説明

鉛畜電池

【課題】極板群における極板間の位置ずれを防止するとともに、当該極板の鉛直方向の膨張による電槽等の極板群周りの部材の破損を防止する。
【解決手段】電槽2内に収容された極板群3と前記電槽2の底面2aとの間に介在して設けられ、前記極板群3における極板31、32間の距離を保持するアンカープレート4を備え、このアンカープレート4が、前記極板群3の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛畜電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鉛畜電池としては、特許文献1に示すように、電槽とこの電槽内に収容される極板群を有する鉛蓄電池において、極板群を構成する正極板、セパレータ及び負極板を水平方向に積層するとともに、それらを樹脂によって電槽に接着して固定したものがある。また、特許文献2に示すように、極板群を構成する正極板、セパレータ及び負極板の下端を連結部に溶着して連結したものがある。なお、この連結部は、電槽の底面に固定されている。これらの構成により、正極板、セパレータ及び負極板が電槽に対して位置決め固定されて、耐振性に優れた鉛蓄電池とすることができる。
【0003】
上記の構成では、極板群を構成する正極板、セパレータ及び負極板を、樹脂や連結部によって電槽に固定しているので、正極板及び負極板が極板の積層方向だけでなく、極板の積層方向に直交する平面方向においても電槽に対して固定されてしまう。
【0004】
しかしながら、極板群を構成する正極板及び負極板は、充放電反応時の体積変化及び正極板の腐食に伴い、鉛直及び水平方向の膨張することから、正極板及び負極板が電槽を内側から圧迫して当該電槽が破損する恐れがある。また、正極板及び負極板の鉛直及び水平方向の膨張によりそれら極板が電槽から受ける反力により破損する又は極板に接続されたストラップ等が破損する恐れがある。上記の正極板及び負極板の膨張による電槽の破損について詳述すると、まず正極板及び負極板が鉛直方向に膨張する。この鉛直方向の膨張が最大まで達した後、それ以上鉛直方向に膨張できず、正極板及び負極板は水平方向に膨張する。その結果、正極板及び負極板が鉛直方向及び水平方向に向かって電槽を内側から圧迫し、これにより電槽が破損する。
【0005】
また、例えば極板高さが200mm以上の極板を有する極板群を電槽内に収容して構成される高形の鉛蓄電池では、極板高さが高くなるに連れて正極板及び負極板の位置決めが難しくなり、また、正極板及び負極板の高さ方向(鉛直方向)の膨張分が大きくなり電槽等の極板群周りの部材又は極板自体の破損を起こし易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−84677号公報
【特許文献2】実用新案登録第3057691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、極板群における極板間の位置ずれを防止するとともに、当該極板の鉛直方向の膨張による電槽等の極板群周りの部材又は極板自体の破損を防止することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る鉛畜電池は、電槽内に収容された極板群と前記電槽の底面との間に介在して設けられ、前記極板群における極板間の距離を保持するアンカープレートを備え、前記アンカープレートが、前記極板の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造を有することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、極板間の距離を保持するアンカープレートを配置しているので、極板群を電槽内に配置した後に、当該電槽内で極板群を構成するセパレータ及び極板群の位置ずれを防止することができる。また、アンカープレートが膨張吸収構造を備えているので、鉛蓄電池の使用により生じる極板の鉛直方向への膨張を吸収することができ、電槽等の極板群周りの部材又は極板自体の破損を防止することができる。本発明の効果は、例えば極板高さが200mm以上の極板を有する極板群を備える鉛蓄電池において、その極板高さが高くなるに連れて顕著となる。
【0010】
膨張吸収構造を有するアンカープレートの具体的な実施の態様としては、前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面と前記電槽の底面との間に設けられ、前記極板の鉛直方向の膨張を弾性変形により吸収する弾性体、又は、前記膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を備えることが望ましい。これならば、プレート本体を実質的に変形させることなく弾性体の弾性変形又は塑性変形体の塑性変形により確実に極板の膨張を吸収することができる。なお、プレート本体が実質的に変形しないことから極板とプレート本体との接着部位や溶着部位などの接続部位に過度の応力が掛からないようにして接続部位の破損を防止することができる。
【0011】
また、前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面に設けられて前記プレート本体を支持する支持脚とを備え、前記プレート本体が撓むことにより前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものであることが望ましい。これならば、プレート本体と支持脚という簡単な構成により膨張吸収構造を有するアンカープレートを作製することができる。例えばプレート本体及び支持脚を樹脂製にする等により一体成形することができる。
【0012】
また、前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面に設けられて前記プレート本体を支持する支持脚とを備え、前記支持脚が前記極板の鉛直方向の膨張に伴い変形することにより前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものであることが望ましい。これならば、プレート本体を強固にしてプレート本体を実質的に変形しない構成として極板とプレート本体との接続部位の破損を防止しながらも、極板の鉛直方向の膨張を吸収することができる。
【0013】
プレート本体の撓み又は支持脚の変形によって極板の膨張を吸収する構造では、そもそも極板群の重量に耐えられない、或いは極板群の重量により極板が膨張する前から撓み又は変形して膨張分を十分に吸収できなくなる等も考えられる。この場合には、前記プレート本体の下面と前記電槽の底面との間に前記プレート本体の変位に伴って変形する弾性体が設けられていることが望ましい。
【0014】
ここで、例えば極板高さが200mm以上の極板を有する極板群を備える鉛蓄電池では、材料費の低減又は極板間の電気抵抗を下げるため、セパレータはできるだけ薄いものを使用することが望ましいが、互いに隣接する正極板及び負極板同士の極間よりも薄いセパレータでは、極板群を電槽に挿入する際にセパレータが位置ずれを起こしやすくなる。これらは高形の鉛蓄電池になればなるほど顕著になり、工程不良や電池使用中の短絡の原因となる。そのため、極板群を電槽に挿入する前に極板群を構成する正極板及び負極板をプレート本体に溶接又は溶着することによって、極板群を電槽に挿入する際に生じる極板間の位置ずれ及びセパレータの位置ずれを防止することができる。また、極板群を電槽に挿入する作業性を向上させることができる。
【0015】
また本発明をゲル式又は顆粒式の制御弁式鉛蓄電池に適用した場合には、極板群を電槽に挿入する際又は化成後に電池を倒立させて電解液を排出や換液する場合にも、極板やセパレータの位置ずれを防止することができるので、安価で電気抵抗が低くなお且つ薄いセパレータを選択することができ、高率放電性能に優れた電池を提供することができる。
【0016】
前記極板群における正極板がクラッド式極板の場合には、その構成を活かして、前記プレート本体に前記クラッド式極板の下部連座が溶接又は接着されていることが望ましい。この場合、プレート本体と下部連座との材質を同一とすることにより、クラッド式極板とプレート本体との溶着強度又は接着強度をより一層強固にすることができる。
【0017】
前記アンカープレートが、前記極板群の各極板が嵌ることにより極板間の距離を保持する凹部と、前記凹部内において前記極板に接触するように設けられた接触体とを備え、当該接触体が前記極板群の鉛直方向の膨張により変形又は破壊されることによって前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものであることが望ましい。また前記アンカープレートが、前記極板群の各極板が嵌ることにより極板間の距離を保持する凹部と、前記凹部内に設けられて前記極板の鉛直方向の膨張を弾性変形により吸収する弾性体、又は、前記膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を備えていることが望ましい。これならば、凹部内に膨張吸収構造を構成する接触体、弾性体又は塑性変形体を設けることにより、外観形状を概略平板形状とすることができるので、アンカープレートの設置スペースを可及的に小さくすることができる。
【0018】
上記の各構成においては、特に弾性体を用いた構成において、極板が膨張する前の状態において弾性変形した状態であることが好ましい。これならば、極板が膨張した場合にその膨張分を吸収するだけでなく、極板が収縮した場合にその収縮分を吸収することができ、極板の膨張収縮に関わらず、各極板がアンカープレートにより位置決めされて極板間の距離を保持することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、極板群における極板間の位置ずれを防止するとともに、当該極板の鉛直方向の膨張による電槽等の極板群周りの部材又は極板自体の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態における鉛蓄電池の部分断面図。
【図2】同実施形態の鉛蓄電池の正極板の構成及びアンカープレートを示す部分断面図。
【図3】アンカープレートの平面形状を示す底面図。
【図4】図1におけるA部を示す拡大図。
【図5】アンカープレートの膨張吸収機能を示す模式図。
【図6】アンカープレートの例を示す模式図。
【図7】アンカープレートの例を示す模式図。
【図8】アンカープレートの例を示す模式図。
【図9】アンカープレートの例を示す模式図。
【図10】アンカープレートの例を示す模式図。
【図11】アンカープレートの例を示す模式図。
【図12】アンカープレートの例を示す模式図。
【図13】アンカープレートの例を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る鉛畜電池の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る鉛蓄電池100は、例えばバッテリーフォークリフト用などの電動車両用のものであり、極板高さが200mm以上のベント形クラッド式鉛蓄電池である。
【0023】
具体的にこのものは、図1に示すように、合成樹脂製の電槽2と、当該電槽2に収容された極板群3と、当該極板群3と共に収容される希硫酸からなる電解液(不図示)と、前記電槽2の上部開口を塞ぐ蓋体(不図示)とを備えている。なお、蓋体には、正極端子、負極端子及び液口栓(いずれも不図示)が設けられている。
【0024】
極板群3は、クラッド式極板である複数の正極板31及びペースト式極板である複数の負極板32をセパレータ33を介して交互に配置して構成されている。そして複数の正極板31はその上端部が正極ストラップにより一体的に接続されており、複数の負極板32はその上端部が負極ストラップにより一体的に接続されている。なお、正極ストラップは前記正極端子に電気的に接続され、負極ストラップは前記負極端子に電気的に接続される。
【0025】
そしてこの鉛蓄電池は、図1及び図2に示すように、電槽2内に収容された極板群3と電槽2の底面2aとの間に介在して設けられ、極板群3における極板31、32間の距離を所定間隔に保持するアンカープレート4を備えている。このアンカープレート4は、極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造を有する。
【0026】
このアンカープレート4は、電槽2の底面2aに配置されるものであり、その上面に極板群3が装着されて支持固定するものである。具体的な構成は、図1〜図4に示すように、極板群3の極板31、32間の距離を所定間隔に保持するプレート本体41と、このプレート本体41の下面41aと電槽2の底面2aとの間に設けられて極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収する弾性体42とを有する。
【0027】
プレート本体41は、合成樹脂製のものであり、図3に示すように、概略直方体形状をなす極板群3の底面の略全体を覆う矩形状平板であり、その上面に正極板(クラッド式極板)31の下部連座311が溶着され、負極板(ペースト式極板)32の格子下部が接着され、セパレータ33の下端部が接着される。なお、プレート本体41が極板群3の底面全体を覆う形状として極板群3とプレート本体41との接続面積を大きくすることで耐振性を向上することができる。
【0028】
ここでプレート本体41及び正極板31の下部連座311を同一の合成樹脂製とすることによって、溶着強度を高めている。また、プレート本体41の上面において負極板32の格子下部が接着される部分には、当該格子下部が嵌る凹部4Mが形成されている(図4参照)。なお、正極板31、負極板32及びセパレータ33とプレート本体41との接続方法は、上記に限られず、溶着、接着、嵌合等の種々の固定方法を用いることができる。
【0029】
弾性体42は、図1等に示すように、プレート本体41を電槽2の底面2aに対して複数点で支持するものであり、本実施形態では、複数のコイルばね42aにより構成している。これら複数のコイルばね42aは、圧縮コイルばねであり、プレート本体41から受ける荷重がそれぞれ略均一となるように、例えばプレート本体41の四つ角にそれぞれ1つずつ配置されている(図3参照)。
【0030】
このように構成したアンカープレート4は、極板群3を電槽2に挿入する前に当該極板群3の底面に固定される。具体的には、アンカープレート4のプレート本体41の上面に正極板31の下部連座311が溶着され、プレート本体41の上面に形成された凹部4M内に負極板32の格子下部が嵌合接着され、プレート本体41の上面にセパレータ33の下端部が接着される。ここで、正極板31及び負極板32の極間距離Lとセパレータ33の厚さtとの関係がL>2.5tとなるようにしている。なお、セパレータ33が凹凸構造を有する場合には、そのベース厚さをtとする。そして、このようにアンカープレート4が固定された極板群3を電槽2内に挿入して配置する。これにより、極板群3を電槽2に挿入する際に生じ得るセパレータ33及び極板31、32の位置ずれを防止できるとともに作業性を向上させることができる。
【0031】
そしてこのアンカープレート4により、極板31、32が膨張前の状態では、図5(A)に示すように、コイルばね42aが縮んでいない自然状態又は若干縮んだ状態(以下、これらを含めて初期状態という。)であり、極板31、32が膨張した状態では、図5(B)に示すように、コイルばね42aが極板31、32の膨張分縮んで極板31、32の膨張を吸収する。なお、前記初期状態から線間密着によりそれ以上縮むことができない状態までのストローク長は、予め想定される極板31、32の膨張分よりも大きく設定している。このように極板31、32の膨張分をコイルばね42aが吸収する構造であるので、プレート本体41を実質的に変形させることなく、コイルばね42aの弾性変形により確実に極板31、32の膨張分を吸収することができる。なお、プレート本体41が実質的に変形しないことから極板31、32及びセパレータ33とプレート本体41との接続部位に過度の応力が掛からないようにして接続部位の破損を防止することができる。
【0032】
このように構成した本実施形態に係る鉛畜電池100によれば、極板31、32間の距離を保持するアンカープレート4を配置しているので、極板群3を電槽2内に配置した後に、当該電槽2内で極板群3を構成する正極板31、負極板32及びセパレータ33の位置ずれを防止することができる。また、アンカープレート4が膨張吸収構造である弾性体42(圧縮コイルばね42a等)を備えているので、鉛蓄電池100の使用により生じる極板31、32の鉛直方向への膨張を吸収することができ、電槽2等の極板群3周りの部材又は極板31、32自体の破損を防止することができる。これらの効果は、例えば極板高さが200mm以上の極板31、32を有する極板群3を備える鉛蓄電池において、その極板高さが高くなるに連れて顕著となる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではなく、アンカープレート4及び膨張吸収構造としては種々の例が考えられる。
【0034】
例えば、前記実施形態の弾性体42の替わりに、プレート本体の下面と電槽の底面との間に設けられて極板の鉛直方向の膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を設けても良い。
【0035】
また、膨張吸収構造となる弾性体42のその他の例としては、図6(A)に示すように、側面視において菱形状をなす板ばね42bを用いても良いし、図6(B)に示すように、側面視において部分円弧状をなす板ばね42cを用いても良い。また、図7に示すように、プレート本体41を電槽2の底面2aに対して支持するゴム42dにより構成しても良いし、ゴム発泡体又は樹脂発泡体からなるスポンジ状発泡体(不図示)により構成しても良い。
【0036】
また、図8に示すように、アンカープレート4が、プレート本体41と、このプレート本体41の下面41aに設けられてプレート本体41を支持する支持脚43とを備えたものとしても良い。そして、プレート本体41が極板の膨張に伴い撓むように、プレート本体41の材質又は板厚等を構成を設定して、プレート本体41が撓むことにより極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造としても良い。これならば、別途弾性体を設ける必要なく、膨張吸収構造を構成することができる。また、プレート本体41と支持脚43という簡単な構成により膨張吸収構造を有するアンカープレート4を作製することができる。さらに、プレート本体41及び支持脚43を同一の合成樹脂製にする等により一体成形することができる。なお、プレート本体41を撓むように構成することで機械的強度を失うことになる等の場合には、図9(A)に示すように、プレート本体41の下面にばねやゴムといった弾性体42を設けることが考えられる。なお、図9(B)に示すように、アンカープレート4をプレート本体41及び支持脚43を有する中空構造としても良い。
【0037】
さらに、図10に示すように、支持脚43が極板31、32の鉛直方向の膨張に伴い変形することにより、極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造としても良い。なお、図10(A)は、極板群3が軽い場合における支持脚43の構成例を示す図であり、図10(B)は、極板群3が重い場合における支持脚43の構成例を示す図である。極板群3が重くなるほど支持脚43の本数を多くすることが考えられる。これならば、プレート本体41を強固にしてプレート本体41を実質的に変形しない構成として極板31、32とプレート本体41との接続部位の破損を防止しながらも、極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収することができる。
【0038】
その上、図11に示すように、アンカープレート4が、概略平板形状をなすものであり、極板群3の各極板31、32が嵌ることにより極板31、32間の距離を保持する凹部4Mと、この凹部4M内において極板31、32に接触するように設けられた接触体44とを備えたものとしても良い。そして、接触体44が極板31、32の鉛直方向の膨張により変形又は破壊されることにより極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造としても良い。接触体44の構成としては、図11(A)に示すように凹部4M内を塞ぐように設けられた膜状をなすものであっても良いし、図11(B)に示すように凹部4M内において内面から内側に突出した突起状をなすものであっても良い。なお、接触体44の数は図示したように1つ設ける場合に限られず、凹部内に複数設けても良い。
【0039】
加えて、図12に示すように、凹部4M内に、極板31、32の鉛直方向の膨張を吸収するばねやゴムといった弾性体45又は当該膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を設けることで膨張吸収構造としても良い。
【0040】
前記実施形態及び変形実施形態では、プレート本体41又はアンカープレート4が極板群3の底面全体を覆うような構成であったが、図13に示すように、極板群3の一部を積層方向に亘って覆うように装着されるものであっても良い。なお、図13では2つのプレート本体41を装着した場合を示しているがこれに限られない。これならば、アンカープレート4の装着位置を任意に指定することができ、また樹脂量を削減することが可能となる。
【0041】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・鉛畜電池
2 ・・・電槽
2a ・・・底面
3 ・・・極板群
31 ・・・正極板
32 ・・・負極板
4 ・・・アンカープレート
41 ・・・プレート本体
4M ・・・凹部
42 ・・・弾性体(膨張吸収構造)
43 ・・・支持脚
44 ・・・接触体
45 ・・・弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電槽内に収容された極板群と前記電槽の底面との間に介在して設けられ、前記極板群における極板間の距離を保持するアンカープレートを備え、
前記アンカープレートが、前記極板の鉛直方向の膨張を吸収する膨張吸収構造を有することを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項2】
前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面と前記電槽の底面との間に設けられ、前記極板の鉛直方向の膨張を弾性変形により吸収する弾性体、又は、前記膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を備える請求項1記載の鉛畜電池。
【請求項3】
前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面に設けられて前記プレート本体を支持する支持脚とを備え、前記プレート本体が撓むことにより前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものである請求項1記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
前記アンカープレートが、前記極板群の極板間の距離を保持するプレート本体と、前記プレート本体の下面に設けられて前記プレート本体を支持する支持脚とを備え、前記支持脚が前記極板の鉛直方向の膨張に伴い変形することにより前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものである請求項1記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
前記プレート本体の下面と前記電槽の底面との間に前記プレート本体の変位に伴って変形する弾性体が設けられている請求項3又は4記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記極板群における正極板がクラッド式極板であり、
前記プレート本体に前記クラッド式極板の下部連座が溶接又は接着されている2、3、4又は5記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
前記アンカープレートが、前記極板群の各極板が嵌ることにより極板間の距離を保持する凹部と、前記凹部内において前記極板に接触するように設けられた接触体とを備え、当該接触体が前記極板群の鉛直方向の膨張により変形又は破壊されることによって前記極板の鉛直方向の膨張を吸収するものである請求項1記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記アンカープレートが、前記極板群の各極板が嵌ることにより極板間の距離を保持する凹部と、前記凹部内に設けられて前記極板の鉛直方向の膨張を弾性変形により吸収する弾性体、又は、前記膨張を塑性変形により吸収する塑性変形体を備えている請求項1記載の鉛蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−93209(P2013−93209A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234523(P2011−234523)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】