説明

門扉の係止装置および門扉

【課題】支持柱に対する門扉の係合解除操作を、門扉の開操作とともにワンタッチで行なうことができる、操作性に優れた門扉の係止装置および門扉を提供する。
【解決手段】門扉2の閉じ端側に、支持柱9のストライカ10に係脱するロック機構11と、門扉2を開閉操作するためのハンドル12とを設ける。ハンドル12には、ロック機構11を解除操作する解除トリガー13が設けられている。解除トリガー13は、ハンドルケース23の外面から突出する常態姿勢と、常態姿勢からハンドルケース23の内部に押し込まれてロック機構11を解除操作する解除姿勢との間で押し込み操作可能に構成されている。そして、解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向が、門扉2の開操作方向と一致していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持柱に対峙する伸縮型の門扉の閉じ端側に、支持柱のストライカに係脱するロック機構と、門扉を開閉操作するためのハンドルとが設けられており、ストライカにロック機構が係合することで、門扉を支持柱に係合固定することができる門扉の係止装置、およびこの係止装置を備える門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の門扉の係止装置は、例えば特許文献1、2に記載されており公知である。これら特許文献1、2に記載の係止装置においては、伸縮型の門扉の内外に装着される操作ハンドルを回転操作することにより、ロック機構のフックをストライカに係合するロック姿勢とストライカとの係合が解かれるアンロック姿勢との間で変位操作することができる。操作ハンドルは、門扉から内外方向に伸びる基軸と、基軸の先端から左右方向に伸びる握り部とを含むL字型に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−110560号公報
【特許文献2】実開昭56−082195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に記載の係止装置では、フックがロック姿勢にあるとき、操作ハンドルの握り部は下方に伸びる、或いは斜め下方に伸びる略垂直姿勢にある。そして、かかる略垂直姿勢から水平姿勢となるように握り部を回転操作することで、ロック機構をロック姿勢からアンロック姿勢として、門扉と支持柱との係合を解除して門扉を開操作することができる。このため、支持柱との係合を解除して門扉を開操作するためには、操作ハンドルを手指で握りこれを回転操作してロック機構による係合状態を解除したうえで、門扉を開方向に移動操作する必要があり、二つの操作を同時に行なうことが不可能で、ワンタッチで門扉を開操作することができない点に実用利便上の不利があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、支持柱に対する門扉の係合解除操作を、門扉の開操作とともにワンタッチで行なうことができる、操作性に優れた門扉の係止装置、および該係止装置を備えた門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、支持柱9に対峙する伸縮型の門扉2の閉じ端側に、支持柱9のストライカ10に係脱するロック機構11と、門扉2を開閉操作するためのハンドル12とが設けられており、ストライカ10にロック機構11が係合することで、門扉2を支持柱9に係合固定することができる門扉の係止装置を対象とする。ハンドル12には、ロック機構11を解除操作する解除トリガー13が設けられている。解除トリガー13は、ハンドルケース23の外面から突出する常態姿勢と、常態姿勢からハンドルケース23の内部に押し込まれてロック機構11を解除操作する解除姿勢との間で押し込み操作可能に構成されている。そして、解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向(D1)が、門扉2の開操作方向(D2)と一致していることを特徴とする(図4参照)。
なお、本発明における「ストライカ」とは、実施形態のように別部材として形成され、支持柱に装着されたストライカ10に限られず、支持柱9に設けられた開口をも含む概念である。つまり、支持柱9に係止装置のロック機構11が係脱できる開口を設けて、この開口をストライカとしてもよい。尤も、この場合には、支持柱9自身の強度や剛性を確保する必要があり、例えば支持柱9をステンレス等で作成する必要がある。
【0007】
ロック機構11は、ストライカ10に係合するロック姿勢と、ストライカ10との係合を解除するアンロック姿勢との間で縦軸47まわりに揺動変位できるフック48を含む。フック48の突出端を、ストライカ10側に向かって前後の幅寸法が小さくなる先窄まり状に形成する。
【0008】
門扉2の開閉始端に設けた可動柱7の前後面のそれぞれに、ハンドル12を装着する。各ハンドル12を構成するハンドルケース23は、門扉2の側面に固定されるベース部20と、ベース部20の上下端から前後方向に延出される上下一対のL字型の支持部21と、支持部21の延出端部側において支持部間に架設される握り部22とからなり、上下方向の握り部22に解除トリガー13を設ける。解除トリガー13とロック機構11との間に設けられる伝動機構15を、支持部21の左右方向に走る延出部21b内においてスライド移動可能に構成されて、解除トリガー13の動作を受け継ぐスライドブロック35と、支持部21の前後方向に走る基端部21a内において揺動軸36まわりに揺動可能に設けられて、スライドブロック35の動作を受け継ぐ連動アーム37とを含んで構成する。ロック機構11は、門扉2内に固定される支持板46と、支持板46に設けられた縦軸47まわりに揺動可能に装着される上下一対のフック48・48と、両フック48・48をロック姿勢に移動付勢するフックバネ49とを有する。各フック48は、左右方向に伸びてストライカ10と係合する掛止アーム70と、前後方向に伸びて連動アーム37の動作を受け継ぐ受動アーム71とからなる。そして、解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作に連動して、スライドブロック35および連動アーム37を介して受動アーム71が左右方向に押されて、掛止アーム70がロック姿勢からアンロック姿勢に姿勢変位するように構成する。
【0009】
両フック48・48は、上下に重なる状態で連結ピン50にて連結する。支持板46に、左右方向に長い長孔62を設け、長孔62に連結ピン50を左右方向に移動自在に装着する。連結ピン50が長孔62の一端側に位置するとき、フック48の掛止アーム70がロック姿勢にあり、連結ピン50が長孔62の他端側に位置するとき、掛止アーム70がアンロック姿勢になるように構成する。連結ピン50を、フックバネ49で長孔62の一端側へ向かってロック付勢する。
【0010】
ロック機構11のフック48をロック姿勢に固定するための施錠機構90を備える。施錠機構90は、ハンドルケース23に固定される錠ユニット91と、錠ユニット91で回転可能に支持される連動体92と、門扉内に上下揺動自在に支持されたストッパー95とを含んで構成する。ストッパー95は、連動体92の回転動作を受けて、フック48の回転軌跡に至り、該フック48の揺動回転を阻止する施錠姿勢と、フック48の回転軌跡から退避する解錠姿勢とに変位できるように構成する。
【0011】
前後の各ハンドルケース23・23に錠ユニット91が固定されており、施錠機構90は、操作アーム94を含み、この操作アーム94は、前後方向に伸びて連動体92で回転操作される操作軸105と、ストッパー95を姿勢変位するためのカム93と、操作軸105の両端部に設けられて、連動体92に係合する係合片106・106とを含み、操作軸105の回転操作を受けて、カム93が横臥姿勢から縦姿勢に姿勢変位することで、ストッパー95が、解錠姿勢から施錠姿勢に姿勢変位するようになっており、連動体92は、操作軸105の端部の挿入を許す軸受穴110を有しており、軸受穴110を区画する筒壁は、係合片106を操作するための操作溝111を有する部分円弧壁とされており、操作溝111が、錠ユニット91の施錠操作姿勢から解錠操作姿勢への姿勢変位を吸収し得る逃げ切欠とされている形態を採ることができる。
【0012】
支持板46に、ストッパー95の挿入を許す出退口55を開設する。施錠姿勢において、ストッパー95の上部が出退口55の周縁に支持されるようにする。
【0013】
また、本発明は上記係止装置を備えた門扉である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る門扉の係止装置においては、解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向を門扉2の開操作方向と一致させた。これによれば、門扉2がロック機構により支持柱9に係合固定されている状態では、解除トリガー13は常態姿勢にあり、かかる係合固定状態からハンドル12を掴んで門扉を開操作すると、同時に解除トリガー13を解除姿勢に向かって押し込み操作して、ロック機構11を解除操作することができる。したがって本発明によれば、門扉2の開操作とロック機構11の解除操作とを、同時にワンタッチに行なうことができるので、係合固定状態からの門扉2の開操作を迅速かつ少ない手間で行なうことができる。また、解除トリガー13の操作方向と門扉の開操作方向とが一致しているため、解除トリガー13の操作を誤るおそれがなく、確実に門扉2を係合固定状態から開操作することができる。
【0015】
特許文献1、2等のように、横軸まわりに揺動変位できるフックをロック機構の構成要素とする形態では、ストライカに対するフックの厳密な位置合わせが求められ、門扉の支持柱に対する係合操作が煩わしく、また迅速に係合固定状態を確立することが難しい。すなわち、特許文献1、2等の形態では、門扉の厚み方向である前後方向だけでなく上下方向においても、ストライカに対してフックを正確に位置合わせする必要があり、当該位置合わせが煩わしく、迅速な係合操作が難しい。これに対して本願発明のように、ロック機構11を縦軸47まわりに揺動変位できる突出端が先窄まり状のフック48を含むものとしてあると、ストライカ10に対するフック48の上下位置とは無関係に、係合固定状態を確立することができるので、フック48の上下方向の厳密な位置合わせを省くことができる。加えて、該突出端をガイドとしてフック48をストライカ10に差し込み装填することができるので、フック48のストライカ10に対する前後方向の厳密な位置合わせも不要となる。以上より、本発明によれば、概ね位置合せするだけで、フック48をストライカ10に係合させることができるので、支持柱9に対する門扉2の係合操作を簡便化することができる。
加えて、本発明によれば、施工時におけるストライカ10の支持柱9に対する上下方向の厳密な位置合わせも不要となる。すなわち、例えば支持柱9に別部材のストライカ10を装着固定する形態において、従来形態では、フック48とストライカ10とを上下方向に正確且つ厳密に位置合わせする必要があり、ストライカ10の支持柱9に対する上下方向の正確な位置合わせ作業や調整作業が必要であった。これに対して本願発明によれば、上述のように、概ね位置合せするだけで、フック48をストライカ10に係合させることができるので、施工時のストライカ10の支持柱9に対する上下方向の正確な位置合わせ作業や調整作業の手間は不要であり、したがって、門扉の施工に要する手間と時間とを大幅に削減して、施工コストの上昇を確実に抑えることができる。
【0016】
ハンドルケース23は、門扉2の側面に固定されるベース部20と、ベース部20の上下端から前後方向に延出される上下一対のL字型の支持部21・21と、支持部21の延出端部側において支持部21・21間に架設される握り部22とで構成することができる。これによれば、従来のレバー型のハンドルのように、指先でレバーハンドルを確りと握りながら開閉操作を行なう必要がなく、握力の弱い子供や指先の不自由な障害者であっても、確実に開閉操作を行なうことができる。また、操作が容易で使い勝手に優れ、しかも外観がすっきりした門扉の係止装置を提供することができる。加えて、握り部22に解除トリガー13を設けていると、握り部22に対する握り動作と同時に、解除トリガー13を押し込み操作することができるので、当該解除トリガー13の押し込み操作を適確にしかもワンタッチで行なうことができる。
【0017】
解除トリガー13とロック機構11との間に設けられる伝動機構15を、スライドブロック35と連動アーム37とで構成してあると、ギヤトレインなどで伝動機構を構成する場合に比べて、伝動機構15を簡素化することができる。したがって、伝動機構15の部品点数がいたずらに増えて、門扉の係止装置の組立コストが増加することを解消できる。何よりも、伝動機構15の簡素化を図ることができるので、ベース部20、L字型の支持部21、および握り部22とで構成されるハンドルケース23の限られた空間内に、伝動機構15を無理なく組み付けることができる。
【0018】
ロック機構11を、支持板46に設けられた縦軸47まわりに揺動可能に装着される上下一対のフック48・48と、両フック48・48をロック姿勢に移動付勢するフックバネ49とを有するものとし、各フック48を左右方向に伸びてストライカ10と係合する掛止アーム70と、前後方向に伸びて連動アーム37の動作を受け継ぐ受動アーム71とで形成してあると、連動アーム37を介して受動アーム71を縦軸47まわりに姿勢変位させて、掛止アーム70をロック姿勢からアンロック姿勢に姿勢変位させることができる。これによれば、フック48をロック姿勢からアンロック姿勢に変位させるための連動アーム37の揺動軸36まわりの揺動ストロークが小さなもので足りるので、ハンドルケース23および門扉2の限られた空間内に、連動アーム37を無理なく組み付けることができる。また、連動アーム37の揺動ストロークを確保するために、ハンドルケース23の支持部21の基端部21aの左右幅寸法を大きくする必要が無く、ハンドルケース23の小型化、薄型化にも貢献できる。
【0019】
両フック48・48が、上下に重なる状態で配置されていると、限られた門扉2のスペース内においても、両フック48・48を無理なく配置することができる。また、両フック48・48の縦軸47まわりの揺動ストロークを十二分に確保できるので、ストライカ10に対する係合解除を確実に行なうことができる。
【0020】
両フック48・48を長孔62に移動自在に装着された連結ピン50で連結し、この連結ピン50をフックバネ49でロック付勢したので、例えば各掛止アーム70に対応したばねにより、掛止アーム70をロック姿勢に復帰させる場合に比べて、復帰構造の簡素化を図り、係止装置の低コスト化に貢献できる。
【0021】
施錠機構90が、ハンドルケース23に固定される錠ユニット91と、錠ユニット91で回転可能に支持される連動体92と、門扉2内に上下揺動自在に支持されたストッパー95とを含んで構成されており、ストッパー95が、連動体92の回転動作を受けて、フック48の回転軌跡に至ってフック48の揺動回転を阻止する施錠姿勢と、フック48の回転軌跡から退避する解錠姿勢とに変位できるように構成することができる。これによれば、確実に施錠を行なうことができる施錠機構90でありながら、その構成部品点数と加工コストを減らすことができ、全体として門扉の係止装置を安価に提供できる。
【0022】
連動体92に設けられた操作溝111を、錠ユニット91の施錠操作姿勢から解錠操作姿勢への姿勢変位を吸収し得る逃げ切欠とすることができる。これによれば、前後いずれか一方の錠ユニット91・91に差し込まれた錠101を施錠操作姿勢から解除操作姿勢へ復帰操作して、連動体92を回転させた場合でも、操作軸105は回転操作されず、したがってストッパー95を施錠姿勢に維持することができる。このことは、ストッパー95の姿勢状態とは無関係に、前後のいずれの錠ユニット91・91からも施錠・および解錠操作を行なうことができることを意味し、したがって、門扉の操作性が格段に向上する。
【0023】
支持板46に、ストッパー95の挿入を許す出退口55が開設されており、施錠姿勢において、ストッパー95が出退口55の周縁に支持されるようになっていると、出退口の周縁でストッパー95を受け止めることができるので、フック48の揺動回転力を受けて、ストッパー95が内倒れ状に傾倒することを確実に規制できる。このことは、施錠時において、不用意にストライカ10とフック48との係合状態が解除されるのを防止できることを意味し、結果として、門扉の係止装置の信頼性向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る門扉の係止装置を示す縦断正面図であり、解除トリガーは常態姿勢にある。
【図2】門扉の全体構造を示す正面図である。
【図3】ハンドルの外観斜視図である。
【図4】本発明に係る門扉の係止装置を示す縦断正面図であり、解除トリガーは解除姿勢にある。
【図5】本発明に係る門扉の係止装置の横断平面図である。
【図6】本発明に係る門扉の係止装置の要部の横断平面図である。
【図7】本発明に係る門扉の係止装置の動作を説明するための図である。
【図8】ロック機構の分解斜視図である。
【図9】施錠機構の分解図である。
【図10】本発明に係る門扉の係止装置の縦断正面図であり、ストッパーは解錠姿勢にある。
【図11】本発明に係る門扉の係止装置の縦断正面図であり、ストッパーは施錠姿勢にある。
【図12】施錠機構を示す、横断平面図である。
【図13】本発明に係る係止装置が適用される門扉の別実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1ないし図12に本発明に係る門扉の係止装置および門扉の実施形態を示す。図2において、符号1は路面上に所定間隔を置いて配置した左右一対の門柱を、符号2は門柱1・1間を封止する伸縮型の門扉を示す。門扉2は、多数本の縦桟3と、多数本の斜桟4とからなるパンタグラフ式の扉体5と、扉体5の両側端に設けられた固定柱6および可動柱7とを備える。右方の門柱1には固定柱6が固定されており、可動柱7に対峙する左方の門柱1には、門扉2を係合固定するための支持柱9が固定されている。
なお、本実施形態においては、門扉2の厚み方向を前後方向と規定する。また、門扉2の開閉操作方向を適宜に左右方向と記す。
【0026】
図1および図4に示すように、可動柱7には、支持柱9のストライカ10に係脱する一個のロック機構11と、門扉2を開閉操作するための前後一対のハンドル12と、ハンドル12に設けられた解除トリガー13の動きをロック機構11に伝える伝動機構15とを含む係止装置が設けられている。門扉2を閉操作し、可動柱7を支持柱9に当接させた際に、ロック機構11がストライカ10に係合することにより、門扉2の可動柱7を支持柱9に係合固定することができる。また、解除トリガー13を解除操作することにより、ロック機構11のストライカ10に対する係合状態を解除して、門扉2を開方向(右方向)に移動操作することができる。可動柱7および扉体5の左右方向の略中央位置には、車輪16が設けられており、ハンドル12を握って可動柱7を左右方向に移動させることにより、斜桟4の傾斜姿勢を変更して、扉体5の全体を伸縮させることができる。
【0027】
図3に示すように、各ハンドル12は、可動柱7の前後面に固定されるベース部20と、ベース部20の上下端から前後方向に延出される上下一対のL字型の支持部21・21と、支持部21の延出端部側において両支持部21・21間に架設される握り部22とからなる樹脂製のハンドルケース23を基体として、上下方向に走る握り部22の筐体内部に、ロック機構11を解除操作するための解除トリガー13等が組み付けられている。各支持部21は、前後方向に走る基端部21aと、左右方向に走る延出部21bとを含んで、平面視でL字形に形成されている。図1において符号24は、ハンドルケース23を構成するケース本体23aと、該ケース本体の開口を封止するカバーケース23bとを締結するためのビス25用のボスを示す(図5参照)。
【0028】
図4に示すように、解除トリガー13は、握り部22に設けられた前後方向に走る水平軸26に揺動自在に装着された下端側のアーム部27と、アーム部27の上端に設けられた操作部28とを有するブロック状の樹脂成形品であり、操作部28の上端に後述のスライドブロック35に係合する係合爪29が一体に形成されている。解除トリガー13は、握り部22の左側面に設けられた開口30から操作部28が突出する常態姿勢(図1参照)と、握り部22の内部に操作部28の殆どが押し込まれて、ロック機構11を解除操作する解除姿勢(図4参照)との間で、水平軸26を揺動中心として、右方向に押し込み操作可能に構成されている。アーム部27の右側面とケース内面との間に、圧縮コイル形のトリガーバネ31を装着することにより、解除トリガー13は常態姿勢に向かって移動付勢される。符号32は、アーム部27の右側面に突設されたトリガーバネ31用のボスを示し、該ボス32にトリガーバネ31は外嵌装着されている。図1に示すように、常態姿勢における解除トリガー13の開口30からの突出限界は、係合爪29が開口30の上端縁に当接することで規制される。
【0029】
伝動機構15は、上方側の支持部21の延出部21b内において、左右方向にスライド移動可能に構成されて、解除トリガー13の動作を受け継ぐスライドブロック35と、上方側の支持部21の基端部21a内において揺動軸36まわりに揺動可能に設けられて、スライドブロック35の動作を受け継いでロック機構11に伝動する連動アーム37とで構成される。スライドブロック35は、左右横長の四角柱状のブロック本体を有する樹脂成形品であり、左端に連動アーム37の延出端を受け入れる連結穴38を有し、右端に解除トリガー13の係合爪29に係合する受動爪39が下方に向かって一体的に張り出し形成されている。ブロック本体には、ボス24との干渉を避けるための逃げ孔40が形成されている。スライドブロック35は、延出部21bの筐体内面およびボス24に姿勢保持されながら、延出部21b内の左端に位置する図1の常態位置と、解除トリガー13の係合爪29に受動爪39が押されて右方向に移動する図4の操作位置との間でスライド移動できる。
【0030】
図5に示すように、連動アーム37は、前後に長い樹脂成形品であり、ハンドルケース23の支持部21の基端部21aに形成されて上下方向の揺動軸36に揺動可能に支持される。連動アーム37の一端部は、スライドブロック35の連結穴38内に挿入されており、他端部は、ハンドル12のベース部20と、可動柱7の前壁7a又は後壁7bとを貫通して、ロック機構11のフック48に接当係合している。図5および図7において、符号41は、可動柱7の前後壁7a・7bに設けられた通孔を示し、該通孔41を介して、連動アーム37は、ハンドルケース23から可動柱7内に至っている。
【0031】
図6に示すように、可動柱7には、その左側壁7cの裏面側からハウジング45が装着されており、このハウジング45にロック機構11が組み付けられている。図8、図9および図6に示すように、ロック機構11は、ハウジング45および可動柱7の左側壁7cにビス58で締結固定される上下一対の支持板46・46と、支持板46・46に設けられる前後一対の縦軸47・47と、両支持板46・46の間で縦軸47まわりに揺動可能に装着される上下一対のフック48と、フック48を付勢するフックバネ49と、両フック48を連結するための連結ピン50とで構成される。
【0032】
各支持板46は、フック48を上下方向から挟持状に支持するベース壁52と、ベース壁52の左端側から垂直方向に折り曲げ形成された取付壁53とを有するステンレス製のプレス成形品で形成される。上下の支持板46・46は、同一部品からなる。各支持板46のベース壁52の右端側には、後述の施錠機構90のストッパー95を受け入れるための出退口55を有する係合壁56が形成されており、各係合壁56の突出端を垂直方向に折り曲げて、規制壁57が形成されている。取付壁53には、ビス58用の通孔59が開設される。なお、前後両端の通孔59に挿通されるビス58により、支持板46がハウジング45のボス60に固定され、前後中央の通孔59に挿通されるビス58により、支持板46およびハウジング45が可動柱7の左側壁7cに固定される。
【0033】
図8に示すように、各支持板46のベース壁52の前後中央部には、連結ピン50用の長孔62が開設されている。また各支持板46のベース壁52には、長孔62を挟むように前後一対の縦軸47用の軸孔63が開設されている。長孔62は、左右方向に長く形成されており、この長孔62に連結ピン50が左右方向に移動自在に装着される。連結ピン50は、長孔62内に挿入される軸本体50aと、抜け止め用のフランジ50bとを備えており、下方側の支持壁46から突出する軸本体50aの下端部にワッシャ64を嵌めたうえで、該下端部をかしめることにより、連結ピン50は両支持板46・46に左右方向に移動自在に組み付けられる。
【0034】
縦軸47は、大径の軸本体47aと、該軸本体47aの上下両端に形成された小径のかしめ部47b・47bとで構成される。図8に示すように、各支持板46における前後の軸孔63は、互いに異なる径寸法に設定されており、各縦軸47は、大径側の軸孔63から挿入されて、小径側の軸孔63から突出する端部をかしめることで固定される。詳しくは、図8に示すように、前方側の縦軸47は、上方の支持板46側から軸孔63内に落とし込まれて、上下の支持板46・46から突出する部分(かしめ部47b・47b)がかしめ固定されている。後方側の縦軸47は、下方の支持板46側から軸孔63内に挿入されて、上下の支持板46・46から突出する部分(かしめ部47b・47b)がかしめ固定されている。これら縦軸47の軸本体47aが支持板46の対向面を受け止めることにより、両支持板46・46を姿勢保持して、両支持板46・46間の対向間隔を確保している(図9参照)。
【0035】
各フック48は、支持板46の取付壁53から突出して支持柱9のストライカ10と係合する掛止アーム70と、前後方向に伸びて連動アーム37の動作を受け継ぐ受動アーム71とを一体に形成したL字状のステンレス製のプレス成形品からなる。掛止アーム70の突出端には、ストライカ10に係合する掛止抓73が形成されている。掛止抓73は、ストライカ10側に向かって前後の幅寸法が小さくなる鉤状、即ち先窄まり状に形成されている。図6に示すように、受動アーム71に接当係合する連動アーム37の先端部の隅部分は丸めてあり、連動アーム37の先端部に対応して、受動アーム71には係合凹部74が形成されている。フック48のL字の屈曲部には、連結ピン50の挿通を許す通孔75が形成されており、受動アーム71には、縦軸47の挿通を許す通孔76が形成されている。
【0036】
両フック48・48を上下に重ねた状態で、上下の支持板46・46の長孔62およびフック48・48の通孔76に連結ピン50を挿通し、下方の支持板46から突出する連結ピン50の下端部をかしめ固定することにより、支持板46・46の間にフック48・48を重畳状態で組み付けることができる。かかる組み付け状態において、両フック48・48は、図7において仮想線で示すように、掛止抓73・73が前後方向に突出して、ストライカ10に係合するロック姿勢と、図7において実線で示すように、両掛止抓73・73が重なり、ストライカ10との係合が解除されるアンロック姿勢との間で、縦軸47まわりに揺動変位できる。
【0037】
フック48・48の揺動変位に応じて、連結ピン50は長孔62に沿ってスライド移動する。つまり、フック48・48がロック姿勢にあるとき、連結ピン50は長孔62内のストライカ10側(左端側)に位置し(図5参照)、フック48・48がアンロック姿勢にあるとき、連結ピン50は長孔62内でストライカ10から離れる他端側(右端側)に位置している(図7参照)。したがって、フックバネ49で連結ピン50をストライカ10側に付勢することにより、各フック48をロック姿勢に揺動付勢することができる。フックバネ49は、連結ピン50に外嵌状に装着されるコイル部49aと、コイル部49aから伸びる二本のバネ腕49b・49bとで構成される。両バネ腕49bの端部はハウジング45の前後壁に設けられた凹部77(図9参照)に受け止められており、バネ腕49b・49bの連結ピン50をストライカ10側に移動させる弾発力によって、フック48・48は常にロック姿勢に向かって揺動付勢されている。
【0038】
支持柱9の可動柱7に対峙する右側壁には、ストライカ10が設けられている。このストライカ10は、右側壁に設けられた縦長の開口80と、右側壁を左右方向から挟むように装着された一対の当板81とで構成される。当板81には、開口80と同寸法の開口が開設されている。
【0039】
可動柱7の左側壁7cには、ロック機構11を挟むように、前後一対の突起83が支持柱9に向かって突設されており、支持柱9の右側壁には、突起83を受け入れる前後一対のガイド凹部84が凹み形成されている。突起83がガイド凹部84内に進入するように、可動柱7を支持柱9にあてがい、可動柱7の前後位置を概ね位置決めし、さらに可動柱7を支持柱9に当接させるように閉方向に操作する。これにて、図6に示すように、フック48がストライカ10の開口80に進入し、各掛止アーム70の掛止爪73がストライカ10の開口周縁に係合することにより、門扉2を支持柱9に係合固定できる。
【0040】
図9乃至図12に示すように、ロック機構11のフック48をロック姿勢に固定するための施錠機構90は、各ハンドルケース23・23に固定される上下一対のシリンダー錠(錠ユニット)91と、各シリンダー錠91で回転可能に支持される前後一対の連動筒(連動体)92と、連動筒92により回転されるカム93を有する操作アーム94と、カム93で上下動される縦長のストッパー95と、ストッパー95を付勢するバネ96とで構成される。
【0041】
シリンダー錠91は、市販の錠であって、錠本体の内部に、外筒、内筒、ウォード、タンブラー等が組み込んである。錠本体のハンドルケースの前後面に露出する外端面には、鍵穴100が開口しており、鍵穴100に差し込んだ鍵101(図12)を回転操作することにより、錠軸102に固定した連動筒92を介して、操作アーム94を時計方向および反時計回りの方向に90度ずつ回転操作することができる。
【0042】
図12に示すように、操作アーム94は、前後方向に伸びる操作軸105と、操作軸105の前後方向の中央部に設けられたカム93と、操作軸105の両端部の外周面に設けられた前後一対の係合片106・106とを有する樹脂成形品であり、操作軸105の両端がハウジング45の前後壁に両持ち状に回転自在に支持されている。連動筒92は、操作軸105の端部の挿入を許す軸受穴110を有する中空筒状の樹脂成形品であり、軸受穴110を区画する筒壁は、四分円状に切り欠いた操作溝111を有する部分円弧壁とされており、操作溝111の前後方向に走る一対の切り欠き面が、係合片106を回転操作する操作面112・112とされている。このように、本実施形態では、連動筒92の筒壁を四分円状に切り欠いて操作溝111を形成して、当該操作溝111をシリンダー錠91の施錠操作勢から解錠操作姿勢への姿勢変位を吸収するための逃げ切欠としている。つまり、シリンダー錠91の鍵穴100に差し込んだ鍵101を横臥姿勢としたのちに、これを縦姿勢に復帰操作した場合でも、操作面112は係合片106に当接せず、したがって、当該復帰操作によっては操作アーム94は回転操作されず、ストッパー95の姿勢状態は維持されるようになっている。
【0043】
図9に示すように、両係合片106・106は、互いに異なる方向に指向して、操作軸105の外周面から突出形成されている。本実施形態では、一方の係合片106は、他方の係合片106に対して90度異なる方向に指向する状態で形成されている。操作軸105の回転を受けて、カム93は、図10に示す横臥姿勢と、図11に示す縦姿勢との間で姿勢変位する。
【0044】
ストッパー95は、樹脂成形品であり、上下方向に伸びるストッパー本体114と、ストッパー本体114の下端に形成されて、操作アーム94のカム93に当接する受動片115と、ストッパー本体114の左側面から突設されたバネ受116を有する。カム93の横臥姿勢から縦姿勢への姿勢変位に伴なって、ストッパー95は、フック48の回転軌跡から退避する解錠姿勢(図10)と、ストッパー本体114の上端が、ロック機構11の支持板46に開設された出退口55に進入して、フック48の回転軌跡に至り、その揺動回転を阻止する施錠姿勢(図11)との間で、上下方向に変位できる。ストッパー本体114の上端には、薄肉のガイド片117が設けられており、常にガイド片117が出退口55内に位置することで、ストッパー95が前後方向に不用意に位置ズレすることを防いで、出退口55の周縁にストッパー本体114の上端が接当干渉することを防いでいる。
【0045】
バネ受116の上面に突設されたボス118と、ハウジング45側のバネ受に突設されたボス119との間には、捻りコイル形のバネ96が介装されており、このバネ96により、ストッパー95の全体は、下方の解錠姿勢に向かって移動付勢されている。
【0046】
図9において、符号120は、カム93を回動付勢するキックバネを示す、このキックバネ120は、コイル部121の両端から延出されるばね腕の突端のそれぞれに、リング状の掛止部122・122を形成した捻りコイルバネからなり、一方の掛止部122をカム93の側面に形成された掛止ピン123に掛止装着し、他方の掛止部122をカム93を囲むようにハウジング45に装着される係合ピース124の側面に形成された掛止ピン125に掛止する。
【0047】
このように、操作アーム94に設けられたカム93にキックバネ120を作用させると、カム93の姿勢を切り替えるとき、掛止ピン123の中心が掛止ピン125と操作軸105の中心どうしを結ぶ線を横切りながら、図10および図11に示すように、キックバネ120の姿勢が大きく変化する。その結果、キックバネ120による回動モーメントがカム93に対して逆向きに作用するので、横臥姿勢あるいは縦姿勢に切り替えられた操作アーム94を、各姿勢に位置保持できる。
【0048】
この係止装置は、ロック機構11とハンドル12のそれぞれを、独立別個に可動柱7に装着固定するだけで組み立てることができる。より詳しくは、ロック機構11と解錠機構90とが予め組み付けられてユニット部品化されたハウジング45と、ハンドルケース23内に、解除トリガー13、スライドブロック35、連動アーム37などを予め組み込んでユニット部品化されたハンドル12のそれぞれを、可動柱7に独立別個に装着固定することで組み立てることができる。ハンドル12の装着固定により、連動アーム37の先端がロック機構11のフック48の係合凹部74に係合し、これにて解除トリガー13からロック機構11に至る確動機構を確立できる。
【0049】
このように、本実施形態に係る係止装置によれば、連動アーム37とフック48とをビスや圧入などにより連結固定する形態では不可避となる、連動アーム37とフック48との煩わしい位置合わせ作業、或いは両者37・48を連結するためのビス止め作業や圧入作業などは一切不要であり、連動アーム37を可動柱7の前後壁7a・7bの通孔41に挿入して、ハンドル12を固定するだけで、連動アーム37とフック48とを係合させることができる。したがって、連動アーム37やフック48などの姿勢状態を意識すること無く、作業効率良く組立作業を進めることができるので、施工性が格段に向上する。
【0050】
ロック機構11等が予め組み付けられてユニット部品化されたハウジング45と、ハンドルケース23内に解除トリガー13、スライドブロック35等が予め組み込まれてユニット部品化されたハンドル12とで係止装置を構成したから、一方のユニット部品(ハウジング45又はハンドル12)が破損等した場合でも、当該破損等に係るユニット部品のみを交換すれば動作不良を解消することができ、係止装置の全体を交換する形態に比べて部品交換作業を迅速且つ容易に進めることができる。
また前後の各ハンドル12・12に独立した機構を付与したので、前後一方のハンドル12が破損等した場合でも、他方のハンドル12によるロック機構11の操作が可能であり、係止装置が完全な動作不良に陥ることを効果的に防ぐことができる。したがって、信頼性に優れた係止装置および門扉を得ることができる。
【0051】
次に、門扉の係合装置の動作について説明する。図1、図2および図5に示すように、門扉が支持柱と可動柱との係合固定状態が解かれた開放状態にあるとき、ロック機構11のフック48はロック姿勢にあり、図10に示すように、施錠機構のストッパー95は解錠姿勢にある。また、解除トリガー13は、常態姿勢にある。
【0052】
この状態からハンドル12を掴んで可動柱7を支持柱9に近付く閉方向(左方向)に操作すると、斜桟4の傾斜姿勢を変更して、扉体5の全体をパンタグラフ式に伸長させることができる。可動柱7が支持柱9の対向位置に至ると、突起83がガイド凹部84内に進入し得るように、可動柱7の前後位置を概ね位置決めし、さらに可動柱7が支持柱9に当接するように、門扉2を閉方向に操作する。これにて、図7に仮想線で示すように、フック48がストライカ10の開口80に差し込み装填され、各掛止アーム70の掛止爪73がストライカ10の開口周縁に係合して、門扉2の支持柱9に対する係合固定状態を確立できる。かかる掛止爪73のストライカ10への差し込み装填に際しては、図6に示すように、掛止爪73の突出端をガイドとして、フック48をストライカ10に差し込むことができる。つまり、掛止爪73の突出端を先窄まり状に形成したので、門扉2の閉操作に伴なって突出端がストライカ10の開口縁に押されて、掛止アーム70をロック姿勢からアンロック姿勢に容易に姿勢変位させことができる。
【0053】
かかる係合固定状態から、施錠機構90を作動させてフック48をロック姿勢に固定して施錠する。具体的には、シリンダー錠91の鍵穴100に鍵101を差し込み、これを90度回転させることにより、連動筒92を介して操作アーム94を回転させて、カム93を横臥姿勢から縦姿勢に姿勢変位させる。これにより、ストッパー95を図11に示すような施錠姿勢として、フック48をロック姿勢に固定できる。より詳しくは、鍵穴100に差し込まれた鍵101が縦姿勢から横臥姿勢となるように、これを90度回転させると、連動筒92の操作溝111の一方の操作面112に係合片106が押されて、操作アーム94が回転し、これにてカム93を横臥姿勢から縦姿勢に姿勢変位することができる。このとき、掛止ピン123の中心が、掛止ピン125と操作軸105の中心どうしを結ぶ直線上のデッドポイントを超えると、キックバネ120の弾性力によりカム93は縦姿勢側へ回転変位される。
【0054】
鍵101を抜くためには、鍵101を横臥姿勢から縦姿勢に姿勢変位させる必要があり、かかる姿勢変位に伴なって、連動筒92も回転操作される。しかし、上述のように、操作溝111をシリンダー錠91の施錠操作姿勢から解除操作姿勢への姿勢変位を吸収し得る逃げ切欠としたため、このときの連動筒92の回転操作では操作面112は係合片106に当接せず、カム93を含む操作アーム94の全体は回転変位しない。したがって、ストッパー95は、施錠姿勢に維持される。
【0055】
門扉2の開操作に際しては、先とは逆の手順で解錠操作を行なう。すなわち、鍵101を鍵穴100に差し込んで、縦姿勢から横姿勢に回転操作する。これにより、連動筒92を介して、操作アーム94のカム93が縦姿勢から横姿勢にキックバネ120の弾性力を受けながら回動変位し、ストッパー95が施錠姿勢から解錠姿勢に姿勢変位する。因みに、施錠操作および解錠操作における、前後のシリンダー錠91の回転操作方向は異なる。本実施形態では、前側のシリンダー錠91では、反時計方向に鍵101を回転操作することで施錠することができ、時計方向に鍵101を回転操作することで解錠することができる。一方、後側のシリンダー錠91では、時計方向に鍵101を回転操作することで施錠することができ、反時計方向に鍵101を回転操作することで解錠することができる。
【0056】
解錠操作後に、門扉2の開操作を行なう。かかる開操作に際しては、ハンドル12の握り部22を手指で握り、同時に解除トリガー13を押し込み操作して、解除トリガー13を常態姿勢から解除姿勢に姿勢変位させる。かかる解除トリガー13の押し込み操作により、係合爪29によりスライドブロック35が常態位置から操作位置にスライド変位され、連動アーム37が揺動軸36まわりに揺動変位される。これにて、両フック48がロック姿勢からアンロック姿勢に姿勢変位されて、門扉2の支持柱9に対する係合固定状態が解除され、その後の門扉2の開操作が可能となる。尤も、解除トリガー13の押し込み操作方向(D1)と、門扉2の開操作方向(D2)とは一致している(図4参照)。したがって、門扉2の開操作を行なうことを目的として、手指で握り部22を握ると、同時に解除トリガー13を押し込み操作して、ロック機構11を解除操作することができる。さらに言うと、解除トリガー13に手指を添えて、門扉2を開方向に移動操作するだけで、同時に解除トリガー13の押し込み操作して、ロック機構11を解除操作することも可能である。したがって、本実施形態に係る門扉の係止装置によれば、解除トリガー13の押し込み操作を意識することなく門扉2の開操作を容易且つ迅速に行なうことができ、全体として、この種の門扉の操作性が格段に向上する。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る門扉の係止装置によれば、ハンドル12に設けられた解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向(D1)を門扉2の開操作方向(D2)と一致させたので、門扉2の開操作とロック機構11の解除操作とを、同時にワンタッチに行なうことができ、係合固定状態からの門扉2の開操作を迅速かつ少ない手間で行なうことができる。また、解除トリガー13の操作方向と門扉2の開操作方向とが一致しているため、解除トリガー13の操作を誤るおそれがなく、確実に門扉2を係合固定状態から開操作することができる。
【0058】
上記実施形態では、前後の両ハンドル12に錠ユニット91を設けたが、本発明はこれに限られず、一方のハンドル12のみに錠ユニット91を設けてもよい。さらに、錠ユニット91を含む施錠機構90を一切具備せず、ロック機構11により、ストライカ10に対して仮ロックのみできるようにしてもよい。門扉2の形態は、パンタグラフ式に限られない。解除トリガー13は、水平軸26に揺動自在な構成に限られず、ハンドル12に対してスライド可能に構成しても良く、要は解除トリガー13の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向(D1)と門扉2の開操作方向(D2)とが一致していればよい。
【0059】
本発明に係る係止装置は、図13に示すような左右一対の扉体5・5を有する門扉2に適用することができる。この場合には、一方の扉体5の可動柱7にロック機構11を設け、他方の扉体5の可動柱7にストライカ10を設ければよい。本発明に係る係止装置は、引戸等への適用も可能である。
【符号の説明】
【0060】
2 門扉
7 可動柱
9 支持柱
10 ストライカ
11 ロック機構
12 ハンドル
20 ベース部
21 支持部
21a 支持部の基端部
21b 支持部の延出部
22 握り部
13 解除トリガー
23 ハンドルケース
35 スライドブロック
36 揺動軸
37 連動アーム
47 縦軸
48 フック
49 フックバネ
50 連結ピン
55 出退口
62 長孔
70 掛止アーム
71 受動アーム
90 施錠機構
91 錠ユニット(シリンダー錠)
92 連動体(連動筒)
95 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持柱(9)に対峙する伸縮型の門扉(2)の閉じ端側に、支持柱(9)のストライカ(10)に係脱するロック機構(11)と、門扉(2)を開閉操作するためのハンドル(12)とが設けられており、ストライカ(10)にロック機構(11)が係合することで、門扉(2)を支持柱(9)に係合固定することができる門扉の係止装置において、
ハンドル(12)には、ロック機構(11)を解除操作する解除トリガー(13)が設けられており、
解除トリガー(13)は、ハンドルケース(23)の外面から突出する常態姿勢と、常態姿勢からハンドルケース(23)の内部に押し込まれてロック機構(11)を解除操作する解除姿勢との間で押し込み操作可能に構成されており、
解除トリガー(13)の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作方向が、門扉(2)の開操作方向と一致していることを特徴とする門扉の係止装置。
【請求項2】
ロック機構(11)が、ストライカ(10)に係合するロック姿勢と、ストライカ(10)との係合を解除するアンロック姿勢との間で縦軸(47)まわりに揺動変位できるフック(48)を含んでおり、
フック(48)の突出端が、ストライカ(10)側に向かって前後の幅寸法が小さくなる先窄まり状に形成されている請求項1記載の門扉の係止装置。
【請求項3】
門扉(2)の開閉始端に設けた可動柱(7)の前後面のそれぞれに、ハンドル(12)が装着されており、
各ハンドル(12)を構成するハンドルケース(23)は、門扉(2)の側面に固定されるベース部(20)と、ベース部(20)の上下端から前後方向に延出される上下一対のL字型の支持部(21)と、支持部(21)の延出端部側において支持部間に架設される握り部(22)とからなり、上下方向の握り部(22)に解除トリガー(13)が設けられており、
解除トリガー(13)とロック機構(11)との間に設けられる伝動機構(15)が、支持部(21)の左右方向に走る延出部(21b)内においてスライド移動可能に構成されて、解除トリガー(13)の動作を受け継ぐスライドブロック(35)と、支持部(21)の前後方向に走る基端部(21a)内において揺動軸(36)まわりに揺動可能に設けられて、スライドブロック(35)の動作を受け継ぐ連動アーム(37)とを含んで構成されており、
ロック機構(11)は、門扉(2)内に固定される支持板(46)と、支持板(46)に設けられた縦軸(47)まわりに揺動可能に装着される上下一対のフック(48・48)と、両フック(48・48)をロック姿勢に移動付勢するフックバネ(49)とを有し、
各フック(48)は、左右方向に伸びてストライカ(10)と係合する掛止アーム(70)と、前後方向に伸びて連動アーム(37)の動作を受け継ぐ受動アーム(71)とからなり、
解除トリガー(13)の常態姿勢から解除姿勢への押し込み操作に連動して、スライドブロック(35)および連動アーム(37)を介して受動アーム(71)が左右方向に押されて、掛止アーム(70)がロック姿勢からアンロック姿勢に姿勢変位するように構成されている請求項2記載の門扉の係止装置。
【請求項4】
両フック(48・48)が、上下に重なる状態で連結ピン(50)にて連結されており、
支持板(46)には、左右方向に長い長孔(62)が設けられており、長孔(62)に連結ピン(50)が左右方向に移動自在に装着されており、
連結ピン(50)が長孔(62)の一端側に位置するとき、フック(48)の掛止アーム(70)がロック姿勢にあり、連結ピン(50)が長孔(62)の他端側に位置するとき、掛止アーム(70)がアンロック姿勢になるように構成されており、
連結ピン(50)が、フックバネ(49)で長孔(62)の一端側へ向かってロック付勢してある請求項3記載の門扉の係止装置。
【請求項5】
ロック機構(11)のフック(48)をロック姿勢に固定するための施錠機構(90)を備えており、
施錠機構(90)が、ハンドルケース(23)に固定される錠ユニット(91)と、錠ユニット(91)で回転可能に支持される連動体(92)と、門扉(2)内に上下揺動自在に支持されたストッパー(95)とを含んで構成されており、
ストッパー(95)が、連動体(92)の回転動作を受けて、フック(48)の回転軌跡に至り、該フック(48)の揺動回転を阻止する施錠姿勢と、フック(48)の回転軌跡から退避する解錠姿勢とに変位できるように構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の門扉の係止装置。
【請求項6】
前後の各ハンドルケース(23・23)に錠ユニット(91)が固定されており、
施錠機構(90)は、操作アーム(94)を含み、この操作アーム(94)は、前後方向に伸びて連動体(92)で回転操作される操作軸(105)と、ストッパー(95)を姿勢変位するためのカム(93)と、操作軸(105)の両端部に設けられて、連動体(92)に係合する係合片(106・106)とを含み、
操作軸(105)の回転操作を受けて、カム(93)が横臥姿勢から縦姿勢に姿勢変位することで、ストッパー(95)が、解錠姿勢から施錠姿勢に姿勢変位するようになっており、
連動体(92)は、操作軸(105)の端部の挿入を許す軸受穴(110)を有しており、軸受穴(110)を区画する筒壁は、係合片(106)を操作するための操作溝(111)を有する部分円弧壁とされており、
操作溝(111)が、錠ユニット(91)の施錠操作姿勢から解錠操作姿勢への姿勢変位を吸収し得る逃げ切欠とされている請求項5記載の門扉の係止装置。
【請求項7】
支持板(46)に、ストッパー(95)の挿入を許す出退口(55)が開設されており、
施錠姿勢において、ストッパー(95)の上部が出退口(55)の周縁に支持されるようになっている請求項5又は6記載の門扉の係止装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれかに記載の係止装置を備えることを特徴とする門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−209531(P2010−209531A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54278(P2009−54278)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000220929)東工シャッター株式会社 (26)
【出願人】(390021153)株式会社SKB (49)
【Fターム(参考)】