説明

開閉体装置

【課題】ガイドレールを備えた防火戸の横方向全体に遮煙用ゴムを設けた場合の防火戸全体の補強を最適化する。
【解決手段】防火戸は、内部部品手段、表表面板部品手段、裏表面板部品手段、第1〜第4の補強板部品手段、案内溝手段及び遮蔽用部材手段で構成される。この案内溝手段は、シャッターカーテンを案内する関係上、防火戸の側面全体に渡って形成される。遮蔽用部材手段は案内溝手段を含む防火戸の下側全面に渡って設けられている。このような構成によって、案内溝手段(ガイドレール)を備えた防火戸の横方向全体に遮煙用ゴムを設けた場合の防火戸全体の補強を最適化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場などの建物の出入口や大きな部屋、通路、ホール空間あるいは地下街などの構造物などの開口部を仕切るためのシート状、スラット状又はパネル状の防火カーテンなどの遮蔽部材と防火戸からなる開閉体装置に係り、特に遮蔽部材が防火戸の側端部の一部をガイドレールとして利用して開閉動作する開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の大きいビル等の構築・構造物内部の通路やホール空間などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と同時に自動的に閉じるシート状、スラット状又はパネル状の防火カーテンなどの遮蔽部材を用いて、柱、壁、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画や防煙区画を形成するように動作する開閉体装置が備え付けられている。また、遮蔽部材の一部として防火戸などを用いることによって開口部を閉鎖するようにしたものもある。このようなシャッター装置には、火災以外の災害発生時や閉店時などに防火・防煙・防水・防風・防犯などのために開口部を仕切るために繰り出されるものもある。
【0003】
最近では、図1に示すように開口部の両側端部にガイドレールを設けることなく、開口部の片側端部に設けられたガイドレール21と隣接する防火戸12の側端部にガイドレール22の機能を持たせて、シャッターカーテン4をガイドレール21と防火戸12の側端部ガイドレール22とに沿って閉鎖動作させるように構成された開閉体装置が提案されている。このように防火戸12にガイドレール22の機能を持たせた開閉体装置として、例えば、特許文献1に記載のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録番号第3043893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシャッターカーテンのガイドレールを扉の側端部に形成した開閉体装置は、床又は天井に設けた戸当り部に係止部を形成し、この係止部に係止する係止具を防火戸側に設けてある。また、防火戸の閉鎖動作に連動してシャッターカーテンを閉鎖作動させるための可動スイッチが戸当り部に設置してある。従って、防火戸が先に閉鎖して戸当たり部に当接し、係止具によって可動スイッチが押されることによってシャッターカーテンが閉鎖動作を開始するような構成になっている。
【0006】
特許文献1に記載された開閉体装置の場合、通常、扉(ドア)の下面に床面と擦る遮煙用ゴムが設けてある。この遮煙用ゴムは扉下端部に設けられたコの字型の鉄板に取り付けられている。一方、このような開閉体裝置は、扉の側端部にガイドレールが形成されており、このガイドレール構造は扉の高さ分だけ存在しなければならず、また、遮煙用ゴムは扉の横方向全体に存在しなければならない。従って、両者が干渉する部分の補強をどのように構成するか問題となっていた。
【0007】
本発明の目的は、ガイドレールを備えた防火戸の横方向全体に遮煙用ゴムを設けた場合の防火戸全体の補強を最適化できるように構成された開閉体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部横側に設けられた収納部内に収納された状態から回転移動して前記周縁部に設けられた戸当たり部に接触停止することによって前記開口部の一部分を仕切る遮蔽戸手段と、前記開口部の周縁部上側に設けられた収納部内に収納された状態から前記周縁部上側に設けられた出入口部を通過して繰り出され、前記戸当たり部に接触停止後の前記遮蔽戸手段の側端部側に形成されている案内溝手段に沿って下降して、前記遮蔽戸手段によって仕切られなかった前記開口部の残りの部分を仕切る開閉体手段とを備えた開閉体裝置において、前記遮蔽戸手段が、芯部材となる内部部品手段と、前記内部部品手段の表表面を覆う表表面板部品手段と、前記内部部品手段の裏表面を覆う裏表面板部品手段と、前記案内溝手段を除く前記内部部品手段の上面を覆うように補強する第1の補強板部品手段と、前記案内溝手段を除く前記内部部品手段の下面を覆うように補強する第2の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の回転中心側の側面に渡って前記表表面板部品手段と前記裏表面板部品手段との結合箇所を補強する第3の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の前記案内溝手段に沿って前記表表面板部品手段と前記裏表面板部品手段と前記案内溝手段との結合箇所を補強する第4の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の下側全面に渡って床面との間の隙間を遮蔽する遮蔽用部材手段と備えたことにある。
防火戸などの遮蔽戸手段は、ビル、住宅、工場、倉庫等の建物などの構造物における出入口や窓部あるいは内部の通路や空間などの開口部の一部を仕切る(閉鎖する)ものである。この防火戸は、通常は開口部の周縁部横側に設けられた収納部に収納されている。災害発生時には、この周縁部横側に収納された状態から回転移動して周縁部の例えば上(天井)側又は下(床)側に設けられた戸当たり部に当接することによって停止して、開口部の一部を仕切る。開閉体手段であるシャッターカーテンは、開口部の片側端部に設けられた案内溝手段(ガイドレール)と隣接する防火戸の側端部に形成された案内溝手段(ガイドレール)部に沿って開口部の周縁部上側の出入口部を通過して繰り出され、防火戸によって仕切られなかった開口部の残りの部分を仕切る(閉鎖する)。防火戸は、内部部品手段、表表面板部品手段、裏表面板部品手段、第1〜第4の補強板部品手段、案内溝手段及び遮蔽用部材手段で構成される。この案内溝手段は、シャッターカーテンを案内する関係上、防火戸の側面全体に渡って形成される。この発明では、遮蔽用部材手段を案内溝手段を含む防火戸の下側全面に渡って設けるようにした。このような構成によって、案内溝手段(ガイドレール)を備えた防火戸の横方向全体に遮煙用ゴムを設けた場合の防火戸全体の補強を最適化することができる。
【0009】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1、第2、第3及び第4の補強板部品手段は、コの字形状をした金属板からなり、前記遮蔽用部材手段は、前記第2の補強板部品手段のコの字形状の内側に沿って前記遮蔽戸手段の下面全面に渡って設けられた取付板手段を介して、前記遮蔽戸手段の下面全面に渡って床面との間の隙間を遮蔽するように取り付けらることにある。この発明では、遮蔽用部材手段がコの字形状の第2の補強板部品手段の内側に沿って遮蔽戸手段の下面全面に渡って設けられた取付板手段を介して設けられているので、防火戸の下面全面に渡って床面との間の隙間を遮蔽することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開閉体装置によれば、ガイドレールを備えた防火戸の横方向全体に遮煙用ゴムを設けた場合の防火戸全体の補強を最適化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の開閉体装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
【図3】防火戸の詳細構成を示す図である。
【図4】防火戸とまぐさ上部の戸当たり及び床面との関係の詳細を示す図である。
【図5】防火戸の内部構造を示す詳細構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係る開閉体装置の一例として防火シャッター装置について説明する。図2は、本発明に係る開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。この防火シャッター装置は、通常は開閉機1がシャッターカーテン4を図示しない巻取り軸に巻き取るなどして開口部の周縁部の上部に設けられた収納部に収納した開放状態にある。なお、別例としてはシャッターカーテンを巻き取らずに収納部に収納して開放状態とするものもある。この開放状態はブレーキ2で機械的に保持されることによって維持されている。そして、自動閉鎖装置3は、火災発生時には、連動中継器5を介して入力される感知器15(または感知器を接続した連動制御器や防災盤など)からの防災信号BSや電気式手動閉鎖装置7(非常用シャッター閉鎖ボタンを含む)の操作信号に応じて、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン4を自重で自然降下により収納部から繰り出させることによって、開口部を閉鎖し(仕切り)、所定の防火区画を形成するようになっている。
【0013】
連動中継器に対して防災信号BSを出力する感知器15や感知器を接続した連動制御器や防災盤などは、設置環境などにより適宜選択され設けられる。複数の感知器などが設けられても良いが、複数の内一つ以上の感知器などが感知した場合に複数の防災BSの感知に応じた数の防災信号が連動中継器に入力されるようにしてもよいし、複数の内一つ以上の感知器などが感知した場合に単一の防災信号BSが連動中継器に入力されるようにしても良い。なお、防災盤や感知器を接続した連動制御器から出力される防災信号BSは直流24Vなど有電圧信号である場合が多いが、感知器から出力される防災信号BSは無電圧信号である場合が多いので、連動中継器は入力される防災信号BSに適宜対応できるようにされている。
【0014】
開閉機1は、シャッターカーテン4を電動で開放、閉鎖するための駆動モータである。なお、シャッターカーテン4を開閉させる必要がない通常時には、図示のような駆動源である開閉機1とブレーキ2とで構成しなくても、ブレーキ2のみで構成するようにしても良い。連動中継器5は、防災信号BSの入力があった場合、自動閉鎖装置3に有電圧信号である直流24V信号を出力するものである。連動中継器5は、通常は、商用電源16を使用して直流24V信号を出力するが、停電時などには連動中継器5に内蔵されている予備電源(蓄電池などのバッテリー)からの電力によって直流24V信号を出力する。
【0015】
自動閉鎖装置3は、従来の防火シャッター等に用いられる既知の自動閉鎖装置のように連動中継器5を介して供給される商用電源16又は連動中継器5に内蔵されている予備電源(蓄電池)からの電力(直流24V信号)に応じて動作する。また、自動閉鎖装置3は、シャッター用予備電源を内蔵する連動中継器5から供給される24V信号の電力を用いて動作することにより、火災発生時に防火シャッター装置10に対する商用電源の供給がなくとも、感知器15などから入力される防災信号BSに基づきブレーキ2を解放し、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン4を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖することができるようになっている。
【0016】
電気式手動閉鎖装置7は、主にシャッター電動開閉駆動用の開閉機を操作したり、連動中継器に防災信号BSが入力したときと同様の動作をさせるための起動信号を手動で入力させるものである。電気式手動閉鎖装置7には、開閉機1へのシャッターカーテン開閉停の指示に対応した平常時操作用の入力スイッチ(押しボタンスイッチ)と、非常用シャッター閉鎖ボタンである作動ボタン、復旧ボタン及び電池試験ボタンなどを備え、さらに電池試験結果を表示したり、予備電源の状態を表示したり、コード断線状態を表示したりする種々の表示手段を備えている。図2では防火戸12の上側に電気式手動閉鎖装置7が図示してあるが、実際は防火戸12近くの躯体側などの人が操作可能な位置に設置されている。電気式手動閉鎖装置7の特に作動ボタンは、樹脂製の透明パネル(押し破りキャップ)に覆われ、非常時にこの樹脂製の透明パネルを押し込むことによって、操作可能に構成された非常用シャッター閉鎖ボタン(作動ボタン)を備えている。
【0017】
この防火シャッター装置10には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知装置が設けられている。障害物感知装置は、図示のようにシャッターカーテン4の下端の座板上に設けられた座板スイッチ9と、シャッターカーテン4の収納ボックス内に設けられた有線式障害物感知装置17と、これらの間を電気的に接続する信号コード11とによって構成される。座板スイッチ9は、シャッターカーテン4の座板に取り付けてあり、この座板が人や物などの障害物に接触することによって接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵しており、この接点が閉じた場合にそれを感知信号として有線式障害物感知装置17に信号コード11を介して有線方式で送信する。信号コード11は、座板スイッチ9の感知信号を有線式障害物感知装置17に伝送するケーブルである。このケーブルは、コードリールや移動式プーリー等により収納したりガイドしたりすることによって、シャッターカーテン4の開閉を阻害する撓みを生じないようにしている。
【0018】
有線式障害物感知装置17は、通常時は商用電源により動作し、座板スイッチ9からの感知信号の入力に応じて開閉機1の動作を制御し、さらに少なくとも火災発生時など非常時には、座板スイッチ9からの障害物感知信号を自動閉鎖装置3へスルー出力するものである。自動閉鎖装置3は、この有線式障害物感知装置17からの障害物感知信号の入力に応じてシャッターカーテン4の閉動作を停止してその回避動作を行うようになっている。従って、火災発生時にシャッターカーテン4が自重下降している際に座板などが障害物に接触し、座板スイッチ9から感知信号が検出された場合に、シャッターカーテン4の自重下降を停止してその回避動作を行うようになっている。すなわち、有線式障害物感知装置17は、通常時、シャッターカーテン4が下降中に障害物感知信号を入力した場合、シャッターカーテン4の下降動作を停止し、一定時間だけ上昇させるという制御を行う。一方、有線式障害物感知装置17は、防災発生時などのように自動閉鎖装置3が起動して、シャッターカーテン4が下降中に、障害物感知信号を入力した場合には、その障害物感知信号を自動閉鎖装置3にスルー出力し、自動閉鎖装置3の動作を停止させ、開閉機1のブレーキ2の解放状態を戻して、一旦、シャッターカーテン4を停止させるという制御を行う。
【0019】
シャッターカーテンに併設して防火戸を備える防火シャッター装置の一般的な構成では、シャッターカーテン4の両サイドに、開口部側端部に設けられるガイドレールと、シャッターカーテンと防火戸との間の開口部に設けられる中柱と呼ばれるガイドレールとが存在する。この実施の形態では、シャッターカーテン4の片側(図の左側)にガイドレール21が設けられているが、中柱は存在せず、防火戸12の側端部の一部に凹状の溝部を設けそれをガイドレール22として利用している。従って、この実施の形態に係る開閉体装置の場合、防火戸12が回転可動して閉鎖した(仕切った)状態にならないと、シャッターカーテン4の両サイドにガイドレールが存在しないこととなる。
【0020】
従って、この実施の形態では、遮蔽戸手段として設けられた袖扉である防火戸12の閉鎖動作に連動してシャッターカーテン4を閉鎖作動させるための閉鎖確認用スイッチ24が戸当り部又は開口部のまぐさ上部に設置してあり、防火戸12が先に閉鎖して閉鎖確認用スイッチ24から閉鎖確認信号が出力されることによってシャッターカーテン4が閉鎖動作を開始するような構成になっている。防火戸12は、常時開放式のものであり、通常は開口部側面の柱や壁などに設けられた戸袋等に収納されている。この常時開放式の防火戸12には、閉鎖した防火戸に別途設けられた潜り戸121によって避難通路が確保されるようになっている。
【0021】
防火戸12は平常時には図示していない防火戸用自動閉鎖装置により開放状態で拘束されているが、防火戸用自動閉鎖装置により拘束を解かれると、自重(所謂グラビティーヒンジ使用など)やばね力(クローザー使用など)などの付勢力により閉鎖するように構成されている。防火戸用自動閉鎖装置は、連動中継器に設けられた外部機器電源供給端子(24ボルト出力端子:端子24−0)に電気的に接続されており、危害防止連動中継器が起動信号の入力に応じて外部機器電源供給端子から24[V]の電圧を防火戸用自動閉鎖装置へ有電圧信号として出力するとその電力を用いて防火戸の拘束を解き、防火戸を閉鎖させる。また、防火戸用自動閉鎖装置に防火戸用手動閉鎖装置(非常用閉鎖指示手段)が接続されている場合は、防火戸用手動閉鎖装置の操作によっても、防火戸用自動閉鎖装置は、防火戸の拘束を解き、防火戸を閉鎖させることもできる。防火戸用自動閉鎖装置は、電気的に防火戸用自動閉鎖装置へ閉鎖指示信号を出力するものであっても機械的に作用して防火戸用自動閉鎖装置を作動させるものであってもよい。
【0022】
防火戸12は、防火戸本体とガイドレール22と潜り戸121とから構成されており、通常は、開口部側面に設けられた戸袋に収納され、防災信号BSや電気式手動閉鎖装置7(非常用シャッター閉鎖ボタンを含む)の操作信号に応じてシャッターカーテン4の閉鎖動作前に戸袋から脱出し、開口部の一部を塞ぐように回転移動してまぐさ上部の戸当たりに当接して停止する。なお、図示していないが、ガイドレール22とシャッターカーテン4の嵌合部分には、ガラスクロス材やクロロプレンゴム材等からなる気密材が、また、防火戸12と柱との嵌合部分にも、ガラスクロス材やクロロプレンゴム材等からなる気密材が、それぞれ取り付けられている。さらに、防火戸12と床面との隙間を遮煙するように、ゴム材等からなる気密材が防火戸12の下端部に取り付けられている。これによって、防火戸12のガイドレール22とシャッターカーテン4との間の隙間、防火戸12と柱との間の隙間、及び防火戸12と床面との間の隙間がそれぞれ塞がれ、煙の漏れを防止することができる。なお、ゴム材に代えて気密材を設けてもよく、気密材に代えてゴム材を設けてもよい。
【0023】
図3は、防火戸の詳細構成を示す図である。図4は、図2の防火戸とまぐさ上部の戸当たり及び床面との関係の詳細を示す図であり、図4(A)は、防火戸が回転移動してまぐさ上部の戸当たりに当接して停止した状態を防火戸の回転軸側から見た図であり、図4(B)は、さらにラッチ側から閉鎖確認用スイッチ側を見た図である。防火戸12は、図3に示すように、ドアノブ123の扉開放操作(回転操作)に対応して解錠されるラッチ124をその上端(天端)に有する。ラッチ124は、図4(A)に示すように、上枠となる戸当たり30に凹状のラッチ受け31を有する。ラッチ124は、伝達駆動機構125を介してドアノブ123に連結されている。このラッチ124によって、防火戸12はまぐさ上部の戸当たり30に固定され、風圧などを受けても開くことはない。
【0024】
ロック爪37は、図4(B)に示すように、防火戸12の上端面と接触することによって、上枠となる戸当たり30に設けられた凹状のロック爪受け部39に押し込まれて(沈み込んで)接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵している。ロック爪受け部39内に設けられたマイクロスイッチが閉鎖確認用スイッチ24を構成する。従って、ロック爪受け部39内のマイクロスイッチの接点が閉じると閉鎖確認用スイッチ24からは閉鎖確認信号が開閉機1に送信されるようになる。ロック爪37は防火戸12の上端面からの加圧力が無くなった場合にはバネなどの弾性力によって元の状態に復帰して、ロック爪受け部39から突出するように構成されている。このように、開閉確認用スイッチ24がまぐさ上部の戸当たり30に固定的に設けることによって、防火戸12が閉鎖して上枠となる戸当たり30に当接しても、それに応じて発生する衝撃や振動などの影響を開閉確認用スイッチ24が受けることがなくなり、開閉確認用スイッチ24の信頼性が向上する。また、開閉確認用スイッチ24は、防火戸12の回転中心から最も遠いところに設置してあるので、防火戸12の閉鎖状態を確実に検出することができる。
【0025】
図2に示すように、潜り戸121にもドアノブ122が存在しているが、この潜り戸121のラッチ(図示せず)は通常のドアと同様に側面に存在しており、このラッチによって防火戸12に固定されるようになっている。図4に示すように、防火戸12とまぐさ上部の戸当たり30との間には、気密用のゴム材33が取り付けられている。また、防火戸12と床面との間には、同じくゴム材等からなる気密材35が取り付けられている。これによって、防火戸12とまぐさ上部の戸当たり30及び床面との間の隙間が塞がれ、煙の漏れを防止することができる。なお、ゴム材に代えてガラスクロス材やクロロプレンゴム材等を設けてもよい。また、防火戸12と床面との隙間をより効果的に遮煙するために、気密材35は、防火戸12(ガイドレール22の部分を含む)における戸当たり側(図4では右側)の下端部に取り付けられている。もちろん、遮蔽性に問題がなければ取付側は任意でよい。
【0026】
なお、上述の実施の形態では、ラッチを防火戸の上端(天端)に設ける場合について説明したが、防火戸の下端だけに設けてもよいして、上端及び下端の両方に設けてもよい。この場合、開閉確認用スイッチ24はラッチの設けられた位置よりも防火戸の回転軸から遠い位置に設けられることが好ましい。また、上述の実施の形態では、防火戸が約90°回転移動する場合について説明したが、開口部の形成される場所などによっては、これ以外の角度(例えば180°)で回転移動するような場合もある。さらに、防火戸は、上下垂直方向の回転軸を中心に回転するために、全体的に円形状の軌跡を描くように回転移動するが、これに限らず、回転軸が移動することによって、防火戸が全体的に楕円状の軌跡を描くように回転移動する場合もある。
【0027】
図5は、防火戸の内部構造を示す詳細構成図である。なお、図5では、潜り戸121については図示を省略してある。図5(A)は防火戸の全体構成を示す図であり、図3に対応したものである。図5(B)は図5(A)の防火戸のA−A線矢視断面図、図5(C)は図5(A)の防火戸を下面から見た図、図5(D)は図5(A)の防火戸を右側から見た側面図、図5(E)は図5(A)の防火戸のB−B線矢視断面図である。
【0028】
防火戸12は、芯部材である中実又は中空の内部部品51と、この内部部品51の表表面を覆う表面板部品52と、内部部品51の裏表面を覆う表面板部品53と、内部部品51の左側面部でガイドレール22の凹状部の底面部と接触し、内部部品51の上面を覆うように補強するコの字型の補強板部品54と、内部部品51の左側面部でガイドレール22の凹状部の底面部と接触し、内部部品51の下面を覆うように補強するコの字型の補強板部品55と、内部部品51の右側面部で表面板部品52と表面板部品53との結合箇所を補強するコの字型の補強板部品56と、シャッターカーテン4を案内する凹状の溝部からなるガイドレール22と、内部部品51の左側面部でガイドレール22の凹状部の底面部と接触して表面板部品52,53を補強するコの字型の補強板部品57と、防火戸12の下側全面に渡って設けられた遮蔽用ゴム部材58と、を含んで構成されている。内部部品51はフェノールFRPなどで形成され、表面部品52,53及び補強板部品54〜67は金属板で形成されている。
【0029】
遮蔽用ゴム部材58は、補強板部材55のコの字型の内側全体にゴム取付板59を介して取り付けられている。ゴム取付板59は、防火戸12の横方向全体に渡って設けられている。従って、ガイドレール22に対応する箇所には、補強板部材55は存在しないが、このゴム取付板59を介して遮蔽用ゴム部材58が取り付けられている。なお、ガイドレール22に対応する箇所であって、補強板部材54,55の存在しない箇所に長尺形状の補強板を設けるようにしてもよい。また、防火戸12の横方向から遮蔽用ゴム部材58の抜き差しを行うことができるようにすることによって、メンテナンスが簡単になる。
【0030】
火災には適さないものもあるが、開閉体としては、例えば、シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置などでも防災の種類に応じて適切な装置を選択すればよい。開閉体装置をシャッター装置とした場合、開閉体手段である開閉部材は、シャッターカーテンであり、その構成は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどによるものである。また、開閉体手段である開閉部材の材質は、使用目的に応じたものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、金属製、木製、プラスチック製、布製、これらの複合されたものなどで構成することができる。なお、防火目的で設置される開閉体装置の場合、少なくとも開閉体手段である開閉部材の材質は、耐火性を有しているものが好ましい。
【0031】
上述の実施の形態では、座板スイッチのように障害物に当接することによって障害物を検出するものを例に説明したが、これ以外にテープスイッチや非当接にて障害物を検出可能なものでもよい。例えば、非当接にて障害物を検出するものとして、開閉部材の両側に赤外光の発光素子と受光素子を設け、赤外光が遮断された場合に障害物を検出するようなものなどがある。また、障害物検出手段は、開口部周辺を含む開口部に存在する障害物を検出するものである。
【符号の説明】
【0032】
1…開閉機
2…ブレーキ
3…自動閉鎖装置
4…シャッターカーテン
5…連動中継器
7…電気式手動閉鎖装置
9…座板スイッチ
10…防火シャッター装置
11…信号コード
12…防火戸
15…感知器
16…商用電源
17…有線式障害物感知装置
21,22…ガイドレール
24…閉鎖確認用スイッチ
121…潜り戸
122,123…ドアノブ
124…ラッチ
125…伝達駆動機構
30…戸当たり
31…ラッチ受け
33…ゴム材
35…気密材
37…ロック爪
39…ロック爪受け部
51…内部部品
52…表面板部品
53…表面板部品
54〜57…補強板部品
58…遮蔽用ゴム部材
59…ゴム取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部横側に設けられた収納部内に収納された状態から回転移動して前記周縁部に設けられた戸当たり部に接触停止することによって前記開口部の一部分を仕切る遮蔽戸手段と、
前記開口部の周縁部上側に設けられた収納部内に収納された状態から前記周縁部上側に設けられた出入口部を通過して繰り出され、前記戸当たり部に接触停止後の前記遮蔽戸手段の側端部側に形成されている案内溝手段に沿って下降して、前記遮蔽戸手段によって仕切られなかった前記開口部の残りの部分を仕切る開閉体手段とを備えた開閉体裝置において、
前記遮蔽戸手段が、芯部材となる内部部品手段と、前記内部部品手段の表表面を覆う表表面板部品手段と、前記内部部品手段の裏表面を覆う裏表面板部品手段と、前記案内溝手段を除く前記内部部品手段の上面を覆うように補強する第1の補強板部品手段と、前記案内溝手段を除く前記内部部品手段の下面を覆うように補強する第2の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の回転中心側の側面に渡って前記表表面板部品手段と前記裏表面板部品手段との結合箇所を補強する第3の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の前記案内溝手段に沿って前記表表面板部品手段と前記裏表面板部品手段と前記案内溝手段との結合箇所を補強する第4の補強板部品手段と、前記遮蔽戸手段の下側全面に渡って床面との間の隙間を遮蔽する遮蔽用部材手段と備えたことを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記第1、第2、第3及び第4の補強板部品手段は、コの字形状をした金属板からなり、前記遮蔽用部材手段は、前記第2の補強板部品手段のコの字形状の内側に沿って前記遮蔽戸手段の下面全面に渡って設けられた取付板手段を介して、前記遮蔽戸手段の下面全面に渡って床面との間の隙間を遮蔽するように取り付けらることを特徴とする開閉体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−265578(P2010−265578A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115075(P2009−115075)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】