説明

開閉体の吊り込み方法

【課題】折戸体の吊り込み作業を容易にできる折戸装置の吊り込み方法を提供する。
【解決手段】上部ガイドレール3に上部走行体12を走行可能に嵌合する。折戸体5の扉体6の下端面の下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合する。下部走行体61にクリップ体75を取り付け、扉体6を一定の高さに保持する。扉体6を折り畳んで上部走行体12を挟み込む。ベースカップ13の係合溝部26に上部走行体12の連結軸部17を嵌合し、ベースカップ13のロック部材41に上部走行体12の抜止突部18を回動可能に嵌合する。扉体6を折り畳むだけで、ベースカップ13と上部走行体12とを回動可能に連結できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を開閉可能にする開閉体の吊り込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の開閉体装置は、いわゆるワンタッチで開閉体の吊り込みが施工できるものが主流となっている。そして、この種の開閉体装置としては、開口部の上部に取り付けられたガイドレールにガイドローラが走行可能に嵌合されている。また、これらガイドローラが回転可能に接続されたローラホルダの下面には、ケース体が水平方向に沿って回転可能に取り付けられている。そして、このケース体は、開閉体に予め取り付けられたベースカップの嵌合凹部に着脱可能に嵌合されて、この開閉体をガイドレールに走行可能に吊り込ませる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−109768号公報(第3−6頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記開閉体装置では、開閉体の荷重を保持しつつ、ガイドレールに走行可能に保持されたローラが取り付けられたローラホルダを、開閉体に取り付けられたベースカップそれぞれの嵌合凹部に位置合わせしながらそれぞれを嵌合させなければ、開閉体を開口部に開閉可能に取り付けることができないので、この開閉体の吊り込み作業が容易ではないという問題を有している。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、開閉体の吊り込み作業を容易にできる開閉体の吊り込み方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の開閉体の吊り込み方法は、折り畳み可能な一対の板体を備え、これら一対の板体にて開口部を開閉させる開閉体と、前記開口部の上部に配設される上部案内体と、この上部案内体を走行し前記開閉体の一対の板体を吊り下げ支持する一対のランナ、前記開閉体の一対の板体の端部に取り付けられた一対の固着部、これら一対の固着部および前記一対のランナのいずれか一方に設けられた一対の取付部、および前記一対の固着部および前記一対のランナのいずれか他方に設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の被取付部を備えた上部走行体とを具備した開閉体装置の吊り込み方法であって、前記一対のランナを前記上部案内体内で走行させ、前記開閉体の一対の板体を折り畳んで前記一対のランナを挟み込み、前記一対の取付部を前記一対の被取付部に取り付けて、前記一対のランナと前記一対の固着部とを結合するものである。
【0006】
そして、開口部の上部に配設された上部案内体内に一対のランナを走行させた後、開閉体の一対の板体を折り畳んで一対のランナを挟み込んで、一対の取付部を一対の被取付部に取り付けて、一対のランナと一対の固着部とを結合する。この結果、一対の取付部を一対の被取付部に取り付ける際に、一対のランナが一対の板体間から逃げなくなるから、開閉体の一対の板体の吊り込み作業を容易にできる。
【0007】
請求項2記載の開閉体の吊り込み方法は、折り畳み可能な一対の板体を備え、これら一対の板体にて開口部を開閉させる開閉体と、前記開口部の上部に配設される上部案内体と、この上部案内体を走行し前記開閉体の一対の板体を吊り下げ支持する一対のランナ、前記開閉体の一対の板体の端部に取り付けられた一対の固着部、これら一対の固着部および前記一対のランナのいずれか一方に設けられた一対の取付部、前記一対の固着部および前記一対のランナのいずれか他方に設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の第1の被取付部、およびこれら一対の第1の被取付部に連続して設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の第2の被取付部を備えた上部走行体とを具備した開閉体装置の吊り込み方法であって、前記一対のランナを前記上部案内体内で走行させ、前記開閉体の一対の板体を折り畳んで前記一対のランナを挟み込み、前記一対の取付部を前記一対の第1の被取付部に取り付け、一対の板体を折り畳む方向と交差する水平方向に向けて開閉体を移動させて、前記一対の取付部を前記一対の第2の被取付部に取り付け、前記一対のランナと前記一対の固着部とを結合するものである。
【0008】
そして、開口部の上部に配設された上部案内体内に一対のランナを走行させた後、開閉体の一対の板体を折り畳んで一対のランナを挟み込んで、一対の取付部を一対の第1の被取付部に取り付ける。さらに、開閉体の一対の板体を折り畳む方向と交差する水平方向に向けて開閉体を移動させて、一対の取付部を一対の第2の被取付部に取り付けて、一対のランナと一対の固着部とを結合する。この結果、一対の取付部を一対の第1の被取付部および第2の被取付部のそれぞれに取り付ける際に、一対のランナが一対の板体間から逃げなくなるから、開閉体の一対の板体の吊り込み作業をより容易にできる。
【0009】
請求項3記載の開閉体の吊り込み方法は、請求項1または2記載の開閉体の吊り込み方法において、一対の板体を持ち上げつつ、これら一対の板体を折り畳んで、一対のランナと一対の固着部とを結合させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上部案内体内に一対のランナを走行させた後、開閉体の一対の板体を折り畳んで一対のランナを挟み込んで、一対の取付部を一対の被取付部に取り付けて、一対のランナと一対の固着部とを結合することにより、一対の取付部を一対の被取付部に取り付ける際に、一対のランナが一対の板体間から逃げなくなるから、開閉体の一対の板体の吊り込み作業を容易にできる。
【0011】
また、上部案内体内に一対のランナを走行させた後、開閉体の一対の板体を折り畳んで一対のランナを挟み込んで、一対の取付部を一対の第1の被取付部に取り付け、さらに、開閉体の一対の板体を折り畳む方向と交差する水平方向に向けて開閉体を移動させて、一対の取付部を一対の第2の被取付部に取り付けて、一対のランナと一対の固着部とを結合することにより、一対の取付部を一対の第1の被取付部および第2の被取付部のそれぞれに取り付ける際に、一対のランナが一対の板体間から逃げなくなるから、開閉体の一対の板体の吊り込み作業をより容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の開閉体装置の第1の実施の形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0013】
図1ないし図5において、1は開口部で、この開口部1は図示しない家具やクローゼットなどの取り出し口である。すなわち、この開口部1は、矩形状に形成されており、水平方向に向けて開口している。そして、この開口部1には、この開口部1を開閉可能に移動する開閉体装置としての折戸装置2が取り付けられている。この折戸装置2は、開口部1の上部に取り付けられた上部案内体としての細長略棒状の上部ガイドレール3を備えている。この上部ガイドレール3は、横断面略凹状に形成されており、開口部1の幅方向に長手方向を沿わせた状態で、この開口部1の開口縁に沿って配設されて固定されている。
【0014】
また、この上部ガイドレール3の下方には、下部案内体としての細長略棒状の下部ガイドレール4が位置している。この下部ガイドレール4は、横断面略凹状に形成されて、開口部1の下部に取り付けられている。また、この下部ガイドレール4は、開口部1の幅方向に長手方向を沿わせた状態で、この開口部1の開口縁に沿って配設されて固定されている。すなわち、この下部ガイドレール4は、上部ガイドレール3に対して平行に取り付けられている。
【0015】
そして、上部ガイドレール3と下部ガイドレール4との間には、開口部1を開閉可能にする開閉体としての折戸体5が取り付けられている。この折戸体5は、開口部1の開口縁に沿って移動可能に配設されている。すなわち、この折戸体5は、上部ガイドレール3および下部ガイドレール4それぞれの長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。さらに、この折戸体5は、互いに向い合う一側縁間が図示しない蝶番にて回動可能かつ開閉可能に連結されて折り畳み可能に構成された矩形平板状の板体である一対の扉体6を備えている。
【0016】
これら一対の扉体6の幅方向における両端部の上端部には、これら一対の扉体6を上部ガイドレール3に取り付ける上部取付装置11が取り付けられている。この上部取付装置11は、上部ガイドレール3内に長手方向に沿って走行可能に嵌合される上部走行体12と、この上部走行体12を一対の扉体6の幅方向の両端部の上端部に連結させる固着部としてのベースカップ13とにより構成されている。
【0017】
そして、上部走行体12は、上部ガイドレール3内を走行して、折戸体5の一対の扉体6を開閉可能に吊り下げ支持する。また、この上部走行体12は、両側面の長手方向における両端部のそれぞれにガイドローラ14が回転可能に取り付けられた細長略直方体状のローラホルダとしてのランナ15を備えている。ここで、これら各ガイドローラ14は、ランナ15の幅方向に沿った回転軸を有している。また、これら各ガイドローラ14は、上部ガイドレール3の長手方向に沿って走行可能に嵌合される。
【0018】
さらに、ランナ15の長手方向における一端部には、上面視略凹状の嵌合凹部16が設けられている。この嵌合凹部16は、ランナ15の上下方向に向けて貫通しており、これら各嵌合凹部16のそれぞれを対向させて一対の上部走行体12を上部ガイドレール3に走行可能に嵌合させた際に互いに嵌合して、これら上部走行体12の幅方向へのずれを防止する。
【0019】
また、これら上部走行体12のランナ15の下端面には、細長棒状の連結軸部17が垂直に突設されている。この連結軸部17は、ランナ15の下端面の中央部に取り付けられており、このランナ15の上下方向に沿った軸方向を有している。そして、この連結軸部17の先端部には、この連結軸部17の径方向に向けて突出した取付部としての円板状の取付部としての抜止突部18が設けられている。この抜止突部18は、連結軸部17の周方向に沿って突出しており、この連結軸部17に対して同心状に設けられている。
【0020】
次いで、ベースカップ13は、折戸体5の一対の扉体6それぞれの上端部に形成された円筒状の埋設凹部7に嵌合される本体部としての合成樹脂製の埋設部21を備えている。ここで、埋設凹部7は、一対の扉体6の上端面にそれぞれ直接開口して連通しており、これら一対の扉体6それぞれの相反する幅方向における一側部のそれぞれに設けられている。また、ベースカップ13の埋設部21の開口縁には、この埋設部21を扉体6の埋設凹部7に嵌合させた際に、この埋設凹部7の開口縁に当接するフランジ22が一体に形成されている。このフランジ22には、複数の固定ねじ23が挿通される挿通孔24が穿設されている。
【0021】
さらに、埋設部21の内側には、図2に示すように、上部走行体12の連結軸部17が着脱可能に嵌合されて回動可能に取り付けられる被取付部としての連結凹部25が設けられている。この連結凹部25は、上部走行体12の連結軸部17が挿入されて係合保持される係合溝部26を備えている。この係合溝部26は、埋設部21の上端面に向けて連通して開口している。
【0022】
そして、この係合溝部26の内側面のそれぞれには、傾斜面としてのテーパ状のテーパ面27が設けられている。これらテーパ面27は、係合溝部26の内側に向かうに連れて徐々に内幅が狭くなるように形成されている。また、これらテーパ面27は、係合溝部26の上下方向に沿って形成されており、最も内側の内幅寸法が上部走行体12の連結軸部17の外径寸法よりも若干大きく形成されている。
【0023】
また、係合溝部26の下側には、この係合溝部26のテーパ面27よりも大きく拡開した挿通凹部28が形成されている。この挿通凹部28は、係合溝部26の下側に連続して設けられており、この係合溝部26の下側に連通している。そして、この挿通凹部28の内側面のそれぞれには、傾斜面としてのテーパ状の案内面29が設けられている。これら案内面29は、挿通凹部28の内側に向かうに連れて徐々に内幅が狭くなるように形成されている。また、これら案内面29は、挿通凹部28の上下方向に沿って形成されており、最も内側の内幅寸法が上部走行体12の抜止突部18の外径寸法よりも若干大きく形成されている。すなわち、これら案内面29は、挿通凹部28内への上部走行体12の抜止突部18の嵌合を案内してガイドするガイド面として機能する。
【0024】
さらに、挿通凹部28の上側面、すなわち係合溝部26の下側面には、上部走行体12の抜止突部18が係脱可能に係合して抜止保持する係合段部31が形成されている。この係合段部31は、係合溝部26および挿通凹部28それぞれの内側に向けて拡幅された段状に形成されている。そして、この係合段部31は、上部走行体12の抜止突部18の厚さ寸法に略等しい高さ寸法を有している。すなわち、この係合段部31は、ベースカップ13の連結凹部25に回動可能に係合した連結軸部17の抜止をより確実にする。よって、この係合段部31は、特に必要ない場合には設けなくてもよい。
【0025】
また、挿通凹部28の下側には、この挿通凹部28の案内面29の開口縁の内幅寸法に等しい内幅寸法を有する矩形状に開口した取付凹部32が形成されている。この取付凹部32は、挿通凹部28の下側に連続して設けられており、この挿通凹部28の奥行き寸法の2分の1程度の奥行き寸法を有している。そして、この取付凹部32の内側面には、上下方向に沿った長手方向を有する溝状の軸受溝部33が形成されている。この軸受溝部33は、取付凹部32の内側面の上下方向における中間部から挿通凹部28の案内面29の上下方向における中間部に亘って形成されている。
【0026】
さらに、取付凹部32の下面を構成する底面部34には、この取付凹部32の開口方向に沿った長手方向を有する溝状の保持溝部35が形成されている。この保持溝部35は、取付凹部32の底面部34の幅方向における中央部に設けられており、この底面部34の開口縁まで連続して設けられている。さらに、この保持溝部35の一端部である基端縁には、円弧状の係止凹部36が形成されている。
【0027】
そして、取付凹部32には、挿通凹部28内へと挿通されて案内された上部走行体12の抜止突部18を着脱可能に抜止保持する保持部材としてのロック部材41が取り付けられている。このロック部材41は、側面視略S字状であり、矩形平板状の本体部42を備えている。この本体部42は、取付凹部32の内幅寸法よりも若干小さな幅寸法を有している。また、この本体部42は、取付凹部32の奥行き寸法よりも若干小さな奥行き寸法を有している。
【0028】
さらに、この本体部42の一側縁には、この本体部42の下面に対して垂直に突出した矩形平板状の蓋部43が一体的に突設されている。この蓋部43は、本体部42の奥行き方向における一端縁である外側縁に設けられている。さらに、本体部42の外側縁の上側には、この本体部42の幅方向に沿って形成された段部44が形成されている。この段部44は、ロック部材41によるベースカップ13の連結凹部25への連結軸部17の係合を解除する際の操作部となる。さらに、この段部44は、本体部42の外側縁に沿って形成されている。
【0029】
また、本体部42の上面には、この本体部42の上面に対して垂直に突出した爪状の係止爪部45が一体的に突設されている。この係止爪部45は、挿通凹部28内に摺動可能に収容されて保持されている。そして、この係止爪部45の一側面には、本体部42の奥行き方向における他側縁である内側縁に沿って上方に向けて垂直に突出した垂直面部46が設けられている。また、この係止爪部45の他側面には、本体部42の外側縁側から内側縁側に向かうに連れて徐々に上方に向けて突出したテーパ状の傾斜面部47が形成されている。
【0030】
この傾斜面部47は、本体部42の幅方向に沿って設けられている。さらに、係止爪部45は、本体部42の外側縁側から内側縁側に向かうに連れて幅方向に沿って先細状に形成されている。すなわち、この係止爪部45の両側面は、この係止爪部45を挿通凹部28内に摺動可能に収容できるように、この挿通凹部28の案内面29に沿ったテーパ状に形成されている。
【0031】
そして、この係止爪部45には、この係止爪部45の幅方向に沿って貫通した軸挿通孔48が穿設されている。この軸挿通孔48は、係止爪部45の下側における垂直面部46よりに設けられている。また、この軸挿通孔48には、軸体である細長棒状のピン体49の両端部を突出させた状態で挿通されて取り付けられている。このピン体49の両端部は、取付凹部32の軸受溝部33に嵌合されて上下方向に沿って移動可能に取り付けられている。すなわち、このピン体49は、取付凹部32内にロック部材41を上下方向に沿って移動可能に取り付けさせる。
【0032】
さらに、このロック部材41の本体部42の下面には、円筒状のバネ受凹部51が設けられている。このバネ受凹部51は、本体部42の下面の中央部に設けられており、この本体部42の下面の法線方向である上下方向に沿って開口している。そして、このバネ受凹部51には、鋼線を螺旋状に巻回させて形成された弾性部材としてのコイルスプリング52の軸方向における一端部が嵌合されて抜止保持されている。このコイルスプリング52の軸方向における他端部は、取付凹部32の保持溝部35に嵌合されており、この保持溝部35によって取付凹部32の幅方向への移動が規制されている。
【0033】
また、このコイルスプリング52は、取付凹部32内に取り付けられたロック部材41を上方に向けて付勢する。言い換えると、このコイルスプリング52は、取付凹部32内に取り付けられたロック部材41の係止爪部45の先端部を、挿通凹部28の係合段部31の基端縁に付勢しつつ当接させる。
【0034】
一方、一対の扉体6の幅方向における両端部の下端部には、これら一対の扉体6を下部ガイドレール4に走行可能に係合させて、これら一対の扉体6の移動をガイドするガイド部材としての下部取付装置である下部走行体61が取り付けられている。この下部走行体61は、有底円筒状のケース体62を備えている。このケース体62は、一対の扉体6の幅方向における両端部の下端部に設けられた円筒状の埋込凹部8に基端側から埋め込まれて取り付けられている。
【0035】
そして、このケース体62の内部には、鋼線を螺旋状に巻回させて構成された弾性部材としてのコイルスプリング63が軸方向を一致させた状態で挿入されて取り付けられている。さらに、このケース体62の内部には、ピボット軸としての細長円柱状の連結部材64の一端部である上端部が挿入されている。ここで、この連結部材64の一端部である上端部には、ケース体62内に挿入されて、このケース体62内のコイルスプリング63にて押圧されて付勢される円柱状の押圧部65が設けられている。この押圧部65の下端部には、細長棒状の支持軸部66の一端部である上端部が同心状に突設されている。この支持軸部66は、押圧部65の外径寸法よりも小さな外径寸法を有している。
【0036】
さらに、ケース体62の先端側の開口部67には、この開口部67を閉塞する円板状のキャップ体68が取り付けられている。このキャップ体68の中央部には、連結部材64の支持軸部66が摺動可能に挿通される挿通孔69が開口されて設けられている。すなわち、このキャップ体68は、ケース体62内にコイルスプリング63および連結部材64の押圧部65のそれぞれが挿入され、この連結部材64の支持軸部66を挿通孔69から挿通させた状態で、ケース体62の開口部67に取り付けられている。
【0037】
また、この連結部材64の支持軸部66の軸方向における他端部である下端部には、略円環状のローラ体としてのガイドローラ71が嵌合されて回転可能に取り付けられている。このガイドローラ71は、支持軸部66の下端部に対して同心状に取り付けられており、下部ガイドレール4内に走行可能に嵌合される。
【0038】
そして、このガイドローラ71は、円環状の本体部としてのローラ部72を備えている。このローラ部72の下側には、円筒状の縮径部73を介して拡径部としての円環状の支持ローラ74が同心状に一体的に設けられている。この支持ローラ74は、ローラ部72の外径寸法よりも小さく、縮径部73の外径寸法よりも大きな外径寸法を有している。
【0039】
ここで、連結部材64の支持軸部66には、高さ保持手段としての高さ保持機構であるクリップ体75が着脱可能に取り付けられる。このクリップ体75は、一対の扉体6のそれぞれを上部ガイドレール3に取り付けられた上部走行体12に連結させる際、すなわちこれら一対の扉体6の吊り込み時に、各下部走行体61の支軸軸部66に嵌合されて取り付けられて、下部ガイドレール4に対して一対の扉体6を一定距離の高さに保持する。言い換えると、このクリップ体75は、各下部走行体61の支軸軸部66に取り付けることにより、下部ガイドレール4から一対の扉体6の下端までの距離を一定の距離に保持する。
【0040】
そして、このクリップ体75は、一部が軸方向に沿って開口した上面視略C字状の円筒状である嵌合筒部76を備えている。この嵌合筒部76は、連結部材64の支持軸部66の外径寸法よりも若干小さな内径寸法を有している。そして、この嵌合筒部76には、この嵌合筒部76の一部を軸方向に沿って拡開させた溝部である拡開溝部77が設けられている。したがって、この嵌合筒部76は、拡開溝部77を形成したことによって弾性変形可能に構成されている。また、この嵌合筒部76は、一対の扉体6に取り付けられたベースカップ13に対して上部ガイドレール3に嵌合された上部走行体12の連結軸部17を水平に嵌合できるように、これら一対の扉体6の高さを調整できる高さ寸法を有している。
【0041】
さらに、この嵌合筒部76の拡開溝部77の両縁部のそれぞれには、この嵌合筒部76の径方向に沿って突出した矩形平板状の操作片部78が一体的に形成されている。これら操作片部78は、嵌合筒部76の高さ寸法に等しい高さ寸法を有しており、この嵌合筒部76の中心からテーパ状に拡開するように設けられている。すなわち、これら操作片部78は、これら操作片部78を操作して、これら操作片部78間の距離を大きくして嵌合筒部76を拡径させることにより、下部走行体61の支持軸部66からクリップ体75を取り外す際の操作部である。
【0042】
次に、上記第1の実施の形態の開閉体の吊り込み方法について説明する。
【0043】
まず、一対の上部走行体12それぞれの嵌合凹部16を向かい合わせた状態で、これら一対の上部走行体12のそれぞれを上部ガイドレール3に走行可能に嵌合させる。
【0044】
この後、これら一対の上部走行体12のそれぞれを上部ガイドレール3の中央部へと移動させて、これら一対の上部走行体12の嵌合凹部16を互いに嵌合させる。
【0045】
次いで、折戸体5の一対の扉体6それぞれの埋込凹部8に埋め込まれた下部走行体61のガイドローラ71を下部ガイドレール4に走行可能に係合させる。
【0046】
この後、これら一対の扉体6に取り付けられた下部走行体61それぞれの支持軸部66にクリップ体75の嵌合筒部76をそれぞれ嵌合させて、これら各扉体6の高さを各クリップ体75にて所定の高さに保持させる。
【0047】
この状態で、図3に示すように、下部ガイドレール4に対して下部走行体61を水平に移動させて一対の扉体6を折り畳み、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込む。
【0048】
この後、これら一対の扉体6をさらに折り畳んで、図4に示すように、これら一対の扉体6それぞれの埋設凹部7に取り付けられたベースカップ13の係合溝部26に各上部走行体12の連結軸部17をそれぞれ嵌合させるとともに、これらベースカップ13の挿通凹部28に各上部走行体12の抜止突部18をそれぞれ嵌合させる。
【0049】
このとき、これらベースカップ13の係合溝部26のテーパ面27および挿通凹部28の案内面29のそれぞれによって、各上部走行体12の連結軸部17による各ベースカップ13の係合溝部26への嵌合が案内されてガイドされるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18による各ベースカップ13の挿通凹部28への嵌合が案内されてガイドされる。
【0050】
同時に、これら各上部走行体12の抜止突部18がベースカップ13のロック部材41の係止爪部45の傾斜面部47に当接する。
【0051】
この状態で、一対の扉体6をさらに折り畳んで、各上部走行体12の抜止突部18にて各ベースカップ13のロック部材41の係止爪部45をコイルスプリング52の弾性力に抗して押圧して、これらロック部材41を下方へと移動させる。
【0052】
この後、これら一対の扉体6をさらに折り畳んで、図5に示すように、各上部走行体12の抜止突部18をロック部材41の係止爪部45にて抜止保持する。
【0053】
すなわち、これら各上部走行体12の抜止突部18による各ロック部材41の係止爪部45への押圧が解除されることにより、これらロック部材41がコイルスプリング52の弾性力によって上方へと移動して、これらロック部材41の係止爪部45の垂直面部46によって各上部走行体12の抜止突部18が抜止保持される。
【0054】
この後、各扉体6に取り付けられた各下部走行体61の支持軸部66のそれぞれからクリップ体75を取り外す。
【0055】
このとき、各扉体6が下方へと落ち込み、各上部走行体12の抜止突部18がベースカップ13の係合段部31に回動可能に係合し、これら各扉体6が上部走行体12にて開閉可能に吊り下げ支持される。
【0056】
この結果、これら各上部走行体12のそれぞれが一対の扉体6のベースカップ13に回動可能に連結されるので、これら一対の扉体6が上部ガイドレール3および下部ガイドレール4にてガイドされて移動可能となるから、これら一対の扉体6にて開口部1が開閉可能となる。
【0057】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、一対の扉体6のそれぞれに取り付けられた下部走行体61それぞれの支持軸部66にクリップ体75を取り付けて、これら一対の扉体6の高さを一定の高さに保持してから、これら一対の扉体6を折り畳む作業だけで、これら一対の扉体6に取り付けたベースカップ13と上部ガイドレール3に走行可能に嵌合させた上部走行体12とを回動可能に連結できる。
【0058】
したがって、これら一対の扉体6を取り付ける取り付け施工者が、これら一対の扉体6を持ち上げるなどして、これら一対の扉体6の荷重を支持することなく、これら一対の扉体6を上部ガイドレール3の上部走行体12に吊り下げ支持できる。よって、これら一対の扉体6にて構成された折戸体5の吊り込み作業を容易にできるから、この折戸体5の施工性を向上できるとともに、この折戸体5を一人で吊り込むことができる。
【0059】
さらに、一対の扉体6に取り付けられた各下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させた状態で、これら一対の扉体6を折り畳み操作して、これら一対の扉体6にて上部ガイドレール3に走行可能に嵌合された各上部走行体12を挟み込んだ後、これら一対の扉体6に取り付けられたベースカップ13の連結凹部25に上部走行体12の連結軸部17を位置合わせして嵌合させて、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持できる。
【0060】
このため、一対の扉体6にて各上部走行体12を挟み込んだ後、これら各上部走行体12が一対の扉体6間から逃げなくなる。したがって、これら上部走行体12を施工者が持ったりして位置決めなどしつつ一対の扉体6を吊り込む必要がなくなるから、これら一対の扉体6の吊り込み作業をより容易にできる。
【0061】
また、上部ガイドレール3の上部走行体12の抜止突部18を、ベースカップ13の挿通凹部28を挿通させてロック部材41の係止爪部45に係合させる際に、この上部走行体12の抜止突部18がロック部材41の係止突部45の傾斜面部47に当接して、このロック部材41をコイルスプリング52の弾性力に抗して押し下げる。さらに、この上部走行体12の抜止突部18によるロック部材41の係止爪部45への係合によって、この抜止突部18による係止爪部45への押圧が解除され、コイルスプリング52の弾性力によって抜止突部18によるロック部材41の係止爪部45への係合がこの係止爪部45の垂直面部46にて抜止保持される構成とした。
【0062】
この結果、このロック部材41の係止爪部45による上部走行体12の抜止突部18の抜止保持によって、ベースカップ13への上部走行体12の回動可能な連結を確実に保持できる。したがって、この上部走行体12への各扉体6の吊り下げ支持を、作業性良くより確実にできる。また、下部走行体61からクリップ体75を取り外した際に抜止突部18が回動可能に係止する係合段部31をベースカップ13に設けたため、このベースカップ13の連結凹部25からの連結軸部17の抜けをより確実に防止できる。
【0063】
さらに、上部ガイドレール3の上部走行体12の連結軸部17および抜止突部18のそれぞれを、ベースカップ13の係合溝部26および挿通凹部28のそれぞれに嵌合させる際に、これら係合溝部26のテーパ面27および挿通凹部28の案内面29のそれぞれが案内してガイドする構成とした。このため、上部走行体12とベースカップ13との連結作業をより容易にできるので、一対の扉体6の上部走行体12への吊り込み作業をより容易にできる。
【0064】
また、下部走行体61の支持軸部66に着脱可能に取り付けることができるようにクリップ体75を構成した。このため、これら下部走行体61が取り付けられた一対の扉体6を上部ガイドレール3の上部走行体12に吊り下げ支持させた後に、これらクリップ体75を下部走行体61の支持軸部66から取り外すことができる。
【0065】
そして、これら一対の扉体6の各下部走行体61の支持軸部66から取り外したクリップ体75を、他の下部走行体61の支持軸部66に取り付けて、この他の下部走行体61が取り付けられた一対の扉体6を上部ガイドレール3の上部走行体12に吊り下げ支持できる。したがって、このクリップ体75を他の折戸体5の施工に使用できるから、このクリップ体75を何度も反復して使用、すなわち使い回すことができる。よって、折戸装置2の各下部走行体61のそれぞれにクリップ体75を1つずつ用意する必要がなくなるから、この折戸装置2の製造コストを削減できる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6を参照して説明する。
【0067】
この図6に示す折戸装置2は、基本的には図1ないし図5に示す折戸装置2と同様であるが、一対の扉体6の吊り込み時に下部ガイドレール4に対する一対の扉体6の高さを一定の高さに保持する高さ保持手段としての高さ保持機構81を、これら一対の扉体6に取り付けた下部走行体61に内蔵させたものである。
【0068】
そして、この高さ保持機構81は、各下部走行体61のケース体62の周面に設けられた側面視略L字状の切込溝部82を備えている。この切込溝部82は、ケース体62の軸方向に沿った細長溝状の摺動溝部83を有している。この摺動溝部83は、ケース体62の開口部寄り、すなわちこのケース体62の先端側に設けられている。
【0069】
また、この摺動溝部83の長手方向における一端部、すなわちこの摺動溝部83におけるケース体62の開口部側の一端部には、細長溝状の係合溝部84が設けられている。この係合溝部84は、ケース体62の周方向に沿った長手方向を有している。また、この係合溝部84の長手方向における一端部は、摺動溝部83の一端部に垂直に接続されており、この摺動溝部83に連続して形成されている。さらに、この係合溝部84は、摺動溝部83の幅寸法に等しい幅寸法を有している。
【0070】
一方、下部走行体61の連結部材64の押圧部65には、ケース体62の切込溝部82に摺動可能に嵌合された円柱状の係合凸部85が突設されている。この係合凸部85は、押圧部65の周面部に設けられており、高さ保持機構81の一部を構成する。また、この係合凸部85は、押圧部65の周面部に対して垂直に突出している。言い換えると、この係合凸部85は、押圧部65の径方向に向けて突出しており、この押圧部65の径方向に沿った軸方向を有している。また、この係合凸部85は、摺動溝部83および係合溝部84の幅寸法よりも若干小さな外径寸法を有しているとともに、ケース体62の厚さ寸法よりも若干小さな高さ寸法を有している。
【0071】
さらに、連結部材64の支持軸部66の周面には、一対の平面部86が面取りされて設けられている。これら一対の平面部86は、支持軸部66の周面における相反する位置に設けられている。言い換えると、これら一対の平面部86は、互いに平行に設けられており、これら一対の平面部86によって、図示しない六角スパナなどが係合され、この六角スパナにて連結部材64を回動可能とさせるスパナ係合部87が構成されている。
【0072】
したがって、一対の扉体6の下端部に取り付けられた下部走行体61の係合凸部85を、この下部走行体61の係合溝部84に係合させる。この状態で、これら下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させることにより、これら一対の扉体6の高さが所定の高さに保持される。
【0073】
さらに、これら各下部走行体61の支持軸部66のスパナ係合部87に六角スパナを係合させて、連結部材64を回動させ、下部走行体61の係合凸部85による係合溝部84への係合を解除させて、この係合凸部85を下部走行体61の摺動溝部83に移動させて係合させることにより、一対の扉体6それぞれの高さ保持が解除される。
【0074】
この結果、一対の扉体6の下部走行体61の係合凸部85を係合溝部84に係合させて、これら下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させ、これら一対の扉体6の高さを一定の高さに保持させる。この状態で、これら一対の扉体6に取り付けられたベースカップ13を上部ガイドレール3に走行可能に嵌合された上部走行体12それぞれに連結させる。この後、各下部走行体61の連結部材64を回動させて係合凸部85を摺動溝部83に係合させ、この係合凸部85による係合溝部84への係合を解除させて、これら一対の扉体6それぞれの高さ保持を解除させることにより、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持できるので、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0075】
さらに、下部走行体61のケース体62に切込溝部82を設けるとともに、この下部走行体61の連結部材64の押圧部65に係合凸部85を設けて高さ保持機構81を構成した。この結果、この高さ保持機構81が下部走行体61に内蔵され、この高さ保持機構81が下部走行体61から外れなくなるので、この高さ保持機構81の紛失を防止できる。同時に、この高さ保持機構81を下部走行体61に着脱させる手間が無くなるので、この高さ保持機構81の使い勝手を向上できる。
【0076】
また、一対の扉体6に取り付けられた下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させ、この下部走行体61のケース体62の係合溝部84に係合凸部85を係合させた状態では、この係合凸部85と係合溝部84との間に一対の扉体6の荷重が掛かる。このため、連結部材64の回動により係合凸部85による係合溝部84の係合を解除させるためには、一対の扉体6の荷重よりも大きな力で連結部材64を回動させなければならない。
【0077】
そこで、この連結部材64の支持軸部66の周面にスパナ係合部87を設けて、このスパナ係合部87に六角スパナを係合させることにより、この六角スパナにて連結部材64を容易に回動できる構成とした。この結果、上部ガイドレール3に一対の扉体6を吊り下げ支持させた状態での、下部走行体61の係合溝部84への係合凸部85の係合の解除を容易にできるため、折戸装置2の施工性をより向上できる。
【0078】
次に、本発明の第3の実施の形態を図7ないし10を参照して説明する。
【0079】
この図7ないし図10に示す折戸装置2は、基本的には図1ないし図5に示す折戸装置2と同様であるが、一対の扉体6の吊り込み時に下部ガイドレール4に対する一対の扉体6の高さを一定の高さに保持する高さ保持手段としての高さ保持機構91を、下部ガイドレール4に着脱可能に取り付けたものである。
【0080】
そして、この高さ保持機構91は、下部走行体61と下部ガイドレール4との間に取り付けられている。さらに、この高さ保持機構91は、一対の扉体6の吊り込み時に一対の扉体6の水平方向への移動を、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換する移動変換手段としての移動変換機構として機能する。また、この高さ保持機構91は、断面略矩形棒状の本体部92を備えている。
【0081】
この本体部92は、一対の扉体6を折り畳んだ状態での、これら一対の扉体6の下端面に取り付けられた下部走行体61の間の長さ寸法よりも大きい長さ寸法を有している。さらに、この本体部92の一側面である下面には、この本体部92の長手方向に沿って形成された断面矩形状の嵌合凸部93が設けられている。この嵌合凸部93は、本体部92の下面の幅方向における中央部に設けられている。また、この嵌合凸部93は、下部ガイドレール4の走行凹部94の内幅寸法に略等しい幅寸法を有している。
【0082】
ここで、この下部ガイドレール4の走行凹部94は、下部走行体61のガイドローラ71が回転可能に係合される断面凹状の溝部である。また、この走行凹部94は、下部ガイドレール4の上面に向けて開口しており、この下部ガイドレール4の長手方向に沿って形成されている。
【0083】
また、本体部92の他側面である上面には、側面視T字状の把持部95が突出して設けられている。この把持部95は、嵌合凸部93を下部ガイドレール4の走行凹部94に嵌合させたり外したりする際に取り付け施工者が把持する部分である。そして、この把持部95は、本体部92の長手方向における中央部に設けられており、この本体部92の幅寸法に等しい幅寸法を有している。
【0084】
さらに、本体部92の上面における長手方向に沿った両端部には、テーパ状の傾斜面部96がそれぞれ設けられている。これら傾斜面部96は、本体部92の幅方向に沿って設けられており、基端側から先端側に向けて下方に傾斜している。また、本体部92の上面における把持部95の両側には、断面凹状の保持凹部97がそれぞれ設けられている。これら保持凹部97は、本体部92の上面の幅方向における中央部に設けられており、下部走行体61の支持ローラ74が摺動可能に嵌合される幅寸法を有している。言い換えると、これら保持凹部97は、支持ローラ74の外径寸法よりも若干大きな内幅寸法を有している。
【0085】
ここで、これら保持凹部97の底部から本体部92の下面までの高さ寸法は、嵌合凸部93を下部ガイドレール4の走行凹部94に嵌合させた状態で、この走行凹部94に走行可能に係合された下部走行体61を移動させて、この下部走行体61を保持凹部97に嵌合保持させた際に、この下部走行体61が取り付けられた一対の扉体6を水平に移動することによって、これら一対の扉体6のベースカップ13を上部ガイドレール3の上部走行体12に連結できる高さ寸法である。
【0086】
また、本体部92の各傾斜面部96には、保持凹部97に連続した断面凹状の傾斜凹部98が設けられている。これら傾斜凹部98は、各傾斜面部96の傾斜方向に沿った長手方向を有している。また、これら傾斜凹部98は、傾斜面部96の幅方向における中央部に設けられており、保持凹部97の内幅寸法に等しい内幅寸法を有している。すなわち、これら傾斜凹部98は、下部ガイドレール4の走行凹部94に走行可能に係合された支持ローラ74を保持凹部97へと乗り越えさせるガイドとして機能する。
【0087】
したがって、図8に示すように、下部ガイドレール4の走行凹部94の長手方向における中央部に高さ保持機構91の嵌合凸部93を嵌合させた状態で、下部走行体61を水平に移動させて一対の扉体6を折り畳み、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込む。
【0088】
この後、図9に示すように、これら一対の扉体6を水平に移動させてさらに折り畳んで、各下部走行体61の支持ローラ74を高さ保持機構91の傾斜凹部98に嵌合させながら、これら傾斜凹部98を乗り越えさせて保持凹部97へと摺動させて移動させるとともに、これら一対の扉体6に取り付けられたベースカップ13内のロック部材41に各上部走行体12の抜止突部18を係合させる。
【0089】
このとき、この高さ保持機構91の傾斜凹部98によって、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0090】
さらに、これら一対の扉体6を開いて、各下部走行体61の支持ローラ74を高さ保持機構91の保持凹部97から傾斜凹部98を介して下部ガイドレール4の走行凹部94へと移動させた後、この走行凹部94から高さ保持機構91を取り外す。この結果、図10に示すように、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
また、一対の扉体6を水平方向に移動させて折り畳む際に、これら一対の扉体6の下部走行体61が高さ保持機構91の傾斜凹部98を乗り越えるように移動する。このため、この高さ保持機構91の傾斜凹部98によって、これら一対の扉体6の水平方向への移動を、これら一対の扉体6の高さ方向への移動、すなわち上昇移動に変換できる。したがって、これら一対の扉体6の荷重を支えることなく、これら一対の扉体6を所定の高さに上昇させて保持できるので、これら一対の扉体6の施工性をより向上でき、これら一対の扉体6を一人で上部走行体12に吊り込むことができる。
【0092】
次に、本発明の第4の実施の形態を図11ないし図17を参照して説明する。
【0093】
この図11ないし図17に示す折戸装置2は、基本的には図7ないし図10に示す折戸装置2と同様であるが、一対の扉体6の水平方向への移動をこれら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換する移動変換手段としての移動変換機構101を、上部走行体12とベースカップ13との間に設けて内蔵させたものである。
【0094】
そして、ベースカップ13の連結凹部25には、上部走行体12の連結軸部17が挿入される係合溝部26が形成されている。この係合溝部26の先端縁である開口縁には、テーパ面27がそれぞれ形成されている。さらに、この係合溝部26の基端縁には、この係合溝部26に挿入される上部走行体12の連結軸部17が回動可能に係合される上面視略C字状の係合凹部102が設けられている。
【0095】
この係合凹部102は、ベースカップ13の上下方向に沿って形成されている。また、この係合凹部102は、上部走行体12の連結軸部17の外径寸法に略等しい内径寸法を有している。さらに、この係合凹部102は、上部走行体12の連結軸部17の長さ寸法に略等しい高さ寸法を有している。また、この係合凹部102の周縁には、この係合凹部102の先端側の開口縁を弾性変形させる一対の空間部103が設けられている。これら一対の空間部103は、係合溝部26の両側縁から係合凹部102の開口縁の両側に亘って形成されている。
【0096】
さらに、係合溝部26の下側には、上部走行体12の抜止突部18が挿通される挿通凹部28が形成されている。この挿通凹部28は、上部走行体12の抜止突部18の外径寸法に略等しい内幅寸法を有している。そして、この挿通凹部28と係合溝部26との間には、挿通凹部28の開口側から内側に向けて下方へと傾斜した傾斜面104が設けられている。この傾斜面104は、挿通凹部28の上面部に設けられており、移動変換機構101の一部を構成する。また、この傾斜面104は、ベースカップ13のフランジ22の面方向に対して45度の角度で傾斜している。さらに、この傾斜面104は、係合溝部26のテーパ面27の基端縁から係合凹部102の開口縁に亘って設けられている。
【0097】
そして、挿通凹部28の底面部には、係合凹部102に連結軸部17が係止された上部走行体12の抜止突部18を抜け止め保持する抜止部材105が取り付けられている。この抜止部材105は、平坦な細長矩形状の上面部106を有している。この上面部106は、挿通凹部28の内幅寸法よりも若干小さな幅寸法を有している。
【0098】
また、抜止部材105には、この抜止部材105の幅方向に向けて貫通した軸挿通孔107が穿設されている。この軸挿通孔107は、上面部106の長手方向における中間部よりも、この上面部106の長手方向における一端側である前端側に所定距離離間させた位置、すなわちずれた位置に設けられている。また、この軸挿通孔107には、図示しないピン体が両端部を突出させて回動可能に挿通されている。このピン体の両端部は、挿通凹部28の両側面に固定されている。したがって、このピン体は、挿通凹部28内において抜止部材105を回動可能に取り付ける。
【0099】
また、このピン体の両端部には、抜止部材105の上面部106を水平に位置させる弾性部材としてのバネ体108が取り付けられている。このバネ体108は、このバネ体108が有する弾性力によって、抜止部材105の前側を上方に向けて付勢して、この抜止部材105の上面部106が水平になるように保持させる。
【0100】
さらに、この抜止部材105の上面部106に対向した下面には、この上面部106の長手方向における両端側に向けて上方に傾斜した平坦な矩形状の前側傾斜面111および後側傾斜面112のそれぞれが設けられている。ここで、前側傾斜面111は、軸挿通孔107よりも抜止部材105の前側に設けられている。また、後側傾斜面112は、軸挿通孔107よりも抜止部材105の後側に設けられている。したがって、この抜止部材105は、軸挿通孔107よりも前側に重心が位置するように構成されている。
【0101】
一方、上部走行体12の抜止突部18における連結軸部17に接続された側の側面部には、この連結軸部17側から抜止突部18の端面側に向けて径方向に傾斜した摺動部としての傾斜摺動面113が設けられている。この傾斜摺動面113は、ベースカップ13の傾斜面104とにより移動変換機構101を構成する。また、この傾斜摺動面113は、抜止突部18の周方向に沿って設けられており、連結軸部17の周面から抜止突部18の周面までをテーパ状に傾斜させたものである。
【0102】
したがって、図12および図13に示すように、一対の扉体6を水平に移動させて折り畳み、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込む。この後、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合溝部26に係合させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に当接させて係合させる。
【0103】
この状態で、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、図14および図15に示すように、各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に対して摺動させる。このとき、これら各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113によるベースカップ13の傾斜面104の摺動によって、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0104】
この後、これら一対の扉体6をさらに水平方向に移動させて、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合凹部102に押圧して、この係合凹部102を弾性変形させ、この係合凹部102に回転可能に係止させる。このとき、抜止部材105の上面部106の前側が上部走行体12の抜止突部18の底面部にて押圧されて、この抜止部材105が前側に向けて回動する。
【0105】
また、これら各上部走行体12の抜止突部18は、これら各上部走行体12の連結軸部17によるベースカップ13の係合凹部102への係止によって、このベースカップ13の挿通凹部28内に回動可能に係合される。このとき、これら各上部走行体12の連結軸部17によるベースカップ13の係合凹部102への係合によって、抜止突部18による抜止部材105の上面部106の押圧が解除される。
【0106】
そして、この抜止突部18による抜止部材105の上面部106の押圧が解除されると、この抜止部材105は、バネ体108の弾性力によって、この抜止部材105が後側に向けて回動して、この抜止部材105の前端部にて上部走行体12の抜止突部18によるベースカップ13の挿通凹部28内での係止が抜け止め保持される。この結果、図16および図17に示すように、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0107】
さらに、ベースカップ13の傾斜面104を上部走行体12の傾斜摺動面113に当接させた状態で、これら一対の扉体6を水平方向に移動させて折り畳むことによって、ベースカップ13の傾斜面104に対して上部走行体12の傾斜摺動面113が摺動し、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0108】
この結果、これら一対の扉体6の荷重を支えることなく、これら一対の扉体6を水平方向に移動させるだけで、これら一対の扉体6のベースカップ13内の抜止部材105にて上部走行体12の抜止突部18を回動可能に抜止保持でき、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持できる。よって、これらベースカップ13への上部走行体12の係合をより容易にできるとともに、取り付け施工者が一人で一対の扉体6を上部走行体12に吊り込み施工できるから、折戸装置2の施工性をより向上できる。
【0109】
また、移動変換機構101をベースカップ13と上部走行体12との間に設け、これらベースカップ13および上部走行体12に移動変換機構101を内蔵させた。このため、この移動変換機構101を着脱する必要がなくなるから、この移動変換機構101の紛失を確実に防止できる。さらに、移動変換機構101をベースカップ13の傾斜面104と上部走行体12の傾斜摺動面113とで構成したため、この移動変換機構101の構成を簡単にできるので、この移動変換機構101の製造コストを削減できる。
【0110】
次に、本発明の第5の実施の形態を図18ないし図24を参照して説明する。
【0111】
この図18ないし図24に示す折戸装置2は、基本的には図11ないし図17に示す折戸装置2と同様であるが、移動変換機構101を構成する傾斜面104をベースカップ13のフランジ22の面方向に沿って形成したものである。
【0112】
そして、ベースカップ13には、フランジ22の面方向に対して垂直に開口した第1の被取付部としての第1の連結凹部121が設けられている。この第1の連結凹部121には、係合溝部26および挿通凹部28が形成されている。また、この挿通凹部28の開口縁には、テーパ状の案内面29が設けられている。
【0113】
さらに、この第1の連結凹部121の基端側には、ベースカップ13のフランジ22の面方向に沿って形成された第2の被取付部としての第2の連結凹部122が設けられている。この第2の連結凹部122は、第1の連結凹部121に対して直角に屈曲した状態で接続されている。また、この第2の連結凹部122は、第1の連結凹部121の基端側に連続して設けられている。そして、この第2の連結凹部122は、係合溝部26に連続して形成された第2の係合溝部123を備えている。
【0114】
この第2の係合溝部123は、係合溝部26の内幅寸法に等しい内幅寸法を有している。さらに、この第2の係合溝部123は、ベースカップ13のフランジ22の面方向に沿った長手方向を有している。また、この第2の係合溝部123は、一対の扉体6における互いに連結させた一側縁側に向けて開口している。そして、この第2の係合溝部123には、係合凹部102が形成されており、この係合凹部102の周縁には一対の空間部103が形成されている。
【0115】
また、この第2の係合溝部123の下側には、挿通凹部28の基端側に接続され、この挿通凹部28に連続して形成された第2の挿通凹部124が設けられている。この第2の挿通凹部124は、挿通凹部28の内幅寸法に等しい内幅寸法を有している。そして、この第2の挿通凹部124と第2の係合溝部123との間には、第2の連結凹部122の開口側から基端側に向けて下方へと傾斜した傾斜面104が形成されている。この傾斜面104は、第2の挿通凹部124の上面である第2の係合溝部123の下面に設けられている。
【0116】
さらに、第2の挿通凹部124の底面部には、抜止部材105が取り付けられている。この抜止部材105の上面部106の後端縁には、この抜止部材105の幅方向に向けて突出した細長矩形平板状の一対の操作片部125が一体的に設けられている。これら一対の操作片部125は、抜止部材105の上面部106に沿って形成されている。そして、これら一対の操作片部125は、ベースカップ13の第2の挿通凹部124の両側部に設けられた矩形状の貫通孔126に挿入されている。これら貫通孔126は、ベースカップ13の表面側および裏面側のそれぞれに貫通している。また、これら貫通孔126は、抜止部材105の一対の操作片部125を把持して、この抜止部材105を回動操作できるように構成されている。
【0117】
したがって、図19および図20に示すように、一対の扉体6を水平に移動させて折り畳み、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込む。この後、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合溝部26に係合させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18をベースカップ13の挿通凹部28に係合させる。
【0118】
この後、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合溝部26の基端側へと移動させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18をベースカップ13の挿通凹部28の基端側へと移動させる。
【0119】
この状態で、これら一対の扉体6の上側を開口部1の前側に向けて傾けて、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の第2の係合溝部123に係合させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に当接させて係合させる。
【0120】
この後、これら一対の扉体6の上側をさらに開口部1の前側に向けて傾けて、図21および図22に示すように、各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に対して摺動させる。このとき、これら各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113によるベースカップ13の傾斜面104の摺動によって、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0121】
この後、これら一対の扉体6の上側をさらに開口部1の前側に向けて傾けて、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合凹部102に回転可能に係止させる。このとき、抜止部材105の上面部106の前側が上部走行体12の抜止突部18の底面部にて押圧されて、この抜止部材105が前側に向けて回動する。
【0122】
また、これら各上部走行体12の抜止突部18は、これら各上部走行体12の連結軸部17によるベースカップ13の係合凹部102への係止によって、このベースカップ13の挿通凹部28内に回動可能に係止される。このとき、これら各上部走行体12の連結軸部17によるベースカップ13の係合凹部102への係合によって、抜止突部18による抜止部材105の上面部106の押圧が解除される。
【0123】
そして、この抜止突部18による抜止部材105の上面部106の押圧が解除されると、この抜止部材105は、バネ体108の弾性力によって、この抜止部材105が後側に向けて回動して、この抜止部材105の前端部にて上部走行体12の抜止突部18によるベースカップ13の挿通凹部28内での係止が抜け止め保持される。この結果、図23および図24に示すように、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0124】
さらに、各上部走行体12の抜止突部18をベースカップ13の第1の連結凹部121に係合させた後、この第1の連結凹部121に対して直角に屈曲して設けられた第2の連結凹部122の係合凹部102に各上部走行体12の連結軸部17を係合させて、これら各上部走行体12に一対の扉体6を吊り込み支持させる構成とした。この結果、これら各上部走行体12の抜止突部18をベースカップ13内の抜止部材105に係合させる際に扉体6を移動させる方向と、開口部1を開閉させる際に各扉体6を移動させる方向とが異なる。したがって、これら一対の扉体6を操作して開口部1を開閉させる際における、ベースカップ13の挿通凹部28内からの上部走行体12の抜止突部18の抜けをより確実に防止できる。
【0125】
また、一対の扉体6を折り畳んだ状態で、これら一対の扉体6の後側にベースカップ13および下部走行体61のそれぞれを取り付けた。このため、この一対の扉体6を折り畳んだ状態では、これら一対の扉体6が開口部1の前側に向けて倒れようとする。よって、これら一対の扉体6の上側を開口部1の前側に向けて傾ける作業がより容易になる。したがって、各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に当接させて摺動させて、一対の扉体6の水平方向への移動を一対の扉体6の高さ方向への移動に変換させる作業をより容易にできるから、折戸装置2の施工性をより向上できる。
【0126】
さらに、ベースカップ13の幅方向に沿って第2の連結凹部122を設けたので、このベースカップ13を幅方向に向けて大きくすることにより、第2の連結凹部122内の傾斜面104の傾斜角度をより緩やかにできる。したがって、この傾斜面104の傾斜角度を緩やかにすることにより、一対の扉体6を折り畳んで、これら一対の扉体6を上方に移動させる際に必要な力を小さくできる。したがって、より小さな力で一対の扉体6を上部ガイドレール3に吊り下げ支持できるので、折戸装置2の取り付け施工性をより向上できる。
【0127】
なお、上記第5の実施の形態では、一対の扉体6の面方向に沿った第2の連結凹部122をベースカップ13の第1の連結凹部121の基端側に直角に連続させて設けたが、これら一対の扉体6を折り畳む方向と交差する水平方向に沿った第2の連結凹部122を第1の連結凹部121に連続して設けてもよい。
【0128】
次に、本発明の第6の実施の形態を図25を参照して説明する。
【0129】
この図25に示す折戸装置2は、基本的には図11ないし図17に示す折戸装置2と同様であるが、一対の扉体6の水平方向への移動を、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換する移動変換手段としての移動変換機構131を上部取付装置11に設けたものである。
【0130】
そして、この上部取付装置11のベースカップ13の一端面である上端面には、細長円柱状の連結軸部17が突設されている。この連結軸部17は、ベースカップ13を一対の扉体6それぞれの埋設凹部7に埋設させた状態で、これら一対の扉体6の上端面から上方に向けて垂直に突出するように設けられている。さらに、この連結軸部17の先端部には抜止突部18が設けられており、この抜止突部18における連結軸部17に接続されている側である下側の一側面には傾斜摺動面113が形成されている。
【0131】
一方、上部走行体12のランナ15には、ベースカップ13の連結軸部17および抜止突部18が回動可能に連結される連結凹部25が設けられている。この連結凹部25は、上部走行体12のランナ15の長手方向における一端部に設けられテーパ状に傾斜した傾斜面132を備えている。この傾斜面132は、ベースカップ13の傾斜摺動面113とともに移動変換機構131を構成する。さらに、この傾斜面132は、ランナ15の上面に設けられており、このランナ15の上面の幅方向に沿って形成されている。また、この傾斜面132は、ランナ15の長手方向における中央部から、このランナ15の長手方向の一端部側に向けて下方に傾斜している。
【0132】
さらに、この傾斜面132の基端側には、平坦な摺動面133が形成されている。この摺動面133は、ランナ15の下面に対して平行に設けられており、このランナ15の上面の長手方向における略中央部に設けられている。また、この摺動面133は、ランナ15の幅方向に沿って形成されており、傾斜面132の基端側に連続して設けられている。さらに、この摺動面133の基端縁には、上方に向けて突出した段状の係止段部134が設けられている。そして、この係止段部134には、上下方向に軸方向を有する底円筒状の係合凹部135が開口されている。この係合凹部135は、ランナ15の上方に向けて垂直に開口しており、ベースカップ13の抜止突部18の外径寸法よりも若干大きな内径寸法を有している。
【0133】
また、上部走行体12のランナ15には、このランナ15の上下方向に向けて貫通した摺動溝部136が形成されている。この摺動溝部136は、ランナ15の長手方向に沿って設けられており、このランナ15の幅方向における中央部に設けられている。また、この摺動溝部136は、ランナ15の傾斜面132から摺動面133を介した係合凹部135の中央部に亘って形成されている。さらに、この摺動溝部136は、ランナ15の傾斜面132の先端側に向けて開口しており、ベースカップ13の連結軸部17の外径寸法よりも若干大きな内幅寸法を有している。
【0134】
したがって、一対の上部走行体12の傾斜面132が形成された側の反対側の面が対向するように、これら一対の上部走行体12を上部ガイドレール3に走行可能に嵌合させるとともに、一対の扉体6の下端面に取り付けた下部走行体61の支持ローラ74を下部ガイドレール4に走行可能に係合させる。
【0135】
この後、これら一対の扉体6を水平に移動させて折り畳み、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込んだ後、これら一対の扉体6をさらに折り畳んで、各上部走行体12の摺動溝部136にベースカップ13の連結軸部17を係合させるとともに、これら各上部走行体12の傾斜面132にベースカップ13の抜止突部18の傾斜摺動面113を当接させて係合させる。
【0136】
この状態で、これら一対の扉体6をさらに折り畳んで、各ベースカップ13の抜止突部18の傾斜摺動面113を上部走行体12の傾斜面132に対して摺動させる。このとき、これら各ベースカップ13の抜止突部18の傾斜摺動面113による上部走行体12の傾斜面132の摺動によって、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0137】
この後、これら一対の扉体6をさらに折り畳んで、各ベースカップ13の抜止突部18を上部走行体12の摺動面133に対して摺動させて、これら各ベースカップ13の抜止突部18を上部走行体12の係合凹部135に係合させる。この結果、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0138】
このため、上部走行体12およびベースカップ13のいずれか一方に連結軸部17および抜止突部18のそれぞれを設け、これら上部走行体12およびベースカップ13のいずれか他方にロック部材41、抜止部材105、係合段部31あるいは係合凹部102および係合凹部135のいずれかを設ければ、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0139】
また、ベースカップ13に連結軸部17および抜止突部18を突設し、上部走行体12のランナ15に傾斜面132、摺動面133、係止段部134、係合凹部135および摺動溝部136を形成するだけで、一対の扉体6に取り付けたベースカップ13を上部走行体12に連結させて、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持できる。このため、これらベースカップ13および上部走行体12の構成をより簡単にできるから、これらベースカップ13および上部走行体12の製造を容易できるため、折戸装置2の製造性を向上できる。
【0140】
次に、本発明の第7の実施の形態を図26ないし図29を参照して説明する。
【0141】
この図26ないし図29に示す折戸装置2は、基本的には図11ないし図17に示す折戸装置2と同様であるが、ベースカップ13を一対の扉体6の幅方向における一端面に取り付けて、これらベースカップ13の連結凹部25を、一対の扉体6の幅方向における端面側に向けて開口させたものである。
【0142】
まず、これら一対の扉体6のそれぞれに設けられた埋設凹部7は、これら一対の扉体6それぞれの幅方向における端面側に向けて開口している。また、この埋設凹部7は、一対の扉体6の上端面側に向けて開口している。そして、この埋設凹部7には、ベースカップ13が埋設されて固定されている。このベースカップ13には、連結凹部25が設けられており、この連結凹部25は、ベースカップ13の長手方向、すなわち一対の扉体6の幅方向に沿って設けられており、これら一対の扉体6の互いに対向した側とは反対側の幅方向における端面側に向けて開口している。
【0143】
したがって、図26および図27に示すように、上部ガイドレール3に走行可能に嵌合された一対の上部走行体12の互いの嵌合凹部16を嵌合させた状態で、一対の扉体6を水平に移動させて折り畳む。この後、これら一対の扉体6の上側を開口部1の後側に向けて傾けて、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合溝部26に係合させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に当接させて係合させる。
【0144】
この状態で、これら一対の扉体6の上側を開口部1の後側に向けてさらに傾けて、各上部走行体12の抜止突部18の傾斜摺動面113をベースカップ13の傾斜面104に対して摺動させる。この後、図28および図29に示すように、各上部走行体12の連結軸部17を係合凹部102に回転可能に係止させるとともに、これら各上部走行体12の抜止突部18をベースカップ13内の抜止部材105に係合させて抜け止め保持させる。この結果、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0145】
なお、上記第7の実施の形態では、互いに向い合う一側縁間が図示しない蝶番にて回動可能に連結されて折り畳み可能に構成された一対の扉体6にて開口部1を開閉可能にする折戸装置2について説明したが、図30に示す第8の実施の形態のように、矩形平板状の開閉体としての扉体である引戸体141を開口部1の開口縁に沿って走行可能に取り付けて、この引戸体141を面方向に沿って水平に移動させて開口部1を開閉可能にする開閉体装置としての引戸装置142であっても、この引戸体141の上端面の両端部に形成した埋設凹部7に、図26ないし図29に示すベースカップ13を取り付けることによって対応させて用いることができる。
【0146】
また、上記第4ないし第8の実施の形態では、ベースカップ13および上部走行体12のいずれか一方に設けた連結凹部25あるいは第2の連結凹部122に傾斜面104,132を形成するとともに、これらベースカップ13および上部走行体12のいずれか他方に設けた抜止突部18に傾斜摺動面113を形成したが、これら傾斜面104,132および傾斜摺動面113の少なくともいずれかがテーパ状に形成されていれば、これら第4ないし第8の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0147】
次に、本発明の第9の実施の形態を図31ないし図35を参照して説明する。
【0148】
この図31ないし図35に示す折戸装置2は、基本的には図11ないし図17に示す折戸装置2と同様であるが、一対の扉体6の吊り込み時に一対の扉体6の水平方向への移動をこれら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換する移動変換手段としての移動変換機構151を、ベースカップ13内に揺動可能に取り付けた被取付部としての揺動部材152と、上部走行体12の連結軸部17の先端部に形成した取付部としての大径部153とにて構成したものである。
【0149】
そして、大径部153は、球面状の外周面を備えている。また、この大径部153は、上部走行体12の連結軸部17の先端に同心状に一体的に形成されている。さらに、この大径部153は、連結軸部17の径寸法よりも大きな径寸法を有している。
【0150】
一方、揺動部材152は、細長略棒状の本体部154を備えている。この本体部154の長手方向における一端部である先端部には、この本体部154の上面側から下面側に向けて基端側へと傾斜した傾斜面部155が形成されている。この傾斜面部155には、上部走行体12の大径部153が摺動可能に嵌合される被嵌合部としての円弧面部156が設けられている。
【0151】
この円弧面部156は、上部走行体12の大径部153の径寸法よりも若干大きな径寸法を有する凹弧面状に形成されている。すなわち、この円弧面部156は、上部走行体12の大径部153が嵌合されて、この大径部153が回転する際の摩擦を軽減させるように内周面が凹弧状に形成されている。また、この円弧面部156の先端縁には、本体部154の上面側の先端部へと貫通した断面凹状の拡開凹部157が形成されている。
【0152】
さらに、本体部154の幅方向における中央部には、この本体部154の先端側に向けて拡開した挿入部としての嵌合溝部158が形成されている。この嵌合溝部158は、本体部154の上側に向けて貫通しており、この本体部154の先端側に向けて貫通して開口している。すなわち、この嵌合溝部158は、円弧面部156に貫通しており、この円弧面部156の基端縁に連続して設けられている。したがって、この嵌合溝部158は、本体部154の先端側を水平方向に平行に離間した二股形状とする。
【0153】
また、この嵌合溝部158は、上部走行体12の連結軸部17が挿入されて挿通されるように設けられている。そして、この嵌合溝部158は、上部走行体12の連結軸部17の外径寸法よりも若干大きな内幅寸法を有している。すなわち、この嵌合溝部158は、揺動部材152をベースカップ13の挿通凹部28内に収容させ、この揺動部材152の円弧面部156に上部走行体12の大径部153を嵌合させた状態で、この上部走行体12の連結軸部17が嵌合されて挿通するように設けられている。
【0154】
さらに、この揺動部材152の本体部154の長手方向における他端部である基端部には、この本体部154の幅方向に向けて貫通したピン挿通孔161が穿設されている。このピン挿通孔161には、ピン体162が両端部を突出させて回転可能に挿通されている。このピン体162の両端部は、ベースカップ13の挿通凹部28の互いに対向した内側面における上側に穿設されたピン係止孔163に係止されて固定されている。したがって、揺動部材152は、ベースカップ13の挿通凹部28内に水平方向を軸方向として揺動可能に軸支されている。さらに、このピン体162の両端部には、本体部154の先端側をベースカップ13の挿通凹部28の外側に向けて付勢するスプリング164がそれぞれ取り付けられている。
【0155】
したがって、図31および図33に示すように、一対の扉体6のそれぞれに取り付けられたベースカップ13の挿通凹部28内から揺動部材152の先端側を突出させる。このとき、これら揺動部材152の先端側がベースカップ13の挿通凹部28から突出する方向にスプリング164の弾性力にて付勢される。この状態で、一対の扉体6を水平に移動させて折り畳んで、これら一対の扉体6にて一対の上部走行体12を挟み込む。
【0156】
この後、これら一対の扉体6のベースカップ13の係合溝部26と各上部走行体12の連結軸部17とを位置合わせてした状態で、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、各上部走行体12の連結軸部17を揺動部材152の嵌合溝部158に嵌合させるとともに、これら各上部走行体12の大径部153を、揺動部材152の拡開凹部157を介してこの揺動部材152の円弧面部156に嵌合させる。
【0157】
この状態で、これら一対の扉体6をさらに水平に移動させて折り畳んで、各揺動部材152の先端側を下方に向けて回動させて、これら各揺動部材152を各ベースカップ13の挿通凹部28内に収容させる。このとき、これら揺動部材152の回動によって、これら各揺動部材152の円弧面部156と各上部走行体12の大径部153との回動を回動中心として、一対の扉体6の水平方向への移動が、これら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換される。
【0158】
この後、これら一対の扉体6をさらに水平方向に移動させて、各上部走行体12の連結軸部17をベースカップ13の係合凹部102に押し付けて回転可能に係合させる。この結果、図34および図35に示すように、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0159】
すなわち、上記第4ないし第8の実施の形態のようなテーパ状の傾斜面104を用いた移動変換機構101,131でなくても、揺動部材152の回動によって一対の扉体6の水平方向への移動をこれら一対の扉体6の高さ方向への移動に変換できる移動変換機構151などであっても、これら移動変換機構としてはどのような構成であってもよい。
【0160】
次に、本発明の第10の実施の形態を図36ないし図38を参照して説明する。
【0161】
この図36ないし図38に示す折戸装置2は、基本的には図6に示す折戸装置2と同様であるが、高さ保持機構81を十字ドライバとしての図示しないプラスドライバにて操作可能に構成したものである。この高さ保持機構81は、一対の扉体6を下部ガイドレール4から一定距離高さに保持する。
【0162】
そして、下部走行体61は、下部ベースカップ171を備えている。この下部ベースカップ171は、一対の扉体6の裏面における下端縁の両側に設けられた埋設凹部7に嵌合される本体部としての埋設部172を備えている。この埋設部172の開口縁には、この埋設部172を扉体6の埋設凹部7に嵌合させた際に、この埋設凹部7の開口縁に当接するフランジ173が一体的に形成されている。このフランジ173には、複数の図示しない固定ねじが挿通される挿通孔174が穿設されている。
【0163】
さらに、埋設部172の内側には、図36に示すように、連結部材64の押圧部65が軸方向、すなわち上下方向に沿って摺動可能に嵌合されて保持される保持溝部175が形成されている。この保持溝部175は、連結部材64の押圧部65の外径寸法に略等しい内径寸法を有している。そして、この保持溝部175の長手方向に沿った一端である下端側には、連結部材64の支持軸部66が軸方向、すなわち上下方向に沿って摺動可能に嵌合されて保持される連通溝部176が同心状に形成されている。この連通溝部176は、連結部材64の支持軸部66の外径寸法に略等しい内径寸法を有している。さらに、この連通溝部176は、外部に連通して開口しており、連結部材64の支持軸部66より下側を外部へと進退可能に突出させる。
【0164】
また、保持溝部175の軸方向に沿った他端である上端側には、コイルスプリング63の一端が嵌合される嵌合凹部178が同心状に形成されている。この嵌合凹部178は、保持溝部175の内径寸法よりも小さな内径寸法を有している。ここで、コイルスプリング63は、一端を嵌合凹部178に嵌合させた状態で、保持溝部175内に収容されて取り付けられている。また、このコイルスプリング63は、このコイルスプリング63の他端を、保持溝部175内に摺動可能に取り付けられた連結部材64の押圧部65の上端面に当接しつつ、この保持溝部175内に収容されている。
【0165】
さらに、埋設部172の保持溝部175の開口縁には、正面視略矩形状の位置決め凹部177が設けられている。この位置決め凹部177は、保持溝部175の径方向に沿った幅方向を有しており、この保持溝部175の軸方向に沿った長手方向である高さ方向を有している。そして、この位置決め凹部177の幅方向における一側に保持溝部175が形成されている。言い換えると、この保持溝部175は、位置決め凹部177内である、この位置決め凹部177の底面部の一側に設けられている。また、この位置決め凹部177の幅方向における他側には、この位置決め凹部177の深さ方向に沿った軸方向を有する軸支凹部179が形成されている。この軸支凹部179は、位置決め凹部177の上下方向における中間部に設けられている。
【0166】
そして、この位置決め凹部177内には、矩形平板状の板体である摺動部材としての摺動板181が取り付けられている。この摺動板181は、位置決め凹部177内に嵌合され、この位置決め凹部177の上下方向において位置決め固定されている。すなわち、この摺動板181は、位置決め凹部177の高さ寸法に略等しい高さ寸法を有しており、この位置決め凹部177の幅寸法よりも小さな幅寸法を有している。したがって、この摺動板181は、位置決め凹部177に嵌合された状態で幅方向に沿って移動可能である。そして、この摺動板181の幅方向における一側には、連結部材64の係合凸部85が摺動可能に係合される切込溝部82が形成されている。ここで、これら切込溝部82および係合凸部85によって高さ保持機構81が構成されている。
【0167】
また、この切込溝部82の摺動溝部83は、摺動板181の長手方向である上下方向に沿って形成されている。また、この切込溝部82の係合溝部84は、摺動板181の幅方向に沿って形成されている。さらに、この摺動板181の幅方向における他側には、上下方向に沿った長手寸法を有する長穴状のカム溝部182が形成されている。このカム溝部182は、摺動板181の厚さ方向に向けて貫通しており、この摺動板181を位置決め凹部177内に嵌合させて取り付けた際に、軸支凹部179に連通するように構成されている。
【0168】
さらに、このカム溝部182には、このカム溝部182の幅方向における内径寸法に略等しい外径寸法を有する偏心カムとしての円柱状の操作片部183が上下方向に向けて摺動可能に嵌合されている。この操作片部183の一端面である上端面には、プラスドライバの先端部が嵌合される十字溝部184が形成されている。
【0169】
また、この操作片部183の他端面である下端面には、この操作片部183の外周面に対して偏心した円柱状のカム軸部185が一体的に突設されている。このカム軸部185は、軸支凹部179の内径寸法よりも若干小さな外径寸法を有している。すなわち、このカム軸部185は、位置決め凹部177に取り付けた摺動板181のカム溝部182に操作片部183を摺動可能に嵌合させた状態で、この位置決め凹部177の軸支凹部179に回動可能に嵌合されて、下部ベースカップ171の裏側から回動可能にかしめられて抜止保持されている。
【0170】
さらに、この位置決め凹部177の開口縁には、側面視略円形状の蓋付凹部186が設けられている。この蓋付凹部186には、位置決め凹部177に嵌合されて位置決め保持された摺動板181を、この位置決め凹部177内に固定させる平板状の蓋体187が取り付けられる。すなわち、この蓋体187は、蓋付凹部186に取り付けられて、位置決め凹部177内に取り付けられた摺動板181を覆って、この摺動板181を位置決め凹部177内に摺動可能に保持しつつ固定させる。
【0171】
また、この蓋体187には、この蓋体187を蓋付凹部186に嵌合させて取り付けた際に、位置決め凹部177に取り付けられた摺動板181のカム溝部182に連通する連通口188が設けられている。この連通口188は、摺動板181のカム溝部182に嵌合された操作片部183の上端面の十字溝部184を外部へと露出させつつ、この操作片部183の上端面の周縁の一部に係合して、この操作片部183による摺動板181のカム溝部182からの抜けを防止する。
【0172】
したがって、一対の扉体6の下端部に取り付けた下部走行体61の十字溝部184にプラスドライバの先端部を嵌合させる。この状態で、このプラスドライバにて操作片部183を回動させて、図37に示すように、摺動板181を裏面視右側に向けて水平に移動させる。このとき、この摺動板181の移動によって、この摺動板181の係合溝部84に連結部材64の係合凸部85が係合して、この連結部材64の上下方向への摺動を不能にし、この連結部材64の支持軸部66による下部ベースカップ171の連通溝部176からの突出量が固定される。
【0173】
この状態で、これら下部走行体61の支持ローラ74を下部ガイドレール4に走行可能に係合させて、これら一対の扉体6の高さを所定の高さに保持させる。この後、これら一対の扉体6を水平に移動させて折り畳んで、これら一対の扉体6に取り付けられたベースカップ13を、上部ガイドレール3に走行可能に嵌合された上部走行体12のそれぞれに連結させる。
【0174】
この後、一対の扉体6の下部走行体61の十字溝部184にプラスドライバの先端部を嵌合して操作片部183を回動させて、図38に示すように、摺動板181を裏面視左側に向けて水平に移動させる。このとき、この摺動板181の移動によって、この摺動板181の係合溝部84への連結部材64の係合凸部85の係合が解除され、この連結部材64の係合凸部85が摺動板181の摺動溝部83に上下方向に沿って摺動自在に係合される。この結果、これら一対の扉体6が上部走行体12に吊り下げ支持されるので、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0175】
すなわち、下部走行体61の十字溝部184にプラスドライバの先端部を嵌合させて操作片部183を回動させるだけで、この下部走行体61が取り付けられた一対の扉体6の高さを所定の高さに保持できるとともに、これら一対の扉体6の高さ保持を解除できる。したがって、施工者が通常携帯しているプラスドライバにて下部走行体61の高さ保持ができるので、この下部走行体61の使い勝手がより向上し、折戸装置2の施工性をより向上できる。
【0176】
なお、上記第10の実施の形態では、一対の扉体6に取り付けた下部走行体61の摺動板181の係合溝部84に連結部材64の係合凸部85を係合させてから、これら下部走行体61の支持ローラ74を下部ガイドレール4に走行可能に係合させた後、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持させたが、これら下部走行体61の支持ローラ74を下部ガイドレール4に走行可能に係合させてから、これら下部走行体61の摺動板181の係合溝部84に連結部材64の係合凸部85を係合させた後、これら一対の扉体6を上部走行体12に吊り下げ支持させてもよい。
【0177】
また、上記各実施の形態では、一対の扉体6に取り付けた下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させてから、これら下部走行体61にて一対の扉体6の高さを保持させたが、これら一対の扉体6に取り付けられた各下部走行体61の連結部材64の突出量を予め調整してから、これら各下部走行体61を下部ガイドレール4に走行可能に係合させて、これら一対の扉体6の高さを保持させてもよい。
【0178】
さらに、一対の扉体6を支持して持ち上げつつ、これら一対の扉体6を折り畳んでも、これら一対の扉体6を上部ガイドレール3に走行可能に嵌合された各上部走行体12に連結できる。このため、特に必要ない場合にはクリップ体75や高さ保持機構81,91、移動変換機構101,131,151を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の第1の実施の形態の開閉体装置を示す分解斜視図である。
【図2】同上開閉体装置のベースカップを示す一部を切り欠いた分解斜視図である。
【図3】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明側面図である。
【図4】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる途中の状態を示す説明側面図である。
【図5】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明側面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の開閉体装置を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の開閉体装置を示す斜視図である。
【図8】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明側面図である。
【図9】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる途中の状態を示す説明側面図である。
【図10】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明側面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の開閉体装置を示す分解斜視図である。
【図12】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明上面図である。
【図13】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図14】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる途中の状態を示す説明上面図である。
【図15】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図16】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明上面図である。
【図17】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態の開閉体装置を示す分解斜視図である。
【図19】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明上面図である。
【図20】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図21】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる途中の状態を示す説明上面図である。
【図22】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図23】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明上面図である。
【図24】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図25】本発明の第6の実施の形態の開閉体装置を示す斜視図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態の開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明上面図である。
【図27】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図28】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明上面図である。
【図29】同上開閉体装置を示す説明側面図である。
【図30】本発明の第8の実施の形態の開閉体装置を示す説明上面図である。
【図31】本発明の第9の実施の形態の開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の状態を示す説明上面図である。
【図32】同上開閉体装置のベースカップを示す斜視図である。
【図33】同上開閉体装置を示す説明上面図である。
【図34】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた状態を示す説明側面図である。
【図35】同上開閉体装置を示す説明上面図である。
【図36】本発明の第10の実施の形態の開閉体装置の下部走行体を示す分解斜視図である。
【図37】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させる前の下部走行体を示す説明上面図である。
【図38】同上開閉体装置の上部走行体に開閉体を吊り下げ支持させた後の下部走行体を示す説明上面図である。
【符号の説明】
【0180】
1 開口部
2 開閉体装置としての折戸装置
3 上部案内体としての上部ガイドレール
5 開閉体としての折戸体
6 板体としての扉体
12 上部走行体
13 固着部としてのベースカップ
15 ランナ
18 取付部としての抜止突部
25 被取付部としての連結凹部
121 第1の被取付部としての第1の連結凹部
122 第2の被取付部としての第2の連結凹部
141 開閉体としての引戸体
142 開閉体装置としての引戸装置
152 被取付部としての揺動部材
153 取付部としての大径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な一対の板体を備え、これら一対の板体にて開口部を開閉させる開閉体と、
前記開口部の上部に配設される上部案内体と、
この上部案内体を走行し前記開閉体の一対の板体を吊り下げ支持する一対のランナ、前記開閉体の一対の板体の端部に取り付けられた一対の固着部、これら一対の固着部および前記一対のランナのいずれか一方に設けられた一対の取付部、および前記一対の固着部および前記一対のランナのいずれか他方に設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の被取付部を備えた上部走行体と
を具備した開閉体装置の吊り込み方法であって、
前記一対のランナを前記上部案内体内で走行させ、
前記開閉体の一対の板体を折り畳んで前記一対のランナを挟み込み、
前記一対の取付部を前記一対の被取付部に取り付けて、前記一対のランナと前記一対の固着部とを結合する
ことを特徴とする開閉体の吊り込み方法。
【請求項2】
折り畳み可能な一対の板体を備え、これら一対の板体にて開口部を開閉させる開閉体と、
前記開口部の上部に配設される上部案内体と、
この上部案内体を走行し前記開閉体の一対の板体を吊り下げ支持する一対のランナ、前記開閉体の一対の板体の端部に取り付けられた一対の固着部、これら一対の固着部および前記一対のランナのいずれか一方に設けられた一対の取付部、前記一対の固着部および前記一対のランナのいずれか他方に設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の第1の被取付部、およびこれら一対の第1の被取付部に連続して設けられ前記一対の取付部が取り付けられる一対の第2の被取付部を備えた上部走行体と
を具備した開閉体装置の吊り込み方法であって、
前記一対のランナを前記上部案内体内で走行させ、
前記開閉体の一対の板体を折り畳んで前記一対のランナを挟み込み、前記一対の取付部を前記一対の第1の被取付部に取り付け、
一対の板体を折り畳む方向と交差する水平方向に向けて開閉体を移動させて、前記一対の取付部を前記一対の第2の被取付部に取り付け、前記一対のランナと前記一対の固着部とを結合する
ことを特徴とする開閉体の吊り込み方法。
【請求項3】
一対の板体を持ち上げつつ、これら一対の板体を折り畳んで、一対のランナと一対の固着部とを結合させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の開閉体の吊り込み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2006−112227(P2006−112227A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351130(P2005−351130)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【分割の表示】特願2003−347085(P2003−347085)の分割
【原出願日】平成15年10月6日(2003.10.6)
【出願人】(000137959)株式会社ムラコシ精工 (92)
【Fターム(参考)】