開口装着体用取付け具
【課題】取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することができるようにする。
【解決手段】取付け部1に形成された取付け穴2を通して取付け部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1b側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部1の裏面1b側に配置可能な形状に構成された取付け具本体3に、前記取付け穴2の表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体4が設けられている。
【解決手段】取付け部1に形成された取付け穴2を通して取付け部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1b側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部1の裏面1b側に配置可能な形状に構成された取付け具本体3に、前記取付け穴2の表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体4が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の壁面、床面、天井面或いは建具や家具の取付け面に形成された取付け穴に、電気スイッチ、電気コンセント、通信コンセント、漏電ブレーカー、警報用音響装置、暖房用パネルスイッチ、ガス管の接続金具、給湯管の接続金具等の機器の一つ又は複数個を取付ける場合に用いられる開口装着体用取付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
開口装着体用取付け具の一例である配線器具取付け具として、従来、取付け部に形成された矩形状の取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能な矩形枠状の取付け具本体の外周側部位のうち、長辺方向の両側部に位置する部位には、前記取付け穴の裏面側周縁に当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置するための当り部を形成するとともに、前記取付け具本体の両長辺側枠部の中間部位には、前記取付け穴を通して取付け部の表面よりも前方側に突出する表裏方向に弾性変形可能な長い橋状の立ち上がり脚を、取付け具本体の短辺方向幅と同一幅で平行に形成し、各立ち上がり脚の先端部には、取付け部の表面の一部に前方側から当接可能な係止片を横外方に突出する状態で形成したものが提案されている。(例えば、下記特許文献1参照)
【0003】
尚、前記取付け具本体の両短辺側枠部の中間部位には、開口装着体の構成部材の一例で、電気スイッチを備え、且つ、前記取付け部の表面の一部に前方側から当て付け可能な金属製のフレーム枠をビスで固定するためのネジ穴が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−037254公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配線器具取付け具では、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体から取付け穴を通して前方側に突出する両立ち上がり脚の先端部に設けた係止片を、取付け部の表面の一部に前方側から当接させることにより、前記取付け具本体が裏面側に脱落することを防止することができる。
【0006】
反面、前記両立ち上がり脚の先端部に設けられた両係止片は、取付け部の表面の一部に前方側から当て付けられる又は近接配置されるだけであるため、前記取付け具本体自体は取付け部の裏面に沿って移動自在であり、その結果、前記取付け具本体の両短辺枠部の中間部位に形成したネジ穴に電気スイッチを備えたフレーム枠をビス止めするまでの間において、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に片手で位置保持し続ける必要があり、煩雑で面倒な取付け作業になっていた。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することのできる開口装着体用取付け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開口装着体用取付け具による第1の特徴構成は、取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の当接体を弾性変形させた状態で取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させることにより、取付け具本体の裏面側への移動に対して抜止め抵抗を付与することができるとともに、前記取付け具本体を、前記当接体が取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接した位置に弾性復元力で保持することができる。
【0010】
しかも、前記取付け部に形成される取付け孔の寸法にバラツキがある場合でも、その寸法誤差が当接体の弾性変形範囲内であれば、前記取付け具本体を取付け孔の設定取付け位置に保持することができる。
【0011】
したがって、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することができるから、前記取付け具本体に開口装着体又はこれの構成部材を取付けるまでの間において、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体を片手で取付け穴の設定取付け位置に位置保持し続ける必要がなく、前記取付け具本体に対する機器の表面側からの取付け作業の簡便化、能率化を図ることができる。
【0012】
本発明の開口装着体用取付け具による第2の特徴構成は、前記当接体には、前記取付け穴の表面側開口縁との係止によって取付け具本体を前方側に移動付勢する傾斜当接部が形成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記当接体に形成した傾斜当接部を取付け穴の表面側開口縁に係止させることにより、取付け具本体に対して前方側への移動付勢力を付与することができるから、この取付け具本体を取付け部の裏面に確実に当て付けることができ、前記取付け具本体に対する開口装着体又はこれの構成部材の表面側からの取付け作業の簡便化、能率化を促進することができる。
【0014】
本発明の開口装着体用取付け具による第3の特徴構成は、前記当接体の傾斜当接部には、前記取付け穴の表面側開口縁と係合して前記傾斜当接部の傾斜方向での相対移動を阻止する係合部が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記取付け具本体の当接体の傾斜当接部に設けた係合部を取付け穴の表面側開口縁に係合させることにより、取付け穴の表面側開口縁に対して傾斜当接部の傾斜方向での当接体の移動を阻止することができるから、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体に対して開口装着体又はこれの構成部材を表面側から取付ける際、取付け具本体の裏面側へのずれ移動を抑制して取付け作業の簡便化、能率化を促進することができる。
【0016】
本発明の開口装着体用取付け具による第4の特徴構成は、前記当接体には、当該当接体の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴の内周面に係止可能な先鋭形状の係止部が設けられている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の当接体を弾性変形させた状態で取付け穴の内周面に係合させたとき、この当接体に設けた先鋭形状の係止部が弾性復元力で取付け穴の内周面に強く係止するから、取付け具本体の裏面側への脱落抑制機能と設定取付け位置での位置保持機能の向上とを図ることができる。
【0018】
本発明の開口装着体用取付け具による第5の特徴構成は、前記当接体には、当該当接体の弾性復元力に抗して前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁との当接を解除する操作部が設けられている点にある。
【0019】
上記構成によれば、前記当接体に設けた操作部により、記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接している当接体を容易に当接係止解除操作することができる。
【0020】
本発明の開口装着体用取付け具による第6の特徴構成は、前記当接体における前記操作部よりも根元側部位には切り離し用の脆弱部が形成されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体に対して開口装着体又はこれの構成部材を表面側から取付けた際、他の取付けに邪魔になる操作部付きの当接体を設定切り離し位置に形成された脆弱部において容易に切断分離することができる。
【0022】
本発明の開口装着体用取付け具による第7の特徴構成は、取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、当該取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体を設けてある点にある。
【0023】
上記構成によれば、前記取付け具本体に設けられた当接体は、非操作状態(自然状態)では、取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態にあるから、保管時や輸送時等において開口装着体用取付け具をコンパクトな形態で便利に取り扱うことができる。
【0024】
そして、前記開口装着体用取付け具を取付け部に形成された取付け穴に装着するときには、前記取付け具本体に設けられた当接体を展開状態から屈曲係合状態に弾性変形操作して、この当接体を取付け穴を通して前方側に突出する姿勢で取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させることにより、取付け具本体の裏面側への移動に対して抜止め抵抗を付与することができるとともに、前記取付け具本体を、前記当接体が取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接した位置に弾性復元力で保持することができる。
【0025】
したがって、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することができ、しかも、保管時や輸送時等において開口装着体用取付け具をスペース面で有利に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の開口装着体用取付け具の第1実施形態を示す取付け具の斜視図
【図2】取付け具の正面図
【図3】取付け具の側面図
【図4】取付け具の背面図
【図5】取付け具の底面図
【図6】図2のVI-VI線断面図
【図7】取付け具及び配線器具の分解斜視図
【図8】取付け具を壁部の裏面側に配置したときの縦断面図
【図9】取付け具を壁部の裏面側に配置したときの横断面図
【図10】取付け具及び配線器具を壁部に固定したときの縦断面図
【図11】本発明の開口装着体用取付け具の第2実施形態を示す取付け具の正面図
【図12】取付け具の底面図
【図13】本発明の開口装着体用取付け具の第3実施形態を示す取付け時の横断面図
【図14】本発明の開口装着体用取付け具の第4実施形態を示す取付け時の横断面図
【図15】本発明の開口装着体用取付け具の第5実施形態を示す取付け時の横断面図
【図16】本発明の開口装着体用取付け具の第6実施形態を示す取付け時の横断面図
【図17】本発明の開口装着体用取付け具の第7実施形態を示す取付け具の正面図
【図18】取付け具の底面図
【図19】図17におけるXIX- XIX線断面図
【図20】屈曲係合状態に変更操作したときの横断面図(a)と屈曲係合状態で取付けたときの横断面図(b)
【図21】本発明の開口装着体用取付け具の第8実施形態を示す取付け具の展開状態の底面図(a)と屈曲係合状態で取付けたときの横断面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図10は、石膏ボードや耐火ボード等を用いた壁部(取付け部の一例)1に、開口装着体の一例である配線器具Aを埋め込み方式で取付ける合成樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂)の取付け具(開口装着体用取付け具の一例)を示す。
【0028】
前記配線器具用取付け具は、壁部1に貫通形成された上下方向を長辺とする矩形状の取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる横幅寸法(短辺方向寸法)W2に形成して、取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能に構成してある矩形枠状の取付け具本体3を主要構成として備えている。
【0029】
この取付け具本体3の縦幅寸法(長辺方向寸法)H2を取付け穴2の縦内寸法H1よりも大なる寸法に構成して、当該取付け具本体3の外周側部位のうち、両長辺側枠部3Aの長手方向両端部に連続形成される両短辺側枠部3Bの外周側部位に、前記壁部1の裏面1bにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に面状に当て付けた状態で壁部1の裏面1b側に取付け具本体3を配置するための平面状の当り部3aを形成するとともに、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3が壁部1の裏面1b側に配置されている状態で取付け穴2を通して壁部1の表面1aよりも前方側に突出して、壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な合成樹脂製の当接体4が一体成形されている。
【0030】
前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aには、前記両短辺側枠部3Bの当り部3aが壁部1の裏面1bに当接している状態で前記取付け穴2内に入り込むことにより、当該取付け穴2の内周面2aにおける長辺側内面との当接によって横幅方向(短辺方向)での装着位置を規制する位置規制部3bが一体形成されている。
この位置規制部3bは、両長辺側枠部3Aの長手方向中間部位を当り部3aよりも前方側に突出する状態で開拡コの字状に屈曲形成することにより構成されている。
【0031】
前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの左右方向中央位置には、前記配線器具Aの構成部材の一つで、付設機器の一例である電気コンセント20を備え、且つ、壁部1の表面1aにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に前方側から当て付け可能な金属製のフレーム枠21を第1ビス22で締付け固定するためのネジ穴5を備えたボス部6が一体形成されている。
【0032】
前記両ボス部6のネジ穴5の中心間隔は、取付け具本体3の両長辺側枠部3Aと両短辺側枠部3Bとで区画形成される矩形状の開口7の縦内寸法(長辺方向寸法)と同一で、且つ、前記取付け穴2の縦内寸法H1よりも小なる寸法に構成されている。
【0033】
前記取付け具本体3の下方側に位置する短辺側枠部3Bの横幅方向二箇所には、前記取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に当接して取付け具本体3を設定下端取付け位置(長辺方向での設定取付け位置)に保持する位置規制突起8が前方側に突出する状態で一体成形されているとともに、前記各位置規制突起8の先端部には、取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に対して上方から喰い込み可能な位置ずれ防止用の先鋭な喰込み突起8aが形成されている。
【0034】
前記取付け具本体3の上方側に位置する短辺側枠部3Bの背面側の横幅方向二箇所には、壁部1の裏面1b側に配設される蛇腹管を固定するためのコの字状の掛止部9が一体形成されているとともに、前記上方側の短辺側枠部3Bの両外側面3cが、前記取付け穴2への挿入操作を容易に行うために上方ほど幅狭となるテーパー面に形成されている。
【0035】
さらに、前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの前面側には、前記ボス6の外周面に接する位置において長辺方向に沿ってカッター等で切断分離するための二条の分離案内溝10が形成されている。
この分離案内溝10を形成したことにより、前記取付け穴2の裏面側の左右一側方に木等の障害物が存在して、取付け具本体3をそのまま装着することができない場合において、その障害物に対応する左右一側方の片半分を分離案内溝10に沿って切断分離し、ボス6が残っている他方の片半分の分割取付け体を取付け穴2に装着することができる。
【0036】
次に、前記両当接体4について詳述すると、両当接体4の各々は、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の設定最小厚みよりも若干小なる寸法で前後方向に直線状に延びる基端部4Aと、該基端部4Aの先端から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Bと、該傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Cとから構成されているとともに、前記両段差部4Cの先端には、当接体4の弾性復元力に抗して前記傾斜当接部4Bと取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11が一体形成されている。
【0037】
前記両当接体4の傾斜当接部4Bは、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに当接可能な長さに形成されているとともに、前記取付け穴2の表面側開口縁1cに対応する両傾斜当接部4Bの外側接当面の最小外面間寸法W3が取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる寸法に構成されている。
【0038】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させた係止状態では、壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3に前方側への移動分力が発生し、この前方側への移動付勢力によって取付け具本体3の裏面側への抜け出し移動を抑制することができるとともに、取付け具本体3の当り部3aを壁部1の裏面1bに確実に当て付けることができ、前記取付け具本体3に対する配線器具Aのフレーム枠21のビス止め作業の容易化を図ることができる。
【0039】
前記両当接体4の段差部4Cは、前記取付け具本体3が裏面側に押し込み移動されたとき、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに係合してそれ以上の裏面側への移動を阻止する脱落阻止部として機能する。
【0040】
前記両当接体4の傾斜当接部4Bにおける取付け穴2の表面側開口縁1cに対応する外側当接面には、両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させたとき、前記表面側開口縁1cと係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12が設けられている。
【0041】
前記係合部12は、傾斜当接部4Bの長手方向に所定間隔を置いた複数箇所に形成された先鋭な係合突起12aから構成されていて、前記当接体4の弾性復元力で表面側開口縁1cに喰込み状態で係合するように構成されている。
【0042】
そして、前記傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aを取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合させた状態では、取付け穴2の表面側開口縁1cに対して傾斜当接部4Bの傾斜方向での移動を阻止することができる、換言すれば、壁部1に対する取付け具本体3の前後方向での移動を阻止することができるから、壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3に対して配線器具Aのフレーム枠21をビス止めする際、取付け具本体3の裏面1b側へのずれ移動を抑制して取付け作業の簡便化、能率化を図ることができる。
【0043】
前記配線器具Aは、これに付設される機器の一例である電気コンセント20に対する取付け孔21aを備え、かつ、壁部1の表面1aに当接位置する状態で裏面1b側に配置された取付け具本体3のネジ穴5に第1ビス22で締付け固定される金属製のフレーム枠21と、このフレーム枠21の前面の周囲を覆う状態で当該フレーム枠21に第2ビス23で締付け固定される合成樹脂製の化粧枠24と、化粧枠24に対して脱着自在に嵌合装着され、かつ、その嵌合装着時に電気コンセント20の前部が前方に臨む開口25aを形成してある合成樹脂製の化粧カバー25との組合せから構成されている。
【0044】
前記フレーム枠21の横幅寸法は、取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる寸法に構成され、このフレーム枠21を壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3のネジ穴5に第1ビス22で締付け固定されたとき、フレーム枠21の横幅方向両外側縁と取付け穴2の内周面2aにおける横側内面との間には、前記両当接体4を配置可能な空隙が確保されている。
【0045】
次に、上述の如く構成された配線器具用取付け具を壁部1の取付け穴2に装着する場合の操作手順を説明する。
先ず、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位に形成された一対の当接体4の操作部11を手指で挾持して、両当接体4の傾斜当接部4Bが取付け穴2を通過可能な状態にまで両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させる。
【0046】
この両当接体4の操作部11を介して挾持保持されている取付け具本体3を傾け、両外側面3cがテーパー面に形成されている上方側の短辺側枠部3B側から取付け穴2を挿通させ、取付け具本体3全体が取付け穴2を通過した時点で当該取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの当り部3aを壁部1の裏面1bに当接させ、この当接状態で取付け具本体3を下方に移動操作し、下方側に位置する短辺側枠部3Bに形成されている両位置規制突起8の喰込み突起8aを取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に喰い込み係止させたのち、両当接体4の操作部11から手を放して挾持を解除する。
【0047】
この挾持解除操作により、両当接体4がそれの弾性復元力で横幅方向外方側に復帰変形し、その復帰途中で前記両当接体4の傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aが取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合する。
【0048】
それ故に、一対の当接体4の操作部11を挾持保持した状態で、取付け具本体3を斜めにして取付け穴2に挿入し、取付け具本体3の両当り部3aを壁部1の裏面1bに当接させた状態で下方に移動させ、両位置規制突起8の喰込み突起8aが取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に喰い込み係止した時点で両当接体4の操作部11から手を放すといった一連の操作で、配線器具用取付け具を壁部1の取付け穴2に迅速・確実・容易に装着することができる。
【0049】
しかも、前記両当接体4の操作部11から手を放した挾持解除状態では、前記両傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aが取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合しているため、この係合状態で壁部1の裏面1b側に配置されている取付け具本体3に表面側から力を加えても、壁部1に対する取付け具本体3の背面側への移動を強力に阻止することができるから、取付け具本体3に対して配線器具Aのフレーム枠21をビス止めする際、取付け穴2の中に手を差し入れて取付け具本体3を支える必要がなく、配線器具Aのフレーム枠21を能率良く簡単に取付けることができる。
【0050】
前記両当接体4は、前記フレーム枠21の取付けには邪魔にならないが、前記化粧枠24及び化粧カバー25の取付けには邪魔になるため、前記化粧枠24の取付け工程前において、前記両当接体4のうち、取付け穴2から壁部1の表面1aよりも前方に突出する突出部分を工具で切断除去する。
【0051】
この場合、前記両当接体4の残置部分が取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で圧接された状態にあり、且つ、前記傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aの一部が取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係合しているため、前記配線器具Aを点検・補修等のために一時的に解体する、又は、新たな配線器具Aに取り替える必要が生じた場合でも、取付け具本体3の裏面1b側への抜け落ちを抑制することができる。
それ故に、点検・補修等に配線器具Aを組付ける又は新たな配線器具Aに取り替える場合、前記取付け具本体3に対して壁部1の表面1a側から取付け作業を行うことができるとともに、取付け穴2の中に手を差し入れて取付け具本体3を支える必要がないので、作業性を高めることができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
図11、図12は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4における前記操作部11よりも根元側部位、換言すれば、前記傾斜当接部4Bの基端部4A側に偏倚した根元側部位の両側面には、切り離し用の脆弱部を構成するV字状の切込み溝14が形成されて
いる。
【0053】
そのため、前記配線器具Aのフレーム枠21を壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3にビス止めしたのち、取付け穴2から壁部1の表面1aよりも前方に突出する操作部11を捻じり操作すると、前記当接体4が切込み溝14の形成箇所で捻じ切られる。
【0054】
当該第2実施形態では、捻じ切られた両当接体4の残置部分が、取付け具本体3の両長辺側枠部3Aと略同じ横幅になるから、この両当接体4の残置部分による裏面1b側への抜け落ちを阻止する機能は喪失している。
【0055】
尚、前記切込み溝等の脆弱部14の形成位置を、壁部1の表面1aよりも前方に突出しない範囲で傾斜当接部4Bの中間位置に設定すれば、両当接体4の残置部分が取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で圧接された状態にあり、前記配線器具Aを一時的に解体する必要が乗じた場合でも、取付け具本体3の裏面1b側への抜け落ちを抑制することができる。
【0056】
また、この第2実施形態では、前記両当接体4の傾斜当接部4Bには、前記表面側開口縁1cと係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12は設けられていない。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0057】
〔第3実施形態〕
図13は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4の傾斜当接部4Bを、V字が連続する波形形状に形成することにより、両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させたとき、傾斜当接部4Bを構成する波形形状の一つのV字状凹部12bが前記表面側開口縁1cと選択的に係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12が構成されている。
【0058】
尚、前記V字状凹部12bが連続形成される波形形状以外に、U字状凹部や半円弧状凹部等が連続する他の波形形状に形成してもよい。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0059】
〔第4実施形態〕
図14は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4の基端部4Aが、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに対面する長さに形成されているとともに、前記両基端部4Aにおける取付け穴2の内周面2aに常時対面する部位には、前記取付け穴2の内周面2aに係止可能な先鋭形状の係止部15が一体形成され、さらに、無負荷状態での両係止部15の先端部間隔が、取付け穴2の横内寸法W1よりも大なる寸法に構成されている。
【0060】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の基端部4Aに形成されている両係止部15を取付け穴2の内周面2aに当接させた状態では、両係止部15が当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係止するように構成されている。
【0061】
また、この第4実施形態においては、前記両当接体4の傾斜当接部4Bと球状の操作部11との連設箇所に形成される段部をもって、前記取付け具本体3が裏面側に押し込み移動されたとき、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに係合してそれ以上の裏面側への移動を阻止するべく、傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に張り出す状態で延出される前記段差部4Cに兼用構成されている。
【0062】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記係止部15を形成する部位は当接体4の基端部4Aに限定されない。例えば、前記両当接体4の傾斜当接部4Bの一部が、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに常時対面する場合には、この常時対面する傾斜当接部4Bの一部に前記係止部15を形成して実施してもよい。
【0063】
〔第5実施形態〕
図15は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4は、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の表面1aよりも前方側に突出する垂直部4Dと、該垂直部4Dの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す水平部4E、及び、これらにわたって設けられる三角板部4Fとから構成されているとともに、前記三角板部4Fの傾斜当り面が、前記取付け穴2の表面側開口縁1cとの係止によって取付け具本体3を前方側に移動付勢する傾斜当接部4Bに構成されている。
【0064】
また、前記両当接体4の水平部4Eが、当該当接体4の弾性復元力に抗して前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11に兼用構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0065】
〔第6実施形態〕
図16は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4が、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに対面する長さに形成され、且つ、それの先端角部4aの間隔が取付け穴2の横内寸法W1よりも大となる状態で横幅方向外方側に湾曲形成されている。
【0066】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の先端角部4aを取付け穴2の内周面2aに当接させた状態では、両先端角部4aが当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係止するように構成されている。
【0067】
つまり、前記両当接体4の先端角部4aが、当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに係止可能な先鋭形状の係止部15に構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔第7実施形態〕
図17〜図20は別の配線器具用取付け具を示し、壁部1に形成された取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1a側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で壁部1の裏面側に配置可能な矩形枠形状に構成された取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3の面方向(これの開口7の面方向)に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で横外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴2を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴2の表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体4を一体形成して構成されている。
【0069】
前記当接体4は、図20に示すように、取付け時の形態において、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の設定最小厚みよりも若干小なる寸法で前方側に直線状に突出可能な基端部4Aと、該基端部4Aの先端から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Bと、該傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Cとから構成されているとともに、前記両段差部4Cの先端には、当接体4の弾性復元力に抗して前記取付け穴2の表面側開口縁1cと傾斜当接部4Bとの当接を解除する操作部11が一体形成されている。
【0070】
前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の基端部4Aとの連設箇所には、展開状態にある当接体4を弾性復元力に抗して屈曲当接状態に弾性変形させるための薄肉のヒンジ部16が形成されているとともに、前記取付け具本体3の長辺側枠部3Aには、屈曲当接状態に弾性変形操作された当接体4の基端部4Aに嵌合して該当接体4を屈曲当接状態に維持する正面視略Cの字状の嵌合保持部17が一体形成されている。
【0071】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第7実施形態では、屈曲係合状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴3の表面側開口縁1cに弾性復元力で係合させるように構成したが、前述した第4実施形態の当接体4の構造を採用して、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の先鋭形状の係止部15を前記取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で係止させるように構成してもよい。
【0072】
さらに、この第7実施形態では、前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の基端部4Aとの連設箇所に薄肉のヒンジ部16を形成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、前記取付け具本体3と当接体4とを別々に製作して、これら両者を、展開状態と屈曲当接状態とに揺動切替可能に枢支ピン等で枢支連結してもよい。
この場合、前記取付け具本体3と当接体4との枢支連結部に、取付け具本体3に対して当接体4を展開状態に付勢するコイルバネ等の弾性付勢体を設ける。
【0073】
〔第8実施形態〕
図21は別の配線器具用取付け具を示し、壁部1に形成された取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1a側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で壁部1の裏面側に配置可能な矩形枠形状に構成された取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3の面方向(開口7の面方向)に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で横外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴3を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴3の表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体4を一体形成して構成されている。
【0074】
前記当接体4は、図21(b)に示すように、取付け時の形態において、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Gと、該傾斜当接部4Gの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Hとから構成されているとともに、前記両段差部4Cが、当接体4の弾性復元力に抗して前記取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11に兼用構成されている。
【0075】
前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の傾斜当接部4Gとの連設箇所には、展開状態にある当接体4を弾性復元力に抗して屈曲当接状態に弾性変形させるための薄肉のヒンジ部18が形成されているとともに、前記取付け具本体3の長辺側枠部3Aには、屈曲当接状態に屈曲される係止部4の傾斜当接部4Gの背面に当接して弾性変形することにより、前記傾斜当接部4Gを取付け穴2の表面側開口縁1cに係合する方向に付勢する突片状の弾性付勢体19が一体形成されている。
【0076】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第8実施形態では、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の傾斜当接部4Gを取付け穴3の表面側開口縁1cに弾性復元力で係合させるように構成したが、前述した第4実施形態の当接体4の構造を採用して、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の先鋭形状の係止部15を前記取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で係止させるように構成してもよい。
【0077】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位に、前記取付け穴2の内周面2a又は表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な一対の当接体4を設けたが、この当接体4を取付け具本体3の一箇所又は三箇所以上に設けて実施してもよい。
【0078】
(2)上述の各実施形態では、建造物の壁面を構成する壁部1に形成された取付け穴2に配線器具用取付け具を装着する形態を例に挙げて説明したが、配線器具用取付け具が装着される取付け部としては、建造物の床面や天井面等であってもよく、さらに、建具や家具等であってもよい。
【0079】
(3)上述の各実施形態では、開口装着体の一例である配線器具Aに装備される付設機器として電気コンセント20を例にあげたが、電気スイッチ、電気コンセント、通信コンセント、漏電ブレーカー、警報用音響装置、暖房用パネルスイッチ等であってもよい。
さらに、前記のような配線器具Aに限らず、ガス管の接続金具や給湯管の接続金具等の機器を取付ける他の開口装着体であってもよい。
【0080】
(4)上述の第1実施形態では、前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの外周側部位に形成された平面状の当り部3aを壁部1の裏面1bに面接当状態で当て付けたが、この当り部3aを複数の突条又は突起から構成して、壁部1の裏面1bに線状又は点状に当て付けるように構成してもよい。
【0081】
(5)上述の各実施形態では、前記取付け具本体3を環状の枠体に構成したが、この取付け具本体3を正面視において略コの字状又は開口の無い板状等に構成してもよい。
さらに、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの外周側部位に、前記壁部1の裏面1bにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に面状に当て付けた状態で壁部1の裏面1b側に取付け具本体3を配置するための平面状の当り部3aを形成してもよい。
要するに、前記取付け具本体3としては、開口装着体に対応して種々の形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 取付け部(壁部)
1a 表面
1b 裏面
1c 表面側開口縁
2 取付け穴
2a 内周面
3 取付け具本体
4 当接体
4B 傾斜当接部
4G 傾斜当接部
11 操作部
12 係合部
14 脆弱部(切込み溝)
15 係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の壁面、床面、天井面或いは建具や家具の取付け面に形成された取付け穴に、電気スイッチ、電気コンセント、通信コンセント、漏電ブレーカー、警報用音響装置、暖房用パネルスイッチ、ガス管の接続金具、給湯管の接続金具等の機器の一つ又は複数個を取付ける場合に用いられる開口装着体用取付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
開口装着体用取付け具の一例である配線器具取付け具として、従来、取付け部に形成された矩形状の取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能な矩形枠状の取付け具本体の外周側部位のうち、長辺方向の両側部に位置する部位には、前記取付け穴の裏面側周縁に当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置するための当り部を形成するとともに、前記取付け具本体の両長辺側枠部の中間部位には、前記取付け穴を通して取付け部の表面よりも前方側に突出する表裏方向に弾性変形可能な長い橋状の立ち上がり脚を、取付け具本体の短辺方向幅と同一幅で平行に形成し、各立ち上がり脚の先端部には、取付け部の表面の一部に前方側から当接可能な係止片を横外方に突出する状態で形成したものが提案されている。(例えば、下記特許文献1参照)
【0003】
尚、前記取付け具本体の両短辺側枠部の中間部位には、開口装着体の構成部材の一例で、電気スイッチを備え、且つ、前記取付け部の表面の一部に前方側から当て付け可能な金属製のフレーム枠をビスで固定するためのネジ穴が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−037254公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配線器具取付け具では、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体から取付け穴を通して前方側に突出する両立ち上がり脚の先端部に設けた係止片を、取付け部の表面の一部に前方側から当接させることにより、前記取付け具本体が裏面側に脱落することを防止することができる。
【0006】
反面、前記両立ち上がり脚の先端部に設けられた両係止片は、取付け部の表面の一部に前方側から当て付けられる又は近接配置されるだけであるため、前記取付け具本体自体は取付け部の裏面に沿って移動自在であり、その結果、前記取付け具本体の両短辺枠部の中間部位に形成したネジ穴に電気スイッチを備えたフレーム枠をビス止めするまでの間において、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に片手で位置保持し続ける必要があり、煩雑で面倒な取付け作業になっていた。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することのできる開口装着体用取付け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開口装着体用取付け具による第1の特徴構成は、取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の当接体を弾性変形させた状態で取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させることにより、取付け具本体の裏面側への移動に対して抜止め抵抗を付与することができるとともに、前記取付け具本体を、前記当接体が取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接した位置に弾性復元力で保持することができる。
【0010】
しかも、前記取付け部に形成される取付け孔の寸法にバラツキがある場合でも、その寸法誤差が当接体の弾性変形範囲内であれば、前記取付け具本体を取付け孔の設定取付け位置に保持することができる。
【0011】
したがって、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することができるから、前記取付け具本体に開口装着体又はこれの構成部材を取付けるまでの間において、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体を片手で取付け穴の設定取付け位置に位置保持し続ける必要がなく、前記取付け具本体に対する機器の表面側からの取付け作業の簡便化、能率化を図ることができる。
【0012】
本発明の開口装着体用取付け具による第2の特徴構成は、前記当接体には、前記取付け穴の表面側開口縁との係止によって取付け具本体を前方側に移動付勢する傾斜当接部が形成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記当接体に形成した傾斜当接部を取付け穴の表面側開口縁に係止させることにより、取付け具本体に対して前方側への移動付勢力を付与することができるから、この取付け具本体を取付け部の裏面に確実に当て付けることができ、前記取付け具本体に対する開口装着体又はこれの構成部材の表面側からの取付け作業の簡便化、能率化を促進することができる。
【0014】
本発明の開口装着体用取付け具による第3の特徴構成は、前記当接体の傾斜当接部には、前記取付け穴の表面側開口縁と係合して前記傾斜当接部の傾斜方向での相対移動を阻止する係合部が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記取付け具本体の当接体の傾斜当接部に設けた係合部を取付け穴の表面側開口縁に係合させることにより、取付け穴の表面側開口縁に対して傾斜当接部の傾斜方向での当接体の移動を阻止することができるから、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体に対して開口装着体又はこれの構成部材を表面側から取付ける際、取付け具本体の裏面側へのずれ移動を抑制して取付け作業の簡便化、能率化を促進することができる。
【0016】
本発明の開口装着体用取付け具による第4の特徴構成は、前記当接体には、当該当接体の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴の内周面に係止可能な先鋭形状の係止部が設けられている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の当接体を弾性変形させた状態で取付け穴の内周面に係合させたとき、この当接体に設けた先鋭形状の係止部が弾性復元力で取付け穴の内周面に強く係止するから、取付け具本体の裏面側への脱落抑制機能と設定取付け位置での位置保持機能の向上とを図ることができる。
【0018】
本発明の開口装着体用取付け具による第5の特徴構成は、前記当接体には、当該当接体の弾性復元力に抗して前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁との当接を解除する操作部が設けられている点にある。
【0019】
上記構成によれば、前記当接体に設けた操作部により、記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接している当接体を容易に当接係止解除操作することができる。
【0020】
本発明の開口装着体用取付け具による第6の特徴構成は、前記当接体における前記操作部よりも根元側部位には切り離し用の脆弱部が形成されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、前記取付け部の裏面側に配置された取付け具本体に対して開口装着体又はこれの構成部材を表面側から取付けた際、他の取付けに邪魔になる操作部付きの当接体を設定切り離し位置に形成された脆弱部において容易に切断分離することができる。
【0022】
本発明の開口装着体用取付け具による第7の特徴構成は、取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、当該取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体を設けてある点にある。
【0023】
上記構成によれば、前記取付け具本体に設けられた当接体は、非操作状態(自然状態)では、取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態にあるから、保管時や輸送時等において開口装着体用取付け具をコンパクトな形態で便利に取り扱うことができる。
【0024】
そして、前記開口装着体用取付け具を取付け部に形成された取付け穴に装着するときには、前記取付け具本体に設けられた当接体を展開状態から屈曲係合状態に弾性変形操作して、この当接体を取付け穴を通して前方側に突出する姿勢で取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させることにより、取付け具本体の裏面側への移動に対して抜止め抵抗を付与することができるとともに、前記取付け具本体を、前記当接体が取付け穴の内周面又は表面側開口縁に当接した位置に弾性復元力で保持することができる。
【0025】
したがって、取付け部の裏面側に配置された取付け具本体の裏面側への脱落を抑制しながらも、そのための構成を利用して取付け具本体を取付け穴の設定取付け位置に容易に位置保持することができ、しかも、保管時や輸送時等において開口装着体用取付け具をスペース面で有利に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の開口装着体用取付け具の第1実施形態を示す取付け具の斜視図
【図2】取付け具の正面図
【図3】取付け具の側面図
【図4】取付け具の背面図
【図5】取付け具の底面図
【図6】図2のVI-VI線断面図
【図7】取付け具及び配線器具の分解斜視図
【図8】取付け具を壁部の裏面側に配置したときの縦断面図
【図9】取付け具を壁部の裏面側に配置したときの横断面図
【図10】取付け具及び配線器具を壁部に固定したときの縦断面図
【図11】本発明の開口装着体用取付け具の第2実施形態を示す取付け具の正面図
【図12】取付け具の底面図
【図13】本発明の開口装着体用取付け具の第3実施形態を示す取付け時の横断面図
【図14】本発明の開口装着体用取付け具の第4実施形態を示す取付け時の横断面図
【図15】本発明の開口装着体用取付け具の第5実施形態を示す取付け時の横断面図
【図16】本発明の開口装着体用取付け具の第6実施形態を示す取付け時の横断面図
【図17】本発明の開口装着体用取付け具の第7実施形態を示す取付け具の正面図
【図18】取付け具の底面図
【図19】図17におけるXIX- XIX線断面図
【図20】屈曲係合状態に変更操作したときの横断面図(a)と屈曲係合状態で取付けたときの横断面図(b)
【図21】本発明の開口装着体用取付け具の第8実施形態を示す取付け具の展開状態の底面図(a)と屈曲係合状態で取付けたときの横断面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図10は、石膏ボードや耐火ボード等を用いた壁部(取付け部の一例)1に、開口装着体の一例である配線器具Aを埋め込み方式で取付ける合成樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂)の取付け具(開口装着体用取付け具の一例)を示す。
【0028】
前記配線器具用取付け具は、壁部1に貫通形成された上下方向を長辺とする矩形状の取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる横幅寸法(短辺方向寸法)W2に形成して、取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能に構成してある矩形枠状の取付け具本体3を主要構成として備えている。
【0029】
この取付け具本体3の縦幅寸法(長辺方向寸法)H2を取付け穴2の縦内寸法H1よりも大なる寸法に構成して、当該取付け具本体3の外周側部位のうち、両長辺側枠部3Aの長手方向両端部に連続形成される両短辺側枠部3Bの外周側部位に、前記壁部1の裏面1bにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に面状に当て付けた状態で壁部1の裏面1b側に取付け具本体3を配置するための平面状の当り部3aを形成するとともに、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3が壁部1の裏面1b側に配置されている状態で取付け穴2を通して壁部1の表面1aよりも前方側に突出して、壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な合成樹脂製の当接体4が一体成形されている。
【0030】
前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aには、前記両短辺側枠部3Bの当り部3aが壁部1の裏面1bに当接している状態で前記取付け穴2内に入り込むことにより、当該取付け穴2の内周面2aにおける長辺側内面との当接によって横幅方向(短辺方向)での装着位置を規制する位置規制部3bが一体形成されている。
この位置規制部3bは、両長辺側枠部3Aの長手方向中間部位を当り部3aよりも前方側に突出する状態で開拡コの字状に屈曲形成することにより構成されている。
【0031】
前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの左右方向中央位置には、前記配線器具Aの構成部材の一つで、付設機器の一例である電気コンセント20を備え、且つ、壁部1の表面1aにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に前方側から当て付け可能な金属製のフレーム枠21を第1ビス22で締付け固定するためのネジ穴5を備えたボス部6が一体形成されている。
【0032】
前記両ボス部6のネジ穴5の中心間隔は、取付け具本体3の両長辺側枠部3Aと両短辺側枠部3Bとで区画形成される矩形状の開口7の縦内寸法(長辺方向寸法)と同一で、且つ、前記取付け穴2の縦内寸法H1よりも小なる寸法に構成されている。
【0033】
前記取付け具本体3の下方側に位置する短辺側枠部3Bの横幅方向二箇所には、前記取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に当接して取付け具本体3を設定下端取付け位置(長辺方向での設定取付け位置)に保持する位置規制突起8が前方側に突出する状態で一体成形されているとともに、前記各位置規制突起8の先端部には、取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に対して上方から喰い込み可能な位置ずれ防止用の先鋭な喰込み突起8aが形成されている。
【0034】
前記取付け具本体3の上方側に位置する短辺側枠部3Bの背面側の横幅方向二箇所には、壁部1の裏面1b側に配設される蛇腹管を固定するためのコの字状の掛止部9が一体形成されているとともに、前記上方側の短辺側枠部3Bの両外側面3cが、前記取付け穴2への挿入操作を容易に行うために上方ほど幅狭となるテーパー面に形成されている。
【0035】
さらに、前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの前面側には、前記ボス6の外周面に接する位置において長辺方向に沿ってカッター等で切断分離するための二条の分離案内溝10が形成されている。
この分離案内溝10を形成したことにより、前記取付け穴2の裏面側の左右一側方に木等の障害物が存在して、取付け具本体3をそのまま装着することができない場合において、その障害物に対応する左右一側方の片半分を分離案内溝10に沿って切断分離し、ボス6が残っている他方の片半分の分割取付け体を取付け穴2に装着することができる。
【0036】
次に、前記両当接体4について詳述すると、両当接体4の各々は、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の設定最小厚みよりも若干小なる寸法で前後方向に直線状に延びる基端部4Aと、該基端部4Aの先端から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Bと、該傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Cとから構成されているとともに、前記両段差部4Cの先端には、当接体4の弾性復元力に抗して前記傾斜当接部4Bと取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11が一体形成されている。
【0037】
前記両当接体4の傾斜当接部4Bは、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに当接可能な長さに形成されているとともに、前記取付け穴2の表面側開口縁1cに対応する両傾斜当接部4Bの外側接当面の最小外面間寸法W3が取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる寸法に構成されている。
【0038】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させた係止状態では、壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3に前方側への移動分力が発生し、この前方側への移動付勢力によって取付け具本体3の裏面側への抜け出し移動を抑制することができるとともに、取付け具本体3の当り部3aを壁部1の裏面1bに確実に当て付けることができ、前記取付け具本体3に対する配線器具Aのフレーム枠21のビス止め作業の容易化を図ることができる。
【0039】
前記両当接体4の段差部4Cは、前記取付け具本体3が裏面側に押し込み移動されたとき、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに係合してそれ以上の裏面側への移動を阻止する脱落阻止部として機能する。
【0040】
前記両当接体4の傾斜当接部4Bにおける取付け穴2の表面側開口縁1cに対応する外側当接面には、両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させたとき、前記表面側開口縁1cと係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12が設けられている。
【0041】
前記係合部12は、傾斜当接部4Bの長手方向に所定間隔を置いた複数箇所に形成された先鋭な係合突起12aから構成されていて、前記当接体4の弾性復元力で表面側開口縁1cに喰込み状態で係合するように構成されている。
【0042】
そして、前記傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aを取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合させた状態では、取付け穴2の表面側開口縁1cに対して傾斜当接部4Bの傾斜方向での移動を阻止することができる、換言すれば、壁部1に対する取付け具本体3の前後方向での移動を阻止することができるから、壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3に対して配線器具Aのフレーム枠21をビス止めする際、取付け具本体3の裏面1b側へのずれ移動を抑制して取付け作業の簡便化、能率化を図ることができる。
【0043】
前記配線器具Aは、これに付設される機器の一例である電気コンセント20に対する取付け孔21aを備え、かつ、壁部1の表面1aに当接位置する状態で裏面1b側に配置された取付け具本体3のネジ穴5に第1ビス22で締付け固定される金属製のフレーム枠21と、このフレーム枠21の前面の周囲を覆う状態で当該フレーム枠21に第2ビス23で締付け固定される合成樹脂製の化粧枠24と、化粧枠24に対して脱着自在に嵌合装着され、かつ、その嵌合装着時に電気コンセント20の前部が前方に臨む開口25aを形成してある合成樹脂製の化粧カバー25との組合せから構成されている。
【0044】
前記フレーム枠21の横幅寸法は、取付け穴2の横内寸法W1よりも小なる寸法に構成され、このフレーム枠21を壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3のネジ穴5に第1ビス22で締付け固定されたとき、フレーム枠21の横幅方向両外側縁と取付け穴2の内周面2aにおける横側内面との間には、前記両当接体4を配置可能な空隙が確保されている。
【0045】
次に、上述の如く構成された配線器具用取付け具を壁部1の取付け穴2に装着する場合の操作手順を説明する。
先ず、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位に形成された一対の当接体4の操作部11を手指で挾持して、両当接体4の傾斜当接部4Bが取付け穴2を通過可能な状態にまで両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させる。
【0046】
この両当接体4の操作部11を介して挾持保持されている取付け具本体3を傾け、両外側面3cがテーパー面に形成されている上方側の短辺側枠部3B側から取付け穴2を挿通させ、取付け具本体3全体が取付け穴2を通過した時点で当該取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの当り部3aを壁部1の裏面1bに当接させ、この当接状態で取付け具本体3を下方に移動操作し、下方側に位置する短辺側枠部3Bに形成されている両位置規制突起8の喰込み突起8aを取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に喰い込み係止させたのち、両当接体4の操作部11から手を放して挾持を解除する。
【0047】
この挾持解除操作により、両当接体4がそれの弾性復元力で横幅方向外方側に復帰変形し、その復帰途中で前記両当接体4の傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aが取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合する。
【0048】
それ故に、一対の当接体4の操作部11を挾持保持した状態で、取付け具本体3を斜めにして取付け穴2に挿入し、取付け具本体3の両当り部3aを壁部1の裏面1bに当接させた状態で下方に移動させ、両位置規制突起8の喰込み突起8aが取付け穴2の内周面2aにおける下側内面に喰い込み係止した時点で両当接体4の操作部11から手を放すといった一連の操作で、配線器具用取付け具を壁部1の取付け穴2に迅速・確実・容易に装着することができる。
【0049】
しかも、前記両当接体4の操作部11から手を放した挾持解除状態では、前記両傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aが取付け穴2の表面側開口縁1cに喰込み係合しているため、この係合状態で壁部1の裏面1b側に配置されている取付け具本体3に表面側から力を加えても、壁部1に対する取付け具本体3の背面側への移動を強力に阻止することができるから、取付け具本体3に対して配線器具Aのフレーム枠21をビス止めする際、取付け穴2の中に手を差し入れて取付け具本体3を支える必要がなく、配線器具Aのフレーム枠21を能率良く簡単に取付けることができる。
【0050】
前記両当接体4は、前記フレーム枠21の取付けには邪魔にならないが、前記化粧枠24及び化粧カバー25の取付けには邪魔になるため、前記化粧枠24の取付け工程前において、前記両当接体4のうち、取付け穴2から壁部1の表面1aよりも前方に突出する突出部分を工具で切断除去する。
【0051】
この場合、前記両当接体4の残置部分が取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で圧接された状態にあり、且つ、前記傾斜当接部4Bに設けた係合部12の係合突起12aの一部が取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係合しているため、前記配線器具Aを点検・補修等のために一時的に解体する、又は、新たな配線器具Aに取り替える必要が生じた場合でも、取付け具本体3の裏面1b側への抜け落ちを抑制することができる。
それ故に、点検・補修等に配線器具Aを組付ける又は新たな配線器具Aに取り替える場合、前記取付け具本体3に対して壁部1の表面1a側から取付け作業を行うことができるとともに、取付け穴2の中に手を差し入れて取付け具本体3を支える必要がないので、作業性を高めることができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
図11、図12は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4における前記操作部11よりも根元側部位、換言すれば、前記傾斜当接部4Bの基端部4A側に偏倚した根元側部位の両側面には、切り離し用の脆弱部を構成するV字状の切込み溝14が形成されて
いる。
【0053】
そのため、前記配線器具Aのフレーム枠21を壁部1の裏面1b側に配置された取付け具本体3にビス止めしたのち、取付け穴2から壁部1の表面1aよりも前方に突出する操作部11を捻じり操作すると、前記当接体4が切込み溝14の形成箇所で捻じ切られる。
【0054】
当該第2実施形態では、捻じ切られた両当接体4の残置部分が、取付け具本体3の両長辺側枠部3Aと略同じ横幅になるから、この両当接体4の残置部分による裏面1b側への抜け落ちを阻止する機能は喪失している。
【0055】
尚、前記切込み溝等の脆弱部14の形成位置を、壁部1の表面1aよりも前方に突出しない範囲で傾斜当接部4Bの中間位置に設定すれば、両当接体4の残置部分が取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で圧接された状態にあり、前記配線器具Aを一時的に解体する必要が乗じた場合でも、取付け具本体3の裏面1b側への抜け落ちを抑制することができる。
【0056】
また、この第2実施形態では、前記両当接体4の傾斜当接部4Bには、前記表面側開口縁1cと係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12は設けられていない。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0057】
〔第3実施形態〕
図13は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4の傾斜当接部4Bを、V字が連続する波形形状に形成することにより、両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴2の両表面側開口縁1cに当接させたとき、傾斜当接部4Bを構成する波形形状の一つのV字状凹部12bが前記表面側開口縁1cと選択的に係合して傾斜当接部4Bの傾斜方向での相対移動を阻止する係合部12が構成されている。
【0058】
尚、前記V字状凹部12bが連続形成される波形形状以外に、U字状凹部や半円弧状凹部等が連続する他の波形形状に形成してもよい。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0059】
〔第4実施形態〕
図14は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4の基端部4Aが、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに対面する長さに形成されているとともに、前記両基端部4Aにおける取付け穴2の内周面2aに常時対面する部位には、前記取付け穴2の内周面2aに係止可能な先鋭形状の係止部15が一体形成され、さらに、無負荷状態での両係止部15の先端部間隔が、取付け穴2の横内寸法W1よりも大なる寸法に構成されている。
【0060】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の基端部4Aに形成されている両係止部15を取付け穴2の内周面2aに当接させた状態では、両係止部15が当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係止するように構成されている。
【0061】
また、この第4実施形態においては、前記両当接体4の傾斜当接部4Bと球状の操作部11との連設箇所に形成される段部をもって、前記取付け具本体3が裏面側に押し込み移動されたとき、前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cに係合してそれ以上の裏面側への移動を阻止するべく、傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に張り出す状態で延出される前記段差部4Cに兼用構成されている。
【0062】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記係止部15を形成する部位は当接体4の基端部4Aに限定されない。例えば、前記両当接体4の傾斜当接部4Bの一部が、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに常時対面する場合には、この常時対面する傾斜当接部4Bの一部に前記係止部15を形成して実施してもよい。
【0063】
〔第5実施形態〕
図15は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4は、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の表面1aよりも前方側に突出する垂直部4Dと、該垂直部4Dの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す水平部4E、及び、これらにわたって設けられる三角板部4Fとから構成されているとともに、前記三角板部4Fの傾斜当り面が、前記取付け穴2の表面側開口縁1cとの係止によって取付け具本体3を前方側に移動付勢する傾斜当接部4Bに構成されている。
【0064】
また、前記両当接体4の水平部4Eが、当該当接体4の弾性復元力に抗して前記壁部1における取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11に兼用構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0065】
〔第6実施形態〕
図16は別の配線器具用取付け具を示し、前記両当接体4が、壁部1の設定最小厚みから設定最大厚みまでの範囲において、取付け穴2の内周面2aに対面する長さに形成され、且つ、それの先端角部4aの間隔が取付け穴2の横内寸法W1よりも大となる状態で横幅方向外方側に湾曲形成されている。
【0066】
そのため、前記両当接体4をそれの弾性復元力に抗して横幅方向内方側に弾性変形させて、当該両当接体4の先端角部4aを取付け穴2の内周面2aに当接させた状態では、両先端角部4aが当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに喰込み状態で係止するように構成されている。
【0067】
つまり、前記両当接体4の先端角部4aが、当接体4の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴2の内周面2aに係止可能な先鋭形状の係止部15に構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔第7実施形態〕
図17〜図20は別の配線器具用取付け具を示し、壁部1に形成された取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1a側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で壁部1の裏面側に配置可能な矩形枠形状に構成された取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3の面方向(これの開口7の面方向)に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で横外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴2を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴2の表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体4を一体形成して構成されている。
【0069】
前記当接体4は、図20に示すように、取付け時の形態において、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から壁部1の設定最小厚みよりも若干小なる寸法で前方側に直線状に突出可能な基端部4Aと、該基端部4Aの先端から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Bと、該傾斜当接部4Bの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Cとから構成されているとともに、前記両段差部4Cの先端には、当接体4の弾性復元力に抗して前記取付け穴2の表面側開口縁1cと傾斜当接部4Bとの当接を解除する操作部11が一体形成されている。
【0070】
前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の基端部4Aとの連設箇所には、展開状態にある当接体4を弾性復元力に抗して屈曲当接状態に弾性変形させるための薄肉のヒンジ部16が形成されているとともに、前記取付け具本体3の長辺側枠部3Aには、屈曲当接状態に弾性変形操作された当接体4の基端部4Aに嵌合して該当接体4を屈曲当接状態に維持する正面視略Cの字状の嵌合保持部17が一体形成されている。
【0071】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第7実施形態では、屈曲係合状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の傾斜当接部4Bを取付け穴3の表面側開口縁1cに弾性復元力で係合させるように構成したが、前述した第4実施形態の当接体4の構造を採用して、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の先鋭形状の係止部15を前記取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で係止させるように構成してもよい。
【0072】
さらに、この第7実施形態では、前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の基端部4Aとの連設箇所に薄肉のヒンジ部16を形成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、前記取付け具本体3と当接体4とを別々に製作して、これら両者を、展開状態と屈曲当接状態とに揺動切替可能に枢支ピン等で枢支連結してもよい。
この場合、前記取付け具本体3と当接体4との枢支連結部に、取付け具本体3に対して当接体4を展開状態に付勢するコイルバネ等の弾性付勢体を設ける。
【0073】
〔第8実施形態〕
図21は別の配線器具用取付け具を示し、壁部1に形成された取付け穴2を通して壁部1の表面1a側から裏面1b側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴2の裏面1a側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で壁部1の裏面側に配置可能な矩形枠形状に構成された取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位には、当該取付け具本体3の面方向(開口7の面方向)に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で横外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴3を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴3の表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体4を一体形成して構成されている。
【0074】
前記当接体4は、図21(b)に示すように、取付け時の形態において、取付け具本体3の長辺側枠部3Aの位置規制部3bの前端面から前方側の横幅方向外方側に向けて斜めに延出される傾斜当接部4Gと、該傾斜当接部4Gの先端から横幅方向外方側に直角に張り出す状態で延出される段差部4Hとから構成されているとともに、前記両段差部4Cが、当接体4の弾性復元力に抗して前記取付け穴2の表面側開口縁1cとの当接を解除する操作部11に兼用構成されている。
【0075】
前記取付け具本体3の位置規制部3bと当接体4の傾斜当接部4Gとの連設箇所には、展開状態にある当接体4を弾性復元力に抗して屈曲当接状態に弾性変形させるための薄肉のヒンジ部18が形成されているとともに、前記取付け具本体3の長辺側枠部3Aには、屈曲当接状態に屈曲される係止部4の傾斜当接部4Gの背面に当接して弾性変形することにより、前記傾斜当接部4Gを取付け穴2の表面側開口縁1cに係合する方向に付勢する突片状の弾性付勢体19が一体形成されている。
【0076】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第8実施形態では、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の傾斜当接部4Gを取付け穴3の表面側開口縁1cに弾性復元力で係合させるように構成したが、前述した第4実施形態の当接体4の構造を採用して、屈曲当接状態に弾性変形操作された取付け具本体3を取付け穴2に装着したとき、当接体4の先鋭形状の係止部15を前記取付け穴2の内周面2aに弾性復元力で係止させるように構成してもよい。
【0077】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの中間部位に、前記取付け穴2の内周面2a又は表面側開口縁1cに弾性復元力で当接する弾性変形可能な一対の当接体4を設けたが、この当接体4を取付け具本体3の一箇所又は三箇所以上に設けて実施してもよい。
【0078】
(2)上述の各実施形態では、建造物の壁面を構成する壁部1に形成された取付け穴2に配線器具用取付け具を装着する形態を例に挙げて説明したが、配線器具用取付け具が装着される取付け部としては、建造物の床面や天井面等であってもよく、さらに、建具や家具等であってもよい。
【0079】
(3)上述の各実施形態では、開口装着体の一例である配線器具Aに装備される付設機器として電気コンセント20を例にあげたが、電気スイッチ、電気コンセント、通信コンセント、漏電ブレーカー、警報用音響装置、暖房用パネルスイッチ等であってもよい。
さらに、前記のような配線器具Aに限らず、ガス管の接続金具や給湯管の接続金具等の機器を取付ける他の開口装着体であってもよい。
【0080】
(4)上述の第1実施形態では、前記取付け具本体3の両短辺側枠部3Bの外周側部位に形成された平面状の当り部3aを壁部1の裏面1bに面接当状態で当て付けたが、この当り部3aを複数の突条又は突起から構成して、壁部1の裏面1bに線状又は点状に当て付けるように構成してもよい。
【0081】
(5)上述の各実施形態では、前記取付け具本体3を環状の枠体に構成したが、この取付け具本体3を正面視において略コの字状又は開口の無い板状等に構成してもよい。
さらに、前記取付け具本体3の両長辺側枠部3Aの外周側部位に、前記壁部1の裏面1bにおける取付け穴2の短辺側周縁部分に面状に当て付けた状態で壁部1の裏面1b側に取付け具本体3を配置するための平面状の当り部3aを形成してもよい。
要するに、前記取付け具本体3としては、開口装着体に対応して種々の形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 取付け部(壁部)
1a 表面
1b 裏面
1c 表面側開口縁
2 取付け穴
2a 内周面
3 取付け具本体
4 当接体
4B 傾斜当接部
4G 傾斜当接部
11 操作部
12 係合部
14 脆弱部(切込み溝)
15 係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体が設けられている開口装着体用取付け具。
【請求項2】
前記当接体には、前記取付け穴の表面側開口縁との係止によって取付け具本体を前方側に移動付勢する傾斜当接部が形成されている請求項1記載の開口装着体用取付け具。
【請求項3】
前記当接体の傾斜当接部には、前記取付け穴の表面側開口縁と係合して前記傾斜当接部の傾斜方向での相対移動を阻止する係合部が設けられている請求項2記載の開口装着体用取付け具。
【請求項4】
前記当接体には、当該当接体の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴の内周面に係止可能な先鋭形状の係止部が設けられている請求項1記載の開口装着体用取付け具。
【請求項5】
前記当接体には、当該当接体の弾性復元力に抗して前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁との当接を解除する操作部が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の開口装着体用取付け具。
【請求項6】
前記当接体における前記操作部よりも根元側部位には切り離し用の脆弱部が形成されている請求項5記載の開口装着体用取付け具。
【請求項7】
取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、当該取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体を設けてある開口装着体用取付け具。
【請求項1】
取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接する弾性変形可能な当接体が設けられている開口装着体用取付け具。
【請求項2】
前記当接体には、前記取付け穴の表面側開口縁との係止によって取付け具本体を前方側に移動付勢する傾斜当接部が形成されている請求項1記載の開口装着体用取付け具。
【請求項3】
前記当接体の傾斜当接部には、前記取付け穴の表面側開口縁と係合して前記傾斜当接部の傾斜方向での相対移動を阻止する係合部が設けられている請求項2記載の開口装着体用取付け具。
【請求項4】
前記当接体には、当該当接体の弾性変形による弾性復元力で前記取付け穴の内周面に係止可能な先鋭形状の係止部が設けられている請求項1記載の開口装着体用取付け具。
【請求項5】
前記当接体には、当該当接体の弾性復元力に抗して前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁との当接を解除する操作部が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の開口装着体用取付け具。
【請求項6】
前記当接体における前記操作部よりも根元側部位には切り離し用の脆弱部が形成されている請求項5記載の開口装着体用取付け具。
【請求項7】
取付け部に形成された取付け穴を通して取付け部の表面側から裏面側に挿入操作可能で、且つ、前記取付け穴の裏面側周縁に外周側部位の一部を当て付けた状態で取付け部の裏面側に配置可能な形状に構成された取付け具本体に、当該取付け具本体の面方向に沿う姿勢又はそれに近い姿勢で外方に張り出した展開状態と、前記取付け穴を通して前方側に突出する姿勢に弾性変形させて前記取付け穴の内周面又は表面側開口縁に弾性復元力で当接させた屈曲当接状態とに変更可能な当接体を設けてある開口装着体用取付け具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−80728(P2012−80728A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225965(P2010−225965)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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