説明

開閉装置の機械的な性能を評価するための方法、および前記方法の実施のための開閉装置

【課題】操作機構の機械的損耗による開閉動作不全の発生を未然に防止する。
【解決手段】開閉装置の機械的な性能を評価するためのに、一対の接点12,14と、第1の接点14の支持アーム16の駆動機構22とを備え、駆動機構22が、回転極シャフト20、および、駆動機構22を支持アーム16に連結する少なくとも1つのロッド60と、前記支持アームを接点12,14に近づけるための移動を引き起こすよう設計されたエネルギー貯蔵システムと、を備えた開閉装置において、接点12,14の閉鎖の間に極シャフト20の回転角度を測定する工程と、測定から少なくとも2つの特定値を再構成する工程と、前記特定値を運転基準と比較し、比較状態に応じて駆動機構22の機械的な磨耗性能を診断する工程とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの極を備える開閉装置の機械的な性能を評価するための方法に関する。各極は、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して移動可能な一対の主接点を備える。第1主接点の支持アームの駆動機構が、回転極シャフトと、駆動機構を支持アームに旋回可能に連結する少なくとも1つのロッドと、を備えている。前記機構は、主接点を閉鎖位置に配置するために前記アームの移動を引き起こすよう設計されたエネルギー貯蔵システムを備えている。
【0002】
本発明はまた、前記方法の実施のための開閉装置に関する。
【背景技術】
【0003】
制御されるべき電気的な負荷における電力供給ラインには、従来、少なくとも1つの開閉装置が設けられており、開閉装置は、各フェーズのために、負荷をスイッチするために互いに対して移動可能な一対の接点を備えている。接点の作動は、様々な方法で実施され得る。特に、所定の大電力開閉装置(特に600A以上)において、接点の作動は、例えば安全目的のためにラインに行き来するものとして用いられる。このため、高い電気力学的な強度が要求される。また接点は、回転スピンドルに連結されたレバーシステムによって駆動される。回転スピンドルは、それ自体は、例えばEP0222645、EP0789380またはEP1347479に開示されているような2つの旋回ロッドを有するトグル機構によって作動される。
【0004】
既知の開閉装置における機能不全の1つの理由は、上述のトグル作動機構に関係している。この作動機構はまた、OCO(開放−閉鎖−開放)機構とも呼ばれるものであるが、弾性体で負荷をかけられた機械的なアクチュエータによって動かされる。この弾性体で負荷をかけられた機構は、“手榴弾”機構とも呼ばれるものであるが、回路遮断器の閉鎖を実施するように用いられる。この“手榴弾”機構は、OCO機構のために必要なエネルギーを提供し、また、作業者が全体的な安全性の中で開閉装置の運転を実施することを可能にする。OCO機構の使用は、実際に、不適切な閉鎖の場合の電気的なアークの存在に関連した被爆のリスクを制限する。回路遮断器は、一般に、“手榴弾”機構をリセットするためのモータを備えている。前記モータは、“手榴弾”機構の設定をする、OCO機構の閉鎖フェーズが完了した後に作動される。
【0005】
この“手榴弾”機構は、その使用の過程で、運転上の失敗を呈することがある。“手榴弾”機構におけるエネルギー性能の低下は、OCO機構の不完全な閉鎖に起因しがちである。“手榴弾”機構の機能不全の理由は複数ある。それらは、特に、“手榴弾”機構の弾性体の剛性の喪失、回路遮断器における様々な移動部品の連鎖における機械的な摩擦の増加、または、回路遮断器のバー上の抵抗トルクの増加に関連している。
【0006】
“手榴弾”機構の作動が、OCO機構を運転するのに十分でない場合、開閉装置は、それでもやはり閉鎖位置に存在することができ、一方で、ラッチはされていない。OCO機構のトグルは、実際は、“手榴弾”の作動によって開くが、その運転のデッドポイントを通過しない。回路遮断器は、その後、ラッチされていない間に閉鎖され、それを電流が通ることができる。後者の位置において、“手榴弾”機構は、OCO機構を閉鎖位置に保持するよう機能し、一方、“正常運転”と呼ばれる運転において、OCO機構は、自律的な態様で止め部(stop)上にラッチしなければならない。記載されている形態の特定の場合には、デッドポイントを通過するトグル機構は、OCO機構を、閉鎖位置にある止め部にまでもたらす。開閉装置が、閉鎖され、かつラッチされていない状態にあり、そして、リセット用モータが作動される場合、回路遮断器は、スロー開放フェーズと呼ばれるフェーズにあり、フェーズは、全体的には妨げられている。実際、リセットの間、OCO機構はもはや“手榴弾”機構によっては固定されていないので、前記OCO機構は、自発的に開こうとする。その後、電気アークが生じ、そして、回路遮断器の“爆発”を引き起こすという、回路遮断器のリスクが現れる。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、開閉装置の、特に、OCO作動機構の閉鎖を実施する弾性体で負荷をかけられた機構の機械的な性能を評価するための診断方法を提案して、従来技術の欠点を治癒することである。
【0008】
本発明による方法は、接点の閉鎖期間の間に極シャフトの回転角度を測定することと、測定から少なくとも2つの特定値を再構成することと、を含んでいる。前記特定値は、その後、得られた特定値と運転基準の特定の値との間の比較状態に応じて駆動機構の機械的な磨耗性能を診断するため、開閉装置の特定の初期の運転基準と比較される。
【0009】
本発明の好ましい形態によれば、方法は、回転角度の変化のカーブ上の第1の変曲点に到達するのに必要な第1の時間に等しい第1の特定値を決定することを含んでいる。前記変曲点は、極シャフトが最大回転速度に到達する瞬間に対応している。変化のカーブ上の所定の点に到達するのに必要な第2の時間に等しい第2の特定値が決定される。この第2の点は、一対の接点が閉鎖位置にあるときに到達される、理論的な最終回転角度に対応している。第1の時間と第2の時間との間の経過時間が、計算された経過時間と理論的な値との間の差異に応じて駆動機構のエネルギー貯蔵システムの余分なエネルギーレベルを診断するために計算される。
【0010】
本発明の特定の形態によれば、方法は、変化カーブ上の第1の局所的な最大値に到達するための時間に対応する、回転角度の変化のカーブ上の第3の特定値を決定することを含んでいる。前記第1の局所的な最大は、閉鎖の過程において極シャフトによって到達される最大回転角度に対応している。回転角度の変化のカーブ上の第4の特定値が決定される。第4の特定値は、一対の接点が閉鎖位置にあるときに到達される、最終回転角度に対応している。最大回転角度と最終回転角度との間の角度的な差異が、前記角度的な差異に応じて極シャフトの駆動機構のトグルデバイスのラッチ状態を診断するために計算される。
【0011】
上述の方法を実施するための開閉装置は、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して移動することができる一対の可動接点を備えている。第1接点の支持アームの駆動機構が、回転する極シャフトおよび少なくとも1つのロッドを備えており、回転する極シャフトおよび少なくとも1つのロッドが、駆動機構を旋回によって支持アームに連結する。エネルギー貯蔵システムが、主接点を閉鎖位置に配置するための前記アームの運動を引き起こすために設けられている。開閉装置は、複数の同一の極と、全ての極に共通の極シャフトと、を備えており、極シャフトは、駆動機構の回転スピンドルになっている。
【0012】
好ましくは、支持アームは、第1接点を支持する第1部分と、第2部分と、を備えており、2つの部分は、互いに対して摺動し、これによって、一対の接点の閉鎖位置において、第2部分が、第1隣接位置と、第1部分が第2部分の中に沈む第2行程終了位置と、をとることができる。
【0013】
開閉装置の発展形態によれば、極シャフトの駆動機構は、フレキシブルデバイスを含むエネルギー貯蔵システムを有するリセットデバイスを備えており、フレキシブルデバイスは、可動接点を閉鎖位置へ移動させるための少なくとも1つの閉鎖弾性体を備えている。閉鎖弾性体に負荷をかけることは、手動レバーまたはサーボモータによって回転駆動されるリセットカムによって実施される。
【0014】
好ましくは、極シャフトの駆動機構は、可動接点の支持アームを移動させるために、トリップラッチおよび開放弾性体に組み合わされたトグルデバイスを備えており、当該デバイスは、2つのロッドを備えている。
【0015】
開閉装置は、極シャフトの回転角度を決定する手段を備えており、前記手段は、回転センサを備えており、回転センサの一構成要素が、極シャフト上に配置されている。
【0016】
特定の形態によれば、回転センサは、回転軸上に配置された磁気手段、および、開閉装置のケースに取り付けられた検出手段を備えており、磁気手段および検出手段は、非接触で通信する。
【0017】
特定の形態によれば、回転センサは、回転軸上に配置された歯車(cog-wheel)、および、開閉装置のケースに取り付けられた検出手段を備えており、歯車および検出手段は、非接触で通信する。
【0018】
その他の利点および特徴は、図示の、非限定的な例示的な目的のみのために示される、本発明の特定の形態に関する以下の説明および付随する図からより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明による方法を実施するための開閉装置を示す図。
【図2】図2は、図1による開閉装置の作動機構の詳細を示す斜視図。
【図3】図3は、図1による開閉装置の作動機構の詳細を示すその他の斜視図。
【図4】図4は、図1による開閉装置の回転センサを詳細に示す斜視図。
【図5A】図5Aは、閉鎖工程の過程における、図2による作動機構を示す図。
【図5B】図5Bは、閉鎖工程の過程における、図2による作動機構を示す図。
【図5C】図5Cは、閉鎖工程の過程における、図2による作動機構を示す図。
【図5D】図5Dは、閉鎖工程の過程における、図2による作動機構を示す図。
【図5E】図5Eは、閉鎖工程の過程における、図2による作動機構を示す図。
【図6】図6は、本発明の特定の形態において用いられるセンサを示す図。
【図7】図7は、閉鎖の過程における作動機構の接点支持極シャフトの回転角度の変化のカーブを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、600Aを超える高電流のための、従来の方式による開閉装置10は、それぞれの極のための一対の電気的な接点12,14を備えている。電気的接点の各々は、好ましくは、適切な材料、例えば銀合金から構成されたパッドに組み合わされている。1つの接点14は、開放位置と閉鎖位置との間で旋回することができるアーム16に取り付けられている。開放位置においては、アーム16が、静止している接点12から離れている。閉鎖位置においては、接点12,14の間の機械的および電気的な接触が確立されている。極はまた、アーク消散チャンバー18と、結合ストリップに結合するよう設計された一対のメインターミナル(図示せず)と、を備えている。高範囲に対応するため、開閉装置10は、平行する複数の平面内に配置された複数の極を備えている。複数の平面は、複数の極に共通の極シャフト20に対して直交している。極の閉鎖または開放の命令は、レバーを有する駆動機構22によって極シャフト20から各可動接点14に伝達される(図2)。
【0021】
極シャフト20は、開閉装置10のケース上で回転するように取り付けられており、また、適切な手段によって作動される。特に、中間の極シャフト20および高い電気力学的な強度を有する、開放型の開閉装置10において、駆動機構22は、互いに対して旋回する2つのロッド24,26を有するトグルタイプのものからなっている。複数のロッドのうちの1つのロッド24は、固定スピンドル上で旋回するように取り付けられたトリップラッチ28に、回転可能に連結されている。他方のロッド26は、極シャフト20のクランク30に機械的に連結されており、ロッド26はまた、複数の一連の極に共通のものとなっており、さらに、電気的接点の駆動機構22のレバーの1つを形成している。
【0022】
開放スプリング32が、クランク30と固定ピンとの間に固定されており、また、クランク30をその開放位置に付勢している。固定スピンドルの周りで旋回するレバーによって形成された開放ラチェット34が、半月状の開放ラッチ36によって制御されている。開放ラチェット34は、弾性体によってトリップラッチ28に向かって付勢されており、半月36から遠ざけられている。ローラーが、トリップラッチ28のV字状の凹部と協働するよう、開放ラチェット34の端部の間で開放ラチェット34の上に配置されており、トリップラッチ28は、トリップラッチ28上のトグル機構24,26の連結軸とクランク30上のトグル機構の連結軸との間の距離を短くするよう働く弾性体(図示せず)によって付勢されている。
【0023】
好ましい形態において、開閉装置10は、リセットされることができる。すなわち、開閉装置10は、閉鎖機能、例えば、EP0222645に記載されているような“手榴弾”機構などを補助するため、エネルギー貯蔵手段を有している。特に、駆動レバー40は、固定スピンドル42の周りで旋回するよう取り付けられており、また、少なくとも1つの閉鎖スプリング44を備えるフレキシブルなエネルギー貯蔵デバイスが、固定ポイントおよび駆動レバー40のフィンガーで旋回するよう取り付けられている。駆動レバー40は、シャフト50に取り付けられたローディングカム48と協働するよう設計されたローラー52を支持する。ローラー52は、固定スピンドルの周りを旋回する閉鎖ラチェット54と協働するよう設計されている。ラチェット54をラッチするよう設計された閉鎖ラッチ56が、弾性体によってその閉鎖位置へしなやかに付勢されており、ラチェット54自体は、弾性体によってそのラッチ位置へ付勢されている。
【0024】
極シャフト20は、これらの複数の要素によって作動されており、そして、可動接点14を駆動する。この目的のため、そのクランク30が、各極に対して結合ロッド60を有しており、ロッド60は、極を、可動接点14の支持アーム16に結合する。支持アーム16は、互いに対して摺動する2つの部分を有している。極ケージが、ロッド60によって、旋回可能に取り付けられたものに対して直接的に動かされる。接点パッド14を支持するアーム16の部分64が、好ましくはスピンドル66の周りで連結式に、極ケージ62の内側で摺動する。スプリング67を形成する手段、例えば1つまたは2つ以上の接触式圧力弾性体であって、支持具64と極ケージ62との間に配置されたものが、パッド14を、ケージに対して突き出た位置へ駆り立てる。この構成が、隣接部に対する接点パッド14の余分な行程を閉鎖することを可能にし、これによって、接点12,14の間で電流が流れる位置において、極ケージ62がその移動を、接点パッド12,14への圧力を強めることなく継続することができる。アーム16は、従って、ケージ62を介して、閉鎖位置と開放位置との間で第1のスピンドル68の周りに旋回可能に取り付けられており、そして、可動接点14の支持具64が、極ケージ62の第2のスピンドル66に連結されている。
【0025】
接点12,14の閉鎖が生じるとき、第1の段階において、極シャフト20が回転するようにされ、そしてトグル機構が、接点アーム16を直接的に駆動する。閉鎖の際、2つの接点パッド12,14が接触する。シャフト20は、その後、その行程を継続することができ、アーム16の極ケージ62の移動が、隣接する位置を超えて継続し、可動接点14が、極ケージ62の中に落ち込む。
【0026】
さらに、図示されている形態において、オフセットされた極シャフト20に結合されているトグルシステム24,26が、移動のペースを落とすことを可能にする。極の閉鎖の後、回転による極シャフト20の行程が、大きな角度θにわたって継続する。特に、装置の設計によって固定され決定される、極シャフト20の合計行程θfinalは、約50〜55°になっている。シャフト20の回転中、可動接点14は、既にその行程の3/4に及んでおり、また、接点の開口は10mmのみとなっている。したがって、接点12,14の隣接が生じ、そして行程θの後、シャフト20は好ましくは、実施するその回転の約30%をまだ有している。
【0027】
本発明によれば、センサ70が、極シャフト20の移動の始まりと、前記シャフト20の行程の終わりとの間で、極シャフト20の回転を測定する。極シャフト20の行程の終わりは、電気的接点の閉鎖位置に対応している。センサ70はまた、可動接点および静止接点12,14の間の隣接が生じる瞬間、すなわちデバイス10における電流が始まる瞬間と、閉鎖位置におけるシャフト20の行程の終わりとの間、極シャフト20の回転θを測定する。
【0028】
本発明による開閉装置の機械的な性能を評価するための方法は、以下の一連の工程を備えている。
【0029】
第1の工程は、駆動機構22による可動主接点12,14の閉鎖の間、極20の軸の回転角度θを測定することを含んでいる。
【0030】
第2の工程は、先の工程においてなされた測定から、少なくとも2つの特定値を再構成することを含んでいる。
【0031】
本発明の好ましい形態によれば、方法は、回転角度θの変化のカーブSθ上の第1の変曲点Aに到達するのに必要な第1の時間Tに等しい第1の特定値を決定することを含んでいる(図7)。前記変曲点は、極シャフト20が最大回転速度に到達する瞬間に対応している。図7に表されているように、極シャフト20は、角度θを通る回転を実施する。図5Cに表されているように、第1の変曲点Aはまた、電気的な接点12,14が接触する瞬間に対応している。
【0032】
電気的な接点12,14が接触する瞬間における角度の値の変化が、開閉装置の摩耗に関する目安を与える。装置における、負荷無しおよび負荷有りの運転が、それらが静止接点か可動接点かに依らず、実際に接点パッドの摩耗を引き起こす。それによって生じる材料の除去および衝突が、極の接点が接触することを遅らせ、そして、第1の時間Tの値の増加を生じさせ得る。
【0033】
方法は、回転角度θの変化のカーブSθ上の第2の変曲点Bに到達するのに必要な第2の時間Tに等しい第2の特定値を決定することを含んでいる。前記第2の変曲点は、一対の可動主接点12,14が閉鎖位置にあるときに到達する理論上の最終的な回転角度θfinalに対応している。この最終回転角度の理論的な基準値は、好ましくは、開閉デバイスに関連した製品特性となっている。この特性は、製造者によって提供される。この基準値はまた、装置が新しい場合に実施される以下の一連の測定によって見積もられてもよい。基準値は、本発明による方法によって後に使用され得るよう、記録される。
【0034】
方法の第3の工程は、前記特定値を、開閉デバイスの特定の当初の運転基準から抽出された理論的な値と比較することを含んでいる。好ましい形態によれば、方法は、第1の時間Tと第2の時間Tとの間の経過時間ΔTを計算することを含んでいる。第1の時間Tと第2の時間Tとの間の、この経過時間は、その後、摩耗されていない開閉装置の運転を代表する基準値と比較される。
【0035】
この基準値は、極の数、手榴弾の弾性体といった、開閉装置の“機械的な”構成に応じて確立され、そして、用いられる情報処理モジュールに記録され、開閉装置の構成に応じて比較される。この基準値は、好ましくは、開閉デバイスに関連した製品特性となっている。この特性は、製造者によって提供される。この基準値はまた、装置が新しい場合に実施される以下の一連の測定によって見積もられてもよい。基準値は、本発明による方法によって後に使用され得るよう、記録される。
【0036】
保護装置の機械的な性能を評価するための方法の最後の工程は、決定された特定値と、運転基準によって提供された基準値との比較状態に応じて、駆動機構22の摩耗の所定の機械的な性能を診断することを含んでいる。好ましい形態によれば、本発明による方法は、駆動機構22のエネルギー貯蔵システムの余分なエネルギーレベルを、理論的な基準値に対する、計算された経過時間の差に応じて診断することを含んでいる。
【0037】
言い換えれば、本発明による方法の最後の工程は、閉鎖を実施するために手榴弾において利用可能なエネルギーの蓄えの情報、余分なエネルギーを提供する。抵抗力が増加する場合、このエネルギーの蓄えが減少し、そして、電気的な接点12,14が接触するとき(変曲点A)からの、極シャフト20の角度的な行程が、ますます減速される。基準値に対する、計算された経過時間の値の差ΔTはまた、開閉デバイスの使用の過程における開閉デバイスの摩耗とともに増加する傾向にある。
【0038】
本発明の特定の形態によれば、評価するための方法は、変化カーブSθ上の第1の局所的な最大値Cに到達するための時間Tmaxに対応する、回転角度θの変化のカーブSθ上の第3の特定値Cを決定することを含んでいる。図5Dに表されているように、前記第1の局所的な最大値Cは、閉鎖の過程において極シャフト20によって到達される最大回転角度θmaxiに対応している。
【0039】
この工程は、駆動機構22のトグルデバイス26,24の上部のデッドポイントの通過に対応している。この工程の後、駆動レバー40はもはや、駆動機構22を押し込まず、トリップラッチ28に働きかけるために、戻り力によってトグルデバイス26,24に当接する極スプリング67を押し込む。回転角度の最大値θmaxiの変化が、駆動機構22の摩耗の目安を与える。
【0040】
この特定の形態によれば、方法は、変化のカーブSθ上の第4の特定値(点D)を決定することを含んでいる。この第4の特定値(点D)は、一対の可動主接点12,14が閉鎖位置にあるときに到達される、最終的に測定される回転角度θfinalに対応している。
【0041】
以下の工程において、最大回転角度θmaxiと、最終的に測定される回転角度θfinalとの間の角度的な差異Δθが計算される。この角度的な差異の決定が、駆動機構22のトグルデバイス26,24のラッチ状態が診断されることを可能にする。実際、計算された角度的な差異Δθが閾値よりも高い場合、言い換えれば、最大回転角度θmaxiが、最終的に測定される回転角度θfinalよりも大きい場合、トグルデバイス26,24が、それらが正確に上部のデッドポイントを通過した後にラッチされる(図5D)。計算された角度的な差異Δθが、前記ラッチの閾値よりも大きい場合、開閉装置は、ラッチされた閉鎖状態にある。ラッチの閾値は、製造者によって提供される特性に対応している。ラッチの閾値に対応するこの特性はまた、装置が新しい場合に実施される以下の一連の測定から見積もられ得る。特性は、本発明による方法においてその後に使用され得るよう、記録される。
【0042】
電気的な接点12,14が接触する時間(第1の変曲点A)から、駆動機構22の移動が、極ケージ62と可動接点14の支持具64との間に備えられた接点スプリング67の圧縮を引き起こす。この圧縮は、接点の押し下げによって表現されるが、閉鎖位置において電気的な接点12,14に及ぼされる圧力を調整する。この圧力はまた、開閉装置の電気力学的な強度を画定する。
【0043】
第1の形態によれば、センサ70は好ましくは、電流の遮断が生じるときに破片によって汚染されやすい領域の外側で極シャフト20上に配置されており、そして、高温ガスの起こりうる投射から離れている。高い電気力学的な強度を有する開閉装置10は、最大30年の寿命を有しており、有利には、センサ70は、センサ70の内部における摩耗または摩擦による歪みを制限するため、非接触タイプのものとなっている。
【0044】
図3および図4に表されているように、回転センサ70は、歯車112、または、極シャフト20上に配置された歯車の一部分を備えている。表されていないその他の形態において、歯車は、一連の磁気的な極によって形成されている。誘導タイプの敏感なエレメント、ホール効果セル、または磁気抵抗セルを実行する、マイクロ電子デバイスなどの検出手段114が、開閉装置10のケースに取り付けられており、歯車または磁気的な極に面している。歯車112および検出手段114は、非接触で通信する。検出手段114は、好ましくは、歯車の歯の通過または磁気的な極の通過によって生成されるアナログ信号の数値処理手段を含んでおり、4分の1の周期によって差し引かれた2つの二乗の信号の形式で、数値的な転写を与えることができる。形態の所定のタイプにおいて、検出手段は、アナログ信号の補間関数を積分することができる。
【0045】
表されていない第2の特定の形態によれば、小さな体積からなるセンサ70が、好ましくは、バー20の端部に、例えば開閉装置10のケースに近接する端部に配置されている。摺動による接触のない磁気的なタイプのセンサ、特に磁気的なアレイのタイプの回転センサは、急速に磨耗しがちな部分が無いので、特に適している。図6に示されているように、このタイプのセンサ70は、磁気手段72、特に、その回転が決定されるべきエレメントに固定され得る磁石を備えており、特に、磁石72は、接着またはその他の機械的な手段によってその端部で極のバー20に直接的に連結され得る。センサ70は、さらに検出手段74を、特に、約4mmの側面を有する印刷回路カードタイプの検出器を備えている。検出手段74は、磁気手段72に面して配置されており、例えば、開閉装置10のケースに連結されており、特に、適切なハウジング内に取り付けられている。検出器74は、従来の方法で、情報を処理するとともに結果を示すための手段、例えば既に開閉装置10に設けられている電子モジュールに結合されており、電子モジュールに新たな機能が追加される。有利には、センサ70は、EP1830162またはEP1921423に記載されているように、約0.2〜0.5°の角度分解能を有している。
【0046】
方法の特定の形態によれば、接点の押し下げの見積もりが、最終的な角度θfinalと、接点が時間Tで当接する瞬間の回転シャフトの回転角度との間の差異によってなされる。
【0047】
本発明が、激しい全体的な行程における小さな変化のために開放機構が極のバー20の角度的な位置の大きな変化をほのめかすという、高い電気力学的な強度を有する開閉装置10の接点12,14を参照して説明されたが、これに限られることはない。その他のタイプの開閉装置、接触器および/または回路遮断器が主題となってもよい。二重結合ロッドおよびトグルの減速が、接点が摩耗されているか否かに、接点の行程に、および、検出デバイス70の正確さに依存して角度的な差異を増幅する場合、本発明によるデバイスを、回転部分を備えるその他の作動機構に適用することが可能である。
【0048】
表されていない本発明のその他の形態において、センサは、極シャフト20の移動の始まりと、前記シャフト20の行程の終わりとの間における極ケージ62の回転を測定する。極シャフト20の行程の終わりは、電気的な接点の閉鎖位置に対応している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの極を備える開閉装置の機械的な性能を評価するための方法であって、
各極は、
開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して移動可能な一対の接点(12,14)と、
第1の接点(14)の支持アーム(16)と、
支持アーム(16)の駆動機構(22)と、を備え、
駆動機構(22)が、
回転極シャフト(20)、および、駆動機構(22)を支持アーム(16)に旋回可能に連結する少なくとも1つのロッド(60)と、
主接点(12,14)を閉鎖位置に配置するために前記アームの移動を引き起こすよう設計されたエネルギー貯蔵システムと、を備え、
前記方法が、
接点(12,14)の閉鎖行程の間に極シャフト(20)の回転角度(θ)を測定する工程と、
測定から少なくとも2つの特定値を再構成する工程と、
前記特定値を、開閉デバイスの特定の初期の運転基準と比較する工程と、
得られた特定値と運転基準の特定の値との間の比較状態に応じて駆動機構(22)の機械的な磨耗性能を診断する工程と、を含むことを特徴とする、評価方法。
【請求項2】
回転角度(θ)の変化のカーブ(Sθ)上の第1の変曲点(A)に到達するのに必要な第1の時間(T)に等しい第1の特定値を決定する工程であって、前記変曲点が、極シャフト(20)が最大回転速度に到達する瞬間に対応している、工程と、
回転角度(θ)の変化のカーブ(Sθ)上の所定の点(B)に到達するのに必要な第2の時間(T)に等しい第2の特定値を決定する工程であって、前記点(B)が、一対の接点(12,14)が閉鎖位置にあるときに到達される、理論的な最終回転角度(θfinal)に対応している、工程と、
第1および第2の時間(T,T)の間の経過時間を計算する工程と、
計算された経過時間と理論的な値との間の差異に応じて駆動機構(22)のエネルギー貯蔵システムの余分なエネルギーレベルを診断する工程と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
変化のカーブ(Sθ)上の第1の局所的な最大値(C)に到達するための時間(Tmax)に対応する、回転角度(θ)の変化のカーブ(Sθ)上の第3の特定値(C)を決定する工程であって、前記第1の局所的な最大値(C)は、閉鎖の過程において極シャフト(20)によって到達される最大回転角度(θmaxi)に対応している、工程と、
一対の可動主接点(12,14)が閉鎖位置にあるときに到達される最終回転角度(θfinal)に対応している、回転角度(θ)の変化のカーブ(Sθ)上の第4の特定値(D)を決定する工程と、
最大回転角度(θmaxi)と最終回転角度(θfinal)との間の角度的な差異(Δθ)を計算する工程と、
前記角度的な差異(Δθ)に応じて極シャフト(20)の駆動機構(22)のトグルデバイス(26,24)のラッチ状態を診断する工程と、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の評価方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実施するための開閉装置であって、
開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して移動することができる一対の接点(12,14)と、
第1の接点(14)の支持アーム(16)と、
支持アーム(16)の駆動機構(22)と、を備え、
駆動機構(22)が、
回転極シャフト(20)、および、駆動機構(22)を支持アーム(16)に旋回可能に連結する少なくとも1つのロッド(60)と、
主接点(12,14)を閉鎖位置に配置するために前記アームの移動を引き起こすよう設計されたエネルギー貯蔵システムと、
複数の同一の極と、
全ての極に共通の極シャフト(20)と、を備え、
極シャフト(20)は、駆動機構(22)の回転スピンドルになっており、
前記開閉装置が、
接点(12,14)の閉鎖期間の間に極シャフト(20)の回転角度(θ)を測定する手段と、
測定から少なくとも2つの特定値を再構成する手段と、
前記特定値を、開閉デバイスの特定の初期の運転基準と比較する手段と、
得られた特定値と運転基準の特定の値との間の比較検討に応じて駆動機構(22)の機械的な磨耗性能を診断する手段と、を備えることを特徴とする、開閉装置。
【請求項5】
第1の接点(14)の支持アーム(16)は、第1の接点(14)を支持する第1部分(64)および第2部分(62)を備え、
前記2つの部分は、互いに対して摺動し、これによって、一対の接点(12,14)の閉鎖位置において、第2部分(62)が、第1隣接位置と、第1部分(64)が第2部分(62)の中に沈む第2行程終了位置と、をとることができることを特徴とする、請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
極シャフト(20)の駆動機構(22)は、可動接点(14)の支持アーム(16)を移動させるためにトリップラッチ(28)および開放弾性体(32)に組み合わされたトグルデバイス(26,24)を備えており、当該デバイスは、2つのロッド(24,26)を備えていることを特徴とする、請求項4または5に記載の開閉装置。
【請求項7】
極シャフト(20)の駆動機構(22)は、フレキシブルデバイス(44)を含むエネルギー貯蔵システムを有するリセットデバイス(44)を備えており、フレキシブルデバイス(44)は、可動接点を閉鎖位置へ移動させるための少なくとも1つの閉鎖弾性体を備えており、
閉鎖弾性体に負荷をかけることが、手動レバーまたはサーボモータによって回転駆動されるリセットカム(48)によって実施されることを特徴とする、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記開閉装置は、極シャフト(20)の回転角度を決定する手段(70)を備え、
前記手段は、回転センサを備えており、回転センサの構成要素が、極シャフト(20)上に配置されていることを特徴とする、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項9】
回転センサ(70)は、回転軸(20)上に配置された磁気手段(72)、および、開閉装置(10)のケースに取り付けられた検出手段(74)を備えており、
磁気手段(72)および検出手段(74)は、非接触で通信することを特徴とする、請求項8に記載の開閉装置。
【請求項10】
回転センサ(70)は、回転軸(20)上に配置された歯車(112)、および、開閉装置(10)のケースに取り付けられた検出手段(114)を備えており、
歯車(112)および検出手段(114)は、非接触で通信することを特徴とする、請求項8に記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115050(P2013−115050A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−259834(P2012−259834)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(594083128)シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス (52)
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
【Fターム(参考)】