説明

録画装置

【課題】番組を視聴しているときに、数十秒程度放送される一過性の情報の録画が簡単な操作で行え、且つ無用な情報の録画が抑えられる録画装置を提供する。
【解決手段】録画装置1は、メモ録画にかかる入力があると、この入力よりも10秒前を録画開始タイミングに決定する。録画装置1は、一時記憶メモリ4aに、最近数十秒程度の番組のデータを記憶している。録画装置1は、決定した録画タイミングから番組を合計1分間録画する。したがって、プレゼントの宛先等、番組中に放送される一過性の情報の録画が簡単に行える。また、無駄な情報まで録画しないので、記憶媒体5の記憶容量が効率的に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビ放送信号を受信し、選局されているチャンネルで放送されている番組を記憶媒体に録画する録画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送信号を受信し、選局されているチャンネルで放送されている番組を記憶媒体に録画する録画装置があった。一般的な録画装置には、ユーザが特定のキーを操作することによって、選局されているチャンネルで放送されている番組の録画を開始する機能、所謂ワンタッチ録画機能、が設けられている。多くのユーザは、番組を視聴しているときに、後で確認したい気になる情報(例えば、プレゼントの宛先、時事用語の説明、コマーシャルメッセージ)が放送されると、このワンタッチ録画機能を利用して、この気になる情報の録画を行っている。
【0003】
また、テレビ放送信号に付加されている番組の情報種別を示すコードを利用し、情報種別毎に分けて番組を録画する装置(特許文献1参照)や、テレビ放送信号に付加されているキーワードが予め設定されているキーワードであれば、その番組を録画する装置(特許文献2参照)もある。
【特許文献1】特開2004−135273号公報
【特許文献2】特開2003−218815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、番組を視聴しているときにユーザが録画してまで残そうとする情報(上述した気になる情報)の多くは、その放送時間が数十秒程度である一過性の情報である。ワンタッチ録画機能では、録画開始にかかる入力があったときに開始した番組の録画は、録画停止にかかる入力があるまで継続される。したがって、放送されている情報が、この気になる情報から別の情報に変わったときに、ユーザが録画停止にかかる操作を忘れると、ユーザにとって無用な情報まで録画することになる。無用な情報の録画は、記憶媒体の記憶容量を無駄に使用するだけでなく、ユーザが録画した気になる情報を再生して確認するときの操作を煩雑にする。ワンタッチ録画機能では、このような無用な情報の録画を抑えるには、放送されている情報が、気になる情報から別の情報に変わったときに、ユーザ自身が録画停止にかかる操作を忘れないで行うしかなかった。すなわち、ワンタッチ録画機能は、番組を視聴しているときに数十秒程度放送される一過性の情報を録画するための機能として、ユーザの操作性を十分に考慮したものではなかった。
【0005】
この発明の目的は、番組を視聴しているときに、数十秒程度放送される一過性の情報の録画が簡単な操作で行え、且つ無用な情報の録画が抑えられる録画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の録画装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0007】
(1)選局されているチャンネルのテレビ放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組を録画する録画手段と、を備えた録画装置において、
特定の入力があったときに、前記録画手段による番組の録画を開始し、予め定めた一定時間経過後に、前記録画手段による番組の録画を停止するメモ録画制御手段を備えている。
【0008】
この構成では、メモ録画制御手段が、特定の入力があったときに、録画手段による番組の録画を開始させ、予め定めた一定時間経過後に、録画手段による番組の録画を停止させる。プレゼントの宛先、時事用語の説明、コマーシャルメッセージ等の録画にかかるユーザの操作性を向上させる点から、この一定時間については数十秒程度にするのが好ましい。これにより、ユーザは、番組を視聴しているときに数十秒程度放送される一過性の情報を録画する場合、この特定の入力を行う操作を行うだけで、自身が必要としている情報の録画が行えるとともに、自身が必要としない無駄な情報の録画が抑えられる。
【0009】
したがって、記憶媒体の記憶容量の効率的に使用できるとともに、ユーザの操作性の向上が図れる。
【0010】
(2)前記メモ録画制御手段は、前記録画手段に番組の映像を記録し、音声を記録しない。
【0011】
この構成では、音声については記録しないので、映像を確認するだけでよい情報、例えばプレゼントの宛先、の録画として利用すれば、記憶媒体の記憶容量が一層効率的に使用できる。
【0012】
(3)前記メモ録画制御手段は、前記特定の入力があったときに、複数段階の録画画質レベルの中から、前記録画手段における録画時の録画画質レベルを最低レベルに決定する手段である。
【0013】
この構成では、録画画質レベルを最低レベルにして録画するので、プレゼントの宛先等、画質を気にしない情報の録画として利用すれば、記憶媒体の記憶容量が一層効率的に使用できる。
【0014】
(4)前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組のデータを一時的に記憶し保持する一時記憶手段を備え、
前記録画制御手段は、前記特定の入力があったときに、前記一時記録手段が一時的に記憶している番組のデータを用いて、今回特定の入力があったタイミングよりも所定時間前のタイミングを録画開始タイミングにして番組の録画を行う手段である。
【0015】
この構成では、ユーザが特定の入力を行う操作を行ったタイミングよりも、所定時間前の映像から録画されるので、ユーザが録画して残そうとした情報の先頭部分が切れて録画されるのを抑えられる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、番組を視聴しているときに、数十秒程度放送される一過性の情報の録画が簡単な操作で行え、且つ無用な情報の録画が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態である録画装置について説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施形態である録画装置の主要部の構成を示す図である。この実施形態の録画装置1は、制御部2と、受信部3と、記録/再生部4と、記憶媒体5と、出力部6と、操作部7と、を備えている。制御部2は、本体各部の動作を制御する。受信部3には、テレビ放送信号を受信するアンテナ10が接続されている。受信部3は、アンテナで受信されているテレビ放送信号から、選局されているチャンネルのテレビ放送信号を抽出し、出力する。この受信部3は、アナログ放送に対応した構成であってもよいし、ディジタル放送に対応した構成であってもよいし、さらにはこれらの両方に対応した構成であってもよい。ここでは、受信部3は、ディジタル放送に対応した構成であるとして説明する。受信部3が出力するテレビ放送信号は、選局されているチャンネルで放送されている番組のデータが重畳されたシステムストリームである。また、ここでは、アンテナ10で受信されているテレビ放送信号が受信部3に入力されるとしているが、ケーブル放送等によるテレビ放送信号が受信部3に入力される構成であってもよい。
【0019】
記録/再生部4は、受信部3が出力しているチャンネルのテレビ放送信号を処理し、このチャンネルで放送されている番組を記憶媒体5に録画する。また、ここで処理した番組のデータを出力部6へ出力する。記憶媒体5は、例えばハードディスクや、DVD等の光ディスクである。また、記録/再生部4は、一時記憶メモリ4aを有している。この一時記憶メモリ4aは、選局されているチャンネルで放送されている番組のデータを一時的に記憶し、保持するための構成である。この一時記憶メモリ4aの記憶容量は、番組のデータを1分程度記憶できる大きさである。この一時記憶メモリ4aが、この発明で言う一時記憶手段に相当する。記録/再生部4は、受信部3から入力される番組のデータを一時記憶メモリ4aに記憶する。このとき、記録/再生部4は、一時記憶メモリ4aに記憶している時間的に最も古い番組のデータを、その時点で受信している番組のデータに書き換える。このため、一時記憶メモリ4aに記憶されている番組のデータは、時間的に新しい番組のデータである。また、記録/再生部4は、記憶媒体5に録画されている番組のデータを読み出して出力部6へ出力する再生機能も有している。このように、記録/再生部4は、受信部3から入力されているテレビ放送信号を処理して得た番組のデータ、または記憶媒体5から読み出した録画されている番組のデータを出力する。記録/再生部4は、番組のデータをエンコードする機能や、デコードする機能を有している。
【0020】
出力部6は、記録/再生部4から入力されている番組のデータを処理し、その番組の映像信号、および音声信号生成して出力する。出力部6には、映像を表示する表示装置11や音声を送出するスピーカ12が接続される。表示装置11は、出力部6から入力されている映像信号に基づく映像を表示する。スピーカ12は、出力部6から入力されている音声信号に基づく音声を送出する。操作部7は、ユーザが入力操作を行う操作キーや、図示していないリモコンから送られてきた制御信号を受信するリモコン受信部を有している。
【0021】
この実施形態の録画装置1は、公知の予約録画機能、およびワンタッチ録画機能に加えて、メモ録画機能を有している。予約録画機能、およびワンタッチ録画機能については、公知であるので、ここでは説明を省略する。メモ録画機能は、番組を視聴しているときに、プレゼントの宛先、時事用語の説明、コマーシャルメッセージ等、後で確認したい気になる情報が放送されたときに、その情報を録画するのに適した機能である。記憶媒体5には、予約録画機能や、ワンタッチ録画機能で録画する番組のディレクトリ(以下、第1のディレクトリと言う。)と、メモ録画機能で録画する番組のディレクトリ(以下、第2のディレクトリと言う。)とが区別して形成されている。操作部7やリモコンには、メモ録画機能による録画の開始を入力するときに操作するメモ録画キーが設けられている。この実施形態では、メモ録画機能による録画時間は1分であり、ユーザが録画停止にかかる入力操作を行う必要はない。簡単に言えば、ユーザがメモ録画機能による録画開始にかかる入力操作を行うと、録画を開始し、1分後に録画を停止する。
【0022】
以下、この発明の実施形態である録画装置1の動作について説明する。録画装置1は、受信部3で選局されているチャンネルのテレビ放送信号を抽出し、出力する。記録/再生部4は、受信部3から入力されているテレビ放送信号を処理し、選局されているチャンネルで放送されている番組のデータを抽出する。記録/再生部4は、抽出した番組の映像データ、および音声データを一時記憶メモリ4aに記憶するとともに、これらのデータを出力部6へ出力する。記録/再生部4は、上述したように、一時記憶メモリ4aに記憶している時間的に最も古い番組のデータを、その時点で受信している番組のデータに書き換える。出力部6は、記録/再生部4から入力されている映像データに基づく映像信号を生成し、表示装置11へ出力する。また、出力部6は記録/再生部4から入力されている音声データに基づく音声信号を生成し、スピーカ12へ出力する。これにより、選局されているチャンネルで放送されている番組の映像が表示装置11で表示され、この番組の音声がスピーカ12から送出される。
【0023】
なお、予約録画機能や、ワンタッチ録画機能による録画時には、記録/再生部4が選局されているチャンネルで放送されている番組のデータを記憶媒体5に記録する。この場合、番組のデータは、第1のディレクトリに記録される。また、再生時には、記録/再生部4が、記憶媒体5から読み取った番組の映像データ、および音声データを出力部6へ出力し、選局されている番組の映像データや音声データを出力しない。
【0024】
図2は、この実施形態の録画装置の動作を示すフローチャートである。ここで録画装置1の状態は、選局されている番組の映像データ、および音声データを出力部6から出力しており、番組の録画や再生を行っていない状態である。録画装置1は、本体に対するユーザの入力操作を待っている(s1)。録画装置1は、ユーザの入力操作があると、その入力内容を判断する(s2)。録画装置1は、s2でメモ録画機能による録画開始にかかる入力操作であると判断すると、メモ録画処理を行う(s3、s4)。また、メモ録画機能による録画開始以外にかかる入力操作であれば、s2で判断した内容の処理(その他の処理)を実行する(s3、s5)。s5で実行されるその他の処理としては、チャンネルの切換等がある。
【0025】
なお、メモ録画にかかる入力操作は、上述したようにメモ録画キーを操作することにより行える。
【0026】
次に、s4にかかるメモ録画処理について説明する。図3は、このメモ録画処理を示すフローチャートである。録画装置1は、録画開始タイミングを決定する(s11)。s11では、メモ録画機能による録画開始にかかる入力(この発明で言う特定の入力)があったタイミングを、録画開始タイミングとしてもよいが、この実施形態では、以下の理由から、メモ録画機能による録画開始にかかる入力があったタイミングよりも、10秒前(この発明で言う所定時間)を録画開始タイミングに決定する。
【0027】
このメモ録画機能は、番組を視聴しているときに、放送された後で確認したい気になる情報(例えば、プレゼントの宛先、時事用語の説明、コマーシャルメッセージ)を録画するための機能である。このため、ユーザが実際にメモ録画機能による録画開始にかかる入力操作を行ったときには、すでに、この気になる情報が放送されている。したがって、メモ録画機能による録画開始にかかる入力があったタイミングから録画を開始すると、この気になる情報の先頭部分が切れて録画される可能性が高い。そこで、この実施形態の録画装置1は、メモ録画機能による録画開始にかかる入力があったタイミングよりも、10秒前を録画開始タイミングに決定している。
【0028】
録画装置1は、s11で決定した録画開始タイミング以降の番組のデータを一時記憶メモリ4aから読み出して記憶媒体5に録画する処理を開始する(s12)。このとき、録画装置1は、選局されているチャンネルで放送されている番組のデータを、一時記憶メモリ4aに記憶する処理を継続している。また、番組は、第2のディレクトリに録画される。録画装置1は、s11で決定した録画開始タイミングから一定時間(ここでは1分間)分の録画が完了すると(録画終了タイミングになると)、今回の録画処理を停止し(s13、s14)、本処理を終了する。したがって、ユーザがメモ録画機能による録画開始にかかる入力操作を行うと、その入力操作が行われたタイミングよりも10秒前から、50秒後までの、合計1分間について、番組の録画行われる。したがって、番組を視聴しているときに、数十秒程度放送される一過性の情報(プレゼントの宛先、時事用語の説明、コマーシャルメッセージ等)の録画が簡単な操作で行え、且つ無用な情報の録画が抑えられる。このため、記憶媒体5の記憶容量の効率的に使用できるとともに、ユーザの操作性の向上が図れる。
【0029】
なお、メモ録画機能により録画された番組のタイトルは、ユーザが識別できるように録画日時等に基づいて自動的に付与する構成としてもよい。例えば、2006年11月30日、09時35分に録画した場合、「200611300935」をタイトルとして付与すればよい。
【0030】
また、メモ録画機能による録画の場合、映像を確認するだけでよい情報、例えばプレゼントの宛先、も多いことから、映像のみ録画し、音声を録画しない構成としてもよい。このようにすれば、記憶媒体5の記憶容量が一層効率的に使用できる。
【0031】
また、メモ録画機能による録画の場合、録画画質を最低レベルにして、録画する番組のデータ量を低減してもよい。
【0032】
さらに、上記実施形態では、メモ録画機能による番組の録画時間を1分間としたが、この時間については30秒や2分等にしてもよいし、ユーザが任意に設定できる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施形態である録画装置の主要部の構成を示す図である。
【図2】この実施形態の録画装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】メモ録画処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1−録画装置
2−制御部
3−受信部
4−記録/再生部
4a−一時記憶部
5−記憶媒体
6−出力部
7−操作部
10−表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選局されているチャンネルのテレビ放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組を録画する録画手段と、を備えた録画装置において、
前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組のデータを一時的に記憶し保持する一時記憶手段と、
特定の入力があったときに、前記一時記録手段が一時的に記憶している番組のデータを用いて、今回特定の入力があったタイミングよりも所定時間前のタイミングを録画開始タイミングにして、前記録画手段による番組の録画を開始し、予め定めた一定時間経過後に、前記録画手段による番組の録画を停止するメモ録画制御手段と、を備え、
前記メモ録画制御手段は、前記録画手段に番組の映像を記録し、音声を記録しない録画を行わせる手段であるとともに、前記特定の入力があったときに、複数段階の録画画質レベルの中から、前記録画手段における録画時の録画画質レベルを最低レベルに決定する手段である、録画装置。
【請求項2】
選局されているチャンネルのテレビ放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組を録画する録画手段と、を備えた録画装置において、
特定の入力があったときに、前記録画手段による番組の録画を開始し、予め定めた一定時間経過後に、前記録画手段による番組の録画を停止するメモ録画制御手段を備えている録画装置。
【請求項3】
前記メモ録画制御手段は、前記録画手段に番組の映像を記録し、音声を記録しない録画を行わせる手段である、請求項2に記載の録画装置。
【請求項4】
前記メモ録画制御手段は、前記特定の入力があったときに、複数段階の録画画質レベルの中から、前記録画手段における録画時の録画画質レベルを最低レベルに決定する手段である、請求項2または3に記載の録画装置。
【請求項5】
前記受信手段が受信しているテレビ放送信号のチャンネルで放送されている番組のデータを一時的に記憶し保持する一時記憶手段を備え、
前記録画制御手段は、前記特定の入力があったときに、前記一時記録手段が一時的に記憶している番組のデータを用いて、今回特定の入力があったタイミングよりも所定時間前のタイミングを録画開始タイミングにして番組の録画を行う手段である、請求項2〜4のいずれかに記載の録画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−160613(P2008−160613A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348814(P2006−348814)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】