説明

鋼製束

【課題】木造建築物の大引(横架材)を安定して支持でき、大引の木痩せに伴う再調整を不要するか又はその再調整を容易にする鋼製束を提供する。
【解決手段】鋼製束は、基礎(A)上の基盤(2)から延び、大引(B)の縦孔(C)内に嵌入される上端部(10a)を有した伸縮可能な支柱(6)と、支柱(6)の上端部(10a)に形成された環状溝(14)と、大引(B)の横孔(D)に打ち込まれ、環状溝(14)に嵌合されるドリフトピン(18)とを備え、ドリフトピン(18)及び環状溝(14)は互いに協働して大引(B)を支持する荷重受け部を形成し、支柱(6)の上端部(10a)は支柱(6)の径方向に関して大引(B)を拘束する拘束部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
木造建築物の基礎とその横架材としての大引との間に配置され、大引を支持する鋼製束に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の鋼製束は、基礎上に固定される基盤と大引の受枠との間にターンバックル型の支柱を備え、基礎からの受枠の高さをターンバックル型支柱の回転操作により調整可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-152615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の鋼製束が適用される大引は鋼製であるため、経年変化によるサイズの変動はないと考えられるものの、木造建築物の場合、その大引は木製であるために経年変化による木痩せを避けることが出来ない。
大引が木痩せすれば、大引と受枠との間に隙間が生じ、大引の安定した支持は不能となる。このような状況に至ると、受枠の高さ位置を再調整する必要があるが、この再調整には大引と受枠との間の締結を解除する一方、その再締結が必要となる等、その再調整は容易ではない。
【0005】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは木造建築物の横架材を安定して支持でき、しかも、その木痩せに対する再調整を不要にするか、又は、再調整を容易に行うことができる鋼製束を提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、木造建築物の基礎と横架材との間に配置され、横架材を支持する鋼製束において、基礎上に固定される基盤と、この基盤と横架材との間に設けられる支持体とを備え、この支持体は、横架材に形成した縦孔に挿入される上端部と、横架材の荷重を支持し且つ基盤からの高さが調整可能な荷重受け部と、前記上端部に設けられ、その径方向に横架材を拘束する拘束部と含んでいる(請求項1)。
【0007】
上述の鋼製束によれば、支持体は荷重受け部及び拘束部のそれぞれにて横架部材を支持する。拘束部は横架材の縦孔に配置されているので、横架材の木痩せに伴い、荷重受け部の高さが再調整されても、この再調整が拘束部に何ら影響を及ぼすことはない。
具体的には、支持体は、基盤から立設され、上下に伸縮可能で且つ縦孔に嵌入されることで拘束部として機能する上端部を有した支柱と、この上端部の外周面に形成された環状溝と、横架材に形成した横孔に挿入され、環状溝に嵌合されるピン部材とを更に含み、このピン部材が荷重受け部として機能する(請求項2)。
【0008】
この場合、ピン部材が横架材内に配置されているので、横架材に木痩せが生じても、この木痩せに起因する荷重受け部、即ち、ピン部材の高さ位置の再調整は不要となる。
なお、環状溝は複数設けられていてもよいし(請求項3)、螺旋溝であってもよい(請求項4)。
一方、支持体は、基盤から立設され、上下に伸縮可能で且つ縦孔に遊嵌される上端部を有した支柱と、この支柱に荷重受け部として設けられ、横架材をその下面にて支持し且つ支柱に沿って上下動可能な受け台と、上端部に拘束部として設けられ、上端部よりも大径の拘束リング部材とを含んでいるか(請求項5)、又は、支持体は、基盤から立設され、縦孔に遊嵌される上端部を有した支柱と、この支柱に荷重受け部として設けられ、横架材をその下面にて支持し且つ支柱に沿って上下動可能な受け台と、上端部に拘束部として設けられ、上端部よりも大径の拘束リング部材とを含んでいる(請求項6)。
【0009】
請求項5又は6の鋼製束によれば、横架材に木痩せが生じた場合、受け台を支柱に沿って上昇させることで、受け台の高さ位置が再調整されるが、この再調整は横架材と拘束リング部材との間に何ら影響を及ぼさない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜6の鋼製束は、横架材を支持体の荷重受け部及び拘束部のそれぞれにて支持するから、横架材の安定した支持を可能とし、一方、横架材の木痩せに伴う荷重受け部の再調整は不要であるか、又は、再調整が必要であっても、再調整は横架材と拘束部との間に影響を及ぼさないので、その再調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施例の鋼製束の側面図である。
【図2】図1の鋼製束の断面図である。
【図3】第2実施例の鋼製束を一部断面して示す側面図である。
【図4】第3実施例の鋼製束の一部を示す側面図である。
【図5】第4実施例の鋼製束の一部を示す側面図である。
【図6】第5実施例の鋼製束の一部を部分的に破断して示す側面図である。
【図7】図6のナット部材の断面及び側面を半々ずつ示す図である。
【図8】図6の座金を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図9】図6の荷重受け台材の断面及び側面を半々ずつ示す図である。
【図10】第6実施例の鋼製束を一部破断して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示す第1実施例の鋼製束は、木造建築物、具体的には木造家屋のコンクリート製の基礎Aと木造家屋の間に配置され、基礎Aに対して大引Bを支持するために使用される。
鋼製束は例えば円形の基盤2を備え、この基盤2は基礎A上に固定可能となっている。具体的には、基盤2はその外周部に複数の孔4を有し、これら孔4を通じてアンカーボルト(図示しない)が基礎Aに打ち込まれることで、基盤2は基礎A上に固定される。
【0013】
基盤2からは支柱6が立設され、この支柱6は上下に伸縮可能であり、その上端部が大引Bの縦孔Cに下方から嵌入されている。なお、縦孔Cは大引Bに予め形成され、大引Bを上下方向に貫通している。
詳しくは、支柱6は基盤2から上方に向け、所定の長さに亘って延びる螺子ロッド8と、この螺子ロッド8を囲繞する中空パイプ10とからなり、この中空パイプ10はその下端にて角ナット12を介して螺子ロッド8に螺合されている。角ナット12は中空パイプ10の下端に溶接され、また、図1,2から明らかなように中空パイプ10の下端部はテーパ部を介して縮径されている。
【0014】
上述した支柱6によれば、角ナット12とともに中空パイプ10を回転させれば、中空パイプ10は螺子ロッド8に沿って上下動し、支柱6の上端部の高さ位置を大引Bの設置高さに応じて調整することができる。
本実施例の場合、支柱6、即ち、中空パイプ10の上端部10aは縦孔Cの内径にほぼ等しい外径を有する。それ故、上端部10aが縦孔C内に挿入されたとき、その外周面は縦孔Cの内周面に密着することから、上端部10a自体はその径方向に大引Bを拘束する拘束部として機能する。
【0015】
更に、縦孔C内に位置付けられる中空パイプ10の上端部10aには例えば2つの環状溝14a,14bが形成されている。これら環状溝14a,14bは断面円弧形状をなし、中空パイプ10の軸線方向に所定の間隔を存して互いに離間している。
一方、大引Bには縦孔Cとは別に横孔Dが形成されており、この横孔Dは大引Bをその幅方向、即ち、水平方向に貫通し、縦孔Cと部分的にオーパラップしている。詳しくは、横孔Dのオーパラップ部分は環状溝14a,14bの円弧サイズに相当し、そして、横孔Dは大引Bの高さ寸法でみて、その中央に位置付けられている。即ち、横孔Dは円弧形状の曲率半径と同一の半径を有する。
【0016】
それ故、図1,2から明らかなように支柱6における上端部の高さ位置は横孔Dに対し、環状溝14a,14bの何れかが合致するように調整される。図1,2に示した例では、横孔Dに下側の環状溝14bが合致された状態にある。
そして、この状態にて、横孔Dにはピン部材、所謂、ドリフトピン18が挿通されており、このドリフトピン18は環状溝14bに嵌合され、大引Bの荷重を受ける荷重受け部として機能する。
【0017】
なお、図2中に2点鎖線で示されているように、横孔Dに上側の環状溝14が合致された場合には、この環状溝14にドリフトピン18が嵌合されることになる。
また、横孔Dに対する環状溝14a,14bの位置決めを容易にするため、中空パイプ10における上端部の外周面にマーク19a,19bが形成されていれば、これらマーク19a,19bの一方と大引Bの下面とを合わせることで、横孔Dに対して環状溝14a又は14bを位置決をなすことができる。
【0018】
上述した第1実施例の鋼製束は、大引Bの荷重をドリフトピン18にて支持する一方、その水平方向の変位を支持柱6の上端部にて拘束していることから、大引Bを安定して支持することができる。
そして、大引Bが経年変化により木痩せしたとしても、ドリフトピン18は大引Bの高さ方向でみて、その中央に配置されていることから、木痩せの影響を受けることが無く、第1実施例の鋼製束はドリフトピン18を介して長期に亘り安定して、大引Bの荷重を支持することができる。
【0019】
また、第1実施例の鋼製束は、大引B内に支柱6を挿入する一方、ドリフトピン18の打込むだけで、支柱6に大引Bを支持可能であるから、鋼製束の施工が容易になるばかりでなく、その施工精度を向上させることできる。
更に、第1実施例の鋼製束は、大引Bの支持構造が外部に露出していないので、見栄えにも優れている。
【0020】
本発明は第1実施例の鋼製束に制約されるものではなく、種々の変形が可能であり、他の実施例を以下に説明する。なお、他の実施例を説明するにあたり、既に説明した実施例の構成部材や部位と同一の機能を発揮する部材及び部位には同一の参照符号を付して、それらの説明を省略する。
図3は第2実施例の鋼製束を示す。
【0021】
第2実施例の場合、支柱6は、その下側部分が中空パイプ20からなり、この中空パイプ20が基盤2から立設されている。中空パイプ20の上端部は縮径され、その内周面が雌ねじ部22として形成されている。そして、中空パイプの上端からは上方に向けて螺子ロッド24が同軸にして延びている。この螺子ロッド24はその下部が雄ねじ部26として形成され、この雄ねじ部26は雌ねじ部22に螺合され、所定の長さに亘って延びている。
【0022】
雄ねじ部26の上部は大引Bの縦孔C内に嵌入可能な外径を有し、その上端に環状溝14が形成されている一方、その下端にフランジ28が形成されている。このフランジ28は螺子ロッド24(雄ねじ部26)の上部よりも大径であり、第1実施例のマーク19と同様な機能を発揮する。
更に、螺子ロッド24のフランジ28と雄ねじ部26との間は角形部30に形成されている一方、フランジ28と環状溝14との間には螺子ロッド24の軽量化を図る中間部32として形成されている。例えば、中間部32はその横断面が十字形状をなしている。
【0023】
上述した第2実施例の鋼製束によれば、螺子ロッド24の角形部30をレンチ等の工具で掴み、螺子ロッド24をその軸線回りに回転させれば、中空パイプ20に対して螺子ロッド24が上下動し、その環状溝14を大引Bの横孔Dに対して位置決めすることができる。
また、第2実施例の場合、環状溝14は中空パイプではなく螺子ロッド24、即ち、ロッド部材に形成されていることから、第1実施例の場合に比べて環状溝14を容易に形成することができる。
【0024】
図4は第3実施例の鋼製束の一部、即ち、螺子ロッド24に対応する螺子ロッド34を示す。この螺子ロッド34はその上端部に3個の環状溝14を有し、これら環状溝14は螺子ロッド34の軸線方向に互いに隣接して配置されている。第3実施例の場合、ドリフトピンDは3個の環状溝14の何れかに嵌合されてもよいし、また、環状溝14の全てにドリフトピンDが嵌合されてもよい。
【0025】
図5は第4実施例の鋼製束の一部、即ち、螺子ロッド34に対応する螺子ロッド36の一部を示す。この螺子ロッド36は3個の環状溝14に代えて螺旋溝38を有する。このような螺旋溝38は、大引Bの横孔Dに対する位置決めを容易にするばかりでなく、ドリフトピンDの打込み後、螺子ロッド36を回転させれば、その螺旋溝38をドリフトピンDに押し付けるができ、これらドリフトピンDと螺子ロッド36との結合を強固にすることができる。
【0026】
更に、螺旋溝38は螺子であってもよく、この場合には、大引Bにおける縦孔Cの内面に螺子を噛み込ますことも可能となる。
図6は第5実施例の鋼製束を示す。
第5実施例の場合、支柱6は下部の中空パイプ40と、上部の螺子ロッド42からなっているが、中空パイプ40はその上端部に雌ねじ部を有しておらず、この雌ねじ部の代わりにナット部材44を有している。図7から明らかなようにナット部材44はその上端にフランジを有し、このフランジが中空パイプ40の上端に当接するまで中空パイプ40に嵌合されている。そして、これら中空パイプ40及びナット部材44は中空パイプ40の上端をかしめることで、互いに一体的に結合されている。
【0027】
螺子ロッド42はその下部に左螺子部46を有し、この左螺子部46がナット部材44に螺合されている。左螺子部46には締結ナット48が螺合され、この締結ナット48は座金50を介してナット部材44のフランジに押し付けられている。なお、座金50は図8から明らかなように円形のスプリングワッシャである。
なお、左螺子部46は螺子ロッド42の下端から所定の長さL1に亘って形成されており、図6に示す状態にあるとき、締付けナット48は左螺子部46の上端に位置付けられている。
【0028】
一方、螺子ロッド42はその上端部に右螺子部52を有し、この右螺子部52は左螺子部46との間に所定の間隔を存し、且つ、螺子ロッド42の上端に至るまで形成されている。なお、図6中、参照符号L2は右螺子部52の領域を示す。
図6から明らかなように螺子ロッド42の上端部、即ち、右螺子部52の外径は大引Bの縦孔Cの内径よりも細く、それ故、右螺子部52が縦孔C内に挿入されたとき、右螺子部52と縦孔Cの内周面との間には所定の環状ギャップが確保される。
【0029】
右螺子部52の下端には角ナット54が螺合され、この角ナット54は螺子ロッド42に溶接等により一体的に結合されている。それ故、螺子ロッド42は角ナット54を介して、その軸線回りに回転でき、角ナット54は前述した実施例の角ナット12や角形部30と同様な機能を発揮する。
第5実施例の場合、前述した環状溝14又は螺旋溝(螺子)38とドリフトピンDとの組み合わせに代えて、荷重受け台56が使用されている。この荷重受け台56は例えば大引Bのサイズに応じた矩形の板材からなり、その中央には右螺子部52を貫通させる中央孔を有する一方、その上面に中央孔と同軸にして昇降ナット58が配置され、この昇降ナット58は溶接等により荷重受け台56に一体的に結合されている。図6から明らかなように昇降ナット58は右螺子部52に螺合され、その外径は縦孔Cの内径にほぼ一致している。
【0030】
従って、螺子ロッド42の回転が停止された状態で、荷重受け台56が昇降ナット58を介して回転されると、荷重受け台56は右螺子部52の軸線に沿って昇降する。一方、荷重受け台56の回転が停止された状態で、螺子ロッド42が回転されても、荷重受け台56は右螺子部52の軸線に沿って昇降し、この際、螺子ロッド42は中空パイプ40に対して伸縮する方向に上下動する。
【0031】
それ故、図6に示されているように、大引Bをその下面にて支持すべく荷重受け台56の高さ調整を行うことができ、この際、昇降ナット58は大引Bの縦孔C内に配置される。
詳しくは、図9に誇張して示されているように荷重受け台56は平坦ではなく、その左右の外周縁が所定の距離dだけ下降された扁平な台形の形状をなし、そして、左右の外周縁部には複数の貫通孔60がそれぞれ形成されている。これら貫通孔60には図6中、2点鎖線で示す固定釘62が下方から挿通され、これら固定釘62は荷重受け台56を大引Bの下面に固定する。
【0032】
更に、右螺子部52にはその上端と、この上端と昇降ナット58との間のそれぞれに拘束リング部材として拘束ナット64が螺合されている。これら拘束ナット64は昇降ナット58と同様に縦孔Cの内径にほぼ等しい外径を有し、右螺子部52に対して溶接等により固定されている。それ故、拘束ナット64は、螺子ロッド42、即ち、支柱6の径方向への大引Bの変位を拘束する拘束部として機能する。また、昇降ナット58が縦孔C内に配置されているときには、昇降ナット58もまた拘束部として機能することは言うまでもない。
【0033】
上述した第5実施例の鋼製束もまた、荷重受け台56及び拘束ナット64の2カ所にて大引Bを支持するから、大引Bの安定した支持を可能とする。そして、大引Bに木痩せが生じた場合、固定釘62は大引Bに荷重受け台56は回転不能に固定しているので、角ナット54を介して螺子ロッド42をその軸線回りに回転させることで、荷重受け台56を木痩せ分だけ上昇させることができ、荷重受け台56の高さ位置を容易に再調整することができる。なお、再調整の後、固定釘62が更に打ち込まれることは言うまでもない。
【0034】
また、荷重受け台56の再調整の際、拘束ナット64は螺子ロッド42とともに縦孔C内を上昇するだけであるので、その拘束機能に何ら影響を受けるものではない。
図10は第6実施例の鋼製束を示す。
第6実施例の場合、支柱6は1本の螺子ロッド66からなっており、この螺子ロッド66はその上端部が大引Bの縦孔C内に遊嵌される螺子部68として形成されている。この螺子部68には角形の座付きナット70が螺合され、この座付きナット70は螺子部68の軸線に沿って昇降可能である。
【0035】
そして、座付きナット70上には受けシート72が配置されており、この受けシート72は座付きナット70の外径よりも十分に大きな外径を有し、その中央にはスライドスリーブ74を一体に有する。このスライドスリーブ74は受けシート72から上方に延び、螺子部68を挿通させているとともに大引Bの縦孔C内に嵌合可能な外径を有する。従って、第6実施例の鋼製束が図10に示す施工状態にあるとき、受けシート72はスライドスリーブ74が縦孔C内に嵌合された状態で、大引Bの下面と座付きナット70の座との間に挟み込まれた状態にあり、大引Bの荷重は受けシート72を介して座付きナット70に支持されている。
【0036】
更に、座付きナット70の座及び受けシート72は下方からカバー76により覆われており、このカバー76は複数の固定釘78を介して大引Bに固定されている。
更にまた、螺子ロッド66の上端には拘束リング部材として円筒状の拘束キャップ80が装着されている。この拘束キャップ80は螺子部68と縦孔Cの内周面との間のギャップを埋める拘束部として機能する。
【0037】
上述した第6実施例の鋼製束にあっても、大引Bを座付きナット70と拘束キャップ80との2カ所にて支持しているから、大引Bを安定して支持することができる。そして、大引Bに木痩せが生じても、この木痩せの分だけ座付きナット70を受けシート72ともに螺子部68の軸線に沿って上昇させることで、これら座付きナット70及び受けシート72の高さ位置を再調整することができる。この際、受けシート72のスライドスリーブ74は螺子部68の外周面に沿って円滑に滑ることができ、その再調整を容易に行うことができる。
【0038】
また、第5実施例の場合と同様にスライドスリーブ74もまた拘束キャップ80と同様に拘束部の機能を発揮することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
2 基盤
6 支柱
14 環状溝
18 ドリフトピン(ピン部材)
38 螺旋溝
56 荷重受け台(受け台)
64 拘束ナット(拘束リング部材)
70 座付きナット(受け台)
72 受けシート(受け台)
80 拘束キャップ
A 基礎
B 大引(横架部材)
C 縦孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建築物の基礎と横架材との間に配置され、前記横架材を支持する鋼製束において、
前記基礎上に固定される基盤と、
前記基盤と前記横架材との間に設けられる支持体と
を備え、
前記支持体は、
前記横架材に形成した縦孔に挿入される上端部と、
前記横架材の荷重を支持し且つ前記基盤からの高さが調整可能な荷重受け部と、
前記上端部に設けられ、その径方向に前記横架材を拘束する拘束部と
を含むことを特徴とする鋼製束。
【請求項2】
前記支持体は、
前記基盤から立設され、上下に伸縮可能で且つ前記縦孔に嵌入されることで前記拘束部として機能する前記上端部を有した支柱と、
前記上端部の外周面に形成された環状溝と、
前記横架材に形成した横孔に挿入され、前記環状溝に嵌合されるピン部材とを更に含み、
前記ピン部材が前記荷重受け部として機能することを特徴とする請求項1に記載の鋼製束。
【請求項3】
前記環状溝は複数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鋼製束。
【請求項4】
前記環状溝は螺旋溝であることを特徴とする請求項2に記載の鋼製束。
【請求項5】
前記支持体は、
前記基盤から立設され、上下に伸縮可能で且つ前記縦孔に遊嵌される前記上端部を有した支柱と、
前記支柱に前記荷重受け部として設けられ、前記横架材をその下面にて支持し且つ前記支柱に沿って上下動可能な受け台と、
前記上端部に前記拘束部として設けられ、前記上端部よりも大径の拘束リング部材と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼製束。
【請求項6】
前記支持体は、
前記基盤から立設され、前記縦孔に遊嵌される前記上端部を有した支柱と、
前記支柱に前記荷重受け部として設けられ、前記横架材をその下面にて支持し且つ前記支柱に沿って上下動可能な受け台と、
前記上端部に前記拘束部として設けられ、前記上端部よりも大径の拘束リング部材と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼製束。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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