錠剤カセッタの半錠カット装置および半錠カット方法
【課題】錠剤カセッタの汎用化を図ることにより、錠剤カセッタの全体数量を大幅に少なくすることのできる半錠カット装置および半錠カット方法を提供する。
【解決手段】この錠剤カセッタ10は、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、錠剤を半錠にカットしないときには、錠剤保持路24から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ7を備えている。
【解決手段】この錠剤カセッタ10は、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、錠剤を半錠にカットしないときには、錠剤保持路24から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤カセッタの半錠カット装置および半錠カット方法に関し、特に病院等の薬局に設置され、錠剤等の薬剤を患者毎の処方箋に従って適宜選択して取り出すための薬剤選択供給装置に装着される錠剤カセッタ内において錠剤を半錠にカット可能な半錠カット装置および半錠カット方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の錠剤カセッタは、図14に示すように、周囲に錠剤を保持するための錠剤保持路24,24,・・・が形成された錠剤保持ロータ2aを備えており、図示しない薬剤選択供給装置の上段に設けられたドラム状の支持架台の各段にそれぞれ複数個ずつ装着されている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
かかる錠剤カセッタでは、前記薬剤選択供給装置のモータの回転駆動がギアを介して前記錠剤保持ロータ2aに伝達されることにより、その錠剤保持ロータ2aが回転する。すると、処方箋等の入力データに従って、図示しない仕切板で覆われた錠剤保持路24に保持された錠剤を、その錠剤保持路24の直下に開口された錠剤排出路から前記薬剤選択供給装置の下段に排出する。前記薬剤選択供給装置の下段では、この排出された錠剤を図示しない分包装置で1包ずつに包装する分包作業を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、子供が患者であるときにその患者に対し投薬するに際し、錠剤1錠が1回分の服用量として過剰になるために、この錠剤を半錠にカットして適量とすることがある。従来は、このような場合には、手作業で錠剤を半錠にカットしてから専用の錠剤カセッタに充填していたが、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがあった。
【0005】
一般には、半錠にカットした錠剤の必要数量は、半錠にカットしない錠剤の必要数量に比べて少ないのであるが、前記薬剤選択供給装置の上段の支持台を左右に備えたものについては、一方の支持台に通常の錠剤を充填した錠剤カセッタをセットするとともに、他方の支持台に前記専用の錠剤カセッタをセットすることとして両錠剤カセッタの混在を回避していた。したがって、前記必要数量の違いにもかかわらず、両錠剤カセッタを同数用意しておくため、錠剤カセッタを大目に用意しておく必要があり、これにより、全体装置の大型化を招いていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、錠剤カセッタの汎用化を図ることにより、錠剤カセッタの全体数量を大幅に少なくすることのできる半錠カット装置および半錠カット方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(装置)は、錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット装置であって、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたので、同一の錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットし、あるいは、錠剤をカットしないことにより、該錠剤カセッタの汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤と、半錠にカットしない錠剤の各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタを用意するだけでよいため、その総数が少なくて済む。これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0009】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【0010】
請求項2記載の発明のように、前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えることが好ましい。この第一駆動機構は、例えばモータやソレノイド等の駆動源に連結されたリンク機構やラック&ピニオン機構等が用いられる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えたので、簡単な構成となる。
【0012】
或いは、請求項3記載の発明のように、前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えることが好ましい。この第二駆動機構は、例えばモータやロータリソレノイド等の駆動源に連結されたギア列等が用いられる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えたので、より簡単な構成となる。
【0014】
請求項4記載の発明(方法)は、錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット方法であって、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御するので、本発明(装置)と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を該錠剤保持ロータの回転方向に沿って横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたので、同一の錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットし、あるいは、錠剤をカットしないことにより、該錠剤カセッタの汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤と、半錠にカットしない錠剤の各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタを用意するだけでよいため、その総数が少なくて済む。これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0017】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る錠剤カセッタを上方から見た外観斜視図である。
【図2】錠剤カセッタの詳細構成を示す平面図である。
【図3】錠剤カセッタの詳細構成を示す背面図である。
【図4】錠剤保持ロータまわりの構成(カッタが第一姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。
【図5】錠剤保持ロータまわりの構成(カッタが第二姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。
【図6】錠剤カセッタの制御ブロック図である。
【図7】錠剤保持ロータまわりの動作工程1を示す平面図である。
【図8】錠剤保持ロータまわりの動作工程2を示す平面図である。
【図9】錠剤保持ロータまわりの動作工程3を示す平面図である。
【図10】錠剤保持ロータまわりの動作工程4を示す斜視図である。
【図11】錠剤保持ロータまわりの動作工程5を示す斜視図である。
【図12】錠剤保持ロータまわりの動作工程6を示す斜視図である。
【図13】錠剤保持ロータまわりの構成の変形例を示す概念図である。
【図14】従来の錠剤保持ロータの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る錠剤カセッタ10を上方から見た外観斜視図(蓋を外した状態である)、図2は錠剤カセッタ10の詳細構成を示す平面図、図3は錠剤カセッタ10の詳細構成図を示す背面図である。また、図4は錠剤保持ロータ2まわりの構成(カッタ7が第一姿勢をとっている場合)を示す斜視図、図5は錠剤保持ロータ2まわりの構成(カッタ7が第二姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。以下、図示しない薬剤選択供給装置の上段のドラム状の支持台にセットされた状態における錠剤カセッタ10の外周側を前側、内周側を後側という。また、各図における錠剤保持ロータ2の回転方向は、上方から見て反時計方向であるが、仕切板6とカッタ7との配置などを変えることで、錠剤保持ロータ2の回転方向を、上記と逆向きにすることもできる。
【0020】
図1,図2及び図3に示すように、この錠剤カセッタ10は、錠剤を入れる錠剤収納部1と、この錠剤収納部1内に縦軸回りに回転自在に設けられ、周囲に前記錠剤を保持するための錠剤保持路24,24,・・・が形成された錠剤保持ロータ2と、錠剤保持ロータ2の上部にあって、この錠剤保持ロータ2よりも高速に回転可能な錠剤攪拌体3と、錠剤保持路24,24,・・・から前記錠剤を排出する錠剤排出路4と、この錠剤排出路4の上方に横設され、錠剤保持路24,24,・・・の一部を覆う仕切板(規制部材に相当する。)6と、仕切板6と錠剤排出路4との間に挿脱可能に横設され、前記錠剤を半錠にカットするカッタ(カッタ部材に相当する。)7とから構成されている。
【0021】
錠剤収納部1は、本体上部11と、本体下部12とからなっている。このうちの本体上部11は、例えば透明の樹脂製であって、平面視略扇形状をなすものであって、その前後左右側壁はいずれも垂直面あるいは下り斜面で形成されている。本体上部11の上部には、蓋13が開閉自在に取り付けられており、本体上部11の下部には、特に錠剤保持ロータ2を囲むように垂直面14が構成されている。
【0022】
本体下部12は、例えば半透明の樹脂製であって、本体上部11と同様に平面視で略扇形状をなすとともに、その前後左右側壁はほぼ垂直面で形成されている。本体下部12の上部には、天板5aが設けられており、天板5aには前記錠剤排出路4の上端が開口されている。本体下部12の下部には、底板5が設けられており、底板5には前記錠剤排出路4が開口されるとともに、底板5を貫通して後述する回転軸15,17が同軸で突出している。
【0023】
錠剤保持ロータ2は、錠剤収納部1内に取り付けた状態における上下両側で若干縮径させた円盤状のロータ本体22と、そのロータ本体22の上側に突出した突出部21とを備えている。突出部21の中央には、丸孔26が穿設されている。ロータ本体22の周面23には、この周面23を例えば10等分して配置された錠剤保持路24,24,・・・がそれぞれ中心に向かって凹設されている。これらの錠剤保持路24,24,・・・と垂直面14との間に落下した錠剤が、天板5a上で個別に保持されつつ回転することになる。
【0024】
各錠剤保持路24,24,・・・の深さと幅とは、ここに保持しうる錠剤1個の寸法に応じて設定されている。錠剤としては、円盤状、楕円盤状、その他の異形状のものがあり、その寸法も様々のものが使用されるから、ロータ本体22も、この錠剤の種類に応じて、種々のものが用意されることになる。ロータ本体22の幅方向中央には、各錠剤保持路24,24,・・・の深さよりも若干深い溝部25が刻設されている。溝部25の幅は、カッタ7の刃厚よりも若干広く設定されている。
【0025】
この錠剤保持ロータ2は、錠剤収納部1の本体上部11と本体下部12の左右方向略中央で、かつ、それらの前後方向やや後寄りの位置を貫通する中空回転軸15に固着されている。中空回転軸15の下端には大径ギア16が固着されている。大径ギア16は図示しない薬剤選択供給装置のモータに連結された上下二連となっているギアのうちの上段の小径ギアと噛合されている。したがって、前記モータの回転は減速されて、錠剤保持ロータ2に伝達されるようになっている。
【0026】
錠剤攪拌体3は、錠剤保持ロータ2のロータ本体22の上部にあって、突出部21に遊嵌されるとともに、その一周端側が高く、他周端側が低い傾斜面を有する円錐台状をなすものであるが、錠剤保持路24,24,・・・の上下両側を塞がない程度に縮径されている。
【0027】
この錠剤攪拌体3は、中空回転軸15内を貫通し、突出部21の丸孔26から突出する中実回転軸17の上端に固着されている。中実回転軸17は、中空回転軸15の下方にまで延びており、その下端には小径ギア18が固着されている。小径ギア18は前記上下二連となっているギアのうちの下段の大径ギアと噛合されている。したがって、前記モータの回転は増速されて、錠剤攪拌体3に伝達されるようになっている。その結果、錠剤撹拌体3は、錠剤保持ロータ2よりも高速に回転して、錠剤収納部1内に充填された錠剤を撹拌するとともに、いわゆるブリッジング(自然に起こる薬剤の固まり)を生ずることなく、その傾斜面に沿って落下した錠剤が、錠剤保持路24,24,・・・内に1個ずつ保持されることとなる。
【0028】
錠剤排出路4は、その上部が錠剤保持ロータ2の錠剤保持路24,24,・・・のうちの1箇所(ここでは、最も後側から、錠剤保持ロータ2の回転方向で1個手前側の1箇所である。)の錠剤保持路24の直下の天板5aに開口し、傾斜通路を経て底板5に、その下部が開口している。
【0029】
仕切板6は、例えばステンレス鋼製の薄板で形成されたものであって、図2及び図3に示すように、その基部が錠剤収納部1の本体下部12の適所から片持ち支持されている。その先端部は、前記1箇所の錠剤保持路24を塞ぐように、そのロータ本体22の上側縮径部分にまで延びている。仕切板6は、上下方向に移動調整可能となっている。
【0030】
カッタ7は、仕切板6と同様に、例えばステンレス鋼製の薄板で形成されたものであって、図2及び図3に示すように、その基部が錠剤収納部1の本体下部12の適所から片持ち支持されている。そして、図4に示すように、その先端部であるカッタ刃71は、前記1箇所の錠剤保持路24を横切るように、そのロータ本体22の溝部25内にまで延びる第一姿勢と、図5に示すように、その先端部であるカッタ刃71が、前記錠剤保持路24から退避するように、そのロータ本体22の周面23外側にある第二姿勢とのいずれか一方を選択可能となっている。このカッタ7も、仕切板6と同様に、上下方向に移動調整可能となっている。
【0031】
図6は錠剤カセッタ10の制御ブロック図である。図6に示すように、錠剤カセッタ10の制御装置500は、錠剤カセッタ10をセットする薬剤選択供給装置に近接配置され、入力部501と、出力部502と、センサ503とにそれぞれ電気的に接続された汎用或いは専用コンピュータで構成されており、そのハードウエアとしてのROM504と、RAM505と、CPU506とを備えている。ROM504は、錠剤カセッタ10の制御プログラムや予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM505は、データを一時的に保管するものである。センサ503は、フォトインタラプタ等からなり、錠剤カセッタ10の錠剤排出路4内に落下する錠剤pや半錠p1(又はp2)を検出するものである。出力部502は、LCD等からなり、ユーザへの各種メッセージを表示するものであり、入力部501は、ユーザの各種指示や処方箋データを入力するためのものである。
【0032】
CPU506は、ROM504に予め記憶しておいた制御プログラムに従って、錠剤カセッタ10の全体の動作を制御するものであり、その主要な機能から見ると、演算部506aと、ロータ制御部506bと、カッタ制御部506cとから構成されている。
【0033】
演算部506aは、入力部501から入力された処方箋データと、センサ503からの検出信号とに基づいて、錠剤保持ロータ2の回転のタイミング1と、カッタ7の平行移動のタイミング2をそれぞれ演算するものである。このタイミング2は、本発明の特徴をなすもので、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24,24,・・・で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ7が仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ7が前記錠剤保持路24から退避する第二姿勢をとるようにするためのものである。
【0034】
ロータ制御部506bは、演算部506aで演算されたタイミング1に従って、錠剤保持ロータ2の回転を制御するものである。具体的には、前記薬剤選択供給装置のモータ507の二連のギア508,509に、錠剤カセッタ10の底板5側に配置された大小ギア16,18がそれぞれ噛合させた状態で、モータ507を各錠剤保持路24,24,・・・の間隔に相当するピッチ単位で回転駆動するようになっている。
【0035】
また、カッタ制御部506cは、演算部506aで演算されたタイミング2に従って、カッタ7の平行移動を制御するものである。具体的には、錠剤カセッタ10内に個別に設けられたモータ510を回転駆動することにより、このモータ510にリンク511を介して連結されたカッタ7を平行移動させて、カッタ7の第一姿勢或いは第二姿勢のいずれかを選択的にとることができるようになっている。これらのモータ510とリンク511とが第一駆動機構に相当する。なお、モータ510に代えてソレノイド等を用いることができるし、リンク511に代えてラック&ピニオン等を用いることもできるが、いずれにせよ簡単な構成となるので、その詳細構成については図示を省略した。
【0036】
以下、この錠剤カセッタ10の錠剤保持ロータ2まわりの動作について説明する。ここで、図7は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程1を示す平面図、図8は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程2を示す平面図、図9は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程3を示す平面図、図10は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程4を示す斜視図、図11は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程5を示す斜視図、図12は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程6を示す斜視図である。
【0037】
まず、これから充填しようとする錠剤pの大きさ(特に縦寸法)に応じて、錠剤カセッタ10の仕切板6とカッタ7との位置調整をしておく。これにより、取り扱う錠剤の大きさが変わっても、ほぼ正しく半錠ずつにカットすることができるようになる。なお、特に円形や楕円形などの上下対称形の錠剤の場合は、正しく半錠ずつにカットすることができるようになる。カッタ7は、初期状態では、図7に示すような第二姿勢をとっているものとする。
【0038】
しかる後に、錠剤収納部1の蓋13を開けて、本体上部11内に所定数量の錠剤pを充填してからその蓋13を閉める。この錠剤pを充填した錠剤カセッタ10を、図示しない薬剤選択供給装置の上段のドラム状の支持台における所定位置にセットする。すると、前記薬剤選択供給装置のモータ507の二連のギア508,509に、錠剤カセッタ10の底板5側に配置された大小ギア16,18がそれぞれ噛合する。この状態で、半錠の錠剤p1(又はp2)を含む処方箋データが入力部501から制御装置500に入力されたものとする。制御装置500の演算部506aは、この入力された処方箋データと、センサ503からの検出信号とに基づいて、錠剤保持ロータ2の回転のタイミング1と、カッタ7の平行移動のタイミング2とをそれぞれ演算し、それらのタイミング信号を、ロータ制御部506bと、カッタ制御部506cとにそれぞれ向けて発する。
【0039】
このときには、前記充填された錠剤pは、錠剤攪拌体3上にあるので、ロータ制御部506bは、前記タイミング信号を受けて、モータ507を回転させると、この錠剤攪拌体3で攪拌される。モータ507を各錠剤保持路24,24,・・・の間隔に相当するピッチ単位で回転駆動する。
【0040】
モータ507を前記ピッチ単位で回転駆動すると、錠剤攪拌体3が反時計方向に高速で回転するとともに、錠剤保持ロータ2が反時計方向に低速で回転し、錠剤pはその錠剤保持路24,24,・・・内に個別に落下することとなる。その際、仕切板6で塞がれた前記錠剤保持路24には錠剤pが入ることはないので、その直下にある錠剤排出路4内に錠剤pがそのまま落下することはない。
【0041】
引き続き、カッタ制御部506cは、前記タイミング信号を受けて、モータ510を駆動し、リンク511を介してカッタ7を平行移動させることにより、図8に示すように、その先端部であるカッタ刃71が錠剤保持ロータ2の溝部25に挿入する第一姿勢をとるように制御する。ある錠剤保持路24内に落下して保持された錠剤pが、ロータ制御部506bからの指令によりモータ507を1ピッチだけ回転させることにより、図9に示すように、カッタ7の先端部のカッタ刃71に当接するようになる。
【0042】
このとき、カッタ刃71と錠剤保持ロータ2のロータ本体22との間隔は漸次に狭くなるようにしているので、錠剤保持路24内に保持された錠剤pには、カッタ刃71が徐々に食い込んでいって、上下半錠p1,p2ずつにカットされる。また、ロータ本体22の溝部25は錠剤保持路24よりも深く設定されているので、錠剤pは溝部25を挟んで錠剤保持路24の上下2点支持された状態で、その中央に当接したカッタ刃71でもって押し切られたようになる。これらにより、取り扱う錠剤の種類が、コーティング錠や糖衣錠などの表面の硬い錠剤の場合であっても、カットしやすくなる。
【0043】
このカットされた半錠p1,p2のうちの下側半錠p2は、図10に示すように、その直下に開口する錠剤排出路4内に落下する。この錠剤排出路4内に落下した半錠p2は、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。そこで、分包装置で1包に包装される。この1包は回収されて再利用される。
【0044】
一方、カットされた半錠p1,p2のうちの上側半錠p1は、カッタ刃71の上に残ったままになっている。そして、カッタ制御部506cは、前記タイミング信号を受けて、さらにモータ510を駆動し、リンク511を介してカッタ刃71を平行移動することにより、カッタ7は再び第二姿勢をとるように制御する。すると、カッタ刃71は、本体上部11の垂直面14に形成された図示しない溝部を通過するが、上側半錠p1は、その垂直面14で錠剤保持路24内に保持されたままとなる。このため、図11に示すように、カッタ刃71から外れて、その直下に開口する錠剤排出路4内に落下する。この錠剤排出路4内に落下した半錠p1は、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。この半錠p1は、錠剤排出路4内に落下する途中でセンサ503によって検知される。
【0045】
ロータ制御部506bは、前記タイミング信号を受けて、繰り返しモータ507を数ピッチ回転させる。すると、図12に示すように、錠剤pは、錠剤排出路4内に順次に落下する。この錠剤排出路4内に落下した錠剤pは、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。この錠剤pについても、錠剤排出路4内に落下する途中でセンサ503によって検知され、所定数量となった時点で、前記上側半錠p1とともに、分包装置で次の1包に包装される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24で保持された状態で運ばれてくる錠剤pを半錠p1,p2にカットするときには、仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、錠剤pを半錠p1,p2にカットしないときには、錠剤保持路24から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ7を備えたので、同一の錠剤カセッタ10の内部で錠剤pを半錠p1,p2にカットし、あるいは、錠剤pをカットしないことにより、錠剤カセッタ10の汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤p1,p2と、半錠にカットしない錠剤pの各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタ10を用意するだけでよいため、その総数が少なくて済み、これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0047】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【0048】
なお、上記実施形態では、半錠p2を先に落下させて1包に包装して取り除いた後、半錠p2と必要数量の錠剤pとを落下させて次の1包に包装しているが、先に必要数量の錠剤pを落下させてから、半錠p2を落下させて1包に包装することとしてもよい。その場合は、その後で半錠p1を落下させて1包に包装して取り除くこととなる。さらに半錠p2又はp1を別途保持しておいて、数個の半錠p2又はp1をまとめて1包に包装してもよい。このためには、錠剤排出路4に半錠p2を一時的に溜めるようなポケット部分を備えることが必要となる。
【0049】
また、上記実施形態では、リンク511を用いてカッタ7を平行移動させているが、図13に示すように、モータ510でカッタ7の先端部であるカッタ刃71を回転軸72回りに回転させるようにしてもよい。これらのモータ510と図示しないギア列とが第二駆動機構に相当する。なお、モータ510に代えてロータリソレノイド等を用いることができるし、ギア列に代えて適当な減速装置を用いることもできるが、いずれにせよ簡単な構成となるので、その詳細構成については図示を省略した。
【0050】
また、本実施形態では、カッタ7を移動しながら錠剤pをカットするのではなく、カッタ7が移動した後の静止状態で、もともと回転駆動される錠剤保持ロータ2側の当該回転駆動力だけでもって錠剤pが半錠p1,p2にカットされるので、そのカット音が低いといったメリットがある
【0051】
また、上記実施形態では、錠剤カセッタ10は平面視略扇形状のものを例示したが、これは前記薬剤選択供給装置の上段にドラム状の支持台を備えたものであり、この支持台にセットするものに対応させたからである。したがって、支持台が左右に延びる棚板状のものであれば、これに対応して、錠剤カセッタ10の形状は長方形状のものとすればよい。
【0052】
また、上記実施形態では、錠剤カセッタ10の錠剤保持ロータ2は、前記薬剤選択供給装置のモータ507で回転駆動されているが、錠剤カセッタ10にモータ507とは別個に内蔵したモータを用いて、錠剤保持ロータ2を回転駆動してもよい。ただし、錠剤カセッタ10の小型化によるセット数の増大を図るためには、上記のごとく外部モータを用いるのが好ましい。この逆に、錠剤保持ロータ2の回転駆動と、カッタ7の平行移動とは同時に行わないことに着目すれば、適当なクラッチ装置を介して、錠剤保持ロータ2と、カッタ7とを連結することにより、カッタ7のモータ510を、前記薬剤選択供給装置のモータ507で兼用することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、ロータ本体22の周面23には、錠剤保持路24,24,・・・がそれぞれ中心に向かって凹設されており、各錠剤保持路24,24,・・・の深さと幅とは、ここに保持しうる錠剤1個の縦寸法に応じて設定されているが、錠剤保持路24,24,・・・は、周面23よりも中心側に穿設された複数の丸孔であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 錠剤カセッタ
1 錠剤収納部
2 錠剤保持ロータ
22 ロータ本体
23 周面
24 錠剤保持路
25 溝部
3 錠剤攪拌体
4 錠剤排出路
6 仕切板(規制部材に相当する。)
7 カッタ(カッタ部材に相当する。)
71 カッタ刃
72 回転軸
500 制御装置
503 センサ
506a 演算部
506b ロータ制御部
506c カッタ制御部
507,510 モータ(第一、第二駆動機構に相当する。)
511 リンク(第一駆動機構に相当する。)
p 錠剤
p1,p2 半錠
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3370461号公報
【特許文献2】特許第3886178号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤カセッタの半錠カット装置および半錠カット方法に関し、特に病院等の薬局に設置され、錠剤等の薬剤を患者毎の処方箋に従って適宜選択して取り出すための薬剤選択供給装置に装着される錠剤カセッタ内において錠剤を半錠にカット可能な半錠カット装置および半錠カット方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の錠剤カセッタは、図14に示すように、周囲に錠剤を保持するための錠剤保持路24,24,・・・が形成された錠剤保持ロータ2aを備えており、図示しない薬剤選択供給装置の上段に設けられたドラム状の支持架台の各段にそれぞれ複数個ずつ装着されている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
かかる錠剤カセッタでは、前記薬剤選択供給装置のモータの回転駆動がギアを介して前記錠剤保持ロータ2aに伝達されることにより、その錠剤保持ロータ2aが回転する。すると、処方箋等の入力データに従って、図示しない仕切板で覆われた錠剤保持路24に保持された錠剤を、その錠剤保持路24の直下に開口された錠剤排出路から前記薬剤選択供給装置の下段に排出する。前記薬剤選択供給装置の下段では、この排出された錠剤を図示しない分包装置で1包ずつに包装する分包作業を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、子供が患者であるときにその患者に対し投薬するに際し、錠剤1錠が1回分の服用量として過剰になるために、この錠剤を半錠にカットして適量とすることがある。従来は、このような場合には、手作業で錠剤を半錠にカットしてから専用の錠剤カセッタに充填していたが、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがあった。
【0005】
一般には、半錠にカットした錠剤の必要数量は、半錠にカットしない錠剤の必要数量に比べて少ないのであるが、前記薬剤選択供給装置の上段の支持台を左右に備えたものについては、一方の支持台に通常の錠剤を充填した錠剤カセッタをセットするとともに、他方の支持台に前記専用の錠剤カセッタをセットすることとして両錠剤カセッタの混在を回避していた。したがって、前記必要数量の違いにもかかわらず、両錠剤カセッタを同数用意しておくため、錠剤カセッタを大目に用意しておく必要があり、これにより、全体装置の大型化を招いていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、錠剤カセッタの汎用化を図ることにより、錠剤カセッタの全体数量を大幅に少なくすることのできる半錠カット装置および半錠カット方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(装置)は、錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット装置であって、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたので、同一の錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットし、あるいは、錠剤をカットしないことにより、該錠剤カセッタの汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤と、半錠にカットしない錠剤の各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタを用意するだけでよいため、その総数が少なくて済む。これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0009】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【0010】
請求項2記載の発明のように、前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えることが好ましい。この第一駆動機構は、例えばモータやソレノイド等の駆動源に連結されたリンク機構やラック&ピニオン機構等が用いられる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えたので、簡単な構成となる。
【0012】
或いは、請求項3記載の発明のように、前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えることが好ましい。この第二駆動機構は、例えばモータやロータリソレノイド等の駆動源に連結されたギア列等が用いられる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えたので、より簡単な構成となる。
【0014】
請求項4記載の発明(方法)は、錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット方法であって、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御するので、本発明(装置)と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を該錠剤保持ロータの回転方向に沿って横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたので、同一の錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットし、あるいは、錠剤をカットしないことにより、該錠剤カセッタの汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤と、半錠にカットしない錠剤の各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタを用意するだけでよいため、その総数が少なくて済む。これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0017】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る錠剤カセッタを上方から見た外観斜視図である。
【図2】錠剤カセッタの詳細構成を示す平面図である。
【図3】錠剤カセッタの詳細構成を示す背面図である。
【図4】錠剤保持ロータまわりの構成(カッタが第一姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。
【図5】錠剤保持ロータまわりの構成(カッタが第二姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。
【図6】錠剤カセッタの制御ブロック図である。
【図7】錠剤保持ロータまわりの動作工程1を示す平面図である。
【図8】錠剤保持ロータまわりの動作工程2を示す平面図である。
【図9】錠剤保持ロータまわりの動作工程3を示す平面図である。
【図10】錠剤保持ロータまわりの動作工程4を示す斜視図である。
【図11】錠剤保持ロータまわりの動作工程5を示す斜視図である。
【図12】錠剤保持ロータまわりの動作工程6を示す斜視図である。
【図13】錠剤保持ロータまわりの構成の変形例を示す概念図である。
【図14】従来の錠剤保持ロータの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る錠剤カセッタ10を上方から見た外観斜視図(蓋を外した状態である)、図2は錠剤カセッタ10の詳細構成を示す平面図、図3は錠剤カセッタ10の詳細構成図を示す背面図である。また、図4は錠剤保持ロータ2まわりの構成(カッタ7が第一姿勢をとっている場合)を示す斜視図、図5は錠剤保持ロータ2まわりの構成(カッタ7が第二姿勢をとっている場合)を示す斜視図である。以下、図示しない薬剤選択供給装置の上段のドラム状の支持台にセットされた状態における錠剤カセッタ10の外周側を前側、内周側を後側という。また、各図における錠剤保持ロータ2の回転方向は、上方から見て反時計方向であるが、仕切板6とカッタ7との配置などを変えることで、錠剤保持ロータ2の回転方向を、上記と逆向きにすることもできる。
【0020】
図1,図2及び図3に示すように、この錠剤カセッタ10は、錠剤を入れる錠剤収納部1と、この錠剤収納部1内に縦軸回りに回転自在に設けられ、周囲に前記錠剤を保持するための錠剤保持路24,24,・・・が形成された錠剤保持ロータ2と、錠剤保持ロータ2の上部にあって、この錠剤保持ロータ2よりも高速に回転可能な錠剤攪拌体3と、錠剤保持路24,24,・・・から前記錠剤を排出する錠剤排出路4と、この錠剤排出路4の上方に横設され、錠剤保持路24,24,・・・の一部を覆う仕切板(規制部材に相当する。)6と、仕切板6と錠剤排出路4との間に挿脱可能に横設され、前記錠剤を半錠にカットするカッタ(カッタ部材に相当する。)7とから構成されている。
【0021】
錠剤収納部1は、本体上部11と、本体下部12とからなっている。このうちの本体上部11は、例えば透明の樹脂製であって、平面視略扇形状をなすものであって、その前後左右側壁はいずれも垂直面あるいは下り斜面で形成されている。本体上部11の上部には、蓋13が開閉自在に取り付けられており、本体上部11の下部には、特に錠剤保持ロータ2を囲むように垂直面14が構成されている。
【0022】
本体下部12は、例えば半透明の樹脂製であって、本体上部11と同様に平面視で略扇形状をなすとともに、その前後左右側壁はほぼ垂直面で形成されている。本体下部12の上部には、天板5aが設けられており、天板5aには前記錠剤排出路4の上端が開口されている。本体下部12の下部には、底板5が設けられており、底板5には前記錠剤排出路4が開口されるとともに、底板5を貫通して後述する回転軸15,17が同軸で突出している。
【0023】
錠剤保持ロータ2は、錠剤収納部1内に取り付けた状態における上下両側で若干縮径させた円盤状のロータ本体22と、そのロータ本体22の上側に突出した突出部21とを備えている。突出部21の中央には、丸孔26が穿設されている。ロータ本体22の周面23には、この周面23を例えば10等分して配置された錠剤保持路24,24,・・・がそれぞれ中心に向かって凹設されている。これらの錠剤保持路24,24,・・・と垂直面14との間に落下した錠剤が、天板5a上で個別に保持されつつ回転することになる。
【0024】
各錠剤保持路24,24,・・・の深さと幅とは、ここに保持しうる錠剤1個の寸法に応じて設定されている。錠剤としては、円盤状、楕円盤状、その他の異形状のものがあり、その寸法も様々のものが使用されるから、ロータ本体22も、この錠剤の種類に応じて、種々のものが用意されることになる。ロータ本体22の幅方向中央には、各錠剤保持路24,24,・・・の深さよりも若干深い溝部25が刻設されている。溝部25の幅は、カッタ7の刃厚よりも若干広く設定されている。
【0025】
この錠剤保持ロータ2は、錠剤収納部1の本体上部11と本体下部12の左右方向略中央で、かつ、それらの前後方向やや後寄りの位置を貫通する中空回転軸15に固着されている。中空回転軸15の下端には大径ギア16が固着されている。大径ギア16は図示しない薬剤選択供給装置のモータに連結された上下二連となっているギアのうちの上段の小径ギアと噛合されている。したがって、前記モータの回転は減速されて、錠剤保持ロータ2に伝達されるようになっている。
【0026】
錠剤攪拌体3は、錠剤保持ロータ2のロータ本体22の上部にあって、突出部21に遊嵌されるとともに、その一周端側が高く、他周端側が低い傾斜面を有する円錐台状をなすものであるが、錠剤保持路24,24,・・・の上下両側を塞がない程度に縮径されている。
【0027】
この錠剤攪拌体3は、中空回転軸15内を貫通し、突出部21の丸孔26から突出する中実回転軸17の上端に固着されている。中実回転軸17は、中空回転軸15の下方にまで延びており、その下端には小径ギア18が固着されている。小径ギア18は前記上下二連となっているギアのうちの下段の大径ギアと噛合されている。したがって、前記モータの回転は増速されて、錠剤攪拌体3に伝達されるようになっている。その結果、錠剤撹拌体3は、錠剤保持ロータ2よりも高速に回転して、錠剤収納部1内に充填された錠剤を撹拌するとともに、いわゆるブリッジング(自然に起こる薬剤の固まり)を生ずることなく、その傾斜面に沿って落下した錠剤が、錠剤保持路24,24,・・・内に1個ずつ保持されることとなる。
【0028】
錠剤排出路4は、その上部が錠剤保持ロータ2の錠剤保持路24,24,・・・のうちの1箇所(ここでは、最も後側から、錠剤保持ロータ2の回転方向で1個手前側の1箇所である。)の錠剤保持路24の直下の天板5aに開口し、傾斜通路を経て底板5に、その下部が開口している。
【0029】
仕切板6は、例えばステンレス鋼製の薄板で形成されたものであって、図2及び図3に示すように、その基部が錠剤収納部1の本体下部12の適所から片持ち支持されている。その先端部は、前記1箇所の錠剤保持路24を塞ぐように、そのロータ本体22の上側縮径部分にまで延びている。仕切板6は、上下方向に移動調整可能となっている。
【0030】
カッタ7は、仕切板6と同様に、例えばステンレス鋼製の薄板で形成されたものであって、図2及び図3に示すように、その基部が錠剤収納部1の本体下部12の適所から片持ち支持されている。そして、図4に示すように、その先端部であるカッタ刃71は、前記1箇所の錠剤保持路24を横切るように、そのロータ本体22の溝部25内にまで延びる第一姿勢と、図5に示すように、その先端部であるカッタ刃71が、前記錠剤保持路24から退避するように、そのロータ本体22の周面23外側にある第二姿勢とのいずれか一方を選択可能となっている。このカッタ7も、仕切板6と同様に、上下方向に移動調整可能となっている。
【0031】
図6は錠剤カセッタ10の制御ブロック図である。図6に示すように、錠剤カセッタ10の制御装置500は、錠剤カセッタ10をセットする薬剤選択供給装置に近接配置され、入力部501と、出力部502と、センサ503とにそれぞれ電気的に接続された汎用或いは専用コンピュータで構成されており、そのハードウエアとしてのROM504と、RAM505と、CPU506とを備えている。ROM504は、錠剤カセッタ10の制御プログラムや予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM505は、データを一時的に保管するものである。センサ503は、フォトインタラプタ等からなり、錠剤カセッタ10の錠剤排出路4内に落下する錠剤pや半錠p1(又はp2)を検出するものである。出力部502は、LCD等からなり、ユーザへの各種メッセージを表示するものであり、入力部501は、ユーザの各種指示や処方箋データを入力するためのものである。
【0032】
CPU506は、ROM504に予め記憶しておいた制御プログラムに従って、錠剤カセッタ10の全体の動作を制御するものであり、その主要な機能から見ると、演算部506aと、ロータ制御部506bと、カッタ制御部506cとから構成されている。
【0033】
演算部506aは、入力部501から入力された処方箋データと、センサ503からの検出信号とに基づいて、錠剤保持ロータ2の回転のタイミング1と、カッタ7の平行移動のタイミング2をそれぞれ演算するものである。このタイミング2は、本発明の特徴をなすもので、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24,24,・・・で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ7が仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ7が前記錠剤保持路24から退避する第二姿勢をとるようにするためのものである。
【0034】
ロータ制御部506bは、演算部506aで演算されたタイミング1に従って、錠剤保持ロータ2の回転を制御するものである。具体的には、前記薬剤選択供給装置のモータ507の二連のギア508,509に、錠剤カセッタ10の底板5側に配置された大小ギア16,18がそれぞれ噛合させた状態で、モータ507を各錠剤保持路24,24,・・・の間隔に相当するピッチ単位で回転駆動するようになっている。
【0035】
また、カッタ制御部506cは、演算部506aで演算されたタイミング2に従って、カッタ7の平行移動を制御するものである。具体的には、錠剤カセッタ10内に個別に設けられたモータ510を回転駆動することにより、このモータ510にリンク511を介して連結されたカッタ7を平行移動させて、カッタ7の第一姿勢或いは第二姿勢のいずれかを選択的にとることができるようになっている。これらのモータ510とリンク511とが第一駆動機構に相当する。なお、モータ510に代えてソレノイド等を用いることができるし、リンク511に代えてラック&ピニオン等を用いることもできるが、いずれにせよ簡単な構成となるので、その詳細構成については図示を省略した。
【0036】
以下、この錠剤カセッタ10の錠剤保持ロータ2まわりの動作について説明する。ここで、図7は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程1を示す平面図、図8は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程2を示す平面図、図9は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程3を示す平面図、図10は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程4を示す斜視図、図11は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程5を示す斜視図、図12は錠剤保持ロータ2まわりの動作工程6を示す斜視図である。
【0037】
まず、これから充填しようとする錠剤pの大きさ(特に縦寸法)に応じて、錠剤カセッタ10の仕切板6とカッタ7との位置調整をしておく。これにより、取り扱う錠剤の大きさが変わっても、ほぼ正しく半錠ずつにカットすることができるようになる。なお、特に円形や楕円形などの上下対称形の錠剤の場合は、正しく半錠ずつにカットすることができるようになる。カッタ7は、初期状態では、図7に示すような第二姿勢をとっているものとする。
【0038】
しかる後に、錠剤収納部1の蓋13を開けて、本体上部11内に所定数量の錠剤pを充填してからその蓋13を閉める。この錠剤pを充填した錠剤カセッタ10を、図示しない薬剤選択供給装置の上段のドラム状の支持台における所定位置にセットする。すると、前記薬剤選択供給装置のモータ507の二連のギア508,509に、錠剤カセッタ10の底板5側に配置された大小ギア16,18がそれぞれ噛合する。この状態で、半錠の錠剤p1(又はp2)を含む処方箋データが入力部501から制御装置500に入力されたものとする。制御装置500の演算部506aは、この入力された処方箋データと、センサ503からの検出信号とに基づいて、錠剤保持ロータ2の回転のタイミング1と、カッタ7の平行移動のタイミング2とをそれぞれ演算し、それらのタイミング信号を、ロータ制御部506bと、カッタ制御部506cとにそれぞれ向けて発する。
【0039】
このときには、前記充填された錠剤pは、錠剤攪拌体3上にあるので、ロータ制御部506bは、前記タイミング信号を受けて、モータ507を回転させると、この錠剤攪拌体3で攪拌される。モータ507を各錠剤保持路24,24,・・・の間隔に相当するピッチ単位で回転駆動する。
【0040】
モータ507を前記ピッチ単位で回転駆動すると、錠剤攪拌体3が反時計方向に高速で回転するとともに、錠剤保持ロータ2が反時計方向に低速で回転し、錠剤pはその錠剤保持路24,24,・・・内に個別に落下することとなる。その際、仕切板6で塞がれた前記錠剤保持路24には錠剤pが入ることはないので、その直下にある錠剤排出路4内に錠剤pがそのまま落下することはない。
【0041】
引き続き、カッタ制御部506cは、前記タイミング信号を受けて、モータ510を駆動し、リンク511を介してカッタ7を平行移動させることにより、図8に示すように、その先端部であるカッタ刃71が錠剤保持ロータ2の溝部25に挿入する第一姿勢をとるように制御する。ある錠剤保持路24内に落下して保持された錠剤pが、ロータ制御部506bからの指令によりモータ507を1ピッチだけ回転させることにより、図9に示すように、カッタ7の先端部のカッタ刃71に当接するようになる。
【0042】
このとき、カッタ刃71と錠剤保持ロータ2のロータ本体22との間隔は漸次に狭くなるようにしているので、錠剤保持路24内に保持された錠剤pには、カッタ刃71が徐々に食い込んでいって、上下半錠p1,p2ずつにカットされる。また、ロータ本体22の溝部25は錠剤保持路24よりも深く設定されているので、錠剤pは溝部25を挟んで錠剤保持路24の上下2点支持された状態で、その中央に当接したカッタ刃71でもって押し切られたようになる。これらにより、取り扱う錠剤の種類が、コーティング錠や糖衣錠などの表面の硬い錠剤の場合であっても、カットしやすくなる。
【0043】
このカットされた半錠p1,p2のうちの下側半錠p2は、図10に示すように、その直下に開口する錠剤排出路4内に落下する。この錠剤排出路4内に落下した半錠p2は、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。そこで、分包装置で1包に包装される。この1包は回収されて再利用される。
【0044】
一方、カットされた半錠p1,p2のうちの上側半錠p1は、カッタ刃71の上に残ったままになっている。そして、カッタ制御部506cは、前記タイミング信号を受けて、さらにモータ510を駆動し、リンク511を介してカッタ刃71を平行移動することにより、カッタ7は再び第二姿勢をとるように制御する。すると、カッタ刃71は、本体上部11の垂直面14に形成された図示しない溝部を通過するが、上側半錠p1は、その垂直面14で錠剤保持路24内に保持されたままとなる。このため、図11に示すように、カッタ刃71から外れて、その直下に開口する錠剤排出路4内に落下する。この錠剤排出路4内に落下した半錠p1は、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。この半錠p1は、錠剤排出路4内に落下する途中でセンサ503によって検知される。
【0045】
ロータ制御部506bは、前記タイミング信号を受けて、繰り返しモータ507を数ピッチ回転させる。すると、図12に示すように、錠剤pは、錠剤排出路4内に順次に落下する。この錠剤排出路4内に落下した錠剤pは、前記薬剤選択供給装置内の錠剤排出路を通ってその下段に排出される。この錠剤pについても、錠剤排出路4内に落下する途中でセンサ503によって検知され、所定数量となった時点で、前記上側半錠p1とともに、分包装置で次の1包に包装される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、錠剤保持ロータ2の回転により錠剤保持路24で保持された状態で運ばれてくる錠剤pを半錠p1,p2にカットするときには、仕切板6と錠剤排出路4との間にある錠剤保持路24を横切る第一姿勢をとり、錠剤pを半錠p1,p2にカットしないときには、錠剤保持路24から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ7を備えたので、同一の錠剤カセッタ10の内部で錠剤pを半錠p1,p2にカットし、あるいは、錠剤pをカットしないことにより、錠剤カセッタ10の汎用化を図ることができる。したがって、従来のように、通常の錠剤カセッタに半錠にカットした錠剤を間違えて充填してしまうおそれがない。また、半錠にカットした錠剤p1,p2と、半錠にカットしない錠剤pの各必要数量の違いにもかかわらず、単一種類の錠剤カセッタ10を用意するだけでよいため、その総数が少なくて済み、これにより、全体装置をコンパクト化できるようになる。
【0047】
また、錠剤カセッタの内部で錠剤を半錠にカットすることができるので、従来のように、手作業による錠剤の半錠にカットする作業が不要となり、この半錠にカットした錠剤を錠剤カセッタに充填する際に当該錠剤を紛失することもない。しかも、ほぼ正しく半錠にカットできるため、錠剤を破砕して使用できなくなるといったこともない。また、投薬する直前に錠剤をカットして、カット面からの吸湿を少なくすることができるので、その性質上かかる吸湿を嫌うような錠剤の場合に有利である。
【0048】
なお、上記実施形態では、半錠p2を先に落下させて1包に包装して取り除いた後、半錠p2と必要数量の錠剤pとを落下させて次の1包に包装しているが、先に必要数量の錠剤pを落下させてから、半錠p2を落下させて1包に包装することとしてもよい。その場合は、その後で半錠p1を落下させて1包に包装して取り除くこととなる。さらに半錠p2又はp1を別途保持しておいて、数個の半錠p2又はp1をまとめて1包に包装してもよい。このためには、錠剤排出路4に半錠p2を一時的に溜めるようなポケット部分を備えることが必要となる。
【0049】
また、上記実施形態では、リンク511を用いてカッタ7を平行移動させているが、図13に示すように、モータ510でカッタ7の先端部であるカッタ刃71を回転軸72回りに回転させるようにしてもよい。これらのモータ510と図示しないギア列とが第二駆動機構に相当する。なお、モータ510に代えてロータリソレノイド等を用いることができるし、ギア列に代えて適当な減速装置を用いることもできるが、いずれにせよ簡単な構成となるので、その詳細構成については図示を省略した。
【0050】
また、本実施形態では、カッタ7を移動しながら錠剤pをカットするのではなく、カッタ7が移動した後の静止状態で、もともと回転駆動される錠剤保持ロータ2側の当該回転駆動力だけでもって錠剤pが半錠p1,p2にカットされるので、そのカット音が低いといったメリットがある
【0051】
また、上記実施形態では、錠剤カセッタ10は平面視略扇形状のものを例示したが、これは前記薬剤選択供給装置の上段にドラム状の支持台を備えたものであり、この支持台にセットするものに対応させたからである。したがって、支持台が左右に延びる棚板状のものであれば、これに対応して、錠剤カセッタ10の形状は長方形状のものとすればよい。
【0052】
また、上記実施形態では、錠剤カセッタ10の錠剤保持ロータ2は、前記薬剤選択供給装置のモータ507で回転駆動されているが、錠剤カセッタ10にモータ507とは別個に内蔵したモータを用いて、錠剤保持ロータ2を回転駆動してもよい。ただし、錠剤カセッタ10の小型化によるセット数の増大を図るためには、上記のごとく外部モータを用いるのが好ましい。この逆に、錠剤保持ロータ2の回転駆動と、カッタ7の平行移動とは同時に行わないことに着目すれば、適当なクラッチ装置を介して、錠剤保持ロータ2と、カッタ7とを連結することにより、カッタ7のモータ510を、前記薬剤選択供給装置のモータ507で兼用することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、ロータ本体22の周面23には、錠剤保持路24,24,・・・がそれぞれ中心に向かって凹設されており、各錠剤保持路24,24,・・・の深さと幅とは、ここに保持しうる錠剤1個の縦寸法に応じて設定されているが、錠剤保持路24,24,・・・は、周面23よりも中心側に穿設された複数の丸孔であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 錠剤カセッタ
1 錠剤収納部
2 錠剤保持ロータ
22 ロータ本体
23 周面
24 錠剤保持路
25 溝部
3 錠剤攪拌体
4 錠剤排出路
6 仕切板(規制部材に相当する。)
7 カッタ(カッタ部材に相当する。)
71 カッタ刃
72 回転軸
500 制御装置
503 センサ
506a 演算部
506b ロータ制御部
506c カッタ制御部
507,510 モータ(第一、第二駆動機構に相当する。)
511 リンク(第一駆動機構に相当する。)
p 錠剤
p1,p2 半錠
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3370461号公報
【特許文献2】特許第3886178号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット装置であって、
前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を該錠剤保持ロータの回転方向に沿って横切る第一姿勢をとり、
前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたことを特徴とする錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項2】
前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項3】
前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項4】
錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット方法であって、
前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、
前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御することを特徴とする錠剤カセッタの半錠カット方法。
【請求項1】
錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット装置であって、
前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を該錠剤保持ロータの回転方向に沿って横切る第一姿勢をとり、
前記錠剤を半錠にカットしないときには、前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように構成したカッタ部材を備えたことを特徴とする錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項2】
前記カッタ部材を平行移動させることにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第一駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項3】
前記カッタ部材を縦軸回りに回転駆動することにより、前記第一、第二姿勢のいずれかを選択可能とする第二駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセッタの半錠カット装置。
【請求項4】
錠剤を入れる錠剤収納部と、この錠剤収納部内に縦軸回りに回転自在に設けられ、かつ周囲に錠剤を個別に保持するための錠剤保持路が形成された錠剤保持ロータと、この錠剤保持ロータの直上に配置され、前記錠剤保持路の一部を覆う規制部材と、前記錠剤保持ロータの直下の前記規制部材に対応する位置に配置され、前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路に保持された状態で運ばれてくる錠剤を順次に排出する錠剤排出路とを備えた錠剤カセッタの半錠カット方法であって、
前記錠剤保持ロータの回転により前記錠剤保持路で保持された状態で運ばれてくる錠剤を半錠にカットするときには、カッタ部材が前記規制部材と前記錠剤排出路との間にある前記錠剤保持路を横切る第一姿勢をとるように制御し、
前記錠剤を半錠にカットしないときには、カッタ部材が前記錠剤保持路から退避した第二姿勢をとるように制御することを特徴とする錠剤カセッタの半錠カット方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−228802(P2010−228802A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80945(P2009−80945)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】
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