説明

鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム、鍵管理装置、および、貨幣処理装置

【課題】不必要な鍵の使用を制限し、鍵の不正使用を防止でき、セキュリティを向上させた鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムを提供する。
【解決手段】本実施形態のシステムは、貨幣処理装置と鍵管理装置とを備え、貨幣処理装置は、該貨幣処理装置の内部へのアクセスを許可または禁止するように構成されたロック部と、ロック部の解錠を許可または禁止するように構成された複数の解錠阻止部とを備え、鍵管理装置は、ロック部を少なくとも解錠する鍵部を着脱可能に保持する鍵保持部と第1の鍵部および該第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力する入力部と、イベント情報に基づいて第1の鍵部を鍵保持部から取出し可能にするように鍵保持部を制御する制御部とを備え、解錠阻止部は、第1のロック部のみの解錠を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムおよび貨幣処理装置に係わり、例えば、金融機関において貨幣の出し入れを行いその貨幣を収納する貨幣処理装置、そのような貨幣処理装置の鍵を保管する鍵管理装置、並びに、そのような貨幣処理装置と鍵管理装置とからなるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関の店舗には、店舗内の貨幣の入金および出金を管理する様々な貨幣処理装置(例えば、窓口機、整理機、出納機、両替機、ATM等)が設けられている。このような様々な貨幣処理装置の鍵は、従来から鍵管理装置によって一元管理されていた。鍵管理装置は、複数のキーホルダーを保管し、必要に応じて特定のキーホルダーの取出しを許可するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−243055号公報
【特許文献2】特開平6−167146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の鍵が同一のキーホルダーにまとめて繋がれている実態がある。このような場合、ユーザは、或るキーホルダーに繋がれた複数の鍵のうち1つの鍵のみ必要な場合であっても、同じキーホルダーに繋がれた他の鍵を使用することが可能になってしまう。即ち、鍵管理装置は、同一のキーホルダーに繋がれた複数の鍵のうちいずれの鍵が使用されたかを管理することはできない。例えば、貨幣処理装置の外扉の鍵および貨幣の収納庫の鍵が1つのキーホルダーにまとめて繋がれている場合、ユーザは、外扉の鍵のみが必要であったとしても、収納庫にもアクセスできることになる。また、複数の貨幣処理装置の鍵が1つのキーホルダーにまとめてあった場合、ユーザは、或る貨幣処理装置の鍵のみが必要であっても、他の貨幣処理装置の内部にアクセス可能になってしまう。従って、鍵の不正使用が可能となり、セキュリティ上好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、不必要な鍵の使用を制限し、鍵の不正使用を防止することができ、セキュリティを向上させることができる鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム、鍵管理装置、並びに、貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムは、貨幣処理装置と、該貨幣処理装置と通信可能に接続され該貨幣処理装置に用いられる鍵部を保管する鍵管理装置とを備えた鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムであって、
前記貨幣処理装置は、該貨幣処理装置の内部へのアクセスを許可または禁止するように構成された複数のロック部と、前記複数のロック部の解錠を許可または禁止するように構成された複数の解錠阻止部と、前記解錠阻止部を制御する制御部とを備え、
前記鍵管理装置は、前記ロック部を少なくとも解錠する複数の鍵部を着脱可能に保持する鍵保持部と、前記複数の鍵部のうち第1の鍵部および該第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力する入力部と、前記イベント情報に基づいて前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするように前記鍵保持部を制御する制御部とを備え、
前記解錠阻止部は、前記イベント情報によって特定される前記第1のロック部のみの解錠を許可することを特徴とする。
【0007】
前記鍵管理装置は、前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報と前記ロック部に対応する鍵部を識別する鍵識別情報とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、前記イベント情報は、前記第1のロック部の前記ロック部識別情報または前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含み、前記鍵管理装置の前記制御部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするとともに、前記鍵保持部から前記第1の鍵部以外の他の鍵部の取出しを禁止してもよい。
【0008】
前記貨幣処理装置は、前記ロック部を識別するロック部識別情報を記憶する記憶部と、前記イベント情報を前記鍵管理装置から受け取る入力部とをさらに備え、前記イベント情報は、前記第1のロック部の前記ロック部識別情報または前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含み、前記解錠阻止部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部を解錠可能にするとともに、それ以外のロック部を解錠禁止にしてもよい。
【0009】
前記貨幣処理装置の前記入力部は、前記貨幣処理装置と通信接続されたインタフェースであり、前記イベント情報は、前記貨幣処理装置において生成され、前記貨幣処理装置から前記鍵管理装置へ送信してもよい。
【0010】
前記鍵管理装置の前記入力部は、前記鍵管理装置への操作によって前記イベント情報が入力され、前記イベント情報は、前記鍵管理装置から前記貨幣処理装置へ送信されてもよい。
【0011】
前記解錠阻止部は、電磁式ロックで構成されていてもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶してもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶し、
前記第1の鍵部が前記鍵管理装置に返却される前に、前記第1の鍵部が必要となる追加イベント情報が前記貨幣処理装置の前記入力部に入力された場合、前記鍵管理装置は、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部のみの解錠を許可し、その後、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記追加イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶してもよい。
【0014】
前記第1の鍵部は、複数の鍵と該鍵をまとめて保持するキーホルダーとを含み、
前記イベント情報は、前記キーホルダーに保持される鍵のうちの1つの鍵を特定してもよい。
【0015】
本発明に係る実施形態に従った鍵管理装置は、貨幣処理装置に通信可能に接続され該貨幣処理装置に用いる鍵部を保管する鍵管理装置であって、
前記貨幣処理装置の複数のロック部を少なくとも解錠する複数の鍵部を着脱可能に保持する鍵保持部と、前記鍵部のうち第1の鍵部および前記第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力する入力部と、前記イベント情報に基づいて前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするように前記鍵保持部を制御する制御部と、前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報と前記ロック部に対応する鍵部を識別する鍵識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記イベント情報を前記貨幣処理装置へ送信する送信部とを備え、
前記鍵管理装置の前記制御部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするとともに、前記鍵保持部から前記第1の鍵部以外の他の鍵部を取り出すことを禁止する。
【0016】
本発明に係る実施形態に従った貨幣処理装置は、鍵を含む鍵部を保管する鍵管理装置と通信可能に接続された貨幣処理装置であって、
前記貨幣処理装置の内部へのアクセスを許可または禁止するように構成された複数のロック部と、前記ロック部の解錠を許可または禁止するように構成された複数の解錠阻止部と、前記解錠阻止部を制御する制御部と、前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報を記憶する記憶部とを備え、
前記鍵部のうち第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力または生成し、
前記解錠阻止部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部を解錠可能にするとともに、それ以外のロック部を解錠禁止にする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム、鍵管理装置、並びに、貨幣処理装置は、不必要な鍵の使用を制限し、鍵の不正使用を防止することができ、セキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム300の概略図。
【図2】出納機100の外観を示す斜視図。
【図3】出納機100の内部構成の一例を示すブロック図。
【図4】ロック部34および解錠阻止部44の構成の一例を示す図。
【図5】鍵管理装置200の構成を示す斜視図。
【図6】鍵管理装置200の内部構成を示すブロック図。
【図7】キーホルダー204および鍵400の構成を示す図。
【図8】第1の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムの動作を示すフロー図。
【図9】第1の実施形態の変形例によるシステムの動作を示すフロー図。
【図10】本発明に係る第2の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムの動作を示すフロー図。
【図11】第2の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムの動作を示すフロー図。
【図12】第2の実施形態の変形例によるシステムの動作を示すフロー図。
【図13】第2の実施形態の変形例によるシステムの動作を示すフロー図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム300の概略図である。このシステム300は、銀行等の金融機関の店舗内に設置されており、出納機100および鍵管理装置200を備えている。出納機100および鍵管理装置200は互いにLAN(Local Area Network)等によって通信可能に接続されている。
【0021】
貨幣処理装置としての出納機100は、貨幣を収納することができるように構成されている。鍵管理装置200は、出納機100に使用される鍵を保管するように構成されている。鍵管理装置200に対して複数の出納機100が通信可能に接続されていてもよい。
【0022】
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。出納機100は、例えば、銀行等の金融機関の店舗内に配置され、その店舗内の現金の在高を管理する。出納機100は、貨幣を入金または出金することができる。
【0023】
出納機100は、束紙幣出金口108を有する束紙幣出金装置114と、紙幣投入口109及び紙幣出金口110を有するバラ紙幣入出金装置115と、包装硬貨出金口111を有する包装硬貨出金装置116と、硬貨出金口112及び硬貨投入口113を有するバラ硬貨入出金装置117と、現金外ボックス118と、ターミナル部103と、出納機の各種操作用のキーを具備する操作部104と、操作者の身分確認に使用されるIDカード用のIDカードリーダ101と、エラーなどの各種画面を表示するための表示部102と、伝票に印字を行うためのプリンタ105とを備えている。尚、表示部102は、タッチパネル式にすることによって、操作部104の機能も兼ね備えることができる。
【0024】
束紙幣出金装置114、バラ紙幣入出金装置115、包装硬貨出金装置116およびバラ硬貨入出金装置117は、それぞれ貨幣を収納する収納庫114a〜117aを内部に備えている。また、束紙幣出金装置114、バラ紙幣入出金装置115、包装硬貨出金装置116およびバラ硬貨入出金装置117は、それぞれ外カバー24〜27によって覆われており、それらの内部の収納庫114a〜117aには外カバー24〜27を開けないとアクセスできないように構成されている。
【0025】
複数のロック部34〜37がそれぞれ外カバー24〜27を施錠しており、複数のロック部34〜37はそれぞれ異なる鍵で解錠可能となっている。また、複数のロック部134〜137が収納庫114a〜117aを施錠しており、複数のロック部134〜137はそれぞれ異なる鍵で解錠可能となっている。
【0026】
図3は、出納機100の内部構成の一例を示すブロック図である。出納機100は、さらに、制御部120、ROM(Read Only Memory)130、RAM(Random Access Memory)140、ハードディスクドライブ160、インタフェース170および解錠阻止部35を備えている。
【0027】
制御部120は、CPU等で構成され、ROM130またはハードディスクドライブ160に格納されたプログラムに従って出納機100の全体を制御する。
【0028】
記憶部としてのROM130またはハードディスクドライブ160(以下、記憶部130、160ともいう)は、各種プログラム、在高情報、日時情報、ロック部識別情報等の情報を記憶している。RAM140は、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となる。
【0029】
インタフェース170は、図1に示すように出納機100と鍵管理装置200とを通信可能に接続する。例えば、出納機100と鍵管理装置200とは、無線LAN、光LAN等で通信可能なように接続されている。出納機100は、インタフェース19を介して、鍵管理装置200から様々な情報を受け取り、あるいは、鍵管理装置200に対して様々な情報を送信することができる。
【0030】
束紙幣出金装置114、バラ紙幣入出金装置115、包装硬貨出金装置116、および、バラ硬貨入出金装置117は、それぞれ貨幣を収納する収納庫114a〜117aを備えている。収納庫114aは束紙幣を収納し、収納庫115aはバラ紙幣を収納し、収納庫116aは包装硬貨を収納し、収納庫117aはバラ硬貨を収納している。各装置115、117は、表示部102または操作部104で入力された指示に従って、それぞれの入金口109、113に投入された貨幣を収納庫115a、117aへ搬送し、その貨幣を収納するように構成されている。また、各装置114〜117は、表示部102または操作部104で入力された指示に従って、それぞれの収納庫114a〜117aに収納された貨幣を出金口108、110〜112へ搬送し、その貨幣を投出することができるように構成されている。
【0031】
ロック部34〜37は、図2に示すように、外カバー24〜27を施錠/解錠するために設けられており、収納庫114a〜117aへのアクセスを許可または禁止するように構成されている。ロック部134〜137が、収納庫114a〜117aにも設けられており、収納庫114a〜117aの取出しを制限したり、あるいは、収納庫114a〜117aの開閉を制限する。ロック部34〜37、134〜137は、機械的な錠、電磁ロック等のいずれでもよい。
【0032】
解錠阻止部44〜47、144〜147は、各ロック部34〜37、134〜137に対応して設けられており、ロック部34〜37、134〜137の解錠を許可または禁止するように構成されている。制御部120は、解錠阻止部44〜47、144〜147を制御して、ロック部34〜37、134〜137の解錠を許可または禁止することができる。解錠阻止部44〜47、144〜147がロック部34〜37、134〜137の解錠を許可すると、操作者は、対応するロック部34〜37、134〜137を鍵で解錠することができる。これにより、操作者は、外カバー24〜27を開き、装置114〜117の内部へアクセスすることができ、あるいは、収納庫114a〜117aを取出すことできる。制解錠阻止部44〜47、144〜147がロック部34〜37、134〜137の解錠を禁止している場合には、操作者は、鍵でロック部34〜37を解錠することができない。これにより、操作者は、装置114〜117の内部へアクセスすることができず、あるいは、収納庫114a〜117aを取出すことができない。
【0033】
解錠阻止部44〜47、144〜147は、複数のロック部34〜37、134〜137のうち任意のロック部の解錠を許可することができる。例えば、制御部120は、解錠阻止部44を制御して、束紙幣出金装置114の外カバー25のロック部34のみを解錠可能にし、他のロック部35〜37、134〜137を解錠禁止にすることができる。
【0034】
図4は、ロック部34および解錠阻止部44の構成の一例を示す図である。他のロック部35〜37、134〜137の構成および他の解錠阻止部45〜47、144〜147の構成は、それぞれロック部34および解錠阻止部44の構成と同様でよいので、それらの説明を省略する。解錠阻止部44は、ロック部34に対応して設けられており、ロック部34の解錠を許可または禁止するように構成されている。
【0035】
ロック部34は、支承杆323と、カム325と、ロック板327と、電磁ソレノイド329と、ラッチングソレノイド331とを備えている。
【0036】
支承杆323は、支軸335を支点として揺動可能に構成されている。軸339は、鍵穴337に挿入された鍵により、回動するようになっている。カム325は、軸339に固定されており、鍵穴337の回転に伴って回転するように構成されている。カム325は、凸部325aを有しており、回転によって支承杆323の左端を押し下げるように構成されている。
【0037】
支承杆323の右端には、連動杆343が接続されている。連動杆343の下端には、ロック板327が接続されている。ガイド板347は、出納機100に固定されており、ガイド板347は、ロック板327を図4の上下方向にスライドできるように保持している。
【0038】
バネ349が連動杆343と出納機100との間に配設されており、バネ349は連動杆343を図4の下方向に付勢している。従って、支承杆323の右端は、バネ349により下方向に付勢され、支承杆323の左端は、上方向に付勢されている。これにより、支承杆323の左端は、カム325に弾性的に接触するので、支承杆323の左端は、カム325の回転に伴って凸部325aによって押し下げられ、かつ、カム325を元に戻すとカム325に接触しながら上昇する。
【0039】
ロック板327の下端は、支承杆323が水平に保持された状態において、外カバー224に設けられた切欠351に挿入されている。これにより、外カバー24は、ロックされており、開けることができない。なお、図4中の一点鎖線は、外カバー24の上端を示している。
【0040】
解錠阻止部44は、連動杆353と、駆動軸329aと、電磁ソレノイド329とを備えている。連動杆353は、支承杆323の支軸335と左端との間に接続されている。電磁ソレノイド329は、連動杆353に接続された駆動軸329aが上下方向に動作することを可能とし、あるいは、駆動軸329aが上下方向に動作しないように固定する。電磁ソレノイド329が駆動軸329aの動作を可能とする場合には、支承杆323が揺動可能となり、ロック部34は、鍵で解錠可能となる。即ち、この場合、解錠阻止部44は、ロック部34の解錠を許可した状態になる。電磁ソレノイド329が駆動軸329aを固定している場合には、支承杆323は揺動不可となり、ロック部34は鍵で解錠できない。即ち、この場合、解錠阻止部44は、ロック部34の解錠を禁止した状態になる。このように、解錠阻止部44は、ロック部34の解錠を許可/禁止することができる。
【0041】
ラッチングソレノイド331は、上下方向にスライドする作動杆359を備える。ラッチングソレノイド331は、作動杆359がカム325によって下方へ押し下げられたり、バネ349によって上方へ押し戻されたりした場合に、それぞれの位置で作動杆359を保持するように構成されている。尚、バネ349が作動杆359を上方へ押し戻すことができるように、ラッチングソレノイド331が作動杆359を保持する力は、バネ349の弾性力よりも弱いものとする。
【0042】
このような構成により、ロック部34は、鍵を用いてカム325を回転させることによって、外カバー24を解錠することができる。解錠阻止部44は、電磁ソレノイド329の制御によってロック部34の解錠を許可/禁止することができる。
【0043】
図5は、鍵管理装置200の構成を示す斜視図である。鍵管理装置200は、扉202にて開閉される鍵収納部203を備える。鍵収納部203には、複数の鍵保持部205が設けられている。鍵保持部205は、ロック部34〜37、134〜137を解錠しあるいは施錠する複数の鍵400を着脱可能に保持する。より詳細には、鍵400は、キーホルダー204に繋がれており、鍵保持部205は、キーホルダー204を保持し、キーホルダー204を介して鍵400を保持する。鍵保持部205は、キーホルダー204の取出しを許可/禁止することができるようにロック機構224(図6参照)を有する。鍵保持部205は、特定のキーホルダー204の取出しを許可する場合、他のキーホルダー204の取出しを禁止することができる。キーホルダー204のロック機構224については、当業界において周知の技術であるので、その詳細な説明を省略する。
【0044】
鍵使用状態表示部206が鍵保持部205に対応して設けられている。鍵使用状態表示部206は、キーホルダー204が鍵保持部205に挿入されているときには消灯しており、キーホルダー204が鍵保持部205から取出されているときには点灯するように構成されている。
【0045】
緊急解錠部207は、緊急時に全てのキーホルダー204を鍵保持部205から取出し可能とするために設けられている。プリンタ208は、鍵400の使用状況を示すログを印刷するために設けられている。
【0046】
開閉検知部212は、扉202の開状態/閉状態を検知するように構成されている。開閉検知部212は、扉202を閉じたときに、扉202に設けられた検知突起部213が挿入されることによって扉202の閉状態を検知し、扉202を開いたときに、扉202に設けられた検知突起部213が抜き出されることによって、扉202の開状態を検知するように構成されている。
【0047】
カードリーダ215は操作者のIDカードを読み取るために設けられている。操作者が情報を鍵管理装置200へ入力するために表示部216および操作部217が設けられている。操作部217は、例えば、キーボード式入力部である。表示部216は、例えば、タッチパネル式液晶表示装置でもよい。この場合、操作部217を省略して、操作者は表示部216から情報を入力してもよい。
【0048】
緊急解扉部218は、緊急時に扉202を開けるために設けられている。219は、電源スイッチである。
【0049】
このような構成により、鍵管理装置200は、任意の鍵400(キーホルダー204)を鍵保持部205から取出し可能にし、その他の鍵を鍵保持部205から取り出すことを禁止することができる。
【0050】
図6は、鍵管理装置200の内部構成を示すブロック図である。鍵管理装置200は、さらに、制御部221と、記憶部222と、警告部226と、通信インタフェース225とを備えている。
【0051】
記憶部222は、鍵400の取出しおよび返却に関する鍵使用状況のデータ等を記憶する。記憶部222は、鍵管理装置200内の鍵保持部205の識別情報と、鍵保持部205に一対一で対応するキーホルダー204のキーホルダー識別情報と、出納機100の各ロック部34〜37、134〜137を識別するロック部識別情報と、ロック部34〜37、134〜137に対応する複数の鍵400を識別する鍵識別情報と、鍵管理装置200を使用可能な操作者のID情報と、後述するイベントコードとを格納している。キーホルダー204の識別情報は、各キーホルダー204に繋がれた鍵400の鍵識別情報と互いに関連付けされている。また、鍵400の鍵識別情報は、ロック部識別情報と互いに関連付けられている。つまり、鍵保持部205の識別情報、キーホルダー204の識別情報、鍵400の鍵識別情報およびロック部識別情報は、互いに関連付けられている。よって、鍵保持部205からキーホルダー204が取出された場合、鍵管理装置200は、そのキーホルダー204を特定できるだけでなく、取出されたキーホルダー204に繋がれた単数または複数の鍵400、および、それらの鍵400に対応する出納機100のロック部34〜37、134〜137を特定することができる。
【0052】
また、記憶部222は、鍵管理装置200を使用可能な操作者のID情報を格納しているので、操作者によって使用可能な鍵400を制限することができる。例えば、鍵管理装置200の操作者が一般行員である場合、制御部221は、鍵保持部205から取出し可能な鍵400を制限することができる。一方、鍵管理装置200の操作者が役席者である場合、制御部221は、鍵保持部205から取出し可能な鍵400を制限することなく、全ての鍵400を取出し可能にすることができる。
【0053】
さらに、記憶部222は、キーホルダー204または鍵400の使用状況を示すログを全て記憶する。
【0054】
通信インタフェース225は、出納機100と通信可能に接続されている。従って、鍵管理装置200は、鍵保持部205から或るキーホルダー204が取出された場合、そのキーホルダー204に繋がれた単数または複数の鍵400の鍵識別情報および該鍵400に対応するロック部識別情報を出納機100へ送信することができる。
【0055】
警告部226は、キーホルダー204が鍵保持部205から強制的に抜き取られた場合等のように緊急時に警告音または警告表示等を発生するように構成されている。
【0056】
図7は、鍵部としてのキーホルダー204および鍵400の構成を示す図である。キーホルダー204は、リンク部230によって鍵400と繋がれている。リンク部230は、鍵400をキーホルダー204から取り外せないように構成されている。図7では、1つのキーホルダー204に対して複数の鍵400が繋がれている。実際には、このように複数の鍵400ごとにキーホルダー204を割り当てることが多い。1つのキーホルダー204に繋がれる複数の鍵400の組み合わせは任意である。例えば、外カバー24のロック部34に対応する鍵と収納庫114aのロック部134に対応する鍵とを1つのキーホルダー204にまとめてもよい。つまり、外カバーの鍵とそれに対応する収納庫の鍵とをそれぞれ1つのキーホルダー204にまとめてもよい。あるいは、外カバー24〜27のロック部34〜37の鍵を1つのキーホルダー204にまとめてもよい。
【0057】
図8は、第1の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムの動作を示すフロー図である。通常業務において単に貨幣を入金または出金する場合には、鍵400は不要である。しかし、出納機100においてイベントが発生した場合には、操作者は、鍵400で外カバー24〜27のいずれかを開け、さらに、収納庫114a〜117aにアクセスする必要がある。
【0058】
イベントとは、業務の締め時に貨幣の装填/回収のために収納庫114a〜117aを取り外すこと(第1のイベント)、業務の開始時に貨幣の装填/回収のために収納庫114a〜117aを取り付けること(第2のイベント)、紙幣詰まり等のエラー(第3のイベント)、保守点検作業(第4のイベント)等、鍵400を必要とする事象である。各イベントには、イベントコードが付されている。イベントコードは、各イベントを区別するための識別情報である。各イベントの実行または解決のために必要な鍵400およびロック部34〜37、134〜137は或る程度限定される。従って、鍵管理装置200の記憶部222は、イベントコードを鍵識別情報およびロック部識別情報に関連付けて格納している。
【0059】
例えば、第1および第2のイベントの場合、外カバー24〜27のロック部34〜37に対応する鍵および収納庫114a〜117aのロック部144〜147に対応する鍵の両方が必要となる。従って、第1および第2のイベントのイベントコードは、ロック部34〜37、134〜137のロック部識別情報と関連付けられている。第3および第4のイベントの場合、外カバー24〜27を開ける必要はあるが、収納庫114a〜117aを取り外す必要はない。従って、第3および第4のイベントのイベントコードは、ロック部34〜37のロック部識別情報と関連付けられているが、収納庫114a〜117aに対応する鍵およびロック部144〜147のロック部識別情報とは関連付けられていない。
【0060】
出納機100においてイベントが発生すると、まず、出納機100は、イベントの内容およびイベントの発生箇所を表示部102に表示する。操作者は、イベントの内容および発生箇所を把握すると、鍵を取出すために、鍵管理装置200のカードリーダ215に自己のIDカードを通す。カードリーダ215が操作者のID情報を読み取る(S10)。鍵管理装置200は、カードリーダ215で読み取ったID情報と記憶部222に格納されたID情報とを比較し、その操作者が鍵管理装置200の使用許可者であるか否かを判定する(S20)。操作者が鍵管理装置200の使用許可者でない場合には、鍵管理装置200は、操作者が鍵400を使用できない旨を表示部216に表示し、終了する。
【0061】
操作者が鍵管理装置200の使用許可者である場合には、鍵管理装置200は、操作者にイベントコードの入力を要求する(S30)。操作者が操作部217または表示部(タッチパネル)216を操作してイベントコードを入力すると、鍵管理装置200は、扉202を解錠する(S40)。このとき、イベントの種類はイベントコードによって特定されているので、取出し可能な鍵400およびキーホルダー204は、或る程度限定される。
【0062】
次に、鍵管理装置200は、イベントの生じた箇所のロック部識別情報、イベントの生じた箇所に対応する鍵の鍵識別情報、あるいは、イベントの生じた箇所に対応する鍵を保持するキーホルダーの識別情報のいずれかの入力を操作者に要求する(S50)。尚、本実施形態によるシステムに複数の貨幣処理装置が含まれている場合、鍵管理装置200は、貨幣処理装置を特定するための装置識別情報の入力も要求する。この場合、装置識別情報も予め記憶部222に格納されている。
【0063】
操作者が、操作部217または表示部216を操作して、ロック部識別情報、鍵識別情報、あるいは、キーホルダー識別情報のいずれかを入力すると、鍵管理装置200の鍵保持部205は、入力されたロック部識別情報、鍵識別情報、あるいは、キーホルダー識別情報によって特定される鍵400およびキーホルダー204の取出しを許可する(S60)。鍵保持部205は、その他のキーホルダー204の取出しを禁止する。以下、鍵管理装置200に入力されたイベントコード、並びに、ロック部識別情報、鍵識別情報、あるいは、キーホルダー識別情報を、便宜的に“イベント情報”とも言う。
【0064】
このように、鍵管理装置200の制御部221は、鍵400またはキーホルダー204を特定することができるイベント情報に基づいて、特定の鍵400および特定のキーホルダー204のみの取出しを許可するように鍵保持部205を制御する。以下、便宜的に、イベント情報によって取出し可能になった鍵400およびキーホルダー204を、それぞれ第1の鍵400および第1のキーホルダー204も言う。
【0065】
操作者は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵保持部205から取出し、イベントが発生した出納機100へ向かう。
【0066】
鍵管理装置200は、ロック部識別情報を含むイベント情報を出納機100へ送信する(S70)。イベント情報の送信は、操作者によるイベント情報の入力をトリガーとして実行されてもよく、あるいは、操作者による第1の鍵400および第1のキーホルダー204の取出しをトリガーとして実行されてもよい。
【0067】
出納機100の記憶部130、160は、ロック部識別情報を格納しているので、出納機100は、ロック部識別情報を含むイベント情報によって、第1の鍵400に対応するロック部(以下、第1のロック部とも言う)を特定することができる。よって、出納機100がイベント情報を受け取ると、解錠阻止部44〜47、144〜147は、イベント情報によって特定される第1のロック部のみの解錠を許可する(S80)。尚、代替的に、出納機100の記憶部130、160は、鍵管理装置200の記憶部222と同様に、ロック部識別情報、鍵識別情報およびキーホルダー識別情報を互いに関連付けて格納していてもよい。これにより、鍵管理装置200が送信するイベント情報は、イベントコードの他、ロック部識別情報、鍵識別情報またはキーホルダー識別情報のいずれかの情報を有すればよく、このようなイベント情報によって出納機100は第1のロック部を特定することができる。
【0068】
例えば、第1のロック部がロック部34であるとする。第1のロック部34は、第1の鍵400と対応しており、第1の鍵400によって解錠することができる。ここで、上述の通り、第1のキーホルダー204は、第1の鍵を含む複数の鍵を保持している場合がある。この場合、第1の鍵以外の鍵は不要であるにもかかわらず、操作者は、第1の鍵以外の鍵を使用することができる。しかし、本実施形態によるシステムでは、解錠阻止部44〜47、144〜147は、イベント情報によって特定される第1のロック部34のみの解錠を許可し、その他のロック部35〜37、134〜137の解錠を禁止する。これにより、操作者は、第1のロック部34のみを第1の鍵で解錠することができるが、第1のロック部34以外のロック部35〜37、134〜137を解錠することはできない。その結果、本実施形態によるシステムは、不必要な鍵の使用を制限し、鍵の不正使用を防止することができる。
【0069】
操作者が、第1の鍵400を使用して第1のロック部34を解錠し、外カバー24を開け、束紙幣出金装置114において生じたイベントを解消する(S90)。
【0070】
次に、外カバー24を閉じて第1のロック部34を施錠した(S95)後、操作者が第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵管理装置200へ戻す(S100)。尚、第1のロック部34は、外カバー24を閉じることで、自動で施錠するように構成してもよい。出納機100の解錠阻止部44は、第1のロック部34の施錠をトリガーとして、第1のロック部34を解錠禁止にする。鍵管理装置200では、第1のキーホルダー204が鍵保持部205へ差し込まれると、鍵管理装置200は、イベント情報(イベントコード、第1の鍵400の鍵識別情報、第1のキーホルダー204の識別情報、および、ロック部34のロック部識別情報)と、第1の鍵400の取出し日時と、第1の鍵400の返却日時と、操作者のID情報とを関連付けて記憶部222へログとして格納する(S110)。イベントごとのログは、全て記憶部222に格納されている。そして、プリンタ208は、必要に応じてイベントのログを印刷する。
【0071】
操作者が扉202を閉じることによって、鍵管理装置200は、扉202をロックする。これにより、本実施形態によるシステムの一連の動作が終了する。
【0072】
本実施形態によるシステムは、第1のキーホルダー204が複数の鍵を保持している場合であっても、解錠阻止部が、第1の鍵に対応する第1のロック部のみの解錠を許可し、その他のロック部の解錠を禁止する。これにより、操作者は、第1のロック部のみを解錠することができ、第1のロック部以外のロック部を解錠することはできない。その結果、本実施形態は、不必要な鍵の使用を防止し、鍵の不正使用を防止することができ、それによりセキュリティを向上させることができる。
【0073】
出納機100が第1の鍵に対応する第1のロック部のみの解錠を許可し、その他のロック部の解錠を禁止する。これにより、鍵管理装置200は、第1の鍵の持ち出し時間を、タイマー等を用いて制限する必要がなくなる。しかし、勿論、制御部221は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204が取出されてから第1の鍵400および第1のキーホルダー204が返却されるまでの時間をタイマーによって監視してもよい。第1の鍵400および第1のキーホルダー204が取出されてから所定時間経過した場合、警告部226が、アラームを発してもよい。これにより、第1の鍵400および第1のキーホルダー204の持ち去りを防止できる。
【0074】
さらに、出納機100が第1の鍵に対応する第1のロック部のみの解錠を許可し、その他のロック部の解錠を禁止するので、たとえ、第1の鍵以外の鍵の合鍵が存在する場合であっても、不正を未然に防止することができる。
【0075】
(第1の実施形態の変形例:追加イベントの発生)
ステップS100において第1の鍵400および第1のキーホルダー204が鍵管理装置200へ返却される前に、第1の鍵400が必要となる追加イベントが発生する場合がある。このような場合、操作者は、第1の鍵400を返却すること無く、第1の鍵400を使用できれば便利である。
【0076】
そこで、本変形例による鍵管理装置200は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵管理装置200へ返却する前に、追加イベントが発生した場合、追加イベントのイベントコードの入力を条件に、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を引き続き使用することを許可する。
【0077】
図9は、第1の実施形態の変形例によるシステムの動作を示すフロー図である。第1の鍵400を必要とする追加イベントが発生した場合、操作者は、イベントコード(以下、追加イベントコードとも言う)を入力する(S120)。
【0078】
鍵管理装置200は、追加イベントコードに基づいて、第1のロック部34のロック部識別情報を含む“追加イベント情報”を出納機100へ送信する(S130)。追加イベントコードの内容は、実質的にはステップS70で送信したイベントコードと同じでもよい。
【0079】
出納機100は、第1の実施形態と同様にステップS80〜S95を実行すればよい。これにより、操作者は、第1のロック部34を第1の鍵400で解錠し、追加イベントを解消することができる。
【0080】
その後、操作者が第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵管理装置200へ戻す(S140)。第1のキーホルダー204が鍵保持部205へ差し込まれると、鍵管理装置200は、イベント情報と、追加のイベント情報と、第1の鍵400の取出し日時と、第1の鍵400の返却日時と、操作者のID情報とを関連付けて記憶部222へログとして格納する(S150)。
【0081】
本変形例によれば、追加イベントが発生した場合に、操作者は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を一旦返却すること無く、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を引き続き使用することができる。従って、本変形例によるシステムは、鍵の使用について利便性を向上させることができる。
【0082】
(第2の実施形態)
図10は、本発明に係る第2の実施形態に従った鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムの動作を示すフロー図である。第2の実施形態によるシステムの構成は、第1の実施形態によるシステムの構成と同様でよい。
【0083】
第1の実施形態では、イベント情報は、操作者によって鍵管理装置200へ入力されている。しかし、第2の実施形態では、イベント情報は、出納機100において生成され、出納機100から鍵管理装置200へ送信される。イベント自体は、出納機100において発生するため、出納機100はイベント情報を作成することができる。例えば、出納機100の貨幣の搬送路において紙幣が詰まった場合、出納機100は第3のイベントのイベントコードおよびそのイベントが発生した箇所のロック部に対応するロック部識別情報を生成することができる。この場合、出納機100の記憶部130、160は、イベントコードおよびロック部識別情報を予め格納している。
【0084】
出納機100がイベント情報を生成すると(S200)、出納機100は、イベント情報を鍵管理装置200へ送信する(S210)。
【0085】
鍵管理装置200は、出納機100からイベント情報を入力し(S220)、図8のステップS10、S20、S60〜S110を実行する。ステップS20において、操作者が鍵管理装置200の使用許可者でない場合には、ステップS10へ戻り、鍵管理装置200は、再度、操作者にID情報の入力を要求する。
【0086】
尚、図11に示すように、ステップS210の実行とともに、出納機100の制御部120は、出納機100で生成されたイベント情報を直接用いて、イベントが発生した箇所のロック部を解錠可能にするために解錠阻止部を制御してもよい。この場合、鍵管理装置200は、ステップS70におけるイベント情報の送信をスキップすることができる。
【0087】
第2の実施形態では、出納機100がイベント情報を生成するので、操作者がイベント情報を鍵管理装置200へ入力する必要がない。よって、操作者による操作が第1の実施形態より簡単になる。
【0088】
第2の実施形態は、第1のキーホルダー204が複数の鍵を保持している場合であっても、解錠阻止部が、第1の鍵に対応する第1のロック部のみの解錠を許可し、その他のロック部の解錠を禁止することができる。これにより、第2の実施形態も、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第2の実施形態の変形例:追加イベントの発生)
本変形例による鍵管理装置200は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵管理装置200へ返却する前に、追加イベントが発生した場合、出納機100は、追加イベント情報をさらに生成し、追加イベント情報を鍵管理装置200へ送信する。鍵管理装置200は、追加イベント情報に基づいて、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を引き続き使用することを許可する。
【0090】
図12は、第2の実施形態の変形例によるシステムの動作を示すフロー図である。第1の鍵400を必要とする追加イベントが発生した場合、出納機100は、追加イベント情報をさらに生成する(S300)。そして、出納機100は、その追加イベント情報を鍵管理装置200へ送信する(S310)。追加イベント情報の内容は、実質的にはステップS70で送信したイベント情報と同じでよい。
【0091】
鍵管理装置200は、追加イベント情報を出納機100から受け取る(S320)。追加イベント情報に従って、鍵管理装置200は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204の取出しの許可状態をそのまま維持する(S330)。鍵管理装置200は、追加イベント情報を出納機100へ送信する(S130)。
【0092】
出納機100は、第2の実施形態と同様にステップS80〜S95を実行すればよい。これにより、操作者は、第1のロック部34を第1の鍵400で解錠し、追加イベントを解消することができる。
【0093】
その後、操作者が第1の鍵400および第1のキーホルダー204を鍵管理装置200へ戻す(S140)。第1のキーホルダー204が鍵保持部205へ差し込まれると、鍵管理装置200は、イベント情報と、追加のイベント情報と、第1の鍵400の取出し日時と、第1の鍵400の返却日時と、操作者のID情報とを関連付けて記憶部222へログとして格納する(S150)。
【0094】
本変形例によれば、追加イベントが発生した場合に、操作者は、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を一旦返却すること無く、第1の鍵400および第1のキーホルダー204を引き続き使用することができる。従って、本変形例によるシステムは、鍵の使用について利便性を向上させることができる。
【0095】
尚、図13に示すように、ステップS310の実行とともに、出納機100の制御部120は、出納機100で生成されたイベント情報を直接用いて、イベントが発生した箇所のロック部を解錠可能にするために解錠阻止部を制御してもよい。この場合、出納機100の制御部120は、出納機100で生成されたイベント情報に基づいて、イベントが発生した箇所のロック部を解錠可能にするために解錠阻止部を制御する。鍵管理装置200は、ステップS130におけるイベント情報の送信をスキップすることができる。
【0096】
以上の第1から第3の実施形態において、出納機100および鍵管理装置200は、さらに操作者のID情報によって使用可能なロック部および鍵を制限してもよい。例えば、一般行員(下位権限者)は、外カバー24〜27のロック部34〜37を解錠する権限を有するが、収納庫114a〜117aのロック部134〜137を解錠する権限を有しない場合がある。この場合、一般行員のID情報が入力されると、鍵管理装置200は、ロック部34〜37に対応する鍵を取出し可能とし、ロック部134〜137に対応する鍵を取出し禁止とする。
【0097】
そして、イベント情報は、操作者のID情報をさらに含む。これにより、一般行員のID情報が入力された場合に、出納機100の制御部120は、ロック部34〜37の解錠を可能にするように解錠阻止部44〜47を制御し、ロック部134〜137の解錠を禁止するように解錠阻止部144〜147を制御する。
【0098】
役席者(上位権限者)のID情報が入力された場合には、出納機100および鍵管理装置200は、使用可能なロック部および鍵を制限しない。
【0099】
尚、一般行員が使用できる鍵と一般行員が使用できない鍵(役席者のみ使用が許可されている鍵)とが1つのキーホルダー204に繋がれている場合がある。例えば、上記の例では、ロック部34および134に対応する2つの鍵が1つのキーホルダー204に繋がれている場合がある。このような場合、一般行員は、ロック部34のみを解錠するためにキーホルダー204を取り出すと、ロック部134に対応する鍵も使用可能になってしまう。しかし、上記第1から第3の実施形態は、操作者が一般行員である場合、出納機100において解錠阻止部144〜147がロック部134〜137の解錠を禁止している。従って、ロック部34および134に対応する2つの鍵が1つのキーホルダー204に繋がれていても、一般行員は、ロック部134を解錠することができない。これにより、上記実施形態は、鍵の不正使用をより効果的に防止することができる。
【0100】
上記実施形態によるシステムは、1つの出納機100が貨幣処理装置として鍵管理装置200に接続されている。しかし、複数の出納機100が鍵管理装置200に接続されていてもよい。また、出納機100だけでなく、窓口機、整理機、出納機、両替機、ATM等が貨幣処理装置として鍵管理装置200に接続されていてもよい。この場合、イベントの生じた貨幣処理装置のロック部のみの解錠が許可され、他の貨幣処理装置のロック部の解錠は禁止状態を維持する。これにより、複数の貨幣処理装置の鍵が1つのキーホルダー204にまとめて繋がれていても、操作者は、イベントの生じた貨幣処理装置のロック部のみ解錠することができ、他のロック部を解錠することはできない。その結果、不必要な鍵の使用を制限し、鍵の不正使用を防止することができる。
【符号の説明】
【0101】
100・・・出納機、200・・・鍵管理装置、300・・・鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム
101・・・IDカードリーダ、102・・・表示部、104・・・操作部、108・・・束紙幣出金口、109・・・紙幣投入口、110・・・紙幣出金口、111・・・包装硬貨出金口、112・・・硬貨出金口、113・・・硬貨投入口、114・・・束紙幣出金装置、115・・・バラ紙幣入出金装置、116・・・包装硬貨出金装置、117・・・バラ硬貨入出金装置、24〜27、34〜37・・・外カバー、114a〜117a・・・収納庫、134〜137・・・ロック部、44〜47、144〜147・・・解錠阻止部、120・・・制御部、130、160・・・記憶部、170・・・通信IF、202・・・扉、203・・・鍵収納部、204・・・キーホルダー、205・・・鍵保持部、400・・・鍵、221・・・制御部、222・・・記憶部、215・・・カードリーダ、216・・・表示部、217・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣処理装置と、該貨幣処理装置と通信可能に接続され該貨幣処理装置に用いられる鍵部を保管する鍵管理装置とを備えた鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステムであって、
前記貨幣処理装置は、該貨幣処理装置の内部へのアクセスを許可または禁止するように構成された複数のロック部と、前記複数のロック部の解錠を許可または禁止するように構成された複数の解錠阻止部と、前記解錠阻止部を制御する制御部とを備え、
前記鍵管理装置は、前記ロック部を少なくとも解錠する複数の鍵部を着脱可能に保持する鍵保持部と、前記複数の鍵部のうち第1の鍵部および該第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力する入力部と、前記イベント情報に基づいて前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするように前記鍵保持部を制御する制御部とを備え、
前記解錠阻止部は、前記イベント情報によって特定される前記第1のロック部のみの解錠を許可することを特徴とする鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項2】
前記鍵管理装置は、前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報と前記ロック部に対応する鍵部を識別する鍵識別情報とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記イベント情報は、前記第1のロック部の前記ロック部識別情報または前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含み、
前記鍵管理装置の前記制御部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするとともに、前記鍵保持部から前記第1の鍵部以外の他の鍵部の取出しを禁止することを特徴とする請求項1に記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項3】
前記貨幣処理装置は、前記ロック部を識別するロック部識別情報を記憶する記憶部と、前記イベント情報を前記鍵管理装置から受け取る入力部とをさらに備え、
前記イベント情報は、前記第1のロック部の前記ロック部識別情報または前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含み、
前記解錠阻止部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部を解錠可能にするとともに、それ以外のロック部を解錠禁止にすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項4】
前記貨幣処理装置の前記入力部は、前記貨幣処理装置と通信接続されたインタフェースであり、
前記イベント情報は、前記貨幣処理装置において生成され、前記貨幣処理装置から前記鍵管理装置へ送信されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項5】
前記鍵管理装置の前記入力部は、前記鍵管理装置への操作によって前記イベント情報が入力され、
前記イベント情報は、前記鍵管理装置から前記貨幣処理装置へ送信されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項6】
前記解錠阻止部は、電磁式ロックで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項2に記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶し、
前記第1の鍵部が前記鍵管理装置に返却される前に、前記第1の鍵部が必要となる追加イベント情報が前記鍵管理装置の前記入力部に入力された場合、前記鍵管理装置は、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部のみの解錠を許可し、その後、前記第1の鍵部が前記鍵保持部に返却された場合に、前記第1の鍵部の前記鍵識別情報を含む前記イベント情報と、前記追加イベント情報と、前記第1の鍵部の取出し日時と、前記第1の鍵部の返却日時とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項9】
前記第1の鍵部は、複数の鍵と該鍵をまとめて保持するキーホルダーとを含み、
前記イベント情報は、前記キーホルダーに保持される鍵のうちの1つの鍵を特定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の鍵管理装置と貨幣処理装置とからなるシステム。
【請求項10】
貨幣処理装置に通信可能に接続され該貨幣処理装置に用いる鍵部を保管する鍵管理装置であって、
前記貨幣処理装置の複数のロック部を少なくとも解錠する複数の鍵部を着脱可能に保持する鍵保持部と、
前記鍵部のうち第1の鍵部および前記第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力する入力部と、
前記イベント情報に基づいて前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするように前記鍵保持部を制御する制御部と、
前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報と前記ロック部に対応する鍵部を識別する鍵識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記イベント情報を前記貨幣処理装置へ送信する送信部とを備え、
前記鍵管理装置の前記制御部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部を前記鍵保持部から取出し可能にするとともに、前記鍵保持部から前記第1の鍵部以外の他の鍵部を取り出すことを禁止することを特徴とする鍵管理装置。
【請求項11】
鍵を含む鍵部を保管する鍵管理装置と通信可能に接続された貨幣処理装置であって、
前記貨幣処理装置の内部へのアクセスを許可または禁止するように構成された複数のロック部と、
前記ロック部の解錠を許可または禁止するように構成された複数の解錠阻止部と、
前記解錠阻止部を制御する制御部と、
前記貨幣処理装置の前記ロック部を識別するロック部識別情報を記憶する記憶部とを備え、
前記鍵部のうち第1の鍵部に対応する第1のロック部を特定するためのイベント情報を入力または生成し、
前記解錠阻止部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1の鍵部に対応する前記ロック部を解錠可能にするとともに、それ以外のロック部を解錠禁止にすることを特徴とする貨幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−67975(P2013−67975A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206248(P2011−206248)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】