説明

鎮吐パッチ

【課題】本発明の主な目的は、様々な嘔吐症状に起因する抗癌剤による化学療法に適用され、患者の肌に貼付して安定した血漿中濃度を5日以上維持する鎮吐パッチを提供することである。また、その製造工程が簡単になり、パッチのサイズが小さく、一回に貼付して有効な血漿中濃度を5日間維持する鎮吐パッチを提供することである。この5日間に、他の薬剤を貼付する必要がないため、患者の受ける治療中の不便さを防ぐことができる。
【解決手段】本発明に係る鎮吐パッチは、バック接着層、剥離層、及びバック接着層と剥離層の間に配置された薬物貯留層を備えている。薬物貯留層は、鎮吐医薬組成物を含み、鎮吐医薬組成物は、鎮吐活性成分、透過促進剤及び感圧接着剤を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎮吐パッチに関し、特に、マトリックス型の鎮吐薬経皮吸収パッチに関する。
【背景技術】
【0002】
経皮吸収パッチは、治療効果を達成するために、薬物の活性成分を特定の速さで皮膚から使用者の体内に浸透させ、血液を介して使用者の全身に達する。このようなパッチは、肝臓での初回通過代謝の影響を避け、薬物の利用可能率を向上させるだけでなく、静脈注射、経口または肛門から薬物を利用する上での不便や痛みを克服することができる。薬物は、特定の速さで人体に入るため、血液中にある薬物の有効濃度が長い間に維持でき、安定した治療効果を得る。経皮パッチを用いた治療中に、患者は、不快症状が発生すると、直ちに治療を停止することができ、薬物が体内にある時に派生する症状を発生させない。このため、その利便性は患者の治療応諾性を促進し、薬を飲み忘れて不快症状の再発を防ぐだけでなく、若い患者としては、注射に対する恐怖心がなくなる。したがって、このような注射、経口服用の必要がない医療器具類は、薬剤送達(ドラッグ・デリバリ)システムで重要な役割を果たす。
【0003】
経皮吸収パッチは、主にリザーバ型(reservoir type)パッチ及びマトリックス型(matrix type)パッチから成る。リザーバ型パッチは、多量のアルコールや他の溶剤を加えることによって、より高い濃度の薬物を含むことができるが、皮膚に対する刺激性を引き起こす。マトリックス型パッチは、より低い濃度の薬物を含むことができるが、薬物との効果的な接触面積を大きくなり、他の溶剤などを加える量がより少なくなるので、皮膚に対する刺激性を減少させる。近年では、経皮吸収パッチは、そのサイズがより小さくなるため、主としてマトリックス型パッチであり、患者は使用する時、より快適に感じ、皮膚に対する刺激性を減少させることができる。
【0004】
抗癌剤治療を受ける患者には、最も一般的で悩ましい副作用が吐き気と嘔吐であり、脱水や栄養不良を引き起こし、治療効果にかなり影響する可能性がある。化学療法による嘔吐は、急性嘔吐(Acute emesis)、遅発性嘔吐(Delayed Emesis)及び予測性嘔吐(Anticipatory Emesis)に分けられる。現在の化学療法薬による吐き気と嘔吐を治療する薬物は、経口投与、静脈投与、及び肛門投与を含んでいる。患者に対する静脈投与では、病院へ行って行い医療スタッフによってケアされることを必要とし、患者は、注射部位に応じて、赤みや熱が発生して、不快に感じる。経口製剤では、頻繁に使用することに加えて、その効果には患者による個人差があり、特に、嚥下障害患者が制限される。肛門坐薬は、効果の個人差があるだけでなく、その使用にも更に不便になるため、患者には受け入れ難い。したがって、長時間に有効濃度を維持できる経皮吸収パッチは、より良い選択を患者に提供することができる。
【0005】
化学療法では、細胞がセロトニン(serotonin)を放出させ、セロトニンが5−HT(5−hydroxytryptamine3)−受容体を刺激して嘔吐を誘発するため、5−HT−受容体に対する拮抗薬を使ってセロトニンの作用を遮断することにより、鎮吐効果を得る。グラニセトロン(Granisetron)は、5−HT−受容体に対して、強い効果と高い選択性を有し、抗癌剤の化学療法及び放射線療法に伴う吐き気と嘔吐を予防及び治療できる。このような制吐剤カイトリル(登録商標)(グラニセトロン)は、経口および静脈投与製剤として使用されている。抗癌剤の化学療法に伴う吐き気と嘔吐の治療については、カイトリル(登録商標)経口錠剤(または液体)として2mg(または10ml)を1日1回で、又は、1mg(または5ml)を1日2回で、ガン患者に投与した後の7日間、最大血漿中濃度(peak plasma concentration)が6ng/mlである。
【0006】
現在、市場での利用可能な鎮吐経皮吸収薬剤は、英国会社ProStrakanが開発していたサンキューソ(Sancuso(登録商標))である。サンキューソは、2008年9月12日に米国食品医薬品局(FDA)の認可を取得した。サンキューソは、グラニセトロンを活性成分として、その剤量が3.1mg/24hrである。サンキューソの実際の完成品としては、34.3mgのグラニセトロンを含む52平方センチメートルのパッチであり、そのパッチを使用して、5日間、効果を維持できる。サンキューソに関する欧州特許(EP1589956B)によると、アクリル系接着剤は、非酸性ヒドロキシル官能基を含むため、浸透増強剤(enhancer)を使用しなくても、ある程度の浸透量を維持する。サンキューソパッチの欠点は、その面積が大きすぎて、患者は長期的に使用すると、非常に不愉快になるので、更に改善させる必要がある。
【0007】
また、米国アベイレ社が開発した制吐剤「AB−1001」は、もう一つの経皮吸収パッチである。米国特許公開番号(US2006/0263421A1)によると、「AB−1001」は、皮膚接触層の重量に対して0.5〜15%の浸透増強剤を含むマトリックス型経皮吸収パッチであり、パッチを取り除いた後でも、有効な血漿中濃度を12時間以上維持することができる。
【0008】
したがって、本発明は、上記従来技術の欠点に鑑み、使用者をより快適にさせ、有効な血漿中濃度を更に維持できる、新規の「鎮吐パッチ」を開発する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、鎮吐パッチを提供することにより、様々な抗癌剤の化学療法に起因する嘔吐症状に適用され、患者の肌に貼付して安定した血漿中濃度を5日以上維持することである。また、本発明による鎮吐パッチは、その製造工程が簡単になり、パッチのサイズが小さく、一回に貼付して有効な血漿中濃度を5日間維持することができる。そのことにより、他の薬剤投与により発生する、不便さを防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、鎮吐パッチを提供することである。その鎮吐パッチは、バック接着層と、剥離層と、前記バック接着層と前記剥離層の間に配置された薬物貯留層と、を備え、前記薬物貯留層は、鎮吐医薬組成物を含み、前記鎮吐医薬組成物は、1〜15重量%の鎮吐活性成分を含んでいることを特徴とする。
【0011】
上記構成の本発明に係る鎮吐パッチにおいて、前記鎮吐パッチは、10〜100cm、好ましくは10〜60cmの面積を有する。前記鎮吐医薬組成物は、更に1〜10重量%の透過促進剤及び感圧接着剤を含み、前記鎮吐活性成分は、5−HT−受容体に対する拮抗薬であり、グラニセトロン(Granisetron)、オンダンセトロン(Ondansetron)、パロノセトロン(Palonosetron)、トロピセトロン(Tropisetron)、ドラセトロン(Dolasetron)を含み、前記感圧接着剤は、アクリル系ポリマー(acrylic−based polymer)からなり、非水溶性感圧接着剤であり、DURO−TAK(登録商標)87−2516、DURO−TAK(登録商標)87−2287(以上DURO−TAK社製)、GELVA(登録商標)737、GELVA(登録商標)788(以上GELVA社製)を含んでいる。
【0012】
上記構成の本発明に係る鎮吐パッチにおいて、前記透過促進剤は、C2〜C20の脂肪族アルコール、C10〜C20の脂肪族カルボン酸、及びC2〜C10のアミドまたはC2〜C10のラクタムからなる群から少なくとも一つを選ぶものであり、前記脂肪族アルコールは、プロピレングリコール、ベンジルアルコール及びオレイルアルコールからなる群から少なくとも一つを選ぶものであり、前記脂肪族カルボン酸は、オレイン酸であり、前記アミドまたはラクタムは、ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群から少なくとも一つを選ぶものである。
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明の鎮吐パッチは、鎮吐医薬組成物を含む鎮吐パッチであって、前記鎮吐医薬組成物は、1〜15重量%の鎮吐活性成分と、1〜10重量%の透過促進剤と、感圧接着剤と、を含んでいることを特徴とする。
【0014】
上記構成の本発明に係る鎮吐パッチにおける好ましい態様は、前記鎮吐パッチは、マトリックス型経皮吸収パッチであり、バック接着層と、剥離層と、前記バック接着層と前記剥離層の間に配置された薬物貯留層と、を備え、前記薬物貯留層は、前記鎮吐医薬組成物を含み、前記鎮吐パッチは、52cm以下の面積を有し、使用された後に、最大血漿中濃度が0.48ng/ml/cmであり、6ng/mlである有効な血漿中濃度を5日間維持する。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明によると、本発明の鎮吐パッチは、拡散作用により鎮吐薬を安定的に持続放出し、有効な濃度を少なくとも5日間維持することができる。又、鎮吐パッチの接触面積が小さくなって、それを使用することは容易且つ快適なだけではなく、効果を補うために薬を飲み忘れてもそれによる副作用を減らすことができる。よって、本発明は、吐き気や嘔吐などを治療するための最良の選択である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による鎮吐パッチを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるGra−190の薬物浸透(フラックス、Flux)量を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるGra−190の薬物累積浸透量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0018】
図1を参照して下さい。図1は、本発明の実施形態による鎮吐パッチを示す図である。鎮吐パッチ1は、バック接着層11、剥離層12、及びバック接着層11と剥離層12の間に配置された薬物貯留層(マトリックス層)13を備えている。薬物貯留層13には、鎮吐医薬組成物130が含まれている。
【0019】
前記実施形態において、鎮吐医薬組成物130は、鎮吐活性成分及び感圧接着剤を含み、更に適量の透過促進剤を加える。一つの実施形態における鎮吐医薬組成物130の組成成分としては、1〜15重量%の鎮吐活性成分及び1〜10重量%の透過促進剤であり、他の組成成分は感圧接着剤である。
【0020】
前記実施形態において、前記鎮吐活性成分は、皮下に吸収されていた薬物成分とし、例えば、グラニセトロン(Granisetron)、オンダンセトロン(Ondansetron)、パロノセトロン(Palonosetron)、トロピセトロン(Tropisetron)、ドラセトロン(Dolasetron)などを含んでいる。前記感圧接着剤は、アクリル系ポリマー(acrylic−based polymer)からなり、例えば非水溶性感圧接着剤である。前記感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516、DURO−TAK(登録商標)87−2287、GELVA(登録商標)737、GELVA(登録商標)788などを含んでいる。前記透過促進剤は、必要に応じて適切に選択することができ、例えば、C2〜C20の脂肪族アルコール、C10〜C20の脂肪族カルボン酸、及びC2〜C10のアミドまたはC2〜C10のラクタムから選ばれる、少なくとも一つの化合物である。前記透過促進剤は、プロピレングリコール(Propylene glycol)、シネオール(Cineole)、オレイン酸(Oleic acid)、オレイルアルコール(Oleyl alcohol)、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ベンジルアルコール(Benzyl alcohol)、メチルラウリン酸(Methyl laurate)、トリアセチン(Triacetin)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)、クエン酸トリエチル(Triethyl citrate)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(diethylene glycol monoethyl ether)、ミリスチン酸イソプロピル(Isopropyl myristate)からなる群から選ばれる少なくとも1つを使用する。
【0021】
本発明の実施形態において、鎮吐パッチ1は、単層、高分子のマトリックス型の経皮吸収パッチであり、その製造方法は、次のとおりである。透過促進剤と鎮吐活性成分と均一に混合し、非水溶性感圧接着剤を追加して混合し、透明な接着液を成す。前記透明な接着液を剥離層12に塗布し、乾燥工程を行った後、バック接着層11(パッチの保護層)と圧着して成る。最後に、鎮吐パッチ1を10〜100cmに切り、好ましくは10〜60cmに切る。
【0022】
本発明の実施形態において、本発明の人間の経皮による鎮吐パッチから薬物浸透試験の試験管(生体外)テストと結果を示した。薬物浸透率のイン・ビトロ評価法は、透明な浸透ボトル(変更されたフランツ拡散セル)及び人皮(ヒト死体皮膚)又は人造皮(膜)等の皮膚浸透装置を薬物浸透量試験用の評価装置とし、pH7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を抽出液として、以下の実験工程を行う。
【0023】
人皮を予めサイズ(1.5cm×1.5cm)に切り、皮膚浸透装置に置い、鎮吐パッチ1の剥離層12を取り除いて人皮の上に置く。拡散タンクに溶液を受け入れ、装置全体を32℃で維持する。鎮吐パッチ1は、各サンプリングすべき時点でサンプリングされ、HPLC(High Performance Liquid Chromatograph)によって薬物浸透濃度を分析し、試験管テストでの皮膚の単位面積における毎時当たりの薬物浸透量を計算する(FLUX(μg/cm・hr))。
【0024】
模擬実験方法は、以下の通りであり、そのモデルは、フィックの法則(Fick‘s Law)により、パッチから皮膚への薬物を移動することができると想定される。

その中、Cは薬物濃度であり、Dは拡散係数である。
【0025】
時間がゼロになった時、C=Ct=0になる。パッチにある薬物は、皮膚の角質層と真皮層との分界に拡散すると、血液によって全身循環に取り込まれる。拡散に関する基本法則(式1)に基づき、パッチの拡散係数Dp及び角質層の拡散係数Dsを得って、拡散係数Dp、Dsを代入してモデルの演算に用いられる。
【0026】
血漿中薬物濃度を演算する方程式は、以下の式2である。

【0027】

【0028】
試験管テストでの皮膚の単位面積における毎時当たりの薬物浸透量により、コンピュータシミュレーションプログラムを使って、体内にある薬物の最大血漿中濃度(ng/ml)を計算する。前記計算された濃度に基づき、薬物を安定的に放出させ、6ng/mlの最大血漿中濃度を5日間維持することを予測できる。
【0029】
以下の実施形態A−1〜A−3には、さまざまな割合の鎮吐医薬組成物130を有する鎮吐パッチ1は、人皮(ヒト死体皮膚)に対する浸透実験を行って、実験結果が示された。また、鎮吐医薬組成物130は、実施例A−1〜A−3において、グラニセトロンを鎮吐活性成分とするものであるが、現実の用途においてはそれに限定されない。
【0030】
実施例A−1
1.経皮吸収パッチは、その処方が表A−1−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して7〜10重量%であり、透過促進剤は、オレイン酸であり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)387−2516である。
【0031】
表A−1−1

【0032】
2.表A−1−2は、毎時当たりの平均経皮薬物浸透量により、毎時の皮膚浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、4と9時間及び1、2、3、4と5日目である(使用された人皮番号:09580500107)。
【0033】
表A−1−2

【0034】
3.表A−1−3は、コンピュータシミュレーションプログラムにより、体内にある薬物の最大血漿中濃度(ng/ml)を計算する。
【0035】
表A−1−3

【0036】
実施例A−1の処方Gra−62を一例として、試験管テストでの単位面積における毎時当たりの薬物浸透量により、コンピュータシミュレーションプログラムを使って、単位面積において、0.48ng/ml/cmである薬物の最大血漿中濃度を計算して得る。12.5cmのパッチを用いると、6ng/mlの最大血漿中濃度を5日間維持することを予測できる。
【0037】
実施例A−2
1.経皮吸収パッチは、その処方が表A−2−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して5〜9重量%であり、透過促進剤は、オレイン酸又はオレイン酸とオレイルアルコールを加えた混合物であり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516である。
【0038】
表A−2−1

【0039】
2.表A−2−2は、毎時当たりの平均薬物浸透量により、皮膚浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、4と9時間及び1、2、3、4と5日目である(使用された人皮番号:0782700112)。
【0040】
表A−2−2

【0041】
3.表A−2−3は、コンピュータシミュレーションプログラムにより、体内にある薬物の最大血漿中濃度(ng/ml)を計算する。
【0042】
表A−2−3

【0043】
実施例A−3
1.経皮吸収パッチは、その処方が表A−3−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して5〜6重量%であり、透過促進剤は、オレイン酸又はプロピレングリコールであり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)387−2516である。
【0044】
表A−3−1

【0045】
2.表A−3−2は、毎時当たりの平均薬物浸透量により、皮膚浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、4と9時間及び1、2、3、4と5日目である(使用された人皮番号:0709200108)。
【0046】
表A−3−2

【0047】
3.表A−3−3は、コンピュータシミュレーションプログラムにより、体内にある薬物の最大血漿中濃度(ng/ml)を計算する。
【0048】
表A−3−3

【0049】
以下の実施例B−1〜B−3には、さまざまな割合の鎮吐医薬組成物130を有する鎮吐パッチ1は、人造皮膜(CoTran 9728 Membrane(3M,FEB08 B#010))に対する浸透実験(試験管テスト)を行って、実験結果を示した。また、鎮吐医薬組成物130は、グラニセトロンを鎮吐活性成分とするものであるが、それに限定されない。
【0050】
実施例B−1
1.本実施形態による経皮吸収パッチは、その処方が表B−1−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して5〜7重量%であり、透過促進剤は、オレイン酸、オレイルアルコール、及びプロピレングリコールからなる群から少なくとも一つが選ばれたものであり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516である。
【0051】
表B−1−1

【0052】
2.表B−1−2は、毎時当たりの平均薬物浸透量により、人造皮膜の浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、1、2及び3日目である。
【0053】
表B−1−2

【0054】
実施例B−2
1.本実施形態による経皮吸収パッチは、その処方が表B−2−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して4〜7重量%であり、透過促進剤は、オレイン酸、オレイルアルコール、及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群から少なくとも一つを選ぶものであり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516である。
【0055】
表B−2−1

【0056】
2.表B−2−2は、毎時当たりの平均薬物浸透量により、人造皮膜の浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、1、2及び3日目である。
【0057】
表B−2−2

【0058】
実施例B−3
1.本実施形態による経皮吸収パッチは、その処方が表B−3−1に示され、グラニセトロン塩基の濃度が、鎮吐剤組成物の重量に対して3〜4重量%であり、透過促進剤は、オレイルアルコールであり、感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516である。
【0059】
表B−3−1

【0060】
2.表B−3−2は、毎時当たりの平均薬物浸透量により、人造皮膜(処方番号:Gra−190)の浸透試験結果を示す。また、各サンプリング時点としては、1、2、3、4と5日目である。
【0061】
表B−3−2

【0062】
図2を更に参照して下さい。図2には、本発明の実施形態によるGra−190の薬物浸透(フラックス、Flux)量を示す。又、図3を参照して下さい。図3には、Gra−190の薬物累積浸透量を示す。
【0063】
また、以下の実施例C−1〜C−6には、本発明の実施形態による鎮吐医薬組成物の処方により、健常者に対する(試験管テスト)浸透試験結果を示す。
【0064】
実施例C−1
健常者の数:3
処方番号:Gra−59
処方組成(重量%):7%のグラニセトロン、9%のオレイン酸、84%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:30cm
実験期間:48時間
本実施形態の結果は、表C−1を参照して下さい。
【0065】
表C−1

【0066】
実施例C−2
健常者の数:3
処方番号:Gra−177
処方組成(重量%):5%のグラニセトロン、7%のオレイルアルコール、88%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:30cm
実験期間:48時間
本実施形態の結果は、表C−2を参照して下さい。
【0067】
表C−2

【0068】
実施例C−3
健常者の数:2
処方番号:Gra−191
処方組成(重量%):3%のグラニセトロン、7%のオレイルアルコール、90%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:30cm
実験期間:48時間
本実施形態の結果は、表C−3を参照して下さい。
【0069】
表C−3

【0070】
実施例C−4
健常者の数:3
処方番号:Gra−190
処方組成(重量%):4%のグラニセトロン、5%のオレイルアルコール、91%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:30cm
実験期間:52時間
本実施形態の結果は、表C−4を参照して下さい。
【0071】
表C−4

【0072】
実施例C−5
健常者の数:3
処方番号:Gra−190
処方組成(重量%):4%のグラニセトロン、5%のオレイルアルコール、91%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:60cm
実験期間:72時間
本実施形態の結果は、表C−5を参照して下さい。
【0073】
表C−5

【0074】
実施例C−6
健常者の数:7
処方番号:Gra−190
処方組成(重量%):4%のグラニセトロン、5%のオレイルアルコール、91%の感圧接着剤DURO−TAK(登録商標)87−2516
パッチサイズ:60cm
実験期間:156時間
本実施形態の結果は、表C−6を参照して下さい。
【0075】
表C−6

【0076】
以上の説明によると、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0077】
1 鎮吐パッチ
11 バック接着層
12 剥離層
13 薬物貯留層
130 鎮吐医薬組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バック接着層と、
剥離層と、
前記バック接着層と前記剥離層の間に配置された薬物貯留層と、を備え、
前記薬物貯留層は、鎮吐医薬組成物を含み、前記鎮吐医薬組成物は、1〜15重量%の鎮吐活性成分を含んでいることを特徴とする鎮吐パッチ。
【請求項2】
前記鎮吐パッチは、10〜100cmの面積を有することを特徴とする請求項1に記載の鎮吐パッチ。
【請求項3】
前記鎮吐パッチは、10〜60cmの面積を有することを特徴とする請求項1に記載の鎮吐パッチ。
【請求項4】
前記鎮吐活性成分は、5−HT−受容体に対する拮抗薬であることを特徴とする請求項1に記載の鎮吐パッチ。
【請求項5】
前記鎮吐活性成分は、グラニセトロン(Granisetron)、オンダンセトロン(Ondansetron)、パロノセトロン(Palonosetron)、トロピセトロン(Tropisetron)、ドラセトロン(Dolasetron)からなる群から少なくとも一つを選ぶことを特徴とする請求項1に記載の鎮吐パッチ。
【請求項6】
前記鎮吐医薬組成物は、更に透過促進剤及び感圧接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の鎮吐パッチ。
【請求項7】
前記透過促進剤は、前記鎮吐医薬組成物において、1〜10重量%を有することを特徴とする請求項6に記載の鎮吐パッチ。
【請求項8】
前記透過促進剤は、C2〜C20の脂肪族アルコール、C10〜C20の脂肪族カルボン酸、及びC2〜C10のアミドまたはC2〜C10のラクタムからなる群から少なくとも一つを選ぶことを特徴とする請求項6に記載の鎮吐パッチ。
【請求項9】
前記C2〜C20の脂肪族アルコールは、プロピレングリコール、ベンジルアルコール及びオレイルアルコールからなる群から少なくとも一つを選ぶことを特徴とする請求項8に記載の鎮吐パッチ。
【請求項10】
前記C10〜C20の脂肪族カルボン酸は、オレイン酸であることを特徴とする請求項8に記載の鎮吐パッチ。
【請求項11】
前記C2〜C10のアミドまたはC2〜C10のラクタムは、ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群から少なくとも一つを選ぶことを特徴とする請求項8に記載の鎮吐パッチ。
【請求項12】
前記感圧接着剤は、アクリル系ポリマー(acrylic−based polymer)からなることを特徴とする請求項6に記載の鎮吐パッチ。
【請求項13】
前記感圧接着剤は、DURO−TAK(登録商標)87−2516、DURO−TAK(登録商標)87−2287、GELVA(登録商標)737及びGELVA(登録商標)788からなる群から少なくとも一つを選ぶことを特徴とする請求項6に記載の鎮吐パッチ。
【請求項14】
鎮吐医薬組成物を含む鎮吐パッチであって、
前記鎮吐医薬組成物は、1〜15重量%の鎮吐活性成分と、1〜10重量%の透過促進剤と、感圧接着剤と、を含んでいることを特徴とする鎮吐パッチ。
【請求項15】
前記鎮吐パッチは、マトリックス型経皮吸収パッチであることを特徴とする請求項14に記載の鎮吐パッチ。
【請求項16】
前記鎮吐パッチは、バック接着層と、剥離層と、前記バック接着層と前記剥離層の間に配置された薬物貯留層と、を備え、
前記薬物貯留層は、前記鎮吐医薬組成物を含むことを特徴とする請求項14に記載の鎮吐パッチ。
【請求項17】
前記鎮吐パッチは、52cm以下の面積を有することを特徴とする請求項14に記載の鎮吐パッチ。
【請求項18】
前記鎮吐パッチは、使用された後に、最大血漿中濃度が0.48 ng/ml/cmであることを特徴とする請求項14に記載の鎮吐パッチ。
【請求項19】
前記鎮吐パッチは、使用された後に、有効な血漿中濃度を5日間維持することを特徴とする請求項14に記載の鎮吐パッチ。
【請求項20】
前記有効な血漿中濃度は、6 ng/mlであることを特徴とする請求項19に記載の鎮吐パッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510433(P2012−510433A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537819(P2011−537819)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001323
【国際公開番号】WO2010/063163
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511111127)健亞生物科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【出願人】(511111138)生達化學製藥股▲ふん▼有限公司 (1)
【出願人】(511111149)健博國際開發股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】