説明

開放型燃焼機器

【課題】不完全燃焼に対する安全性をより一層向上し得る開放型燃焼機器を提供する。
【解決手段】バーナにて形成される火炎に接触する状態で装備されてその火炎の温度が高いほど高い値を出力する熱電対13と、不完全燃焼ガスの濃度を検出する不完全燃焼ガスセンサ17と、不完全燃焼ガスセンサ17の検出情報に基づいて、バーナの不完全燃焼を検知する制御手段4とが設けられた開放型燃焼機器であって、予め設定された適正使用可能期間が、熱電対13の方が不完全燃焼ガスセンサ17よりも長い構成で、熱電対13の出力が予め設定された判別用設定値以下になったときに、不完全燃焼ガスセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度が熱電対13の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲外の場合は、不完全燃焼ガスセンサ17の交換が必要であることを報知するセンサ交換報知手段Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナにて形成される火炎に接触する状態で装備された熱電対と、
不完全燃焼ガスの濃度を検出する不完全燃焼ガスセンサと、
前記不完全燃焼ガスセンサの検出情報に基づいて、前記バーナの不完全燃焼を検知する制御手段とが設けられた開放型燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる開放型燃焼機器は、バーナの燃焼ガスが室内に放出される状態で運転されるものであり、具体例として、例えば、ガスファンヒータやガスストーブ等が挙げられる。
そして、不完全燃焼ガスの濃度を検出する不完全燃焼ガスセンサの検出情報に基づいてバーナの不完全燃焼を検知するようにして、不完全燃焼を検知するとバーナの燃焼を停止させるとともに例えば警報手段を作動させる等の処理を実行するように構成することにより、不完全燃焼に対する安全対策が講じられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−14551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不完全燃焼ガスセンサの使用期間として、適正使用可能期間が予め設定されており、その適正使用可能期間が経過すると、不完全燃焼ガスセンサを交換するようにしている。しかしながら、適正使用可能期間が経過していなくても、品質のバラツキ等の要因により不完全燃焼ガスセンサの性能が低下していることがある。その為に、不完全燃焼ガスセンサにより不完全燃焼を適切に検知できない状態になっているにも拘わらず、不完全燃焼ガスセンサが継続して使用される虞があり、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上する上で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上し得る開放型燃焼機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開放型燃焼機器は、供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナにて形成される火炎に接触する状態で装備されてその火炎の温度が高いほど高い値を出力する熱電対と、
不完全燃焼ガスの濃度を検出する不完全燃焼ガスセンサと、
前記不完全燃焼ガスセンサの検出情報に基づいて、前記バーナの不完全燃焼を検知する制御手段とが設けられた開放型燃焼機器であって、
第1特徴構成は、予め設定された適正使用可能期間が、前記熱電対の方が前記不完全燃焼ガスセンサよりも長い構成で、
前記熱電対の出力が予め設定された判別用設定値以下になったときに、前記不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が前記熱電対の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲外の場合は、前記不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知するセンサ交換報知手段が設けられている点にある。
【0007】
即ち、不完全燃焼ガスセンサ及び熱電対の両者の性能が低下していない場合には、不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度と、熱電対の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度とは同じような値となる。よって、この場合には、不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が熱電対の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲内となる。
適正使用可能期間は、熱電対の方が不完全燃焼ガスセンサよりも長いので、不完全燃焼ガスセンサの性能が低下しても、熱電対の出力に基づいて不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度を十分な精度で求めることができる。よって、不完全燃焼ガスセンサの性能のみが低下している場合には、不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が熱電対の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲外となり、センサ交換報知手段により不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることが報知される。ここで、適正使用可能期間に関し、熱電対の方が不完全燃焼ガスセンサより長いことは、使用期間が前記関係にあるものを選択していることを意味する。
【0008】
そこで、判別用設定値を、性能が低下していない不完全燃焼ガスセンサにより検出可能な不完全燃焼ガスの濃度の下限値よりも高い不完全燃焼ガスの濃度に対応する熱電対の出力値に設定する。
そして、熱電対の出力(不完全燃焼ガスの濃度に対応)が判別用設定値以下になったときに、不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲内か否かによって不完全燃焼ガスセンサの交換要否を判別するようにすることにより、不完全燃焼ガスセンサの交換要否を適切に判別することができるのである。
従って、性能低下により不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを的確に判別して、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知することができるので、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上し得る開放型燃焼機器を提供することができるようになった。
【0009】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記熱電対出力対応濃度に対して濃度が低い側の低濃度側の許容範囲が、前記熱電対出力対応濃度に対して濃度が高い側の高濃度側の許容範囲よりも狭く設定される点にある。
【0010】
即ち、許容範囲を狭く設定するほど、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であると判別され易くなるので、交換が必要な程度に性能が低下していないにも拘らず交換が必要であると判別されることになって、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることが不必要に報知される虞がある。
一方、許容範囲を広く設定するほど、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることが不必要に報知されるのを回避できるものの、交換した方が好ましい程度に性能が低下しているにも拘らず交換が不要と判別されて、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることの報知が遅れる虞がある。
そして、検出される不完全燃焼ガスの濃度が実際の濃度よりも高くなる状態に不完全燃焼ガスセンサの性能が低下する場合は、不完全燃焼を検知し易くなるので、安全性の面では問題はなく、逆に、検出される不完全燃焼ガスの濃度が実際の濃度よりも低くなる状態に不完全燃焼ガスセンサの性能が低下する場合は、不完全燃焼を検知し難くなるので、安全性の面で問題が生じる虞がある。
そこで、熱電対出力対応濃度に基づいて許容範囲が設定されるにしても、低濃度側の許容範囲が高濃度側の許容範囲よりも狭く設定されるようにすることにより、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを不必要に報知するのを抑制しながら、安全性が損なわれないように的確に報知することができる。
従って、不完全燃焼ガスセンサを不必要に交換するのを抑制しながら、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上することができるようになった。
【0011】
第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記判別用設定値が、前記バーナの不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度以下の所定範囲の濃度に対応する前記熱電対の出力に設定可能であり、
前記判別用設定値が不完全燃焼ガスの濃度が高い前記熱電対の出力に設定されるほど、前記許容範囲が狭く設定される点にある。
【0012】
即ち、判別用設定値を高く設定するほど、熱電対の出力が判別用設定値以下になり易くなって、不完全燃焼ガスセンサの交換要否を判別する処理が実行される頻度が高くなるので、判別用設定値を不完全燃焼ガス濃度以下の所定範囲の濃度に対応する熱電対の出力に設定可能なように構成することにより、例えば、不完全燃焼ガスセンサの交換要否判別の必要度に応じて、判別用設定値を変更設定することができるようになる。
例えば、不完全燃焼ガスセンサの使用時間が長くなるほど不完全燃焼ガスセンサの性能が低下するので、不完全燃焼ガスセンサの使用時間が長くなるほど判別用設定値が高く設定されるようにして、不完全燃焼ガスセンサの交換要否を判別する頻度を高くするのが好ましい。
【0013】
そして、不完全燃焼ガスセンサによる不完全燃焼ガス濃度の検出精度は、検出対象の空気中の不完全燃焼ガスの濃度が高くなるほどが高くなるものである。
そこで、判別用設定値を所定の範囲内で設定可能なようにするにしても、判別用設定値が不完全燃焼ガスの濃度が高い熱電対の出力に設定されるほど、許容範囲が狭く設定されるようにすることにより、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを不必要に報知するのを抑制しながら、安全性が損なわれないように的確に報知することができるようになる。
従って、判別用設定値を変更設定することができるようにしながら、性能低下により不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であること的確に報知することができるようになった。
【0014】
第4特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記判別用設定値が、前記バーナの不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度に対応する前記熱電対の出力に設定されている点にある。
【0015】
即ち、不完全燃焼ガスセンサの検出精度は、検出対象の空気中の不完全燃焼ガスの濃度が高くなるほど高くなるので、判別用設定値をバーナの不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度に対応する熱電対の出力に設定することにより、許容範囲を極力狭く設定して、不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを不必要に報知するのを極力抑制しながら、安全性が損なわれないように的確に報知できるようにすることができる。
従って、不完全燃焼ガスセンサを不必要に交換するのを極力抑制しながら、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上することができるようになった。
【0016】
第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記不完全燃焼ガスセンサが着脱自在な状態で設けられ、
前記センサ交換報知手段が、前記不完全燃焼ガスセンサの前記適正使用可能期間が満了するときが近づくと前記不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知するように構成されている点にある。
【0017】
即ち、不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲内か否かにより不完全燃焼ガスセンサの交換要否を判別する処理、つまり、不完全燃焼ガスセンサの実際の検出情報に基づく交換要否の判別処理は、バーナの燃焼が不安定になることにより不完全燃焼ガスが発生するようになって、熱電対の出力が判別用設定値以下にならないと実行されないものである。
【0018】
そこで、センサ交換報知手段を不完全燃焼ガスセンサの適正使用可能期間が満了するときが近づくと不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知するように構成することにより、不完全燃焼ガスセンサの実際の検出情報に基づく交換要否の判別処理が次に実行されるまでに、あるいは、その判別処理にて交換が必要でないと判別されていても、不完全燃焼ガスセンサの適正使用可能期間が満了するときが近づくと、センサ交換報知手段により不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることが報知されることになる。
ちなみに、適正使用可能期間は、例えば、不完全燃焼を的確に検知できるように不完全燃焼ガスの濃度を検出できて、不完全燃焼ガスセンサを適正に使用できる期間に設定される。
そして、不完全燃焼ガスセンサが着脱自在な状態で設けられているので、センサ交換報知手段により不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることが報知されると、不完全燃焼ガスセンサを容易に新しいものと交換することができる。
従って、不完全燃焼の検知を適切に行うことができなくなる虞がある程度に性能が低下する前に的確に不完全燃焼ガスセンサを交換することができるので、不完全燃焼に対する安全性を更に向上することができるようになり、しかも、不完全燃焼ガスセンサの交換を容易に行うことができる。
【0019】
第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
前記センサ交換報知手段が、前記バーナが燃焼する燃焼時間を積算した積算燃焼時間が予め設定された報知用設定時間に達すると前記適正使用可能期間が満了するときが近づいたと判断するように構成されている点にある。
【0020】
即ち、不完全燃焼ガスセンサは駆動用電力が供給されることにより、不完全燃焼ガスの濃度の検出が可能な検出可能状態になり、そのような検出可能状態にされると、不完全燃焼ガスセンサの性能の低下が検出可能状態にされないときに比べて速くなる。
そして、一般には、不完全燃焼ガスセンサはバーナが燃焼されている間、検出可能状態にされるものである。
そこで、センサ交換報知手段を、バーナが燃焼する燃焼時間を積算した積算燃焼時間が予め設定された報知用設定時間に達すると適正使用可能期間が満了するときが近づいたと判断するように構成することにより、適正使用可能期間が満了するときが近づいたことを早くなり過ぎるのを抑制して的確に報知することができる。
従って、不必要な交換を抑制しながら、不完全燃焼の検知を適切に行うことができなくなる虞がある程度に性能が低下する前に的確に不完全燃焼ガスセンサを交換することができるようになった。
【0021】
第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記バーナを収納するケーシングに設けられた吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気として前記バーナに供給し、且つ、そのバーナの燃焼ガスを前記ケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すように通風作用する送風手段が設けられ、
前記不完全燃焼ガスセンサが、前記吸気口を通して吸い込まれる空気中の不完全燃焼ガスの濃度を検出するように前記吸気口又は前記吸気口付近に設けられている点にある。
【0022】
即ち、開放型燃焼機器の具体例が、ガス燃料や液体燃料を燃料とするファンヒータである場合、送風手段により、吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気としてバーナに供給し、並びに、そのバーナの燃焼ガスをケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すことにより、暖房対象空間を暖房することになる。
そして、不完全燃焼ガスセンサが、吸気口を通して吸い込まれる空気中の不完全燃焼ガスの濃度を検出するように吸気口又は吸気口付近に設けられているので、暖房対象空間の空気中に含まれる不完全燃焼ガスの濃度の検出情報に基づいて不完全燃焼を検知することができるようになり、不完全燃焼により安全性が損なわれるのを的確に検知することができる。
従って、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上し得るファンヒータを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る開放型燃焼機器の概略構成を示す縦断側面図である。
【図2】実施形態に係る開放型燃焼機器のブロック図である。
【図3】熱電対の起電力とCOセンサの検出一酸化炭素ガス濃度との関係を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る開放型燃焼機器の制御動作のフローチャートを示す図である。
【図5】第2実施形態に係る開放型燃焼機器の制御動作のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明を開放型燃焼機器の一例としてのガスファンヒータに適用した場合の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、ガスファンヒータは、供給されるガス燃料を燃焼させるバーナ1と、そのバーナ1にて形成される火炎に接触する状態で装備された熱電対13と、そのバーナ1が不完全燃焼したときに発生する一酸化炭素ガス等の不完全燃焼ガスを検出する不完全燃焼ガスセンサとしてのCOセンサ17と、ガスファンヒータの運転を制御する制御手段としての制御部4等を備えて構成されている。
【0025】
このガスファンヒータには、更に、バーナ1へガス燃料を供給する燃料供給状態とバーナ1へのガス燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段V、バーナ1を点火するイグナイタ2、バーナ1に燃焼用空気を供給する送風手段としての送風機5、ガスファンヒータの駆動用電力を供給する定電圧回路6、及び、制御部4に各種制御指令を指令する操作部7も設けられている。
【0026】
図1に示すように、バーナ1は、背面の上方側に吸気口8を備え且つ前面の下方側に吹出し口9を備えたケーシング10内に収納されている。
そのケーシング10内には、吸気口8を通して吸い込まれたケーシング外の空気の一部をバーナ1に燃焼用空気として案内し、残部をバーナ1の燃焼ガスと混合させた状態で吹出し口9に案内するように、内部風路11が形成されている。又、吸気口8には、エアフィルタ12が設けられている。
送風機5は、吸気口8に対して吸い込み作用させ且つその吐出部を吹出し口9に臨ませた状態で、つまり、吸気口8を通して吸い込まれたケーシング外の空気の一部を燃焼用空気としてバーナ1に供給し且つ残部をバーナ1の燃焼ガスと混合させた状態で吹出し口9からケーシング外に吹き出すように通風作用する状態で、内部風路11の途中に設けられている。
そして、送風機5の通風作用により、吸気口8を通して吸い込まれた暖房対象空間の空気にバーナ1の燃焼ガスを混合させて温風を生成し、その温風を吹出し口9から暖房対象空間に吹き出して、暖房対象空間を暖房することになる。
【0027】
図1に示すように、熱電対13は、バーナ1にて形成される火炎が接触するように、バーナ1の炎口(図示省略)の上方に設けられ、イグナイタ2も、バーナ1の炎口の上方に設けられている。
図1及び図2に示すように、バーナ1にガス燃料を供給する燃料供給路14には、その燃料供給路14を開閉する電磁式の開閉弁15、及び、バーナ1への燃料供給量を調整する電磁式の比例弁16が設けられ、これら開閉弁15と比例弁16とにより燃料断続手段Vが構成される。
燃料供給路14は、例えば、都市ガス(13A等、メタンガス(CH4)を主成分とするガス)が供給される都市ガス管(図示省略)に接続されて、この実施形態では、都市ガスがバーナ1に供給される。
【0028】
COセンサ17(不完全燃焼ガスセンサに相当する)は、吸気口8を通して吸い込まれる空気中の一酸化炭素ガスの濃度を検出するようにケーシング10の吸気口8に設けられている。
【0029】
定電圧回路6は、商用の交流電源を降圧し且つ整流平滑して所定の直流電圧を得るように構成されている。そして、ガスファンヒータに機器駆動用電力を供給するための電源コード18のプラグ19が商用電力が供給される電源コンセント(図示省略)に挿入されると、定電圧回路6から、制御部4にそれを駆動するための駆動用電力が供給されるように構成されている。
【0030】
COセンサ17は、周知であるので詳細な説明及び図示を省略して簡単に説明する。
この実施形態では、例えば、COセンサ17は半導体式のセンサが用いられ、この半導体式のセンサは、酸化錫等の金属酸化物半導体からなるセンサ素子を備えて構成されている。そして、そのセンサ素子は、一酸化炭素ガスに接触したときにその濃度に応じて抵抗値が変化する特性を有し、そのセンサ素子の抵抗値に基づいて一酸化炭素ガスの濃度を検出するように構成されている。
COセンサ17は、センサ素子を加熱する電気ヒータ(図示省略)、及び、その電気ヒータの加熱作動を制御する加熱制御部(図示省略)等を備えて構成され、COセンサ17に定電圧回路6からセンサ駆動用電力が供給されるのに伴って、電気ヒータによりセンサ素子の加熱が開始され、以降、センサ素子の温度が所定の加熱目標温度になるように電気ヒータの加熱作動が制御されるように構成されている。
そして、COセンサ17のセンサ素子に対して設定された加熱目標温度に加熱されると、COセンサ17は一酸化炭素ガスの濃度の検出が可能な検出可能状態になる。
【0031】
COセンサ17は、不完全燃焼を適切に検知できるように一酸化炭素ガス濃度を十分な精度で検出することができて、適正に使用することができる適正使用可能期間が予め設定されているものであり、この第1実施形態では、適正使用可能期間が例えば12000時間に設定されている。
そして、COセンサ17が開放型燃焼機器に着脱自在な状態で設けられて、COセンサ17の交換が容易なように構成されている。
説明を加えると、COセンサ17のセンサ素子の性能は、電気ヒータにより加熱されて検出可能状態にされる時間が経過するに伴って低下するものである。
そこで、センサ素子と電気ヒータとが一体的に組み付けられてセンサ素子ユニットに構成されて、そのセンサ素子ユニットが開放型燃焼機器に設けられたソケットに対する挿脱により着脱自在なように開放型燃焼機器に設けられて、COセンサ17の交換が容易なように構成されている。
【0032】
バーナ1にて形成される火炎の温度は、送風機5により供給される燃焼用空気中の酸素の濃度が低くなるほど、換言すれば、燃焼用空気中の一酸化炭素ガスの濃度が高くなるほど低下するものであり、その火炎に接触する状態で設けられている熱電対13の出力、即ち、起電力は熱電対13が測定している部分の火炎の温度が低くなるほど小さくなる。
そして、制御部4により、熱電対13の起電力に基づいて、バーナ1に点火する際にバーナ1が着火したか否かの検知、及び、バーナ1の点火後、バーナ1が不完全燃焼を起こすか否かの検知を行うように構成されている。
【0033】
図3に、バーナ1の不完全燃焼を実験的に起こすことが可能な部屋においてバーナ1を燃焼させて、バーナ1の点火時点からの熱電対13の起電力(電圧)及びCOセンサ17にて検出される一酸化炭素濃度夫々の時間経過に伴う変化を計測した結果を示す。
バーナ1の点火後、時間が経過するのに伴って、COセンサ17にて検出される一酸化炭素濃度が増加し、それに応じて、熱電対13の起電力が低下することが分かる。
【0034】
そして、予め、燃焼用空気中の一酸化炭素濃度を異ならせてバーナ1を燃焼させて、COセンサ17により燃焼用空気中の一酸化炭素濃度を検出し、並びに、熱電対13の起電力を計測することにより、COセンサ17の検出一酸化炭素ガス濃度と熱電対13の起電力との関係を求めて、その関係に基づいて、熱電対13の起電力から空気中の一酸化炭素ガスの濃度を求めることができる。
例えば、熱電対13の起電力とCOセンサ17の検出一酸化炭素ガス濃度との関係が図3に示す如きものである場合、その関係に基づいて、熱電対13の起電力(電圧)が15mVのときは、空気中の一酸化炭素ガスの濃度が20ppmとして求められる。
【0035】
図2に示すように、操作部7には、ガスファンヒータの運転開始及び運転停止を指令する運転スイッチ20、COセンサ17の交換が必要であるときに点灯する交換報知ランプ21、不完全燃焼を検知したときに点灯する異常報知ランプ22、暖房目標温度を設定する温度設定部23、暖房目標温度、室内温度等の各種情報を表示する表示部(図示省略)等が設けられている。
運転スイッチ20は、押し操作が繰り返される毎に、運転開始と運転停止とが交互に指令されるように構成されている。
【0036】
以下、制御部4の制御動作について説明する。
制御部4には、予め、不完全燃焼を検知するための一酸化炭素ガス濃度に設定された不完全燃焼検知用濃度、その不完全燃焼検知用濃度に対応する熱電対13の起電力に設定された不完全燃焼検知用起電力、COセンサ17の交換が必要であるか否かを判別する処理を実行するための熱電対13の起電力に設定された判別用設定値、及び、その判別用設定値により求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定されて、COセンサ17の交換が必要であるか否かを判別するための許容範囲が記憶されている。
この実施形態では、不完全燃焼検知用濃度が例えば30ppmに設定されている。
【0037】
制御部4は、電源コード18のプラグ19が電源コンセントに挿入されるのに伴って駆動用電力の供給が開始されると制御動作を開始する。
そして、制御部4は、運転スイッチ20により運転開始が指令されると、COセンサ17を検出可能状態にすべく、センサ駆動用電力を供給するように加熱制御部の作動を制御することによりCOセンサ17を起動し、バーナ1を点火する点火処理を実行し、以降、運転スイッチ20により運転停止が指令されると、バーナ1を消火する消火処理を実行するように構成されている。
【0038】
制御部4は、点火処理では、送風機5を作動させ、その送風機5の作動後、プリパージ用設定時間が経過するとイグナイタ2を作動させ且つ開閉弁15及び比例弁16夫々を開弁し、熱電対13の起電力によりバーナ1の着火を検知するとイグナイタ2の作動を停止する(燃料供給状態に切り換えることに相当する)処理を実行し、消火処理では、開閉弁15及び比例弁16夫々を閉弁し(燃料供給停止状態に切り換えることに相当する)、それらの閉弁後、ポストパージ用設定時間が経過すると送風機5を停止させる処理を実行する。ちなみに、プリパージ用設定時間は例えば4〜7秒の範囲の時間に設定され、ポストパージ用設定時間は例えば100〜160秒の範囲の時間に設定される。
【0039】
本発明では、COセンサ17が適正使用可能期間になっていなくても、COセンサ17の性能低下を検知して、その旨を使用者に報知するために、制御部4は、点火処理の開始時点から消火処理が終了するまでの間に、熱電対13の起電力Eが予め設定された判別用設定値Es以下になったときに、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが熱電対13の起電力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度Dsに基づいて設定される許容範囲外の場合は、交換報知ランプ21を点灯するように構成されている。
つまり、熱電対13の起電力Eが判別用設定値Es以下になったときに、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが熱電対出力対応濃度Dsに基づいて設定される許容範囲外の場合はCOセンサ17の交換が必要であることを報知するセンサ交換報知手段Aが、制御部4と交換報知ランプ21とにより構成されている。
【0040】
以下、図3(b)に基づいて許容範囲(同図の一転鎖線で挟まれた範囲)の設定については説明する。
この第1実施形態では、許容範囲について、熱電対出力対応濃度に対して濃度が低い側の低濃度側の許容範囲が、熱電対出力対応濃度に対して濃度が高い側の高濃度側の許容範囲よりも狭く設定される。
又、判別用設定値は、バーナ1の不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度(即ち、前記不完全燃焼検知用濃度)以下の所定範囲の濃度に対応する熱電対13の起電力に設定可能であり、判別用設定値が不完全燃焼ガスの濃度が高い熱電対13の起電力に設定されるほど、許容範囲が狭く設定される。
【0041】
判別用設定値Esを設定可能な一酸化炭素ガス濃度範囲は、例えば、20ppmから不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度である30ppmの範囲に設定される。
判別用設定値Esに対応する熱電対出力対応濃度Dsに加算することにより許容範囲の上限値Lmaxを設定するための上限値設定用加算値Ka、及び、熱電対出力対応濃度Dsから減算することにより許容範囲の下限値Lminを設定するための下限値設定用減算値Kd夫々が、熱電対出力対応濃度Dsが同じであれば上限値設定用加算値Kaの方が大きくなる条件で、熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど小さくなる状態で設定されている。
そして、許容範囲の上限値Lmax及び下限値Lminが、下限値設定用減算値Kd及び上限値設定用加算値Kaを用いて下記の数式にて設定される。
【0042】
Lmin=Ds−Kd
Lmax=Ds+Ka
【0043】
例えば、上限値設定用加算値Kaは、熱電対出力対応濃度Dsが20ppmのときの20ppmから熱電対出力対応濃度Dsが30ppmのときの8ppmの範囲で、及び、下限値設定用減算値Kdは、熱電対出力対応濃度Dsが20ppmのときの10ppmから熱電対出力対応濃度Dsが30ppmのときの5ppmの範囲で、夫々、熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど小さくなる状態で設定されている。
この第1実施形態では、例えば、図3(a)に示すように、判別用設定値Esが15mVに設定され、その15mVの起電力に対応する熱電対出力対応濃度Dsは20ppmであるので、許容範囲の上限値Lmaxは40ppmに設定され、許容範囲の下限値Lminは10ppmに設定されている。
【0044】
又、制御部4は、点火処理の開始時点から消火処理が終了するまでの間、熱電対13の起電力に基づいて不完全燃焼の発生の有無を検知する熱電対利用不完全燃焼検知処理、及び、COセンサ17の検出情報に基づいて不完全燃焼の発生の有無を検知するセンサ利用不完全燃焼検知処理を実行する。
そして、制御部4は、熱電対利用不完全燃焼検知処理において、熱電対13の起電力が不完全燃焼検知用起電力以下になって不完全燃焼を検知すると、消火処理を実行するように構成されている。
又、制御部4は、センサ利用不完全燃焼検知処理において、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度が不完全燃焼検知用濃度以上になって不完全燃焼を検知すると、消火処理を実行するように構成されている。
【0045】
更に、制御部4は、点火処理の開始時点から消火処理が終了するまでの時間、即ち、バーナ1の燃焼時間を積算して、その積算燃焼時間が予め設定された報知用設定時間に達すると、交換報知用ランプ21を点灯するように構成されている。
この第1実施形態では、報知用設定時間は、例えば、適正使用可能期間の12000時間に相当する時間よりも多少短い時間(例えば、10000時間)に設定されている。
つまり、センサ交換報知手段Aが、COセンサ17の適正使用可能期間が満了するときが近づくとCOセンサ17の交換が必要であることを報知するように構成されていることになる。
更に、センサ交換報知手段Aが、バーナ1が燃焼する燃焼時間を積算した積算燃焼時間が予め設定された報知用設定時間に達すると前記適正使用可能期間が満了するときが近づいたと判断するように構成されていることになる。
【0046】
次に、制御部4による一連の制御動作を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
制御部4は、電源コード18のプラグ19が電源コンセントに挿入されるのに伴って駆動用電力が供給されると、制御動作を開始する。
そして、制御部4は、運転スイッチ20により運転開始が指令されると、COセンサ17を検出可能状態にすべくセンサ起動処理を実行し、続いて、バーナ1を点火する点火処理を実行する(ステップ#1〜3)。
【0047】
制御部4は、その点火処理の実行後、運転スイッチ20により運転停止が指令されるまで、バーナ1の燃焼時間を積算する燃焼時間積算処理、その積算燃焼時間が報知用設定時間に達するか否かを判別する燃焼時間判別処理、暖房対象空間の温度を検出する室温センサ(図示省略)の検出温度が暖房目標温度になるように比例弁16の開度を調節してバーナ1の燃焼量を調整する燃焼量調整制御、前記熱電対利用不完全燃焼検知処理、熱電対13の起電力Eが判別用設定値Es以下か否かを判別する熱電対出力判別処理、前記センサ利用不完全燃焼検知処理を実行し、熱電対利用不完全燃焼検知処理及びセンサ利用不完全燃焼検知処理のいずれにおいても不完全燃焼を検知しない状態で運転スイッチ20により運転停止が指令されると、消火処理を実行し、並びに、COセンサ17へのセンサ駆動用電力の供給を停止するように加熱制御部の作動を制御するセンサ停止処理を実行した後、リターンする(ステップ#4〜12)。
ちなみに、制御部4は、燃焼時間積算処理及び燃焼量調整制御を燃焼量調整用の設定周期毎に実行し、並びに、熱電対出力判別処理、熱電対利用不完全燃焼検知処理、センサ利用不完全燃焼検知処理を異常検知用の設定周期毎に実行する。
【0048】
制御部4は、ステップ#5の燃焼時間積算処理において、積算燃焼時間が報知用設定時間に達したと判別すると、ステップ#13において交換報知ランプ21を点灯してステップ#6に進む。
【0049】
制御部4は、ステップ#7の熱電対利用不完全燃焼検知処理において不完全燃焼を検知すると、消火処理を実行し、異常報知ランプ22を点灯して、リセットスイッチ(図示省略)によりリセット指令が指令されるまで待機し、リセット指令が指令されると、異常報知ランプ22を消灯し、センサ停止処理を実行した後(ステップ#14〜17,12)、リターンする。
【0050】
制御部4は、ステップ#8の熱電対出力判別処理において、熱電対13の起電力Eが判別用設定値Es以下であると判別すると、ステップ#18において、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが熱電対出力対応濃度Dsに基づいて設定される許容範囲内か否かを判別して、許容範囲内の場合はそのままステップ#9に進み、許容範囲外の場合は、ステップ#19において交換報知ランプ21を点灯した後、ステップ#9に進む。
又、制御部4は、ステップ#9のセンサ利用不完全燃焼検知処理において不完全燃焼を検知した場合も、ステップ#7において不完全燃焼を検知した場合と同様に、ステップ#14〜17、12の処理を実行した後、リターンする。
つまり、不完全燃焼を検知して異常報知ランプ22を点灯すると、リセットスイッチが押されて復帰指令が指令されるまで、運転スイッチ20による運転開始の指令を受け付けない状態となる。
ちなみに、使用者等は、異常報知ランプ22が点灯すると、安全確認を行った後にリセットスイッチを押すことになる。
【0051】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、判別用設定値の設定例の別実施形態を説明するものであり、判別用設定値が異なることに伴って制御部4の制御動作が上記の第1実施形態と異なるが、ガスファンヒータの全体構成は第1実施形態の構成と同様であるので、主として、制御部4の制御動作について説明する。
【0052】
この第2実施形態においては、判別用設定値が、バーナ1の不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度に対応する熱電対13の起電力に設定されている。
例えば、不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度が上記の第1実施形態と同様に30ppmの場合、判別用設定値は30ppmの不完全燃焼ガスの濃度に対応する熱電対13の起電力、即ち、不完全燃焼検知用起電力に設定される。
又、COセンサ17の交換が必要であるか否かを判別するための許容範囲は、上記の第1実施形態と同様に、下限値設定用減算値Kd及び上限値設定用加算値Kaを用いて設定される。
【0053】
そして、上記の第1実施形態と同様に、制御部4は、点火処理の開始時点から消火処理が終了するまでの間に、熱電対13の起電力Eが予め設定された判別用設定値Es以下になったときに、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが熱電対13の起電力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度Dsに基づいて設定される許容範囲外の場合は、交換報知ランプ21を点灯するように構成されている。
【0054】
次に、制御部4による一連の制御動作を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
図5において、ステップ#31〜33の制御動作は、上記の第1実施形態において説明した図4のステップ#1〜3の制御動作と同様であるので、説明を省略する。
制御部4は、点火処理の実行後、運転スイッチ20により運転停止が指令されるまで、燃焼時間積算処理、燃焼時間判別処理、燃焼量調整制御、熱電対利用不完全燃焼検知処理、センサ利用不完全燃焼検知処理を実行し、熱電対利用不完全燃焼検知処理及びセンサ利用不完全燃焼検知処理のいずれにおいても不完全燃焼を検知しない状態で運転スイッチ20により運転停止が指令されると、消火処理を実行し、並びに、センサ停止処理を実行した後、リターンする(ステップ#34〜41)。
【0055】
制御部4は、ステップ#35の燃焼時間積算処理において、積算燃焼時間が報知用設定時間に達したと判別すると、ステップ#42において交換報知ランプ21を点灯してステップ#36に進む。
【0056】
熱電対利用不完全燃焼検知処理において、熱電対13の起電力が不完全燃焼検知用起電力以下になって不完全燃焼を検知することは、熱電対13の起電力Eが判別用設定値Es以下になることに相当する。
そこで、制御部4は、ステップ#37の熱電対利用不完全燃焼検知処理において不完全燃焼を検知すると、ステップ#43において、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが熱電対出力対応濃度Dsに基づいて設定される許容範囲内か否かを判別して、許容範囲内の場合は、消火処理を実行し、異常報知ランプ22を点灯して、リセットスイッチによりリセット指令が指令されるまで待機し、リセット指令が指令されると、異常報知ランプ22を消灯し、センサ停止処理を実行した後(ステップ#44〜47,41)、リターンする。
又、制御部4は、ステップ#43において、COセンサ17にて検出される不完全燃焼ガスの濃度Dが許容範囲外であると判別すると、ステップ#48において交換報知ランプ21を点灯した後、ステップ#44〜47,41の処理を実行した後に、リターンする。
又、制御部4は、ステップ#38のセンサ利用不完全燃焼検知処理において不完全燃焼を検知した場合も、ステップ#44〜47.41の処理を実行した後、リターンする。
【0057】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 判別用設定値の具体的な設定値は、上記の第1及び第2の各実施形態において例示した値に限定されるものではなく、バーナ1の不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度以下の所定範囲(例えば20〜30ppm)の種々の濃度に対応する熱電対13の起電力に設定することができる。
又、上記の第1及び第2の各実施形態においては、判別用設定値を1つの値に設定したが、バーナ1の不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度以下の所定範囲内で変更設定するように構成しても良い。
例えば、不完全燃焼ガスセンサ17の使用時間が長くなるほど不完全燃焼ガスセンサ17の性能が低下するので、不完全燃焼ガスセンサ17の使用時間が長くなるほど判別用設定値が高く設定されるようにして、不完全燃焼ガスセンサ17の使用時間が長くなるほど不完全燃焼ガスセンサ17の交換要否を判別する頻度を高くするようにしても良い。
この場合は、不完全燃焼ガスセンサ17の性能の低下が進むほどその交換要否を判別する頻度が高くなるので、性能が低下して不完全燃焼ガスセンサ17の交換が必要であることをより一層的確に報知することができる。
【0058】
(ロ) COセンサ17の交換が必要であるか否かを判別するための許容範囲の設定の仕方は、上記の実施形態において例示した設定の仕方に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態においては、熱電対出力対応濃度に対して濃度が低い側の低濃度側の許容範囲を熱電対出力対応濃度に対して濃度が高い側の高濃度側の許容範囲よりも狭く設定したが、低濃度側の許容範囲と高濃度側の許容範囲を同様の幅に設定しても良い。
又、判別用設定値Esに対応する熱電対出力対応濃度Dsに乗ずることにより許容範囲の上限値Lmaxを設定するための上限値設定用係数Ra、及び、熱電対出力対応濃度Dsに乗ずることにより許容範囲の下限値Lminを設定するための下限値設定用係数Rd夫々を、上限値設定用係数Raが1より大きい条件で熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど小さくなり、下限値設定用係数Rdを1よりも小さい条件で熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど大きくなる状態で設定して、それら上限値設定用係数Ra及び下限値設定用係数Rdを用いて、許容範囲の上限値Lmax及び下限値Lminを下記の数式にて設定しても良い。
【0059】
Lmin=Ds×Rd
Lmax=Ds×Ra
【0060】
例えば、上限値設定用係数Raを、熱電対出力対応濃度Dsが20ppmのときの2から熱電対出力対応濃度Dsが30ppmのときの1.2の範囲で、熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど小さくなるように設定し、下限値設定用係数Rdを、熱電対出力対応濃度Dsが20ppmのときの0.5から熱電対出力対応濃度Dsが30ppmのときの0.9の範囲で、熱電対出力対応濃度Dsが高くなるほど大きくなるように設定することができる。
又、上限値設定用係数Ra及び下限値設定用係数Rd夫々を、Ra−1>1−Rdの条件で設定することにより、熱電対出力対応濃度Dsに対して濃度が低い側の低濃度側の許容範囲を、熱電対出力対応濃度Dsに対して濃度が高い側の高濃度側の許容範囲よりも狭く設定する。
【0061】
(ハ) 不完全燃焼ガスセンサ17の交換が必要であることを報知するセンサ交換報知手段Aの具体構成は、上記の実施形態において例示した如き交換報知ランプ21を備えて構成する場合に限定されるものではない。例えば、不完全燃焼ガスセンサ17の交換が必要である旨のメッセージを音声にて出力するスピーカや、そのようなメッセージを表示出力する表示装置を備えて構成しても良い。又、交換報知ランプ21、メッセージを音声にて出力するスピーカ及びメッセージを表示出力する表示装置のうちのいずれか2つ又は全てを備えて構成しても良い。
【0062】
(ニ) 上記の実施形態においては、ステップ#13において交換報知ランプ21を点灯させた後も開放型燃焼機器の作動を継続するように構成したが、交換報知ランプ21を点灯させた後は開放型燃焼機器を停止させても良い。
【0063】
(ホ) COセンサ17のタイプは、上記の実施形態において例示した如き半導体式に限定されるものではなく、例えば、接触燃焼式、赤外線式、電気化学式等、種々のタイプのセンサを用いることが可能である。
【0064】
(ヘ)上記の実施形態では、燃料としてガス燃料を用いるバーナ1を備えた開放型燃焼機器に本発明を適用する場合について例示したが、本発明は燃料として液体燃料を用いるバーナ1を備えた開放型燃焼機器にも適用することが可能である。
又、燃料としてガス燃料を用いるバーナ1を備えた開放型燃焼機器に本発明を適用する場合、ガス燃料はメタンを主成分とする都市ガスに限定されるものではなく、例えばプロパンガスでも良い。
【0065】
(ト) 本発明は、上記の実施形態において例示したガスファンヒータ以外に、ガスストーブ、石油ファンヒータ、石油ストーブ、給湯装置等、種々の開放型燃焼機器に適用することができる
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、不完全燃焼に対する安全性をより一層向上し得る開放型燃焼機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 バーナ
4 制御手段
5 送風手段
8 吸気口
9 吹出し口
10 ケーシング
13 熱電対
17 不完全燃焼ガスセンサ
A センサ交換報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナにて形成される火炎に接触する状態で装備されてその火炎の温度が高いほど高い値を出力する熱電対と、
不完全燃焼ガスの濃度を検出する不完全燃焼ガスセンサと、
前記不完全燃焼ガスセンサの検出情報に基づいて、前記バーナの不完全燃焼を検知する制御手段とが設けられた開放型燃焼機器であって、
予め設定された適正使用可能期間が、前記熱電対の方が前記不完全燃焼ガスセンサよりも長い構成で、
前記熱電対の出力が予め設定された判別用設定値以下になったときに、前記不完全燃焼ガスセンサにて検出される不完全燃焼ガスの濃度が前記熱電対の出力から求められる不完全燃焼ガスの熱電対出力対応濃度に基づいて設定される許容範囲外の場合は、前記不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知するセンサ交換報知手段が設けられている開放型燃焼機器。
【請求項2】
前記熱電対出力対応濃度に対して濃度が低い側の低濃度側の許容範囲が、前記熱電対出力対応濃度に対して濃度が高い側の高濃度側の許容範囲よりも狭く設定される請求項1に記載の開放型燃焼機器。
【請求項3】
前記判別用設定値が、前記バーナの不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度以下の所定範囲の濃度に対応する前記熱電対の出力に設定可能であり、
前記判別用設定値が不完全燃焼ガスの濃度が高い前記熱電対の出力に設定されるほど、前記許容範囲が狭く設定される請求項1又は2に記載の開放型燃焼機器。
【請求項4】
前記判別用設定値が、前記バーナの不完全燃焼を検知するための不完全燃焼ガス濃度に対応する前記熱電対の出力に設定されている請求項1又は2に記載の開放型燃焼機器。
【請求項5】
前記不完全燃焼ガスセンサが着脱自在な状態で設けられ、
前記センサ交換報知手段が、前記不完全燃焼ガスセンサの前記適正使用可能期間が満了するときが近づくと前記不完全燃焼ガスセンサの交換が必要であることを報知するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の開放型燃焼機器。
【請求項6】
前記センサ交換報知手段が、前記バーナが燃焼する燃焼時間を積算した積算燃焼時間が予め設定された報知用設定時間に達すると前記適正使用可能期間が満了するときが近づいたと判断するように構成されている請求項5に記載の開放型燃焼装置。
【請求項7】
前記バーナを収納するケーシングに設けられた吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気として前記バーナに供給し、且つ、そのバーナの燃焼ガスを前記ケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すように通風作用する送風手段が設けられ、
前記不完全燃焼ガスセンサが、前記吸気口を通して吸い込まれる空気中の不完全燃焼ガスの濃度を検出するように前記吸気口又は前記吸気口付近に設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の開放型燃焼機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−164214(P2010−164214A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5147(P2009−5147)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】