説明

長尺状装飾品の製造装置及び長尺状装飾品の製造方法

【課題】管状雄型連結具を端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することのできる長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】長尺体の端部に管状弾性部材及び接続部材からなる管状雄型連結具を備えた長尺状装飾品の製造装置であって、管体12と、管体12から突出する外径変化部15を有する中軸体11と、管状弾性部材を管体12に外装する押進部材20と、管状弾性部材の変位を規制する規制面19を有する規制部材10と、接続部材を保持する保持軸体13と、管体12、中軸体11及び保持軸体13を独立に前後進させる移動手段40とを備えて成る長尺状装飾品の製造装置、並びに、管体12に外装された管状弾性部材の内部に管体12を介して長尺体及び接続部材を互いに相対向するように配置した後にこの状態を維持したまま管体12を抜脱する前記長尺状装飾品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺状装飾品の製造装置及び長尺状装飾品の製造方法に関し、さらに詳しくは、管状雄型連結具を端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することのできる長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ネックレス、ブレスレット、ストラップ及びチョーカー等の長尺状の装飾品(この発明において、長尺状装飾品と称する。)には、端部同士の連結等を目的として、長尺体の端部に連結具等が装着されている。このような連結具は、通常、長尺体の一方の端部に装着され突起部を有する雄型連結具と長尺体の他方の端部に装着され前記突起部と係合する凹部を有する雌型連結具とからなり、雄型連結具と雌型連結具とを着脱自在に係合させることで、長尺体の両端部を互いに連結することができるように、なっている。このような連結具は、身体への傷害防止のため、身体に接触する部分をゴム等の弾性材料で形成されることが多い。
【0003】
前記長尺体に弾性を有する管状部材を装着する方法等として、例えば、特許文献1には、被カバー部材に弾性カバー部材を固着させるカバーの固着方法及びその装置が記載されている。具体的には、その請求項1には、「被カバー体に弾性カバー部材を固着させる方法であって、小径部、テーパ部、及び大径部を同軸で形成されたカバー挿入部材の前記大径部の穴内に前記被カバー体の一部を突き当て保持する工程と、前記小径部に穴を介して前記弾性カバー部材を挿入する工程と、挿入された前記弾性カバー部材を弾性変形により膨らませながら押圧し前記テーパ部及び前記大径部を通過させ前記被カバー体に押し込む工程と、前記弾性カバー部材の一部が前記被カバー体に押し込まれ弾性力で保持された後、前記弾性カバー部材を前記被カバー体に残しながら前記カバー挿入部材を前記弾性カバー部材及び前記被カバー体から離す工程とからなり、残された弾性カバー部材が弾性力により前記被カバー体に一体的に固着されることを特徴とするカバーの固着方法」が記載されている。
【0004】
また、その請求項5には、「被カバー体に弾性カバー部材を固着させるためのカバーの固着装置であって、小径部、テーパ部、大径部が同軸に形成され、前記大径部に前記被カバー体を挿入するための穴を備えたカバー挿入部材と、前記弾性カバー部材を弾性変形により膨らませながら押圧し、前記小径部、前記テーパ部及び前記大径部を通過させ、前記大径部の穴に挿入された前記被カバー体に押し込むカバー押し込み手段とからなり、前記弾性カバー部材が前記被カバー体に押し込まれた後、前記カバー挿入部材を離し、前記弾性カバー部材を弾性力により前記被カバー体に一体的に固着させる装置であることを特徴とするカバーの固着装置」が記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載された「カバーの固着方法及びその装置」は、「小径部、テーパ部、大径部が同軸に形成され、大径部に被カバー体を挿入するための穴を備えたカバー挿入部材」を用いて、弾性カバー部材を押圧して「カバー挿入部材における小径部、テーパ部及び大径部を通過させる」ことによって、被カバー体に弾性カバー部材を固着させる方法及び装置である(特許文献1の0022欄〜0027欄及び図3〜図7等参照。)。したがって、特許文献1に記載された「カバーの固着方法及びその装置」では、前記のように、突起部を有する管状雄型連結具を長尺体の端部に一挙に装着することができず、管状雄型連結具を端部に備えて成る長尺状装飾品及び管状雄型連結具と管状雌型連結具とを端部に備えて成る長尺状装飾品を効率よく製造することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4015601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、管状雄型連結具を端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することのできる長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための第1の手段として、
請求項1は、長尺体と、前記長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材、及び、この管状弾性部材に挿着され、前記長尺体の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具に挿脱自在に挿嵌される接続部材を有する管状雄型連結具とを備えてなる長尺状装飾品の製造装置であって、両端が開口した管体と、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有し、この外径変化部が一方の前記開口から突出するように前記管体内に挿通配置される中軸体と、前記一方の開口から突出する前記外径変化部に挿入配置された前記管状弾性部材の端部に当接する当接部を備えると共に、前記中軸体の軸線に沿って前後進可能になるように前記軸線の延長方向に配置されて成り、前記管状弾性部材を前記管体側に相対的に押進して前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する押進部材と、前記管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有し、前記貫通孔から前記管体が突出するように配置されて成り、前記規制面で前記管体に外装された前記管状弾性部材の変位を規制する規制部材と、先端部に開口して前記接続部材を起立状態に保持する軸穴を有し、前記中軸体が抜脱した前記管体内に挿入配置される保持軸体と、前記管体、前記中軸体及び前記保持軸体を前記軸線方向に独立に前後進させる移動手段とを備えて成ることを特徴とする長尺状装飾品の製造装置であり、
請求項2は、前記移動手段は、前記管体を前記軸線方向に前後進させる管体移動手段と、前記中軸体を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる中軸体移動手段と、前記保持軸体を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる保持軸体移動手段とを備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の長尺状装飾品の製造装置であり、
請求項3は、前記押進部材は、第1押進アーム及び第2押進アームを備えて成り、前記第1押進アーム及び前記第2押進アームはそれぞれ、端部に、前記中軸体が貫通する貫通部を形成する貫通凹部とこの貫通凹部の周囲に形成された前記当接部とを有する押進部を具備すると共に、相対向する前記貫通凹部が互いに近接又は遠隔可能になるように、前記延長方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の長尺状装飾品の製造装置であり、
請求項4は、前記貫通部の開き量を前記軸線方向に沿う前記押進部材の相対位置に応じて調整する開き量調整手段を、前記押進部材に、備えて成ることを特徴とする請求項3に記載の長尺状装飾品の製造装置であり、
請求項5は、前記開き量調整手段は、前記外径変化部の傾斜割合に対応する傾斜割合で先端に向かって徐々に外径が小さくなる案内外径変化部を有する案内部材と、前記案内部材の軸線上に位置し前記案内外径変化部に接触する被案内部を先端に有し、前記第1押進アーム及び前記第2押進アームそれぞれに結合する第1調整アーム及び第2調整アームと、前記第1押進アーム及び前記第2押進アームを互いに近接又は遠隔自在に連結する伸縮部材とを備えて成り、前記被案内部が前記案内外径変化部の外周面を前記軸線方向に摺動することによって前記第1押進アーム及び前記第2押進アームを前記第1調整アーム及び前記第2調整アームを介して互いに近接又は遠隔させることを特徴とする請求項4に記載の長尺状装飾品の製造装置である。
【0009】
前記課題を解決するための第2の手段として、
請求項6は、長尺体と、前記長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材、及び、この管状弾性部材に挿着され、前記長尺体の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具に挿脱自在に挿嵌される接続部材を有する管状雄型連結具とを備えてなる長尺状装飾品の製造方法であって、下記工程Aから下記工程Gを行い、前記長尺体の前記一方の端部に前記管状弾性部材及び前記接続部材からなる管状雄型連結具を装着することを特徴とする長尺状装飾品の製造方法。
<工程A>両端が開口した管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有する規制部材に前記管体を貫通させて前記貫通孔から前記管体を突出させると共に、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有する中軸体を前記管体に挿通して前記外径変化部を前記管体の一方の前記開口から突出させる工程であり、
<工程B>前記開口から突出する前記外径変化部に前記管状弾性部材を挿入配置する工程
<工程C>この管状弾性部材を、前記中軸体の軸線方向に沿って前記管体側に相対的に押進して、前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する工程
<工程D>前記中軸体を前記管体から抜脱する工程
<工程E>前記中軸体が抜脱して空洞になった前記管体の内部にその前記一方の開口から前記長尺体の前記一方の端部を挿入配置する工程
<工程F>前記中軸体が抜脱して空洞になった前記管体の内部にその他方の前記開口から、先端部に開口した軸穴を有する保持軸体の前記軸穴に起立状態に保持した前記接続部材を挿入配置する工程
<工程G>前記規制面で前記管状弾性部材の変位を規制しつつ前記規制部材に対して前記管体を相対的に後退させる工程
請求項7は、前記工程Aから前記工程Gを行うと同時又は前若しくは後に、下記工程アから下記工程カを行い、前記長尺体の前記他方の端部に前記管状弾性雌型連結具を装着することを特徴とする請求項6に記載の長尺状装飾品の製造方法である。
<工程ア>両端が開口した管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有する規制部材に前記管体を貫通させて前記貫通孔から前記管体を突出させると共に、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有する中軸体を前記管体に挿通して前記外径変化部を前記管体の一方の前記開口から突出させる工程
<工程イ>前記開口から突出する前記外径変化部に前記管状弾性雌型連結具を挿入配置する工程
<工程ウ>この管状弾性雌型連結具を、前記中軸体の軸線方向に沿って前記管体側に相対的に押進して、前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する工程
<工程エ>前記中軸体を前記管体に対して相対的に後退させる工程
<工程オ>前記中軸体が後退して空洞になった前記管体の内部にその前記一方の開口から前記長尺体の前記他方の端部を挿入配置する工程
<工程カ>前記規制面で前記管状弾性雌型連結具の変位を規制しつつ前記規制部材に対して前記管体を相対的に後退させる工程
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置は、前記管体、前記中軸体、前記押進部材、前記規制部材、前記保持軸体及び前記移動手段を備え、前記管体に外装された管状弾性部材の内部に前記管体を介して長尺体及び接続部材を互いに相対向するように配置した状態を維持したまま前記管体を抜脱することができるように構成されているから、管状弾性部材と接続部材とで構成される管状雄型連結具を構築すると同時に長尺体に装着することができる。
【0011】
この発明に係る長尺状装飾品の製造方法は、前記工程Aから前記工程Gを有し、前記管体に外装された管状弾性部材の内部に前記管体を介して長尺体及び接続部材を互いに相対向するように配置した後にこの状態を維持したまま前記管体を抜脱する方法であるから、管状弾性部材と接続部材とで構成される管状雄型連結具を構築すると同時に長尺体に装着することができる。
【0012】
したがって、この発明によれば、管状雄型連結具を端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することのできる長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例を示す概略正面図である。
【図2】図2は、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例を示す概略左側面図である。
【図3】図3は、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例における押進部材の下部を示す概略図である。
【図4】図4(a)はこの発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例における中軸体の一例を示す概略正面図であり、図4(b)はこの発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例における管体の一例を示す概略斜視図であり、図4(c)はこの発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例における保持軸体の一例を示す概略斜視図であり、図4(d)はこの発明に係る長尺状装飾品の製造装置の一例における中軸体の別の一例を示す概略正面図である。
【図5】図5は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図5(a)は管体、中軸体及び規制部材を配置する工程Aを説明する概略説明図であり、図5(b)は外径変化部に管状弾性部材を挿入配置する工程Bを説明する概略説明図であり、図5(c)は管状弾性部材を管体に外装する工程Cにおいて押進部材が管状弾性部材に当接した状態を説明する概略説明図である。
【図6】図6は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図6(a)は管状弾性部材を管体に外装する工程Cにおいて第1押進アーム及び第2押進アームが伸縮部材で略平行な状態を維持しつつ管状弾性部材を押進する状態を説明する概略説明図であり、図6(b)は前記工程Cにおいて第1押進アーム及び第2押進アームが離間しつつ管状弾性部材を押進する状態を説明する概略説明図であり、図6(c)は前記工程Cが終了した状態を説明する概略説明図である。
【図7】図7は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図7(a)は中軸体を管体から抜脱する工程Dが終了した状態を説明する概略説明図であり、図7(b)は管体に長尺体の端部を挿入配置する工程Eが終了した状態を説明する概略説明図であり、図7(c)は接続部材を起立状態に保持軸体に保持した状態を説明する概略拡大説明図である。
【図8】図8は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図8(a)は管体に接続部材を挿入配置する工程Fが終了した状態を説明する概略説明図であり、図8(b)は管体を後退させる工程Gにおける途中の状態を説明する概略説明図であり、図8(c)は管体に接続部材を挿入配置した状態を説明する概略拡大説明図である。
【図9】図9は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図9(a)は中軸体を後退させる工程エが終了した状態を説明する概略説明図であり、図9(b)は管体に長尺体の端部を挿入配置する工程オが終了した状態を説明する概略説明図である。
【図10】図10は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法の一例を説明する説明図であり、図10(a)は管体を後退させる工程カにおける途中の状態を説明する概略説明図であり、図10(b)は管体を後退させる工程カが終了した状態を説明する概略説明図である。
【図11】図11は、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置及びこの発明に係る長尺状装飾品の製造方法によって製造される長尺状装飾品の一例である磁気ネックレスの連結状態を示す概略正面図である。
【図12】図12は、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置及びこの発明に係る長尺状装飾品の製造方法によって製造される長尺状装飾品の一例である磁気ネックレスに装着された管状雄型連結具及び管状弾性雌型連結具の断面を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法によって製造される長尺状装飾品は長尺体の端部に連結具を装着して成る。すなわち、長尺状装飾品は、長尺体と、この長尺体の一方の端部に装着され突起部を有する雄型連結具と、前記長尺体の他方の端部に装着され前記突起部が挿脱自在に挿嵌される凹部又は穴部を有する雌型連結具とを備えている。このような長尺状装飾品として、例えば、ネックレス(この発明において磁気ネックレスを含む。)、ブレスレット(この発明において磁気ブレスレットを含む。)、ストラップ、チョーカー等が挙げられ、長尺状装身具と称することもできる。
【0015】
前記長尺体は、軸線方向に延在して前記長尺状装飾品を構成可能な長尺体であればよく、ゴム、繊維等で形成される屈曲自在な長尺体であっても、金属、プラスチック等で形成される屈曲しない又は屈曲しにくい長尺体であってもよい。このような長尺体として、例えば、ゴム磁石が樹脂で被覆されてなる屈曲自在な長尺体等が好適に挙げられる。この長尺体は用途等に応じて適宜の外径及び軸線長さに調整される。
【0016】
前記連結具としては、長尺体の両端部それぞれに装着され、その両端部を連結可能な部材であればよく、例えば、前記雄型連結具と前記雌型連結具とからなり、雄型連結具と雌型連結具とを着脱自在に係合させることで長尺体の両端部を互いに連結することができる連結具が挙げられる。このような連結具は、例えば、管体、楕円体、球体等の形状に成形され、身体への傷害防止のため、身体に接触する部分がゴム等の弾性材料で形成されている。前記雌型連結具としては、例えば、その軸線方向に貫通し前記長尺体が内挿される軸孔を有する管状体等が挙げられ、前記管状雄型連結具としては、例えば、前記軸孔に挿脱自在に挿嵌される突起部を先端部に有し、前記長尺体が内挿される軸穴を有する管状体等が挙げられる。前記雌型連結具及び前記管状雄型連結具が弾性を有している場合には、前記雌型連結具及び前記管状雄型連結具それぞれは、長尺体の外径よりも小さな径の前記軸孔及び前記軸穴を有し、自身の弾性力で長尺体の端部に固着する。
【0017】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法によって好適に製造される長尺状装飾品として、ゴム磁石が樹脂で被覆されてなる長尺体の端部それぞれに連結具が装着された磁気治療具、例えば、磁気ネックレス及び磁気ブレスレット等が挙げられる。
【0018】
前記磁気ネックレスとしては、例えば、図11及び図12に示されるように、長尺体51と、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54、及び、この管状弾性部材54に挿着され、長尺体51の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55を有する管状雄型連結具52とを備えて成る磁気ネックレス50が挙げられる。換言すると、この前記磁気ネックレス50は、長尺体51と、長尺体51の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具53と、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54及びこの管状弾性部材54に挿着され管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55からなる管状雄型連結具52とを備えて成る。
【0019】
この磁気ネックレス50は、図11に示されるように、管状雄型連結具52の接続部材55を管状弾性雌型連結具53の軸孔61に内挿してこれらを挿嵌することによって長尺体51の両端を連結し、環状にして使用される。
【0020】
前記長尺体51は、ゴム磁石が樹脂で被覆されて成り、その一方の端部が管状雄型連結具52に内装され、他方の端部が管状弾性雌型連結具53に内装されている。この長尺体51は、磁石材料がゴムに分散し、一方向に延在してなる長尺状のゴム磁石が樹脂で被覆されている。ゴム磁石はゴムと磁石材料例えばフェライトとの混合物であり、ゴムと磁石材料との混合比率は磁石材料が80〜95質量%、ゴムが5〜20質量%であるのが好ましい。前記範囲の混合比率でゴム磁石が形成されていると、適当な可撓性を得ることができるので身体に装着しやすく、また、磁束密度を適切な範囲内で強くすることができるので健康増進効果が高くなる。前記ゴム及び前記磁石材料は公知のものを特に制限されることなく使用される。このゴム磁石の断面は直径約3〜8mmの円形に成形されている。前記樹脂は、公知のものを特に制限されることなく使用され、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。前記樹脂からなる樹脂層は、例えば、約0.1〜0.5mmの厚さを有している。このように長尺体51はゴム磁石及び樹脂層からなる線条中実体ともいうことができる。
【0021】
前記長尺体51の横断面において、磁石材料の粒子例えばフェライト粒子を同一方向、例えば断面上方向に磁化すると仮定すると、磁石材料の粒子同士の隣接するN極とS極が打ち消され、長尺体51の任意の横断面において仮想的に磁化される。磁化の方向は、N極から出る磁力線の向きが長尺体51の長さ方向で、例えば、互い違いであったり、螺旋状であったり、ランダムに変化するなど異なる向きであってよく、磁気効果が高くなるように変化を与えることができる。磁化の強さとして、長尺体51の表面における磁束密度が40〜70ミリテスラの範囲に調整されるのが好ましい。
【0022】
前記管状雄型連結具52は、管状弾性部材54と、この管状弾性部材54に挿着され、管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55とを有している。
【0023】
前記管状弾性部材54は、図12に示されるように、弾性を有する弾性材料、例えば、ゴム等で、その軸線に沿って貫通する軸孔61を有する管状体に形成され、長尺体51の一方の端部に装着される。管状弾性部材54は、その一部が一方の端部に向かって外径が徐々に小さくなる円錐台部を有する筒状体であってもよく、その全体が均一な外径を有する筒状態であってもよい。この例において、管状弾性部材54はシリコーンゴムで形成された、その一部が一方の端部に向かって外径が徐々に小さくなる円錐台部を有する筒状体になっている。
【0024】
前記軸孔61は、図12に示されるように、内径が縮小又は拡大する内径変化部を2箇所有し、管状弾性部材54をその軸線に沿って貫通している。すなわち、軸孔61は、長尺体51の端部を内装して弾力的に保持すると共に後述する接続部材55の第1膨出部67を内装する第1軸孔62と、この第1軸孔62よりも小径で接続部材55の軸66を保持する第2軸孔63と、接続部材55の鍔部68を収容する第3軸孔64とが管状弾性部材54の軸線を共有してこの順で連設されてなり、前記第1軸孔62が管状弾性部材54の一方の端部に開口し、第3軸孔64が管状弾性部材54の他方の端部に開口している。第1軸孔62は第1膨出部67を収容可能で長尺体51の外径よりも小さな内径を有し、第2軸孔63は第1軸孔62の内径よりも小さく軸66を収容可能な内径を有し、第3軸孔64は第2軸孔63よりも大きく鍔部68を収容可能な内径を有している。
【0025】
接続部材55は、第1膨出部67が前記管状弾性部材54に挿着されて、管状弾性部材54から突出する軸66及び第2膨出部69が後述する管状弾性雌型連結具53の軸孔61に挿脱自在に挿嵌される。この接続部材55は、図12に示されるように、剛性を有する材料、例えば、金属、樹脂等で、その軸線略中央部に鍔部68を有する所謂「亜鈴状」に形成されている。すなわち、接続部材55は、一方向に延在する断面略円形の軸66と、軸66の一方の端部に外周面が半径方向に膨出する第1膨出部67と、軸66の他方の端部に外周面が半径方向に膨出する第2膨出部69と、第1膨出部67及び第2膨出部69の間の軸66に軸線に垂直に張出すリング状の鍔部68とを有している。前記軸66は、管状弾性部材54に挿着可能で、管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌可能な軸線長さ及び外径を有している。特に、第1膨出部67と鍔部68との間の部分が前記第2軸孔63に収容可能な外径及び軸線長さを有し、鍔部68と第2膨出部69との間の部分が管状弾性雌型連結具53に挿嵌され、その第3軸孔64及び第2軸孔63に収容可能な軸線長さ及び外径を有している。すなわち、第1膨出部67と鍔部68との間の部分は第2軸孔63の軸線長さと略同一の軸線長さを有し、鍔部68と第2膨出部69との間の部分は管状弾性雌型連結具53の第2軸孔63及び第3軸孔64の合計軸線長さと略同一の軸線長さを有している。
【0026】
第1膨出部67は、先端が円錐台形状を成す円筒状に形成され、管状弾性部材54に挿着又は嵌装されたときに、第1膨出部67の後端面が第1軸孔62と第2軸孔63との内径差による段差部に係止するようになっている。
【0027】
鍔部68は、管状弾性部材54に挿着又は嵌装されたときに第3軸孔64に収容され、その第1膨出部67側端面が第2軸孔63と第3軸孔64との内径差による段差部に係止するようになっている。すなわち、前記第1膨出部67と鍔部68とが軸孔61に挿嵌されることによって、接続部材55の軸線方向の位置が決定される。
【0028】
第2膨出部69は、先端が半球形状を成す円筒状に形成され、管状弾性雌型連結具53に挿嵌されたときに、その第3軸孔64及び第2軸孔63を通過して第1軸孔62に到達し、第2膨出部69の後端面が第1軸孔62と第2軸孔63との内径差による段差部に係止して管状雄型連結具52と管状弾性雌型連結具53とを連結させる。軸66、第1膨出部67、鍔部68及び第2膨出部69は管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53に収容される程度の寸法を有していればよく、管状弾性部材54の軸孔61又は管状弾性雌型連結具53の軸孔61の径よりもわずかに大きな外径を有しているのがこれらの弾性力によって保持されるので好ましい。接続部材55において、前記鍔部68の外径は前記第2膨出部69の最大外径と略同一で前記第1膨出部67の最大外径よりも小さくなっている。このように前記第1膨出部67が第2膨出部69よりも大きな最大外径を有しているから、管状雄型連結具52と管状弾性雌型連結具53とを連結及び脱離しても接続部材55は管状弾性部材54に挿着された状態を保持する。
【0029】
前記管状弾性雌型連結具53は、図12に示されるように、弾性を有する前記弾性材料等でその軸線に沿って貫通する軸孔61を有する管状体に形成され、長尺体51の他方の端部に装着される。この管状弾性雌型連結具53は、前記管状弾性部材54と基本的に同様である。すなわち、管状雄型連結具52は管状弾性雌型連結具53と接続部材55とから構成されているということもできる。したがって、磁気ネックレス50は長尺体51の両端部それぞれに装着された管状弾性部材54を備え、一方の管状弾性部材54を管状弾性雌型連結具53とし、他方の管状弾性部材54に接続部材55を挿着して管状雄型連結具52としている。
【0030】
前記長尺状装飾品の一例として図11及び図12に示される前記磁気ネックレス50を製造することのできるこの発明に係る長尺状装飾品の製造方法(以下、この発明に係る製造方法と称することがある。)を具体的に説明する。この発明に係る製造方法は、前記長尺状装飾品の製造方法であって、後述する工程Aから工程Gを行い、長尺体の一方の端部に管状弾性部材及び接続部材からなる管状雄型連結具を装着する方法である。なお、この発明に係る製造方法は、前記磁気ネックレス50以外の前記長尺状装飾品を製造できることはいうまでもない。
【0031】
まず、この発明に係る製造方法を実施するのに好適に用いられる、この発明に係る長尺状装飾品の製造装置(以下、この発明に係る製造装置と称することがある。)を、図面を参酌して説明する。
【0032】
この発明に係る製造装置における一実施例の長尺状装飾品の製造装置1(単に製造装置1と称することがある。)は、図1〜図3に示されるように、管体12と、中軸体11と、保持軸体13と、押進部材20と、規制部材10と、移動手段40と、開き量調整手段30(図2参照)とを備えて成る。
【0033】
中軸体11は、図4(a)に明確に示されるように、大径部14、外径変化部15及び小径部16が中心軸を共有する棒状を成しており、好ましくは、その先端に、前記長尺体51の主に軸線方向の変位を規制する先端規制部16aを有している。具体的には、中軸体11は、後述する中軸体移動手段41に起立状態に設けられ、ほぼ一定の外径を有する大径部14と、大径部14の端部から連設され、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部15と、外径変化部15の端部から連設され、前記大径部15よりも小さくほぼ一定の外径を有する小径部16とから構成されている。
【0034】
大径部14の外径は後述する管体12の内径よりも小さければよく、例えば、図4(a)に示される中軸体11のように、大径部14の外周面と管体12の内周面とが接触するように、大径部14の外径が管体12の内径とほぼ等しくなっていてもよく、また、例えば、図4(d)に示される中軸体11’のように、大径部14’の外周面と管体12の内周面とが非接触となるように、大径部14’の外径が管体12の内径よりも小さくなっていてもよい。
【0035】
前記外径変化部15は、先端に向かって一定の割合で徐々に外径が小さくなる錐台形のテーパ部であってもよく、先端に向かって異なる割合で徐々に外径が小さくなる曲面を有する曲面部であってもよく、この例においては、前記テーパ部とされている。この外径変化部15の最小外径は前記管状弾性部材54の軸孔61及び前記管状弾性雌型連結具53の軸孔61の径と略同一又はその径よりも小さくなっている。
【0036】
前記小径部16は、その先端に先端規制部16aを有し、その外径は前記管状弾性部材54の軸孔61及び前記管状弾性雌型連結具53の軸孔61の径と略同一又はその径よりも小さくなっている。この小径部16はその先端特に先端面に前記先端規制部16aを有している。この発明において中軸体は小径部及び先端規制部を備えていなくてもよいが、中軸体11のように中軸体が小径部16及び先端規制部16aを備えていると、管体12に挿入された長尺体51の端面に当接してその変位を規制することができるから、管状弾性部材54と長尺体51との相対的な位置関係を容易に安定的に保持することができ、その結果、同等の品質を有する長尺状装飾品をより一層歩留まりよく製造することができる点で、特に好ましい。前記先端規制部16aは、長尺体51に当接してその変位を規制することができる態様であればよく、この例では平面になっている。
【0037】
大径部14、外径変化部15及び小径部16それぞれの軸線長さは、図1等によく示されるように、管状弾性部材54、長尺体51等に応じて適宜調整される。前記大径部14は、中軸体11を後述する管体12に挿通したときに前記外径変化部15が管体12の先端部から突出するように外径変化部15を配置及び支持する部材であり、このような機能を発揮する限り、大径部14の形態は特に限定されない。例えば、大径部14は、中実体であってもよく、また、その端部が開口していても閉塞されていてもよい。
【0038】
前記管体12は、図4(b)に示されるように、両端が開口した管状部材であり、前記中軸体11が挿通されると共に、前記中軸体11が挿入される方向と逆方向に向かって、換言すると、前記管状弾性部材54が押進される方向と同一方向に向かって長尺体51が挿入され、かつ、前記接続部材55が長尺体51に対向するように挿入される。この管体12は、前記大径部14、長尺体51及び接続部材55の外径と略同一又はその外径よりも大きな内径を有し、被覆配置された管状弾性部材54を支持固定する。この管体12は、前記中軸体11の軸線長さよりも短く、この例においては、後述する管体移動手段42に起立状態に設けられたときに、管体12の先端部と大径部14の先端部とがほぼ一致する軸線長さを有している。管体12は、その強度を維持できる範囲内で薄い厚さに調整されるのが管状弾性部材54を外装しやすくなる点で、好ましい。
【0039】
前記保持軸体13は、図4(c)に示されるように、先端部すなわち先端面に開口して接続部材55を起立状態に保持する軸穴17を有する筒状部材又は管状部材であり、中軸体11が抜脱又は離脱した前記管体12内に挿入配置される。この保持軸体13は、前記軸穴17を有する中実の筒状部材とされている。この保持軸体13は、例えば、図7(a)に示されるように、前記軸穴17が接続部材55の第2膨出部69及び鍔部68の一部を収容すると共に、その内周面が鍔部68の外周面に接して、接続部材55の前記起立状態を安定させる。このようにして、保持軸体13は、接続部材55を、保持軸体13とほぼ同軸となるように第1膨出部67が前記開口部から突出した起立状態に、保持する。したがって、前記軸穴17は第2膨出部69及び鍔部68を収納可能な内径と、第2膨出部69の先端から鍔部68の一部までを収納可能な深さとを有し、保持軸体13の先端面はその軸線に対して略垂直になっている。この保持軸体13は、前記管体12の内径と略同一又はその内径よりも小さな外径を有し、前記管体12の軸線長さよりも短い軸線長さ、具体的には、後述するように、保持軸体移動手段43に起立状態に設けられたときに接続部材55を管体12の内部に配置可能な軸線長さを有している。
【0040】
この製造装置1は、例えば図1に示されるように、前記管体12、前記中軸体11及び前記保持軸体13を前記中軸体11の軸線方向に独立に前後進させる移動手段40を備えている。この移動手段40は、前記中軸体11が立設され、この中軸体11を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる中軸体移動手段41と、前記管体12が立設され、この管体12を前記軸線方向に前後進させる管体移動手段42と、前記保持軸体13が立設され、この保持軸体13を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる保持軸体移動手段43とからなる。
【0041】
中軸体移動手段41は、中軸体11を前記軸線方向に前後進させて管体12に挿通及び抜脱又は後退させると共に、中軸体11を前記軸線の半径方向に前後進させて管体12と軸線を共有する位置に配置させ、管体12から抜脱又は後退した中軸体12をこの位置から退避させる。管体移動手段42は、中軸体11及び保持軸体13が貫通する貫通孔44を有し、貫通孔44と中心を共有してこの貫通孔44を囲繞するように管体12が立設されている。保持軸体移動手段43は、保持軸体13を前記軸線方向に前後進させて管体12に内挿及び抜脱又は後退させると共に、保持軸体13を前記軸線の半径方向に前後進させて管体12と軸線を共有する位置に配置させ、保持軸体13をこの位置から退避させる。この例において、中軸体移動手段41、管体移動手段42及び保持軸体移動手段43それぞれは、平坦な板状部材であり、それぞれ独立に前記のように前後進可能に図示しない駆動手段例えばモータ、シリンダー等にそれぞれ接続されている。中軸体移動手段41、管体移動手段42及び保持軸体移動手段43がこのように構成されているので、管体12に中軸体11及び保持軸体13をそれぞれ挿通及び内挿又は抜脱することができる。なお、図1は、中軸体移動手段41によって管体12に中軸体11が挿通され、保持軸体移動手段43によって管体12と軸線を共有しない位置に保持軸体13が待機した状態を示している。
【0042】
前記規制部材10は、図1及び図2に示されるように、管体12が貫通する貫通孔18の周囲に形成された規制面19を有し、この貫通孔18から管体12が突出するように配置される。この規制部材10は、前記規制面19で管体12に外装された管状弾性部材54の変位を規制し、具体的には、管体12が規制部材10に対して前記軸線C方向に沿って相対的に後退するときに管体12の外周に外装すなわち被覆配置された管状弾性部材54が管体12と共に同方向に後退するのを規制又は防止する。この例において、規制部材10は、管体12が貫通する貫通孔18と、この貫通孔18の周囲に形成され、管状弾性部材54の変位例えば後退を規制又は防止する規制面19とを有する平坦な板状部材とされている。規制部材10は、前記中軸体移動手段41、管体移動手段42及び保持軸体移動手段43とは独立に前記軸線C方向に沿って前後進可能となるように、図示しない駆動手段例えばモータ、シリンダー等に接続され、規制部材10から突出する管体12の軸線長さと後述する管状弾性部材54との軸線長さが略同一となる位置に配置されている。
【0043】
この製造装置1における押進部材20は、例えば図5(a)に示されるように、管体12の一方の開口から突出する外径変化部15に挿入配置された管状弾性部材54の端部に当接する当接部23A及び23Bを備えると共に、中軸体11の軸線Cに沿って前後進可能になるように前記軸線Cの延長方向に配置されている。この押進部材20は、後述するように、前記中軸体11の軸線C方向に沿って前後進し、前記管体12から突出した前記中軸体11に挿入配置された管状弾性部材54を前記方向に沿って管体12側に相対的に押進して、前記管状弾性部材54を前記外径変化部15で拡径させつつ管体12に被覆配置すなわち外装させる部材である。具体的には、押進部材20は、図1〜図3に示されるように、第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bを備えて成り、前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bはそれぞれ端部に後述する押進部22A及び22Bを具備している。より具体的には、押進部材20は、図1〜図3に示されるように、後述する貫通部27を形成する第1貫通凹部24Aと、この第1貫通凹部24Aの周囲に形成され、管状弾性部材54の端部に当接する第1当接部23Aとを有する第1押進部22Aを具備する第1押進アーム21A、及び、前記第1貫通凹部24Aと共に貫通部27を形成する第2貫通凹部24Bと、この第2貫通凹部24Bの周囲に形成され、管状弾性部材54の端部に当接する第2当接部23Bとを有する第2押進部22Bを具備する第2押進アーム21Bを備えて成る。
【0044】
前記第1押進アーム21Aは、略四角柱状を成しており、一方の端部には、第1貫通凹部24Aと第1当接部23Aとを有する前記第1押進部22Aを備えた第1先端部材25Aが装着され、他方の端部には後述する押進部材移動手段44に連結する第1連結部材26A(図1及び図2参照)が装着されている。
【0045】
前記第1先端部材25Aは、図1及び図3によく示されるように、平滑な板状部材であり、後述する第2押進アーム21B側の端面にその厚さ方向に貫通する略半円状の第1貫通凹部24Aが形成されている。すなわち、第1先端部材25Aは、平坦な表面とこの表面にほぼ垂直に形成された前記第1貫通凹部24Aとを備え、第1押進部22Aは、前記第1貫通凹部24Aと第1貫通凹部24Aを囲繞する表面である第1当接部23Aとからなっている。前記第1先端部材25Aは、図1及び図2に示されるように、押進部材移動手段44に前記第1押進アーム21Aが支持されたときに、前記表面が中軸体11に望み、前記端面が中軸体11の軸線Cに臨むように、位置している。
【0046】
前記第1貫通凹部24Aの凹陥量は、押進部材20が前進して管体12を管状弾性部材54に被覆配置する際に、第1貫通凹部24Aの凹表面が中軸体11の外面に接触又は非接触となるように、管状弾性部材54の外径及び内径、前記第1先端部材25Aの形状、寸法、第1押進アーム21Aの側面からの第2先端部材25B側への突出量に応じて、適宜決定される。要するに、前記第1貫通凹部24Aの凹陥量は、管状弾性部材54を押進する際に、管状弾性部材54に当接する第1当接部23Aが存在し、かつ、第1貫通凹部24Aの凹表面が中軸体11の外面に接触又は非接触となるように、決定される。後述するように、第1貫通凹部24Aの前記凹表面は前記中軸体11の外面に非接触であるのが好ましい。
【0047】
この製造装置1において、前記第1連結部材26Aは、例えば図1及び図2に示されるように、第1押進アーム21Aが押進部材移動手段44に回転可能に支持されるように、押進部材移動手段44の軸受に軸支される軸体等を有している。
【0048】
前記第2押進アーム21Bは、図1〜図3に示されるように、前記第1押進アーム21Aと基本的に同様である。
【0049】
前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bは、図1及び図3に示されるように、互いに相対向する第1貫通凹部24A及び第2貫通凹部24Bで形成される貫通部27(特に図3参照)の中心が前記中軸体11のほぼ軸線C上に位置するように、また、前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bが互いに近接又は遠隔して、互いに相対向する第1貫通凹部24Aと第2貫通凹部24Bとが互いに近接又は遠隔自在となるように、換言すると、前記貫通部27が開閉自在となるように、それぞれが回転可能に前記押進部材移動手段44に前記第1連結部材26A及び第2連結部材26Bが支持されている。
【0050】
このようにして支持された押進部材20において、前記貫通部27は、中軸体11における小径部16の外径以上であって、中軸体11に挿入配置される管状弾性部材54の外径と同一又はその外径未満となる寸法を有している。例えば、この例においては、図3に示されるように、前記貫通部27は略半円形の第1貫通凹部24A及び第2貫通凹部24Bが相対向してなる略円形の切欠部となっており、その直径は前記範囲の寸法を有している。具体的には、貫通部27はその直径が小径部16の外径よりもわずかに大きくなっている。
【0051】
前記押進部材移動手段44は、図1及び図2に示されるように、板状をなし、その内部に前記第1連結部材26A及び前記第2連結部材26Bの軸体を支持する軸受となる凹部が形成されている。この押進部材移動手段44は、前記押進部材20の第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bと共に前後進可能となるように、図示しない駆動手段例えばモータ、シリンダー等に接続されている。
【0052】
この製造装置1における開き量調整手段30は、前記中軸体11の軸線C方向に沿う前記押進部材20の相対位置、換言すると、前記押進部材20の前後進に応じて前記中軸体11が貫通する前記貫通部27の離間距離すなわち開き量を調整する部材である。前記製造装置1が、その稼動時に貫通部27と外径変化部15とが非接触状態を維持する開き量調整手段30を備えていると、挿入治具10及び貫通部27が摩耗等、破損することがなく、管状弾性部材54を長尺体51に一様に装着することができるうえ高い耐久性を発揮することができる点で、好ましい。
【0053】
この開き量調整手段30は、具体的には、図1〜図3に示されるように、前記外径変化部15の傾斜割合に対応する傾斜割合で先端に向かって徐々に外径が小さくなる案内外径変化部34を有する案内部材31と、前記案内部材31の軸線上に位置し前記案内外径変化部34に接触する第1被案内部37Aを先端に有し、前記第1押進アーム21Aに結合する第1調整アーム32Aと、前記案内部材31の軸線上に位置し前記案内外径変化部34に接触する第2被案内部37Bを先端に有し、前記第2押進アーム21Bに結合する第2調整アーム32Bと、前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bを互いに近接又は遠隔自在に連結する伸縮部材33(図1参照。)とを備えて成る。この開き量調整手段30は、後述するように、前記第1被案内部37A及び第2被案内部37Bが前記案内外径変化部34の外周面を前記軸線方向に摺動することによって前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bを前記第1調整アーム32A及び前記第2調整アーム32Bを介して互いに近接又は遠隔させることができる。
【0054】
前記案内部材31は、図1及び図2に示されるように、大径部35、案内外径変化部34及び小径部36が中心軸を共有する棒状を成している。具体的には、案内部材31は、図示しない固定基板に起立状態に設けられ、ほぼ一定の外径を有する大径部35と、大径部35の端部から連設され、先端に向かって徐々に外径が小さくなる案内外径変化部34と、案内外径変化部34の端部から連設され、前記大径部35より小さくほぼ一定の外径を有する小径部36とから構成されている。前記案内外径変化部34は、先端に向かって一定の割合で徐々に外径が小さくなる錐台形の案内テーパ部であってもよく、先端に向かって異なる割合で徐々に外径が小さくなる曲面を有する案内曲面部であってもよく、この例においては前記案内テーパ部とされている。
【0055】
この案内部材31は、前記貫通部27が前記外径変化部15の外周面に非接触となる開き量となるように、大径部35、案内外径変化部34及び小径部36の外径、軸線長さ等が調整されている。この例においては、前記貫通部27と後述する第1被案内部37A及び第2被案内部37Bとの前記軸線C方向の位置(高度)と、中軸体11における外径変化部15の傾斜割合とを考慮して、前記案内外径変化部34の傾斜割合及び軸線長さ、並びに、大径部35の軸線長さが決定される。
【0056】
第1調整アーム32Aは、図1〜図3に示されるように、一方の端部が第1押進アーム21Aの側面から略水平に突出した四角柱体の第1連結部38Aと、その先端に設けられた第1被案内部37Aとを有している。前記第1被案内部37Aは、図3によく示されるように、扁平な四角柱体における、後述する第1調整アーム35側の側面にその厚さ方向に貫通する略円弧状に形成された切欠凹部となっている。前記第1被案内部37Aの凹陥量は、押進部材20が前進して管体12を管状弾性部材54に挿入配置する際に、第1被案内部37Aの凹面が案内部材31の外面に接触するように、前記扁平な四角柱体の形状及び寸法、第1連結部38Aからの第2被案内部37B側の突出量、前記外径変化部15の傾斜割合等に応じて、適宜決定されている。
【0057】
前記第2調整アーム32Bは、図1〜図3に示されるように、前記第1調整アーム32Aと基本的に同様である。
【0058】
互いに相対向する第1被案内部37A及び第2被案内部37Bは、図2に示されるように、その中心が前記案内部材31のほぼ軸線上に位置している。そして、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bは、互いに相対向した状態で、前記案内外径変化部34の外周面を摺動して、案内外径変化部34の傾斜割合に応じて、互いの距離が遠隔又は近接するようになっている。
【0059】
第1被案内部37A及び第2被案内部37Bは、案内部材31における小径部36の外径以上であって、案内外径変化部34の最大外径すなわち大径部35の外径未満となる寸法を有している。例えば、この例においては、図3に示されるように、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bは互いに相対面して略円形の空間部を形成している。そして、この空間部の直径は前記範囲の寸法を有しており、具体的には、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bで形成される略円形の空間部はその直径が小径部36の外径とほぼ同一になっている。
【0060】
前記伸縮部材33は、図1に示されるように、第1押進アーム21Aと第2押進アーム21Bとをその回転方向に沿って近接又は遠隔自在に連結することができる部材であればよく、例えば、引張コイルバネ、圧縮コイルバネ等が挙げられる。この例においては、伸縮部材33として引張コイルバネが第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bの上方側すなわち押進部材移動手段44側に設置されている。したがって、押進部材20は、通常、伸縮部材33によって図1〜図3に示される初期状態になると共に、前記開き量調整手段30によって前記伸縮部材33の伸縮力に反して第1押進アーム21Aと第2押進アーム21Bが前記回転方向に沿って遠隔するように回転可能になっている。
【0061】
前記製造装置1において、移動手段40、押進部材移動手段44及び規制部材10の駆動時期及び駆動速度等は、コンピュータ等の制御装置によって制御されてもよく、また、手動で制御されてもよい。
【0062】
製造装置1の前記各部材は、ある程度の強度を有する材料で形成されていればよく、このような材料として、各種樹脂、各種金属等が挙げられる。前記各部材は、成形、圧延、研削等の公知の方法で、作製されることができる。
【0063】
以下に、前記製造装置1を用いた、この発明に係る製造方法の一例(以下、この発明に係る一製造方法を称することがある。)を説明する。この発明に係る一製造方法は、前記工程Aから前記工程Gを行い、長尺体51の一方の端部に管状弾性部材54及び接続部材55からなる管状雄型連結具52を装着することを特徴とする製造方法である。図5〜図8において、便宜上、前記中軸体11の小径部16側の延長方向を上方又は先端方向、大径部14側の延長方向を下方又は後端方向と称する。
【0064】
この発明に係る一製造方法においては、まず、工程Aを実施して、製造装置1を初期状態に配置する。すなわち、図1及び図5(a)に示されるように、中軸体移動手段41、管体移動手段42及び規制部材10をそれぞれ前記軸線C方向に沿って相対的に前後進させて、一方の開口から外径変化部15を突出させた管体12を規制部材10の貫通孔18から突出した状態に、配置する。具体的には、管体12が貫通する貫通孔18の周囲に形成された規制面19を有する規制部材10に管体12を貫通させて、貫通孔18から管体12を突出させると共に、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部15を有する中軸体11を管体12に挿通して、外径変化部15を管体12の一方の開口から突出させる。このとき、規制部材10は、前記管体12を被覆する管状弾性部材54の軸線長さに対応する位置に配置固定され、この例では、管状弾性部材54の軸線長さと同一となる位置に配置されている。また、管体12の先端と大径部14(図5(a)において図示しない。)の先端部とはほぼ面一となり、管体12の先端から外径変化部15及び小径部16が突出している。
【0065】
工程Aと前後して又は同時に、押進部材20は、前記軸線C方向の上方に中軸体11等から距離をおいて配置される。この押進部材20の前記初期状態は、図1〜3及び図5(a)に示されるように、前記第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bが互いに略平行となるように押進部材移動手段44に懸垂され、貫通部27の中心がほぼ前記軸線上に位置し、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bで形成される空間部の中心が案内部材31のほぼ軸線上に位置している。この押進部材20は、その初期状態において、図1及び図3によく示されるように、第1先端部材25Aの端面と第2先端部材25Bの端面とが接触又はわずかな間隔を有して対向し、前記貫通部27の開き量が最小となっている。
【0066】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、前記開口から突出する外径変化部15に管状弾性部材54を挿入配置する工程Bを行う。この例において、管状弾性部材54は小径部16及び外径変化部15の一部に挿入配置されている。管状弾性部材54は、図5(b)に示されるように、第3軸孔64が開口する端部が外形変化部15側に、第1軸孔62が開口する端部が押進部材20側になるように、挿入される。このとき、小径部16は、管状弾性部材54よりも長い軸線長さを有しているから、図5(b)に示されるように、前記軸孔61を貫通し、管状弾性部材54の端面から突出している。そして、管状弾性部材54は、間隔をあけてほぼ同軸となるように管体12と直列に配置されている。管状弾性部材54の挿入配置は、手動で実施しても、ロボットアーム等の管状弾性部材取扱機構によって自動で実施してもよい。
【0067】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、管状弾性部材54を、中軸体11の軸線方向に沿って管体12側に相対的に押進して、外径変化部15で拡径させつつ管体12に外装する工程Cを実施する。具体的には、押進部材20を下方に向けて前記軸線C方向に沿って相対的に前進させる。この例においては、中軸体移動手段41、管体移動手段42及び規制部材10を固定して押進部材20を前進させる。そうすると、図5(c)に示されるように、押進部材20の第1先端部材25A及び第2先端部材25Bが管状弾性部材54の上方側の端面に当接する。このとき、管状弾性部材54の端面は、第1押進部22Aの第1当接部23Aと第2押進部22Bの第2当接部23Bとに当接し、小径部16は貫通部27に進入している。また、案内部材31の小径部36は第1被案内部37A及び第2被案内部37Bで形成される前記空間部に進入している。
【0068】
押進部材20をさらに同方向に向けて前進させると、図6(a)に示されるように、管状弾性部材54は管体12に向かって外径変化部15に挿入されつつ押進される。管状弾性部材54は、管体12に向かって押進されるにつれて、外径変化部15の外周面を摺動して、その内径すなわち軸孔61及び外径が徐々に拡径される。この段階では、図6(a)に示されるように、前記第1先端部材25A及び第2先端部材25Bは、外径変化部15に到達していないから、押進部材20の第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bは初期状態すなわち伸縮部材33による略平行状態を維持している。
【0069】
図6(b)に示されるように、押進部材20をさらに同方向に向けて前進させて第1先端部材25A及び第2先端部材25Bが外径変化部15に到達すると、その直前又は同時に、開き量調整手段30によって、第1押進アーム21A及び第2押進アーム21Bが互いに離間する方向に、押進部材移動手段44の軸受に軸支された軸体を中心にして互いに逆方向に回動する。すなわち、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bが案内部材31の案内外径変化部34に到達し案内外径変化部34に沿って前進すると、第1被案内部37A及び第2被案内部37Bは、案内外径変化部34によって、それらが形成する前記空間部が徐々に押し広げられて、離間する。そうすると、第1被案内部37Aを備えた第1調整アーム32Aと第2被案内部37Bを備えた第2調整アーム32Bとが同様に離間して、第1調整アーム32Aが結合した第1押進アーム21Aと第2調整アーム32Bが結合した第2押進アーム21Bとが同様に離間する。そして、押進部材20が下方に向かって前進するほど、案内外径変化部34の傾斜割合によって前記空間部が徐々に大きく押し広げられる。その結果、貫通部27は、前記軸線C方向に沿う押進部材20の相対位置に応じて中軸体11の外表面に非接触となるように、中軸体11の外径変化部15の傾斜割合に応じて拡径される。
【0070】
このように、第1押進アーム21Aと第2押進アーム21Bとが離間して、図6(b)に示されるように、押進部材20は、貫通部27と外径変化部15との非接触を維持したまま、管状弾性部材54を管体12側に押進する。
【0071】
押進部材20をさらに同方向に向かって前進させ続けると、図6(c)に示されるように、前記軸線C方向に沿う押進部材20の相対位置に応じて第1押進アーム21Aと第2押進アーム21Bとが離間しつつ、管状弾性部材54の下方側端部が規制部材10の規制面19に当接するまで押進され、管状弾性部材54が管体12の外周面に装着すなわち外装される。このとき、管状弾性部材54は、管体12の外周面を完全に被覆すると共に拡径されているので、管体12をその周方向に略均一な軸線Cの中心軸方向への弾力によって押圧して管体12に密着した状態にある。この後、押進部材20は、図7(a)に示されるように、前記軸線C方向の上方に後退して、初期状態となり待機する。
【0072】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、管体12に挿通された中軸体11を管体12から抜脱する工程Dを行う。図示しないが、具体的には、管体移動手段42及び規制部材10を固定し、中軸体移動手段41を前記軸線C方向に沿って相対的に後進させることによって、中軸体11を前記軸線C方向の下方、換言すると、管状弾性部材54の管体12への相対的な外装方向に向かって管体12に対して相対的に後退させる。小径部16が管体12から完全に抜脱した後に中軸体移動手段41を前記軸線Cの半径方向に相対的に後進させることによって、中軸体11を前記軸線Cの半径方向に後退又は退避させる。このようにして工程Dが終了すると、図7(a)に示されるように、管体12は内部が空洞になり、管体12の前記下方には保持軸体13を配置するための空間が画成される。
【0073】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、図7(b)に示されるように、中軸体11が抜脱して空洞になった管体12の内部に一方の前記開口から長尺体51の一方の端部を挿入配置する工程Eを実施する。具体的には、空洞になった管体12の内部に長尺体51を、管状弾性部材54の押進方向起点側すなわち前記上方側から挿入して、管体12内に挿入配置する。この例においては、図7(b)に示されるように、管体12の軸線略中央を越え第1膨出部67を収容可能な領域が残存する位置まで前記長尺体51を管体12に内挿する。このとき、管体12の径は長尺体51の外径と略同一になっているから、管体12に挿入配置された長尺体51はその挿入配置状態を保持する。なお、必要に応じて、長尺体51の挿入配置状態をより正確に保持するために、長尺体51をその半径方向から狭持する保持具例えばクランプ等を用いて、長尺体51を保持することもできる。長尺体51の挿入配置は、手動で実施しても、ロボットアーム等の長尺体取扱機構によって自動で実施されてもよい。
【0074】
この発明に係る一製造方法においては、後述する工程Fの前に、すなわち、工程Dと前後して若しくは同時に、工程Eと前後して若しくは同時に、又は、工程Dと工程Eとの間に、図7(b)及び図7(c)に示されるように、保持軸体13の軸穴17に接続部材55を起立状態に保持して、管体12の下方に保持軸体13を配置する。このとき、図7(c)に拡大して示すように、接続部材55は、第2膨出部69及び鍔部68の一部が軸穴17に収容され、鍔部68の外周面が軸穴17の内周面に接することによって、保持軸体13とほぼ同軸となると共に第1膨出部67が保持軸体13の先端から突出する起立状態に安定的に保持されている。この例においては、接続部材55の第1膨出部67は第2膨出部69の最大外径よりも大きな最大外径を有しているから前記軸穴17に収容されず、接続部材55が転倒配置されることはない。
【0075】
このようにして接続部材55を保持した保持軸体13を、図7(b)に示されるように、管体12の軸線Cと一致する位置に配置する。保持軸体13の配置は保持軸体移動手段43を前記軸線Cの半径方向に前進させることによって行われる。
【0076】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、図8(a)に示されるように、中軸体11が抜脱して空洞になった管体12の内部に他方の前記開口から保持軸体13の軸穴17に起立状態に保持した接続部材55を挿入配置する工程Fを行う。具体的には、管体移動手段42及び規制部材10を固定して保持軸体移動手段43を前記軸線C方向に沿ってその上方に先進させることによって、管体12の内部に、長尺体51と第1膨出部67とが相対向するように、接続部材55の第1膨出部67から鍔部68を内装又は内挿する。このとき、保持軸体13は、図8(a)及び図8(c)に示されるように、軸穴17に収納された鍔部68の第2膨出部69側端面が、管体12に外装された管状弾性部材54の下方側端面、換言すると、管体12の下方側開口、さらにいうと、規制部材10の前記規制面19と略面一となるまで、前記方向に前進して、接続部材55を管体12の内部に挿入配置する。したがって、保持軸体13はその先端が管体12内にわずかに進入している。
【0077】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、規制面19で管状弾性部材54の変位を規制しつつ規制部材10に対して管体12を相対的に後退させる工程Gを行う。具体的には、図8(b)に示されるように、規制部材10及び保持軸体移動手段43を固定して管体移動手段42を前記軸線C方向に沿って下方に向かって後進させ、管体12を管状弾性部材54から抜脱させる。そうすると、管体12は管状弾性部材54の密着力に反して同方向に向かって後退する。このとき、管体12に外装された管状弾性部材54はその端部が規制部材10の規制面19に当接しているから管状弾性部材54は管体12と共に後退することができず管体12に外装された位置に留まり、接続部材55は管体12に挿入配置された位置に留まる。すなわち、管体12を介して配置された、管状弾性部材54と長尺体51及び接続部材55との位置が変位することなく、管体12が同方向に後退する。
【0078】
このようにして管体移動手段42を後進させると、図8(b)に示されるように、長尺体51の外径よりも小さな内径を有する管状弾性部材54は、管体12が後退した部分から弾性力で当初の形状(特に当初の寸法)に復帰しようとするから、管状弾性部材54の内部に配置された長尺体51にその周方向に略均一な軸線Cの中心軸方向への弾力で密着する。引き続き、管体移動手段42を同方向に向かって後進させると、例えば図12に示されるように、管状弾性部材54は、長尺体51に前記のように密着すると共に、管状弾性部材54の内部に配置された接続部材55の第1膨出部67、軸61及び鍔部68を第1軸孔62、第2軸孔63及び第3軸孔64に収容して接続部材55を挿着する。
【0079】
このようにして、長尺体51の一方の端部に管状弾性部材54及び接続部材55からなる管状雄型連結具52を容易かつ一挙に装着することができる。
【0080】
このように、この発明に係る一製造方法において、管状弾性部材54は前記管体12を通過することなく、換言すると、前記管体12上を折り返し移動して、長尺体51に装着される。このようにして製造された磁気ネックレス50は、製造装置1から取り出される。磁気ネックレス50の取出工程は、手動で実施しても、ロボットアーム等の長尺状装飾品取出機構によって自動で実施されてもよい。
【0081】
この発明に係る一製造方法においては、次いで、図5(a)に示されるように、管体12、中軸体11、保持軸体13、移動手段40及び規制部材10が初期状態に復帰される。
【0082】
この発明に係る一製造方法においては、このようにして、管状雄型連結具52が端部に装着されてなる磁気ネックレス50を製造することができる。複数の磁気ネックレス50を製造するには、図5(a)〜図8(b)に示される一連の工程が繰り返し実施される。
【0083】
この発明に係る一製造方法においては、工程Aから下記工程Gを行うことによって、管体12に外装された管状弾性部材54の内部に管体12を介して長尺体51の一方の端部と接続部材55とを互いに相対向するように配置した後にこの配置状態を維持したまま管体12を抜脱することができるから、管状弾性部材54と接続部材55とで構成される管状雄型連結具52を構築すると同時に長尺体51の一方の端部に装着することができる。したがって、この発明に係る一製造方法によれば、管状雄型連結具52を端部に備えてなる長尺状装飾品の一例である磁気ネックレス50を容易かつ一挙に製造することができる。
【0084】
以下に、前記製造装置1を用いた、この発明に係る製造方法の別の一例(以下、この発明に係る別の一製造方法を称することがある。)を説明する。この発明に係る別の一製造方法においては、前記工程Aから下記工程Gを行うと同時に、又は、前若しくは後に前記工程アから前記工程カを行い、管状雄型連結具52を長尺体51の一方の端部に装着すると同時に、又は、前若しくは後に、長尺体51の他方の端部に管状弾性雌型連結具53を装着することを特徴とする製造方法である。図5〜図10において、便宜上、前記中軸体11の小径部16側の延長方向を上方又は先端方向、大径部14側の延長方向を下方又は後端方向と称する。
【0085】
この発明に係る別の一製造方法においては、前記工程Aから下記工程Gを行った後に前記工程アから前記工程カを行う方法について説明する。したがって、この発明に係る別の一製造方法においては、前記したようにして前記工程Aから下記工程Gを行って一方の端部に管状雄型連結具52が装着された長尺体51を用いる。
【0086】
この発明に係る別の一製造方法においては、まず、工程アを実施して、製造装置1を初期状態に配置する。すなわち、前記この発明に係る一製造方法の工程Aと同様にして、図1及び図5(a)に示されるように、一方の開口から外径変化部15を突出させた管体12を規制部材10の貫通孔18から突出した状態に、配置する。また、前記この発明に係る一製造方法と同様にして、工程アと前後して又は同時に、押進部材20を軸線C方向の上方に中軸体11等から距離をおいて配置する。
【0087】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、前記この発明に係る一製造方法の工程Bと同様にして、図5(b)に示されるように、前記開口から突出する外径変化部15に管状弾性雌型連結具53を挿入配置する工程イを行う。なお、この発明に係る別の一製造方法においては、管状弾性部材54の代わりに同一形状及び同一寸法に形成された管状弾性雌型連結具53を用いる。
【0088】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、前記この発明に係る一製造方法の工程Cと同様にして、図5(c)〜図6(c)に示されるように、管状弾性雌型連結具53を、中軸体11の軸線方向に沿って管体12側に相対的に押進して、外径変化部15で拡径させつつ管体12に外装する工程ウを実施する。このようにして、図6(c)に示されるように、管状弾性雌型連結具53の下方側端部が規制部材10の規制面19に当接するまで管状弾性雌型連結具53を管体12に外装する。
【0089】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、中軸体11を管体12に対して相対的に後退させる工程エを行う。この工程エは、後退した中軸体11によって管体12の内部に長尺体51が挿入配置される空洞を形成する工程であり、例えば、前記この発明に係る一製造方法の工程Dと同様に管体12に挿通された中軸体11を管体12から抜脱する工程、中軸体11の先端を少なくとも管体12内まで相対的に後退させる工程等が挙げられる。この発明に係る別の一製造方法においては、工程エとして中軸体11の先端を少なくとも管体12内まで相対的に後退させる工程が採用されている。
【0090】
具体的には、図9(a)に示されるように、中軸体11を前記軸線C方向の下方、換言すると、管状弾性雌型連結具53の管体12への相対的な外装方向に向かって少なくとも管体12内まで相対的に後退させる。この例においては、中軸体11の先端規制部16aを少なくとも管体12内まで相対的に後退させて、管体12の先端方向に空洞を形成する。具体的には、規制部材10及び管体移動手段42を固定し、中軸体移動手段41を前記下方に向かって後退させる。このとき、先端規制部16aの後退量は、管状弾性雌型連結具53への長尺体51の装着状態に応じて適宜に調整され、磁気ネックレス50においては、中軸体11の先端規制部16aは、図9(a)に示されるように、管体12の軸線略中央を越えた位置まで後退させられる。
【0091】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、前記この発明に係る一製造方法の工程Eと同様にして、図9(b)に示されるように、中軸体11が抜脱して空洞になった管体12の内部に一方の前記開口から長尺体51の他方の端部を挿入配置する工程オを実施する。この例においては、図9(b)に示されるように、前記押進方向起点側から前記管状雄型連結具52が挿着されていない長尺体51の他方の端部が先端規制部16aに当接するまで長尺体51を管体12内に挿入する。このとき、長尺体51の管体12への挿入量は、中軸体11又は前記先端規制部16aの管体12内での後退量と基本的に同様である。このようにして、長尺体51を管体12に挿入配置すると、長尺体51は、前記軸線C方向への変位が前記先端規制部16aで規制されると共に、前記軸線C方向以外への変位が管体12で規制され、所望の挿入状態となるように保持される。なお、長尺体51は、前記この発明に係る一製造方法の工程Eと同様に前記保持具を用いて長尺体51を保持することもできる。
【0092】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、前記この発明に係る一製造方法の工程Gと同様にして、規制面19で管状弾性雌型連結具53の変位を規制しつつ規制部材10に対して管体12を相対的に後退させる工程カを行う。具体的には、図10(a)に示されるように、規制部材10及び中軸体移動手段41を固定して管体移動手段42を前記軸線C方向に沿って下方に向かって後進させ、管体12を管状弾性雌型連結具53から抜脱させる。そうすると、管体12は管状弾性雌型連結具53の密着力に反して同方向に向かって後退する。このとき、管体12に外装された管状弾性雌型連結具53はその端部が規制部材10の規制面19に当接しているから管状弾性雌型連結具53は管体12と共に後退することができず、管体12に外装された位置に留まる。すなわち、管体12を介して配置された、管状弾性雌型連結具53と長尺体51との位置が変位することなく、管体12が同方向に後退する。
【0093】
このようにして管体移動手段42を相対的に後進させると、図10(a)に示されるように、長尺体51の外径よりも小さな内径を有する管状弾性雌型連結具53は、管体12が後退した部分から弾性力で当初の形状(特に当初の寸法)に復帰しようとするから、管状弾性雌型連結具53の内部に配置された長尺体51にその周方向に略均一な軸線Cの中心軸方向への弾力で密着する。引き続き、管体移動手段42を同方向に向かって後進させると、図10(b)に示されるように、管状弾性雌型連結具53は長尺体51に前記のように密着した状態に装着される。
【0094】
このようにして、長尺体51の他方の端部に管状弾性雌型連結具53を容易に装着することができる。
【0095】
このように、この発明に係る別の一製造方法において、管状弾性雌型連結具53は前記管体12を通過することなく、換言すると、前記管体12上を折り返し移動して、長尺体51に装着される。このようにして製造された磁気ネックレス50は製造装置1から取り出される。磁気ネックレス50の取出工程は、手動で実施しても、ロボットアーム等の長尺状装飾品取出機構によって自動で実施されてもよい。
【0096】
この発明に係る別の一製造方法においては、次いで、図5(a)に示されるように、管体12、中軸体11、移動手段40及び規制部材10が初期状態に復帰される。
【0097】
この発明に係る別の一製造方法においては、このようにして、管状雄型連結具52が一方の端部に装着され、管状弾性雌型連結具53が他方の端部に装着されてなる磁気ネックレス50を製造することができる。複数の磁気ネックレス50を製造するには、図5(a)〜図10(b)に示されるように、前記工程Aから前記工程G、及び、前記工程アから前記工程カが繰り返し実施される。
【0098】
この発明に係る別の一製造方法においては、前記工程Aから前記工程G、及び、前記工程アから前記工程カを行うことによって、管体12に外装された管状弾性部材54の内部に管体12を介して長尺体51の一方の端部と接続部材55とを互いに相対向するように配置した後にこの配置状態を維持したまま管体12を抜脱することができるから、管状弾性部材54と接続部材55とで構成される管状雄型連結具52を構築すると同時に長尺体51の一方の端部に装着することができ、かつ、管状弾性雌型連結具53を長尺体51の他方の端部に装着することができる。したがって、この発明に係る別の一製造方法によれば、管状雄型連結具52及び管状弾性雌型連結具53を端部に備えて成る長尺状装飾品の一例である磁気ネックレス50を容易かつ一挙に製造することができる。
【0099】
この発明に係る一製造方法及びこの発明に係る別の一製造方法においては、前記工程Aから前記工程G、及び、これらの工程に加えて前記工程アから前記工程カが実施されるから、各工程が簡易であるにもかかわらず、管体12を介して配置された管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53と長尺体51及び接続部材又は長尺体51との相対的な位置関係を長尺状装飾品の製造が完了するまで容易に安定的に保持することができる。特に、この発明に係る一製造方法及び別の一製造方法においては、前記各工程を押進部材20の前進操作及び移動手段40の前後進操作で実施可能であり、これらの操作は駆動手段及び制御手段等の採用により半自動化又は自動化することができるから、操作者の熟練を要することなく管状雄型連結具52及び管状弾性雌型連結具53を所望のように長尺体51に装着することができる。したがって、この発明に係る一製造方法及び別の一製造方法は、簡易な製造方法であるにもかかわらず、同等の品質を有する長尺状装飾品を歩留まりよく製造することができる。また、この発明に係る一製造方法及びこの発明に係る別の一製造方法は、管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53を管体12の軸線方向に通過させる必要はなく管体12を後退させるだけで、管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53を長尺体51に装着することができるうえ管状雄型連結具52を一挙に構築することができるから、長尺状装飾品の製造に要する時間を短縮することができる。
【0100】
一方、前記製造装置1は、中軸体11、管体12、保持軸体13、規制部材10、押進部材20及び移動手段40を備えて成るから、この発明に係る一製造方法及びこの発明に係る別の一製造方法を実施するのに好適に用いられ、管体12を介して配置された管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53と長尺体51及び接続部材又は長尺体51との相対的な位置関係を長尺状装飾品の製造が完了するまで容易に安定的に保持することができる。したがって、この製造装置1によれば、管状雄型連結具52及び/又は管状弾性雌型連結具53を端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することができる。
【0101】
また、前記製造装置1は、開き量調整手段30を備え、稼動時に貫通部27が外径変化部15に非接触となっているから、中軸体11及び貫通部27が摩耗等、破損することがなく、高い耐久性を発揮する。さらに、前記製造装置1は、前記したように、管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53を管体12の軸線方向に通過させる必要はないから、長尺状装飾品の製造に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0102】
このように、前記製造装置1及び前記この発明に係る別の一製造方法によれば、管状雄型連結具52と管状弾性雌型連結具53とを端部に備えて成る長尺状装飾品を容易かつ一挙に製造することのできる長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法を提供するという目的を達成することができる。
【0103】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0104】
前記保持軸体13は、径が均一な軸穴17を有しているが、挿入される接続部材55とほぼ同一形状の内壁を有していてもよい。例えば、管状弾性部材54の軸孔61と同じ形状の軸穴を前記軸穴17に代えて保持軸体に形成することができる。このような軸穴を有する保持軸体によれば、接続部材55の軸線が前記軸線により一層正確に一致するように起立状態に保持できる。
【0105】
前記製造装置1は、前記管体12、前記中軸体11、前記押進部材20、前記規制部材10及び前記保持軸体13それぞれを1基有する装置であるが、この発明において、前記管体、前記中軸体、前記押進部材、前記規制部材及び前記保持軸体それぞれは、例えば、一方向に沿う配列パターン又は碁盤目状等の二次元の配列パターン等に配列された複数基を備えていてもよい。例えば、図5及び図6は、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法を説明する図であるが、前記管体、前記中軸体、前記押進部材、前記規制部材及び前記保持軸体を備えた装置3基が一列に配置された製造装置であって時間差をもって各工程を実施しているとみることもでき、また、図7〜図10は、前記管体、前記中軸体、前記押進部材、前記規制部材及び前記保持軸体を備えた装置2基が一列に配置された製造装置であって時間差をもって各工程を実施しているとみることもできる。このように前記規制部材は管体等に対応して複数有していてもよいが、規制部材は複数の貫通孔が前記配列パターンで形成された1つの板状部材であってもよい。この発明において、例えば、前記管体、前記中軸体、前記押進部材、前記規制部材及び前記保持軸体を備えた装置1基と、前記管体、前記中軸体、前記押進部材及び前記規制部材を備えた装置2基とを並列に配置して、長尺体の端部を前記装置それぞれに適用すると、長尺状装飾品の各端部に管状弾性雌型部材及び管状雄型部材を一挙に装着することができる。
【0106】
前記製造装置1において、中軸体11は、小径部16と先端規制部16aとを有しているが、この発明において、中軸体は小径部及び先端規制部の少なくとも一方を有していなくてもよく、前記外径変化部の先端面を前記先端規制部としてもよい。
【0107】
前記製造装置1において、第1押進アーム21Aと第2押進アーム21Bとが伸縮部材33で直接連結されているが、この発明において、第1押進アームと第2押進アームとは、これらが近接又は遠隔自在に連結されていれば、伸縮部材で直接連結されていなくてもよく、例えば、第1調整アームと第2調整アームとが伸縮部材で直接連結されることによって、第1押進アームと第2押進アームとが間接的に連結されてもよい。
【0108】
前記製造装置1において、第1貫通凹部24A及び第2貫通凹部24Bが第1先端部材25A及び第2先端部材25Bの厚さ方向に同一の凹陥量を有しているが、この発明においては、第1貫通凹部及び第2貫通凹部は前記押進部材移動手段に向かって凹陥量が小さくなるような半円錐状凹部であってもよい。また、同様に、第1被案内部及び第2被案内部は、前記押進部材移動手段に向かって凹陥量が小さくなるような半円錐状凹部であってもよい。なお、これらの半円錐状凹部における凹陥量の減少割合は、前記外径変化部又は前記案内外径変化部における傾斜割合と同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
前記製造装置1において、中軸体11が立設された中軸体移動手段41、管体12が立設された管体移動手段42、保持軸体13が立設された保持軸体移動手段43それぞれは、図示しない駆動手段に接続されているが、この発明において、中軸体移動手段、管体移動手段及び保持軸体移動手段それぞれは、例えば手動でそれぞれ独立して前後進可能となるように、把持部を備えていてもよい。
【0110】
前記製造装置1は、図2及び図3に示されるように、前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bを有する押進部材30を備えているが、この発明において、押進部材は、外径変化部に挿入配置された管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53の端部に当接する当接部を備え、管状弾性部材54を管体側に相対的に押進することができる態様であればよく、例えば、貫通孔を有する板状部材具体的には特許文献1の図4等に示される「押し込み部材5」、特許文献1の図9に示される「ペンチ6」、特許文献1の図30等に示される「保持部材26」等を用いることができる。また、前記製造装置1は、前記第1押進アーム21A及び前記第2押進アーム21Bが回転可能に押進部材移動手段44に支持されているが、この発明において、第1押進アーム及び第2押進アームは、前記貫通凹部が互いに近接又は遠隔自在となるように、例えば、少なくとも一方が平行移動可能に押進部材移動手段に支持されていてもよい。
【0111】
前記製造装置1において、中軸体11と案内部材31とは、外径変化部15と案内外径変化部34との前記軸線C方向における位置(高度)が異なるように、作製され固定されているが、この発明において、中軸体と案内部材とは、その外径変化部と案内外径変化部との前記位置(高度)が同じになるように、作製され固定されていてもよい。この場合には、中軸体の外径変化部と案内部材の案内外径変化部とは同一の傾斜割合及び軸線長さを有し、さらに、前記貫通部と第1被案内部及び第2被案内部とは、特にこれらの中軸体側の端面は、同一の、中軸体の軸線方向の位置(高度)を有している。
【0112】
前記製造装置1は、大径部35、案内外径変化部34及び小径部36を有する案内部材31を備えているが、この発明において、前記案内部材は、小径部を有してなくてもよく、また、前記大径部は案内外径変化部を支持することができれば案内外径変化部の外径よりも小さな外径を有していてもよい。
【0113】
前記製造装置1は、貫通部27が外径変化部15の外周面に非接触になる開き量となるように、案内部材31の大径部35、案内外径変化部34及び小径部36の外径、軸線長さ等が調整されているが、この発明において、案内部材は、貫通部が外径変化部の外周面に接触するような開き量となるように、大径部、案内外径変化部及び小径部の外径、軸線長さ等が調整されていてもよい。
【0114】
前記製造装置1において、規制部材10は、規制部材10から突出する管体12の軸線長さと管状弾性部材54との軸線長さが略同一となる位置に配置可能になっているが、この発明において、規制部材は、長尺体への管状弾性部材54の挿入長さに応じて、適宜の位置に配置可能になっていればよい。
【0115】
前記製造装置1は、管状弾性部材54を管体12に挿入配置する部材を備えていないが、この発明において、前記製造装置は、例えば、ロボットアーム等の管状弾性部材取扱機構を有していてもよい。この場合には、長尺状装飾品を完全自動化することができる。
【0116】
この発明に係る長尺状装飾品の製造方法は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0117】
前記した、この発明に係る一製造方法及びこの発明に係る別の一製造方法において、前記管状弾性部材54は押進部材20の前進によって管体12に挿入配置されるが、この発明においては、押進部材を固定して挿入治具等を前記軸線方向上方に移動させて前記管状弾性部材54を管体に挿入配置してもよく、押進部材を前進させると共に挿入治具等を前記軸線方向上方に移動させてもよい。要するに、この発明に係る長尺状装飾品の製造方法において、前記各部材は相対的に前後進するように構成されていればよい。
【0118】
この発明に係る別の一製造方法においては、前記工程Aから下記工程Gを行った後に前記工程アから前記工程カを行う方法について説明したが、この発明においては、前記工程Aから下記工程Gを行う前に前記工程アから前記工程カを行う方法であってもよく、前記工程Aから下記工程Gと同時に前記工程アから前記工程カを行う方法であってもよい。
【0119】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置及びその製造方法によって製造される長尺状装飾品は、長尺体の断面形状が円形である必要はなく、例えば、楕円形、四角形、五角形、六角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 長尺状装飾品の製造装置
10 規制部材
11 中軸体
12 管体
13 保持軸体
15 外径変化部
17 軸穴
18 貫通孔
19 規制面
20 押進部材
21A 第1押進アーム
21B 第2押進アーム
22A 第1押進部
22B 第2押進部
23A 第1当接部
23B 第2当接部
27 貫通部
40 移動手段
41 中軸体移動手段
42 管体移動手段
43 保持軸体移動手段
44 貫通孔
45 押進部材移動手段
50 長尺状装飾品(磁気ネックレス)
51 長尺体
52 管状雄型連結具
53 管状弾性雌型連結具
54 管状弾性部材
55 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体と、前記長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材、及び、この管状弾性部材に挿着され、前記長尺体の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具に挿脱自在に挿嵌される接続部材を有する管状雄型連結具とを備えてなる長尺状装飾品の製造装置であって、
両端が開口した管体と、
先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有し、この外径変化部が一方の前記開口から突出するように前記管体内に挿通配置される中軸体と、
前記一方の開口から突出する前記外径変化部に挿入配置された前記管状弾性部材の端部に当接する当接部を備えると共に、前記中軸体の軸線に沿って前後進可能になるように前記軸線の延長方向に配置されて成り、前記管状弾性部材を前記管体側に相対的に押進して前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する押進部材と、
前記管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有し、前記貫通孔から前記管体が突出するように配置されて成り、前記規制面で前記管体に外装された前記管状弾性部材の変位を規制する規制部材と、
先端部に開口して前記接続部材を起立状態に保持する軸穴を有し、前記中軸体が抜脱した前記管体内に挿入配置される保持軸体と、
前記管体、前記中軸体及び前記保持軸体を前記軸線方向に独立に前後進させる移動手段とを備えて成ることを特徴とする長尺状装飾品の製造装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記管体を前記軸線方向に前後進させる管体移動手段と、
前記中軸体を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる中軸体移動手段と、
前記保持軸体を前記軸線方向及び前記軸線の半径方向に前後進させる保持軸体移動手段とを備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の長尺状装飾品の製造装置。
【請求項3】
前記押進部材は、第1押進アーム及び第2押進アームを備えて成り、
前記第1押進アーム及び前記第2押進アームはそれぞれ、端部に、前記中軸体が貫通する貫通部を形成する貫通凹部とこの貫通凹部の周囲に形成された前記当接部とを有する押進部を具備すると共に、相対向する前記貫通凹部が互いに近接又は遠隔可能になるように、前記延長方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の長尺状装飾品の製造装置。
【請求項4】
前記貫通部の開き量を前記軸線方向に沿う前記押進部材の相対位置に応じて調整する開き量調整手段を、前記押進部材に、備えて成ることを特徴とする請求項3に記載の長尺状装飾品の製造装置。
【請求項5】
前記開き量調整手段は、
前記外径変化部の傾斜割合に対応する傾斜割合で先端に向かって徐々に外径が小さくなる案内外径変化部を有する案内部材と、
前記案内部材の軸線上に位置し前記案内外径変化部に接触する被案内部を先端に有し、前記第1押進アーム及び前記第2押進アームそれぞれに結合する第1調整アーム及び第2調整アームと、
前記第1押進アーム及び前記第2押進アームを互いに近接又は遠隔自在に連結する伸縮部材とを備えて成り、
前記被案内部が前記案内外径変化部の外周面を前記軸線方向に摺動することによって前記第1押進アーム及び前記第2押進アームを前記第1調整アーム及び前記第2調整アームを介して互いに近接又は遠隔させることを特徴とする請求項4に記載の長尺状装飾品の製造装置。
【請求項6】
長尺体と、前記長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材、及び、この管状弾性部材に挿着され、前記長尺体の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具に挿脱自在に挿嵌される接続部材を有する管状雄型連結具とを備えてなる長尺状装飾品の製造方法であって、
下記工程Aから下記工程Gを行い、前記長尺体の前記一方の端部に前記管状弾性部材及び前記接続部材からなる管状雄型連結具を装着することを特徴とする長尺状装飾品の製造方法。
<工程A>両端が開口した管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有する規制部材に前記管体を貫通させて前記貫通孔から前記管体を突出させると共に、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有する中軸体を前記管体に挿通して前記外径変化部を前記管体の一方の前記開口から突出させる工程
<工程B>前記開口から突出する前記外径変化部に前記管状弾性部材を挿入配置する工程
<工程C>この管状弾性部材を、前記中軸体の軸線方向に沿って前記管体側に相対的に押進して、前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する工程
<工程D>前記中軸体を前記管体から抜脱する工程
<工程E>前記中軸体が抜脱して空洞になった前記管体の内部にその前記一方の開口から前記長尺体の前記一方の端部を挿入配置する工程
<工程F>前記中軸体が抜脱して空洞になった前記管体の内部にその他方の前記開口から、先端部に開口した軸穴を有する保持軸体の前記軸穴に起立状態に保持した前記接続部材を挿入配置する工程
<工程G>前記規制面で前記管状弾性部材の変位を規制しつつ前記規制部材に対して前記管体を相対的に後退させる工程
【請求項7】
前記工程Aから前記工程Gを行うと同時又は前若しくは後に、下記工程アから下記工程カを行い、前記長尺体の前記他方の端部に前記管状弾性雌型連結具を装着することを特徴とする請求項6に記載の長尺状装飾品の製造方法。
<工程ア>両端が開口した管体が貫通する貫通孔の周囲に形成された規制面を有する規制部材に前記管体を貫通させて前記貫通孔から前記管体を突出させると共に、先端に向かって徐々に外径が小さくなる外径変化部を有する中軸体を前記管体に挿通して前記外径変化部を前記管体の一方の前記開口から突出させる工程
<工程イ>前記開口から突出する前記外径変化部に前記管状弾性雌型連結具を挿入配置する工程
<工程ウ>この管状弾性雌型連結具を、前記中軸体の軸線方向に沿って前記管体側に相対的に押進して、前記外径変化部で拡径させつつ前記管体に外装する工程
<工程エ>前記中軸体を前記管体に対して相対的に後退させる工程
<工程オ>前記中軸体が後退して空洞になった前記管体の内部にその前記一方の開口から前記長尺体の前記他方の端部を挿入配置する工程
<工程カ>前記規制面で前記管状弾性雌型連結具の変位を規制しつつ前記規制部材に対して前記管体を相対的に後退させる工程

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−273726(P2010−273726A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126831(P2009−126831)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】