説明

銅−亜鉛合金電気めっき液

【課題】被めっき体に対して安定して密着性及び平滑性に優れた緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を直接形成でき、しかも人体や環境に対する悪影響が少ない安全性に優れ、電解中の電流密度によらず該めっき皮膜の組成が一定であって、長時間連続電解を行った後においても、光沢のあるめっき皮膜が得られる銅−亜鉛合金電気めっき液を提供する。
【解決手段】下記(a)〜(f)に示す成分を含有する、銅−亜鉛合金電気めっき液:
(a)銅化合物、
(b)亜鉛化合物、
(c)ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(d)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル、
(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅−亜鉛合金電気めっき液、及び該合金電気めっき液を用いるめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅−亜鉛合金めっきは、黄銅めっき又は真鍮めっきとも呼ばれており、金属製品、プラスチック製品、セラミックス製品等の素材に対して真鍮色の金属光沢及び色調を付与する目的(装飾めっき)で、広く使用されている。また、銅−亜鉛合金めっきは、ラジアルタイヤ用スチールコードとゴムの密着性を向上させる目的においても使用されている。さらに、鉄鋼製フランジの表面処理として、ゴムパッキンとの密着性能を確保する目的においても使用されている。
【0003】
しかしながら、現在、工業的に広く使用されている銅−亜鉛合金めっき液は、シアン化合物を含んでいるため、人体や環境に対して悪影響がある。
【0004】
また、銅−亜鉛合金めっき方法として、被めっき体に対して銅めっき皮膜を形成した後、該皮膜上に対してさらに亜鉛めっき皮膜を形成し、さらに熱拡散処理を行う方法も用いられている。しかしながら、銅−亜鉛合金を形成するための熱拡散処理条件(温度、時間等)が限られているため、工程管理が困難である。また、全体の工程数が多いため、コストが高く、上記した熱拡散処理工程自体のコストが高いという問題がある。
【0005】
このような背景から、シアン化合物を含むめっき液を用いた方法、及び銅めっき皮膜を形成した後に亜鉛めっき皮膜を形成し、さらに熱拡散処理を行う方法に代わる、新たな銅−亜鉛合金めっき方法が要望されている。
【0006】
下記特許文献1には、ピロリン酸、アルカノールポリアミン、及びエピハロヒドリンの重合物を含むめっき浴を用いて、銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させる方法が記載されている。しかしながら、該文献の方法で得られる合金めっきの組成は、銅:亜鉛=70〜80:20〜30(重量比)であるのに対し、めっき浴中の金属濃度比は、銅:亜鉛=10:90(重量比)である。このような方法では、めっき浴中の銅がすぐに欠乏し、安定した連続操業を行うことはできない。
【0007】
下記特許文献2には、グルコヘプトン酸を含むめっき浴を用いて、銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させる方法が記載されている。しかしながら、該文献の方法では均一なめっき皮膜を得ることができず、さらに緻密なめっき皮膜を得るには、該めっき皮膜が形成された被めっき体に対してボール研磨をしなければならないという問題がある。
【0008】
下記特許文献3には、(a)銅塩及び亜鉛塩、(b)ピロリン酸のアルカリ金属塩及びポリリン酸のアルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種、(c)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種、並びに(d)アミノ酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とするめっき浴を用いて、銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させる方法が記載されている。しかしながら、上記しためっき浴は電解を続けると、アミノ酸が分解するため、光沢のあるめっき皮膜が得られなくなる。特に、陰極(例えば、鉄鋼素地等)上では、該アミノ酸の分解が早いため、陰極上に安定して連続的に緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭59−215492号公報
【特許文献2】特開昭59−50191号公報
【特許文献3】特公平3−20478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、被めっき体に対して安定して密着性及び平滑性に優れた緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を直接形成でき、しかも人体や環境に対する悪影響が少ない安全性に優れた銅−亜鉛合金電気めっき液を提供する。また、電解中の電流密度によらず該めっき皮膜の組成が一定であって、長時間連続電解を行った後においても、光沢のあるめっき皮膜が得られる銅−亜鉛合金電気めっき液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記のような技術の現状に鑑みて鋭意研究を進めた結果、めっき液として特定の化合物を用いることによって、上記した目的を達成し得る銅−亜鉛合金電気めっきが得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の銅−亜鉛合金電気めっき液、及び該合金電気めっき液を用いるめっき方法を提供するものである。
1. 下記(a)〜(f)に示す成分を含有する、銅−亜鉛合金電気めっき液:
(a)銅化合物、
(b)亜鉛化合物、
(c)ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(d)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル、
(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物。
2. 前記(e)成分が、式(1):
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、Rは、
【0015】
【化2】

【0016】
−H、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH−Ph(該Phはフェニル基)、−CHCHSHCH、−CH−Ph’−OH(該Ph’はフェニレン基)、−CHOH、−CH(CH)OH、−CHSH、−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH、−(CHNHC(=NH)NH、−CHCOOH、−CHCHCOOH、又は−(CH−であって式(1)中のアミノ基と結合して環状を形成する基であり、
は、置換基を有することのあるアラルキル基である。]
で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルである、上記項1に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
3. 前記Rが、
【0017】
【化3】

【0018】
−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH又は−(CHNHC(=NH)NHである、上記項2に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
4. 前記Rが、−R−Rであって、
前記Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
前記Rは、アリール基(該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる1個又は2個以上の置換基を有してもよい)
である、上記項2又は3に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
5. 前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、上記項4に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
6. 前記(f)成分が、式(2):
【0019】
【化4】

【0020】
[式中、Rは、
【0021】
【化5】

【0022】
−H、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH−Ph(該Phはフェニル基)、−CHCHSHCH、−CH−Ph’−OH(該Ph’はフェニレン基)、−CHOH、−CH(CH)OH、−CHSH、−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH、−(CHNHC(=NH)NH、−CHCOOH、−CHCHCOOH、又は−(CH−であって式(2)中のアミノ基と結合して環状を形成する基であり、
は、置換基を有することのあるアラルキル基であり、
は、置換基を有することのあるアリール基である。]
で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物である、上記項1〜5のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
7. 前記Rが、
【0023】
【化6】

【0024】
−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH又は−(CHNHC(=NH)NHである、上記項6に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
8. 前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、上記項6又は7に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
9. 前記Rが、−R−Rであって、
前記Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
前記Rは、アリール基(該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる1個又は2個以上の置換基を有してもよい)
である、上記項6〜8のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
10. 前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、上記項9に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
11. 前記(e)成分の含有量が、0.02〜5g/Lである、上記項1〜10のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
12. 前記(f)成分の含有量が、0.5〜4g/Lである、上記項1〜11のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
13. 前記オキシカルボン酸が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸及びグルコヘプトン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種である、上記項1〜12のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
14. コバルト金属塩をさらに含有する、上記項1〜13のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
15. 上記項1〜14のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液中において、金属、プラスチック又はセラミックスを陰極として通電することを特徴とする、銅−亜鉛合金電気めっき方法。
16. 上記項15に記載の方法によって銅−亜鉛合金電気めっきが皮膜された、タイヤ用スチールコード。
【0025】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液は、下記(a)〜(f)成分、
(a)銅化合物、
(b)亜鉛化合物、
(c)ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(d)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル、
(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物、
を含有することを特徴とするものである。
【0026】
以下、本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液について具体的に説明する。
【0027】
銅−亜鉛合金電気めっき液の組成
(a)銅化合物
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、公知の銅化合物を使用することができる。例えば、ピロリン酸銅、硫酸銅、塩化銅、スルファミン酸銅、シュウ酸銅、酢酸銅、塩基性炭酸銅、臭化銅、蟻酸銅、水酸化銅、酸化銅、リン酸銅、ケイフッ化銅、ステアリン酸銅、クエン酸銅等が挙げられる。また、上記した銅化合物の水和物を使用することもできる。これらの銅化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0028】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有される銅イオンの濃度については、密着性及び平滑性に優れた緻密なめっき皮膜を得るために、2〜40g/L(銅金属分換算)の範囲であることが好ましく、6〜12g/L(銅金属分換算)がより好ましい。
【0029】
(b)亜鉛化合物
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、公知の銅化合物を使用することができる。例えば、ピロリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、スルファミン酸亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイフッ化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、乳酸亜鉛等が挙げられる。また、上記した亜鉛化合物の水和物を使用することもできる。これらの亜鉛化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0030】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有される亜鉛イオンの濃度については、密着性及び平滑性に優れた緻密なめっき皮膜を得るために、0.5〜30g/L(亜鉛金属分換算)の範囲であることが好ましく、1.5〜5g/L(亜鉛金属分換算)がより好ましい。
【0031】
なお、本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液中における銅と亜鉛の重量比は、亜鉛(亜鉛金属分換算)1重量部に対して、銅(銅金属分換算)1.5〜5重量部とすることが好ましい。
【0032】
(c)ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用する。該化合物を使用することにより、高pH領域で銅イオン及び亜鉛イオンと安定な錯体を形成することができる。
【0033】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、公知のポリリン酸及びその塩を使用することができる。例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、メタリン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、フィチン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等のポリリン酸が挙げられる。また、ポリリン酸塩としては、上記したポリリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらのポリリン酸及びその塩は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0034】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有されるポリリン酸及びその塩の濃度については、150〜400g/Lの範囲であることが好ましく、250〜380g/Lがより好ましい。
【0035】
(d)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用する。該化合物を使用することにより、高pH領域で銅イオン及び亜鉛イオンと安定な錯体を形成することができる。また、該化合物は、高いpH領域で優れたpH緩衝能を有する。例えば、めっき皮膜を形成する際にめっき素地(カソード)近傍から水素が多く発生しても、銅イオン及び亜鉛イオンと安定して錯体形成するとともに、pHが上昇することを防止することができる。そのため、めっき素地近傍における水酸化銅及び/又は水酸化亜鉛からなる沈殿物の発生を防止することができる。
【0036】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、公知のオキシカルボン酸及びその塩を使用することができる。例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸等のオキシカルボン酸が挙げられる。また、オキシカルボン酸塩としては、上記したオキシカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。なお、酒石酸塩の具体例として吐酒石(酒石酸アンチモニルカリウム)、ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)等が挙げられるが、いずれも使用が可能である。これらのオキシカルボン酸及びその塩は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0037】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有されるオキシカルボン酸及びその塩の濃度については、50〜400g/Lの範囲であることが好ましく、60〜100g/Lがより好ましい。
【0038】
(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、α−アミノ酸のアラルキルエステルを使用する。該化合物は、カソードに吸着しながら銅イオンと安定な錯体を形成し、銅のめっき析出速度(還元速度)を低下させる。そのため、銅のめっき速度と亜鉛のめっき速度を制御することが可能となり、広範囲の電流密度で一定組成の銅-亜鉛合金めっき皮膜を得ることができる。
【0039】
また、該化合物は、分解されやすいカルボキシル基(−COOH)中の水素原子を、前述の分解されにくいアラルキル基で置換しているため、カソード吸着時において加水分解されることも、アノード近傍で酸化分解されることもない。そのため、陰極上に安定して長時間連続的に銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させることができる。
【0040】
式(1)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルは、例えば下記反応式に示されるように、2段階の工程により製造することができる。
【0041】
【化7】

【0042】
式(1)で表される化合物の式中、Rは、
【0043】
【化8】

【0044】
−H、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH−Ph(該Phはフェニル基)、−CHCHSHCH、−CH−Ph’−OH(該Ph’はフェニレン基)、−CHOH、−CH(CH)OH、−CHSH、−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH、−(CHNHC(=NH)NH、−CHCOOH、−CHCHCOOH、又は−(CH−であって式(1)中の−NH基と結合して環状を形成する基を表す。なお、Rが−(CH−であって式(1)中の−NH基と結合して環状を形成する基である場合の該α−アミノ酸のアラルキルエステル(1)は、式(1a):
【0045】
【化9】

【0046】
で表される。
【0047】
の中でも、
【0048】
【化10】

【0049】
−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH又は−(CHNHC(=NH)NHが好ましい。上記した基は、それぞれR中に−NH−基を有するため、めっき皮膜の成長面により安定して吸着することができる。そのため、銅と亜鉛のめっき速度を制御し、かつ安定な組成の合金皮膜を形成することが可能となる。
【0050】
式(1)で表される化合物の式中、−Rは置換基を有することのあるアラルキル基であり、より具体的には、−R−Rで表すことができる。
【0051】
前記Rは、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)等の炭素数1〜4のアルキレン基を表す。好ましくは、炭素数1〜2のアルキレン基である。
【0052】
前記Rはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる1個又は2個以上の置換基を有してもよいアリール基を表す。該アリール基は、(1)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステル中、側鎖として結合されるため、(3)で表されるアミノ酸中のカルボキシル基がめっき電解によって分解することを防ぐ。
【0053】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である。
【0054】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0055】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基等が挙げられる。なお、本願明細書において、「n」はノルマル、「i」はイソ、「s」はセカンダリー、「t」はターシャリー、「c」はシクロを意味する。
【0056】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基等が挙げられる。
【0057】
炭素数2〜5のアルカノイル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、c−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、c−ブチルカルボニル基等が挙げられる。
【0058】
炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、c−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、i−ブトキシカルボニルオキシ基、s−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、c−ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0059】
炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、c−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、c−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0060】
置換フェニル基としては、例えば、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリル基、エチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、メトキシフェニル基(いずれもオルト体、メタ体、パラ体が存在する。)、3,5−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
【0061】
置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリn−プロピルシリル基、トリi−プロピルシリル基、トリn−ブチルシリル基、トリi−ブチルシリル基、トリn−ヘキシルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルn−プロピルシリル基、ジメチルn−ブチルシリル基、ジメチルi−ブチルシリル基、ジメチルt−ブチルシリル基、ジメチルn−ペンチルシリル基、ジメチルn−オクチルシリル基、ジメチルc−ヘキシルシリル基、ジメチルテキシルシリル基、ジメチル−2,3−ジメチルプロピルシリル基、ジメチル−2−(ビシクロヘプチル)シリル基、ジメチルベンジルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルp−トリルシリル基、ジメチルフロフェメシルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルt−ブチルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルビニルシリル基、ジフェニルn−ブチルシリル基、フェニルメチルビニルシリル基等を挙げることができる。
【0062】
これらの式(1)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルは、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0063】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有される(e)成分の濃度については、0.02〜5g/Lの範囲であることが好ましく、0.1〜2g/Lがより好ましい。
【0064】
以下に、工程(A)及び工程(B)の各工程について詳細に説明する。
[工程(A)]
工程(A)によれば、式(3)で表される化合物をエステル化させることにより、式(4)で表されるα−アミノ酸から誘導されるエステル化合物を得ることができる。工程(A)の反応は、式(3)で表される化合物と、式(5)で表される炭素数1〜4の低級アルコールとを反応させることにより実施される。工程(A)の反応式は、以下のように示される。
【0065】
【化11】

【0066】
式(3)で表される化合物としては、α−アミノ酸を使用することができる。式(3)中のRは、前記に同じである。式(3)中のRと、その場合における式(3)で表される化合物を、以下の対応表で示す。
【0067】
【表1】

【0068】
式(5)で表されるアルコール中のR’は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0069】
式(5)で表されるアルコールの使用量は、適宜選択可能であるが、通常は式(3)で表される化合物1モルに対して、1〜10モルであり、好ましくは2〜4モルである。
【0070】
工程(A)の反応においては、触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。触媒の存在下で反応を行うことにより、反応を速やかに進行させることができる。触媒としては、塩化水素ガス、フッ化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素を使用することができる。
【0071】
触媒の使用量は、適宜選択可能であるが、通常は式(3)で表される化合物1モルに対して5〜20モルであり、好ましくは10〜15モルである。
【0072】
工程(A)の反応は、反応容器内に、式(3)で表される化合物及び式(5)で表されるアルコールを投入して行われる。その際、適宜触媒を投入して反応を促進させることができる。
【0073】
反応温度は、通常60〜120℃であり、80〜95℃が好ましい。反応温度が60〜120℃であれば、式(3)で表される化合物を分解させることなく、高い収率(例えば90%以上)で、式(4)で表される化合物を得ることが可能となる。反応時間は、通常30分〜5時間程度であり、好ましくは1〜3時間程度である。
【0074】
[工程(B)]
工程(B)によれば、工程(A)で得られた式(4)で表される化合物に対して、Rで表されるアリール基を付加させることにより、式(1)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルを得ることができる。工程(B)の反応は、式(4)で表される化合物と、式(6)で表される化合物とを反応させることにより実施される。工程(B)の反応式は、以下のように示される。
【0075】
【化12】

【0076】
式(6)中、Rは前記に同じである。
【0077】
式(6)中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0078】
式(6)で表される化合物の使用量は、適宜選択可能であるが、通常は式(4)で表される化合物1モルに対して、1〜3モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0079】
工程(B)の反応における溶媒は、反応に不活性であれば制限されるものではなく、水、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の親水性有機溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸等が挙げられる。また、これらの溶媒を混合して用いることも可能である。工程(B)の反応における溶媒として好ましくは、水、又は水及び親水性有機溶媒の混合溶媒であり、特に好ましくは、水の単独溶媒である。
【0080】
溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、作業性、経済性等により適宜決定される。
【0081】
工程(B)の反応は、反応容器内に、式(4)で表される化合物及び式(6)で表される化合物を投入して行われる。
【0082】
反応温度は、通常60〜100℃であり、80〜90℃が好ましい。反応温度が60〜100℃であれば、式(4)で表される化合物を分解させることなく、高い収率(例えば90%以上)で、式(1)で表される化合物を得ることが可能となる。反応時間は、通常30分〜2時間程度であり、好ましくは1〜1.5時間程度である。
【0083】
(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液では、α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物を使用する。該化合物は、(e)α−アミノ酸のアラルキルエステルと同様、カソードに吸着しながら銅イオンと安定な錯体を形成し、銅のめっき析出速度(還元速度)を低下させる。そのため、銅のめっき速度と亜鉛のめっき速度を制御することが可能となり、広範囲の電流密度で一定組成の銅-亜鉛合金めっき皮膜を得ることができる。
【0084】
また、該化合物は、(e)α−アミノ酸のアラルキルエステルと同様、分解されやすいカルボキシル基(−COOH)中の水素原子を、前述の分解されにくいアラルキル基で置換しているため、カソード吸着時において加水分解されることも、アノード近傍で酸化分解されることもない。
【0085】
本発明のめっき液では、−NH基を有する(e)成分と、−NH−SO−R基を有する(f)成分を併用するため、(e)成分及び(f)成分のカソードへの吸着効果が相乗的なものとなる。その結果、陰極上に安定して長時間連続的に、緻密かつ一定組成の銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成させることができる。
【0086】
式(2)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物は、下記反応式に示されるように、式(1)’で表される化合物と、式(7)で表される少なくとも一個のスルホ基を有する芳香族化合物との反応により製造される。
【0087】
【化13】

【0088】
式(1)’で表される化合物の式中、Rは、上記Rで例示された基と同じ基を例示することができる。また、−Rは、−Rと同様、置換基を有することのあるアラルキル基である。なお、−Rに関して、より具体的には、−R−Rで表すことができる。Rは、前記Rで例示された基と同じ基を例示することができ、またRは、前記Rで例示された基と同じ基を例示することができる。
【0089】
(f)成分を本発明のめっき液に使用する際、該(f)成分の式(2)中のRは、同じく本発明のめっき液に含まれる(e)成分の式(1)中のRと同一であっても、異なっていてもよい。また、同様に、RはRと同一であっても、異なっていてもよい。
【0090】
式(1)’で表される化合物は、例えば、上記した工程(A)及び工程(B)の2段階による反応と同じ方法によって、製造することができる。
【0091】
式(7)で表される少なくとも一個のスルホ基を有する芳香族化合物中のRは、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる少なくとも1個又は2個以上の置換基を有してもよいアリール基である。上記した各置換基については、それぞれ上記したRに関する各置換基のものと同様のものが挙げられる。該アリール基は、(2)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物中、側鎖として結合されるため、(1)’の−NH基がめっき電解によって分解することを防ぐ。
【0092】
これらの式(2)で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0093】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有される(f)成分の濃度については、0.5〜4g/Lの範囲であることが好ましく、1〜3g/Lがより好ましい。
【0094】
以下に、工程(C)ついて詳細に説明する。
[工程(C)]
式(7)で表される少なくとも一個のスルホ基を有する芳香族化合物の使用量は、適宜選択可能であるが、通常は式(1)’で表される化合物1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜3モルである。
【0095】
工程(C)の反応においては、触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。触媒の存在下で反応を行うことにより、反応を速やかに進行させることができる。触媒としては、発煙硫酸、濃硫酸、チオ硫酸等を使用することができる。
【0096】
触媒の使用量は、適宜選択可能であるが、通常は式(1)’で表される化合物1モルに対して5モル以下であり、好ましくは1〜3モルである。
【0097】
工程(C)の反応における溶媒は、反応に不活性であれば制限されるものではなく、水、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の親水性有機溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸等が挙げられる。また、これらの溶媒を混合して用いることも可能である。工程(C)の反応における溶媒として好ましくは、水、又は水及び親水性有機溶媒の混合溶媒であり、特に好ましくは、水の単独溶媒である。
【0098】
溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、作業性、経済性等により適宜決定される。
【0099】
工程(C)の反応は、反応容器内に、式(1)’で表される化合物及び式(7)で表される少なくとも一個のスルホ基を有する芳香族化合物を投入して行われる。その際、適宜触媒を投入して反応を促進させることができる。なお、反応は、攪拌又は未攪拌下で行うことが可能である。
【0100】
反応温度は、通常60〜100℃であり、80〜90℃が好ましい。反応温度が60〜100℃であれば、式(1)’で表される化合物を分解させることなく、高い収率(例えば90%以上)で、式(2)で表される化合物を得ることが可能となる。反応時間は、通常30分〜2時間程度であり、好ましくは1〜1.5時間程度である。
【0101】
(g)その他の成分
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液は、上記した(a)〜(f)成分の他、さらにコバルト化合物を含有することができる。上記コバルト化合物を含有することによって、得られる銅−亜鉛合金めっき皮膜中にはコバルトが共析する。この共析により、被めっき体上に対してさらに密着性、平滑性に優れた緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成することができる。このようなコバルト含有銅−亜鉛合金めっき皮膜は、特にゴムとの接着性に優れているため、タイヤ用スチールコードのためのめっき皮膜として適している。
【0102】
上記したコバルト化合物としては、水に可溶性のコバルト化合物を使用することができる。例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、リン酸コバルト、酸化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0103】
コバルト化合物の含有量は、共析するコバルト量がめっき皮膜中0.001wt%以上(好ましくは0.01〜0.5wt%)となるように含有すればよい。なお、本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液に含有されるコバルトイオンの濃度は、0.1〜2g/L(コバルト金属分換算)が好ましい。
【0104】
また、本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液は、上記した(a)〜(f)成分の他、酸、アルカリ等をpH調整剤として使用することができる。pHを低下させるための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸等の他、上記した(c)成分のポリリン酸、(d)成分のオキシカルボン酸が挙げられる。pHを上昇させるためのアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属の炭酸塩;アルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩;等が挙げられる。また、銅又は亜鉛の水酸化物、炭酸塩等を適宜用いて金属濃度の調整とpH調整を同時に行うことも可能である。
【0105】
(h)銅−亜鉛合金電気めっき液のpH
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液のpHは、7〜14であることが好ましい。上記した特定の(a)〜(f)成分を含有し、かつ、上記したpH範囲とすれば、より安定した銅−亜鉛合金電気めっき液を得ることができる。pHのより好ましい範囲は、10〜13である。pHの値が低すぎる場合、(c)成分の加水分解が起こり,浴組成が変動する。
【0106】
被めっき体
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液は、鉄、銅合金、亜鉛合金、アルミニウム合金等の金属製品を被めっき体として、銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成することができる。また、プラスチック製品、セラミックス製品等の物品を被めっき体として銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成することができる。この場合、常法に従って無電解被めっき処理をしたのち、本発明の銅−亜鉛合金めっき液によって、電気めっきを行えばよい。
【0107】
特に、被めっき体が鉄であるとき、連続的に安定して密着性、平滑性に優れた緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を得ることができる。
【0108】
銅−亜鉛合金電気めっき方法
上記した本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液を用いて銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成する方法については、常法に従えば良い。例えば、バフ研磨、脱脂、希釈酸浸漬、酸電解等の前処理を行うことが可能であり、前記前処理の後、ニッケルめっき等の下地保護用めっきを施すことも可能である。
【0109】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液を用いて銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成する場合には、めっき液の液温は、特に限定されない。10〜60℃程度とすることが好ましく、20〜40℃程度とすることがより好ましく、攪拌又は未攪拌下に行うことができる。
【0110】
また、平均陰極電流密度は、通常、0.05〜50A/dmとすることが好ましく、0.1〜20A/dmとすることがより好ましい。
【0111】
電気めっきの具体的な方法については、ラック法、バレル法(バレルめっき)等で行うことができる。タイヤ用スチールコード等の長尺状被めっき体については、フープめっき法(リール・トゥ・リール方式)で行うことができる。
【0112】
陽極としては、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼、カーボン、貴金属酸化物が被覆されたチタン(寸法安定性陽極)のいずれも使用することができる。
【0113】
銅−亜鉛合金を陽極として用いた場合、陽極の溶解が順調であり、めっき液組成の変動が小さい。そのため、該めっき液の成分補給はほとんど不要となる。
【0114】
ステンレス鋼等の不溶な材質を陽極とした場合、通電量に応じて銅及び亜鉛分の濃度が減少するだけで、他の成分は分解されない。つまり、通電量に応じて減少した銅及び亜鉛を補給すれば良い(銅の補給には銅化合物を加え、亜鉛の補給には亜鉛化合物を加えれば良い)ため、液組成を一定に保つことが容易となる。
【0115】
形成される銅−亜鉛合金めっき皮膜の膜厚については限定的ではないが、例えばタイヤ用スチールコードとして使用するためには、通常、0.1〜50μm程度とすればよく、めっき時間については、30秒〜30分程度とすればよい。
【0116】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液によれば、通常、銅:亜鉛=60:40〜80:20(好ましくは60:40〜70:30)(重量比)の組成からなる合金めっき皮膜を安定して得ることができる。
【発明の効果】
【0117】
本発明の銅−亜鉛合金電気めっき液を用いて銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成することによって、被めっき体上に安定して密着性及び平滑性に優れた緻密な銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成することができる。また、電解中の電流密度によらず該めっき皮膜の組成が一定であって、長時間連続電解を行った後においても、光沢のあるめっき皮膜が得られる。しかも、該めっき液は、人体や環境に対する悪影響が少ないため、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施例に係るめっき試験槽(ハルセル試験槽)の概略図である。
【図2】本発明の実施例に係るめっき試験槽(ハルセル試験槽)の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
(I) (e)α−アミノ酸のアラルキルエステルの合成
合成例1 ヒスチジンフェニルメチルエステル化合物(i)の合成
ヒスチジン100g及びメタノール1000gを、温度計、塩化水素ガス導入ホース口及び還流冷却器を備えた三口フラスコに仕込んだ。次に、塩化水素ガス160gを吹き込み、その後、約6時間、80℃で加熱還流を行って、ヒスチジンをメタノール中に完全に溶解させた。さらに蒸留して、メタノール及び塩化水素ガスを回収したところ、以下の式:
【0120】
【化14】

【0121】
で表される粉末のヒスチジンメチルエステル100gが得られた。該ヒスチジンメチルエステル粉末100g及び水825gを、温度計、攪拌機、滴下口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、該粉末を水中に完全に溶解させた。次に、温度が80℃になるようにフラスコ中の溶液を加熱した後、クロロベンゼン46.7gを約1時間で滴下した。滴下終了後、フラスコ中の溶液を直ちに90℃にまで加熱し、約30分間上記温度を保持し、反応を終了した。なお。試験管に入った純水に対して、上記した反応生成物の水溶液をスポイトで2〜3滴滴下してよく混合したところ、白濁や濁りがなく、完全に無色透明であって、油状の物が浮いていなかったので、これをもって反応が終了していることを確認した。上記した反応生成物を蒸留吸引して水分を完全に除去したところ、以下の式:
【0122】
【化15】

【0123】
で表される針状結晶のヒスチジンフェニルメチルエステル化合物(i)が得られた。
【0124】
合成例2 リシンフェニルエチルエステル化合物(ii)の合成
ヒスチジン100gに代えてリシン100gを使用し、メタノール1000gに代えてエタノール1500gを使用し、クロロベンゼン46.7gに代えてブロモベンゼン70gを使用した以外は、合成例1と同様にして、最終的に以下の式:
【0125】
【化16】

【0126】
で表される針状結晶のリシンフェニルエチルエステル化合物(ii)が得られた。
【0127】
合成例3 トリプトファンナフタレンメチルエステル化合物(iii)の合成
ヒスチジン100gに代えてトリプトファン100gを使用し、クロロベンゼン46.7gに代えて1−クロロナフタレン51gを使用し、さらにメタノールの使用量を750gとした以外は、合成例1と同様にして、最終的に以下の式:
【0128】
【化17】

【0129】
で表される針状結晶のトリプトファンナフタレンメチルエステル化合物(iii)が得られた。
【0130】
(II) (f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物の合成
合成例4 ヒスチジンフェニルメチルエステルのフェニルスルホン酸アミド化合物(iv)の合成
合成例1で得られたヒスチジンフェニルメチルエステル化合物(i)100g、p−トルエンスルホン酸74.4g及び水872gを、温度計、攪拌機、滴下口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込んだ。次に、直ちに温度が90〜100℃となるようにフラスコ中の溶液を加熱し、上記温度を保持しつつ、約3時間該溶液を攪拌した。その後、温度が40℃となるように冷却し、発煙硫酸65.2gを約1時間で滴下した。この間、温度が上昇するが、80℃を超えないように該溶液を冷却しながら、発煙硫酸を滴下した。滴下の終了後、フラスコ中の溶液を50℃に保持しつつ、約2時間攪拌し、反応を終了した。上記した反応生成物を蒸留吸引して水分及び発煙硫酸を完全に除去したところ、以下の式:
【0131】
【化18】

【0132】
で表される針状結晶のヒスチジンフェニルメチルエステルのフェニルスルホン酸アミド化合物(iv)が得られた。
【0133】
合成例5 リシンフェニルエチルエステルのナフタレンスルホン酸アミド化合物(v)の合成
ヒスチジンフェニルメチルエステル(i)100gに代えて合成例2で得られたリシンフェニルエチルエステル(ii)100gを使用し、p−トルエンスルホン酸74.4gに代えて1,3,6−ナフタレントリスルホン酸163gを使用した以外は、合成例4と同様にして、以下の式:
【0134】
【化19】

【0135】
で表される針状結晶のリシンフェニルエチルエステルのナフタレンスルホン酸アミド化合物(v)が得られた。
【0136】
合成例6 トリプトファンフェニルメチルエステルのナフタレンスルホン酸アミド化合物(vi)の合成
ヒスチジンフェニルメチルエステル(i)100gに代えて、以下の式:
【0137】
【化20】

【0138】
で表されるトリプトファンフェニルメチルエステル100gを使用し、p−トルエンスルホン酸74.4gに代えて1,6−ナフタレンジスルホン酸58gを使用した以外は、合成例4と同様にして、以下の式:
【0139】
【化21】

【0140】
で表される針状結晶のトリプトファンフェニルメチルエステルのナフタレンスルホン酸アミド化合物(vi)が得られた。
【0141】
(III) 銅−亜鉛合金電気めっき液の調製
下記組成を有する本発明銅−亜鉛合金電気めっき液1〜6(本発明めっき液1〜6)を調製した。本発明めっき液1〜6の組成を以下の表2に示す。
【0142】
【表2】

※単位:g/L 但し、( )内の数値は、金属分換算量のg/L
【0143】
(IV) 実施例1:銅−亜鉛合金めっき皮膜の膜厚、合金組成、密着性、外観及び色調評価
本発明のめっき液1〜6を用いて、磨き鋼板に対して銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成した。なお、各々以下の表3に記載された電流及びめっき時間で、銅−亜鉛合金めっきを行った。このときの本発明のめっき液1〜6の温度及びpHを併せて以下の表3に示す。また、その他のめっき条件についても、以下に示す。
【0144】
【表3】

【0145】
<めっき皮膜形成の条件(ハルセル試験)>
めっき素地:磨き鋼板
めっき素地のめっき面:幅10cm×深さ5cm
陽極:Cu/Zn=70/30の黄銅
陽極のめっき液に対する浸漬面:幅6.5cm×深さ5cm
めっき試験槽:ハルセル試験槽(容量267mLの台形型めっき試験槽)
上記した条件によって得られためっき皮膜に対して、膜厚、合金組成(銅含有率、亜鉛含有率及びコバルト含有率)を蛍光X線膜厚計にて測定した。また、外観、色調を観察するとともに、折り曲げ試験によって密着性の評価を行った。密着性の評価においては、10倍のルーペにより観察し、外観変化が見られなかった場合を良好、容易にクラックが観察された場合を不良とした。
【0146】
なお、タイヤ用スチールコードへのめっきの際に、ロールトゥロール方式により、高電流密度で高速めっきを行うことを想定して、実施例では幅10cmのめっき素地の高電流密度側のめっき皮膜を評価した。
【0147】
[本発明めっき液1におけるめっき皮膜の評価結果]
本発明めっき液1を用いて得られためっき皮膜に対し、高電流密度側における端(下記図1及び図2におけるA点を示す)からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、以下の表4に示す。なお、高電流密度側の端からの距離については、下記図2で説明している。
【0148】
【表4】

【0149】
[本発明めっき液2におけるめっき皮膜の評価結果]
本発明めっき液2を用いて得られためっき皮膜に対し、高電流密度側における端からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、以下の表5に示す。
【0150】
【表5】

【0151】
[本発明めっき液3におけるめっき皮膜の評価結果]
本発明めっき液3を用いて得られためっき皮膜に対し、高電流密度側における端からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、以下の表6に示す。
【0152】
【表6】

【0153】
[本発明めっき液4におけるめっき皮膜の評価結果]
本発明めっき液4を用いて得られためっき皮膜に対し、高電流密度側における端からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、以下の表7に示す。
【0154】
【表7】

【0155】
[本発明めっき液5におけるめっき皮膜の評価結果]
本発明めっき液5を用いて得られためっき皮膜に対し、高電流密度側における端からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、以下の表8に示す。
【0156】
【表8】

【0157】
(V) 実施例2:(e)及び(f)成分の安定性試験
[i] 本発明のめっき液6(建浴直後)を用いて、磨き鋼板に対して銅−亜鉛合金めっき皮膜を形成した。なお、めっき液のpHは12.8、液温度は25℃であって、電流は1A、めっき時間は10分とした。また、その他のめっき皮膜形成の条件は、実施例1と同様の条件とした。
[ii] 次に、使用中のめっき浴の組成が、本発明のめっき液6と同じ組成となるように(e)及び(f)成分を補給しながら、電流1Aで4000分間連続してめっき皮膜形成を行った。
[iii] その後、めっき液として、[ii]の後のめっき液(連続電解後)を使用する以外は、[i]と同じ条件でめっき皮膜を形成した。
[iv] [i]及び[iii]で得られためっき皮膜に対し、それぞれ膜厚、合金組成(銅含有率、亜鉛含有率及びコバルト含有率)を蛍光X線膜厚計にて測定した。また、外観、色調を観察するとともに、折り曲げ試験によって密着性の評価を行った。高電流密度側における端からの距離に応じたカソードの局所電流密度、めっき厚さ、銅含有率、亜鉛含有率、密着性、外観・色調を、それぞれ以下の表9に示す。
【0158】
【表9】

【0159】
表9から明らかなように、4000分間連続電解後における本発明めっき液6を使用して得られためっき皮膜は、めっき厚さ、合金組成、密着性及び外観・色調の点で、建浴直後における本発明のめっき液6を使用した場合とほぼ同じである。すなわち、電解によって(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル、及び(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物が分解せず、有効に機能している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(f)に示す成分を含有する、銅−亜鉛合金電気めっき液:
(a)銅化合物、
(b)亜鉛化合物、
(c)ポリリン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(d)オキシカルボン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(e)α−アミノ酸のアラルキルエステル、
(f)α−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物。
【請求項2】
前記(e)成分が、式(1):
【化1】

[式中、Rは、
【化2】

−H、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH−Ph(該Phはフェニル基)、−CHCHSHCH、−CH−Ph’−OH(該Ph’はフェニレン基)、−CHOH、−CH(CH)OH、−CHSH、−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH、−(CHNHC(=NH)NH、−CHCOOH、−CHCHCOOH、又は−(CH−であって式(1)中のアミノ基と結合して環状を形成する基であり、
は、置換基を有することのあるアラルキル基である。]
で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルである、請求項1に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項3】
前記Rが、
【化3】

−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH又は−(CHNHC(=NH)NHである、請求項2に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項4】
前記Rが、−R−Rであって、
前記Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
前記Rは、アリール基(該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる1個又は2個以上の置換基を有してもよい)
である、請求項2又は3に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項5】
前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、請求項4に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項6】
前記(f)成分が、式(2):
【化4】

[式中、Rは、
【化5】

−H、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH−Ph(該Phはフェニル基)、−CHCHSHCH、−CH−Ph’−OH(該Ph’はフェニレン基)、−CHOH、−CH(CH)OH、−CHSH、−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH、−(CHNHC(=NH)NH、−CHCOOH、−CHCHCOOH、又は−(CH−であって式(2)中のアミノ基と結合して環状を形成する基であり、
は、置換基を有することのあるアラルキル基であり、
は、置換基を有することのあるアリール基である。]
で表されるα−アミノ酸のアラルキルエステルのスルホンアミド化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項7】
前記Rが、
【化6】

−CHCONH、−CHCHCONH、−(CHNH又は−(CHNHC(=NH)NHである、請求項6に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項8】
前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、請求項6又は7に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項9】
前記Rが、−R−Rであって、
前記Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
前記Rは、アリール基(該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルカノイル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換フェニル基、置換シリル基、シアノ基、ニトロ基及びスルホ基から選ばれる1個又は2個以上の置換基を有してもよい)
である、請求項6〜8のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項10】
前記Rのアリール基が、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基である、請求項9に記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項11】
前記(e)成分の含有量が、0.02〜5g/Lである、請求項1〜10のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項12】
前記(f)成分の含有量が、0.5〜4g/Lである、請求項1〜11のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項13】
前記オキシカルボン酸が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸及びグルコヘプトン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1〜12のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項14】
コバルト金属塩をさらに含有する、請求項1〜13のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の銅−亜鉛合金電気めっき液中において、金属、プラスチック又はセラミックスを陰極として通電することを特徴とする、銅−亜鉛合金電気めっき方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって銅−亜鉛合金電気めっきが皮膜された、タイヤ用スチールコード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−174100(P2011−174100A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36957(P2010−36957)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(508114454)地方独立行政法人 大阪市立工業研究所 (60)
【出願人】(510049724)株式会社三栄商会 (1)
【Fターム(参考)】