説明

長尺体連続形成装置

【課題】樹脂製長尺体を形成する場合の歩留りを向上させ、かつ、長尺体の形成時に、無用に多量の廃棄物が発生しないようにする。
【解決手段】長尺体連続形成装置は、一方向に向かって連続的に移動し、上面5が水平な平坦面とされる移動体6と、移動体6の左右幅方向の中途部6aの上面5に粘液状の樹脂9を連続的に供給する樹脂供給装置10と、移動体6の左右各側部6bの上面5に当接すると共に、移動体6と共に一方向に移動し、樹脂9が移動体6の左右各側部6bの上面5側にまで流動することを阻止する流動阻止装置11とを備える。移動体6の各側部6bの上方に配置され、回転駆動可能となるよう固定側部材4に支持される左右一対の無端体48,48を設ける。各無端体48の往、復移動側48a,48bのうち、各往移動側48aにより流動阻止装置11を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト形状の樹脂製長尺体をその長手方向かつ水平な一方向に向かって連続的に形成するようにした長尺体連続形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記長尺体連続形成装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、長尺体連続形成装置は、ベルト形状の樹脂製長尺体をその長手方向かつ水平な一方向に向かって連続的に形成するものである。具体的には、上記連続形成装置は、上記一方向に向かって連続的に移動し、その上面が水平な平坦面とされる移動体と、この移動体の左右幅方向の中途部の上面に粘液状の樹脂を連続的に供給する樹脂供給装置と、上記移動体の左右各側部の上面に当接すると共に、この移動体と共に上記一方向に移動し、上記樹脂が上記移動体の左右各側部の上面側にまで流動することを阻止する流動阻止装置である左右一対のパッキンとを備えている。
【0003】
上記長尺体連続形成装置により長尺体を形成する場合には、まず、上記移動体が上記一方向に向かって移動させられる。そして、この移動体の左右幅方向における中途部の上面に上記樹脂供給装置から粘液状の樹脂が連続的に供給される。すると、この樹脂は、上記移動体の移動に伴い、その上面に上記一方向に長く延びるよう形成される。
【0004】
また、上記移動体上の樹脂は、上記移動体の各側部の上面側に向かって流動しようとする。この場合、この流動は、上記各パッキンにより阻止され、所定幅寸法を有する長尺体が形成される。その後、上記長尺体が硬化させられることにより、所望のベルト形状の長尺体が形成される。
【特許文献1】特開平9−39006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように形成された長尺体の各側縁部にはそれぞれパッキンが接合させられている。このため、この長尺体から最終製品を得るためには、上記各パッキンを含む上記長尺体の左右各側縁部を切除して、この切除後の長尺体の幅寸法を所定幅寸法にすることが必要と考えられる。しかし、このように各側縁部を切除すると、この切除分だけ、長尺体を形成する場合の歩留りが低下する。また、長尺体の形成長さに応じ、切断された上記パッキンにより、無用に多量の廃棄物が発生するおそれが生じて好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、樹脂製長尺体を形成する場合の歩留りを向上させ、かつ、この長尺体の形成時に、無用に多量の廃棄物が発生しないようにすることである。
【0007】
請求項1の発明は、ベルト形状の樹脂製長尺体2をその長手方向かつ水平な一方向Aに向かって連続的に形成する長尺体連続形成装置であって、
上記一方向Aに向かって連続的に移動し、その上面5が水平な平坦面とされる移動体6と、この移動体6の左右幅方向の中途部6aの上面5に粘液状の樹脂9を連続的に供給する樹脂供給装置10と、上記移動体6の左右各側部6bの上面5に当接すると共に、この移動体6と共に上記一方向Aに移動し、上記樹脂9が上記移動体6の左右各側部6bの上面5側にまで流動することを阻止する流動阻止装置11とを備えた長尺体連続形成装置において、
上記移動体6の各側部6bの上方に配置され、回転駆動D可能となるよう固定側部材4に支持される左右一対の無端体48,48を設け、これら各無端体48の往、復移動側48a,48bのうち、各往移動側48aにより上記流動阻止装置11を構成したことを特徴とする長尺体連続形成装置である。
【0008】
請求項2の発明は、上記各無端体48を、この無端体48の長手方向に沿って配置される多数の弾性ブロック51で構成したことを特徴とする請求項1に記載の長尺体連続形成装置である。
【0009】
請求項3の発明は、上記固定側部材4に支持され、上記流動阻止装置11を押圧してこの流動阻止装置11を上記移動体6の各側部6bの上面5に圧接させる押圧装置55を設けたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の長尺体連続形成装置である。
【0010】
請求項4の発明は、上記樹脂9に接する上記流動阻止装置11の部分を上記樹脂9に対し離型性のよい樹脂製としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の長尺体連続形成装置である。
【0011】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明による効果は、次の如くである。
【0013】
請求項1の発明は、ベルト形状の樹脂製長尺体をその長手方向かつ水平な一方向に向かって連続的に形成する長尺体連続形成装置であって、
上記一方向に向かって連続的に移動し、その上面が水平な平坦面とされる移動体と、この移動体の左右幅方向の中途部の上面に粘液状の樹脂を連続的に供給する樹脂供給装置と、上記移動体の左右各側部の上面に当接すると共に、この移動体と共に上記一方向に移動し、上記樹脂が上記移動体の左右各側部の上面側にまで流動することを阻止する流動阻止装置とを備えた長尺体連続形成装置において、
上記移動体の各側部の上方に配置され、回転駆動可能となるよう固定側部材に支持される左右一対の無端体を設け、これら各無端体の往、復移動側のうち、各往移動側により上記流動阻止装置を構成している。
【0014】
このため、上記移動体の中途部の上面上の粘液体の樹脂が、上記移動体の各側部の上面側にまで流動することは上記流動阻止装置の各無端体の往移動側により阻止される。そして、この場合、これら各無端体は、上記したように固定側部材に支持されていて、移動体の幅方向の所定位置に確実に保持される。よって、上記移動体の上面上で形成される長尺体は、より確実に所定幅寸法に形成可能とされる。この結果、最終製品を得るためなどの理由で上記長尺体の側縁部を切除することは不要にでき、もしくは、この切除の幅寸法を小さく抑制できることから、所定幅寸法の長尺体を形成する場合の歩留りが向上する。
【0015】
また、流動阻止装置の各無端体は、繰り返し使用により上記長尺体を所定幅寸法に形成するものであるため、長尺体を形成する場合に、従来の技術のように流動阻止用のパッキンを切除する、ということは不要である。よって、無用に多量の廃棄物が発生することは防止される。
【0016】
請求項2の発明は、上記各無端体を、この無端体の長手方向に沿って配置される多数の弾性ブロックで構成している。
【0017】
このため、上記流動阻止装置の各無端体の往移動側において隣り合う弾性ブロック同士を互いに密着させるようにしてやれば、上記移動体の中途部の上面上の樹脂が、上記移動体の各側部の上面側に向けて流動することは、上記各往移動側の各弾性ブロックによって、より確実に防止される。また、このようにした場合でも、上記無端体がスプロケットとの巻き掛け部で円弧状に回転駆動する際には、上記各弾性ブロックは互いに離反して、円滑な円弧状の回転駆動を可能にさせる。よって、上記円弧状の回転駆動の回転半径を十分に小さくできることから、上記連続形成装置をコンパクトにできる。
【0018】
請求項3の発明は、上記固定側部材に支持され、上記流動阻止装置を押圧してこの流動阻止装置を上記移動体の各側部の上面に圧接させる押圧装置を設けている。
【0019】
このため、上記移動体の各側部の上面と流動阻止装置との間のシール性能が向上することから、上記移動体の中途部の上面上の樹脂が、上記移動体の各側部の上面側に向けて流動することは、より確実に防止される。よって、より精度のよい所定幅寸法の長尺体を得ることができる。
【0020】
請求項4の発明は、上記樹脂に接する上記流動阻止装置の部分を上記樹脂に対し離型性のよい樹脂製としている。
【0021】
このため、上記したように樹脂の流動を上記流動阻止装置の部分(弾性ブロック)で阻止するようにした場合には、ある程度以上に硬化した後の上記樹脂に対する流動阻止装置の部分の離型作用が円滑にできる。よって、所定幅寸法の長尺体の形成が円滑かつ精度よくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の長尺体連続形成装置に関し、樹脂製長尺体を形成する場合の歩留りを向上させ、かつ、この長尺体の形成時に、無用に多量の廃棄物が発生しないようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0023】
即ち、長尺体連続形成装置は、ベルト形状の樹脂製長尺体をその長手方向かつ水平な一方向に向かって連続的に形成するものである。この連続形成装置は、上記一方向に向かって連続的に移動し、その上面が水平な平坦面とされる移動体と、この移動体の左右幅方向の中途部の上面に粘液状の樹脂を連続的に供給する樹脂供給装置と、上記移動体の左右各側部の上面に当接すると共に、この移動体と共に上記一方向に移動し、上記樹脂が上記移動体の左右各側部の上面側にまで流動することを阻止する流動阻止装置とを備えている。
【0024】
上記移動体の各側部の上方に配置され、回転駆動可能となるよう固定側部材に支持される左右一対の無端体が設けられる。これら各無端体の往、復移動側のうち、各往移動側により上記流動阻止装置が構成されている。
【実施例】
【0025】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0026】
図において、符号1は、長尺体2の連続形成装置である。この連続形成装置1はベルト形状の樹脂製長尺体2をその長手方向かつ水平な一方向Aに向かって連続的に形成するためのものである。なお、下記する前方とは、上記一方向Aに向かっての方向をいい、下記する左右とは、上記一方向Aに向かっての長尺体2の幅方向をいうものとする。
【0027】
上記連続形成装置1は、作業面3上に固定され、架台として例示される固定側部材4と、この固定側部材4に対し、上記一方向Aに向かって連続的に移動し、その上面5が水平な平坦面とされる移動体6と、上記固定側部材4に支持され、上記移動体6を上記したように一方向Aに向かって連続的に移動させる移動体駆動装置7とを備えている。
【0028】
また、上記連続形成装置1は、上記固定側部材4に支持され、上記移動体6の左右幅方向の中途部6aの上面5に粘液状の樹脂9を連続的に供給する樹脂供給装置10と、上記固定側部材4に支持され、上記移動体6の左右各側部6bの上面5に当接すると共に、この移動体6と共に上記一方向Aに移動し、上記樹脂9が上記移動体6の各側部6bの上面5側に流動することを阻止する流動阻止装置11と、上記移動体6上の樹脂9の厚さ寸法Bを所定寸法に調整する厚さ調整装置12と、上記移動体6の移動に伴い、上記樹脂9の上面に連続的に上面側シート14を貼着させるシート供給装置15とを備えている。
【0029】
上記長尺体2は熱可塑性で常温硬化型のポリウレタン樹脂(PU)製とされている。なお、上記長尺体2は、熱可塑性のポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂であってもよく、熱硬化性のフェノール、シリコン、ウレタン樹脂であってもよい。また、この長尺体2の厚さ寸法Bは5〜25mmとされるが、この長尺体2の厚さ寸法Bは、10〜20mmであってもよい。また、上記移動体6と上面側シート14とは、それぞれ上記一方向Aに沿って延びるベルト形状の樹脂製長尺シートであり、これら長尺シートは、塩化ビニル(PVC)や直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)製とされる。これら移動体6と上面側シート14との各厚さ寸法は1〜5mm程度とされる。
【0030】
上記長尺体2、移動体6、および上面側シート14は、最終的には互いに面接合されて一体化され、廃棄物埋立地などに用いられる遮水シート18を構成する。この遮水シート18を見れば、上記移動体6は、上記上面側シート14との対比で下面側シートを構成している。
【0031】
前記移動体駆動装置7は、上記固定側部材4に支持され、上記一方向Aに沿って延び、上面20が水平な平坦面とされる固定テーブル21と、この固定テーブル21の左右各側方域で、上記固定側部材4に支持される前、後スプロケット22,23と、これら両スプロケット22,23に巻き掛けられる無端体24と、上記各前スプロケット22に連動連結されて、上記無端体24を回転駆動Cさせる減速電動機25とを備えている。また、上記各無端体24は、上記両スプロケット22,23に巻き掛けられるローラチェーン27と、このローラチェーン27の各ピンリンクに取り付けられる複数のテーブル部材28とを備えている。
【0032】
上記移動体駆動装置7の無端体24の上部が上記一方向Aに向かって直線的に移動する往移動側24aとされ、上記無端体24の下部が上記一方向Aとは逆方向に直線的に移動する復移動側24bとされている。上記無端体24の各テーブル部材28は、上記固定テーブル21の側方近傍に配置される。また、上記無端体24の往移動側24aにおける各テーブル部材28の上面は一方向Aに向かって連続する面とされている。また、上記各往移動側24aにおける各テーブル部材28の上面が上記固定テーブル21の上面20と面一となるよう、上記無端体24の往移動側24aの下面を摺動可能に支持する支持レール30,31が上記固定側部材4に支持されている。
【0033】
上記移動体6の中途部6aは、上記移動体駆動装置7の固定テーブル21の上面20上に摺動可能に載置される。また、上記移動体6の各側部6bは、上記移動体駆動装置7の無端体24の往移動側24aにおける各テーブル部材28の上面に載置される。
【0034】
前記樹脂供給装置10は、上記移動体6の後部における中途部6aの上面5に向かって開口し、かつ、この開口が上記長尺体2の幅方向に長く延びる樹脂吐出ノズル34と、上記樹脂9の原料となる第1、第2樹脂35,36を個別に貯留する第1、第2タンク37,38とを備えている。上記第1樹脂35はポリオール樹脂であり、上記第2樹脂36はイソシアネート樹脂である。
【0035】
また、上記樹脂供給装置10は、上記各タンク37,38から個別に吸入した上記第1、第2樹脂35,36を個別に吐出する第1、第2ポンプ39,40と、これらポンプ39,40から吐出された第1、第2樹脂35,36を混合して常温硬化型のポリウレタン樹脂を形成するミキサー41と、このミキサー41の手前で、第1、第2樹脂35,36を個別に約50℃にまで加熱する第1、第2ヒータ42,43とを備えている。
【0036】
前記流動阻止装置11は、上記移動体駆動装置7の無端体24の往移動側24aの上方域で、上記固定側部材4に支持される前、後スプロケット46,47と、これら両スプロケット46,47に巻き掛けられる無端体48と、上記各前スプロケット46に連動連結されて、上記無端体48を回転駆動Dさせる減速電動機49とを備えている。また、上記各無端体48は、上記両スプロケット46,47に巻き掛けられるローラチェーン50と、このローラチェーン50の各ピンリンクに取り付けられる複数の弾性ブロック51とを備えている。
【0037】
上記の場合、各無端体24,48の回転駆動C,Dの速度は0.1〜2.0m/min程度であって、互いに同速とされている。また、上記各弾性ブロック51は上記樹脂9に対し離型性のよい樹脂であるシリコンゴム製とされている。なお、上記各弾性ブロック51は、その内部側を金属もしくはブタジエンなどの合成ゴム製とし、その外面側の一部もしくは全部を上記樹脂9に対し離型性の良い弾性の樹脂で形成してもよい。
【0038】
上記流動阻止装置11の無端体48の下部が上記一方向Aに向かって直線的に移動する往移動側48aとされ、上記無端体48の下部が上記一方向Aとは逆方向に直線的に移動する復移動側48bとされている。前記した移動体駆動装置7の無端体24の往移動側24aにおける各テーブル部材28の上面には、上記移動体6の各側部6bが載置されている。そして、上記無端体48の往移動側48aにおける各弾性ブロック51の下面は、上記移動体6の各側部6bの上面5に摩擦接合するよう圧接している。
【0039】
つまり、上記移動体6の各側部6bは、上記移動体駆動装置7の無端体24の往移動側24aにおける各テーブル部材28の上面と、上記流動阻止装置11の無端体48の往移動側48aにおける各弾性ブロック51の下面との間に挟み付けられている。このため、上記両無端体24,48のそれぞれの回転駆動C,Dにより、上記移動体6は一方向Aに向かって一定速度で移動させられる。
【0040】
この際、上記移動体6の中途部6aは上記固定テーブル21の上面20に沿って摺動するが、これら移動体6の中途部6aと固定テーブル21の上面20との間には空気53が供給されるようになっている。このため、上記移動体6の一方向Aへの移動は低摩擦で円滑になされる。
【0041】
上記したように、無端体48の往移動側48aにおける各弾性ブロック51の下面は上記移動体6の各側部6bの上面5に弾性的に圧接している。また、これに加えて、一方向Aで互いに隣り合う各弾性ブロック51同士も互いに弾性的に密着するよう圧接している。また、前記したように移動体6の中途部6aの上面5上に供給された樹脂9の上面は、上記各弾性ブロック51の上面よりも十分に低くされている。これにより、上記移動体6の中途部6aの上面5上の樹脂9が、上記移動体6の各側部6bの上面5側にまで流動することは上記各弾性ブロック51によって、より確実に阻止される。
【0042】
上記固定側部材4に支持され、上記流動阻止装置11の無端体48の往移動側48aにおける各弾性ブロック51の上面側を押圧して、これら各弾性ブロック51を上記移動体6の各側部6bの上面5に圧接させる押圧装置55が設けられている。この押圧装置55は、一方向Aに沿って延び、上記無端体48の往移動側48aにおけるローラチェーン50のローラ上面を摺接させる押圧レール56と、上記固定側部材4に支持され、手動により上記押圧レール56を昇降可能とさせるようこの押圧レール56を支持するねじジャッキ式の高さ調整装置57とを備えている。
【0043】
上記高さ調整装置57への操作により上記押圧レール56を降下させれば、この押圧レール56は上記無端体48の往移動側48aにおけるローラチェーン50を介して上記各弾性ブロック51を下方に押圧する。すると、これら各弾性ブロック51は上記移動体6の各側部6bの上面5に、より強く圧接させられて、これら各側部6bの上面5と各弾性ブロック51との間のシール性能が向上する。また、上記押圧レール56による押圧により、一方向Aで互いに隣り合う各弾性ブロック51同士も互いに、より強く圧接させられて、これら両弾性ブロック51,51間のシール性能も向上する。
【0044】
上記連続形成装置1により長尺体2を形成する場合には、まず、上記移動体駆動装置7の無端体24が回転駆動Cさせられると共に、上記流動阻止装置11の無端体48が回転駆動Dさせられる。これにより、上記移動体6の各側部6bが上記移動体駆動装置7と流動阻止装置11の各無端体24,48の往移動側24a,48aに挟み付けられ、上記移動体6が一方向Aに向かって移動させられる。そして、この移動体6の中途部6aの上面5に上記樹脂供給装置10の樹脂吐出ノズル34を通し粘液状の樹脂9が連続的に供給される。すると、この樹脂9は、上記移動体6の移動に伴い、その上面5に上記一方向Aに長く延びるよう形成される。
【0045】
また、上記移動体6上の樹脂9は、上記移動体6の各側部6bの上面5側に向かって流動しようとする。この場合、この流動は上記流動阻止装置11の各無端体48の往移動側48aにおける各弾性ブロック51によって阻止される。このため、所定幅寸法Eの長尺体2が形成される。また、上記移動体6と共に移動する長尺体2上にシート供給装置15により上面側シート14が重ね合わされる。その後、上記長尺体2を硬化させれば、所望のベルト形状かつ可撓性の長尺体2が形成されると同時に、ベルト形状かつ可撓性の遮水シート18が形成される。この場合、上記長尺体2は、これ単独で、もしくは構成部品として、何らかの製品に適用可能とされる。
【0046】
上記構成によれば、移動体6の各側部6bの上方に配置され、回転駆動D可能となるよう固定側部材4に支持される左右一対の無端体48,48を設け、これら各無端体48の往、復移動側48a,48bのうち、各往移動側48aにより上記流動阻止装置11を構成している。
【0047】
このため、上記移動体6の中途部6aの上面5上の粘液体の樹脂9が、上記移動体6の各側部6bの上面5側にまで流動することは上記流動阻止装置11の各無端体48の往移動側48aにより阻止される。そして、この場合、これら各無端体48は、上記したように固定側部材4に支持されていて、移動体6の幅方向の所定位置に確実に保持される。よって、上記移動体6の上面5上で形成される長尺体は、より確実に所定幅寸法Eに形成可能とされる。この結果、最終製品を得るためなどの理由で上記長尺体2の側縁部を切除することは不要にでき、もしくは、この切除の幅寸法を小さく抑制できることから、所定幅寸法Eの長尺体2を形成する場合の歩留りが向上する。
【0048】
また、流動阻止装置11の各無端体48は、繰り返し使用により上記長尺体2を所定幅寸法Eに形成するものであるため、長尺体2を形成する場合に、従来の技術のように流動阻止用のパッキンを切除する、ということは不要である。よって、無用に多量の廃棄物が発生することは防止される。
【0049】
また、前記したように、各無端体48を、この無端体48の長手方向に沿って配置される多数の弾性ブロック51で構成している。
【0050】
このため、上記流動阻止装置11の各無端体48の往移動側48aにおいて隣り合う弾性ブロック51,51同士を互いに密着させるようにしてやれば、上記移動体6の中途部6aの上面5上の樹脂9が、上記移動体6の各側部6bの上面5側に向けて流動することは、上記各往移動側48aの各弾性ブロック51によって、より確実に防止される。また、このようにした場合でも、上記無端体48がスプロケット46,47との巻き掛け部で円弧状に回転駆動Dする際には、上記各弾性ブロック51,51は互いに離反して(図3)、円滑な円弧状の回転駆動Dを可能にさせる。よって、上記円弧状の回転駆動Dの回転半径を十分に小さくできることから、上記連続形成装置1をコンパクトにできる。
【0051】
また、前記したように、固定側部材4に支持され、上記流動阻止装置11の各無端体48の往移動側48aを押圧してこの流動阻止装置11の往移動側48aを上記移動体6の各側部6bの上面5に圧接させる押圧装置55を設けている。
【0052】
このため、上記移動体6の各側部6bの上面5と、流動阻止装置11の各無端体48の往移動側48aとの間のシール性能が向上すると共に、この往移動側48aにおいて隣り合う弾性ブロック51,51同士の互いの密着が促進されてこれら弾性ブロック51,51同士の間のシール性能が向上することから、上記移動体6の中途部6aの上面5上の樹脂9が、上記移動体6の各側部6bの上面5側に向けて流動することは、より確実に防止される。よって、より精度のよい所定幅寸法Eの長尺体2を得ることができる。
【0053】
また、前記したように、樹脂9をポリウレタン製とし、この樹脂9に接する上記流動阻止装置11の部分を上記樹脂9に対し離型性のよい樹脂であるシリコンゴム製としている。
【0054】
このため、上記したように樹脂9の流動を上記シリコン製の流動阻止装置11の部分である弾性ブロック51で阻止するようにした場合には、ある程度以上に硬化した後の上記樹脂9に対する流動阻止装置11の部分の離型作用が円滑にできる。よって、所定幅寸法Eの長尺体2の形成が円滑かつ精度よくできる。
【0055】
なお、以上は図示の例によるが、長尺体2は最終的に固体板となるようにしてもよい。また、上記移動体6の全体を上記移動体駆動装置7の上面により形成してもよい。また、この移動体駆動装置7を用いないで、上記固定テーブル21の上面20により上記移動体6を全体的に摺動可能に支持させ、この移動体6を上記流動阻止装置11の各無端体48からの摩擦力により一方向Aに向けて移動させるようにしてもよい。
【0056】
また、上記流動阻止装置11の各スプロケット46,47の軸心を縦向きとして、その無端体48が平面視で環形状となるようにしてもよい。この場合、この無端体48のうち、往移動側48aのみを上記移動体6の側部6bの上方に配置させてもよい。また、上記無端体48の各弾性ブロック51における各基部同士を一体的に連結させ、数珠状にしてもよい。また、上記流動阻止装置11の無端体48は、空気入りチューブなど、各部断面が一定の可撓性環状体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図2のI−I線矢視部分拡大断面図である。
【図2】連続形成装置の全体簡略側面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図2の背面部分断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 連続形成装置
2 長尺体
4 固定側部材
5 上面
6 移動体
6a 中途部
6b 側部
7 移動体駆動装置
9 樹脂
10 樹脂供給装置
11 流動阻止装置
12 厚さ調整装置
14 上面側シート
18 遮水シート
20 上面
21 固定テーブル
22 スプロケット
23 スプロケット
24 無端体
24a 往移動側
24b 復移動側
46 スプロケット
47 スプロケット
48 無端体
48a 往移動側
48b 復移動側
51 弾性ブロック
55 押圧装置
56 押圧レール
57 高さ調整装置
A 一方向
B 厚さ寸法
C 回転駆動
D 回転駆動
E 所定幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト形状の樹脂製長尺体をその長手方向かつ水平な一方向に向かって連続的に形成する長尺体連続形成装置であって、
上記一方向に向かって連続的に移動し、その上面が水平な平坦面とされる移動体と、この移動体の左右幅方向の中途部の上面に粘液状の樹脂を連続的に供給する樹脂供給装置と、上記移動体の左右各側部の上面に当接すると共に、この移動体と共に上記一方向に移動し、上記樹脂が上記移動体の左右各側部の上面側にまで流動することを阻止する流動阻止装置とを備えた長尺体連続形成装置において、
上記移動体の各側部の上方に配置され、回転駆動可能となるよう固定側部材に支持される左右一対の無端体を設け、これら各無端体の往、復移動側のうち、各往移動側により上記流動阻止装置を構成したことを特徴とする長尺体連続形成装置。
【請求項2】
上記各無端体を、この無端体の長手方向に沿って配置される多数の弾性ブロックで構成したことを特徴とする請求項1に記載の長尺体連続形成装置。
【請求項3】
上記固定側部材に支持され、上記流動阻止装置を押圧してこの流動阻止装置を上記移動体の各側部の上面に圧接させる押圧装置を設けたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の長尺体連続形成装置。
【請求項4】
上記樹脂に接する上記流動阻止装置の部分を上記樹脂に対し離型性のよい樹脂製としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の長尺体連続形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−12678(P2010−12678A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174173(P2008−174173)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】