説明

鎮痛活性を有する3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン誘導体

本発明は、一般式(I)の化合物(式中、R及びR1は互いに異なり、C2〜C8の直鎖又は分岐のアシル基である、又は式(II)の基(式中、B及びR2は明細書に定義される))に関している。化合物(I)はモルヒネよりも高い中枢鎮痛活性を有し、モルヒネ又は他の中枢鎮痛剤の副作用が実質上ない。さらに本発明は化合物(I)の製造方法に関している。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン誘導体、医薬品の調製において中枢鎮痛活性を有する薬剤としてのそれらの使用及びそれらを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
モルヒネ様オピオイド類は、オピオイド受容体μ、δ及びκに対して顕著な選択性を、モルヒネ様に、示す、中枢鎮痛活性を有する物質である。今まで、薬化学の努力は主として、無痛覚を介在する、鎮痛受容体μに対して最大選択性を有する中枢鎮痛剤を開発することに重点を置いていた。しかし、多くの合成中枢鎮痛剤は他のオピオイド受容体、すなわち受容体δ及びκにも作用し、その刺激はこの種の薬品の望ましくない副作用を誘起する。従って、前記欠点を克服する鎮痛活性を有する物質に対する要求が依然としてある。
【0003】
本出願人による国際公開第9523152号及び国際公開第9847902号は、モルヒネよりもトレランスを引き起こさない3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体及び3,9−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は一般式(I)の化合物及びその医薬的に許容される塩に関する。
【0005】
【化1】

式中、R及びR1は、互いに異なる、直鎖又は分岐のC2〜C8アシル基、又は下記式から選択される基である。
【0006】
【化2】

【0007】
ここで、Bは、
・場合によっては、同じであるか異なる、C1〜C3アルコキシ、C1〜C2ハロアルキル、C1〜C3アルキル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、CONHR3(R3は直鎖又は分岐のC1〜C4アルキルである)から選択される基の1個以上で置換されたC6〜C10アリール基、
・C5〜C7シクロアルキル基、
・場合によってはベンゼン環が結合している、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5又は6員芳香族ヘテロ環(該へテロ環は、場合によっては、アリール基について示した置換基の1個以上を有している)であり、
2は、水素、直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル、C5〜C7シクロアルキル基、又は場合によっては、同じであるか異なる、アリール基について上に示したものから選択される1個以上の基で置換されたフェニルである。
【0008】
2〜C8アシル基は、好ましくはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、カプロイルである。
【0009】
芳香族へテロ環は、好ましくはピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ベンゾチエニルである。
【0010】
医薬的に許容可能な塩は、塩化水素酸、臭化水素酸などのハロ酸、硫酸及びリン酸などの無機酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、安息香酸、サリチル酸などの有機酸との塩である。カルボン酸が式(I)の化合物中に存在する場合、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属塩基、非毒性金属塩基、非毒性有機アミンとの塩化形とすることができる。
【0011】
式(I)の化合物の第1の好ましい基は化合物(IA)からなる。
【0012】
【化3】

式中、Rは上で定義したC2〜C8アシルであり、R1は上で定義した式(IIa〜c)の基である。
【0013】
式(I)の化合物の第2の好ましい基は化合物(IB)からなる。
【0014】
【化4】

式中、Rは上で定義したC2〜C8アシルであり、R1は上で定義した式(IIa〜c)の基である。
【0015】
基R及び基R1が、それぞれ、アセチル又はプロピオニル(最も好ましくはプロピオニル)及び式(IIa)、(IIb)又は(IIc)(Bが、フェニル(上述のように、場合によって置換された)であり、R2が水素又はC1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチルである)である式(IA)及び(IB)の化合物が最も好ましい。
【0016】
以下の化合物が特に好ましい。
3−プロピオニル−6−シンナミル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAa)
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(2’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAb)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(3’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAc)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAd)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−フェニル−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAe)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−クロロフェニル)−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAf)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(3’,4’−ジクロロフェニル)−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAg)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−フェニル−ペンタ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAh)、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−ニトロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAi)、
3−プロピオニル−6−(3−フェニルプロピル)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAl)、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−ニトロフェニル)プロピル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAm)、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−クロロフェニル)プロピル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAn)、
3−プロピオニル−6−(3−フェニルプロピル−3−オン)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAo)、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−クロロフェニル)プロピル−3−オン]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IAp)、
3−シンナミル−6−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IBa)。
【0017】
本発明はさらに化合物(I)の製造方法に関する。
【0018】
式(IA)の化合物は式(IIIA)又は(IIIB)の化合物、
【0019】
【化5】

(式中、Rは上で定義したC2〜C8アシル基である)
【0020】
と式(IVa)〜(IVc)の化合物との反応によって製造することができる。
【0021】
【化6】

これらの式中、R2及びBは上で定義した通りであり、QはCHO基又はCH2X基(Xは好ましくはハロゲン、メシル及びトシルから選択される脱離基である)である。
【0022】
化合物(IIIA)又は(IIIB)と式(IVa〜c)の化合物との反応は、当業者であれば既知の従来方法によって行われる。通常、薬品は特定の薬品の反応性に応じて化学量論的量であるか、又は僅かに異なる比である。反応過程中に化合物(IIIB)を与えるアシル基の移動が起きるので、化合物(IA)は式(IIIA)の化合物から出発しても得ることができることも指摘することが出来、この再配置は同族のジアザビシクロオクタン系にも見られる(Tetrahedron、1963、19、143〜148)。
【0023】
式(IVa)〜(IVc)の化合物は既知であり、又は従来の方法で調製することができる。化合物(IVa)は、置換されたアクリル酸又はそのエステルの金属ハロゲン化物による還元、続いて得られるアルコールのハロゲン化物又はアルデヒド(IV)への変換、例えば、スキーム1a(B、R2、及びQは上で定義した)に示したとおり製造することができる。
【0024】
【化7】

【0025】
化合物(IVb)は、アクリルエステルの二重結合をヒドロキシルアミン−O−スルホン酸によって還元し、続いて金属ハロゲン化物によるエステル基の還元、及び続いて得られるアルコールをスキーム1bに示すようにPBr3で臭素化物に変換することによって製造することができる。
【0026】
【化8】

【0027】
化合物(IVc)は、アセチル誘導体を37%ホルムアルデヒドとジメチルアミンで対応するマンニッヒ(Mannich)塩基へ変換することによって調製することができる(スキーム1c)。
【0028】
【化9】

【0029】
式(IIIA)及び(IIIB)の化合物は式(VA)又は(VB)の化合物のアシル化によって得ることができる。
【0030】
【化10】

【0031】
式中、Raは、ベンジル又はメトキシ基で置換したベンジル(例えば、4−メトキシベンジル(MPM)あるいは3,4−ジメトキシ−ベンジル(DMPM))から選択される、水素化分解によって取り除くことができるアミノ保護基であり、続いて保護基が除去される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、保護基はベンジルである。
【0032】
アシル化反応は通常、直鎖又は環状エーテル、ケトン、場合によってハロゲン化された炭化水素などの不活性媒体中、酸塩化物で行われる。プロトン受容体、例えば、第3アミンが存在することが好ましい。代わりに、アシル化剤を無水カルボン酸とすることができる。
【0033】
ここで、化合物(VB)は化合物(VA)に保護基Ra’、すなわち酸性又は塩基性条件下で加水分解によって除去することができるアミノ保護基を導入することによって得ることができる。前記基は、t−ブトキシカルボニル(BOC)、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ビニロキシカルボニル(VOC)、アリロキシカルボニル(ALOC)及びトリクロロエトキシカルボニル(TROC)から選択されることが好ましい。本発明の好ましい実施形態によれば、保護基はBOCである。保護基Raの選択的除去は化合物(VB)を与える。
【0034】
化合物(VB)は、式(IB)の本発明の化合物の製造に重要な中間体である。この目的のために、化合物(VB)は、上で定義した式(IV)の化合物と反応して、式(VIII)の化合物となる。
【0035】
【化11】

式中、Ra’は上で定義され、R1は式(II)の基である。
【0036】
化合物(VIII)は、保護基に応じて酸性又は塩基性条件の下で加水分解を受け、化合物(IX)となり、これはアシル化すると化合物(IB)となる。
【0037】
【化12】

【0038】
スキーム2は上で説明したことの図による要約である。
【0039】
【化13】

【0040】
式(VA)の化合物の製造をスキーム3に示す。グルタリルジクロリドは臭素化されてメソ−ジメチル−α,α’−ジブロモグルタラート(X)となり、これはアミンRaNH2(Raは上で定義した)で環化して、異性体混合物としてアゼチジン(XI)となる。シス異性体は同じアミンRaNH2での処理によりモノアミノ化され、アミド(XII)となる。アミドの還元はアルコール(XIII)を与え、これはメシル化(XIV)及び環化されて化合物(XV)となる。化合物(XV)は触媒作用で水素化され、化合物(XVI)となり、これは水素化物で還元されて(VA)となる。
【0041】
【化14】

【0042】
スキーム4は、特にRaがベンジルである化合物(VA)の合成、及び(VA)から出発するRa’がt−BOCである化合物(VB)の合成を示す。
【0043】
【化15】

【0044】
式(I)の化合物は中枢鎮痛活性を有し、モルヒネ及び国際公開第9523152号及び国際公開第9847902号に開示された化合物よりも効能があることが実証された。さらに、これらは一般に禁断を誘起せず、そのμ受容体に対する高い選択性のために(以下の表2に示すように)、長期処置の後、モルヒネよりもトレランスや依存性が少ない。
【0045】
「それらは一般に禁断を誘起しない」とは、同じ鎮痛効果の投与量を毎日3回、7日間連続して長期投与した後には、マウスの跳躍試験において、モルヒネが有する活性より3〜20倍低い活性をそれらが有することを意味する。
【0046】
したがって、本発明の目的は、鎮痛処置の必要な哺乳動物、特にヒトの中枢神経系に鎮痛を誘起する薬品を製造するために式(I)の化合物を使用することである。
【0047】
意図される治療に使用するため、「Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook」XVII Ed.Mack Pub.,N.Y.,USAに記載されているように、化合物(I)又はその塩は、従来の技術及び賦形剤に従って、治療上有効な量が適切な医薬組成物に処方される。
【0048】
医薬組成物の例は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、溶解性粉剤、ドロップ剤、エリキシル剤、シロップ剤、注射可能な形の剤、座薬である。
【0049】
用法及び薬量は、疾患の重篤さ、患者の状態及び他の薬品との相互作用の可能性に応じて、医者によって決定される。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は本発明をさらに説明する。
【0051】
実施例1(メチル 2,4−ジブロモグルタラート(X))
グルタリルクロリド(20.00g、118.33ミリモル)を13.33ml(260.30ミリモル)の臭素に90℃の温度で加え、溶液を300Wのランプで4時間照射した。混合物を室温まで冷却し、71.89ml(1775ミリモル)の乾燥メタノールを冷却しながら(氷浴)加え、次いで12時間撹拌した。溶液を濃縮し、褐色の油状残留物に72mlの水を加えた。水性溶液をエチルエーテルで繰り返し抽出し、5%のNaHCO3及び2%のNaHSO3で順に洗い、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、橙色油35.71gを得た。粗油をバルブ チューブ(BULB TURB)中での蒸留(140〜145℃/0.1mmHg)によって精製した。
収率=95%
f=0.56(6:1ヘキサン−酢酸エチル)
B.p.=145℃/0.1mmHg(Lit.21=120℃/0.01mmHg)
IR ν(cm-1):(膜)1730(C=OR)
1H−NMR(CDCl3):2.49〜3.00(m,2H,CH2)、3.82(s,6H,CH3×2)、4.36〜4.50(m,2H,CH×2)
【0052】
実施例2(trans−メチル1−ベンジルアゼチジン−2,4−ジカルボキシラート(XIaトランス体)及びcis−メチル−1−ベンジルアゼチジン−2,4−ジカルボキシラート(XIaシス体))
ジブロモグルタラート(X)(35.50g、111.64ミリモル)及びベンジルアミン(36.60ml、334.92ミリモル)のジメチルホルムアミド170ml溶液を80℃で4時間撹拌して放置した。溶媒を蒸発させて除き、残留物をジクロロメタンに溶解した。溶液を飽和NaHCO3溶液で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して油状残留物42gを得た。粗油は、Rf0.43及び0.26である2個の主なTLCスポット(8:2石油エーテル−酢酸エチル)を示した。2種の異性体をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)で分け、8:2の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出して、蒸発後、トランス−XI 6.77gを与える留分を得た。
収率=18%
f=0.43(8:2石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=148℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1590(C=C,Ar)、1730(C=OR)
1H−NMR(CDCl3):2.42〜2.60(m,1H,CH)、3.64(t,2H,CH×2,J=4.0Hz)、3.65(s,6H,CH3×2)、3.87(s,2H,CH2)、4.18〜4.29(m,1H,CH)、7.09〜7.47(m,5H,ArH)
【0053】
第2留分の蒸発は17.30gのシス−XIを与えた。
収率=48%
f=0.26(8:2石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=140℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1600(C=C,Ar)、1720(C=OR)
1H−NMR(CDCl3):2.27〜2.60(m,2H,CH2)、3.60(t,2H,CH×2)、3.63(s,6H,CH3×2,J=6.6Hz)、3.88(s,2H,CH2)、7.09〜7.47(m,5H,ArH)
【0054】
実施例3((1−ベンジル−4−ベンジルカルバモイル−アゼチジン−2−イル)メチルアセタート(XIIa))
(XIシス)(11.01g、41.81ミリモル)及びベンジルアミン(4.56ml、41.81ミリモル)のトルエン(56ml)溶液を60時間環流させた。溶媒を蒸発させて除き、粗固体15gを得て、5:5の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)にて精製し、白色固体として(XIIa)7.77gを得た。
収率=55%
f=0.20(7:3石油エーテル−酢酸エチル)
m.p.=94〜96℃(イソプロピルエーテル)
IR ν(cm-1):(ヌジョール法)1600(C=C,Ar)、1670(C=OR)、1730(C=OR,エステル)
UV λmax(log ε):206.6(4.23)
1H−NMR(CDCl3):2.13〜2.30(m,1H,CH)、2.68〜2.82(m,1H,CH)、3.60〜3.92(m,4H)、3.68(s,3H,CH3)、4.15〜4.38(m,2H,CH2)、7.03〜7.44(m,10H,ArH)
元素分析:C202223の計算値(実測値)C 70.90(70.80);H 6.55(70.80);N 8.28(8.16)
【0055】
実施例4(1−ベンジル−2−ベンジルアミド−4−ヒドロキシメチルアゼチジン(XIIIa))
(XIIa)(4.00g、11.82ミリモル)のメタノール溶液(40ml)に、0℃の温度で撹拌しながらホウ化水素ナトリウム(1.35g、35.46ミリモル)を少量加えた。混合物を12時間反応させ、水(40ml)を加え、次いで濃縮した。得られた水性溶液をジクロロメタンで抽出し、乾燥(Na2SO4)し、蒸発して、純粋な(XIIIa)3.76gを白色固体として得た。
収率=99%
f=0.12(5:5石油エーテル−酢酸エチル)
m.p.=92〜94℃(ヘキサン/エーテル石油)
IR ν(cm-1):(ヌジョール法)1600(C=C,Ar)、1640(C=OR)
UV λ max(log ε):207.8(4.23)
1H−NMR(CDCl3):1.80〜2.18(m,1H,CH)、2.43〜2.60(m,1H,CH)、3.30〜3.48(m,2H,CH×2)、3.60〜3.76(m,2H,CH2)、4.15〜4.39(m,4H)、7.08〜7.32(m,10H,ArH)
元素分析:C192222の計算値(実測値)C 73.52(73.06);H 7.14(7.28);N 9.03(8.95)
【0056】
実施例5(2−(1−ベンジル−4−ベンジルアミド−アゼチジニル)−エチルアルコール、メタンスルホン酸エステル(XIVa))
(XIIIa)(8.77g、28.28ミリモル)のジクロロメタン溶液(97ml)にトリエチルアミン(11.82ml、84.84ミリモル)を加えた。溶液を0℃まで冷却し(氷浴及び塩)、メシルクロリド(2.84ml、36.76ミリモル)を加えた。混合物を0℃で2.5時間反応させ、次いで水を加えた。相を分離し、水性相をジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濃縮して、褐色の油状残留物13gを得、これを2:8の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、黄色の油9.52gを得た。
収率=86%
f=0.39(8.5:1.5石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=155℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1170(SO2simm.)、1360(SO2asimm.)、1600(C=C,Ar);1680(C=OR)
UV λmax(log ε):214.5(4.35)
1H−NMR(CDCl3):1.92〜2.10(m,1H,CH)、2.53〜2.70(m,1H,CH)、2.80(s,3H,CH3)、3.49〜3.83(m,2H,CH×2)、3.61(d,ABのA,1H,CH,J=12.2Hz)、3.77(d,ABのB,1H,CH,J=12.2Hz)、3.89〜4.41(m,4H)、7.09〜7.47(m,10H,ArH)
元素分析:C192222の計算値(実測値)C 61.83(61.58);H 6.23(6.21);N 7.21(7.18);S 8.25(8.22)
【0057】
実施例6(3,6−ジベンジル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1.]ヘプタン−2−オン(XVa))
(XIVa)(3.97g、10.21ミリモル)、微細粉のNaOH(1.42g、35.73ミリモル)、K2CO3(2.82g、20.42ミリモル)及び(Bu4N)HSO4(0.34g、1.02ミリモル)のトルエン(48ml)中懸濁液を4時間環流し、次いで室温まで冷却した。混合物を水で洗い、水相をエチルエーテルで抽出した。混合した有機相を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を蒸発して除去し、油状の残留物4.5gを得た。粗油は2.5:7.5の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、黄色油2.25gを得た。
収率=75%
f=0.45(2.5:7.5石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=163℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1600(C=C,Ar)、1670(C=OR)
UV λmax(log ε):208.4(4.26)
1H−NMR(CDCl3):1.72(d,1H,CH,J=8.4Hz)、2.62〜2.76(m,1H,CH)、3.13(d,ABのA,1H,CH,J=12.4Hz)、3.29〜3.48(m,1H,CH)、3.55(d,ABのB,1H,CH,J=13.2Hz)、3.67〜3.78(m,1H,CH)、4.58(d,ABのA,1H,CH,J=14.2Hz)、4.78(d,ABのB,1H,CH,J=14.4Hz)、7.12〜7.42(m,10H,ArH)
元素分析:C19202Oの計算値(実測値)C 78.05(77.75);H 6.89(6.90);N 9.58(9.54)
【0058】
実施例7(3−ベンジル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(XVIa))
(XVa)(3.50g、11.97ミリモル)のエタノール溶液(51ml)を10%Pd−C(1.27g、1.19ミリモル)の存在下で、3.1×105Pa(45psi)及び60℃で7時間水素化した。触媒を濾過して除き、溶液を蒸発して、濃厚な油3.0gを得た。粗油を9:1のクロロホルム−メタノール混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、ワックス状の透明な固体2.23gを得た。
収率=92%
f=0.54(9:1クロロホルム−メタノール)
m.p.=61〜62℃
IR ν(cm-1):(ヌジョール法)1600(C=C Ar)、1670(C=OR)
UV λmax(log ε):208.8(4.13)
1H−NMR(CDCl3):1.74(d,1H,CH,J=9.00Hz)、2.80〜2.96(m,1H,CH)、3.24〜3.50(m,3H)、3.76〜3.90(m,1H,CH)、4.51(d,ABのA,1H,J=14.6Hz)、4.72(d,ABのB,1H,J=14.6Hz)、7.23〜7.42(m,5H,ArH)
元素分析:C12142Oの計算値(実測値)C 71.26(70.97);H 6.98(6.87);N 13.85(13.78)
【0059】
実施例8(3−ベンジル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(VAa))
(XVIa)(2.16g、10.68ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液を水素化アルミニウムリチウム(1.70g、42.72ミリモル)のテトラヒドロフラン中懸濁液に0℃で滴下した。混合物を室温まで暖め、終夜環流し、次いで0℃に冷却し、エチルエーテル(49.62ml)、水(1.52ml)、2NのNaOH(1.52ml)及び水(4.58ml)を相次いで加えた。混合物を濾過し、濾過物を蒸発して、さらに精製することなく後続のステップに使用する透明な油1.90gを得た。
収率=94%
f=0.17(9:1クロロホルム−メタノール)
B.p.=155℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1590(C=C Ar)
UV λ(max(log ε):206.8(4.04)
1H−NMR(CDCl3):1.93(d,1H,CH,J=8.0Hz)、2.40〜2.53(m,1H,CH)、2.65(d,ABのA,1H,CH,J=11.0Hz)、3.07(d,ABのB,1H,CH,J=10.6Hz)、3.51〜3.62(m,2H)、3.72(s,2H,CH2)、7.22〜7.41(m,5H,ArH)
元素分析:C12162の計算値(実測値)C 76.55(76.23);H 6.98(6.95);N 13.85(13.80)
【0060】
実施例9(3−ベンジル−6−t−ブトキシカルボニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(VIIa))
ジ−tert−ブチルジカルボナート(2.36g、10.51ミリモル)のテトラヒドロフラン(10.7ml)溶液を0℃に冷却し、(VAa)(1.32g、7.01ミリモル)のテトラヒドロフラン(15ml)溶液を加えた。混合物を撹拌しながら10分間放置し、室温まで暖め、撹拌しながらさらに12時間放置した。混合物に10%の水性NaHCO3溶液を加え、エチルエーテル(14ml×2)で抽出した。混合した有機相を水で洗い、Na2SO4上で乾燥し、濃縮して、油状残留物1.80gを得た。残留物は2:8の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、透明な油1.71gを得た。
収率=85%
f=0.52(8:2石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=170℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1600(C=C Ar)、1670(C=OR)
UV λmax(log ε):208.4(3.84)
1H−NMR(CDCl3):1.45(s,3H,CH3)、1.72(d,1H,CH,J=8.0Hz)、2.30〜2.47(m,1H CH)、2.70〜3.30(m,4H,CH2×2)、3.69(s,2H,CH2)、3.99〜4.15(m,2H,CH×2)、7.22〜7.40(m,5H,ArH)
元素分析:C172422の計算値(実測値)C 70.80(70.55);H 8.39(8.36);N 9.71(9.67)
【0061】
実施例10(6−t−ブトキシカルボニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(VBa))
(VIIa)(1.49g、5.16ミリモル)のエタノール(15ml)溶液を10%Pd−C(0.55g、0.52ミリモル)の存在下で、3.1×105Pa(45psi)及び60℃で7時間水素化した。触媒を濾過して除き、溶液を蒸発して、粗油1.5gを得、9:1のクロロホルム−メタノール混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、透明な油0.89gを得た。
収率=87%
f=0.43(9:1クロロホルム−メタノール)
B.p.=164℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1710(C=OR)
UV λmax(log ε):204.9(3.44)
1H−NMR(CDCl3):1.47(s,3H,CH3)、1.55(d,1H,CH,J=8.4Hz)、2.49〜2.68(m,1H,CH)、2.91(d,2H,CH2,J=12.6Hz)、3.30〜3.62(m,2H,CH2)、3.96〜4.13(m,2H,CH2
元素分析:C101822の計算値(実測値)C 60.58(60.38);H 9.15(9.11);N 14.13(14.07)
【0062】
実施例11(3−ベンジル−6−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(VIAa))
(VAa)(2.00g、10.62ミリモル)のジクロロメタン(45ml)溶液に0℃の温度で10mlのジクロロメタンに溶解した無水プロピオン酸(4.94g、38.55ミリモル)を加えた。混合物を1時間環流し、次いで0℃に冷却し、20%の水性NaOH溶液を加えてアルカリ性pHにした。混合物を撹拌しながら室温で終夜放置し、次いでジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、残留物2.50gを得、2:8の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、透明な油2.10gを得た。
収率=82%
f=0.22(2:8石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=161℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1590(C=C Ar)、1630(C=OR)
UV λmax(log ε):207.9(4.14)
1H−NMR(CDCl3):1.93(d,1H,CH,J=8.0Hz)、2.40〜2.53(m,1H,CH)、2.65(d,ABのA,1H,CH,J=11.0Hz)、3.07(d,ABのB,1H,CH,J=10.6Hz)、3.51〜3.62(m,2H)、3.72(s,2H,CH2)、7.22〜7.41(m,5H,ArH)
元素分析:C15202Oの計算値(実測値)C 73.74(73.45);H 8.25(8.22);N 11.47(11.43)
【0063】
実施例12(6−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IIIAa))
実施例11の化合物(1.83g、7.49ミリモル)のエタノール溶液(18ml)を10%Pd−C(0.80g、0.075ミリモル)の存在下で、3.1×105Pa(45psi)及び60℃で7時間水素化した。触媒を濾過して除き、溶液を蒸発して、油状残留物2.0gを得た。粗油は9:1のクロロホルム−メタノール混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、透明なワックス状固体1.09gを得た。
収率=95%
f=0.13(8:2クロロホルム−メタノール)
m.p.=58〜60℃
IR ν(cm-1):(ヌジョール法)1640(C=OR)
UV λmax(log ε):205.7(3.57)
1H−NMR(CDCl3):1.16(t,3H,CH3,J=7.4Hz)、1.75(d,1H,CH,J=6.2Hz)、2.41(q,2H,CH2,J=7.4Hz)、3.10〜3.28(m,1H,CH)、3.82〜4.19(m,3H)、4.37(d,1H,CH,J=12.2Hz)、4,56(d,2H,CH2,J=12.2Hz)
元素分析:C8142Oの計算値(実測値)C 62.31(62.09);H 9.15(9.11);N 18.17(18.10)
【0064】
実施例13(3−プロピオニル−6−t−ブトキシカルボニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(VIBa))
(VBa)(0.20g、1.00ミリモル)のジクロロメタン溶液にトリエチルアミン(0.72ml、5.04ミリモル)及び無水プロピオン酸(0.49ml、3.65ミリモル)を加え、0℃に冷却した。混合物を撹拌しながら室温で3時間放置し、次いで水で洗った。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、黒ずんだ油状の残留物0.600gを得た。粗油は3:7の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)によって精製し、透明な油0.22gの得た。
収率=86%
f=0.28(3:7石油エーテル−酢酸エチル)
B.p.=167℃/0.1mmHg
IR ν(cm-1):(膜)1650(C=OR,アミド)、1700(C=OR,エステル)
UV λmax(log ε):205.6(3.80)
1H−NMR(CDCl3):1.16(t,3H,CH3,J=7.4Hz)、1.36(d,1H,CH,J=8.8Hz)、1.12(s,3H,CH3)、2.32(q,2H,CH2,J=7.4Hz)、2.52〜2.69(m,1H,CH)、3.38〜3.57(m,2H,CH2)、3.94〜4.09(m,2H,CH2)、4.11〜4.24(m,2H,CH×2)
元素分析:C132222の計算値(実測値)C 61.39(61.15);H 8.72(8.69);N 11.01(10.97)
【0065】
実施例14(3−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン(IIIBa))
実施例13の化合物(0.43g、1.69ミリモル)のジクロロメタン(5.60ml)溶液にトリフルオロ酢酸(2.60ml、54.20ミリモル)を加え、0℃で撹拌しながら2.5時間放置した。溶液を濃縮し、残留物を20%のK2CO3水溶液に溶解した。水相をジクロロメタンで抽出し、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、ワックス状固体0.200gを得た。
収率=77%
f=0.22(8:2クロロホルム−メタノール)
m.p.=塩酸塩として98〜100℃
IR ν(cm-1):(ヌジョール法)1600(C=C,Ar)、1660(C=OR)
UV λmax(log ε):206.3(3.68)
1H−NMR.(CDCl3):1.19(t,3H,CH3,J=7.2Hz)、1.47(d,1H,CH,J=9.0Hz)、2.36(q,2H,CH2,J=7.4Hz)、2.62〜2.80(m,1H,CH)、3.58〜3.88(m,6H)
元素分析:C8142Oの計算値(実測値)C 62.31(62.06);H 9.15(9.12);N 18.17(18.09)
【0066】
実施例15(3−アルキル−6−t−ブトキシカルボニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの一般的製造手順)
(VBa)(2.52ミリモル)及び式(IV)のアルデヒド(2.77ミリモル)のアセトニトリル(20ml)溶液を0℃に保って水素化シアノホウ素ナトリウム(3.53ミリモル)を少量ずつ加えた。混合物を室温で15分間撹拌し、pHを氷酢酸で中性に調節した。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発して除き、残留物を10mlの2Nの水性KOHで収集した。水相をEt2Oで抽出し、抽出物を混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(7:3の石油エーテル/AcOEt)で精製して化合物(VIII)を得た。
【0067】
実施例16(3−アルキル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの一般的製造手順)
実施例15の化合物(0.95ミリモル)のジクロロメタン(10ml)溶液にトリフルオロ酢酸(19.08ミリモル)を加え、室温で撹拌しながら12時間放置した。溶液を濃縮し残留物を20%のK2CO3水溶液に溶解した。水相をジクロロメタンで抽出し、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して目的の生成物(IX)を得た。
【0068】
実施例17(3−プロピオニル−6−アルキル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの一般的製造手順)
(IIIA)又は(IIIB)(0.97ミリモル)及びアルデヒド(IVa)(1.07ミリモル)のアセトニトリル溶液(7ml)を0℃に保って水素化シアノホウ素ナトリウム(1.36ミリモル)を少量ずつ加えた。混合物を室温で15分間撹拌して放置し、pHを氷酢酸で中性に調節した。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発して除き、残留物を10mlの2Nの水性KOHで収集した。水相をEt2Oで抽出し、次いで抽出物を混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(アセトン/ジクロロメタン8:2)で精製して油として化合物(IA)を得た(表1参照)。
【0069】
実施例18(3−アルキル−6−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンの一般的製造手順)
(IX)(0.28ミリモル)のジクロロメタン溶液(6ml)を0℃に保ち、2mlのジクロロメタンに溶解した無水プロピオン酸(0.98ミリモル)を加えた。混合物を1時間環流し、次いで0℃に冷却し、20%NaOH水溶液を加えてアルカリ性pHにした。混合物を室温で撹拌しながら終夜放置し、次いでジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、油状残留物を得、6:4の石油エーテル−酢酸エチル混合溶媒で抽出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)で精製して油として化合物(IB)を得た(第1表参照)。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
薬理学的活性
μ受容体について[3H]−DAMGO、δ受容体について[3H]Deltorphina、及びκ受容体について[3H]−U69593、及び参照化合物としてモルヒネを用いて、マウス脳のホモジェネート中のオピオイド受容体に関する化合物(IAa〜o)の結合研究を実施した。結合実験の結果を第2表に示す。
【0073】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物及びその医薬的に許容される塩:
【化1】

式中、R及びR1は、互いに異なり、
・直鎖又は分岐のC2〜C8のアシル基、又は
・下記式から選択される基である。
【化2】

ここで、Bは、
・場合によっては、同じであるか異なる、C1〜C3アルコキシ、C1〜C2ハロアルキル、C1〜C3アルキル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、CONHR3(R3は直鎖又は分岐のC1〜C4アルキルである)からなる群から選択される基の1個以上が置換している、C6〜C10アリール基、
・C5〜C7シクロアルキル基、
・場合によってはベンゼン環が結合している、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する5又は6員芳香族ヘテロ環(該へテロ環は、場合によっては、アリール基について示したものから選択される置換基の1個以上を有している)であり、
2は、水素、直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル基、C5〜C7シクロアルキル基、又は、同じ又は異なることのできる、場合によっては、アリール基について上に示したものから選択される基の1個以上で置換されているフェニル基である。
【請求項2】
2〜C8の基が、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、カプロイルから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2〜C8の基が、アセチル又はプロピオニルである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
2〜C8の基が、プロピオニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Bが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ベンゾチエニルから選択される芳香族へテロ環である請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Bが、フェニルである請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Bが、1個以上の塩素原子で置換されたフェニルである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2が、水素及び直鎖又は分岐C1〜C4アルキルから選択される請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
2が、水素、メチル又はエチルから選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
3−プロピオニル−6−シンナミル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(2’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(3’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−クロロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−フェニル−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−クロロフェニル)−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(3’,4’−ジクロロフェニル)−ブト−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−フェニル−ペンタ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[(2E)−3−(4’−ニトロフェニル)−プロプ−2−エニル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−(3−フェニルプロピル)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−ニトロフェニル)プロピル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−クロロフェニル)プロピル]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−(3−フェニルプロピル−3−オン)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−プロピオニル−6−[3−(4’−クロロフェニル)プロピル−3−オン]−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、
3−シンナミル−6−プロピオニル−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン
から選択される化合物。
【請求項11】
中枢鎮痛剤としての請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
鎮痛薬の製造への請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
適切な賦形剤及び/又は担体と混合した請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2007−537182(P2007−537182A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512054(P2007−512054)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004994
【国際公開番号】WO2005/108402
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(503047641)ウニヴェルシタ’ デリ ストゥディ ディ ミラノ (6)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA’ DEGLI STUDI DI MILANO
【出願人】(506375750)ウニヴェルシタ’ デリ ストゥディ ディ サッサリ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA’ DEGLI STUDI DI SASSARI
【Fターム(参考)】