開口部の構造
【課題】 デザインニーズに対応できる多種類の外観が簡単に得ることができ、リフォームの際にも容易に意匠替えをなしうる開口部の構造を提供する。
【解決手段】 外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする。
【解決手段】 外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類の外観意匠が簡単に構成できるため意匠性に優れ、リフォームにおける意匠替えも容易であり、しかも施工性に優れた開口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において外壁の開口部分は、採光、換気等の基本機能に加え、外観意匠を演出する上で重要な要素であり、多様化した外観ニーズに対応して様々な構造の開口部が提案されている。例えば特許文献1では、窓枠に障子、ガラス等を装着した上部窓サッシと、下部窓サッシと、双方の窓サッシの間を閉塞する中間パネルユニットとを具え、その左右両側に装飾用縦部材を設けると共に、この左右の装飾用縦部材間に複数の装飾用縦部材を等間隔で設けることにより、所謂縦連窓を構成するともに縦平行に配置された装飾用縦部材によりアクセントを付与し意匠性向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−256935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装飾用縦部材は、その外観の種類が限られているため、前記の如く多様化した意匠ニーズに対応するには限界があり、開口部が単調かつオーソドックスなデザインの域を超えることができなかった。例えばアルミ押出し型材を用いる場合には、カラーアルミを用いて色の選択は可能であるが、生産時に色決めをする必要からカラーバリエーションが限られ、その範囲内で選択して設計するため、デザインの自由性が乏しく開口部の意匠性には限界があった。
【0005】
また、リフォームに際して開口部周辺にデザインを一新するため前記装飾用縦部材の外観を替える場合、装飾用部材自体新たなものに置き換える必要があり、改修工事が大規模化することからリフォーム工期、コストが大巾に増加していた。また工事を簡略化するため装飾用部材に新たな外観の化粧シートで被覆する工法も選択できるが、仕上がりが不揃いになって外観を損ない易く、更には後付けした化粧シートが端部、継ぎ目などから部分的に剥離する問題がある。
【0006】
本発明は、前記した開口部の構造が有する問題点を解消し、端の縦部材、中の縦部材に設けた端の縦溝、中の縦溝の溝底面に同じ外観を有する化粧帯体を被着することを基本とし、デザインニーズに対応できる多種類の外観が簡単に得ることができ、リフォームの際にも容易に意匠替えをなしうる開口部の構造の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に係る発明は、前記端の縦部材、または中の縦部材は、化粧モールにより形成され、請求項3に係る発明では、前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に取付けられたサッシ枠の縦枠により形成され、また請求項4に係る発明は、前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に装着されたサッシ戸の縦框により形成されたことを特徴とする。
【0009】
また請求項5に係る発明は、前記開口部は、上階の外壁に形成された上の開口部と、下階の外壁に形成され、かつ前記上の開口部に同巾でその下方に配置された下の開口部とを含み、前記上の開口部の端の縦部材と、下の開口部の端の縦部材とは上下方向に並んで配され、また前記上の開口部の中の縦部材と、下の開口部の中の縦部材とは上下方向に並んで配されたことを特徴とし、請求項6に係る発明は、前記上の開口部と、下の開口部の間に横長の化粧部が形成され、この化粧部は、上下の端の縦部材の間を繋ぐ端の繋ぎモールを有するとともに上下の中縦部材の間を繋ぐ中の繋ぎモールを有し、前記端の繋ぎモール、中の繋ぎモールは、その表面略中央に各々前記端の縦溝、中の縦溝に連続する端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝を有し、前記端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝には、前記端の縦溝、中の縦溝から連続してのびる化粧帯体が被着されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明は、開口部の左右両端に配される端の縦部材に設けられた端の縦溝と、開口部を左右領域に区画する中の縦部材に設けられた中の縦溝とに同じ外観を有する化粧帯体を被着するため、多種類の化粧帯体の中からデザインに適したものを選択することにより多様化したニーズに合う開口部の外観を構成できる。リフォーム時は、化粧帯体の交換により簡単に開口部デザインを大きく替えることが可能で、しかも改修工期、コストを抑制しうる。また化粧帯体は縦溝の溝底面に被着されるため、剥れ難いことから耐久性に優れ、同時に汚れも付着しにくいため良好な外観を長期間維持しうる。さらに溝底面の化粧帯体には、陰影に富んだ高感性が付加されることにより意匠性が向上する。施工においては、化粧帯体が縦溝内で位置決めされるため、位置ズレすることがないとともに取付けの作業性に優れる。
【0011】
また請求項2に係る発明のように、端、中の縦部材を化粧モールにより形成すると、化粧帯体の必要な箇所にのみ化粧モールを取付けることにより高意匠の開口部を形成でき、特にリフォーム時のデザイン、施工が容易となる。
【0012】
また請求項3に係る発明のように、端、中の縦部材をサッシ枠の縦枠により形成すると、サッシ部材の押出し成形時に端、中の縦溝を容易に成形でき、かつサッシ枠自体の意匠性が向上し、請求項4に係る発明のように、端、中の縦部材をサッシ戸の縦框により形成すると、框部材の押出し成形時に端、中の縦溝を容易に成形でき、かつサッシ戸自体の意匠性が向上し、さらに縦框は縦溝を設けることより断面係数を増加補強される。
【0013】
また前記請求項5に係る発明のように構成することにより、縦連窓の開口部が構成されるため、統一感があり高感性な外壁デザインが得られ、前記請求項6に係る発明のように構成することにより、上下の開口部が連係し外壁全体にまとまりのある優れたデザイン性が得られ、特に化粧帯体が連続することにより上下方向の流れと繋がりを感じさせる高意匠が得られ、かつ化粧帯体取付けの作業性が向上し、特にリフォーム時の化粧帯体の取替えを容易とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示す開口部の構造1は、外壁2の開口部3の左右両端に配される端の縦部材Feと、開口部3を左右領域に区画する中の縦部材Fiと、化粧帯体5とを具える。
【0015】
前記外壁2は、本形態では、図2、3に示すように、矩形状をなす外周枠22aと、この外周枠22aの内側に架け渡された縦又は横の補強枠(図示せず)とかなるパネルフレーム22の両面に、外縁部が前記外周枠22aの外周部と略整一に揃うパネル面材23を貼着した外壁パネル2Pにより構築される。
【0016】
この外壁には、採光、通気、出入などのために前記開口部3が形成される。本形態の開口部3は、図1に示すように、ニ階建て建築物Aの外壁2に形成され、ニ階部分に配置された上の開口部3uと、一階部分に配置された下の開口部3dとからなる。なおこの下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾で、かつその下方に配置されている。このように上の開口部3uと下の開口部3dと上下に並べてを形成すると、複層階の開口が縦連窓を構成して上下に統一感のある外観が得られる。なお同様にして三階以上の開口部を連続した縦連窓とすることもできる。
【0017】
前記端の縦部材Feは、開口部3の左右両側に一対が配され、かつ垂直にのびる棒状をなす。またこの端の縦部材Feは、その表面中央に断面コ字状の端の縦溝4eを有する。本形態の端の縦部材Feは、図2、3に示すように、断面が偏平かつ略矩形状で、表面に端の縦溝4eが形成された端の化粧モール6eからなり、屋外側、屋内側の双方に取付けられる。
【0018】
図2、3に示すように、外壁パネル2Pの開口部3に臨む外周枠22aと、矩形枠状をなす開口フレーム25の縦フレーム25aとは、アダプタ24を介して固着される。屋外側の端の化粧モール6eは、その開口部側が、前記外周枠22aに取付けられたサッシ枠7の縦枠7aに固着されるとともに、外壁側の端部に設けられた側片6a先端が外壁パネル2Pのパネル面材23に当接し、これにより端の化粧モール6eは外壁2に平行な姿勢で取付けられる。なお前記パネル面材23とサッシ枠7の縦枠7aの間は、コーキング材など水密材30が充填され、端の化粧モール6e裏部における水密が維持されている。また屋内側の端の化粧モール6eは、前記外周枠22aおよび縦フレーム25aに固着される。なお本形態では前記の如く、下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾で、かつその下方に配置されることから、上下の開口部3u、3dの端の縦部材Feは、上下に並んで配置される。
【0019】
本形態の端の化粧モール6eは、断面の巾が例えば80〜150mm程度、厚さは例えば15〜40mm程度の大きさに形成される。また前記端の縦溝4eは、その巾が例えば50〜120mm程度、深さは例えば3〜10mm程度の浅溝として、屋外側、又は屋内側に向く表面の略中央に形成される。また前記端の化粧モール6eは、アルミニウムの押出成形品、木粉入りABS樹脂押出成形品など用いて形成される。
【0020】
このように端の化粧モール6eを用いて端の縦部材Feを構成する場合、必要箇所に対してのみ端の縦溝4eを簡単に形成でき、特にリフォームでの工事を簡単に行える点で好ましい。また本形態の端の化粧モール6eは、外壁2の屋外側、屋内側の双方に設けられるが、何れか片方にのみ設けることもできる。
【0021】
前記中の縦部材Fiは、開口部3の内側に1以上、本形態では2本が配され、かつ垂直にのびる棒状をなし、前記の如く開口部3を左右の領域に区画する。またこの中の縦部材Fiは、その表面中央に断面コ字状の中の縦溝4iを有する。
【0022】
この中の縦部材Fiにより左右に区画された開口部3は、区画された領域毎にサッシ枠7を取付けることによって分離した小開口3Sを形成することができる。本形態では、図1に示すように、上の開口部3uは、左右に並んだ同巾の3個の小開口3Sが形成される。さらにこの小開口3Sは、上下に三分割され、上位には屋内側へ傾斜することにより開閉可能な内倒し窓Wiが設けられ、中位、下位には板ガラスが開閉不可に装着された小フィックス窓Wf1が設けられている。また下の開口部3dにおいて、分離された3個の小開口3Sは、各々板ガラスが開閉不可に装着された縦フィックス窓Wf2としている。
【0023】
本形態の中の縦部材Fiは、図2、3に示すように、前記端の縦部材Feよりも小巾の中の化粧モール6iからなる。また本形態では、開口部3内に、矩形枠状の開口フレーム25、25が左右に配置され、隣接する開口フレーム25、25の縦フレーム25a、25aがアダプタ24を介して一体化される。この縦フレーム25a、25aの屋外側に取付けられたサッシ枠7の一対の縦枠7a、7aに、前記屋外側の中の化粧モール6iが固着される。また屋内側の中の化粧モール6iは、前記縦枠7a、7aの屋外側に直接固着される。なお本形態では、前記の如く下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾でその下方に配置され、かつ中の縦部材Fiにより同巾で3個の小開口3Sに区画されるものであることから、上下の開口部3u、3dの中の化粧モール6iは上下に並んで配置される。
【0024】
本形態の中の化粧モール6iは、断面の巾が例えば30〜100mm程度で端の化粧モール6eよりも小巾に形成され、厚さは例えば15〜40mm程度で端の化粧モール6eと同厚に形成される。また前記端の縦溝4eは、その巾が例えば20〜70mm程度、深さは例えば3〜10mm程度の浅溝として、屋外側、又は屋内側に向く表面の略中央に形成される。このように中の化粧モール6iにより中の縦部材Fiを形成すると、前記端の化粧モール6eと同様に、必要箇所においてのみ中の縦溝4iを簡単に形成でき、リフォーム工事が簡単に行える点で好ましい。また前記端の化粧モール6eと同様、本形態の中の縦部材Fiは、外壁2の屋外側、屋内側の双方に形成しているが、何れかの側にのみ形成することもできる。
【0025】
また、中の化粧モール6iを設けることなく、前記サッシ枠7の縦枠7aの屋外側、屋内側を向く面に、中の縦溝4iを直接形成し、この縦枠7aにより中の縦部材Fiを形成することもできる。このときには、サッシ枠7の押出成形工程で同時に中の縦溝4iを簡単に形成でき、しかもサッシ枠7自体の意匠性を向上することができる。
【0026】
また本形態では、図1、4に示すように、上の開口部3uと、下の開口部3dとの間に化粧部9が形成される。この化粧部9は、前記小開口3Sの巾と同巾に形成された3枚の化粧板9aを、外壁パネル2Pのパネル面材23の表面に左右に並べて被着して形成される。この化粧部9の上下高さは、例えば250〜600mm程度とし、本形態では、下の開口部3dの上端から上の開口部3uの下端までのパネル面材23を連続して覆っている。化粧部9は、本形態では外壁2の屋外側、屋内側双方に形成しているが、屋外側にのみ設けることもある。
【0027】
なお前記化粧板9aは、例えばカラーステンレス鋼板、カラーアルミ板、ホーロー鋼板、アクリル板、ポリカーボネート板等が用いられる。このように上の開口部3uと、下の開口部3dの間に化粧部9を配することによって、外壁2において上下の開口部3u、3dが外観上連係されて統一したデザインを構成し、その結果重厚感のある外観が得られる。
【0028】
また前記化粧部9は、左右両端に垂直にのび、前記化粧板9aの端部を覆う端の繋ぎモール10eと、化粧部9を左右領域に区画して垂直にのび、前記化粧板9a、9aの連続部分を覆う2本の中の繋ぎモール10iとを有する。そして端の繋ぎモール10eは、前記上下の開口部3u、3dの端の縦部材Feの間を繋ぎ、その表面中央に端の繋ぎ溝11eを有する。また中の繋ぎモール10iは、前記上下の開口部3u、3dの中の縦部材Fiの間を繋ぎ、その表面中央に中の繋ぎ溝11iを有する。
【0029】
また本形態では、端の繋ぎモール10e、中の繋ぎモール10iは、前記端の化粧モール6e、中の化粧モール6iと同一断面で形成され、これにより上下の開口部3u、3dに垂直方向に連続した化粧モール材が配設され、その結果外壁2の装飾性が高まる点で好ましい。
【0030】
前記化粧帯体5は、垂直方向に均一巾に形成された縦長帯状の化粧材であり、端の縦溝4eおよび中の縦溝4iの溝底面に被着される。端の縦溝4e、中の縦溝4iに配される化粧帯体5は、各々の溝巾と略同巾に形成されるが、双方の化粧帯体5の表面は、色、光沢、材質など外観を同一に形成され、その厚さは例えば1〜3mm程度である。また化粧帯体5は、カラーアルミ薄板、カラーステンレス鋼板、ホーロー鋼板、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、アセタール樹脂その他のプラスチックなどを用いて構成される。
【0031】
また、化粧帯体5は、ポリイソプレン系、天然ゴム系、ホットメルト型アクリル系、シリコーン系その他の粘着剤、エポキシ樹脂系、シアノアクリレート系その他の接着剤、専用固着金具、ビス・釘その他の固着具等を用いて端の縦溝4e、中の縦溝4iの溝底面に被着して取付けられる。
【0032】
このように、化粧帯体5は多種類の選択枝の中より選んで端、中の縦溝4e、4iに取付けることができることから、巾の広い自由なデザインが可能となり、その結果如何なるニーズにも応えることができる。また化粧帯体5の取替により簡単に意匠を変化させることができ、リフォームの際に短い工期でしかも低コストに抑えながら流行性に適合した開口部外観が得られる。さらに化粧帯体5は溝内に配されることから陰影を生じ、その結果重厚感のあるデザインとなる。
【0033】
前記化粧帯体5は、溝内で被着するため、端部等から剥れるなど外れることがなく、しかも汚れが付着し難い。また化粧帯体5を溝底面に被着して取付けることから、施工に際し熟練を必要とすることがない上、位置ズレを生じることもなく、作業性に優れる。
【0034】
また本形態では、上下の開口部3u、3dの端、中の縦溝4e、4i、さらには化粧部9の端、中の繋ぎ溝11e、11iを連続して化粧帯体5が被着されるため、開口部3において垂直にのびる垂直な上下方向の流れと繋がりとを感じさせる外観が構成され、統一感とバランスに優れた重厚感ある装飾性が得られる。また化粧帯体5を連続的に取付けできるため、施工性が高く、リフォーム時に意匠変更を簡単になしえる。
【0035】
図5は、他の実施形態を例示する。この開口部3においては、上の開口部3uは前記図1に示す実施形態と同一とし、下の開口部3dには、この下の開口部3dの全巾と同巾のサッシ枠7が取付けられ、3枚引き違い式のサッシ戸8が装着されている。そして図6に示すように、中央に配されたサッシ戸8Tの縦框8aは、その屋外側表面略中央に中の縦溝4iを有し、本形態の中の縦部材Fiは、このサッシ戸8Tの縦框8aで構成されている。また前記中央のサッシ戸8Tの左右に配されたサッシ戸8S、8Sの縦框8aの屋内側にも、同様に中の縦溝4iが形成され、屋内側の中の縦部材Fiを構成している。このように、中の縦溝4iを有するサッシ戸8の縦框8aを用いて中の縦部材Fiを形成すると、サッシ材の押出成形により簡単に中の縦溝4iを形成できるとともにサッシ戸8自体の外観が向上し、しかも縦框8aの断面係数が増加して強度が向上する。なお本形態の中の縦溝4iは、その溝側壁の奥部に凹部31が形成され、この凹部31が化粧帯体5の両側を嵌合支持している。
【0036】
なお前記中の縦部材Fiと同様にして、左右に配されたサッシ戸8Tの開口部3の左右端部側に配された縦框8a(図示せず)に端の縦溝4eを形成し、この縦框8aにより端の縦部材Feを形成することができる。このときもサッシ押出成形により簡単に端の縦溝4eを形成でき、外観に優れるとともに縦框8aの強度を向上させる。
【0037】
図7に示す実施形態においては、前記端の縦部材Feは、開口部3に取付けられたサッシ枠7の縦枠7aにより形成されている。この縦枠7aは、開口部3に配されたガラスGを固定する固定片32aと、端の縦溝4eを有し、かつ前記外壁パネル2Pの屋外側のパネル面材23oの表面に取付けられた外側片32bとで断面L字状に構成された外枠部32、およびこの外枠部32の固定片32aに連続して取付けられる連続片33aと、端の縦溝4eを有し、かつ外壁パネル2Pの屋外側のパネル面材23iの表面に取付けられた内側片33bとで断面L字状に構成された内枠部33を有する。このように、端の縦部材Feがサッシ枠の縦枠7aによって形成されると、サッシ材の押出成形工程で同時に端の縦溝4eを簡単に形成でき、またサッシ枠7自体の意匠性が向上する点で好ましい。
【0038】
図8に示す実施形態では、下の開口部3dは前記図5に例示した開口部3と同一とし、上の開口部3uは、前記左右に並ぶの小開口3Sを上下に三分割し、上位、下位に小フィックス窓Wf1を設け、中位には上方へスライドすることにより開閉可能な上げ窓Wuを取付けている。図9に示す実施形態では、上の開口部3uおよび下の開口部3dに左右に並んだ3個の小開口3Sが形成され、かつ全ての小開口3Sに縦フィックス窓Wf2を設けている。
【0039】
図10に示す実施形態では、上の開口部3uを腰高窓の大きさとし、かつ左右3個の小開口3Sを上下にニ分割して、上位に小フィックス窓Wf1、下位に上げ窓Wuを配している。また本形態では、上の開口部3uの下部の外壁2表面に前記小開口3Sと同巾の3枚のガラスパネル21左右に配し、かつ前記化粧部9の上端は前記ガラスパネル21の下端に連続している。図11に示す実施形態では、上の開口部3uと化粧部9との間にガラスパネル21を配し、かつ上の開口部3uの3個の小開口3Sを縦フィックス窓Wf2としている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する正面図である。
【図2】そのA−A断面図である。
【図3】その斜視図である。
【図4】そのB−B断面図である。
【図5】他の実施形態を例示する正面図である。
【図6】そのC−C断面図である。
【図7】さらに他の実施形態を例示する部分拡大断面図である。
【図8】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図9】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図10】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図11】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 外壁
3 開口部
3d 下の開口部
3u 上の開口部
4e 端の縦溝
4i 中の縦溝
5 化粧帯体
6 化粧モール
7 サッシ枠
7a 縦枠
8 サッシ戸
8a 縦框
9 化粧部
10e 端の繋ぎモール
10i 中の繋ぎモール
11e 端の繋ぎ溝
11i 中の繋ぎ溝
Fe 端の縦部材
Fi 中の縦部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類の外観意匠が簡単に構成できるため意匠性に優れ、リフォームにおける意匠替えも容易であり、しかも施工性に優れた開口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において外壁の開口部分は、採光、換気等の基本機能に加え、外観意匠を演出する上で重要な要素であり、多様化した外観ニーズに対応して様々な構造の開口部が提案されている。例えば特許文献1では、窓枠に障子、ガラス等を装着した上部窓サッシと、下部窓サッシと、双方の窓サッシの間を閉塞する中間パネルユニットとを具え、その左右両側に装飾用縦部材を設けると共に、この左右の装飾用縦部材間に複数の装飾用縦部材を等間隔で設けることにより、所謂縦連窓を構成するともに縦平行に配置された装飾用縦部材によりアクセントを付与し意匠性向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−256935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装飾用縦部材は、その外観の種類が限られているため、前記の如く多様化した意匠ニーズに対応するには限界があり、開口部が単調かつオーソドックスなデザインの域を超えることができなかった。例えばアルミ押出し型材を用いる場合には、カラーアルミを用いて色の選択は可能であるが、生産時に色決めをする必要からカラーバリエーションが限られ、その範囲内で選択して設計するため、デザインの自由性が乏しく開口部の意匠性には限界があった。
【0005】
また、リフォームに際して開口部周辺にデザインを一新するため前記装飾用縦部材の外観を替える場合、装飾用部材自体新たなものに置き換える必要があり、改修工事が大規模化することからリフォーム工期、コストが大巾に増加していた。また工事を簡略化するため装飾用部材に新たな外観の化粧シートで被覆する工法も選択できるが、仕上がりが不揃いになって外観を損ない易く、更には後付けした化粧シートが端部、継ぎ目などから部分的に剥離する問題がある。
【0006】
本発明は、前記した開口部の構造が有する問題点を解消し、端の縦部材、中の縦部材に設けた端の縦溝、中の縦溝の溝底面に同じ外観を有する化粧帯体を被着することを基本とし、デザインニーズに対応できる多種類の外観が簡単に得ることができ、リフォームの際にも容易に意匠替えをなしうる開口部の構造の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に係る発明は、前記端の縦部材、または中の縦部材は、化粧モールにより形成され、請求項3に係る発明では、前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に取付けられたサッシ枠の縦枠により形成され、また請求項4に係る発明は、前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に装着されたサッシ戸の縦框により形成されたことを特徴とする。
【0009】
また請求項5に係る発明は、前記開口部は、上階の外壁に形成された上の開口部と、下階の外壁に形成され、かつ前記上の開口部に同巾でその下方に配置された下の開口部とを含み、前記上の開口部の端の縦部材と、下の開口部の端の縦部材とは上下方向に並んで配され、また前記上の開口部の中の縦部材と、下の開口部の中の縦部材とは上下方向に並んで配されたことを特徴とし、請求項6に係る発明は、前記上の開口部と、下の開口部の間に横長の化粧部が形成され、この化粧部は、上下の端の縦部材の間を繋ぐ端の繋ぎモールを有するとともに上下の中縦部材の間を繋ぐ中の繋ぎモールを有し、前記端の繋ぎモール、中の繋ぎモールは、その表面略中央に各々前記端の縦溝、中の縦溝に連続する端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝を有し、前記端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝には、前記端の縦溝、中の縦溝から連続してのびる化粧帯体が被着されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明は、開口部の左右両端に配される端の縦部材に設けられた端の縦溝と、開口部を左右領域に区画する中の縦部材に設けられた中の縦溝とに同じ外観を有する化粧帯体を被着するため、多種類の化粧帯体の中からデザインに適したものを選択することにより多様化したニーズに合う開口部の外観を構成できる。リフォーム時は、化粧帯体の交換により簡単に開口部デザインを大きく替えることが可能で、しかも改修工期、コストを抑制しうる。また化粧帯体は縦溝の溝底面に被着されるため、剥れ難いことから耐久性に優れ、同時に汚れも付着しにくいため良好な外観を長期間維持しうる。さらに溝底面の化粧帯体には、陰影に富んだ高感性が付加されることにより意匠性が向上する。施工においては、化粧帯体が縦溝内で位置決めされるため、位置ズレすることがないとともに取付けの作業性に優れる。
【0011】
また請求項2に係る発明のように、端、中の縦部材を化粧モールにより形成すると、化粧帯体の必要な箇所にのみ化粧モールを取付けることにより高意匠の開口部を形成でき、特にリフォーム時のデザイン、施工が容易となる。
【0012】
また請求項3に係る発明のように、端、中の縦部材をサッシ枠の縦枠により形成すると、サッシ部材の押出し成形時に端、中の縦溝を容易に成形でき、かつサッシ枠自体の意匠性が向上し、請求項4に係る発明のように、端、中の縦部材をサッシ戸の縦框により形成すると、框部材の押出し成形時に端、中の縦溝を容易に成形でき、かつサッシ戸自体の意匠性が向上し、さらに縦框は縦溝を設けることより断面係数を増加補強される。
【0013】
また前記請求項5に係る発明のように構成することにより、縦連窓の開口部が構成されるため、統一感があり高感性な外壁デザインが得られ、前記請求項6に係る発明のように構成することにより、上下の開口部が連係し外壁全体にまとまりのある優れたデザイン性が得られ、特に化粧帯体が連続することにより上下方向の流れと繋がりを感じさせる高意匠が得られ、かつ化粧帯体取付けの作業性が向上し、特にリフォーム時の化粧帯体の取替えを容易とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示す開口部の構造1は、外壁2の開口部3の左右両端に配される端の縦部材Feと、開口部3を左右領域に区画する中の縦部材Fiと、化粧帯体5とを具える。
【0015】
前記外壁2は、本形態では、図2、3に示すように、矩形状をなす外周枠22aと、この外周枠22aの内側に架け渡された縦又は横の補強枠(図示せず)とかなるパネルフレーム22の両面に、外縁部が前記外周枠22aの外周部と略整一に揃うパネル面材23を貼着した外壁パネル2Pにより構築される。
【0016】
この外壁には、採光、通気、出入などのために前記開口部3が形成される。本形態の開口部3は、図1に示すように、ニ階建て建築物Aの外壁2に形成され、ニ階部分に配置された上の開口部3uと、一階部分に配置された下の開口部3dとからなる。なおこの下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾で、かつその下方に配置されている。このように上の開口部3uと下の開口部3dと上下に並べてを形成すると、複層階の開口が縦連窓を構成して上下に統一感のある外観が得られる。なお同様にして三階以上の開口部を連続した縦連窓とすることもできる。
【0017】
前記端の縦部材Feは、開口部3の左右両側に一対が配され、かつ垂直にのびる棒状をなす。またこの端の縦部材Feは、その表面中央に断面コ字状の端の縦溝4eを有する。本形態の端の縦部材Feは、図2、3に示すように、断面が偏平かつ略矩形状で、表面に端の縦溝4eが形成された端の化粧モール6eからなり、屋外側、屋内側の双方に取付けられる。
【0018】
図2、3に示すように、外壁パネル2Pの開口部3に臨む外周枠22aと、矩形枠状をなす開口フレーム25の縦フレーム25aとは、アダプタ24を介して固着される。屋外側の端の化粧モール6eは、その開口部側が、前記外周枠22aに取付けられたサッシ枠7の縦枠7aに固着されるとともに、外壁側の端部に設けられた側片6a先端が外壁パネル2Pのパネル面材23に当接し、これにより端の化粧モール6eは外壁2に平行な姿勢で取付けられる。なお前記パネル面材23とサッシ枠7の縦枠7aの間は、コーキング材など水密材30が充填され、端の化粧モール6e裏部における水密が維持されている。また屋内側の端の化粧モール6eは、前記外周枠22aおよび縦フレーム25aに固着される。なお本形態では前記の如く、下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾で、かつその下方に配置されることから、上下の開口部3u、3dの端の縦部材Feは、上下に並んで配置される。
【0019】
本形態の端の化粧モール6eは、断面の巾が例えば80〜150mm程度、厚さは例えば15〜40mm程度の大きさに形成される。また前記端の縦溝4eは、その巾が例えば50〜120mm程度、深さは例えば3〜10mm程度の浅溝として、屋外側、又は屋内側に向く表面の略中央に形成される。また前記端の化粧モール6eは、アルミニウムの押出成形品、木粉入りABS樹脂押出成形品など用いて形成される。
【0020】
このように端の化粧モール6eを用いて端の縦部材Feを構成する場合、必要箇所に対してのみ端の縦溝4eを簡単に形成でき、特にリフォームでの工事を簡単に行える点で好ましい。また本形態の端の化粧モール6eは、外壁2の屋外側、屋内側の双方に設けられるが、何れか片方にのみ設けることもできる。
【0021】
前記中の縦部材Fiは、開口部3の内側に1以上、本形態では2本が配され、かつ垂直にのびる棒状をなし、前記の如く開口部3を左右の領域に区画する。またこの中の縦部材Fiは、その表面中央に断面コ字状の中の縦溝4iを有する。
【0022】
この中の縦部材Fiにより左右に区画された開口部3は、区画された領域毎にサッシ枠7を取付けることによって分離した小開口3Sを形成することができる。本形態では、図1に示すように、上の開口部3uは、左右に並んだ同巾の3個の小開口3Sが形成される。さらにこの小開口3Sは、上下に三分割され、上位には屋内側へ傾斜することにより開閉可能な内倒し窓Wiが設けられ、中位、下位には板ガラスが開閉不可に装着された小フィックス窓Wf1が設けられている。また下の開口部3dにおいて、分離された3個の小開口3Sは、各々板ガラスが開閉不可に装着された縦フィックス窓Wf2としている。
【0023】
本形態の中の縦部材Fiは、図2、3に示すように、前記端の縦部材Feよりも小巾の中の化粧モール6iからなる。また本形態では、開口部3内に、矩形枠状の開口フレーム25、25が左右に配置され、隣接する開口フレーム25、25の縦フレーム25a、25aがアダプタ24を介して一体化される。この縦フレーム25a、25aの屋外側に取付けられたサッシ枠7の一対の縦枠7a、7aに、前記屋外側の中の化粧モール6iが固着される。また屋内側の中の化粧モール6iは、前記縦枠7a、7aの屋外側に直接固着される。なお本形態では、前記の如く下の開口部3dは、上の開口部3uと同巾でその下方に配置され、かつ中の縦部材Fiにより同巾で3個の小開口3Sに区画されるものであることから、上下の開口部3u、3dの中の化粧モール6iは上下に並んで配置される。
【0024】
本形態の中の化粧モール6iは、断面の巾が例えば30〜100mm程度で端の化粧モール6eよりも小巾に形成され、厚さは例えば15〜40mm程度で端の化粧モール6eと同厚に形成される。また前記端の縦溝4eは、その巾が例えば20〜70mm程度、深さは例えば3〜10mm程度の浅溝として、屋外側、又は屋内側に向く表面の略中央に形成される。このように中の化粧モール6iにより中の縦部材Fiを形成すると、前記端の化粧モール6eと同様に、必要箇所においてのみ中の縦溝4iを簡単に形成でき、リフォーム工事が簡単に行える点で好ましい。また前記端の化粧モール6eと同様、本形態の中の縦部材Fiは、外壁2の屋外側、屋内側の双方に形成しているが、何れかの側にのみ形成することもできる。
【0025】
また、中の化粧モール6iを設けることなく、前記サッシ枠7の縦枠7aの屋外側、屋内側を向く面に、中の縦溝4iを直接形成し、この縦枠7aにより中の縦部材Fiを形成することもできる。このときには、サッシ枠7の押出成形工程で同時に中の縦溝4iを簡単に形成でき、しかもサッシ枠7自体の意匠性を向上することができる。
【0026】
また本形態では、図1、4に示すように、上の開口部3uと、下の開口部3dとの間に化粧部9が形成される。この化粧部9は、前記小開口3Sの巾と同巾に形成された3枚の化粧板9aを、外壁パネル2Pのパネル面材23の表面に左右に並べて被着して形成される。この化粧部9の上下高さは、例えば250〜600mm程度とし、本形態では、下の開口部3dの上端から上の開口部3uの下端までのパネル面材23を連続して覆っている。化粧部9は、本形態では外壁2の屋外側、屋内側双方に形成しているが、屋外側にのみ設けることもある。
【0027】
なお前記化粧板9aは、例えばカラーステンレス鋼板、カラーアルミ板、ホーロー鋼板、アクリル板、ポリカーボネート板等が用いられる。このように上の開口部3uと、下の開口部3dの間に化粧部9を配することによって、外壁2において上下の開口部3u、3dが外観上連係されて統一したデザインを構成し、その結果重厚感のある外観が得られる。
【0028】
また前記化粧部9は、左右両端に垂直にのび、前記化粧板9aの端部を覆う端の繋ぎモール10eと、化粧部9を左右領域に区画して垂直にのび、前記化粧板9a、9aの連続部分を覆う2本の中の繋ぎモール10iとを有する。そして端の繋ぎモール10eは、前記上下の開口部3u、3dの端の縦部材Feの間を繋ぎ、その表面中央に端の繋ぎ溝11eを有する。また中の繋ぎモール10iは、前記上下の開口部3u、3dの中の縦部材Fiの間を繋ぎ、その表面中央に中の繋ぎ溝11iを有する。
【0029】
また本形態では、端の繋ぎモール10e、中の繋ぎモール10iは、前記端の化粧モール6e、中の化粧モール6iと同一断面で形成され、これにより上下の開口部3u、3dに垂直方向に連続した化粧モール材が配設され、その結果外壁2の装飾性が高まる点で好ましい。
【0030】
前記化粧帯体5は、垂直方向に均一巾に形成された縦長帯状の化粧材であり、端の縦溝4eおよび中の縦溝4iの溝底面に被着される。端の縦溝4e、中の縦溝4iに配される化粧帯体5は、各々の溝巾と略同巾に形成されるが、双方の化粧帯体5の表面は、色、光沢、材質など外観を同一に形成され、その厚さは例えば1〜3mm程度である。また化粧帯体5は、カラーアルミ薄板、カラーステンレス鋼板、ホーロー鋼板、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、アセタール樹脂その他のプラスチックなどを用いて構成される。
【0031】
また、化粧帯体5は、ポリイソプレン系、天然ゴム系、ホットメルト型アクリル系、シリコーン系その他の粘着剤、エポキシ樹脂系、シアノアクリレート系その他の接着剤、専用固着金具、ビス・釘その他の固着具等を用いて端の縦溝4e、中の縦溝4iの溝底面に被着して取付けられる。
【0032】
このように、化粧帯体5は多種類の選択枝の中より選んで端、中の縦溝4e、4iに取付けることができることから、巾の広い自由なデザインが可能となり、その結果如何なるニーズにも応えることができる。また化粧帯体5の取替により簡単に意匠を変化させることができ、リフォームの際に短い工期でしかも低コストに抑えながら流行性に適合した開口部外観が得られる。さらに化粧帯体5は溝内に配されることから陰影を生じ、その結果重厚感のあるデザインとなる。
【0033】
前記化粧帯体5は、溝内で被着するため、端部等から剥れるなど外れることがなく、しかも汚れが付着し難い。また化粧帯体5を溝底面に被着して取付けることから、施工に際し熟練を必要とすることがない上、位置ズレを生じることもなく、作業性に優れる。
【0034】
また本形態では、上下の開口部3u、3dの端、中の縦溝4e、4i、さらには化粧部9の端、中の繋ぎ溝11e、11iを連続して化粧帯体5が被着されるため、開口部3において垂直にのびる垂直な上下方向の流れと繋がりとを感じさせる外観が構成され、統一感とバランスに優れた重厚感ある装飾性が得られる。また化粧帯体5を連続的に取付けできるため、施工性が高く、リフォーム時に意匠変更を簡単になしえる。
【0035】
図5は、他の実施形態を例示する。この開口部3においては、上の開口部3uは前記図1に示す実施形態と同一とし、下の開口部3dには、この下の開口部3dの全巾と同巾のサッシ枠7が取付けられ、3枚引き違い式のサッシ戸8が装着されている。そして図6に示すように、中央に配されたサッシ戸8Tの縦框8aは、その屋外側表面略中央に中の縦溝4iを有し、本形態の中の縦部材Fiは、このサッシ戸8Tの縦框8aで構成されている。また前記中央のサッシ戸8Tの左右に配されたサッシ戸8S、8Sの縦框8aの屋内側にも、同様に中の縦溝4iが形成され、屋内側の中の縦部材Fiを構成している。このように、中の縦溝4iを有するサッシ戸8の縦框8aを用いて中の縦部材Fiを形成すると、サッシ材の押出成形により簡単に中の縦溝4iを形成できるとともにサッシ戸8自体の外観が向上し、しかも縦框8aの断面係数が増加して強度が向上する。なお本形態の中の縦溝4iは、その溝側壁の奥部に凹部31が形成され、この凹部31が化粧帯体5の両側を嵌合支持している。
【0036】
なお前記中の縦部材Fiと同様にして、左右に配されたサッシ戸8Tの開口部3の左右端部側に配された縦框8a(図示せず)に端の縦溝4eを形成し、この縦框8aにより端の縦部材Feを形成することができる。このときもサッシ押出成形により簡単に端の縦溝4eを形成でき、外観に優れるとともに縦框8aの強度を向上させる。
【0037】
図7に示す実施形態においては、前記端の縦部材Feは、開口部3に取付けられたサッシ枠7の縦枠7aにより形成されている。この縦枠7aは、開口部3に配されたガラスGを固定する固定片32aと、端の縦溝4eを有し、かつ前記外壁パネル2Pの屋外側のパネル面材23oの表面に取付けられた外側片32bとで断面L字状に構成された外枠部32、およびこの外枠部32の固定片32aに連続して取付けられる連続片33aと、端の縦溝4eを有し、かつ外壁パネル2Pの屋外側のパネル面材23iの表面に取付けられた内側片33bとで断面L字状に構成された内枠部33を有する。このように、端の縦部材Feがサッシ枠の縦枠7aによって形成されると、サッシ材の押出成形工程で同時に端の縦溝4eを簡単に形成でき、またサッシ枠7自体の意匠性が向上する点で好ましい。
【0038】
図8に示す実施形態では、下の開口部3dは前記図5に例示した開口部3と同一とし、上の開口部3uは、前記左右に並ぶの小開口3Sを上下に三分割し、上位、下位に小フィックス窓Wf1を設け、中位には上方へスライドすることにより開閉可能な上げ窓Wuを取付けている。図9に示す実施形態では、上の開口部3uおよび下の開口部3dに左右に並んだ3個の小開口3Sが形成され、かつ全ての小開口3Sに縦フィックス窓Wf2を設けている。
【0039】
図10に示す実施形態では、上の開口部3uを腰高窓の大きさとし、かつ左右3個の小開口3Sを上下にニ分割して、上位に小フィックス窓Wf1、下位に上げ窓Wuを配している。また本形態では、上の開口部3uの下部の外壁2表面に前記小開口3Sと同巾の3枚のガラスパネル21左右に配し、かつ前記化粧部9の上端は前記ガラスパネル21の下端に連続している。図11に示す実施形態では、上の開口部3uと化粧部9との間にガラスパネル21を配し、かつ上の開口部3uの3個の小開口3Sを縦フィックス窓Wf2としている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する正面図である。
【図2】そのA−A断面図である。
【図3】その斜視図である。
【図4】そのB−B断面図である。
【図5】他の実施形態を例示する正面図である。
【図6】そのC−C断面図である。
【図7】さらに他の実施形態を例示する部分拡大断面図である。
【図8】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図9】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図10】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【図11】さらに他の実施形態を例示する正面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 外壁
3 開口部
3d 下の開口部
3u 上の開口部
4e 端の縦溝
4i 中の縦溝
5 化粧帯体
6 化粧モール
7 サッシ枠
7a 縦枠
8 サッシ戸
8a 縦框
9 化粧部
10e 端の繋ぎモール
10i 中の繋ぎモール
11e 端の繋ぎ溝
11i 中の繋ぎ溝
Fe 端の縦部材
Fi 中の縦部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、
前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、
前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする開口部の構造。
【請求項2】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、化粧モールにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項3】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に取付けられたサッシ枠の縦枠により形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項4】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に装着されたサッシ戸の縦框により形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項5】
前記開口部は、上階の外壁に形成された上の開口部と、下階の外壁に形成され、かつ前記上の開口部に同巾でその下方に配置された下の開口部とを含み、
前記上の開口部の端の縦部材と、下の開口部の端の縦部材とは上下方向に並んで配され、また前記上の開口部の中の縦部材と、下の開口部の中の縦部材とは上下方向に並んで配されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の開口部の構造。
【請求項6】
前記上の開口部と、下の開口部の間に横長の化粧部が形成され、
この化粧部は、上下の端の縦部材の間を繋ぐ端の繋ぎモールを有するとともに上下の中縦部材の間を繋ぐ中の繋ぎモールを有し、
前記端の繋ぎモール、中の繋ぎモールは、その表面略中央に各々前記端の縦溝、中の縦溝に連続する端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝を有し、
前記端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝には、前記端の縦溝、中の縦溝から連続してのびる化粧帯体が被着されたことを特徴とする請求項5記載の開口部の構造。
【請求項1】
外壁に形成された開口部の左右両端で垂直にのびる一対の端の縦部材と、前記開口部を左右領域に区画し、かつ垂直にのびる1以上の中の縦部材とを具え、
前記端の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い端の縦溝を有するとともに、前記中の縦部材は、その表面略中央に上下にのびる断面コ字状の浅い中の縦溝を有し、
前記端の縦溝、および中の縦溝の溝底面に、同じ外観を有する化粧帯体を被着したことを特徴とする開口部の構造。
【請求項2】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、化粧モールにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項3】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に取付けられたサッシ枠の縦枠により形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項4】
前記端の縦部材、または中の縦部材は、前記開口部に装着されたサッシ戸の縦框により形成されたことを特徴とする請求項1記載の開口部の構造。
【請求項5】
前記開口部は、上階の外壁に形成された上の開口部と、下階の外壁に形成され、かつ前記上の開口部に同巾でその下方に配置された下の開口部とを含み、
前記上の開口部の端の縦部材と、下の開口部の端の縦部材とは上下方向に並んで配され、また前記上の開口部の中の縦部材と、下の開口部の中の縦部材とは上下方向に並んで配されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の開口部の構造。
【請求項6】
前記上の開口部と、下の開口部の間に横長の化粧部が形成され、
この化粧部は、上下の端の縦部材の間を繋ぐ端の繋ぎモールを有するとともに上下の中縦部材の間を繋ぐ中の繋ぎモールを有し、
前記端の繋ぎモール、中の繋ぎモールは、その表面略中央に各々前記端の縦溝、中の縦溝に連続する端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝を有し、
前記端の繋ぎ溝、中の繋ぎ溝には、前記端の縦溝、中の縦溝から連続してのびる化粧帯体が被着されたことを特徴とする請求項5記載の開口部の構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−77511(P2006−77511A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264355(P2004−264355)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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