説明

長期デジタルデータ記憶

【解決手段】 各種実施形態は、光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録することに関する。一実施形態において、光アブレーション可能デジタル記憶媒体のアブレーション可能材料の部分をアブレーションすべく構成された装置が、光アブレーション可能デジタル記憶媒体の記録層に記録されるデジタルデータを受け取る。記録層は基板の上に形成され、記録層と基板との間には0個以上の介在層がある。記録層は、デジタルデータを記憶できるアブレーション可能材料を含む。本装置は、アブレーションされた部分が、受け取ったデジタルデータのデータ点に対応するように、受け取ったデジタルデータにより規定されたシーケンスに従い記録層内のアブレーション可能材料をアブレーションする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータは、現代社会に導入されて以来着実に普及してきた。コンピュータおよび他の種類のデジタル電子機器により多くの作業が簡素化され、人々の生活は革新的に変化した。今日、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオレコーダ、デジタル音楽プレーヤ、および広範囲に張り巡らされたインターネット接続により、人々は以前にも増してより多くのデータを多様なデジタル媒体記憶装置に記録している。例えば、多くの人々が、ハードディスク、CD、DVD、フラッシュドライブその他の種類のデジタル記憶媒体に記憶されたデジタル写真、ビデオ、楽曲、ウェブページ、テキストファイルおよびその他デジタルコンテンツを収集して保有している。
【0002】
デジタルデータ記憶媒体には多くの利点がある。例えば、あらゆる種類のデジタル記憶媒体がデジタルファイルを完全に再生および記憶できる。このようなファイルは、データまたは品質を一切損なうことなく、各種のデジタル記憶媒体との間で容易に転送できる。デジタル記録可能媒体の別の顕著な利点として消費者への訴求力がある。フラッシュドライブからハードディスクおよび多層DVDに至る、ほとんど全ての種類のデジタル記憶媒体の容量が増大しており、しかも実質的に価格が下がっている。その結果、デジタル記憶装置は引き続き消費者の人気を博している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光記憶装置は、もっぱら光媒体プレーヤおよびレコーダが使い易く且つ広く普及しているため、特に消費者向けに成長してきた。光記憶媒体は、一般に2種類に分類できる。すなわち、レーザーカット成型によりデータ層が「押印された」市販の媒体、およびCDまたはDVDバーナーを用いてデータ層が「焼き付けられた」ユーザー書き込み可能な媒体である。このようなユーザー書き込み可能な媒体(例:CD−R/RW、DVD±R/RW/RAM等)は、写真、楽曲その他のファイルの長期データ記憶用に用いられる場合が多い。
【0004】
このような焼き付け可能な光媒体は一般に、データを永久に記憶できるものと考えられているが、実はそうではない。このような焼き付け可能な光媒体は、時間の経過と共に劣化する傾向がある。例えば、光媒体への典型的な書き込み動作では、極端に集中的なパターンでエネルギー源の焦点が媒体に合わされて1と0に解釈できるマークが形成される。この「焼き付け」処理が、通常何らかの種類の金属合金と光学色素からなる光媒体データ層の分子を化学変化させる。「焼き付け」という用語はある程度高い永続性を意味するが、実際には化学変化は永続的ではなく、媒体は読み取られるたびに劣化する。媒体を高温、高湿度、または高光度の下で保管することもまた劣化につながる恐れがある。ユーザーは無論、事情に詳しい技術者までがこのような媒体に信頼を置いているにもかかわらず、時間の経過と共に1と0を表すマーク間の光学的コントラストが薄くなってデータが読めなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、光アブレーション可能デジタル記憶媒体へのデジタルデータの記録を目的とする。一実施形態において、光アブレーション可能デジタル記憶媒体上のアブレーション可能材料の部分をアブレーションすべく構成された装置が、光アブレーション可能デジタル記憶媒体の記録層に記録されるデジタルデータを受け取る。記録層は基板上に形成され、記録層と基板との間には0個以上の介在層がある。記録層は、デジタルデータを記憶できるアブレーション可能材料を含んでいる。本装置は、アブレーションされた部分が、受け取ったデジタルデータのデータ点に対応するように、受け取ったデジタルデータにより規定されたシーケンスに従い記録層内のアブレーション可能材料をアブレーションする。
【0006】
本概要は各種概念の一部を、以下の詳細説明に記述する簡素化された形式で導くために提供するものである。本概要は、権利請求する主題の重要な特徴または基本的特徴を際立たせることを意図しておらず、権利請求する主題の範囲を規定する補助手段として用いることも意図していない。
【0007】
本発明の実施形態の上記および他の利点と特徴を更に明らかにすべく、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態をより具体的に記述する。これらの図面は本発明の典型的実施形態を示すだけであり、従ってその範囲を限定することを意図していない点を理解されたい。本発明について、以下の添付図面を利用して更に具体的且つ詳細に記述および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態が例えば、光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録することにより動作可能な構成要素のアーキテクチャを示す。
【図2】光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録する例示的な方法のフロー図を示す。
【図3A】各々アブレーション可能媒体部材の各種の実施形態の例示的な断面図を示す。
【図3B】各々アブレーション可能媒体部材の各種の実施形態の例示的な断面図を示す。
【図3C】各々アブレーション可能媒体部材の各種の実施形態の例示的な断面図を示す。
【図3D】各々アブレーション可能媒体部材の各種の実施形態の例示的な断面図を示す。
【図4A】各々アブレーション可能媒体部材の各種の代替的な実施形態の例示的な断面図を示す。
【図4B】各々アブレーション可能媒体部材の各種の代替的な実施形態の例示的な断面図を示す。
【図4C】各々アブレーション可能媒体部材の各種の代替的な実施形態の例示的な断面図を示す。
【図5】光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録できる構成要素の環境を示す。
【図6】光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録できる代替的な構成要素の環境を示す。
【図7】アブレーション可能媒体部材の代替的な実施形態の例示的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記述する実施形態は、光アブレーション可能デジタル記憶媒体へのデジタルデータの記録を目的としている。一実施形態において、光アブレーション可能デジタル記憶媒体上のアブレーション可能材料の部分をアブレーションすべく構成された装置が、光アブレーション可能デジタル記憶媒体の記録層に記録されるデジタルデータを受け取る。記録層は基板の上に形成され、記録層と基板との間には0個以上の介在層がある。記録層は、デジタルデータを記憶できるアブレーション可能材料を含んでいる。本装置は、アブレーションされた部分が、受け取ったデジタルデータのデータ点に対応するように、受け取ったデジタルデータにより規定されたシーケンスに従い記録層内のアブレーション可能材料をアブレーションする。
【0010】
図1に、本発明の原理を利用できる構成要素のアーキテクチャ100を示す。構成要素のアーキテクチャ100はアブレーション装置101を含んでいる。いくつかの実施形態において、アブレーション装置101は光アブレーション可能デジタル記憶媒体上のアブレーション可能材料の部分をアブレーションすべく構成されていてよい。アブレーションとは、物体に対して、当該物体のアブレーション可能材料を除去するのに十分な量のエネルギーを瞬間的に印加する処理である。場合により、アブレーションされた材料は蒸発して気体になる。デジタルデータを記録するためにアブレーションを用いる例について以下により詳細に説明する。アブレーション可能材料に生じた気化による相変化は本来もっと永続的であって時間の経過と共に急速に劣化する恐れは少ない。「瞬間的」という用語は、処理が急速に実行されることを示唆しているものの、何ら特定の時間に限定されない点に留意されたい。更に、本明細書で用いる「永続的」という用語は、特異的な堅牢性、耐久性を示唆すると共に、劣化傾向が全く無いことを示唆しているが、無限の永続性を意図してはいない。
【0011】
アブレーション可能材料の温度を瞬間的に上昇させるのに必要なエネルギー量は、材料に応じて大きくに変動する。例えば、ガラス状炭素は、多数の密に結合された炭素間二重結合を有する炭素構造であってガラス質炭素にアブレーションに適した吸収特性を与える。他の材料も程度の差はあるにせよ同様にアブレーションに適している。アブレーション処理で用いる別の尺度として、変化を引き起こすために用いられるエネルギー量がある。本明細書ではこの尺度をアブレーションエネルギーと呼ぶ。必ずしも完全なアブレーションが必要な訳ではない点に留意されたい。場合により、アブレーション可能材料を部分的アブレーションするだけで十分である。換言すれば、アブレーション箇所に若干のアブレーション可能材料が残留していてもアブレーションが完全に行なわれたとみなしてよい。後述するように、反射層でも同じことがいえる。場合により、反射層はアブレーションエネルギーの一部を反射するだけで首尾よく機能する。
【0012】
いくつかの実施形態において、アブレーションエネルギーは材料の単位体積当たりのエネルギーの単位として測定できる。例えば、アブレーション可能材料の層が厚いほど、アブレーションを行うためにより大量のエネルギーが必要となる。他の材料もまた程度の差はあるにせよ、材料の種類および他の条件に応じて除去され得る。所望の温度および所望のエネルギーレベルの両方に多くの要因が影響を及ぼす。露出時間やエネルギー源の波長等の他の要因を変更することによっても、アブレーションを助長することができる。例えば、アブレーション層の特性に合致すべく異なる波長を用いてアブレーションを生じ易くすることができる。
【0013】
場合により、材料の層が厚いほど、より長時間またはより強いアブレーションエネルギーの下に露出する必要がある。更に他の要因として、周辺温度、湿度、アブレーション可能材料を形成した処理、アブレーション可能媒体部材内でアブレーション可能材料を他の材料に結合させた処理、当該処理で用いられたアブレーションエネルギーの種類および反射層(存在すれば)の種類と厚さが含まれていてよい。場合により、任意の所与のアブレーション可能層および/または反射層の露出時間、アブレーションエネルギーおよび最適な厚さの尺度は、材料の種類、材料の熱伝導率、周辺環境、および伝導されるエネルギー量に基づいている。
【0014】
アブレーションが起こり得るか否かを判定する決定要因の一つが、除去されている材料の単位表面積/体積当たりの総吸収エネルギーである。いくつかの実施形態において、露出時間の調整および/またはレーザーエネルギーの増大により、従来型のCDまたはDVDライターを用いることができる。伝導されたエネルギーは、当該媒体の特定部分の材料をアブレーションするのに十分でなければならない。アブレーション処理は、アブレーションされた材料に永続的な変化を生じさせ、様々な劣化要因に対して極めて堅牢である。
【0015】
再び図1を参照するに、いくつかの実施形態において、アブレーションに用いるエネルギーはエネルギー源115から供給されてよい。エネルギー源115は、熱、電気、磁気、放射(光または光エネルギー)および/または音声エネルギーを含む各種のエネルギーを供給できる。エネルギー源115は、読み出し/書き込みチャネル110を介してアブレーション可能媒体105への書き込みおよび読み出しを行なうべく構成されていてよい。読み出し/書き込みチャネル110は、有線および無線接続の両方を含む任意の種類の通信リンクであってよい。アブレーション可能媒体105は、アブレーション可能な任意の種類のデジタル媒体であってよい。いくつかの実施形態において、アブレーション可能媒体105は、従来型のCDおよびDVDと同様の光ディスクを含んでいてよい。
【0016】
図1はまた、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125を含んでいる。アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125は、アブレーション可能媒体105がどの時点で読み出し/書き込みチャネル110を介して通信に利用できるかを検出すべく構成されていてよい。他の実施形態において、アブレーション装置ユーザ(図示せず)は、アブレーション可能媒体105が読み出し/書き込みチャネル110を介して通信に使用可能であると判定することができる。追加的または代替的に、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125はアブレーションモジュール120と通信すべく構成されていてよい。
【0017】
アブレーションモジュール120は、デジタルデータ受け取りモジュール135からデジタルデータ130を受け取るべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、デジタルデータ受け取りモジュールは、アブレーションモジュール120に転送されたデジタルデータ130を受け取るべく構成されていてよい。デジタルデータ130は、任意の種類の情報を任意の形式で表現できる。更に、当該データは暗号化、圧縮、または別途その原形から変更できる。デジタルデータ130は、ファイル等の組織化された部分として受け取ることも、あるいはデータストリームとして受け取ることもできる。デジタルデータ受け取りモジュール135はデジタルデータ130を受け取り、場合により、何らかの方法で処理すべく構成されていてよい。このような処理として、暗号化または復号化、圧縮または復元、変更、記憶その他任意の形式のデータ処理が含まれていてよい。図1の構成要素について図2〜5を参照しながら以下により詳細に述べる。
【0018】
図2に、光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録する方法200のフロー図を示す。以下方法200について、環境100の構成要素およびデータ、図3A〜3D、4A〜4Cおよび図7に示すアブレーション可能媒体の実施形態、および各々図5、6のアブレーション環境500、600を頻繁に参照しながら記述する。ここで用いるように、図3〜4への参照は、図3A〜3Dおよび4A〜4Cへの参照を示唆する。いくつかの実施形態において、方法200はコンピュータシステムにより実行できる。コンピュータシステムは、以下により詳しく述べるように、各種のコンピュータハードウェアを含む専用または汎用コンピュータで構成されていてよい。
【0019】
本発明の範囲内にある実施形態は、コンピュータ実行可能な命令またはデータ構造が格納または記憶されているコンピュータ可読媒体を含んでいる。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用または専用コンピュータからアクセスして使用可能な任意の媒体であってよい。一例として、但しこれに限定されないが、そのようなコンピュータ可読媒体はRAM、ROM、EEPROM、CD−ROMその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置その他の磁気記憶装置を含む物理的(または記録可能な種類の)コンピュータ可読媒体、あるいは所望のプログラムコード手段をコンピュータ実行可能な命令またはデータ構造の形式で格納または記憶すべく使用可能であって汎用または専用コンピュータからアクセスできる他の任意の媒体を含んでいてよい。また、ネットワークまたは他の通信接続(有線、無線、または有線と無線の組み合わせ)を介して情報がコンピュータへ転送または提供される場合、当該コンピュータはその接続をコンピュータ可読媒体として適切に認識する。従ってそのような任意の接続もまた、適宜コンピュータ可読媒体と呼ぶ。上述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含めるべきである。
【0020】
コンピュータ実行可能な命令は例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理装置に特定の機能または機能群を実行させる命令およびデータを含んでいる。本発明の主題は、構造特徴および/または方法論的動作に固有な言語で記述されているが、添付の請求項に規定する主題が必ずしも上述の固有な特徴または動作に限定されない点を理解されたい。すなわち上述の固有な特徴および動作は、請求項を実装する例示的な形式として開示している。
【0021】
図2に戻ると、いくつかの実施形態において方法200は、光アブレーション可能デジタル記憶媒体が記録に使用可能であると判定する動作(動作210)を含んでいる。例えば、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125は、光アブレーション可能デジタル記憶媒体105が記録に使用可能であると判定すべく構成されていてよい。場合により、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125は、媒体部材が存在してアブレーションに使用可能であると判定するためだけに構成されていてもよい。他の場合において、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125は、媒体部材が存在して当該媒体部材がアブレーション可能であると判定すべく構成されていてよい。
【0022】
図3Aに例示する光アブレーション可能デジタル記憶媒体105は、図3Aに示すように、構造支持層320Aの上に形成されたアブレーション可能データ層310Aを含んでいて、アブレーション可能データ層310Aと構造支持層320Aの間に介在層が無くてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、アブレーション可能データ層310Aは、アブレーション済みデータ点315Aにより表される情報を記憶できる記録層である。アブレーション済みデータ点315Aは、アブレーション可能データ層310Aの既にアブレーションされた部分である。すなわち、アブレーション済みデータ点315Aをかつて満たしていたアブレーション可能材料は既にアブレーションされたかまたは気化している。アブレーション済みデータ点315Aは任意の順序、任意の幅で生じても、あるいはアブレーション可能データ層310Aの任意の所与の領域において全く生じなくてもよい。例えば、デジタルデータがアブレーション可能データ層310Aに「書かれている」かまたは除去されている(本明細書ではこれらの用語を交換可能に用いる場合がある)場合、データは1と0の可変長部分に対応していてよい。従って、デジタルデータにより規定される1と0のシーケンスに応じて、より多くのまたは少ないアブレーション済みデータ点315Aがアブレーション可能データ層310Aの任意の所与の部分に存在してよい。更に、アブレーション済みデータ点315Aは、様々な形式や形状をなしていてよい。例えば、アブレーション済みデータ点315Aは、円形、楕円形、正方形、長方形、不規則な形状、または十分な光コントラストを提供できる任意のバリエーションであってよい。
【0024】
例えば図5に示すように、環境500はアブレーション可能データ層520をアブレーションしているアブレーション装置501の描写を含んでいる。アブレーション可能媒体505が回転方向530に回転するにつれて、レーザーダイオード502がアブレーション可能データ層520をデジタルデータ130に対応するパターンでアブレーションする。アブレーション可能データ層520の一部がアブレーションされたならば、その結果生じたアブレーション済みデータ点515がデータ層に残る。図5は、レーザーダイオード502が光のパルスまたはレーザービーム510をアブレーション可能データ層520上に照射するアブレーションの一方法を示す。レーザーダイオード502の真下にあるアブレーション可能データ層520の部分が、レーザーダイオード502が当該データ点のアブレーションを完了したところであるかのごとく、アブレーションされたことを示す。
【0025】
図5に示すアブレーション可能媒体505の部分が断面図に過ぎず、アブレーション済みデータの1シーケンスだけを示す点に留意されたい。いくつかの実施形態において、デジタルデータをCDまたはDVDのトラックと同様の一連のトラックとしてアブレーション可能データ層520に記憶できる。これらのトラックは、媒体の中心から出発して螺旋状に外側へ進んでいてよい。あるいは、トラックは外側から出発して内側へ進んでもよい。他の実施形態は、アブレーション可能媒体部材上のランダムまたは疑似的にランダムな位置において媒体を別の非螺旋パターンでアブレーションするステップを含んでいてよい。更に、いくつかの実施形態においてアブレーション可能媒体105は静止していてもよく、その間にアブレーション装置501はエネルギー源502と共に媒体部材の様々な部分へ移動してそれらの部分で部材をアブレーションする。これらの実施形態のいずれでも、媒体部材105は、円盤状、正方形、立方体、およびアブレーション装置と互換性を有する他の任意の形状であってよい。
【0026】
環境500は、アブレーション可能媒体505の上方に配置されたアブレーション装置501およびレーザーダイオード502を示しているが、図6の環境600に示すように、アブレーション装置601およびレーザーダイオード602をアブレーション可能媒体605の下側に配置することも可能である。図5と同様に、図6はレーザーダイオード602を用いてアブレーション装置601により除去されているアブレーション可能媒体605のアブレーション可能データ層620を示す。アブレーション可能媒体605は矢印630で示す方向に回転し、デジタルデータ130が示すパターンに対応してアブレーション可能なデータ点615が同様に形成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、アブレーション装置501および601は、図1のアブレーション装置101に対応する。また、任意の種類のアブレーション可能媒体105を各々図5、6に示す方法でアブレーションできる点に注意されたい。例えば、レーザービーム510/610を、データ層520/620内のアブレーション可能材料をアブレーションする前に1個以上の層を貫通して照射するように変更できる。例えば図6に示すように、レーザービーム610はデータ層620上の材料をアブレーションする前に、構造支持層625を貫通して照射できる。更に、環境500および600が、側道、上下逆さま等、図5および6に示すもの以外の任意の幾何学的位置関係にあって機能できる点に留意されたい。
【0028】
再び図1を参照するに、アブレーション装置101および/またはエネルギー源115は、アブレーション可能媒体に対して移動可能であってよい。いくつかの実施形態において、アブレーション装置101および/またはエネルギー源115は、媒体105に対して装置101および/またはエネルギー源115を移動させるサーボモータ(図示せず)その他の手段に取り付けられていてよい。
【0029】
アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125(「モジュール125」)は、様々な方法でアブレーション可能媒体105の使用可否を判定すべく構成されていてよい。例えば、モジュール125は、読み出し/書き込みチャネル110を介してアブレーション可能媒体105を読み書き可能なエネルギー源115と通信すべく構成されていてよい。いくつかの実施形態において、モジュール125は、アブレーション可能媒体部材が読み書きに使用可能か否かを判定するために自動検査を実行すべく構成されていてよい。他の実施形態において、モジュール125は、コンピュータユーザーまたはソフトウェア・モジュールから1個以上のアブレーション可能媒体部材へのアクセス準備ができている旨の指示を受け取るまで、どのアブレーション可能媒体の使用可否判定を行なわなくてもよい。追加的または代替的に、アブレーション可能媒体使用可否判定モジュール125は、アブレーションモジュール120と通信すべく構成されていてよい。そのような実施形態において、モジュール125はアブレーションモジュール120に対し、1個以上のアブレーション可能媒体部材105が読み出しおよび/または書き込みに使用可能である旨を指示してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、0個以上の介在層の少なくとも1個が、1個以上の介在層を含んでいて、当該1個以上の介在層の少なくとも1個は反射層である。例えば、図3Cに、アブレーション可能保護吸収層330Cと構造支持層320Cの間にある介在層として反射層340Cを示す。反射層340Cは、単一材料または複数材料の組み合わせを含んでいてよい。例えば、反射層340Cはチタンまたはクロミウムを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、チタンまたはクロミウムは、ポリカーボネート基板上に蒸着またはスパッタリングされる。場合により、ポリカーボネート基板のプラズマ清掃を実行して反射層が結合される構造支持層の表面を酸化させるのが好都合であろう。チタンおよびクロミウムは従来、そのような酸化された表面に良く付着する。
【0031】
反射層は、どのアブレーション可能媒体301A〜Dに積層してもよいが、図3Cおよび3Dだけに示す。反射層だけでなく、アブレーション可能媒体301に用いられる任意の層を何らかの種類の薄膜堆積を用いて積層または「結合」することができる。薄膜蒸着は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、プラズマ重合、化学蒸着、スピンコーティング、ディップコーティング、蒸着、電子ビーム物理蒸着、スパッタ蒸着、パルスレーザー蒸着、イオンビームアシスト蒸着、電気メッキ、分子ビームエピタキシ、その他任意の薄膜または厚膜蒸着技術を含む、物体に材料を積層する多くの方法を包含している。場合により、各々の層は後で積層されてもよく、あるいは他の場合には、予め結合された層を他の(予め結合された)層に積層されてもよい。
【0032】
例えば図3Dにおいて、接着層350と構造支持層が結合される間にアブレーション可能保護吸収層330Dと反射層340Dが結合されてもよい。次いで、層330D/340Dおよび350/320Dの各々の組み合わせを相互に結合してもよい。接着層(例:接着層350)を用いて、任意の1個の層を他の任意の層に接着させてもよい。接着層350で用いられる接着材として、金属、合金、ポリマー、コポリマー、セラミック、または有機小分子を含む任意の種類の天然または合成材料、あるいは乾燥、接触、熱溶解、光硬化、反応性、感圧性その他の接着剤を含む任意の種類の接着剤を含んでいてよい。他の層の組み合わせ、層の順序および/または層の結合種類もまた可能である。場合により、既存のCDまたはDVD製造技術および/または製造機械を用いてもよい。
【0033】
図3、4および7において、アブレーション可能媒体301/401/701に示す層が同縮尺で描かれておらず、各層のサイズが他の層に比べて大きいかまたは小さい場合があることに留意されたい。例えば、構造支持層320Aは、構造の剛性および堅牢性を与えるべく他の層よりも非常に厚くてよい。場合により、構造支持層320Aが高い表面均一性を有することは好都合である。すなわち、構造支持層の表面がなるべく滑らか且つ平坦であることが最適であろう。構造支持層320Aは、ポリカーボネート、シリカ、アルミニウム、シリコンウェハー、ガラスまたはガラス性材料、あるいは高い表面均一性を有する他の任意の材料を用いて形成されていてよい。アブレーション可能データ層310Aはまた、1〜500ナノメートルの間に最適な厚さを有していてよい。反射層340C、接着層350、保護層425A、吸収層470、およびアブレーション可能保護吸収層330D等、他の層の厚さも同様に1〜500ナノメートルの間にあってよい。代替的な実施形態において、各種の層の厚さは、上述のl〜300nmの範囲外であってもよい。更に、図3、4および7に示す各種の層の表面が平坦であるように描かれているが、表面が湾曲、傾斜、先細りしていても、または凹凸があってもよい。追加的または代替的に、表面に窪み、凹部、その他のマーキングがあってもよい。例えば、1個以上の表面が、当該表面に埋め込まれた追跡情報を有していてよい。
【0034】
上述のように、各層は様々な方法で形成および/または積層されてよい。上記以外の例として以下のものが含まれる。すなわち、基板上に層をスピンコーティングし、次いで紫外線を用いてポリマー化(硬化)してもよく、各種生物剤を用いて層を有機的に成長させ、特定の深さで層の特徴を変えることにより層を効率的に形成でき、あるいは1個以上の層に磁性ナノ粒子を付着させて磁場により一方に引き付けることにより十分な勾配が生じ、実質的に層を形成することができる。アブレーション可能媒体に層を形成および/または積層する他の方法を用いてもよい。
【0035】
場合により、データ層とこれに続く任意の層の間に十分な光コントラストが存在すれば、反射層が(図3Aおよび3Cに示すような)アブレーション可能媒体301の一部として含まれていても含まれていなくてもよい。例えば、十分な光コントラストがアブレーション可能データ層310Aと構造支持層320の間に存在すれば、媒体部材からデータが読み書きされるために反射層を必要としないであろう。場合により、データを媒体から読み出せるように反射層が層間に適切な光コントラストを与える。例えば、デジタルデータの読み出しに用いるレーザーが媒体部材のデータ部分に当たった場合、エネルギーが吸収されてエネルギーがごく僅かにしか、または全く、反射されない。しかし、レーザーが反射層に当たった場合、エネルギーが反射されて反射(デジタル1または0に対応)として読み出される。他の場合には、光コントラストを強化する勾配効果を生じるために各種の化学製品その他の材料を用いる反射層がなくても、適切な光コントラストが与えられる。
【0036】
いくつかの実施形態において、反射層を用いてアブレーションエネルギーが反射層を越えてどの層にも伝送されないことが保証される。そのような場合、エネルギービームがアブレーション可能データ層内の材料をアブレーションして、一旦ビームが反射層に達したならば、当該ビームは反射されるため反射層を越えて進まない。エネルギービームが反射層に達してそこから反射されたことは、光ダイオードその他のエネルギー検出機構を用いて検出することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において反射層340Cと接着層350を組み合わせることができる。例えば図3Cにおいて反射層340Cは、構造支持層320Cとアブレーション可能保護吸収層の間に配置されていて、エネルギー源115からのエネルギーを反射するための反射層および隣接する二つの層を接着させる接着層の両方として機能できる。従って、いくつかの実施形態において、接着層の使用は、用いる反射層の種類または反射層が用いられたか否かに依存する。
【0038】
アブレーション可能媒体105はまた、保護層425Aを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、アブレーション可能データ層410Aを保護すべく保護層が追加されている。保護層は光学的に不透明であってよく、少なくとも一つには構造支持のため、また一つにはデータ層が引っ掻き傷その他の損傷を受けるのを防止する保護コーティングとして用いられる。この保護層は記録処理の前または後で追加されてよい。
【0039】
アブレーション可能媒体105はまた、吸収層470を含んでいてよい。吸収層470は、アブレーション処理の間に完全には除去されないアブレーション可能材料を吸収するためにアブレーション可能媒体105に追加されてよい。例えば、レーザーダイオード502等のエネルギー源がアブレーション可能データ層310Aの一部分に集中された場合、アブレーション可能材料の全部または一部がその時点で除去される。完全には除去されていないどの材料も、次いで吸収層470により吸収されてよい。いくつかの実施形態において、残ったアブレーション可能材料を吸収させることができる固い発泡構造を有する低密度材料を用いることが好都合である。そのような材料の例として、発泡ニッケルまたはAspen Aerogel(商標)が含まれる。いくつかの実施形態において、保護層425Aと吸収層470を組み合わせて単一の層にできる。これらの層は更に、アブレーション可能データ層と組み合わせてアブレーション可能保護吸収層330Cとすることができる。
【0040】
上で部分的または全体的に述べたが、図3A〜3D、4A〜4Cおよび7に示す各々の実施形態について以下に記述する。いくつかの実施形態において、アブレーション可能媒体301A〜Dを、アブレーション装置501およびレーザーダイオード502が構造支持層525の上方に配置されている環境500と組み合わせて用いる。代替的な実施形態において、アブレーション可能媒体401A〜Cを、アブレーション装置601およびレーザーダイオード602が構造支持層625の下方に配置されている環境600と組み合わせて用いる。上述のように、図5および6の記述に関して環境500および600の各々の構成要素は水平、垂直、上下逆さま、その他の任意の幾何学的位置に配置されていてよい。
【0041】
構成要素の最適な向きは各種の要因のいずれか一つにより決定できる。例えば、アブレーション可能媒体505に対するアブレーション装置501の向きは、レーザービーム510の強度、レーザービーム510の波長、アブレーション可能データ層520の厚さ、構造支持層525の厚さ、またはアブレーション可能媒体505の形成に用いる可能性のある層のいずれかの形成に用いる材料に依存する場合がある。同じことが、アブレーション可能媒体605に対するアブレーション装置601の向きにもあてはまる。また、図3、4および7に示す層が同縮尺で描かれていない点に注意されたい。他の層に対する層の厚さおよび比率は、図示されているよりも大きいかまたは小さい場合がある。更に、図3、4および7は、アブレーション可能媒体301/401/701の全ての想定された実施形態を示す訳ではない。各種の層に異なる材料を使用し、且つ様々な異なる位置に配置された層の異なる組み合わせを有する他の実施形態もまた可能である。例えば、アブレーション可能媒体301/401/701の任意のものをアブレーション装置501および601の一方または両方と組み合わせて用いてもよい。
【0042】
図3Aに、構造支持層320Aの上部に配置されたアブレーション可能データ層310Aを含むアブレーション可能媒体301Aを示す。アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の部分としてアブレーション済みデータ点315Aをアブレーション可能データ層310A内に示す。図3、4および7を説明する際、本明細書で用いる「上部」および「底部」という用語は、各種の実施形態を図示する仕方だけを指すことに留意されたい。「上部」および「底部」という用語および図面はいずれも、媒体部材が図示する仕方で使用または製造されることを必ずしも意味しない。
【0043】
図3Bに、構造支持層320Bの上部に配置されたアブレーション可能保護吸収層330Bを含むアブレーション可能媒体301Bを示す。アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の部分としてアブレーション済みデータ点315Bをアブレーション可能保護吸収層330B内に示す。
【0044】
図3Cに、構造支持層320Cの上部に配置された反射層340Cの上部に配置されたアブレーション可能保護吸収層330Cを含むアブレーション可能媒体301Cを示す。図3Bと同様に、アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の部分としてアブレーション済みデータ点315Cをアブレーション可能保護吸収層330C内に示す。
【0045】
図3Dに、構造支持層320Dの上部に配置された接着層350の上部に配置された反射層340Dの上部に配置されたアブレーション可能保護吸収層330Dを含むアブレーション可能媒体301Dを示す。図3Bおよび3Cと同様に、アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の部分としてアブレーション済みデータ点315Dをアブレーション可能保護吸収層330D内に示す。
【0046】
図4Aに、構造支持層420Aの上部に配置されたアブレーション可能データ層410Aの上部に配置された反射層440Aの上部に配置された保護層425Aを含むアブレーション可能媒体401Aを示す。アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の位置としてアブレーション済みデータ点415Aをアブレーション可能データ層410A内に示す。
【0047】
図4Bに、構造支持層420Bの上部に配置された接着層450の上部に配置されたアブレーション可能データ層410Bの上部に配置された反射層440Bの上部に配置された保護層425Bを含むアブレーション可能媒体401Bを示す。図4Aと同様に、アブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の位置としてアブレーション済みデータ点415Bをアブレーション可能データ層410B内に示す。
【0048】
図4Cに、420C構造支持層の上部に配置された吸収層470の上部に配置されたアブレーション可能データ層410Cの上部に配置された反射層440Cの上部に配置された保護層425Cを含むアブレーション可能媒体401Cを示す。図4Aおよび4Bと同様に、415Cアブレーションにより除去されたアブレーション可能材料の位置としてアブレーション済みデータ点をアブレーション可能データ層410C内に示す。各層には、各々の層が別々に形成できること、異なる材料で形成できること、異なる仕方でアブレーションできること、異なる仕方で結合できること、異なる仕方で配置できること、厚さが変動すること、あるいは変更可能な他の任意の特徴を有することを更に識別すべく一意な識別子が割り当てられている。
【0049】
図7に、アブレーション可能構造保護吸収反射層710およびアブレーション済みデータ点715を含むアブレーション可能媒体701を示す。いくつかの実施形態において層710は、アブレーション可能媒体701に適切な剛性を与えかつ、層710の1個以上の部分が、アブレーションを施されたデータ点715に対応するようにアブレーション可能性を与えるべく構成された1種以上の材料を有する単一の層であってよい。いくつかの実施形態において、アブレーションデータ点715がアブレーション可能層710全体を貫通して前進しない点に留意されたい。すなわちデータ点715は層710の厚さ全体のわずかな部分しか占めない。例えば、シリコンウェハーをアブレーションする際に、アブレーションの深さが数十ミクロンに過ぎない一方で、層710の残り部分の厚さが約1200ミクロン(1.2mm)の場合がある。他の厚さおよびアブレーションの深さを用いてもよい。更に、図7におけるアブレーション済みデータ点715のアブレーションの深さは相対的であって、使用する材料および/またはアブレーションに用いるエネルギーに応じてより深くまたはより浅く変更することができる。
【0050】
アブレーション済みデータ点715は、層710に記録可能なデジタルデータに対応する。アブレーション可能媒体701はまた、アブレーション可能媒体701に対する保護機能、アブレーションエネルギーを反射するための反射機能、および/またはアブレーションされた材料を吸収するための吸収機能を提供すべく構成された材料を含んでいてよい。場合により、層710は複数の材料を含んでいて、各々の材料が上に列挙した機能の一つを実行すべく設計されていてよい。他の場合において、単一の材料が上に列挙した機能の全てまたは少なくとも一部を提供してもよい。
【0051】
一実施形態において、シリコンウェハーを層710として用いてもよい。この場合、アブレーションにより窪み(アブレーション済みデータ点715)が形成されると共に、媒体からデータを読み取るのに十分な光コントラストが得られる。シリコンウェハーは、構造上の剛性と共に、保護、吸収、および反射性を与える。別の実施形態において、層710でアルミニウムを用いてもよい。そのような場合、アブレーションにより窪み(アブレーション済みデータ点715)が形成されるが、十分な光コントラストは得られない。更なるコントラストを得るために、アルミニウムを陽極酸化および/または酸エッチングして窪みを暗くすることにより、光コントラストを増大させる。更に、シリコンウェハーと同様に、アルミニウムは層710に対し構造上の剛性と共に、保護、吸収、および反射性を与える。本明細書ではアルミニウムおよびシリコンだけに言及しているが、ガラス等の他の単一材料、並びに材料の他の組み合わせを用いて層710を形成してもよい。
【0052】
ここで図2に戻ると、方法200はまた、光アブレーション可能デジタル記憶媒体の記録層に記録されるデジタルデータを受け取る動作を含んでいて、当該記録層が基板上に形成されていて記録層と基板の間に0個以上の介在層を有し、当該記録層がデジタルデータを記憶(動作220)すべく構成されたアブレーション可能材料を含んでいる。例えば、デジタルデータ受け取りモジュール135は、アブレーション可能媒体301Aのアブレーション可能データ層310Aに記録されるデジタルデータ130を受け取ることができる。上述のように、デジタルデータは任意のデータ形式またはファイル種類であってよく、圧縮または復元、暗号化または復号化可能であって任意の数のビットを含んでいてよい。
【0053】
方法200はまた、アブレーションされた部分が、受け取ったデジタルデータのデータ点に対応するように、受け取ったデジタルデータにより規定されたシーケンスに従い記録層内のアブレーション可能材料をアブレーションする動作(動作230)を含んでいる。例えば、アブレーションモジュール120は、エネルギー源115を用いてデジタルデータ130により規定されたシーケンスに従いアブレーション可能媒体105をアブレーションできるように、デジタルデータ130をエネルギー源115に伝送することができる。いくつかの実施形態において、エネルギー源115はレーザーダイオードである。そのような実施形態において、アブレーションされた部分がデジタルデータのデータ点に対応するように、光エネルギーを用いてデジタルデータ130により規定されたシーケンスに従いアブレーション可能媒体105をアブレーションすることができる。
【0054】
このように図1〜7に概説する構成要素および方法を用いて、アブレーションされた媒体105にデジタルデータを永久に記憶することができる。アブレーション処理は、数百年以上にわたり読み出し可能であるように、消えないマークをアブレーション可能媒体に残すように設計されている。
【0055】
本発明は、その概念または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形式で実施することができる。上述の実施形態はあらゆる点で例示的に過ぎず、限定的でないものとする。本発明の範囲は従って、上の記述ではなく、添付の請求項により示される。請求項の意味および等価的な範囲に収まるあらゆる変更がその範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アブレーション可能デジタル記憶媒体上のアブレーション可能材料の1個以上の部分をアブレーションすべく構成された装置において、光アブレーション可能デジタル記憶媒体にデジタルデータを記録する方法であって、
光アブレーション可能デジタル記憶媒体の記録層に記録されるデジタルデータを受け取る動作であって、前記記録層が基板の上に形成され、前記記録層と前記基板との間には0個以上の介在層があり、前記記録層が、デジタルデータを記憶すべく構成されたアブレーション可能材料を含む動作と、
アブレーションされた部分が前記受け取ったデジタルデータのデータ点に対応するように、前記受け取ったデジタルデータにより規定されたシーケンスに従い前記記録層内の前記アブレーション可能材料をアブレーションする動作と
を含む方法。
【請求項2】
前記0個以上の介在層が1個以上の介在層を含み、前記1個以上の介在層の少なくとも1個が反射層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記0個以上の介在層が1個以上の介在層を含み、前記1個以上の介在層が少なくとも1個の吸収層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光アブレーション可能な記憶媒体が記録に使用可能であると判定する動作を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記記録層の厚さが1〜500ナノメートルの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の層を含む光記録可能な媒体であって、前記複数の層が、
前記光記録可能な媒体に適切な剛性を与えるのに十分な構造支持層と、
既にアブレーションを施されたデータ点に対応する1個以上の部分を含むアブレーション可能データ層であって、前記データ点が、前記アブレーション可能な層に記録可能なデジタルデータに対応する、アブレーション可能データ層と
を含む媒体。
【請求項7】
前記アブレーション可能データ層が保護吸収層を含む、請求項6に記載の光記録可能な媒体。
【請求項8】
反射層を更に含む、請求項7に記載の光記録可能な媒体。
【請求項9】
前記保護吸収性のアブレーション可能なデータ層が前記反射層の上に配置されていて、前記反射層が前記構造支持層の上に配置されている、請求項8に記載の光記録可能な媒体。
【請求項10】
前記反射層と前記構造支持層との間に接着層を更に含む、請求項9に記載の光記録可能な媒体。
【請求項11】
上部からデジタルデータが読み出され、かつ記録される、請求項8に記載の光記録可能な媒体。
【請求項12】
保護層および反射層を更に含む、請求項6に記載の光記録可能な媒体。
【請求項13】
前記保護層が前記反射層の上に配置されていて、前記反射層が前記アブレーション可能データ層の上に配置されていて、前記アブレーション可能データ層が前記構造支持層の上に配置されている、請求項12に記載の光記録可能な媒体。
【請求項14】
前記アブレーション可能なデータ層と前記構造支持層との間に接着層を更に含む、請求項13に記載の光記録可能な媒体。
【請求項15】
底部からデジタルデータが読み出され、かつ記録される、請求項13に記載の光記録可能な媒体。
【請求項16】
吸収層を更に含む、請求項12に記載の光記録可能な媒体。
【請求項17】
前記アブレーション可能データ層が前記構造支持層の上に蒸着されて、前記アブレーション可能データ層と前記構造支持層との間に0個以上の介在層を有する、請求項6に記載の光記録可能な媒体。
【請求項18】
単一の層を含む光記録可能な媒体であって、前記層が、
前記光記録可能な媒体に適切な剛性を与え、
前記層の1個以上の部分が、アブレーションを施されたデータ点に対応するようにアブレーション可能性を与える
ように構成された1種以上の材料を含み、前記データ点が、前記層に記録可能なデジタルデータに対応する、媒体。
【請求項19】
前記1種以上の材料が更に、前記光記録可能な媒体に保護性を与えるように構成されている、請求項18に記載の光記録可能な媒体。
【請求項20】
前記1種以上の材料が更に、アブレーションエネルギーを反射するための反射性を与えるように構成されている、請求項18に記載の光記録可能な媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−530593(P2010−530593A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513281(P2010−513281)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/055483
【国際公開番号】WO2008/156878
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(592087647)ブリガム・ヤング・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY
【Fターム(参考)】