説明

長さ測定装置

【課題】高い測定精度を備える良好に操作可能で安定した長さ測定機を提供する。
【解決手段】スケール3が中空成形部材4内に保護されるように配設されたカプセル化された長さ測定装置において、基準点を構成するため、固定要素10が設けられ、この固定要素が、一方で、スケールを固定装置10に位置不動に固定し、他方で、測定すべき対象1に位置不動に固定可能であり、固定要素10が、更に、固定要素10を測定方向Xに移動可能に中空成形部材4内に固定する少なくとも1つの長さ補正要素を備え、この少なくとも1つの長さ補正要素が、特に、測定方向Xの補正運動だけを可能にする固体ジョイント131,132の装置の形態に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに相対的に移動可能な2つの対象の位置を測定するための長さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スケールを保護するため、スケールは、長さ測定装置の中空成形部材内に測定方向に延在するように配設されている。このような長さ測定装置は、長さ、距離もしくは位置を測定するために使用され、特に、加工すべきワークピースに対する工具の相対運動を測定するための加工機械、三次元座標測定機において、更には半導体産業でも益々使用される。
【0003】
長さ測定機は、特に数メートルにわたる長い距離を測定するために形成されていることが、しばしば必要である。このような長さ測定機は、例えば特許文献1に記載されている。この場合、長さ測定機は、測定方向に相前後して配設された中空成形部材の形態の複数の部分片から成る。メジャーテープの形態のスケールは、中空成形部材の溝内で、すべての中空成形部材を超えて延在し、固定要素を介して、測定領域内の中空成形部材の1つに挟持されている。この中空成形部材は、更にまたネジによって測定すべき対象に位置不動に固定されている。更に、この中空成形部材は、終端側が、弾性的なシールを介して、これに続く中空成形部材と結合されており、これが、ある程度の機械的連結の解除を生じさせる。メジャーテープは、その両端において、張設装置によってその長さにわたって張設され、この張設装置により、両端を、測定すべき対象に位置不動に固定されている。
【0004】
この場合、終端側のシールが、一方で中空成形部材を相互に確実にシールしなければならず、他方で機械的連結の解除を可能にしなければならないことが、欠点である。従って、シールは、固定要素に対して比較的大きい反力を惹起し、これが、測定精度にマイナスの影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第43 18 017号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の根底にある課題は、高い測定精度を備える良好に操作可能で安定した長さ測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。
【0008】
従属請求項には、本発明の有利な形成が記載されている。
【0009】
本発明によれば、互いに相対的に移動可能な2つの対象の位置を測定するための長さ測定装置は、1つの中空成形部材を備え、その内部空間にスケールが配設されている。長さ測定装置は、更に、第1の区間を備える1つの固定要素を有し、この第1の区間が、一方でスケールを第1の区間に位置不動に固定し、他方で第1の区間を測定すべき対象の一方に位置不動に固定するために設定されている。固定要素は、更に、少なくとも1つの第2の区間を備え、この第2の区間によって、固定要素が中空成形部材に固定されている。固定要素の第1の区間と第2の区間間に、第2の区間に対して相対的な第1の区間の測定方向の運動を可能にするために形成された少なくとも1つの長さ補正要素が設けられている。
【0010】
この少なくとも1つの長さ補正要素は、有利なことに、固体ジョイントの装置である。固体ジョイントのそれぞれは、曲げによる第1の区間と第2の区間間の相対運動を可能にし、低下させた曲げ強度を有する、第1の区間と第2の区間間の結合領域として形成されている。
【0011】
測定すべき対象に第1の区間を不動に固定する場所は、測定すべき対象に対して相対的な長さ測定装置の測定方向Xの基準点を構成する。この場合、位置不動とは、測定方向Xに不動の固定を意味する。
【0012】
本発明により、中空成形部材からの固定要素の連結解除が保証されているので、いかなる反力も固定要素に作用しない。これにより、位置測定の高い測定精度、特に再現性と、基準点の良好な熱的安定性とが得られる。
【0013】
中空成形部材は、固定要素と共に操作可能であり、これが、測定すべき対象への取付けを簡素化する。
【0014】
中空成形部材の材料は、通常は1つの材料、例えばアルミニウムから成り、このアルミニウムは、固定要素の材料よりも大きい熱膨張係数を備える。固定要素のための材料としては、スチール又はINVARのようないわゆるゼロ膨張材料が適している。本発明により、中空成形部材の熱に依存した膨張性が保証されており、許容不能な力が中空成形部材から固定要素に、従って基準点に作用し、これにより、長さ測定装置の精度にマイナスの影響を与えることはない。
【0015】
本発明による固定要素は、中空成形部材に統合されており、この中空成形部材と共に簡単に操作可能である。これは、長さ測定装置が、測定方向に相前後して配設された複数の中空成形材料を有し、これら中空成形部材が、その結合個所を、それぞれ弾性的なシール手段によってシールされ、スケールが、複数の中空成形部材にわたって延在し、これら中空成形部材の1つが、固定要素を備える場合でも、特に有利である。終端側のシールと機械的連結の解除の機能は、分離されており、従って、シール手段と固定要素は、統合された連結解除と共に、それぞれ個々に最適に設定することができる。
【0016】
スケールは、特に、その全長にわたって固定要素だけに測定方向に位置不動に固定され、さもなければ、即ち固定要素の両側に延在するように、複数の中空成形部材と測定すべき対象に対して長手方向に移動可能に配設されている。この長手方向の移動能力は、中空成形部材にスケールを単純に載置することによって行なわれ、スケールと中空成形部材間の摩擦は、例えば弾性的な中間層のような付加的な措置によって低減することができる。
【0017】
少なくとも1つの長さ補正要素は、特に、第2の区間に対して相対的な第1の区間の測定方向だけの運動を可能にし、他のすべての方向の、即ち残りの5つの自由度の運動を遮断するように形成されており、これにより、長さ測定装置の高い振動強度が保証されている。少なくとも1つの長さ補正要素は、低摩擦のリニアガイドとして形成することができる。少なくとも1つの長さ補正要素が、固体ジョイントの装置であると、特に有利である。固体ジョイントは、それぞれ1つの、測定方向に対して垂直に延在するそれぞれ1つのウェブを備え、このウェブが、第1の区間と第2の区間間に延在する。ウェブは、一端で第1の区間と結合され、第2の端部で固定要素の第2の区間と結合されており、特に第2の区間に一体的に形成されている。ウェブは、測定方向だけに変位可能である。
【0018】
以下で説明する実施例において詳細に説明するように、スケールが、第1のガイドによって中空成形部材内に測定方向に案内されている場合が、特に有利である。この第1のガイドは、特に、中空成形部材に形成された溝であり、この溝内に、スケールが、測定方向に低摩擦で移動可能に支承されている。第1のガイドは、特に、スケールを残りの5つの自由度を拘束するために設定されている。
【0019】
測定方向の第2のガイドは、少なくとも1つの長さ補正要素を構成する。この第2のガイドは、中空成形部材を、固定要素に沿って測定方向に案内する。この第2のガイドも、特に、スケールの残りの5つの自由度を拘束するために設定されている。
【0020】
スケールは、特に、任意の各位置で固定要素に固定可能であり、この固定は、更に、特に再び遅延なく解除可能である。このため、固定要素の第1の区間は、特に、挟持することによりスケールをこの第1の区間に位置不動に固定するために設定されている。挟持は、スケールを必要時に固定要素から解放することができるとの利点を有する。挟持メカニズムは、外側から作業可能で作動可能である。
【0021】
第1の区間は、特に、測定方向に対して横に互いに間隔を置いた、下面でスケールに当接するための当接部を備え、スケールは、両当接部間に露出している。更に、第1の区間は、測定方向Xに対して横に互いに間隔を置いた2つの支持部を備え、これら支持部が、挟持時にスケールの上面と接触し、スケールを当接部と支持部間に挟持する。支持部は、スケールの周縁部を把持する折曲部の形態で形成されており、この折曲部は、走査をするためのスケールの測定目盛を解放する。
【0022】
測定すべき対象に第1の区間を位置不動に固定するため、第1の区間は、例えば、第1の区間を位置不動に固定する際に、ネジがそこに例えばねじ込まれることによって、測定すべき対象の一方と一致する、ネジを収容するための孔を備える。
【0023】
第2の区間は、測定方向Xに互いに間隔を置いた2つの部分区間を有し、それぞれ両部分区間と第1の区間間に、特に少なくとも1つの固体ジョイントの形態の長さ補正要素が設けられている。各部分区間は、ネジによって中空成形部材に固定されている。
【0024】
スケールは、特に、投げて方向に安定しているが曲げ可能なメジャーテープ、特にスチールストリップである。
【0025】
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ネジ固定された状態の長さ測定装置の外観図を示す。
【図2】長さ測定装置の中空成形部材の第1の外観図を示す。
【図3】スケールを有しない中空成形材の第2の外観図を示す。
【図4】スケール有する中空成形部材の第3の外観図を示す。
【図5】中空成形部材の固定要素の第1の外観図を示す。
【図6】中空成形部材の固定要素の第2の外観図を示す。
【図7】中空成形部材の固定要素の第3の外観図を示す。
【図8】固定要素の別の形成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、互いに相対的に移動可能な2つの対象1,2の位置を測定するための長さ測定装置を示す。長さ測定装置は、スケール3(ここでは単に概略的に図示した)が、中空成形部材4内に測定方向Xに延在するように配設され、スケール3の測定目盛を走査する走査ヘッド5が、同様に保護されるように中空成形部材4内に配設された、いわゆるカプセル化されたシステムである。走査ヘッド5は、例えばローラにより中空成形部材4及び/又はスケール3に支持されることによって、中空成形部材4内に測定方向Xに案内されている。中空成形部材4が、測定すべき両対象の一方1と結合され、走査ヘッド5が、測定すべき対象の他方2と結合されている。測定すべき対象2との走査ヘッド5のこの結合は、公知のように、剣状に形成された、測定方向Xに延在するスリット41によって外に向かって案内されたキャリヤを介して行なわれる。中空成形部材4のスリット41は、中空成形部材4の内部への汚れ及び水飛沫の浸入を回避するために、シールリップ(明瞭さの理由から図示されてない)によってシールされている。
【0028】
スケール3は、特に、薄い柔軟なメジャーテープであり、このメジャーテープは、測定方向の長手方向に安定であるが曲げ可能であり、従って、特にスチールストリップが適している。スケール3は、その上面で、光電走査可能な測定目盛を支持し、この測定目盛は、走査ヘッド5によっていわゆる反射光法で走査され、その下面で、中空成形部材4のウェブ42.1,42.2の形態の当接面に当接する。中空成形部材4の溝43は、一方で、スケール3のための当接面(この例ではウェブ42.1,42.2)を構成し、他方で、溝43は、有利なことに両側に、スケール3のための両側の把持部を構成する折曲部44.1,44.2を備える。溝43は、スケール3を測定方向Xに押し込むことができる中間スペースを構成するが、スケール3は、これに対して横の方向に無視可能な遊びを備える。図2及び3には、導入されるスケール3を有しない溝43が図示され、図4には、内部に押し込まれたスケール3を有する溝43が図示されている。
【0029】
溝43は、内部でスケールを測定方向に低摩擦で移動可能に支承する中空成形部材のガイドを構成する。このガイドは、更に、スケール3が残りの5つの自由度を拘束されるように形成されている。
【0030】
図1には、大きい測定長さを測定するための長さ測定装置がどのように形成されているかが図示されている。一方の測定すべき対象1に、複数の中空成形部材4,40,400が測定方向Xに相前後して配設される。それぞれ2つの隣接する中空成形部材4,40,400間の結合個所は、相互にシール6によってシールされている。測定すべき対象1への個々の中空成形部材4,40,400の取付け後、スケール3は、中空成形部材4,40,400の溝43内に押し込まれるもしくは引き込まれる。この場合、スケール3は、一体的にすべての中空成形部材4,40,400を超えて延在する。
【0031】
中空成形部材4は、固定要素10を備え、この固定要素は、一方で、測定すべき対象1に対して相対的なスケール3のゼロ点もしくは基準点を構成するために形成され、他方で、測定方向Xに連結解除された状態で中空成形部材4に取り付けられている。このため、固定要素10は、スケール3を位置不動にこの固定要素に固定するために設定された第1の区間11を備える。更に、第1の区間11は、測定すべき対象1に位置不動に固定されるように設定されている。これにより、スケール3は、第1の区間11が測定すべき対象1にも位置不動に固定される測定方向Xの位置で、第1の区間11に位置不動に固定される。
【0032】
スケール3は、第1の区間11の両側に、中空成形部材4に対して相対的に測定方向Xに延在するように配設されているので、固定要素10は、測定領域内に存在する。スケール3は、その全長にわたって固定要素10だけを介して測定すべき対象に位置不動に固定可能である。これは、スケール3が、固定要素10の両側に、その全長にわたって、一方では、スケール3と中空成形部材4間の相対的な長さ変化を可能にするように、中空成形部材4から連結解除された状態で取り付けられ、他方では、基準点外で、測定すべき対象1と位置不動に結合されていないとのことを意味する。スケール3のこの連結解除された配設は、溝43の底にスケール43を当接させることによって実現可能であり、溝43とスケール3間には、付加的に、例えば中間層の形態の摩擦低減手段を設けることができる。
【0033】
第1の区間11へのスケール3の位置不動の固定は、特に、挟持によって行なわれ、この固定が解除可能であり、これにより、スケール3は、必要時に中空成形部材4から簡単に取り外すことができるとの利点を有する。
【0034】
有利に形成された固定要素10の第1の実施例は、図5〜7に異なった図で図示されている。第1の区間11にスケール3を位置不動に挟持するため、この第1の区間は、スケール3を第1の区間11に挟持可能な挟持メカニズム110を備える。このため、挟持メカニズム110は、下面でスケール3に当接するための当接要素を備える。当接要素は、スケール3が両周縁部に当接し、中心が露出するように、測定方向Xに対して横に互いに間隔を置いた2つの当接部111.1,111.2を備える。更に、挟持メカニズム110は、挟持時にスケール3の上面と接触し、スケール3を当接部111.1,111.2の面と支持部112.1,112.2間に挟持する2つの支持部112.1,112.2を備える。支持部112.1,112.2は、図示した例では、挟持時に両周縁部においてスケール3の上面と接触する2つの折曲部を有する。両折曲部は、その間に延在するスケール3の測定目盛を解放するので、測定目盛は、逆に、走査ヘッド5によって走査することができる。
【0035】
当接要素(この例では2つのウェブ状の当接部111.1,111.2)は、支持部(この例では両ウェブ状の支持部)の方向に測定方向Xに対して垂直に移動可能である。この移動は、ネジ113によって実現される。取付け時にスケール3を当接部と支持部間にできるだけ簡単に導入することができるように、当接部は、ネジ114によって支持部から引き戻すことができる。
【0036】
スケール3を挟持するため、選択的に、支持部112.1,112.2も、当接部111.1,111.2に向かって移動可能に形成してもよい。
【0037】
挟持作用、即ち静止摩擦を高めるため、特に、サンドブラスト又はエッチングによって、少なくとも挟持面の一方を粗面化されている。第1の区間11へのスケール3の位置不動の固定は、付加的に噛合い係合によって改善することができる。
【0038】
挟持メカニズム110は、挟持が解除可能であるように形成されている。挟持の作動及び停止のため、例えば1つ又は複数のネジ113の形態の操作要素は、外側から作業可能で、測定方向Xに対して横に操作可能である。
【0039】
当接部111.1及び111.2及び/又は支持部112.1,112.2は、その両端に、特に図5に明らかなように、スケール3を容易に導入するための導入斜面を備える。当接面111.1,111.2及び支持部112.1,112.2間にそれぞれ形成された間隙は、終端側が最大であり、挟持領域まで連続的に減少する。
【0040】
更に、固定要素10の第1の区間11は、付加的に、測定すべき対象1に位置不動に固定するため形成されている。このため、第1の区間11は、ネジ116を収容するため孔115を備え、この孔は、第1の区間11を位置不動に固定する際に、測定すべき対象1と一致する。
【0041】
更に、固定要素10は、これを中空成形部材4に固定する少なくとも1つの第2の区間を備える。この例では、第2の区間は、2つの部分区間12.1,12.2によって構成されている。中空成形部材4への固定は、第1の区間と第2の区間12.1,12.2間で、測定方向Xの長さ補正が可能であるように行なわれる。このため、特に固体ジョイント装置131,132,133,134として形成された少なくとも1つの長さ補正要素が設けられており、この長さ補正要素が、第2の区間12.1,12.2に対して相対的な第1の区間11の測定方向Xの運動を可能にする。
【0042】
固体ジョイント131,132,133,134の装置は、特に、第2の区間12.1,12.2に対して相対的な第1の区間11の測定方向Xの相対運動だけを可能にし、他の全ての方向の運動を遮断するように形成されている。このため、各固体ジョイント131,132,133,134は、測定方向Xに対して垂直に延在し、測定方向Xにだけ変位可能なウェブ状の要素として形成されている。これらウェブ状の要素は、これらが延在する方向、即ちY方向及びZ方向(図7に図示)の第2の区間12.1,12.2に対して相対的な第1の区間11の運動を遮断する。
【0043】
固体ジョイント131,132,133,134の装置は、模範的に、第1の区間11の両側で対称の配設である。このため、第2の区間は、測定方向Xに互いに間隔を置いた2つの部分区間12.1,12.2を有し、それぞれ、両部分区間12.1,12.2と第1の区間11間に少なくとも1つの固体ジョイント131,132,133,134が配設されている。ウェブ状の要素として形成された固体ジョイント131,132,133,134は、それぞれ第1の区間11から出発して、第2の区間(この例では少なくとも両部分区間12.1,12.2の一方)に向かって測定方向Xに対して垂直に延在し、測定方向Xに板バネのように変位可能である。ここでは2つの部分区間12.1,12.2の形態の第2の区間は、ネジ16.1,16.2によって中空成形部材に4に固定されている。このため、両部分区間12.1,12.2のそれぞれは、孔15.1,15.2を備える。
【0044】
第1の区間11と少なくとも1つの第2の区間12.1,12.2とを有する固定要素10は、外側から中空成形部材4に取付け可能なインサート部品の形態に形成されている。このため、中空成形部材4は、外側から作業可能な開口を備え、この開口を経て、第1の区間11の挟持メカニズム110が、図3から明らかなように、中空成形部材4の内部空間内に突出する。中空成形部材4のこの横の開口は、中空成形部材4の側壁と固定要素10間に配設されたシール14、特にフラットシールによってシールされる。このシール14は、特に図5及び6に図示されている。シール14は、それぞれ測定方向Xに、第1の区間11と固体ジョイント131,132,133,134間に配設されている。これによりシール14が測定方向Xに圧縮されるので、シールによって惹起される測定方向Xの力の導入は無視可能である。
【0045】
図8には、固定要素20の別の形成が図示されている。前記の固定要素10とは異なり、折曲部212.1,212.2の形態の支持部は、挟持されてない状態でスケール3に対して平行にするのではなく、これら支持部は、その自由端が、(特にメジャーテープとして形成された)スケール3の方向を向いている。この措置は、本来の挟持工程による力の導入時に撓みを補償するために役立つ。これにより、スケール3の変形(測定方向Xに対して横への湾曲)が回避され、長さ測定装置の測定精度は、挟持工程によってマイナスの影響を受けない。
【0046】
高精度の位置測定が所望される場合、スケールの測定目盛は、光電走査可能に形成される。測定目盛は、選択的に、磁気走査、容量走査又は誘導走査可能に形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 対象
2 対象
3 スケール
4 中空成形部材
5 走査ヘッド
6 シール
10 固定要素
11 第1の区間
14 シール
15.1 孔
15.2 孔
16.1 ネジ
16.2 ネジ
20 固定要素
40 中空成形部材
41 スリット
42.1 ウェブ
42.2 ウェブ
43 溝
44.1 折曲部
44.2 折曲部
110 挟持メカニズム
111.1 当接部
111.2 当接部
112.1 支持部
112.2 支持部
113 ネジ
114 ネジ
115 孔
116 ネジ
131 固体ジョイント
132 固体ジョイント
133 固体ジョイント
134 固体ジョイント
212.1 折曲部
212.2 折曲部
400 中空成形部材
X 測定方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの中空成形部材(4)と、この中空成形部材(4)内に配設された1つのスケール(3)と、第1の区間(11)を備える1つの固定要素(10,20)とを有し、この第1の区間(11)が、一方でスケール(3)を第1の区間(11)に測定方向(X)に位置不動に固定し、他方で第1の区間(11)を測定すべき対象(1)の一方に測定方向(X)に位置不動に固定するために設定され、固定要素(10,20)が、少なくとも1つの第2の区間(12.1,12.2)を備え、この第2の区間によって、固定要素(10,20)が中空成形部材(4)に固定され、固定要素(10,20)の第1の区間(11)と第2の区間(12.1,12.2)間に、第2の区間(12.1,12.2)に対して相対的な第1の区間(11)の測定方向(X)の運動を可能にするために形成された少なくとも1つの長さ補正要素(131,132,133,134)が設けられている、互いに相対的に移動可能な2つの対象(1,2)の測定方向(X)の位置を測定するための長さ測定装置。
【請求項2】
長さ補正要素(131,132,133,134)が、第2の区間(12.1,12.2)に対して相対的な第1の区間(11)の測定方向(X)だけの運動を可能にし、他のすべての方向(Y,Z)の運動を遮断するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の長さ測定装置。
【請求項3】
長さ補正要素(131,132,133,134)が、固体ジョイントの装置であることを特徴とする請求項2に記載の長さ測定装置。
【請求項4】
固定ジョイントが、測定方向(X)に対して垂直に延在するそれぞれ1つの曲げ可能なウェブを備え、このウェブが、第1の区間(11)と第2の区間(12.1,12.2)間に延在することを特徴とする請求項3に記載の長さ測定装置。
【請求項5】
固定要素(10,20)の第1の区間(11)が、挟持することによりスケール(3)をこの第1の区間(11)に位置不動に固定するために設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項6】
第1の区間(11)が、測定方向(X)に対して横に互いに間隔を置いた、下面でスケール(3)に当接するための当接部(111.1,111.2)を備えること、第1の区間(11)が、測定方向(X)に対して横に互いに間隔を置いた2つの支持部(112.1,112.2)を備え、これら支持部が、挟持時にスケール(3)の上面と接触し、スケール(3)を当接部(111.1,111.2)と支持部(112.1,112.2)間に挟持することを特徴とする請求項5に記載の長さ測定装置。
【請求項7】
第1の区間(11)が、第1の区間(11)を位置不動に固定する際に測定すべき対象(1,2)の一方と一致する、ネジ(116)を収容するための孔(115)を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項8】
第2の区間(12.1,12.2)が、測定方向(X)に互いに間隔を置いた2つの部分区間を有し、それぞれ両部分区間と第1の区間(11)間に、少なくとも1つの長さ補正要素(131,132,133,134)が配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項9】
各部分区間が、ネジ(16.1,16.2)によって中空成形部材(4)に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の長さ測定装置。
【請求項10】
スケール(3)が、メジャーテープであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項11】
中空成形部材(4)が、測定方向(X)に延在する溝(43)を備え、この溝内にスケール(3)が配設されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項12】
測定方向(X)に相前後して配設された複数の中空成形部材(4,40,400)を有し、これら中空成形部材が、その結合箇所を、それぞれ弾性的なシール手段(6)によってシールされ、スケール(3)が、複数の中空成形部材(4,40,400)にわたって延在し、これら中空成形部材(4,40,400)の1つが、固定要素(10,20)を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の長さ測定装置。
【請求項13】
スケール(3)が、その全長にわたって固定要素(10,20)だけに測定方向(X)に位置不動に固定され、さもなければ複数の中空成形部材(4,40,400)と測定すべき対象(1,2)に対して長手方向に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項12に記載の長さ測定装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−24865(P2013−24865A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152326(P2012−152326)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】