾何対応テーブル502の幾何関係702が交差Bである場合、アラーム種別703には「順序改変で進行可能」と表記される。矢印、実線、点線、信号機の表記の意味は図8と同様である。
【0090】
図14の幾何関係の特徴は、発点1、発点2、着点1、着点2が重複していないこと、発点1、着点1が閉そく2に含まれていないこと、発点2、着点2が閉そく1に含まれていないこと、閉そく1が右方向、閉そく2が左方向であることである。なお、分岐器の数は上記特徴に関係ないが、この幾何関係を実現するためには最低二つの分岐器が必要である。
【0091】
このような幾何関係を有する2つの閉そくにおいてアラームが発生するのは、例えば発点1と発点2から列車が出発し、発点1の列車が先行する場合において、発点1の列車が発点1に未到達であるときや発点1の列車が何らかの理由で進行できない場合であり、このような場合、発点2の列車は進行の順序を守れなくなるためアラームが生じる。このようなアラームの場合、発点1の列車と発点2の列車の進行順序を変更し、発点2の列車を先行させることで、アラームを解決できる。
【0092】
図15は、アラーム発生状況の一例を示す図であり、駅の線形(線路形状)と閉そくへの列車の在線状況、及びアラームの出力状況を示した図である。図15に示す駅では、上り、下りのホームが存在し、それぞれに対して上り本線、下り本線に在線する列車が着発できる。また、上りと下りの間には中線が設けられており、他列車の待ち合わせを行う際にはこの中線を利用する。このような線形の駅において上り方向の中線には列車1000Tが在線しており、上り本線の駅ホームには列車2000Tが在線しており、下り本線の駅入場前には中線に進入しようとしている列車3000Tが在線しており、下り本線の駅ホームには列車4000Tが在線している。また、この駅内の複数の閉そくではアラームが発生しており、閉そくEでは信号機故障アラーム、閉そくDでは進路妨害アラーム、閉そくFでは他列車待ちアラーム、閉そくBでは他列車待ちアラーム、閉そくGでは他列車待ちアラームが発生している。このような状況において、2つの閉そく間の幾何関係は閉そく関係テーブル503に記述されており、アラームの発生状況についてはアラーム発生状況テーブル505、それぞれの列車の運行予定については、ダイヤ情報テーブル508が保持している。以降では、このような状況に対し、さらにアラーム-幾何関係テーブル502を用いてアラームの因果関係を抽出し、どの列車を進行させるべきかを提案するための方法について説明する。
【0093】
図16はアラーム発生状況テーブル505の一例を示す図である。アラーム発生状況テーブル505は、進路制御装置201から時々刻々上がってくるアラーム情報を格納する。図16の場合は、図15に示す線路で図15に示すアラームが生じた場合にアラーム発生状況テーブル505に登録される情報の一例を示している。アラーム関係生成部412はアラーム発生状況テーブル505の対象閉そく1602を起点として閉そく関係テーブルを検索し、アラーム間の関係をひもづけを行う。また、従来監視制御卓510では、アラーム発生状況テーブル505に記録された情報を監視制御卓画面入出力部511を通して監視制御卓画面に出力することにより、図6に示したアラームリスト表示部604を描画する。
【0094】
アラーム発生状況テーブル505は、発生時刻1601、対象閉そく1602、対象列車1603、アラーム名称1604を有する。
【0095】
「発生時刻」1601はアラームが発生した時刻を記録している列である。
【0096】
「対象閉そく」1602にはアラームが発生した閉そくの名称が記載される。
【0097】
「対象列車」1603には、アラームが発生した閉そくに在線する列車の番号が記録される。但し、アラームの対象が信号機や列車等の機器・設備であった場合は、“-”が記録される。
【0098】
「アラーム名称」1604には、生じたアラームのアラーム名称が記載される。
【0099】
図17はダイヤ情報テーブル508の一例を示す図である。ダイヤ情報テーブル508は計画系システム202にて作成された列車の運行に関する情報を駅ごとに保持する。図17の場合は図15に示した駅におけるダイヤ情報テーブル508を表している。
【0100】
アラーム関係生成部512はダイヤ情報テーブル508の経由番線1703を用いて、ある閉そくに在線する列車が進出する次の閉そくがどれであるかを計算し、提案出力部514はアラーム解決方法の提案の際、進路を同じくする複数の提案があった場合に出発時刻1701を用いて提案の優先決定を行い、従来監視制御卓制御部510には指令員の要求に従ってダイヤ情報テーブル508の任意の情報を表示する。
【0101】
ダイヤ情報テーブル508には、列車の出発時刻1701と、列車番号1702と、列車が経由する経由番線1703が登録されている。
【0102】
「出発時刻」1701は、各列車が駅を出発する時刻である。
【0103】
「列車番号」1702は各列車を識別するための列車番号である。
【0104】
「経由番線」1703は各列車がどの番線を経路して進行していくのかを示す経由番線情報である。
【0105】
図18は閉そく関係テーブル503の一例を示す図であり、図15に示した線路形状についてこの線路形状を構成する閉そく間の接続関係と幾何関係、及び番線情報を記したものである。
【0106】
閉そく関係テーブルはアラーム関係生成部412がアラームを発生している閉そくに関係する閉そくを見つけ出し、また見つけたアラーム間の関係を調べるために利用される。また、提案出力部514においては進路同士の競合がないかを判断するために用いる。
【0107】
閉そく関係テーブル503は、閉そく名1801と、接続先閉そく1802と、幾何関係名称1803と、番線情報1804とを有する。
【0108】
「閉そく名」1801は線形・線区で一意に定まる閉そくの識別情報である。
【0109】
「接続先閉そく」1802には閉そく名1801に記載の閉そくに図8〜図14に示す幾何関係で接続する他の閉そくの名称が記載される。
【0110】
「幾何関係名称」1803には、閉そく名1801に記された閉そくと接続先閉そく1802に記された閉そくとの間の幾何関係の名称が記載される。 「番線情報」1804には、接続先閉そく1802の持つ番線が記載され、もし番線を持たない場合には“-”が記載される。
【0111】
図19はアラーム関係生成部512の動作の一例を示すフロー図である。
【0112】
この動作フロー図は、アラーム発生状況テーブル505に記載の全てのアラームについて、閉そく関係テーブル503とダイヤ情報テーブル508を利用して関連のあるアラームを導き出し、併せてアラーム幾何関係テーブル502を利用してアラーム種別を導き出し、これらの情報をアラーム原因関係テーブルに格納する方法を表している。
【0113】
ステップ1901はアラーム発生状況テーブル505に記載の全てのアラームについて、以降の処理を繰返す処理である。以降、ステップ1901の繰り返し処理においてアラーム発生状況テーブル505から処理対象として選択されたアラームを、処理対象のアラームと呼ぶ。
【0114】
ステップ1902は、処理対象のアラームについて、アラーム-幾何対応テーブル502のアラーム名称701の列をアラーム発生状況テーブル505のアラーム名称1604で検索しアラーム種別703を読み出す処理である。
【0115】
ステップ1903は、ステップ1902で読み出したアラーム種別703が「列車・設備異常」かどうか調べる処理である。アラーム種別が「時列車・設備異常」のアラームに関してはアラーム名称のみからアラーム種別を判断できるためアラーム種別703の特定が可能である。しかし、他のアラーム種別703についてはアラーム名称のみからはアラーム種別を特定できない場合があり、ステップ1902でアラーム名称からアラーム種別を特定することができなかった場合は、ステップ1903ではアラーム種別が「列車・設備異常」であったとはみなさない。
【0116】
以降、ステップ1916、ステップ1917は、アラーム種別703が「列車・設備異常」であった時の動作である。もし、アラーム種別703が列車・設備異常であったなら、処理対象のアラームは他のアラームを原因とするアラームではないものとして、アラーム原因関係テーブル513への記録を行う。
【0117】
具体的には、まずステップ1916では、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく2001に、アラーム発生状況テーブル505に記載されている処理対象のアラームについての対象閉そく1602を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象列車2002にアラーム発生状況テーブル505に記載されている処理対象のアラームについての対象列車1603を記録する。
【0118】
ステップ1917では、アラーム原因関係テーブル513の原因閉そく2004に「無し」を記録し、アラーム原因関係テーブル513のアラーム種別2003に「列車・設備異常」を記録する。
【0119】
ステップ1904〜ステップ1906は、処理対象のアラームを発生させた閉そくから列車が次に進入する閉そく(進入閉そくと呼ぶ)を決定するための処理である。
【0120】
ステップ1904では、アラーム発生状況テーブル505の処理対象アラームについての対象閉そく1602をキーとして、閉そく関係テーブル503の接続先閉そく1802を検索し、抽出される閉そくがひとつだけかどうか調べる。もし閉そく関係テーブル503の接続先閉そく1802の列を検索して抽出された接続先閉そくが当該対象閉そくに対してひとつだけであれば、ステップ1905へ進む。もしひとつだけでなければ、ステップ1906へ進む。
【0121】
ステップ1905では、ステップ1904で閉そく関係テーブル503から抽出した接続先閉そく1802を読み出して、この閉そくを進入閉そくとする。
【0122】
ステップ1906では、アラーム発生状況テーブル505の処理対象のアラームについての対象列車1603をキーとして利用し、ダイヤ情報テーブル508を検索して対象列車の経由番線1603を決定する。そして、決定した経由番線を閉そく関係テーブル503の番線情報1804と照合し、対象列車がどの番線を経由するかを確認することで当該対象列車が次に進入する閉そく(すなわち進入閉そく)を決定する。
【0123】
ステップ1907は進入閉そくにアラームが発生しているかどうか調べる処理である。ステップ1905またはステップ1906で決定された進入閉そくをキーとして、アラーム発生状況テーブル505を検索することで、進入閉そくにおけるアラームの有無が確認できる。もし進入閉そくにアラームが生じていれば、ステップ1908へ進む。もし進入する閉そくにアラームがなければ、ステップ1914へ進む。
【0124】
以降、ステップ1914,1915では、処理対象のアラームを発している閉そくに在線している列車が次に進入する閉そく(進入閉そく)にもアラームが発生していた場合の処理である。進入閉そくにアラームが発生しているなら、列車は進入閉そくに進入できないため、進入閉そくを処理対象のアラームの原因閉そくとしてアラーム原因関係テーブル513に記録する。
【0125】
具体的にはまずステップ1914で、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく1901にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームについての対象閉そく1602を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象列車2002にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームについての対象列車1603を記録し、アラーム原因関係テーブル513の原因閉そく2004に進入閉そくを記録する。
【0126】
ステップ1915では、アラーム原因関係テーブル513のアラーム種別に「対応策なし」を記録する。
【0127】
ステップ1908、1909では、進入閉そくとこれに接続する他の閉そくの2閉そく間の幾何関係を調べる。
【0128】
ステップ1908では、進入閉そくに対し順方向接続(図8参照)以外の幾何関係で接続する閉そくを、閉そく関係テーブル503から検索する。
【0129】
ステップ1909は、ステップ1908で特定された閉そくに、順方向接続の幾何関係で接続する閉そくを、閉そく関係テーブルから検索する処理である。この時どこまでの範囲で接続関係を調査するかは必要により増やしてもよい。
【0130】
ステップ1910では、ステップ1908およびステップ1909の検索で抽出した閉そくにアラーム生じているか調べる。もしアラームが生じていれば、ステップ1911へ進む。もしアラームが生じていなければステップ1918へ進む。
【0131】
以降、ステップ1911〜1913ではステップ1908と1909で調べた閉そくにアラームが発生していた場合にアラーム-原因関係テーブル513に記録する内容について説明する。
【0132】
ステップ1911はアラームを発生させているステップ1908またはステップ1909で抽出した閉そくを、アラーム-原因関係テーブル513の原因閉そく2004に記録する処理である。
【0133】
ステップ1912では、ステップ1908で抽出した閉そくと進入閉そくとの間の幾何関係と、ステップ1908またはステップ1909の検索で抽出した閉そくで生じているアラームのアラーム名称で、アラーム-幾何対応テーブル502を検索し、アラーム種別を決定して、アラーム-原因関係テーブル513のアラーム種別2030に記録する。
【0134】
ステップ1913はアラーム原因関係テーブル513の対象列車2002に、アラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームを発生させた閉そくに在線している対象列車1603を記録し、アラーム原因関係テーブル513の対象閉そく2001にアラーム発生状況テーブル505に記載の処理対象のアラームを発生させた閉そくを記録する処理である。
ステップ1918は繰返し終りする処理である。
【0135】
図20はアラーム原因関係テーブル513の一例を示す図である。アラーム原因関係テーブル513は、アラームが発生している閉そくに対して他のアラーム発生閉そくとの関係を保持するとともに、解決方法を提案する判断材料となるアラーム種別の情報を保持する。アラーム原因関係テーブル513はアラーム関係生成部512で生成され、提案出力部514の入力となる。提案出力部514は上記アラームを発生している閉そく(対象閉そく2001と原因閉そく2004)の関係を解析し、アラーム種別2003を用いて最終的な提案を出力する。
【0136】
アラーム原因関係テーブル513は、対象閉そく2001、対象列車2002、アラーム種別2003、原因閉そく2004を有する。
【0137】
対象閉そく2001はアラームを出力している閉そくの名称である。
【0138】
対象列車2002には対象閉そくに在線している列車番号が記載される。対象閉そくに列車が在線していない場合には在線列車なしをしめす「-」が記録される。
【0139】
アラーム種別2003はアラーム−幾何関係テーブルのアラーム種別703と同じく、1閉そく内のアラームであって他の閉そくで生じているアラームを原因とするアラームではない「列車・設備異常」または、複数閉そくが関係するが、直接対処ができない「対応策なし」または、複数閉そくが関係し、指令員の判断で進行可能な「順序改変で進行可能」といったアラームの種別を示す情報が記載される。
【0140】
原因閉そく2004は対象閉そく2001に対し関係のある閉そくであって、アラームを出力しており、対象閉そく2001のアラームの原因となっていると推定される閉そくの名称が記載される。原因閉そくがないばあいにはその旨を示す「−」が記録される。
【0141】
尚、図20は図15に示すアラームが発生している状況で図19に示す処理をアラーム関係生成部512が実行した結果作成されるアラーム原因関係テーブルを示している。
【0142】
図21は提案出力部514の動作の一例を示すフロー図である。
【0143】
提案出力部514ではアラーム原因関係テーブル513において原因閉そく2004がない対象閉そく2001を起点として閉そく間の関係をたどることにより、アラームの関係を追ってゆく。原因閉そくがない場合、可能性の高いアラームの原因は列車・設備の異常であり、アラームの原因がこのような機器・設備の異常であったなら即時の復旧は難しく、これを原因としたアラームの解決には長い時間がかかる。そこで、原因閉そくがない場合のアラームに端を発したアラームに、指令員の手による即時解決可能な方法があるなら、その方法を提案出力部が分析して提案することで、障害の影響を小さくできる。
【0144】
ステップ2101は、アラーム原因関係テーブルから原因閉そく2004が登録されていない対象閉そく2001を全て特定する処理である。
【0145】
ステップ2102はステップ2001で特定された対象閉そく2001の各々について、以降の処理を繰り返し実行する処理である。
【0146】
以下、ステップ2103、2104ではアラーム原因関係テーブル513において原因閉そくがない対象閉そくを原因閉そくとしてアラームが発生している他の閉そくを探し出す処理を行う。
【0147】
具体的にはまずステップ2103で、ステップ2101で特定した原因閉そく2004のない対象閉そく2001のうちまだ以降の処理が実施されていない対象閉そくの1つを選んで(選ばれた対象閉そくを、以降処理対象の対象閉そくと呼ぶ)、アラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在するかどうか調べる。もしアラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在するのであれば、ステップ2104へ進む。アラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行が存在しなければ、ステップ2105へ進む。
【0148】
ステップ2104はアラーム原因関係テーブル513において、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる行を読出する処理である。
【0149】
ステップ2103と2104は、アラーム原因関係テーブル513に存在する、処理対象の対象閉そくが原因閉そくとなる全ての行が読み出されるまで繰り返し実行される。
【0150】
ステップ2105では、ステップ2104で読み出された行のアラーム種別2003を参照して、アラーム種別が「順序改変で進行可」であるものが複数存在しているかどうか調べる。もし複数存在していれば、ステップ2106へ進む。もし複数存在していなければ、ステップ2112へ進む。
【0151】
ステップ2112は、ステップ2104で読み出された行のアラーム種別を参照して、アラーム種別が「順序改変で進行可」であるものが1つ存在するか調べる処理である。もし1つ存在するのであれば、ステップ2113へ進む。もし存在しないのであれば、ステップ2114へ進む。
【0152】
ステップ2113は指令員に対しステップ2104で読み出された行に対象列車2002として記録されている列車に対する制御を提案するための処理である。このとき検索の発端となった原因閉そくのない対象閉そく(処理対象の対象閉そく)の対象閉そく名と、制御提案の対象となっている列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。更に、処理対象の対象閉そくと当該処理対象の閉そくを原因閉そくとする閉そくのうちアラーム種別が「順序改変で進行可」である閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510に送信することで、アラーム原因ツリー表示画面602の表示が可能となる。
【0153】
ステップ2106はアラーム種別が「順序改変で進行可」である複数の行各々について、その行の対象閉そく2001に登録されている閉そくをキーに閉そく関係テーブル503を参照し、各対象閉そく2001の接続先閉そくを読み出す処理である。
【0154】
ステップ2107は、ステップ2106の結果に基づいて接続先閉そくが同じである対象閉そくがあるかどうか調べる処理である。もし接続先閉そくが同じである対象閉そくがあれば、ステップ2108へ進む。もし接続先閉そくが同じである対象閉そくがなければ、ステップ2111へ進む。
【0155】
ステップ2111は指令員に対し、ステップ2104で読み出した行に対象列車2002として登録されている全ての列車に対する順序改変を提案するための処理である。このとき検索の発端となった原因閉そくのない対象閉そく(処理対象の対象閉そく)の閉そく名と、ステップ2104で読み出した複数の行に対象列車2002として記録されている列車全ての列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと当該処理対象の閉そくを原因閉そくとする閉そくのうちアラーム種別が「順序改変で進行可」である閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510に送信することで、アラーム原因ツリー表示画面602の表示が可能となる。
【0156】
以下、ステップ2108〜2110では複数列車に関して提案対象列車同士の進路競合が起こっている場合の処理を実行する。
【0157】
ステップ2108では、アラーム原因関係テーブル513を参照して、接続先閉そくが同じである対象閉そく2001の対象列車2002を特定し、特定された対象列車の出発時刻をダイヤ情報テーブル508から読み出し、出発時刻の早い対象列車を優先列車とする。
【0158】
ステップ2109は指令員に対し優先列車を出発させるための順序改変を提案するための処理である。処理対象の対象閉そくの閉そく名と、優先列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと優先列車が在線している閉そくについて、アラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510へ送信することで、アラーム原因ツリー表示画面606の表示が可能となる。
【0159】
ステップ2110は接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくに在線する列車を出発させるための順序改変を提案するための処理である。処理対象の対象閉そくの閉そく名と、接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくに在線する列車の列車番号を従来監視制御卓制御部510に送信することで、提案表示部605の表示が可能となる。さらに、処理対象の対象閉そくと、接続先閉そくを他の対象閉そくと共有しない対象閉そくについて、ラーム発生状況テーブル505の内容を従来監視制御卓制御部510へ送信することで、アラーム原因ツリー表示画面606の表示が可能となる。
【0160】
ステップ2114は繰り返しを終了する処理である。ステップ2101で特定された原因閉そくのない対象閉そく全てについてステップ2103から2113までの処理が完了すると、繰り返し処理は修了する。
【符号の説明】
【0161】
410:監視制御卓制御部
502:アラーム−幾何関係テーブル
503:閉そく関係テーブル
505:アラーム発生状況テーブル
508:ダイヤ情報テーブル
512:アラーム関係生成部
513:アラーム原因関係テーブル
514:提案出力部
510:従来監視制御卓制御部
511:監視制御卓画面入出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置であって、
進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、
線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくを特定し当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録する閉そく関係格納部と、
アラームが生じた第一の閉そくの名称を前記アラーム発生状況格納部から取得して、前記閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、
前記アラーム関係生成部によって格納される、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有することを特徴とする、監視制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視制御装置であって、
更に、列車のダイヤ情報を格納したダイヤ情報格納部を有しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくに接続する閉そくが複数存在する場合に、前記ダイヤ情報を参照して前記第一の閉そくに接続する複数の閉そくの中から前記第一の閉そくから列車が進入する進入先閉そくを特定し、当該進入先閉そくを前記第二の閉そくとして特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の監視制御装置であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記閉そく関係格納部を参照して前記第二の閉そくと順方向接続の幾何関係で接続する第三の閉そくを特定し、当該第三の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第三の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第三の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の監視制御装置であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記第三の閉そくに逆方向接続A、終点片封鎖B、終点両封鎖A、終点両封鎖B、交差A、もしくは交差Bの幾何関係で接続する第四の閉そくを前記閉そく関係格納部を参照して特定し、前記第四の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第四の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第四の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の監視制御装置であって、
更に、アラームの名称と、アラームが生じた閉そくと接続する他の閉そくであって他のアラームを生じさせている他の閉そくとの間の幾何関係とに基づいて、当該アラームのアラーム種別を定義するアラーム幾何関係情報を記録するアラーム幾何関係情報格納部を有しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくで生じているアラームの名称が前記アラーム幾何関係情報においていずれの他の閉そくとも対応付けられていない場合に、前記アラーム原因関係格納部に、当該第一の閉そくに生じているアラームに原因閉そくが存在しない旨の情報を格納することを特徴とする監視制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の監視制御装置であって、
更に出力画面にアラームに関する情報を出力する出力部を有しており、
前記アラーム種別はアラームに対する対処方法に基づいてアラームを分類したアラーム種別であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくと前記原因閉そくとの間の幾何関係に基づいて当該第一の閉そくに生じているアラームのアラーム種別を前記アラーム幾何関係情報に基づき特定し、
前記出力部は、前記アラーム関係生成部が特定したアラーム種別に基づいて、前記第一の閉そくに生じたアラームに対する対処方法を前記出力画面に出力することを特徴とする監視制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の監視制御装置であって、
前記出力部は、前記アラーム原因関係格納部に基づいて、前記第一の閉そくと当該第一の閉そくの原因閉そくとに生じているアラームとを関連づけて前記出力画面に出力することを特徴とする監視制御装置。
【請求項8】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置によって実行される方法であって、
前記監視制御装置のアラーム発生状況格納部は、進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録し、
前記監視制御装置の閉そく関係格納部は、線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくと、当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録し、
前記監視制御装置のアラーム関係生成部は、アラームが生じた第一の閉そくの名称を前記アラーム発生状況格納部から取得して、前記閉そく関係格納部から当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定し、
前記監視制御部のアラーム原因関係格納部は、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、
更に、前記監視制御装置のダイヤ情報格納部は、列車のダイヤ情報を格納しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくに接続する閉そくが複数存在する場合に、前記ダイヤ情報を参照して前記第一の閉そくに接続する複数の閉そくの中から前記第一の閉そくから列車が進入する進入先閉そくを特定し、当該進入先閉そくを前記第二の閉そくとして特定することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記閉そく関係格納部を参照して前記第二の閉そくと順方向接続の幾何関係で接続する第三の閉そくを特定し、当該第三の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第三の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第三の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記第三の閉そくに逆方向接続A、終点片封鎖B、終点両封鎖A、終点両封鎖B、交差A、もしくは交差Bの幾何関係で接続する第四の閉そくを前記閉そく関係格納部を参照して特定し、前記第四の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第四の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第四の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、
更に、前記監視制御装置のアラーム幾何関係情報格納部は、アラームの名称と、アラームが生じた閉そくと接続する他の閉そくであって他のアラームを生じさせている他の閉そくとの間の幾何関係とに基づいて、当該アラームのアラーム種別を定義するアラーム幾何関係情報を記録しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくで生じているアラームの名称が前記アラーム幾何関係情報においていずれの他の閉そくとも対応付けられていない場合に、前記アラーム原因関係格納部に、当該第一の閉そくに生じているアラームに原因閉そくが存在しない旨の情報を格納することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、
前記アラーム種別はアラームに対する対処方法に基づいてアラームを分類したアラーム種別であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくと前記原因閉そくとの間の幾何関係に基づいて当該第一の閉そくに生じているアラームのアラーム種別を前記アラーム幾何関係情報に基づき特定し、
前記監視制御部の出力部は、前記アラーム関係生成部が特定したアラーム種別に基づいて、前記第一の閉そくに生じたアラームに対する対処方法を出力画面に出力することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、
前記出力部は、前記アラーム原因関係格納部に基づいて、前記第一の閉そくと当該第一の閉そくの原因閉そくとに生じているアラームとを関連づけて前記出力画面に出力することを特徴とする方法。
【請求項1】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置であって、
進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録するアラーム発生状況格納部と、
線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくを特定し当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録する閉そく関係格納部と、
アラームが生じた第一の閉そくの名称を前記アラーム発生状況格納部から取得して、前記閉そく関係格納部を参照して当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定するアラーム関係生成部と、
前記アラーム関係生成部によって格納される、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録するアラーム原因関係格納部とを有することを特徴とする、監視制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視制御装置であって、
更に、列車のダイヤ情報を格納したダイヤ情報格納部を有しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくに接続する閉そくが複数存在する場合に、前記ダイヤ情報を参照して前記第一の閉そくに接続する複数の閉そくの中から前記第一の閉そくから列車が進入する進入先閉そくを特定し、当該進入先閉そくを前記第二の閉そくとして特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の監視制御装置であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記閉そく関係格納部を参照して前記第二の閉そくと順方向接続の幾何関係で接続する第三の閉そくを特定し、当該第三の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第三の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第三の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の監視制御装置であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記第三の閉そくに逆方向接続A、終点片封鎖B、終点両封鎖A、終点両封鎖B、交差A、もしくは交差Bの幾何関係で接続する第四の閉そくを前記閉そく関係格納部を参照して特定し、前記第四の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第四の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第四の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の監視制御装置であって、
更に、アラームの名称と、アラームが生じた閉そくと接続する他の閉そくであって他のアラームを生じさせている他の閉そくとの間の幾何関係とに基づいて、当該アラームのアラーム種別を定義するアラーム幾何関係情報を記録するアラーム幾何関係情報格納部を有しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくで生じているアラームの名称が前記アラーム幾何関係情報においていずれの他の閉そくとも対応付けられていない場合に、前記アラーム原因関係格納部に、当該第一の閉そくに生じているアラームに原因閉そくが存在しない旨の情報を格納することを特徴とする監視制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の監視制御装置であって、
更に出力画面にアラームに関する情報を出力する出力部を有しており、
前記アラーム種別はアラームに対する対処方法に基づいてアラームを分類したアラーム種別であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくと前記原因閉そくとの間の幾何関係に基づいて当該第一の閉そくに生じているアラームのアラーム種別を前記アラーム幾何関係情報に基づき特定し、
前記出力部は、前記アラーム関係生成部が特定したアラーム種別に基づいて、前記第一の閉そくに生じたアラームに対する対処方法を前記出力画面に出力することを特徴とする監視制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の監視制御装置であって、
前記出力部は、前記アラーム原因関係格納部に基づいて、前記第一の閉そくと当該第一の閉そくの原因閉そくとに生じているアラームとを関連づけて前記出力画面に出力することを特徴とする監視制御装置。
【請求項8】
列車や鉄道の地上設備から発せられるアラームを監視する監視制御装置によって実行される方法であって、
前記監視制御装置のアラーム発生状況格納部は、進路制御装置から受信したアラームのアラーム名称、当該アラームが生じた閉そくの名称、当該閉そくに在線する列車の識別情報を記録し、
前記監視制御装置の閉そく関係格納部は、線路を構成する複数の閉そくについて、互いに接続している二つの閉そくと、当該二つの閉そくの間の幾何的な接続関係である幾何関係を特定するための情報を記録し、
前記監視制御装置のアラーム関係生成部は、アラームが生じた第一の閉そくの名称を前記アラーム発生状況格納部から取得して、前記閉そく関係格納部から当該第一の閉そくに接続する第二の閉そくを特定し、当該第二の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第二の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第二の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定し、
前記監視制御部のアラーム原因関係格納部は、アラームが生じた閉そくの名称と当該アラームの原因閉そくの名称とを記録することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、
更に、前記監視制御装置のダイヤ情報格納部は、列車のダイヤ情報を格納しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくに接続する閉そくが複数存在する場合に、前記ダイヤ情報を参照して前記第一の閉そくに接続する複数の閉そくの中から前記第一の閉そくから列車が進入する進入先閉そくを特定し、当該進入先閉そくを前記第二の閉そくとして特定することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記閉そく関係格納部を参照して前記第二の閉そくと順方向接続の幾何関係で接続する第三の閉そくを特定し、当該第三の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第三の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第三の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第二の閉そくにアラームが生じていない場合に、前記第三の閉そくに逆方向接続A、終点片封鎖B、終点両封鎖A、終点両封鎖B、交差A、もしくは交差Bの幾何関係で接続する第四の閉そくを前記閉そく関係格納部を参照して特定し、前記第四の閉そくにアラームが生じているかを前記アラーム発生状況格納部を参照して確認し、当該第四の閉そくにアラームが生じている場合に、当該第四の閉そくを前記第一の閉そくに生じたアラームの原因閉そくと特定することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、
更に、前記監視制御装置のアラーム幾何関係情報格納部は、アラームの名称と、アラームが生じた閉そくと接続する他の閉そくであって他のアラームを生じさせている他の閉そくとの間の幾何関係とに基づいて、当該アラームのアラーム種別を定義するアラーム幾何関係情報を記録しており、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくで生じているアラームの名称が前記アラーム幾何関係情報においていずれの他の閉そくとも対応付けられていない場合に、前記アラーム原因関係格納部に、当該第一の閉そくに生じているアラームに原因閉そくが存在しない旨の情報を格納することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、
前記アラーム種別はアラームに対する対処方法に基づいてアラームを分類したアラーム種別であって、
前記アラーム関係生成部は、前記第一の閉そくと前記原因閉そくとの間の幾何関係に基づいて当該第一の閉そくに生じているアラームのアラーム種別を前記アラーム幾何関係情報に基づき特定し、
前記監視制御部の出力部は、前記アラーム関係生成部が特定したアラーム種別に基づいて、前記第一の閉そくに生じたアラームに対する対処方法を出力画面に出力することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、
前記出力部は、前記アラーム原因関係格納部に基づいて、前記第一の閉そくと当該第一の閉そくの原因閉そくとに生じているアラームとを関連づけて前記出力画面に出力することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−52727(P2013−52727A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191254(P2011−191254)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]