説明

鋳型造型方法及び装置

【課題】鋳物砂を鋳枠内に均一に充填でき、模型表面や鋳枠内面の摩耗による修繕費を減
少させ、マッチプレートの変形・破損を防止し、手作業を省略化する鋳型造型方法を提供
する。
【解決手段】マッチプレート21の両面に上下鋳枠を重合して重合鋳枠20とし、重合鋳
枠の上鋳枠23に鋳物砂18を充填し、砂押え部材54を重合鋳枠に向かって前進させて
、砂押え部材を上鋳枠の内周に嵌入して充填された鋳物砂と当接させるとともに、弾性部
材52の撥力で前方に付勢された上鋳枠支持部材50を前記重合鋳枠に向かって前進させ
て上鋳枠と当接させ、砂押え部材が鋳物砂と当接し、上鋳枠支持部材が上鋳枠と当接した
状態で重合鋳枠を反転させ、反転された重合鋳枠の下鋳枠19に鋳物砂を充填し、スクイ
ズ部材68を下鋳枠の内周に嵌入させて下鋳枠及び上鋳枠に充填された鋳物砂をスクイズ
させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マッチプレートの見切り面によって上型・下型に分割された模型を型込めして鋳型を造
型する方法及びその方法が使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、見切り面によって上型・下型に分割された模型が上面・下面に設けられたマッチ
プレートを使用した鋳型造型装置が知られている。このような鋳型の造型装置が記載され
た特許文献1によると、筒状の枠形状を有する上下鋳枠の間にマッチプレート(パターン
プレート)を挟持すると共に、該上下鋳枠の開口部からそれぞれスクイズプレートをマッ
チプレート側に嵌入せしめて、該上下鋳枠内に充填された鋳物砂をスクイズしている。さ
らに、前記スクイズプレートを少なくとも中央部分と外周部分に分割して、中央部分と外
周部分を前記マッチプレート側に独立して前進変位可能とすると共に、それら中央部分と
外周部分に及ばされるそれぞれの前進駆動力を相互に独立して設定することのできる駆動
手段を設けている。これによって、マッチプレートに設けられる模型の形状、大きさや鋳
物砂の状態等に応じて、鋳型の中央部分と外周部分の両方にそれぞれ有効なスクイズ圧力
を及ぼすことができるようにしている。
【0003】
また、同様に上下鋳枠を合わせながら鋳型を造型する造型機が記載された特許文献2に
よると、造型する場合には、まず、マッチプレートを間に挟着した上下鋳枠を反転装置で
反転させることで、下鋳枠を上部位置に位置決めする。続いて、この位置決めされた下鋳
枠に鋳物砂を充填し、副圧縮シリンダで圧縮板(スクイズ部材)と補助圧縮枠(補助スク
イズ部材)とを下鋳枠内に嵌入することで、充填された鋳物砂を予備圧縮(予備スクイズ
)する。次に、重合鋳枠を上下反転することで、上鋳枠を上部位置に位置決めし、上鋳枠
内に鋳物砂を充填する。そして、上鋳枠には上方から圧縮板を嵌入すると共に、下鋳枠に
は下方から下部圧縮板(下部スクイズ部材)を嵌入させてメインスクイズすることが記載
されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3447227号公報
【特許文献2】特開昭59−87952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の鋳型の造型装置では、造型空間に鋳物砂を供給する際に、ブロー
ノズル口より噴出される鋳物砂の噴出方向がマッチプレートに直角に面していないため、
複雑な形状の模型に対しては鋳物砂の充填が不均一となり、鋳型強度の不均等を生じて鋳
型製品の精度不良が発生する。また、ブロー装置によるブローにより鋳物砂の充填をする
ため、模型面、鋳枠内面及びシール材に砂粒が激しく衝突し、それらの表面を早く摩耗さ
せるとともに、砂粒を飛散させる。そのため、設備の修繕費を増加させ、作業環境を悪化
させるという問題があった。
【0006】
特許文献2の鋳型の造型装置では、枠なし鋳型を形成するものであり、最終の脱型工程
で鋳枠から鋳型を抜きやすくするため、鋳枠はテーパ状に広げて形成されている。そのた
め、下鋳枠に鋳物砂を充填した後、副圧縮シリンダで鋳物砂の予備圧縮を行い、次工程の
180度上下反転において下鋳型が下鋳枠から抜け落ちないようにしている。しかし、予
備圧縮の加圧力をあまり高くすると、予備圧縮はマッチプレートの片側における加圧であ
るため、マッチプレートの変形や破損が生ずるおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複雑な形状の模型
を使用しても鋳物砂を鋳枠内に均一に充填でき、模型表面や鋳枠内面の摩耗による修繕費
を減少させ、マッチプレートの変形・破損を防止することのできる鋳型造型方法及び装置
を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の構成上の特徴は、マッチプレートの両面に上下鋳枠を重合して重
合鋳枠とし、前記重合鋳枠の上鋳枠に鋳物砂を充填し、砂押え部材を前記重合鋳枠に向か
って前進させて、前記砂押え部材を前記上鋳枠の内周に嵌入して前記充填された鋳物砂と
当接させるとともに、弾性部材の撥力で前方に付勢された上鋳枠支持部材を前記重合鋳枠
に向かって前進させて前記上鋳枠と当接させ、前記砂押え部材が前記鋳物砂と当接し、前
記上鋳枠支持部材が前記上鋳枠と当接した状態で前記重合鋳枠を反転させ、 前記反転さ
れた重合鋳枠の前記下鋳枠に鋳物砂を充填し、スクイズ部材を前記下鋳枠の内周に嵌入さ
せて前記下鋳枠及び上鋳枠に充填された鋳物砂をスクイズさせることである。
【0009】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、基台に設けられマッチプレートの両面に上下鋳
枠を重合して重合鋳枠とする鋳枠重合装置と、前記重合鋳枠の前記上鋳枠及び反転された
前記重合鋳枠の前記下鋳枠の内周に鋳物砂を自然落下によって夫々充填する鋳物砂充填装
置と、搬入出装置によって搬入される前記重合鋳枠を前記下鋳枠で支持するとともに回動
装置によって反転される反転部材と、前記反転部材に進退装置によって進退可能に装架さ
れ、前記反転部材に搬入された重合鋳枠の上鋳枠の内周に嵌入して前記充填された鋳物砂
と当接する砂押え部材と、前記反転部材に移動可能に装架され弾性部材の撥力で前方に付
勢されて前記上鋳枠と当接する上鋳枠支持部材と、前記基台に昇降装置によって昇降可能
に装架され、前記砂押え部材が前記上鋳枠に充填された鋳物砂と当接し、前記上鋳枠支持
部材が前記上鋳枠と当接した状態で前記反転部材が反転され、前記重合鋳枠の前記下鋳枠
の内周に鋳物砂が前記鋳物砂充填装置により充填された後に、前記下鋳枠の内周に嵌入し
て前記下鋳枠及び上鋳枠に充填された鋳物砂をスクイズするスクイズ部材と、を備えたこ
とである。
【0010】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記砂押え部材は、前記反
転部材に進退装置によって進退可能に装架された押え部材に固定され、前記上鋳枠支持部
材は、前記押え部材に相対移動可能に装架されて弾性部材の撥力で前方に付勢され、前記
砂押え部材が前記上鋳枠の内周に嵌入されたとき前記上鋳枠と当接することである。
【0011】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記スクイズ部材の下降に
よる前記押え部材の下降を所定距離に規制する規制部材を前記基台に設けたことである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、重合鋳枠の上鋳枠内に鋳物砂が上方から充填され、充填
された鋳物砂に砂押え部材を当接させると共に、弾性部材の撥力で前方に付勢された上鋳
枠支持部材で上鋳枠を支持する。この状態で重合鋳枠を上下反転させ、反転された重合鋳
枠の下鋳枠内に鋳物砂を上方から充填する。そして、スクイズ部材を下鋳枠内に嵌入させ
てスクイズさせる。このとき、スクイズの圧力により、下鋳枠内の鋳物砂が圧縮されると
ともに鋳物砂と下鋳枠の内面との摩擦によって重合鋳枠が下方に移動する。これによって
重合鋳枠は弾性部材の撥力に抗して下方に移動し、上鋳枠の鋳物砂に当接された砂押え部
材は上鋳枠の中に嵌入して上鋳枠内の鋳物砂をスクイズする。このように、下鋳枠内の鋳
物砂と上鋳枠内の鋳物砂を同時にスクイズするので、マッチプレートの一方の面だけに負
荷される圧力が偏ることがなく、マッチプレートの変形・破損を防止することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によると、鋳物砂を自然落下により上鋳枠内に充填させ、反転部材
によって支持された重合鋳枠の上鋳枠の内周に砂押え部材を嵌入して鋳物砂と当接させる
とともに、弾性部材の撥力により前方に付勢された上鋳枠支持部材を上鋳枠と当接させる
。この状態で反転部材を上下反転させることで重合鋳枠を反転させて、下鋳枠に鋳物砂を
自然落下により充填させ、その後、昇降装置によりスクイズ部材を下鋳枠の内周に嵌入す
ることで下鋳枠内に充填された鋳物砂をスクイズする。このとき、スクイズの圧力により
、下鋳枠内の鋳物砂が圧縮されるとともに鋳物砂と下鋳枠の内面との摩擦によって重合鋳
枠が下方に移動する。これによって重合鋳枠は弾性部材の撥力に抗して下方に移動し、上
鋳枠の鋳物砂に当接された砂押え部材は上鋳枠の中に嵌入して上鋳枠内の鋳物砂をスクイ
ズする。このように、下鋳枠内の鋳物砂と上鋳枠内の鋳物砂を同時にスクイズするので、
マッチプレートの一方の面だけに負荷される圧力が偏らず、マッチプレートの変形・破損
を防止することが可能な鋳型造型装置を提供することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によると、砂押え部材と上鋳枠支持部材は、共に押え部材に固定さ
れているため、押え部材が進退装置により進出することにより、砂押え部材の上鋳枠の内
周への嵌入と上鋳枠支持部材の上鋳枠への当接とを簡単な構成で同時に行わせることがで
きる。
【0015】
請求項4に係る発明によると、スクイズ部材の下降により鋳物砂がスクイズされるとき
、押え部材の下降が規制されるので、スクイズ部材の押圧力に対する反力を押え部材に生
じさせ、この反力により押え部材に固定された砂押え部材を上鋳枠内にさらに嵌入させて
鋳物砂を確実にスクイズすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の鋳型の造型装置の実施形態を示す概要図。
【図2】反転部材及び回動装置を示す図。
【図3】上鋳枠支持装置を示す図。
【図4】マッチプレートを示す図。
【図5】鋳物砂の上鋳枠への充填工程を示す図。
【図6】充填された上鋳枠を反転装置にセットする工程を示す図。
【図7】下鋳枠と上鋳枠とを上下反転する工程を示す図。
【図8】下鋳枠に鋳物砂を充填する工程を示す図。
【図9】スクイズヘッドを造型ステーションに移動させる工程を示す図。
【図10】スクイズヘッドを下降させる工程を示す図。
【図11】スクイズヘッドにより上鋳枠内及び下鋳枠内の鋳物砂を同時にスクイズする工程を示す図。
【図12】スクイズヘッドを上昇させる工程を示す図。
【図13】上鋳枠と下鋳枠とを上下反転させる工程を示す図。
【図14】上鋳枠、マッチプレート、下鋳枠を分離させる工程を示す図。
【図15】上鋳枠と下鋳枠とを枠合せ・枠抜きステーションに移動させる工程を示す図。
【図16】上鋳型と下鋳型とを合わせて、上下の鋳枠から外す直前の工程を示す図。
【図17】上下の鋳枠から外された上鋳型と下鋳型とが、合わされて鋳型が完成された図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
本件発明にかかる鋳型の造型装置を使用した造型方法の実施形態を図に基づいて以下に
説明する。
【0018】
鋳型造型装置2は、図1に示すように、基台4、長方形の四角枠状の天フレーム6、及
び基台4の端部に設けられ天フレーム6を支持する支柱8からなる機枠10と、機枠10
に支持されて順に列設された造型ステーション12、枠セット・型抜きステーション14
、及び枠合せ・枠抜きステーション16とから主に構成される。なお、これらのステーシ
ョン12,14,16が並んでいる水平方向をX方向とする。鋳物砂18が充填されて鋳
型121(図13又は図17参照)が形成される重合鋳枠20は、図2に示すように、下
方に向かってテーパ状に広がった略四角筒状の下鋳枠19と、分割された模型17が上面
及び下面にそれぞれ取り付けられたマッチプレート21と、下方に向かってテーパ状に広
がった略四角筒状の上鋳枠23とを、重ね合わせて形成される。上鋳枠23の内面、マッ
チプレート21の一方の表面及び該一方の表面に取付られた模型17の表面により上鋳型
121a(図13参照)を造型する造型空間が形成され、下鋳枠19の内面、マッチプレ
ート21の他方の表面及び該他方の表面に取付けられた模型17の表面により下鋳型12
1b(図13参照)を造型する造型空間が形成される。
【0019】
マッチプレート21は、図4に示すように、中央に穴部が形成された矩形状の支持枠2
5と、支持枠25の穴部に沿って形成された係止縁27に係止された模型保持板29とを
有している。模型保持板29の両面には夫々分割された模型17が取付固定されている。
模型保持板29は図略の係止爪により支持枠25の係止縁27に固定される。
【0020】
造型ステーション12は、図1に示すように、鋳物砂18が投入される重合鋳枠20を
上下反転させる反転装置(反転部材)22と、水平移動して重合鋳枠20の上方に交互に
配置されるスクイズ装置24及び鋳物砂充填装置としての鋳物砂投入装置26と、重合鋳
枠20を横移動させる搬入出装置としての鋳枠横移動装置28とを備えている。
【0021】
反転装置22は、図2に示すように、天フレーム6の両端より所定の間隔をおいて垂下
された垂下部材31の下端に夫々2つずつ組として固定された軸受部材30に回動可能に
支承される一対の回動軸32と、回動軸32にそれぞれ一体に支持され下部に回動軌跡に
沿った円弧縁を有する一対の垂直壁部34と、垂直壁部34の下部に水平に対にして並設
された複数のローラ部材36と、対となった垂直壁部34の上部において垂直壁部34間
に架設された支持プレート38と、を備えている。回動軸32には図略の外歯車が周設さ
れ、該外歯車にはラック(図略)が噛合されピニオンラック機構が構成されている。ラッ
クは図略のエアシリンダ装置により駆動される。これらの回動軸32、外歯車、ラック及
びエアシリンダ装置によって回動装置が構成されている。支持プレート38の中央部には
進退装置としてのエアシリンダ40が設けられ、エアシリンダ40の先端部には押え部材
としての押えプレート42が設けられている。押えプレート42はエアシリンダ40の前
進により対向するローラ部材36方向(図2において下方向)に移動する。押えプレート
42の上面には支持プレート38側に突出する4本のガイドロッド44が設けられている
。各ガイドロッド44は支持プレート38に穿設されたガイド孔(図略)に夫々ガイドさ
れ、押えプレート42を支持プレート38に対して平行に接近離間させる。エアシリンダ
40は、図略のエアポンプに連通され、該エアポンプとエアシリンダ40の間に設けられ
た図略の電磁弁の開閉によりその作動が制御される。押えプレート42の四隅には、図2
及び図3に示すように、上鋳枠支持部材50が取り付けられている。上鋳枠支持部材50
は、一方に開口部を有する有底の筒状部材46と、筒状部材46に嵌入されて筒状部材4
6の開口部から進出退入するロッド部材48とを備えている。押えプレート42にはガイ
ド穴49が設けられ、ガイド穴49の周縁に筒状部材46が開口部において固定されてい
る。ロッド部材48の基端部側にはフランジ部51が周設され、フランジ部51がガイド
穴49の周縁に当接することによりロッド部材48の前進端が規制される。筒状部材46
には筒状部材46の底面に一端が当接する金属ばね(弾性部材)52(図3参照)が収容
され、金属ばね52の他端はロッド部材48に設けられたフランジ部51に当接する。こ
れによって、ロッド部材48を前進する方向(図3においては下方)に向かって付勢する
。ロッド部材48はガイド穴49により摺動可能にガイドされ、ロッド部材48に設けら
れた先端テーパ部47は上鋳枠23の端縁部に形成されたテーパ穴(図略)に係合し、ロ
ッド部材48が上鋳枠23の端縁部に当接したときに、上鋳枠23の水平方向の位置決め
を行う。押えプレート42の下面中央部には砂押え部材としての砂押えプレート54が設
けられ、砂押えプレート54は上鋳枠23の内周に嵌入可能な断面四角形状に形成されて
いる。
【0022】
反転装置22の下方には、図1に示すように、基台4より規制柱53が突設され、規制
柱53の上端には、スクイズ装置24によりスクイズされるときに押えプレート42のガ
イドロッド44に間隙を介して対向する4本の規制部材55が突設されている。この間隙
により、反転装置22が反転する際に、規制部材55に当たらないようになっている。
【0023】
スクイズ装置24は、図2に示すように、前記天フレーム6の上面でX方向に延在する
搬送レール56上を移動する車輪58を下部四隅に備え、立体矩形状に形成された支持フ
レーム60を有している。支持フレーム60の上部中央には、昇降装置としてのスクイズ
シリンダ62が取付けブラケット64を介して図略のボルト等により固定されている。ス
クイズシリンダ62には下方に突出するピストン部66を備え、ピストン部66の下端部
には下鋳枠19の内周に嵌入するスクイズプレート(スクイズ部材)68が保持プレート
69(図2参照)を介して設けられている。スクイズシリンダ62の両側には、支持フレ
ーム60に取付けブラケット64により固定され上下方向に延在する一対の円筒ガイド7
0が設けられ、各円筒ガイド70には保持プレート69の上面に突設された昇降ガイドロ
ッド72が摺動可能に内嵌されている。スクイズシリンダ62は、図略のエアポンプに連
通され、該エアポンプとスクイズシリンダ62間に設けられた図略の電磁弁の開閉によっ
てその作動が制御される。
【0024】
鋳物砂投入装置26は、図1に示すように、一度に成型する鋳型造型に必要な鋳物砂1
8を1単位として収納し、上下鋳枠23,19のいずれかの上面に当接して造型空間内に
鋳物砂18を投入するホッパー74を備えている。ホッパー74は上下鋳枠23,19の
上面に当接するシューター部76を有し、シューター部76の上方の外周壁78には外周
壁78の内部を上下に仕切る複数枚のゲート板80が支承されている。ゲート板80の上
方は鋳物砂18を貯留する砂計量部82となっている。砂計量部82には図略のコンベヤ
装置により鋳物砂18が搬送されて貯留される。ゲート板80は図略の回動装置により水
平軸線回りに夫々回動され、ゲート板80が水平位置に位置決めされると外周壁78の内
部中央が上下に仕切られて鋳物砂18が貯留可能となり、ゲート板80が回動されて垂直
位置に位置決めされると、貯留された鋳物砂18が落下して前記造型空間に投入される。
ホッパー74は前記支持フレーム60より延在する横フレーム84に固定され、横フレー
ム84には前記搬送レール56上を転動する車輪(図略)が設けられている。ホッパー7
4及び前記スクイズ装置24は、天フレーム6の端部(図1において右端部)に設けられ
たシャトルシリンダ86の駆動により造型ステーション12と枠セット・型抜きステーシ
ョン14との間を移動して所定位置に位置決めされる。シャトルシリンダ86は図略のエ
アポンプに連通され、該エアポンプとシャトルシリンダ86の間に設けられた図略の電磁
弁の開閉によりその作動が制御される。
【0025】
前記鋳枠横移動装置28は、図1に示すように、X方向に延在する一対のガイドフレー
ム88を備え、ガイドフレーム88には反転装置22のローラ部材36が下方に位置決め
されたときに整列可能になる整列ローラ部90が設けられている。整列ローラ部90の上
には重合鋳枠20をクランプ・アンクランプするクランプ台車92が水平移動可能に設け
られ、クランプ台車92はガイドフレーム88の一端部に設けられた水平シリンダ装置9
4によって駆動される。水平シリンダ装置94は図略のエアポンプに連通され、該エアポ
ンプと水平シリンダ装置94との間に設けられた図略の電磁弁の開閉により作動が制御さ
れる。クランプ台車92には基端部が支承されたクランプ爪部96が設けられ、クランプ
爪部96の先端部は重合鋳枠(下鋳枠19)の被係止部(図略)に係止可能になっている
。クランプ台車92は整列ローラ部90及びローラ部材36上を移動可能に設けられ、ク
ランプ台車92はクランプ爪96により係止した重合鋳枠20を造型ステーション12と
枠セット・型抜きステーション14との間を移動させる。
【0026】
枠セット・型抜きステーション14は、図1に示すように、基台4に昇降可能にガイド
される昇降ローラ台98を下方に有している。昇降ローラ台98は基台4のガイド穴に摺
動自在に支持される昇降支持シリンダ100を有し、昇降支持シリンダ100は図略のエ
アポンプに連通され、該エアポンプと昇降支持シリンダ100との間に設けられた図略の
電磁弁の開閉によってその作動が制御される。昇降支持シリンダ100の上端には、X方
向に延在する一対の水平フレーム102が設けられている。水平フレーム102には内側
に各対となった複数のローラ片104が回動自在に支承されている。また、昇降ローラ台
98は上昇端において前記整列ローラ部90に整列可能に設けられる。昇降ローラ台98
の上方には下部ターンテーブル106の一端が枠セット・型抜き位置として位置決めされ
るように設けられている。
【0027】
この下部ターンテーブル106と下部ターンテーブル106の上方に位置する上部ター
ンテーブル114とは、昇降ローラ台98に並設された回動支持軸116に外嵌された回
動周壁113の下端部及び上端部に夫々一体に固定されている。回動周壁113と回動支
持軸116とは互いに相対回動可能に設けられている。上部回転テーブル114と下部回
転テーブル106とには夫々水平方向に延在する支持腕115が回動支持軸116の両側
に設けられている。両側の支持腕115にはそれぞれ所定の間隔をおいて対向する支持壁
117が設けられ、各支持壁117の内側には夫々係合突起(図略)が対向して設けられ
ている。対向する支持壁117はその間に上鋳枠23又は下鋳枠19を配置可能に設けら
れ、対向する前記係合突起に上鋳枠23及び下鋳枠19に夫々設けられた図略の被係合部
を係合させることで支持壁117の間に上鋳枠23又は下鋳枠19を係脱可能に挟持する
。なお、対向する支持壁117は、昇降ローラ台98及び後述する鋳型テーブル120が
その間を通過可能に構成されている。また、回動周壁113は図略のベアリングを介して
回動支持軸116に支承され、図略の減速装置及びモータにより回動支持軸116に対し
て回動し、回動周壁113が回動することで、下部ターンテーブル106及び上部ターン
テーブル114は同期して回動する。そして夫々の支持腕115に係合された下鋳枠19
又は上鋳枠23を、枠セット・型抜きステーション14と枠合せ・枠抜きステーション1
6との間で回転移動させる。
【0028】
下部ターンテーブル106と上部ターンテーブル114の間には、Y方向(X方向に直
交する水平方向)に延在する一対の直交支持フレーム108が設けられ、直交支持フレー
ム108の内側には複数の搬送ローラ110が回動自在に支承されている。搬送ローラ1
10はマッチプレート112を搬入搬出する。直交支持フレーム108の上方には前述の
上部ターンテーブル114の一端が枠セット・型抜き位置として位置決めされる。なお、
下鋳枠19が載置された昇降ローラ台98を上昇させることで、搬送ローラ110に載置
されたマッチプレート21と上部ターンテーブル114の枠セット位置に位置決めされた
上鋳枠23とを重ね合わせて重合鋳枠20を形成する。これらの昇降ローラ台98、搬送
ローラ110、下部ターンテーブル106及び上部ターンテーブル114等により鋳枠重
合装置が構成される。
【0029】
枠合せ・枠抜きステーション16は、図1に示すように、鋳型合わせ装置118を下方
に有している。鋳型合わせ装置118は昇降軸シリンダ119有し、昇降軸シリンダ11
9のピストン部は基台4に対して昇降可能にガイドされる。昇降軸シリンダ119は、図
略のエアポンプに連通され、該エアポンプと昇降軸シリンダ119との間に設けられた図
略の電磁弁の開閉によってその作動が制御される。昇降軸シリンダ119の上端には鋳型
121を載置する鋳型テーブル120が設けられている。鋳型テーブル120の上方には
下部ターンテーブル106の他端及び上部ターンテーブル114の他端が枠合せ・枠抜き
位置として位置決めされている。上部ターンテーブル114の上方には図略のエアシリン
ダにより駆動する鋳型抜きヘッド122が天フレーム6に対して昇降可能にガイドされて
いる。鋳型抜きヘッド122の下端部には押し抜きプレート124が設けられ、押し抜き
プレート124は上鋳枠23の内周に嵌入可能に形成されている。
【0030】
上記のように構成された鋳型造型装置の作動について、図面に基づいて以下に説明する
。まず、枠セット・型抜きステーション14において、図1に示すように、下より順に下
部ターンテーブル106には下鋳枠19が係合されて枠セット位置に配置され、搬送ロー
ラ110にはマッチプレート21が配置され、上部ターンテーブル114には上鋳枠23
が係合されて枠セット位置に配置されている。これらの下鋳枠19、マッチプレート21
及び上鋳枠23は互いに嵌合可能に対向している。下鋳枠19のすぐ下方には昇降ローラ
台98が配置され、上鋳枠23の上方には鋳物砂投入装置26(ホッパー74)が配置さ
れている。鋳物砂投入装置26の砂計量部82には上鋳枠23に投入される鋳物砂18が
貯留されている。一方、水平シリンダ装置94のピストン部が前進されており、クランプ
台車92は反転装置22のローラ部材36上に位置決めされている。
【0031】
次に、昇降支持シリンダ100を駆動させて、図5に示すように、昇降ローラ台98を
上昇させる。ローラ片104に下鋳枠19の下端が当接することで、下鋳枠19の下部タ
ーンテーブル106に対する係合が解除され、下鋳枠19は昇降ローラ台98に載置され
て上昇する。下鋳枠19が直交支持フレーム108の間を通るときに搬送ローラ110よ
りマッチプレート21が受承され下鋳枠19にマッチプレート21が重ね合わされる。更
に、昇降ローラ台98を上昇させ、昇降ローラ台98の上昇端においてマッチプレート2
1の上面が上鋳枠23の下端に当接することで、上鋳枠23と上部ターンテーブル114
との係合が解除され、マッチプレート21に上鋳枠23を重ね合わせる。このようにして
、下鋳枠19、マッチプレート21及び上鋳枠23を重ね合わせて重合鋳枠20(図2参
照)を形成する。そして、鋳物砂投入装置26のゲート板80が回動されて垂直位置に位
置決めされ、砂計量部82に貯留されていた鋳物砂18を自然落下させて上鋳枠23の内
面とマッチプレート21の上面及び模型17の表面が形成する造型空間に充填させる。こ
のときに、整列しているローラ部材36及び整列ローラ部90にローラ片104を整列さ
せる。そしてクランプ台車92のクランプ爪部96を回動させることでその先端を下鋳枠
19(重合鋳枠20)の被係止部に係止させる。
【0032】
次に、図6に示すように、水平シリンダ装置94のピストン部を後退させる駆動により
、下鋳枠19(重合鋳枠20)を枠セット・型抜きステーション14にある昇降ローラ台
98から造型ステーション12にある反転装置22のローラ部材36上に移動させる。そ
して、クランプ爪部96を解除方向に回動させることで下鋳枠19(重合鋳枠20)の被
係止部への係止を解除する。そして、エアシリンダ40を前進する方向に駆動させること
で、砂押えプレート54を上鋳枠23(重合鋳枠20)の内周部に嵌入させて内部に充填
された鋳物砂18の上面に当接させる。このとき、上鋳枠支持部材50のロッド部材48
の先端部は上鋳枠23の上端部に当接させる。このとき、ロッド部材48の先端テーパ部
47を上鋳枠23のテーパ穴に嵌入させる。エアシリンダ40には、砂押えプレート54
が上鋳枠23の内周から外れない程度の軽い圧力が負荷されて維持される。上鋳枠23の
上端部は上鋳枠支持部材50に当接し、下鋳枠19はローラ部材36に載置されているの
で、重合鋳枠20(上鋳枠23、マッチプレート21及び下鋳枠19)は、造型位置にお
いてエアシリンダ40の圧力で上下から挟持された状態となる。また、並行してホッパー
74のゲート板80が回動されて水平位置に位置決めされ、砂計量部82には下鋳枠19
が構成する造型空間に投入される量の鋳物砂18が図略のコンベヤ装置により搬送されて
貯留される。
【0033】
次に、図7に示すように、反転装置22を回動軸32(図1参照)を中心に上下反転さ
せることで、重合鋳枠20の上下が反転する。下鋳枠19が構成する造型空間が上部に位
置決めされ、下鋳枠19の下端部(図7においては上端部)が開口した状態となる。また
、4本のガイドロッド44の下端部が、間隙を介して夫々規制部材55に対向した状態と
なる。
【0034】
次に、図8に示すように、シャトルシリンダ86のピストン部を前進する方向に駆動さ
せ、ホッパー74を枠セット・型抜きステーション14から造型ステーション12に移動
させる。ホッパー74の下端開口を下鋳枠19の開口部に対向させる。そして、ゲート板
80を回動させて垂直位置に位置決めさせることで、鋳物砂18を砂計量部82より自然
落下させて下鋳枠19が構成する造型空間に投入する。
【0035】
次に、図9に示すように、シャトルシリンダ86を後退する方向に駆動させ、スクイズ
装置24を造型ステーション12に移動させ、スクイズプレート68を下鋳枠19に充填
された鋳物砂18に対向させる。その間に、ホッパー74のゲート板80を回動させて水
平位置に位置決めする。
【0036】
次に、図10に示すように、スクイズシリンダ62を前進する方向に駆動させ、スクイ
ズプレート68を下鋳枠19の内周に嵌入させる。
【0037】
次に、図11に示すように、スクイズプレート68を下鋳枠19内の鋳物砂18に当接
した状態で、更に降下させることで、下鋳枠19内の鋳物砂18をスクイズする。このと
き、スクイズの圧力により、下鋳枠19内の鋳物砂18が圧縮されるとともに鋳物砂18
と下鋳枠19の内面との摩擦によって重合鋳枠20を下方に移動させる力が働く。この下
方への力によって重合鋳枠20は金属ばね52の撥力に抗して下方に移動し、反転装置2
2の押えプレート42は上鋳枠支持部材50を介して下方に移動する力が働いて下方移動
して、押えプレート42に突設されたガイドロッド44が規制部材55に当接する。そし
て、下方に移動して当接した規制部材55によりガイドロッド44が反力を受け、その反
力がガイドロッド44を介して押えプレート42に伝達される。押えプレート42には砂
押えプレート54が固定されているので、上鋳枠23の鋳物砂13に当接された砂押えプ
レート54は、重合鋳枠20の下方移動によって上鋳枠23の中にさらに嵌入して上鋳枠
23内の鋳物砂18をスクイズする。このように、スクイズプレート68で下鋳枠19内
部の鋳物砂18をスクイズすることで、上鋳枠23内部の鋳物砂18を同時にスクイズす
ることができる。このように、同時にスクイズすることで、マッチプレート21の一方の
面だけに負荷される圧力が偏らず、マッチプレート21の変形・破損を防止することがで
きる。
【0038】
次に、図12に示すように、スクイズシリンダ62を後退する方向に駆動させることで
スクイズプレート68を上昇させ、スクイズプレート68を下鋳枠19内周より離脱させ
る。このとき、重合鋳枠20はローラ部材36と上鋳枠支持部材50とにより上下から挟
持された状態となる。
【0039】
次に、図13に示すように、反転装置22を180度回転させることで、重合鋳枠20
を上下反転させ、上鋳枠23を上方に、下鋳枠19を下方に位置決めする。そして、クラ
ンプ台車92のクランプ爪部96を回動させることで、下鋳枠19の被係止部に先端を係
止させる。同時に、整列ローラ部90、反転装置22のローラ部材32及び昇降ローラ台
98のローラ片104を整列させる。
【0040】
次に、水平シリンダ94を前進する方向に駆動させてクランプ台車92をローラ部材3
2に移動させることにより、重合鋳枠20を枠セット・型抜きステーション14の型抜き
位置に移動させる。そのとき、上鋳枠23を対向する支持壁117の間に進入させる。そ
して、昇降ローラ台98を上昇端より下降させることで、上鋳枠23の被係合部を上部タ
ーンテーブル114の支持壁117の係合突起に係合させ、上部ターンテーブル114に
上鋳枠23を固定する。そして、図14に示すように、マッチプレート21と下鋳枠19
とが載置された昇降ローラ台98を更に下降することで、マッチプレート21を直交支持
フレーム108の搬送ローラ110に受承させる。そして、下鋳枠19のみが載置された
昇降ローラ台98が更に下降され、下部ターンテーブル106の係合部に下鋳枠19の被
係合部を係合させる。なお、搬送ローラ110に載置されたマッチプレート21は、予定
される鋳型121の生産数が終了するまで、続けて枠セット位置に置かれて繰り返し使用
される。そして、予定される生産数の鋳型121の生産が終了した場合、図略の収納庫に
搬出され、搬送ローラ110の枠セット位置には新たな模型17がセットされたマッチプ
レート21が搬入される。
【0041】
次に、図15に示すように、下部ターンテーブル106及び上部ターンテーブル114
を水平方向に180度回転させ、上鋳枠23及び下鋳枠19を枠合せ・枠抜きステーショ
ン16に移動させ、枠抜き位置にそれぞれ位置決めする。
【0042】
次に、昇降軸シリンダ119を前進する方向に駆動させることで、鋳型テーブル120
を上昇させて下部ターンテーブル106より下鋳枠19を受承する。鋳型テーブル120
は下鋳枠19の内周に嵌入されて鋳型121bの下面に当接する。更に下鋳枠19が載置
された鋳型テーブル120を上昇させることで、図16に示すように、上部ターンテーブ
ル114に置かれた上鋳枠23に下鋳枠19を重ね合わせる。そして、鋳型抜きヘッド1
22の押し抜きプレート124を上鋳枠23内周に嵌入させ、上鋳型121aと下鋳型1
21bを合わせる鋳型合せをおこなう。
【0043】
次に、鋳型テーブル120を下降させて、上部ターンテーブル114に係合した上鋳枠
23から上鋳型121aを抜き出して枠抜きする。上鋳型121a、下鋳枠19及び下鋳
型121bが載置された型テーブル120を更に降下させることで、下部ターンテーブル
106の位置において、下鋳枠19から下鋳型121bを抜きだして枠抜きして、図17
に示すように、上下の鋳型121a、121bが重ねられた鋳型121を完成させる。そ
して、完成した鋳型121を図略のコンベヤにより収納倉庫に搬出する。
【0044】
なお、図13及び図14において鋳型121が抜き出された上鋳枠23及び下鋳枠19
は、図1に示すように、上部・下部ターンテーブル106,114の180度回転により
枠セット・型抜きステーション14に移動され、搬送ローラ110に載置されたマッチプ
レート21に重ね合わされて重合鋳枠20が形成される。以下同様な造型工程が繰り返さ
れる。
【0045】
上記のように構成された鋳型造型装置2によると、重合鋳枠20の上鋳枠23内に鋳物
砂18が上方から充填され、充填された鋳物砂18に砂押えプレート54を当接させると
共に、金属ばね52の撥力で前方に付勢された上鋳枠支持部材50で上鋳枠23を支持す
る。この状態で重合鋳枠20を上下反転させ、反転された重合鋳枠20の下鋳枠19内に
鋳物砂18を上方から充填する。そして、スクイズプレート68を下鋳枠19内に嵌入さ
せてスクイズさせる。このとき、スクイズの圧力により、下鋳枠19内の鋳物砂18が圧
縮されるとともに鋳物砂18と下鋳枠19の内面との間の摩擦によって重合鋳枠20が下
方に移動する。これによって、重合鋳枠20は金属ばね52の撥力に抗して下方に移動し
、上鋳枠23の鋳物砂18に当接された砂押えプレート54は上鋳枠23の中にさらに嵌
入して上鋳枠23内の鋳物砂18をスクイズする。このように、下鋳枠19内の鋳物砂1
8と上鋳枠23内の鋳物砂18を同時にスクイズするので、マッチプレート21の一方の
面だけに負荷される圧力が偏らず、マッチプレート21の変形・破損を防止することがで
きる。
【0046】
また、上側からマッチプレート21に直角に面した状態で鋳物砂18を上鋳枠23内及
び下鋳枠19内に充填するので、複雑な形状の模型17を使用する場合でも、鋳物砂18
が均一に充填される。そのため、造型される鋳型121の強度に部分的なばらつきを生ず
ることなく、鋳型121より作られる製品の精度を向上させる。また、鋳物砂18の充填
は自然落下によるものであり、従来のブロー装置での充填のように砂粒を衝撃的に当てる
事もないので、マッチプレート21表面や鋳枠19,23内面を摩耗することが少ない。
そのため、設備の寿命を延長させて修繕費を低減させることができる。
【0047】
また、砂押えプレート54と上鋳枠支持部材50は、共に押えプレート42に固定され
ているため、押えプレート42がエアシリンダ40により進出すると、砂押えプレート5
4の上鋳枠23の内周への嵌入と上鋳枠支持部材50の上鋳枠23への当接とをこのよう
な簡単な構成で同時に行わせることができる。
【0048】
また、スクイズプレート68の下降により鋳物砂18がスクイズされるとき、押えプレ
ート42の下降が規制されるので、押えプレートに固定された砂押えプレート54に、ス
クイズプレート68による押圧力に対する反力を生じさせる。この反力により砂押えプレ
ート54を上鋳枠23内にさらに嵌入させて鋳物砂18を確実にスクイズすることができ
る。
【0049】
なお、上記実施形態においては、砂押えプレート54が組付けられた押えプレート42
に、上鋳枠支持部材50が固定されているものとしたが、これに限定されず、例えば砂押
えプレート54が組付けられた押えプレート42とは別の部材(但し、支持プレート38
に固定)に上鋳枠支持部材が固定されているものでもよい。
【0050】
また、鋳型造型装置の主な駆動を、エアシリンダを使った空気圧によるものとしたが、
これに限定されず、例えば、油圧によるもの、ボールねじを使用したサーボモータによる
もの、リニアモータによるもの等、公知の慣用技術を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
見切り面によって上型・下型に分割された模型が、上面・下面に取付けられたマッチプ
レートを使用した鋳型の造型装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
2…鋳型造型装置、4基台、19…下鋳枠、20…重合鋳枠、21…マッチプレート、
22…反転部材(反転装置)、23…上鋳枠、26…鋳物砂充填装置(鋳物砂投入装置)
、28…搬入出装置(鋳枠横移動装置)、32…回動装置(回動軸)、40…進退装置(
エアシリンダ)、42…押え部材(押えプレート)、50…上鋳枠支持部材、52…弾性
部材(金属ばね)、54…砂押えプレート、55…規制部材、62…昇降装置(スクイズ
シリンダ)、68…スクイズ部材(スクイズプレート)、98…鋳枠重合装置(昇降ロー
ラ台)、110…鋳枠重合装置(搬送ローラ)、106…鋳枠重合装置(下部ターンテー
ブル)、114…鋳枠重合装置(上部ターンテーブル)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッチプレートの両面に上下鋳枠を重合して重合鋳枠とし、
前記重合鋳枠の上鋳枠に鋳物砂を充填し、
砂押え部材を前記重合鋳枠に向かって前進させて、前記砂押え部材を前記上鋳枠の内周
に嵌入して前記充填された鋳物砂と当接させるとともに、弾性部材の撥力で前方に付勢さ
れた上鋳枠支持部材を前記重合鋳枠に向かって前進させて前記上鋳枠と当接させ、
前記砂押え部材が前記鋳物砂と当接し、前記上鋳枠支持部材が前記上鋳枠と当接した状
態で前記重合鋳枠を反転させ、
前記反転された重合鋳枠の前記下鋳枠に鋳物砂を充填し、
スクイズ部材を前記下鋳枠の内周に嵌入させて前記下鋳枠及び上鋳枠に充填された鋳物
砂をスクイズさせることを特徴とする鋳型造型方法。
【請求項2】
基台に設けられマッチプレートの両面に上下鋳枠を重合して重合鋳枠とする鋳枠重合装
置と、
前記重合鋳枠の前記上鋳枠及び反転された前記重合鋳枠の前記下鋳枠の内周に鋳物砂を
自然落下によって夫々充填する鋳物砂充填装置と、
搬入出装置によって搬入される前記重合鋳枠を前記下鋳枠で支持するとともに回動装置
によって反転される反転部材と、
前記反転部材に進退装置によって進退可能に装架され、前記反転部材に搬入された重合
鋳枠の上鋳枠の内周に嵌入して前記充填された鋳物砂と当接する砂押え部材と、
前記反転部材に移動可能に装架され弾性部材の撥力で前方に付勢されて前記上鋳枠と当
接する上鋳枠支持部材と、
前記基台に昇降装置によって昇降可能に装架され、前記砂押え部材が前記上鋳枠に充填
された鋳物砂と当接し、前記上鋳枠支持部材が前記上鋳枠と当接した状態で前記反転部材
が反転され、前記重合鋳枠の前記下鋳枠の内周に鋳物砂が前記鋳物砂充填装置により充填
された後に、前記下鋳枠の内周に嵌入して前記下鋳枠及び上鋳枠に充填された鋳物砂をス
クイズするスクイズ部材と、
を備えたことを特徴とする鋳型造型装置。
【請求項3】
請求項2において、前記砂押え部材は、前記反転部材に進退装置によって進退可能に装
架された押え部材に固定され、
前記上鋳枠支持部材は、前記押え部材に相対移動可能に装架されて弾性部材の撥力で前
方に付勢され、前記砂押え部材が前記上鋳枠の内周に嵌入されたとき前記上鋳枠と当接す
ることを特徴とする鋳型造型装置。
【請求項4】
請求項3において、前記スクイズ部材の下降による前記押え部材の下降を所定距離に規
制する規制部材を前記基台に設けたことを特徴とする鋳型造型装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−45921(P2011−45921A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198603(P2009−198603)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(592089799)メタルエンジニアリング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】