説明

録画装置

【課題】 録画装置において、ネットワーク経由で直接録画予約を行えるようにしつつ、省電力性を確保した録画装置およびその電源制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 録画装置の電源状態の遷移を時刻に応じて制御する電源制御手段を設けると共に、この電源制御手段が格納する電源制御情報をネットワーク経由で変更可能とする。ユーザが遠隔地より電源制御情報を録画装置に対して送出する際には電子メールを使用するが、この電源制御情報に基づいて録画装置の電源を投入し、ネットワーク経由で操作可能となった後はユーザが直接録画予約を行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を抑えながら、遠隔地からのユーザによる制御を可能とする録画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送を録画する際に用いられる録画装置において、ビデオテープに録画を行う装置の他に、ハードディスクドライブに録画を行い、DVDなどの光ディスクに録画データを保存するタイプのもの(一般にHDD/DVDレコーダとも呼ばれる)が主流となりつつある。このような録画装置は更にネットワーク接続機能を有しているものもあり、インターネットからテレビ番組表をダウンロードすることが可能となっている。
【0003】
このネットワーク接続機能は特に、ユーザが外出先から自宅の録画装置に番組録画の予約を行う際に有用である。例えば、特許文献1及び特許文献2に開示された発明のように、ユーザが電子メールを使用して外出先から自宅の録画装置に番組録画の予約を行うことが可能である。また、ユーザがインターネットを経由して直接自宅の録画装置に番組録画の予約を行うことも可能である。
【0004】
外出先から自宅の録画装置に番組録画の予約を行う際、ユーザがネットワークに接続可能な状況にあるのならばインターネットなどのネットワークを経由して直接番組録画の予約を行う方が、メールを使用して予約を行うよりもユーザにとって直感的に分かりやすい場合が多い。しかしながら、ネットワークを経由して直接番組録画の予約を行うためには、録画装置が動作状態にあってネットワークに接続可能な状態にある、すなわち電源が投入されている必要がある。一方、万が一の状況に備えて、使用しない状態が長く続くにも係わらず録画装置に電源を入れ続けておくことは電力の無駄遣いとなるおそれがある。このような問題を解決しようとした発明の例として、特許文献3に開示された発明がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−153530(第2頁請求項1、図8乃至図11)
【0006】
【特許文献2】特開2004−186720(第2頁請求項1、図2)
【0007】
【特許文献3】特開2001−290397(第2頁請求項1、図7、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の録画装置で外出先から直接ネットワーク経由で予約を行う場合に備えて常に録画装置の電源を入れておく必要があり、電力の無駄が生じるおそれがあるという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、ユーザの利便性と省電力とを両立した録画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、ビデオ信号に基づいて録画を行う録画装置であって、時刻情報を供給するタイマーと、前記録画装置の電源について投入又は切断の情報を格納する電源情報格納部と、前記電源情報格納部が格納する情報と、前記タイマーからの時刻情報に応じて、当該録画装置の電源を制御する電源制御部と、外部ネットワークに接続を行う通信制御部を具備し、前記電源情報格納部が格納する情報は、前記通信制御部を介して変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザの利便性と省電力性とを両立した録画装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る録画装置の実施形態について、以下図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示す録画装置1は、受信したビデオ情報を所定の記録媒体に記録する。また、再生要求に応じて既に記録されている情報を再生可能な情報記録再生部111、情報記録再生部111への記録および情報記録再生部111からの再生および以下に説明する各部の動作を制御するマイクロコンピュータ(MPUすなわち主制御装置)101を有する。
【0014】
情報記録再生部111は、例えばDVD(Degital Versatile Disk)規格に準拠する形で製造されたディスクに対して情報の記録および再生が可能なディスクドライブユニット113、およびディスクドライブユニット113にセットされたディスクに記録されるデータあるいはディスクから再生されたデータの一定量を一時的に保持可能なバッファリングメモリとして機能する一時記録部115を含む。なお、一時記録部115は、具体的には、記録途中でディスクの残り記録容量を使い切ってしまった場合において、ディスクが記録容量の残っているディスクに交換されるまでの間、記録対象である情報を、一時記憶しておくことに利用できる。また、本装置では、ディスクドライブユニット113に加えて、例えば大容量の情報の記録および検索(再生)に適したハードディスクドライブHDD117を具備している。
【0015】
情報記録再生部111には、入力された情報を情報記録再生部111が記録可能にエンコードするエンコーダ121、情報記録再生部111から出力された情報を、以下に説明する出力装置が表示可能にデコードするデコーダ131が接続されている。
【0016】
エンコーダ121には、記録対象である情報が外部から入力可能なAV入力部123、および例えば放送事業者等に代表される情報配信者から配信される映像および音声が受信可能なチューナ部125が接続されている。
【0017】
デコーダ131には、(デコーダ131により)デコードされた再生情報を、再生装置(テレビ)あるいはモニタ装置に代表される出力装置に供給するAV出力部133が接続されている。
【0018】
MPU101にはまた、録画装置1本体の動作に関し、曜日や日付、時刻に応じて電源を投入したり切断したりする時刻などの電源制御情報や、録画(放送)開始日時/録画(放送)終了日時、録画ソース、記録レートおよび記録方式(音声記録形式)等(以下、録画予約と略称する)の録画予約情報が、録画装置1本体もしくは付属する図示しないリモコン装置から入力可能なタイマーマイコン部141が接続されている。
【0019】
なお、タイマーマイコン部141には、録画装置1の動作の管理に利用される時刻を管理するタイマー回路(時計ユニット)143と、ユーザからの操作要求(指示)を受け付けるユーザ操作入力部145が接続されている。
【0020】
MPU101にはまた、タイマーマイコン部141に入力された情報あるいは録画装置1本体の動作状態が表示される表示部151、ネットワーク網を介して外部からの録画予約等の入力や指定された返信先に録画予約の可否を報知可能な通信制御部103および録画予約された情報等が保持可能なメモリ105が接続されている。
【0021】
MPU101は、メモリ105に記憶されている制御プログラムに従い、ディスクへの記録制御、コピー制御、削除制御、ユーザ操作入力部145を介してタイマーマイコン部141へ入力された記録再生装置の動作の変更、表示部151を用いたユーザへの表示等を制御する。
【0022】
タイマーマイコン部141とタイマー回路(時計ユニット)143は、録画装置1本体の電源が投入されていない状態でも電池を電源として駆動しており、タイマーマイコン部141は、タイマー回路143をモニタしながら、ユーザにより設定された電源制御情報を管理する。電源投入時刻に達した時点で電源制御部147に電源投入を指示し、電源切断時刻に達した時点で電源制御部147に電源切断を指示する。また、後述するように所定の間隔でメールサーバに接続する場合の電源制御も同様に行われる。
【0023】
また、録画予約の際も同様に、タイマーマイコン部141は、タイマー回路143をモニタしながら、ユーザにより設定された録画予約情報を管理し、録画予約開始時刻に達した時点でMPU101に記録開始、および録画予約終了時刻に達した時点でMPU101に記録終了を指示する。
【0024】
ユーザ操作入力部145は、ユーザからの操作要求、例えば、録画装置1の動作の変更や録画予約情報の受け付け等が可能で、図示しないがリモコン(リモートコントロール端末)からの制御信号を受け入れるデータ受信部、装置1本体の図示しない操作パネルによるユーザからの直接入力指示に対応して制御信号をタイマーマイコン部141へ出力可能な図示しない制御信号入力部を含む。
【0025】
電源制御部147は、図示しない電源供給配線を介して録画装置1内の各部に電源供給を行う。上述したように、所定の時刻に達した場合などにタイマーマイコン部141からの指示を受けて、電源の投入・切断を行う。
【0026】
図2は本発明の実施形態に係る録画装置1とネットワークとの接続について示した概略図である。図1で詳述した録画装置1はインターネット等のネットワーク網を介して入力端末3やメールサーバ5と接続可能である。入力端末3は例えば携帯電話や、ネットワーク網に接続可能なコンピュータなどを含む。メールサーバ5もネットワーク網に接続しており、上述の入力端末3が指定したアドレスが存在する場合、入力端末3からの電子メールを受信して格納することができる。
【0027】
ユーザが遠隔地にいる場合でも、入力端末3を使用可能であって、録画装置1の電源が投入されている状態であれば、入力端末3を使用して矢印201に示すように直接録画装置1に対して録画予約を行うことが可能である。
【0028】
一方、録画装置1の電源が投入されていない状態にある場合、ユーザは電子メールを使用し、一旦メールサーバ5に対して後述するように電源制御に関する設定変更のための情報を送信することができる(矢印203)。録画装置1はその後、自身が格納している電源制御情報に従って電源を投入し、予め設定された間隔でメールサーバ5に接続し、電子メールの取得を試みる。メールサーバ5に対象となる電子メールが存在した場合、録画装置1は電子メールをダウンロードする(矢印205)。録画装置1はダウンロードした電子メールの内容に従って電源制御情報の変更を行う。具体的な例については図3乃至図6を参照して説明する。
【0029】
図3は本発明の実施形態に係る録画装置1が格納する電源制御情報の例を示す図である。録画装置1はユーザがマニュアルで動作させている場合を除き、この情報に従って、電源を投入したり切断したりする。一行目の情報は、月曜日から金曜日までの間に適用する電源投入・切断に関する情報である。図3の例では月曜日から金曜日までは10:00に電源を投入し、13:00に電源を切断する設定となっている。
【0030】
二行目の情報は、土曜日と日曜日に適用する電源投入・切断に関する情報である。図3の例では土曜日と日曜日には10:00に電源を投入し、23:30に電源を切断する設定となっている。
【0031】
三行目の情報は、録画装置1がネットワーク網を介してメールサーバ5に受信メールの有無等を確認するための設定情報である。図3の例では、メール受信用のPOP3サーバとして「XXX.YYY.ZZZ」というサーバを指定している。
【0032】
「title:control」という部分では、後述するように、ユーザが遠隔地から録画装置1の電源制御情報を変更したい場合などに発送するメールのタイトルを示している。続く情報において、ユーザのメールアカウントが「aaa」、このメールアカウントでの接続に用いるパスワードが「ppp」であることを示している。
【0033】
また、末尾にある「interval:60」という情報は、この録画装置1が60分おきにメールサーバ5への接続を行うことを示している(以下、定期アクセスと称する)。この「interval:」という部分に設定された時間間隔は、一行目、二行目に記載された電源投入・切断に関する情報とは独立したものである。
【0034】
録画装置1がメールサーバ5に対して定期アクセスする際、録画装置1の電源が投入されている状態であれば、そのまま問題なく通信制御部103が接続を実行するが、録画装置1の電源が投入されていなかった場合は、あらためて電源制御部147に対してタイマーマイコン部141から電源投入の指示を発し、電源制御部147が電源を投入した後で通信制御部103が接続を実行する。もともと電源が投入されていなかった場合には、定期アクセスで通信制御部103がネットワーク網を介してメールサーバ5に接続してメールの確認を行った後、電源制御部147が電源を切断して、再び電力を節約する状態に戻るのが好ましい。
【0035】
なお、定期アクセスはあくまでもメールをダウンロードするための短時間の電源投入にとどまるため、「interval:」の部分で規定された時間では、外部ネットワークを介してユーザが直接録画装置1に対する設定変更を行うことは想定されていない。
【0036】
これらの電源制御情報は基本的にタイマーマイコン部141に格納するが、ネットワークに関連する情報部分、すなわち図3の例では3行目の情報については通信制御部103に格納しても構わない。
【0037】
具体的な動作の流れについて図4を参照して以下のように説明する。図4はユーザとネットワークサーバ(メールサーバやその他のサーバを含む)、録画装置1の相互のやり取りについて時系列で表したものである。
【0038】
まず、ユーザが録画装置1の電源制御情報を変更するための変更メールを発送する(ステップS401)。この電子メールは指定されたメールサーバに向けてネットワーク上を転送される。この段階では録画装置1の電源が投入されているとは限らず、ユーザも電源が投入されていない状態を知っている場合など、ネットワークを介して直接録画装置1にアクセスせずに、電子メールを使用するのが便利である。
【0039】
録画装置1は図3で説明したように、ネットワークサーバに対して定期アクセスを実行する(ステップS402)。ここで、サーバ上に録画装置1が格納している情報を変更するためのメールが届いている場合、録画装置1はメールの受信を行う(ステップS403)。録画装置1は続いてこのメールに含まれている情報をもとに、電源制御情報を変更する(ステップS404)。
【0040】
変更された電源制御情報にもとづき、制御情報に含まれた条件が満たされたときに録画装置1は電源を投入する(ステップS405)。この状態において、録画装置1に対するネットワークを介した直接制御が可能となる。ユーザはネットワークサーバを介して録画装置1に対して予約録画設定を行うことができる(ステップS406、S407)。また、この段階で電源制御情報を変更することも可能である。
【0041】
図5はユーザが遠隔地から録画装置1の電源制御情報を変更するために、電子メールを使用せず、ネットワークを介して接続し録画装置1に対して直接情報を送出した場合の電源制御情報の例を示す図である。
【0042】
1行目の情報は、ユーザが録画装置に情報を送るため、使用するサーバの情報を示している。この例においては、「XXX.YYY.ZZZ」というサーバを指定している。設定したい電源制御情報を含むファイル名は「control.html」である。その他の情報は上述の図3の情報と同様である。
【0043】
2行目の情報は、録画装置1の電源状態を切り替えるための電源制御情報を示している。この例では12月28日から1月3日までの間、10:00に電源を投入し、23:30に電源を切断することを情報として含んでいる。
【0044】
図6は、録画装置1が図3で例示した電源制御情報を有しているときに、ユーザが遠隔地から図5で例示したような設定を追加した場合に録画装置1に格納される電源制御情報の例を示す図である。ちょうど図3の情報と図5の情報を組み合わせた形となっている。
【0045】
録画装置1がこの情報に従って動作する場合は、曜日情報よりも日付情報を優先させるため、例えば1月1日が月曜日である場合、録画装置1は10:00に電源を投入して、23:30に電源を切断することになる。
【0046】
このようにすると、ユーザが遠隔地から録画装置1に対して直接情報を送出するために、予め電源制御情報を電子メールで送ることで録画装置1の電源を制御することができる。一般に予約録画のための情報は曜日・時刻・放送局や番組などの多くの情報を設定する必要があるため、電子メールでこれら全てを送出するのは煩雑である。しかし、電子メールで電源制御情報を送り、ユーザにとって都合の良い時間に録画装置1の電源が投入されている状態を確保できれば、ネットワーク上で間違いの少ない予約を行うことが可能となる。この例では、平日はお昼休みの時間に電源が投入されている状態にできるため、ユーザがネットワークを介して直接録画予約を行うことが可能となる。
【0047】
従来の録画装置においてこのようなことを可能とするためには常時電源を投入しておく必要があったが、本発明によれば省電力を図ることが可能である。
【0048】
なお、上述した実施例においては、電源状態として投入状態と切断状態の二種類があることをもとに説明をしたが、この他にも録画装置1の電源状態として省電力状態を含めても構わない。
【0049】
上述した実施例には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件、もしくは複数の工程における適宜な組み合わせにより種々の段階の発明が抽出され得る。例えば、実施例に示される全構成要件から幾つかの構成要件もしくは全工程から幾つかの工程を削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられる効果が得られる場合には、この構成要件もしくは工程が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る録画装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る録画装置とネットワークの構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る録画装置が格納する電源制御情報の例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る録画装置とネットワーク間のやり取りに関する動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施形態に係る録画装置が格納する電源制御情報の例を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る録画装置が格納する電源制御情報の例を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1 録画装置
101 MPU
103 通信制御部
141 タイマーマイコン部
143 タイマー回路
147 電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ信号に基づいて録画を行う録画装置であって、
時刻情報を供給するタイマーと、
前記録画装置の電源について投入又は切断の情報を格納する電源情報格納部と、
前記電源情報格納部が格納する情報と、前記タイマーからの時刻情報に応じて、当該録画装置の電源を制御する電源制御部と、
外部ネットワークに接続を行う通信制御部を具備し、
前記電源情報格納部が格納する情報は、前記通信制御部を介して変更可能であることを特徴とする録画装置。
【請求項2】
前記電源情報格納部が格納する情報を、前記通信制御部を介して変更するとき、前記通信制御部を介して前記外部ネットワークに接続している他の装置から、前記設定装置の設定を変更することが可能であることを特徴とする請求項1記載の録画装置。
【請求項3】
前記電源情報格納部が格納する情報を、前記通信制御部を介して変更するとき、前記通信制御部を介して前記外部ネットワークに接続しているメールサーバから所定のメールを受信して、当該メールに基づいて前記電源情報格納部が格納する情報を変更することが可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の録画装置。
【請求項4】
前記録画装置は更に、所定の時間間隔で前記外部ネットワークに接続しているメールサーバに対してアクセスを実行することを特徴とする請求項3記載の録画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−180832(P2007−180832A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376263(P2005−376263)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】