説明

鏡胴ユニット、カメラおよび画像入力装置

【課題】 鏡胴に照明用の発光素子を配置する場合の最適な構成を与えるものであり、照明用発光素子を鏡胴に配置して、しかも機構信頼性を低下させることなく、鏡胴の大型化を最小限にとどめる。
【解決手段】 第1群レンズ系11、第2群レンズ系12、第3群レンズ系13、第4群レンズ系14、LPF16、CCD固体撮像素子17は、物体側から順次配置され、第2群レンズ系12と第3群レンズ系13の間にシャッタユニット15のシャッタ15aが配置されており、これらは、鏡胴18内に支持収容されている。照明用発光素子としての照明用LED19は、シャッタ15aを駆動するシャッタモータ15bと一体的にシャッタユニット15に設けられ、照明用LED19の光は、LED照明用レンズ20を介して被写体に照射される。LED・シャッタ配線用FPC21は、照明用LED19への給電とシャッタモータ15bに対する給電を行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるディジタルカメラ等のカメラを含む画像入力装置における被写体照明のための構造に係り、特に照明のための発光素子を鏡胴に配置した鏡胴ユニット、カメラおよび画像入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるディジタルカメラ等のカメラにおいて、LED(発光ダイオード)等の発光素子を用いて被写体を照明するようにしたものが考えられており、いくつかの例が、例えば、特許文献1(特開2004−226509号公報)、特許文献2(特開2003−233109号公報)、特許文献3(特開2003−101836号公報)および特許文献4(特開2002−262308号公報)等に開示されている。特許文献1には、LEDとレンズとを光軸方向に相対移動させることによりレンズから出射される光の照射角を変化させ得るズームストロボが開示されており、特許文献2には、鏡胴先端にLEDストロボを設けることが開示されており、特許文献3には、レンズ近辺にLEDストロボを設けることが開示されており、そして特許文献4には、多数の発光素子を鏡胴先端に配置することが開示されている。
【0003】
これら特許文献1〜特許文献4に開示された技術のうち、照明のための発光素子を鏡胴に配置することが記載されているのは、特許文献2である。すなわち、特許文献2には、鏡胴の先端にLEDストロボを配置することによって、マクロ撮影等の近接撮影においてもケラレがなく、光量ムラのないLEDストロボによる照明装置を実現しようというものである。また、本出願人は、現時点では公知ではないが、特許文献5によって、鏡胴の先端にLEDストロボを配置する技術であって、特許文献2とは異なる技術を提案している。
これら特許文献2および特許文献5のように、LEDストロボを鏡胴前面に配置するためには、鏡胴前面のLEDストロボに対する電気的な配線が当然必要である。例えば、特許文献2においては、フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と称する)によるLEDストロボへの配線が明示されている(特許文献2の図2等を参照されたい)。従来より、鏡胴においては、シャッタ駆動用の配線等を同じようにFPCで配線しており、この配線自体は技術的には、ある程度確立されている。
【0004】
しかしながら、このような配線は、スペースを必要とするばかりでなく、僅かなずれやばらつきによって、鏡胴の故障を引き起こす原因となる場合が多く、極力減らすことが賢明である。すなわち、シャッタ用FPCが存在する鏡胴内にLEDストロボ用FPCを混在させて引き回すことは、鏡胴全体の大型化につながるばかりでなく、市場問題の要因にもなりかねない。
従来のストロボのようなカメラボディに配置されるキセノン放電管等の発光管によるストロボと異なり、鏡胴前端から照明が可能なLEDストロボは、撮影光軸とのパララックスが小さいかまたはほとんど無いため、マクロ撮影等において非常に有用である。しかしながら、現在、主流となっているディジタルカメラ等のカメラの鏡胴は、一般に沈胴構造等のような、収納機能を持つものが大半であり、鏡胴前端にLEDを配置するためには、その電気配線をどうするかが非常に難しい問題となる。
【0005】
具体的な一例を示せば、ズームレンズの鏡胴における短焦点広角端(WIDE端)および長焦点望遠端(TELE端)の状態をそれぞれ図3および図4に示すように鏡胴を構成することになる。これら図3および図4には、第1群レンズ系111、第2群レンズ系112、第3群レンズ系113、第4群レンズ系114、シャッタユニット115、ローパスフィルタ(LPF)116、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子117、鏡胴118、照明用LED119、LED照明用レンズ120、シャッタ配線用FPC121およびLED配線用FPC122等が示されている。第1群レンズ系111、第2群レンズ系112、第3群レンズ系113、第4群レンズ系114、LPF116、CCD固体撮像素子117は、物体側から順次配置され、第2群レンズ系112と第3群レンズ系113の間にシャッタユニット115のシャッタ115aが配置されており、これらは、鏡胴118内に支持収容されている。第1群レンズ系111は、最も物体側に対物レンズ111aを有している。シャッタユニット115には、シャッタ115aを駆動するためのシャッタモータ115bが設けられており、シャッタ配線用FPC121は、主としてこのシャッタモータ115bに対する給電用である。照明用LED119の光は、LED照明用レンズ120を介して被写体に照射される。この照明用LED119は、LED配線用FPC122を介して給電される。
【0006】
すなわち、照明用LED119への給電にLED配線用FPC122を用いることになるが、このLED配線用FPC122の配設には、図示のように既存のシャッタ配線用FPC121と場所を取り合うことになり、両FPC121および122の適切な配置が非常に困難になるとともに、これらFPC121および122同士の相互干渉なども懸念される。
【0007】
【特許文献1】特開2004−226509号公報
【特許文献2】特開2003−233109号公報
【特許文献3】特開2003−101836号公報
【特許文献4】特開2002−262308号公報
【特許文献5】特願2004−81464号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、鏡胴に照明用の発光素子を配置する場合の最適な構成を与えるものであり、照明用発光素子を鏡胴に配置して、しかも機構信頼性を低下させることなく、鏡胴の大型化を最小限にとどめることを可能とする鏡胴ユニット、カメラおよび画像入力装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項1および2の目的は、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能な鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、発光素子の鏡胴内への配置が容易で、配線の省スペース化を有効に活用し得る鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とする鏡胴ユニットを提供することにある。
【0009】
本発明の請求項5の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とする他の鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とするその他の鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項7の目的は、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することを可能とする鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項8の目的は、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することを可能とする他の鏡胴ユニットを提供することにある。
本発明の請求項9の目的は、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能なカメラを提供することにある。
本発明の請求項10および11の目的は、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能な画像入力装置を提供することにある。
【0010】
本発明の請求項12の目的は、特に、発光素子の鏡胴内への配置が容易で、配線の省スペース化を有効に活用し得る画像入力装置を提供することにある。
本発明の請求項13の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とする画像入力装置を提供することにある。
本発明の請求項14の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とする他の画像入力装置を提供することにある。
本発明の請求項15の目的は、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することを可能とするその他の画像入力装置を提供することにある。
本発明の請求項16の目的は、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することを可能とする画像入力装置を提供することにある。
本発明の請求項17の目的は、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することを可能とする他の画像入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、上述した目的を達成するために、
被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、
前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、
前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子と
を具備することを特徴としている。
請求項2に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1の鏡胴ユニットであって、同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1または2の鏡胴ユニットであって、前記発光素子が、LEDであることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットであって、前記アクチュエータが、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットであって、前記アクチュエータが、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットであって、前記アクチュエータが、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項1〜6のいずれか1項の鏡胴ユニットであって、前記可動部が、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係る鏡胴ユニットは、請求項7の鏡胴ユニットであって、撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成したことを特徴としている。
請求項9に記載した本発明に係るカメラは、上述した目的を達成するために、請求項1〜7のいずれか1項の鏡胴ユニットを有することを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載した本発明に係る画像入力装置は、上述した目的を達成するために、
被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、
前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、
前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子と
を具備することを特徴としている。
請求項11に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10の画像入力装置であって、同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることを特徴としている。
請求項12に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10の画像入力装置であって、前記発光素子が、LEDであることを特徴としている。
【0015】
請求項13に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10または請求項10の画像入力装置であって、前記アクチュエータが、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
請求項14に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10〜12のいずれか1項の画像入力装置であって、前記アクチュエータが、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
請求項15に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10〜12のいずれか1項の画像入力装置であって、前記アクチュエータが、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴としている。
請求項16に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項10〜15のいずれか1項の画像入力装置であって、前記可動部が、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することを特徴としている。
請求項17に記載した本発明に係る画像入力装置は、請求項16の画像入力装置であって、撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鏡胴に照明用の発光素子を配置する場合の最適な構成を与えるものであり、照明用発光素子を鏡胴に配置して、しかも機構信頼性を低下させることなく、鏡胴の大型化を最小限にとどめることを可能とする鏡胴ユニット、カメラおよび画像入力装置を提供することができる。
すなわち本発明の請求項1の鏡胴ユニットによれば、被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子とを具備することにより、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能となる。
【0017】
本発明の請求項2の鏡胴ユニットによれば、請求項1の鏡胴ユニットにおいて、同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることにより、余計なスペースや複雑な構成を要さずに、発光素子までの電源供給を可能とすることができる。
本発明の請求項3の鏡胴ユニットによれば、請求項1または2の鏡胴ユニットにおいて、前記発光素子が、LEDであることにより、特に、発光素子の鏡胴内への配置が容易で、配線の省スペース化を有効に活用することが可能となる。
本発明の請求項4の鏡胴ユニットによれば、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットにおいて、前記アクチュエータが、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
本発明の請求項5の鏡胴ユニットによれば、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットにおいて、前記アクチュエータが、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
【0018】
本発明の請求項6の鏡胴ユニットによれば、請求項1〜3のいずれか1項の鏡胴ユニットにおいて、前記アクチュエータが、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
本発明の請求項7の鏡胴ユニットによれば、請求項1〜6のいずれか1項の鏡胴ユニットにおいて、前記可動部が、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することにより、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することが可能となる。
本発明の請求項8の鏡胴ユニットによれば、請求項7の鏡胴ユニットにおいて、撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成することにより、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することが可能となる。
また、本発明の請求項9のカメラによれば、請求項1〜8のいずれか1項の鏡胴ユニットを有する構成により、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能となる。
【0019】
そして、本発明の請求項10の画像入力装置によれば、被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子とを具備することにより、特に、鏡胴に配置する照明用発光素子に対する配線スペースが少なくて済み、動作時の信頼性を著しく増加させることが可能となる。
本発明の請求項11の画像入力装置によれば、請求項10の画像入力装置において、同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることにより、余計なスペースや複雑な構成を要さずに発光素子まで電源を供給することが可能となる。
本発明の請求項12の画像入力装置によれば、請求項10または11の画像入力装置において、前記発光素子が、LEDであることにより、特に、発光素子の鏡胴内への配置が容易で、配線の省スペース化を有効に活用することが可能となる。
【0020】
本発明の請求項13の画像入力装置によれば、請求項9または請求項10の画像入力装置において、前記アクチュエータが、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
本発明の請求項14の画像入力装置によれば、請求項10〜12のいずれか1項の画像入力装置において、前記アクチュエータが、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
本発明の請求項15の画像入力装置によれば、請求項10〜12のいずれか1項の画像入力装置において、前記アクチュエータが、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることにより、特に、構造を複雑化させることなく鏡胴内に照明用発光素子を配置することが可能となる。
【0021】
本発明の請求項16の画像入力装置によれば、請求項10〜15のいずれか1項の画像入力装置において、前記可動部が、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することにより、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することが可能となる。
本発明の請求項17の画像入力装置によれば、請求項16の画像入力装置において、撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成することにより、特に、少ない照明光量であっても各ズーム位置において有効に活用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明の鏡胴ユニットを詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の一つの実施の形態に係る鏡胴ユニットの要部の構成を示している。図1は、短焦点広角端(WIDE端)における鏡胴ユニットの要部の構成を模式的に示す概略的断面図、そして図2は、長焦点望遠端(TELE端)における鏡胴ユニットの要部の構成を模式的に示す概略的断面図である。
本実施の形態に係る鏡胴ユニットは、シャッタユニットと同じ構造体上に被写体照明用発光素子としてのLEDを一体的に配置し、シャッタユニットの配線と共通のFPC上に照明用LEDのための配線も配設することにより、余分なスペースや複雑な構成を要することなく、LEDへの給電を可能としている。
【0023】
図1および図2に示す鏡胴ユニットは、第1群レンズ系11、第2群レンズ系12、第3群レンズ系13、第4群レンズ系14、シャッタユニット15、ローパスフィルタ(LPF)16、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子17、鏡胴18、照明用LED19、LED照明用レンズ20およびLED・シャッタ配線用FPC21を具備している。これらのうちの第1群レンズ系11、第2群レンズ系12、第3群レンズ系13、第4群レンズ系14、シャッタユニット15、LPF16、CCD固体撮像素子17、鏡胴18、照明用LED19およびLED照明用レンズ20は、それぞれ、図3および図4における従来の第1群レンズ系111、第2群レンズ系112、第3群レンズ系113、第4群レンズ系114、シャッタユニット115、LPF116、CCD固体撮像素子117、鏡胴118、照明用LED119およびLED照明用レンズ120にほぼ相当する。
【0024】
第1群レンズ系11、第2群レンズ系12、第3群レンズ系13、第4群レンズ系14、LPF16、CCD固体撮像素子17は、物体側から順次配置され、第2群レンズ系12と第3群レンズ系13の間にシャッタユニット15のシャッタ15aが配置されており、これらは、鏡胴18内に支持収容されている。第1群レンズ系11は、最も物体側に対物レンズ11aを有している。シャッタユニット15には、シャッタ15aを駆動するためのシャッタモータ15bが設けられている。照明用発光素子としての照明用LED19は、シャッタモータ15bと一体的にシャッタユニット15に設けられており、照明用LED19の光は、LED照明用レンズ20を介して被写体に照射される。LED・シャッタ配線用FPC21は、照明用LED19への給電とシャッタモータ15bに対する給電を行っている。
【0025】
すなわち、本実施例に係る鏡胴ユニットにおいては、照明用LED19は、シャッタユニット15上に一体的に配置されている。このようにすることにより、シャッタ配線用のFPC上に照明用LED19のための配線も一緒に配設してLED・シャッタ配線用FPC21として構成することが可能となる。したがって、配線スペースが少なくて済み、しかも動作時の信頼性を各段に向上させることが可能となる(請求項1、請求項8および請求項9に対応する)。また、もともとシャッタユニット15は鏡胴ユニットにおいて必然的に設けられるユニットであるため、照明用発光素子としての照明用LED19の追加によって構造をことさら複雑化させることもなく、鏡胴18に照明用LED19を用いた照明手段を配設することが可能である。
また、本実施例に係る鏡胴ユニットにおいては、照明用発光素子としてLEDを用いて照明用LED19を構成している。従来一般的であったキセノン放電管のようなストロボ発光管等よりも格段に小さいLEDを被写体の照明に用いることにより、鏡胴18への照明手段の配設が容易になるばかりでなく、配線を省スペース化したメリットをそのまま活かすことが可能となる(つまり、配線を省スペース化しても、照明手段が多くのスペースを占有してしまうと、鏡胴18の大きさに対して本願発明によるメリットが生じない)。
【0026】
さらに、本実施例に係る鏡胴ユニットにおいては、シャッタユニット15が鏡胴18の変倍動作に伴って光軸方向に沿って相対的に移動し、鏡胴18の前端との相対的な位置関係が変化することを利用して、照明用LED19による照明光の照射範囲が、変倍動作に追従して変化するように構成している。このようにすることによって、照明用LED19の少ない光量を、ズーミングにおける各ズーム位置において有効に活用することが可能となる。もちろん、この場合の照明光の変倍動作は、第1群レンズ系11〜第4群レンズ系14からなる光学系の変倍動作に完全に追従し、光学系が3倍ズームの場合は、照明用LED19による照明も3倍ズームとすることが望ましいが、厳密に追従しきれなくとも、それなりの効果を得ることは可能である。すなわち、この照明用LED19による照射光のズーミングは、撮影光学系の光学設計に依存するので、光学系のズーミングに照射光の照射野をある程度追随させることができれば、実用上有意義であることは確かである。
【0027】
以上、本発明に係る鏡胴ユニットの一つの実施の形態について説明したが、シャッタユニット15ではなく、フォーカシングに係るフォーカスユニットやその他の可動ユニットと一体的に照明用LEDを配置するようにしても良い。
また、鏡胴の構成によっては、可動枠にモータが一体的に保持されており、そのモータの動作によりその可動枠自体または他の可動枠を駆動するような機構を有するものがある。このような場合は、モータを保持している可動枠には、当然配線が施されているので、その配線用のFPC上にLED配線を配設してしまえば、上述した実施の形態と同様、鏡胴の構造を複雑化せずにLEDのための配線をすることが可能である。
また、近年採用されつつある手ぶれ補正ユニットを保持する可動枠に照明用LEDを一体的に保持させれば、上述と同様に構成を複雑化することなくLEDのための配線をすることが可能である。
さらに、上述においては、鏡胴ユニットについて説明したが、同様の鏡胴ユニットを具備して構成されるディジタルカメラ等のカメラについても同様にして実施し得ることは言うまでもない。さらに、カメラのみならず種々の画像入力装置に同様の構成を適用しても良く、その際、鏡胴ユニットとして独立した構成を有していなくとも、実質的に同様の鏡胴構造を有していればよい。
なお、本発明は、上述し且つ図面に示す実施の形態に限定されることなく、その要旨を変更しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る鏡胴ユニットの要部の短焦点広角端(WIDE端)における構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の鏡胴ユニットの要部の長焦点望遠端(TELE端)における構成を模式的に示す断面図である。
【図3】従来の一例に係る鏡胴ユニットの要部の短焦点広角端(WIDE端)における構成を模式的に示す断面図である。
【図4】図3の鏡胴ユニットの要部の長焦点望遠端(TELE端)における構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
11 第1群レンズ系
11a 対物レンズ
12 第2群レンズ系
13 第3群レンズ系
14 第4群レンズ系
15 シャッタユニット
15a シャッタ
15b シャッタモータ
16 ローパスフィルタ(LPF)
17 CCD(電荷結合素子)固体撮像素子
18 鏡胴
19 照明用LED(発光ダイオード)
20 LED照明用レンズ
21 LED・シャッタ配線用FPC(フレキシブルプリント基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、
前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、
前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子と
を具備することを特徴とする鏡胴ユニット。
【請求項2】
同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることを特徴とする請求項1に記載の鏡胴ユニット。
【請求項3】
前記発光素子は、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項1または2に記載の鏡胴ユニット。
【請求項4】
前記アクチュエータは、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡胴ユニット。
【請求項5】
前記アクチュエータは、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡胴ユニット。
【請求項6】
前記アクチュエータは、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡胴ユニット。
【請求項7】
前記可動部は、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鏡胴ユニット。
【請求項8】
撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成したことを特徴とする請求項7に記載の鏡胴ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項の鏡胴ユニットを有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
被写体像を所定位置に結像させる撮影光学系と、
前記撮影光学系の光軸方向に沿って可動に構成され、少なくとも一つのアクチュエータを搭載している可動部と、
前記可動部上に配置した被写体を照明するための発光素子と
を具備することを特徴とする画像入力装置。
【請求項11】
同じフレキシブルプリント基板上に前記アクチュエータ用の配線と前記発光素子用の配線とを備えることを特徴とする請求項10に記載の画像入力装置。
【請求項12】
前記発光素子は、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項10または11に記載の画像入力装置。
【請求項13】
前記アクチュエータは、絞りおよびシャッタの少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項10〜12に記載の画像入力装置。
【請求項14】
前記アクチュエータは、フォーカシング機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像入力装置。
【請求項15】
前記アクチュエータは、ぶれ補正機構を作動させるためのアクチュエータであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像入力装置。
【請求項16】
前記可動部は、前記撮影光学系の変倍動作に伴って光軸方向に移動することを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の画像入力装置。
【請求項17】
撮影範囲が広くなる方向の前記撮影光学系の変倍動作に伴って、前記発光素子による被写体照明範囲も広くなるように構成したことを特徴とする請求項16に記載の画像入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−119546(P2006−119546A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309982(P2004−309982)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】