説明

鋼ストリップのための溶融めっき装置

本発明は、連続して移動する圧延された鋼ストリップのための溶融めっき装置を提供し、この溶融めっき装置において、ストリップは、ストリップ上に堆積させられるための金属、例えば亜鉛及びアルミニウムの溶融混合物を含むコーティングタンクにおいて浸漬される。溶融混合物は、前記コーティングタンクと準備装置との間を連続して循環させられ、この準備装置において、溶融混合物の温度が、鉄溶解度限界を低下させるために故意に低下させられ、準備装置の融解ゾーンにおける亜鉛−アルミニウムZn−Al合金を含む少なくとも1つのインゴットの融解を活性化させるように十分に高く、これにより、ストリップに堆積される溶融混合物を補償するように十分な量で、溶融混合物(Zn,Al)の付加的な供給を保証する。複数の実施形態によれば、装置は、熱的に最適化された溶融混合物循環回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による鋼ストリップのための溶融めっき装置に関する。
【0002】
連続的に移動する圧延された鋼ストリップの溶融めっきは、基本的に2つの態様を有する公知の技術であり、1つの態様は、めっき炉から出るストリップが、亜鉛、アルミニウム等のめっきに適した少なくとも1つの金属を含む溶融金属の浴に斜めに下降し、その後、溶融金属の前記浴に浸漬されたロールによって鉛直方向上方へ逸らされる。別の態様は、ストリップが炉から出る時にストリップを鉛直方向上方に逸らせ、その後、ストリップを、磁気的に維持された溶融亜鉛を含む鉛直方向チャネルを通過させる。溶融金属の浴は、アルミニウム、マグネシウム又はマンガンの可変の割合を含む亜鉛合金である。分かり易くするために、本願は、亜鉛とアルミニウムの合金の場合だけを説明する。
【0003】
両方の場合において、操作は、鋼ストリップの表面上に、前記ストリップが通過させられる亜鉛とアルミニウムの溶融した混合物の連続的でかつ付着する堆積物を形成することが意図されている。この堆積物の形成の運動学は、当業者に知られており、Giorgi 他、"La Revue de Metallurgie - CIT"における"Modelling of galvanizing reactions"、2004年10月、を含む多くの出版物において網羅されている。この文献は、溶融混合物との接触が鋼ストリップから鉄の溶解を生ぜしめ、これは、第1に、ストリップの表面上に化合物Fe2Al5Znxの約0.1μの化合物層の形成に関与し、第2に、Fe2Al5Znx層が連続的に形成されるまで溶融混合物の浴へ広がる。Fe2Al5Znx層は、最終的な保護的な亜鉛層を支持するために働くのに対し、溶融した鉄は、溶融混合物における"マット"又は"垢"として知られる、鉄Fe、アルミニウムAl、亜鉛Znを含む析出物の形成に寄与する。
【0004】
数ミクロンから数ダースミクロンまでの大きさの粒子であるこれらの析出物は、コーティングされた(めっきされた)ストリップ上に目に見える欠陥を生じ、特に自動車の車体の見える部分に使用するための薄板金のストリップの場合、売買契約取り消しになることがある。したがって、鉄鋼会社は、めっき浴から垢を制限又は排除するための大きな努力を行う。
【0005】
垢形成の減少は、例えばAjersch他、"Numerical simulation of the rate of dross formation in continuous galvanizing bath"等の出版物によって当業者に知られている。溶融亜鉛浴の温度及びアルミニウム濃度に応じて、溶解されることができる鉄の量は、かなり広い範囲で変化する。鉄の濃度が溶解度限界を超えると、規定されたFe−Al−Zn化合物の核生成及び拡大(enlargement)が可能になる。通常の連続しためっき法では、ストリップ上に堆積される溶融混合物を含むコーティング浴は、常に鉄で飽和させられており、ストリップから溶解しかつ溶融混合物内へ広がる鉄の全ては、その場で垢を形成するために即座に利用される。
【0006】
垢を制御するために、又は少なくともコーティングタンクにおける量を減じるための様々な手段のうち、溶融混合物の表面の手作業による垢取りが従来行われてきた。この方法は、オペレータにとって極めて危険であると考えられ、特開2001−064760号公報のように、この作業を機械化及びロボット化する手段が考えられてきた。オーバーフロー、ポンピング又はエジェクションを伴うその他の技術が、コーティングタンクにおいて形成される垢を除去するために考えられてきた。欧州特許第1070765号明細書には、垢が形成されるコーティングタンクに加え、垢が排除されるための補助タンクを有するめっき装置の一連の態様が記載されている。
【0007】
欧州特許第0429351号明細書には、金属ストリップのコーティングゾーンと、溶融亜鉛を含むめっき浴のクレンジングゾーンとの間の溶融混合物の循環を組織化するための方法及び装置が詳細に記載されている。これにより、クレンジングゾーンにおける垢の分離を保証し、次いで、"鉄濃度が溶解度限界に近いか又は溶解度限界よりも低い"溶融混合物をコーティングゾーンへ戻す。しかしながら、存在する物理的原理が適切に説明されるならば、この文献は、当業者がこれらを実行するための、特にどのように熱交換器による冷却及び同じクレンジングゾーンの誘導による加熱を同時に制御するかの詳細を提供していない。また、溶融亜鉛の循環率をどのように決定するかについての詳細もない。
【0008】
本発明の1つの目的は、溶融混合物における鋼ストリップのための溶融めっき装置を提供することであり、この溶融めっき装置において、溶融混合物の循環回路は熱的に最適化される。
【0009】
本発明によるこのような装置は、請求項1の内容によって提案される。
【0010】
したがって、本発明は、連続して移動する圧延された鋼ストリップのための溶融めっき装置を提供し、この溶融めっき装置において、ストリップは、ストリップ上に堆積させられるための金属、例えば亜鉛及びアルミニウムの溶融混合物を含むコーティングタンクにおいて浸漬される。溶融混合物は、前記コーティングタンクと準備装置との間を連続して循環させられ、この準備装置において、溶融混合物の温度が、鉄溶解度限界を低下させるために故意に低下させられ、準備装置の融解ゾーンにおける亜鉛−アルミニウムZn−Al合金を含む少なくとも1つのインゴットの融解を活性化させるように十分に高く、これにより、ストリップに堆積される溶融混合物を補償するように十分な量で、溶融混合物(Zn,Al)の付加的な供給を保証する。さらに、
−準備装置は、溶融混合物のための引渡し手段(又は中央開口を備えた壁としての分離装置)によって接続された第1及び第2のゾーンを有しており、
−溶融混合物の流路は、コーティングタンクから、インゴット融解及び垢定着のための第1のゾーンと、引渡し手段(又は分離装置)とを介して、垢がクレンジングされた溶融混合物を受け取る第2のゾーンへ連続して提供されており、溶融混合物自体は、クレンジングされた溶融混合物のための戻り流路を介してコーティングタンクにおける循環へ戻され、戻り流路は、ループ等によって流路から物理的に別個であり、
熱調整手段が、第1のゾーンからの流れの出口とコーティングタンク内への戻り流の入口との間の熱ループをも提供する溶融混合物の流路に沿って配置されており、出口と入口とは別個である。
【0011】
本発明による装置の連続的な物理的及び熱的なループにより、連続して移動する圧延された鋼ストリップに溶融めっきが有利に実施され、この場合、ストリップは、前記コーティングタンクと準備装置との間を連続して循環させられる溶融亜鉛及びアルミニウム混合物を含むコーティングタンクにおいて浸漬され、準備装置において、溶融混合物の温度は、溶解度限界を低下させるために故意に低下させられる。この目的のために、流路及び戻り流路は、以下のように形成及び管理される:
−コーティングタンクに到達した時の、鋼ストリップの速度及び鋼ストリップの厚さ及び幅に基づき、コーティングタンクの溶融混合物浴における第1の温度で進入する前記ストリップによって供給されるパワーが決定される。作動の熱平衡の制御を可能にするために、コーティング浴の第2の温度が、第1の温度よりも低い予め設定されたレベルに固定される。
−ストリップの速度及び意図されたコーティングの幅及び厚さに基づき、第2の予め設定された温度における消費率を考慮して、消費される溶融混合物の量を維持するためのパワーが決定される。
−2つの前記パワーの間のコンパレータが次いで作動させられ、採用されるべき熱ループにおける2つの決定モードの認識(点a及びb)を確立する:
a)ストリップによって供給されるパワーが、消費される亜鉛の量の融解のために必要なパワーよりも大きいならば、命令ユニットは、2つの前記パワーの間の平衡又は特定の差を支持するために、ストリップ移動速度を減じるための命令に潜在的に関連した、ストリップの温度を減じるための命令を発する。
b)逆の場合、(コーティングタンクにおいて又は損失に関連した)消費される溶融混合物の測定されたレートに関して、準備装置における予熱されたZn−Al合金の連続した融解を保証するために必要とされるエネルギ又はさもなければ消費される混合物を補償するために十分な量において第3の温度へのエネルギが、決定される。
【0012】
これらの熱的条件に応じて、コーティングタンクと準備装置との間の溶融混合物の第2の循環レートを調整する手段が次いで、準備装置における溶融混合物の温度を、全ての場合に第2の温度よりも低い第4の予め設定された値に維持しながら、インゴットの連続した融解のために必要とされるエネルギを、前記準備装置において提供するために、実行される。
【0013】
最後に、温度調整手段は、第1のレートに関して、コーティングタンクにおける近傍の戻り流入口を用いて、意図された熱平衡のために必要とされる付加的なパワーを提供するために、準備装置から出る溶融混合物のための第5の温度を設定することを可能にする。
【0014】
これらの条件において、コーティングタンクにおける、鉄融解レート(単位時間ごとの鉄濃度のレート)を制御及び維持/調整する手段は、溶融混合物の鉄濃度をチェックし、この鉄濃度を全体的に溶解度限界よりも低く維持することを可能にする。
【0015】
本発明は、溶融混合物のための物理的流れ及び戻り流ループの複数の箇所に相前後して、ひいては適切に配置された、パワー、温度、レート(流量及び濃度)を決定、制御又は調整するための手段を有しており、これにより、亜鉛、アルミニウム及び鉄の濃度に関して適切な割合を可能にし、本明細書に記載のように、ループにおける関連した熱分布及び熱平衡を生ぜしめる。
【0016】
本発明による装置の複数の有利な典型的な実施形態が、従来技術の欠点を克服するために説明される。これに関して、特許請求の範囲は、発明の利点を示している。
【0017】
典型的な実施形態は、説明される図を用いて提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】装置の概略的な図である。
【図2】装置の1つの態様の概略的な図である。
【図3】コーティングタンクの概略的な図である。
【図4】第1の実施形態による装置の構成である。
【図5】第2の実施形態による装置の構成である。
【図6】第3の実施形態による装置の構成である。
【図7】第4の実施形態による装置の構成である。
【図8】第5の実施形態による装置の構成である。
【図9】第6の実施形態による装置の構成である。
【0019】
図1は、本発明による装置の概略的な図である。鋼ストリップ1は、めっき炉への連結導管3(コーティングタンク2の上流には示されていない)を介してコーティングタンク2内へ斜めに、理想的には連続的な移動で導入される。ストリップは、ロール4によって鉛直方向に変向され、前記コーティングタンクに含まれた溶融したコーティング混合物5を通過させられる。ストリップは、ストリップの移動を支持する水平方向のロール4によって変向されてよい。チャネル6は、溶融混合物が2つのゾーンを有する準備装置7内へ溢れることを可能にする。第1のゾーン71においては、少なくとも1つのZn−Al合金インゴット8が十分な量で溶融され、コーティングタンクにおいてストリップに堆積される溶融混合物と、不可避な(材料の)損失とを補償する。第2のゾーン72は、溶融混合物の流路方向(FL)で第1のゾーンと連続的に並列されている(コーティングタンクから第1のゾーン、次いで第2のゾーン)。これらの2つのゾーン71,72は、図1に示されたように並置されていて引渡し手段74によって連結された2つの別個のタンクに配置されているか、又は1つのタンクにおいて組み合わされており、この1つのタンクにおいて2つのゾーンは、中央の開口を備えた壁部等の分離装置によって分離されている。
【0020】
熱調整手段は、コーティングタンクから出る溶融混合物のための又はインゴット8溶融ゾーンにおける冷却装置6,62を有しており、前記冷却は、インゴットを溶融するために十分に高い、準備装置の第1のゾーン71における最小温度限界を生じる。チャネル6から出る時、すなわち第1のゾーン71内に進入する時の溶融混合物の冷却の効果により、第1のゾーン71の端壁によって放出流れ方向(FL)で、表面垢81及び底部垢82が形成及び保持される。2つの垢層81及び82の間の溶融混合物を引き出す引渡し手段74は、準備装置の第2のゾーン72への引渡しを可能にし、したがって第2のゾーンは、好適には誘導による加熱手段75によって再熱される、クレンジングされた溶融混合物を受け取る。パイプ9は、第2のゾーン72において溶融混合物を回収し、図1の場合、ポンピング装置10及び戻り流路11の作用により、パイプは、クレンジングされた溶融混合物量でシュート12によってコーティングタンク2に再供給する。装置は、準備装置からの垢の排出を可能にする(第1のゾーン71)。有利には、準備装置の第1のゾーン71は、流路方向FLに対して垂直に配置された複数のインゴット8の間に配置された溶融混合物の部分を隔離する隔壁(図示せず)を有している。これらは、中央の開口を備えた壁部によって実現されてよく、これらにより、底部垢82と表面垢81とをインゴットごとにそのアルミニウム濃度に関して濃縮することができる。
【0021】
インゴットの溶融に関して、準備装置の第1のゾーン71は少なくとも1つのインゴット供給部(8=81,82,...,8n)を有しており、これらのインゴットの濃度は、準備タンクにおける混合物によって必要に応じて異なり(Alt)、第1のゾーンは有利には、インゴットの供給部を有しており、そのうち少なくとも2つのインゴット供給部は異なるアルミニウム濃度を有しており、そのうち少なくとも1つのインゴットは、準備装置における溶融混合物によって必要とされる濃度よりも高い濃度を有している。さらに、準備装置の第1のゾーン71は、理想的には第1のゾーン71における少なくとも1つのインゴットの選択的な浸漬及び除去によって、少なくとも2つのインゴットの溶融の速度を調整するための手段を有している。最後に、準備装置の第1のゾーンは、温度(T)を低下させるための局所的な調整手段6,62を有しており、この調整手段は、必要ならば、第1のゾーン71における少なくとも1つのインゴットの選択的な浸漬及び除去によって理想的に行われる、必要とされる溶融混合物の温度の低下を生ぜしめることを助ける。定義によって、第1の温度(T=T1)はコーティングタンク2に進入するストリップ1の温度を表し、第2の温度(T=T2)はコーティングタンクにおける温度を表し、第3の温度(T=T3)は、準備装置の入口及び第1のゾーン71内の温度を表す。
【0022】
その結果、準備装置71におけるインゴット8の連続的な溶融は、全溶融速度で保証される。したがって、複数のn個のインゴットを溶融した混合物の浴に同時に浸漬すると有利であり、各インゴットは潜在的に異なるアルミニウム濃度を有しており、少なくとも1つのインゴットは、時間の経過とともに可変の濃度プロフィル(又は溶融速度)を決定することができるように、準備装置において必要とされる濃度よりも高いアルミニウム濃度を有している。所要の濃度自体は、コーティングタンクと、ストリップの表面に形成されたFe2Al5Znx化合物層と、準備装置において形成された垢とにおいて測定及び評価されたアルミニウム消費に基づき決定されることができる。有利には、n個のインゴットのそれぞれの溶融速度も個々に制御されることができ、これにより、必要とされる全溶融速度を維持しながら準備装置におけるアルミニウム濃度を所要の濃度に調整する。準備装置におけるインゴットの連続的な溶融は、第2の温度(T2)(コーティングタンクの出口)から第1のゾーン71における第3の予め設定された温度(T3)への溶融混合物の冷却を局所的に生じ、これにより、鉄溶解度限界を低下させ、予め設定された温度における溶解度限界が達せられるまで前記準備装置における垢の局所化された形成を可能にする。したがって、アルミニウム含有量の高い"表面"垢は、好適には、浸漬されたアルミニウム含有量の高いインゴットの近傍で形成し、次いで表面に向かって定着し、亜鉛含有量の高い"底部"垢は、好適には、浸漬されたアルミニウム含有量の低いインゴットの近傍で形成し、底部に向かって定着する。
【0023】
垢の形成の後、予め設定された温度における鉄の溶解度限界と等しい鉄濃度を有するコーティングタンクに進入する溶融混合物の更新速度は、溶解された鉄濃度の増大を、第2の温度における溶解度限界よりも低く保つことを可能にする。
【0024】
このように装置は、以下の作用を特徴とするめっき方法の実施を可能にする。
【0025】
コーティングタンク2は、溶融混合物5と接触した第1の金属製の囲いと、加熱手段が配置されたスペースによって第1の囲いから分離された、耐火材料から成る第2の囲いとを有している。これらの加熱手段は、有利には、均一な熱分布を保証しかつタンク内のホットスポットを回避するために金属囲い上に放射する電気抵抗器である。コーティングタンクを加熱することは、主に、タンク自体によって生ぜしめられる熱損失を補償するためである。これは、必ずしも、説明された実施形態に関連しためっき方法の熱平衡のための一般的な方法に積極的に含まれるものではない。
【0026】
準備装置は、ストリップに堆積された溶融混合物と、補足的な使用に匹敵する不可避な損失とを補償するために、十分な量でのZn−Al合金インゴットの溶融を保証する。第1のゾーン71において、インゴットの制御された溶融は、溶融混合物の温度の制御された低下を伴い、これは、準備装置のみにおける垢の形成の局所化を可能にする。この垢は、溶融混合物がコーティングタンクへ引き渡される前に溶融混合物をクレンジングするために、準備装置において分離される。
【0027】
循環回路は、コーティングタンクと準備装置との間、及び準備装置の構成部分の間で、例えばポンピング及び重力による排出によって、溶融混合物の引渡しを保証する。
【0028】
コーティングタンク2には、前記タンクに向かって移動するストリップの入口と、前記タンクの下流のめっき炉(明瞭にするために示されていない)の出口チャネルとの間の連結を保証するシーリングシステムが設けられている。コーティングタンクを覆う蓋を使用することによって、溶融混合物の表面全体は、コーティングタンクのストリップ入口側においてめっき炉の中性雰囲気によって、また同じタンクのストリップ出口側では準備装置における溶融混合物の表面をも保護するパイプ61によって導入される中性ガスの僅かな過圧によって、酸化から保護されている。
【0029】
準備装置7は2つのタンクを有していてよく、一方のタンクは、インゴットを溶融しかつ垢形成を局所化するためのものであり、他方のタンクは溶融混合物の再熱手段を局所化し、溶融混合物は、弁によって交互に又は一緒に供給されてよいフィルタシュートによって、ポンピング又は重力によって一方のタンクから他方のタンクへ引き渡される。
【0030】
準備装置7は、例えばフィルタ壁部によって分離された第1及び第2のゾーン71,72を有する1つのタンクをも含み、第1のゾーンはインゴットを溶融させかつ垢形成を局所化し、第2のゾーン72は、クレンジングされた溶融混合物を受け取る。この場合、第2のゾーンには加熱手段75、有利には誘導加熱が設けられており、クレンジングされた溶融混合物がコーティングタンクに戻る前に再熱し、これにより、流路の端部において新たな流れ(FL)の開始への戻り流路(RFL)熱ループを提供する。
【0031】
循環回路は、準備装置のクレンジングされたゾーンにおけるダクト9を介して引き込む少なくとも1つの吸上げポンプ10を有しており、戻り流路(RFL)ダクトを通過し、コーティングタンク2における戻りシュート12に直接に供給し、又は溶融した混合物が重力によって戻りシュートを介してコーティングタンクに戻される前に再熱する誘導加熱手段が設けられた付加的なタンクに供給する交換可能なフィルタシュートが設けられている。ポンプの吸上げ高さを減じるために、少なくとも1つのポンプは、有利には、準備装置のクレンジングされたゾーン72と、付加的なタンクとの間において使用されてよく、少なくとも1つの他のポンプが、付加的なタンクと、コーティングタンクのシュートとの間において使用されてよい。これは以下でもさらに説明される。
【0032】
要するに、図1は、連続的に移動する圧延された鋼ストリップ1のための溶融めっき装置の第1の図を示しており、この溶融めっき装置において、ストリップは、前記コーティングタンクと、準備装置7との間を連続的に移動する、ストリップ上に堆積されるべき亜鉛及びアルミニウム等の溶融した金属混合物5を含んだコーティングタンク内に浸漬され、前記準備装置7において、溶融混合物の温度は、鉄溶解度限界を減じるために低下させられ、この温度は、ストリップ上に堆積された溶融混合物を補償するために十分な量で、準備装置の溶融ゾーンにおいて少なくとも1つのZn−Alインゴット8の溶融を活性化するために十分に高い。
【0033】
装置は以下の特徴によって規定される。準備装置7は、2つの別個のタンク又は引渡し手段74又は分離装置によって分離された1つのタンクにおいて第1及び第2のゾーン71,72を有している。溶融混合物の流れは、コーティングタンクから、インゴットを溶融する第1のゾーン71を介して、潜在的には引渡し手段又は分離装置73を介して連続的に提供され、分離装置73は、第1のゾーンにおいて溶融混合物から垢をろ過し、垢がろ過された溶融混合物を、垢がクレンジングされた溶融混合物を受け取る第2のゾーン72へ引き渡すように設計されており、溶融混合物は、クレンジングされた溶融混合物の戻り流路11を介してコーティングタンクにおける循環に戻される。
【0034】
熱調整手段が溶融混合物の流れに沿って配置されており、第2のゾーン72からの流れの出口9と、コーティングタンクにおける戻り流の入口12との間の熱ループを提供している。
【0035】
熱調整手段のうちの1つは、第2のゾーン72においてクレンジングされた溶融混合物のための第1の加熱手段75を含んでいる。有利には、これは、流路と戻り流路との個々の入口及び出口の間のループ状の熱連続性を可能にする。
【0036】
熱調整手段のうちの1つは、コーティングタンクにおける溶融混合物のための第2の加熱手段1を含んでいる。この加熱手段は、少なくともこの加熱手段の温度限界付近のメンテナンス及び調整も、めっき炉から出てコーティングタンク内の溶融混合物の温度よりも高い温度でコーティングタンク内に下降するストリップ自体によって保証又は補足される。第2の加熱手段を構成するこの有利な態様は、したがって、所定の量の溶融混合物を所要の温度にもたらすために必要とされる、溶融混合物5に浸漬されるストリップの原動力を提供することによって、熱伝導によって行われる。コーティングタンクにおける溶融混合物の温度は、移動するストリップを使用した加熱又は温度維持の後、第1のインゴット溶融ゾーン71への入口において、上述の温度低下を生じる。したがって、流路における基本的な熱ループ化段階が有利には提供される。
【0037】
図1によれば、準備装置は、並置された2つの別個のゾーン又はタンク71,72を連結する引渡し手段74を有しており、前記ゾーン又はタンクの間において溶融混合物が引き渡される。引渡し手段74は、ポンプ742又はリンクチャネルを有している。引渡し手段74は実際には、第1のゾーン71の中間高さに配置されたポンプ入口741と、第2のゾーン72におけるポンプ出口743とを備えた吸上げポンプ742を有しており、前記第1及び第2のゾーン71,72は、2つの異なるタンクとして物理的に分離されている。第1のゾーン71におけるポンプ入口741の高さ又はリンクチャネルの高さは有利には、表面垢81のための上部定着ゾーンと、底部垢82のための下部沈降ゾーンとの間、若しくは第1のゾーン71の高さの、中三分の一に配置されている。垢が圧送されないように、ポンプ入口741は、垢が存在しない隙間に配置されていることが重要である。定着及び沈降ゾーンは、徐々に増大する蓄積を形成し、この蓄積は、流路FLでの溶融混合物の与えられた速度の場合、第1のゾーン71において、垢が存在しないポンピングウィンドウが存在することを保証する。
【0038】
図2は、初期コーティングタンクが、第1のストリップ変向区画15(溶融混合物を備えていない)と、磁気浮上によって支持された溶融混合物浴5とに分割された、図1による装置の概略的な図の態様である。原理的に、装置は、溶融混合物浴5が、図1のように準備装置に接続されたコーティングタンク13において磁気浮上によって支持される方法の態様を実行する。浮上効果は、連続的に電磁装置14によって提供される。区画15は、炉と、ロール4によるストリップ1の変向とを連結している。
【0039】
図3は、図1によって記載された態様によるコーティングタンクの概略的な図である。このタイプのタンクは(空であるならば)、ストリップを磁気浮上コーティングタンク内へ導入する手段として、図2によるコーティングタンクのために適応されていてもよい。めっき炉(図示せず)から来る鋼ストリップ1は、溶融混合物5に浸漬された(水平の回転軸線における)ロール4によって鉛直方向上方へ変向される。ロール4による変向の後、鉛直方向に移動するストリップは、次いで、アンチクロスボウロール41と、コーティングタンクの上部開口を通る、通過ラインを決定するロール42とに接触する。コーティングタンクは第1の金属の囲い2から形成されており、第1の金属の囲いの、ストリップが移動するルートと同じ寸法を備える形状は、溶融混合物の体積を減じるように、ひいては例えば毎時100トンに近い能力を備えるポンプを使用する急速な更新を可能にするように、設計されている。有利には、タンクからの低い熱損失を補償するために、これらの2つの囲いの間には加熱抵抗器(図示せず)が設けられている。放出シュート6及び戻りシュート12は、タンクが溶融混合物の循環回路(流路、戻り流路)内に容易に配置されることを可能にする。可動なシーリングシステム31は、タンクの入口が、移動の下流のめっき炉の出口チャネルに連結されることを可能にする。溶融混合物の自由面は、このゾーンにおいて、炉の不活性雰囲気による酸化から保護されている。
【0040】
図4は、第1の実施形態による装置の構成を示している。図1又は図3に示されたような浸漬されたロールを備えるコーティングタンク2又は図2に示されたような磁気浮上を備えるコーティングタンク13は、溶融混合物を準備装置7内へ、特に第1のゾーン71内へ溢れさせる。この準備装置は実際にはここでは、図1に示したように2つのゾーン71及び72に分割されている。準備タンクの第1のゾーン71において、インゴット8の溶融と、垢の局所化された沈殿とが生じる。(沈降による)底部垢の自然分離及び(定着による)表面垢の自然分離によるクレンジングされた溶融混合物は、第2のゾーン72において収集され、この第2のゾーンにおいて誘導装置75によって加熱される。第1のゾーンから第2のゾーンへの引き渡しは、引渡し手段74を用いて(図1に示されたような吸上げポンプ742によって)又は単純な連結チャネルによって行われてよい。この場合、少なくとも1つの吸上げポンプ10は溶融混合物を準備装置のクレンジングされたゾーン72とコーティングタンクのシュート12との間で戻りダクト(戻り流路)を介して循環させる。有利には、2つの吸上げポンプ10が並置されており、第1の吸上げポンプがメンテナンスを必要とするか、又は作動の誤り又は摩耗による故障を発生する場合に、一方が使用され、他方が待機中になる。全ての装置の態様の場合に、表面垢及び底部垢(81,82)は、機械的なスキミング、ポンピング、遠心分離、又は磁気分離によって、準備装置から収集及び放出される。
【0041】
図5は、第2の実施形態による装置の構成を示している。大まかな原理は図4に示された第1の実施形態と同じであり、少なくとも1つの吸上げポンプ10(例えば引渡し手段74のポンプ742、ひいてはポンプ10,742のうちの1つにおいてセーブする)は、溶融混合物を、準備装置の第1のゾーン71の出口から、誘導加熱手段75が設けられかつコーティングタンク2の供給シュート12のすぐ上流に配置された第2のゾーンへ循環させ、供給シュート12は重力によって供給される。この場合、コーティングタンクに向かう戻り流11に向けられた溶融混合物の温度の制御はより効率的である。なぜならば、クレンジングタンクの出口からの戻り流路における熱損失がより精密に補償されるからである(コーティングタンクにおける温度を維持することは、実際には、装置の正確な作動を保証するために重要である)。溶融混合物は、第2のゾーン72における吸上げポンプ出口チャネルから、少なくとも1つのフィルタシュート76、この場合は、交互に使用されるように設計された2つの交換可能なシュートを介して引き渡されてよい。また、この場合、一方のシュートが使用されながら、他方のシュートは待機中である。付加的なシュートが使用されかつ支持されながら、他方の2つのシュートが装置に取り付けられていてもよい。第2のゾーン72においてろ過されかつ再熱された溶融混合物は、戻り流路の最終段階を保証するために、重力を介して、コーティングタンクのシュート12における出口へ再び導入される。
【0042】
図6は、第3の実施形態による装置の構成を示している。大まかな原理は図5に示された第2の実施形態のものと同じであり、溶融混合物は2つの段階において、すなわちまずクレンジングされた溶融混合物を準備装置の第1のゾーン71から第2のゾーン72に圧送し、次いで前記第2のゾーン72からコーティングタンクの供給シュート12へ圧送することによって、引き渡される。図5の第2の実施形態と比べて、この構成により、戻り経路に相前後して配置された2つの吸上げポンプ742,10のそれぞれの吸上げ高さが減じられることができる。第2のゾーン72の出口は第2の吸上げポンプ10の入口に接続されており、第2の吸上げポンプ10の1つの出口はコーティングタンクの供給シュート12に通じている。第1の吸上げポンプ10の出口と、第2のゾーン72の入口との間において、複数のフィルタシュート76が交換可能であることもできる。
【0043】
図7は、図4と同様の第4の実施形態による装置の構成を示しており、準備装置の第1のゾーン71と第2のゾーン72との間における溶融混合物の引渡し手段74が、重力によって、交互に供給されるフィルタシュート76を通じて、例えば一方を使用して他方を待機状態にすることによって、実現されている。フィルタシュートを第2のタンク7bの上方に保持するディストリビュータ77によって、付加的なフィルタシュートが支持されていてよい。フィルタシュート77として働くアームの入口は、上述のように、垢の蓄積が生じない壁の高さに配置されている。このように、引渡し手段74のための吸上げポンプ742の使用が省略されるので有利である。
【0044】
図8は、図1に記載された原理とは異なる構成を示しており、準備装置7は2つのゾーンを有しており、第1のゾーン71においては、少なくとも1つのインゴット8が、コーティングタンクにおいてストリップに堆積される溶融混合物と、不可避な(材料)損失とを補償するために十分な量で溶融され、第2のゾーン72は、溶融混合物の流路方向FLで第1のゾーン71と相前後して並置されている(コーティングタンク、第1のゾーン、第2のゾーンの順である)。これらの2つのゾーン71,72は、示されたように同じタンクにおいて局所化されており、中央部分731において開口又は少なくとも1つの垢フィルタを備えた壁部等の分離装置74,73によって分離されている。第1のゾーン71は、インゴットを溶融し、垢の形成を中央部分731の外側に局在化させ、第2のゾーン72は、中央部分731を通って、クレンジングされた溶融混合物を受け取る。この場合、第2のゾーンには誘導加熱手段75が設けられており、この誘導加熱手段75は、例えば流路の端部において新たな流路の始点への戻り流路熱ループを提供するために、クレンジングされた溶融物が吸上げポンプ10を介してコーティングタンクへ戻る前にこのクレンジングされた溶融物を再熱する。分離装置73の開口にはフィルタキャップが設けられていてよく、このフィルタキャップは、タンクの表面又は底部に定着しない垢を保持するようになっている。フィルタキャップの代わりに、交換可能なフィルタ壁が設けられてもよい。
【0045】
この実施形態は、補助用の再熱タンクと共同で用いられてもよい。この場合、準備装置は、誘導加熱手段を有さず、準備装置と再熱タンクの相対配置は、図4、図5、図6及び図7に示された準備装置の第1及び第2のゾーンの間に設けられたもののうちの1つであってよい。
【0046】
説明及び図面の数を増やしすぎないために、引渡し手段74、又は準備装置の少なくとも延長方向中央部分(図1、図2、図4、図6、図7)に付加的に図8に示したようなフィルタ壁73が設けられてもよく、このフィルタ壁は、例えば第1のゾーン71の第1の部分(インゴット溶融部分)の引渡し手段74のポンプ入口741を隔離するように配置されることが説明される。これは、ポンプ入口が垢によってブロックされないことを保証する。同様に、引渡し手段74は、ポンピング装置の代わりに、図8に示したように、中央開口731を備えた1つの鉛直方向壁73として分離装置を有していてもよい。
【0047】
最後に、図9は、溶融混合物の戻り流路に配置された少なくとも1つの吸上げポンプを必要とする実施形態の全てに関する装置の実施形態を示している(これまでの側面図とは異なり上面図である)。準備装置は、コーティングタンク2,13の出口から来る溶融混合物の少なくとも1つの流路部分FLを有している。この流路部分FLは、コーティングタンクにおける入口C2を介して、溶融混合物の戻り流路RFLと並置されている。言い換えれば、この上面図において流路と戻り流路とは互いに平行であるか、又は少なくともこれらは、コーティングタンクから出てコーティングタンクに再び接続する180度方向転換を備えたチャネルを形成している。理想的には、これまでの図面に記載されたゾーンの定義によれば、流路部分は第1のゾーン71に、戻り流路の部分は第2のゾーン72に設けられている。したがって、この構成により、クレンジングタンクとして第2のゾーン72を使用する戻り流路を構成することができる。したがって、戻り流管路11はもはや不要である。この実施形態もまた、吸上げポンプを用いずに構成することができるので有利である。ポンプから延びる管による戻り流熱損失が回避されるので、熱ループも単純化される。
【0048】
この例においては、流路部分及び戻り流路部分は、コーティングタンクとは反対側の端部を有しており、これらの端部は、溶融混合物の流れ方向の変更を保証するために少なくとも1つのリンクCR(この場合はチャネル)によって接続されている。しかしながら、リンクチャネルは、別の形態、例えば流路の出口と戻り流路の入口とを延長するハーフリングを有するか、又は流路及び戻り流路の2つの共通の側部の間の中央開口であってよい。つまり、図8に示されたような分離装置73は、溶融混合物の流れ方向でリンクチャネルの上流に配置されている。2つの並置されたタンク71,72が並置されている場合、フィルタ壁が設けられた2つのタンクの間の側部開口は、それ自体で十分にリンクチャネルの役割を満たす。
【0049】
コーティングタンクからの及びコーティングタンクへのループ循環を容易にするために、特に水平の循環流路及び戻り流路を用いる場合、戻り流路部分は、特に第2のクレンジングゾーン72に配置された、コーティングタンクにおける出口に近い少なくとも1つのデリバリポンプ(PUMP)を有していてよい。その他のデリバリポンプ(吸上げポンプではない)も、溶融混合物5のための完全な循環ループにおいて必要とされるように配置されてよい。流路部分、リンクチャネル及び/又は戻り流路部分は、コーティングタンクの出口C1の後に重力の作用により一方向の排出を容易にするために少なくとも1つの下降斜面を有する排出セクションを有することもできる。吸上げポンプ及び重力排出装置は、混合物が管を詰まらせる危険性を回避する。図9に示されたように同じ高さでの排出のために、管を加熱するオプションを提供することが望ましい。
【0050】
最後に、本発明による全ての実施形態によれば、溶融混合物の1つ又は2つ以上の要素、例えばアルミニウムの温度及び濃度を測定するための、理想的には連続して作動可能な手段が、少なくとも流路においてコーティングタンクの入口から準備装置の出口まで提供され、
溶融混合物レベルを測定するための、理想的には連続して作動可能な手段が、準備装置に配置され、
溶融混合物のレート及び温度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が、流路の少なくとも1つの箇所に配置され、
コーティングタンクに接続されためっき炉から出るストリップの温度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が、コーティングタンク及び/又はコーティングタンクの入口の下流に配置され、
ストリップの移動速度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が、熱ループにおいて考慮され、
コーティングタンクの下流のストリップの幅及び厚さを測定するための、理想的には連続して作動可能な手段も、熱ループにおいて考慮され、
準備装置の溶融ゾーンにおけるインゴットのための挿入原動力(insertion dynamic)を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が、好適には準備装置の第1のゾーン71の上方に配置され、
コーティングタンク及び準備装置における、ダイナミックパラメータ測定制御ユニット及びストリップに関連したパラメータのための調整ユニットが、測定及び調整(又はメンテナンス)手段に接続される。特に、調整ユニットは、予測パラメータ命令、実時間制御システム及び/又は自己学習プロセスを含んでよい。さらに、調整ユニットは、例えば、合金元素、例えばアルミニウムの濃度、温度変化、移動するストリップの特性の変化等のための新たな測定値の結果としてパラメータの再調整を行う場合に、手動調整又はオーバーライド調整を可能にするために、調整ユニットに平行した外部命令インプットを有してよい。
【符号の説明】
【0051】
1 鋼ストリップ、 2 コーティングタンク、 3 めっき炉、 4 ロール、 5 コーティング混合物、 6 チャネル、 7 準備装置、 8 インゴット、 9 ダクト、 10 ポンピング装置、 11 戻り流路、 12 シュート、 41 アンチクロスボウロール、 31 可動なシーリングシステム、 42 ロール、 61 パイプ、 62 冷却装置、 71,72 ゾーン、 73 分離装置、 74 引渡し手段、 75 加熱手段、 76 フィルタシュート、 77 ディストリビュータ、 81 表面垢、 82 底部垢、 741 ポンプ入口、 742 ポンプ、 743 ポンプ出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して移動する圧延された鋼ストリップ(1)のための溶融めっき装置であって、前記鋼ストリップが、該鋼ストリップ上に堆積される亜鉛(Zn)及びアルミニウム(Al)等の金属の溶融混合物(5)を含んだコーティングタンク(2)において浸漬させられるようになっており、前記溶融混合物が、前記コーティングタンクと準備装置(7)との間を連続して循環させられるようになっており、該準備装置において、前記溶融混合物の温度が、鉄溶解度限界を減じるために低下させられかつ少なくとも1つの金属インゴット(8)の溶融を活性化させるために十分に高く、ストリップ上に堆積した溶融混合物を補償するために十分な量で、準備装置の1つの前記溶融ゾーンにおいて溶融混合物(Zn,Al)の付加的な供給を提供するようになっており、
前記準備装置(7)が、溶融混合物の引渡し手段(74)によって接続された第1及び第2のゾーン(71,72)を有しており、
溶融混合物の流れが連続して、コーティングタンクから、インゴットを溶融させかつ垢(81,82)を定着させる第1のゾーン(71)と、引渡し手段(74)とを介して、垢がクレンジングされた溶融混合物を受け取る第2のゾーン(72)まで提供され、溶融混合物は、クレンジングされた溶融混合物の戻り流路(11)を介してコーティングタンクにおける循環へ戻されるようになっており、
熱調整手段が溶融混合物の流れに沿って配置されており、前記熱調整手段が、第2のゾーン(72)からの流れの出口(9)と、コーティングタンクへの戻り流(11)の入口(12)との間に熱ループを提供するようになっていることを特徴とする、溶融めっき装置。
【請求項2】
熱調整手段のうちの1つが、第2のゾーン(72)における、クレンジングされた溶融混合物のための第1の加熱手段(75)を含む、請求項1記載の溶融めっき装置。
【請求項3】
熱調整手段のうちの1つが、コーティングタンクにおける溶融混合物のための第2の加熱手段を含む、請求項1又は2記載の溶融めっき装置。
【請求項4】
第2の加熱手段が、所定の量の溶融混合物を所要の温度(T2)にもたらすために必要とされる、溶融混合物(5)に浸漬されるストリップ(1)の原動力を供給することによって、発熱により行われる、請求項3記載の溶融めっき装置。
【請求項5】
熱調整手段のうちの1つが、コーティングタンクから出る溶融混合物又はインゴット(8)の溶融ゾーンにおける溶融混合物のための冷却装置(62)を有しており、前記冷却が、インゴットの溶融のために十分に高い、準備装置の第1のゾーン(71)における最小温度限界を生ぜしめる、請求項1から4までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項6】
準備装置の第1のゾーン(71)が、インゴット(8=81,82,...,8n)の少なくとも1つの供給部を有しており、インゴットの濃度が、準備タンクにおける混合物によって必要に応じて異なる(Alt)、請求項1から5までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項7】
準備装置の第1のゾーン(71)が、インゴット(8=81,82,...,8n)の複数の供給部を有しており、そのうちの少なくとも2つのインゴットが異なるアルミニウム濃度を有しており、そのうちの少なくとも1つのインゴットが、準備装置における溶融混合物によって必要とされる濃度(Alt)よりも高い濃度を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項8】
準備装置の第1のゾーン(71)が、理想的には第1のゾーン(71)における少なくとも1つのインゴットの選択的な浸漬及び除去によって、インゴット(8=81,82,...,8n)のうちの少なくとも2つの溶融の全体的な速度を調整するための手段を有している、請求項6又は7記載の溶融めっき装置。
【請求項9】
準備装置の第1のゾーン(71)が、理想的には第1のゾーン(71)における少なくとも1つのインゴットの選択的な浸漬及び除去によって、インゴットが溶融される溶融混合物の予め設定された温度低下(T2,T3)を調整するための手段を有している、請求項5から8までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項10】
準備装置の第1のゾーン(71)が、インゴットの間に配置された溶融混合物の部分を隔離する隔壁を有している、請求項5から9までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項11】
コーティングタンクが、磁気浮上によって支持された溶融混合物浴を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項12】
戻り流(11)が、少なくとも1つの吸上げポンプ(742)を有しており、該吸上げポンプが準備装置から引き出しかつコーティングタンクのシュート(12)に供給し、前記吸上げポンプが、垢が存在しない隙間に配置されたポンプ入口(741)を有する、請求項1から11記載の溶融めっき装置。
【請求項13】
吸上げポンプ(742)が、溶融混合物(11)の戻り流に接続された吸上げポンプ(10)である、請求項12記載の溶融めっき装置。
【請求項14】
引渡し手段(74)が、第1のゾーン(71)の中央高さに配置されたポンプ入口(741)と、第2のゾーン(72)におけるポンプ出口(743)とを備えた吸上げポンプ(742)を含み、前記第1及び第2のゾーン(71,72)が、2つの異なるタンクとして物理的に分離されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項15】
前記引渡し手段(74)が、中央開口(731)を備えた鉛直方向壁(73)としての分離装置を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項16】
コーティングタンクの供給シュート(12)と吸上げポンプ(10)の出口との間に少なくとも1つのフィルタシュート(76)が配置されている、請求項12から15までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項17】
準備装置の第2のゾーン(72)が、フィルタシュート(76)と、コーティングタンクの供給シュート(12)との間に配置されており、前記第2のゾーンが加熱手段(75)を有している、請求項16記載の溶融めっき装置。
【請求項18】
準備装置の第2のゾーン(72)がコーティングタンクの近傍に配置されている、請求項17記載の溶融めっき装置。
【請求項19】
準備装置の第2のゾーン(72)が、準備装置の第1のゾーン(71)の出口の近傍に配置されている、請求項17記載の溶融めっき装置。
【請求項20】
準備装置の第2のゾーン(72)の出口が、吸上げポンプ(10)に接続されており、該吸上げポンプの出口が、コーティングタンクの供給シュート(12)に通じている、請求項12から19までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項21】
準備装置の第1のゾーン(71)及び第2のゾーン(72)が、それぞれ異なる高さに配置されており、流れ方向でフィルタドレーン(77)によって接続されており、この方向で、インゴットが第1のゾーン(71)において溶融される、請求項1から20までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項22】
流れ方向で、第2のゾーン(71)が加熱手段(75)を有している、請求項21記載の溶融めっき装置。
【請求項23】
準備装置が、コーティングタンクにおける入口(C2)を介して溶融混合物の戻り流路(RFL)部分と並置されたコーティングタンク(2,13)の出口(C1)から、溶融混合物の少なくとも1つの流路部分(FL)を有している、請求項1から22までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項24】
流路部分及び戻り流路部分が、溶融混合物の流れ方向の変更を保証するために少なくとも1つのリンク手段(CR)によって接続されたコーティングタンクとは反対側の端部を有している、請求項23記載の溶融めっき装置。
【請求項25】
戻り流路部分が、特に第2のクレンジングゾーン(72)に配置された、コーティングタンクにおける出口の近傍における少なくとも1つのデリバリポンプ(PUMP)を有している、請求項23又は24記載の溶融めっき装置。
【請求項26】
流路部分が第1のゾーン(71)に位置し、戻り流路が第2のゾーン(72)に位置している、請求項23又は24記載の溶融めっき装置。
【請求項27】
流路部分、リンク手段及び/又は戻り流路部分が、少なくとも1つの下降傾斜を有する排出区分を有している、請求項23から26までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項28】
前記分離装置(73)が、溶融混合物の流れ方向でリンクの上流に配置されている、請求項23から27までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項29】
前記引渡し手段(74)が、フィルタ壁を有している、請求項1から28までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項30】
コーティングタンクにおける入口から準備装置の出口までの少なくとも流路において溶融混合物の温度及びアルミニウム濃度を測定するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から29までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項31】
準備装置において溶融混合物のレベルを測定するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から30までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項32】
溶融混合物の速度及び温度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から31までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項33】
コーティングタンクに接続されためっき炉から出るストリップの温度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から32までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項34】
ストリップの移動速度を維持及び調整するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から33までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項35】
コーティングタンクの下流におけるストリップの幅及び厚さを測定するための、理想的には連続して作動可能な手段が設けられている、請求項1から34までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項36】
準備装置の溶融ゾーンにおけるインゴットのための挿入原動力を維持及び調整するための、理想的には連続して動作可能な手段が設けられている、請求項1から35までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項37】
コーティングタンク及び準備装置において、ダイナミックパラメータ測定制御ユニット(UC)及びストリップに関連したパラメータのための調整ユニット(UR)が設けられている、請求項1から36までのいずれか1項記載の溶融めっき装置。
【請求項38】
前記調整ユニット(UR)が、予測パラメータ命令、実時間制御システム及び/又は自己学習プロセスを含んでいる、請求項37記載の溶融めっき装置。
【請求項39】
前記調整ユニット(UR)が、該調整ユニット(UR)に対して平行な外部命令入力を有している、請求項37又は38記載の溶融めっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−511166(P2011−511166A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545518(P2010−545518)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000164
【国際公開番号】WO2009/098363
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【Fターム(参考)】