説明

開閉部材の開閉機構、容器

【課題】安価な構造で、開閉部材の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材の開放時又は閉止時に、開閉部材をその状態に保持することができる開閉部材の開閉機構及び容器を得る。
【解決手段】、バネ部材50の付勢力Fは、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Aに係合させる分力F1と、アーム部材40を開閉部材18の閉方向に回転させるモーメントを発生させる分力F2と、を生じさせる。これにより、安価な構造で、開閉部材18の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材18を開放位置と閉止位置に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材の開閉機構、及びこの開閉機構を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のバネ付勢式開閉蓋装置では、2つのバネを用いることで開閉部材の開閉動作のときに必要な開閉力を軽減するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−16939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成によると、2つのバネ部材を用いていたため、高価な構成となっていた。
【0005】
本発明の課題は、安価な構造で、開閉部材の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材の開放時又は閉止時に、開閉部材をその状態に保持することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る開閉部材の開閉機構は、本体に回転可能に支持された軸部を中心に回転移動して本体に設けられた開口部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材の軸部に設けられ、前記軸部と一体に回転する回転部材と、前記開閉部材が前記開口部を開放したとき及び前記開閉部材が前記開口部を閉止したときの少なくも一方のときに、前記回転部材に設けられた係合部が係合する被係合部を備えた被係合部材と、一方が前記回転部材に固定され、他方が前記本体に固定され、前記開閉部材の所定の開閉位置から前記回転部材に開放方向のモーメントを発生させ、又は前記開閉部材の所定の開閉位置から前記回転部材に閉止方向のモーメントを発生させると共に、前記係合部を前記被係合部に係合させるように前記回転部材を付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、本体に回転可能に支持された軸部を中心に回転移動する開閉部材は、本体に設けられた開口部を開閉する。さらに、回転部材が、開閉部材の軸部と一体に回転する。そして、開閉部材が開口部を開放したとき及び開閉部材が開口部を閉止したときの少なくも一方のときに、回転部材に設けられた係合部が、被係合部材に備えられた被係合部と係合する。
【0008】
さらに、一方が回転部材に固定され、他方が本体に固定された付勢部材は、開閉部材の所定の開閉位置から回転部材に開放方向のモーメントを発生させ、又は開閉部材の所定の開閉位置から回転部材に閉止方向のモーメントを発生させると共に、係合部を被係合部に係合させるように回転部材を付勢する。
【0009】
このように、回転部材に開放方向又は閉止方向のモーメントを作用させる付勢部材が、係合部を被係合部に係合させるように回転部材を付勢することで、安価な構造で、開閉部材の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材の開放時又は閉止時に、開閉部材をその状態に保持することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る開閉部材の開閉機構は、請求項1に記載において、前記被係合部は凹状とされ、前記係合部は前記被係合部に入り込む凸状とされることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、凸状とされた係合部を凹状とされた被係合部と係合させることで、開閉部材の開放時と閉止時に、開閉部材をその状態に保持することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る開閉部材の開閉機構は、請求項2に記載において、前記回転部材は、凸状の前記係合部が凹状の前記被係合部に入り込む係合方向に移動可能に前記軸部に支持されることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、回転部材は、凸状の係合部が凹状の被係合部に入り込む係合方向に移動可能に軸部に支持される。このため、回転部材を係合方向に対して反対方向に移動させることで、係合部と被係合部の係合状態を解除することができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る開閉部材の開閉機構は、請求項1〜3の何れか1項において、前記開閉部材が前記開口部を開放したとき及び前記開閉部材が前記開口部を閉止したときに、前記係合部が前記被係合部に係合し、一対の前記被係合部の間の前記被係合部材には、前記係合部を前記被係合部へ案内する案内部が設けられることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、一対の被係合部の間に設けられた案内部が、回転移動する回転部材に設けられた係合部を被係合部へ案内する。
【0016】
このように、係合部を被係合部へ案内する案内部を設けることで、確実に係合部を被係合部に係合させることができる。
【0017】
本発明の請求項5に係る開閉部材の開閉機構は、請求項1〜4の何れか1項において、前記付勢部材の付勢力は、前記回転部材を回転させるモーメントを発生させる分力と、前記回転部材の回転中心に向って前記回転部材を付勢して前記係合部を被係合部に係合させる分力と、を生じさせることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、付勢部材の付勢力は、回転部材を回転させるモーメントを発生させる分力と、回転部材の回転中心に向って回転部材を付勢して係合部を被係合部に係合させる分力と、を生じさせる。このように、付勢部材の付勢力の分力により、回転部材を回転させると共に、係合部を被係合部に係合することができる。
【0019】
本発明の請求項6に係る開閉部材の開閉機構は、請求項1〜5の何れか1項において、前記回転部材の回転中心には、円筒状のエンボスが設けられ、前記エンボスには、前記回転部材の回転軸方向に延びるスリットが形成されており、前記開閉部材の軸部には、前記スリットに嵌る板状のリブ部材が設けられることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、開閉部材の軸部に設けられたリブ部材が、回転部材の回転中心に設けられるエンボスに形成されたスリットに嵌っている。このようにリブ部材をスリットに嵌めることで、軸部の回転力を確実に回転部材に伝達することができる。
【0021】
本発明の請求項7に係る容器は、請求項1〜6の何れか1項に記載された開閉部材の開閉機構を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、容器には、請求項1〜6の何れか1項に記載された開閉部材の開閉機構が設けられている。このため、安価な構成で、容器に設けられた開閉部材の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材の開放時又は閉止時に、開閉部材をその状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安価な構造で、開閉部材の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材の開放時又は閉止時に、開閉部材をその状態に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図11】(A)(B)(C)(D)(E)本発明の第1実施形態に係る開閉機構に採用された係合部及び被係合部等を示した動作図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した分解斜視図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るカップホルダーが採用された自動車内を示した斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した側面図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る開閉機構及びカップホルダーを示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1実施形態に係る開閉部材の開閉機構及び容器の一例について図1〜図13に従って説明する。なお、図中に示すUPは、鉛直方向上方を示す。
【0026】
(全体構成)
図13に示されるように、開閉部材の開閉機構10(図12参照)が採用された容器の一例としてのカップホルダー12は、自動車のセンターコンソール14の下方であってシフトレバー16の前方に配置されており、カップホルダー12の不使用時に開口部22(図7参照)を閉止する開閉部材18と開閉部材が支持される本体20(図12参照)とを備えて構成されている。
【0027】
(要部構成)
図12に示されるように、本体20は、上方に開口部22を備える箱状とされている。さらに、開閉部材18は、本体20の開口部22を閉止する蓋部24と、蓋部24の両側端に連結され、本体20の内部に入り込む一対の側板部26と、を備えて構成されている。
【0028】
また、この側板部26には、開閉部材18の回転中心を構成する軸部30が設けられ、この軸部30の四方向には、軸部30を補強するように板状のリブ部材32が設けられている。さらに、リブ部材32の外側(軸部30に対して反対側)には、段差状の段部32Aが形成されている。
【0029】
一方、本体20を構成する側板36には、開閉部材18に設けられた軸部30が挿通すると共に、リブ部材32の段部32Aが当接する円孔38が形成されている。さらに、円孔38に挿通された軸部30に接合される回転部材の一例としてのアーム部材40が設けられている。
【0030】
アーム部材40は、長尺状とされて軸部30が挿通する長孔42Aが形成されたアーム部42と、アーム部42の内側(開閉部材18側)に設けられ、長孔42Aに挿通された軸部30を囲む円筒状のエンボス44と、を備えている。さらに、エンボス44には、軸部30の周りに形成されたリブ部材32が嵌りこむスリット44Aが形成されている。そして、このアーム部材40を軸部30に固定するスクリュー46が設けられている。
【0031】
この構成により、このアーム部材40は長孔42Aの長手方向に沿って移動可能となり、さらに、開閉部材18を本体20に対して開閉させると、開閉部材18の開閉動作と一体にアーム部材40が回転するようになっている。
【0032】
また、このアーム部材40のアーム部42の長手方向の一端には、凸状の係合部42Bが設けられており、他端部には後述する付勢部材の一例としてのバネ部材50の一端が固定される円孔42Cが設けられている。
【0033】
さらに、アーム部42に設けられた係合部42Bと係合する凹状の被係合部52A、52Bを備えた被係合部材52が、本体20の側板36に一体的に形成されている。
【0034】
詳細には、被係合部材52には、開閉部材18が開口部22を閉止したときに、係合部42Bが嵌る被係合部52A(図1、図2参照)と、開閉部材18が開口部22を開放したときに、係合部42Bが嵌る被係合部52B(図9、図10参照)と、開閉部材18の開閉動作時に、係合部42Bを被係合部52A、52Bへ案内する円弧状の案内部52C(図5、図6参照)と、を備えている。
【0035】
また、アーム部42の長手方向の他端部に設けられた円孔42Cに一端が固定されたバネ部材50はコイル状に形成され、バネ部材50の他端を支持するエンボス56が、本体20の側板36に形成されている。そして、バネ部材50の他端を支持したエンボス56にスクリュー58を締め込むことでバネ部材50の他端がエンボス56に固定されるようになっている。
【0036】
また、エンボス56のアーム部材40に対する配置位置は、バネ部材50の付勢力が、アーム部材40を回転させるモーメントを発生させる分力と、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52A、52Bに係合させる分力と、を生じさせるように決められている。
【0037】
詳細には、図2に示されるように、開閉部材18が開口部22を閉止するときは、バネ部材50の付勢力Fは、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Aに係合させる分力F1と、アーム部材40を開閉部材18の閉方向(図6に示す矢印B方向:以下単に閉方向と言う)に回転させるモーメントを発生させる分力F2と、を生じさせる。なお、この状態で、アーム部材40がこの位置より閉方向に移動しないように、側板36には、アーム部42と当るリブ部材62が設けられている。
【0038】
また、図6に示されるように、バネ部材50の付勢力Fがアーム部材40の回転中心に向っている開閉部材18の所定の開閉位置では、アーム部材40を開閉部材18の開閉方向に回転させるモーメントを発生させる分力F2が、発生しないようになっている(所謂デットポイント)。
【0039】
さらに、図10に示されるように、開閉部材18が開口部22を開放するときは、バネ部材50の付勢力Fは、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Bに係合させる分力F1と、アーム部材40を開閉部材18の開方向(図6に示す矢印A方向:以下単に開方向と言う)に回転させるモーメントを発生させる分力F2と、を生じさせる。なお、この状態で、アーム部材40がこの位置より開方向に移動しないように、側板36には、アーム部42と当るリブ部材64が設けられている。
【0040】
以上より、図2に示す開閉部材18の閉止位置から図6に示す開閉部材18の所定の開閉位置(所謂デットポイント)までの間では、バネ部材50の分力F2により、アーム部材40を閉方向に回転させるモーメントが発生している。これに対し、図10に示す開閉部材18の開放位置から図6に示す開閉部材18の所定の開閉位置(所謂デットポイント)までの間では、バネ部材50の分力F2により、アーム部材40を開方向に回転させるモーメントが発生している。
【0041】
(作用・効果)
先ず、閉止位置に配置された開閉部材18を開放させる動作について説明する。
【0042】
図1、図2に示されるように、開閉部材18の閉止位置では、開閉部材18が本体20の開口部22を閉止しており、バネ部材50の付勢力Fの分力F1が、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Aに係合させている。これにより、開閉部材18は閉止位置で保持されている。そして、図11(A)に示されるように、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に配置される。
【0043】
図3、図4に示されるように、ユーザがカップホルダー12を使用しようとして、開閉部材18を開方向へ回転移動させようとすると、リブ部材32にエンボス44(図12参照)が押されてアーム部材40が開閉部材18と一体に回転する。アーム部材40が回転することで、係合部42Bを構成する傾斜面が、被係合部52Aを構成する傾斜面を押圧することで、アーム部42が非係合方向に移動し、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部から他端部に移動する(図11(B)参照)。これにより、係合部42Bと被係合部52Aとの係合が解除され、係合部42Bは被係合部材52の案内部52Cへ移行する。
【0044】
図5、図6に示されるように、係合部42Bが案内部52Cに案内され、バネ部材50の付勢力Fがアーム部材40の回転中心に向うまで、ユーザは開閉部材18を開放させる。この状態では、アーム部材40には、アーム部材40を回転させるモーメントが発生していないため、開閉部材18はこの所定の開閉位置(以下停止位置と言う)で停止する。そして、図11(C)に示されるように、アーム部材40がバネ部材50の付勢力によって軸部30に向って付勢されることで、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に移動する。
【0045】
図7、図8に示されるように、ユーザが停止位置の開閉部材18を開方向へ回転移動させると、バネ部材50に分力F2が生じる。この分力F2が、アーム部材40に開閉部材18の開方向に回転させるモーメントを発生させる。これにより、操作力が軽減された(又は無くなった)状態で、係合部42Bが案内部52Cに案内され、開閉部材18が開方向へ回転移動する。そして、図11(D)に示されるように、係合部42Bが案内部52Cにより軸部30に向って押圧されることで、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの他端部に移動する。
【0046】
図9、図10に示されるように、開口部22が開放された開閉部材18が開放位置に移動すると、バネ部材50の付勢力Fの分力F1が、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Bに係合させている。これにより、開閉部材18は開放位置で保持されている。そして、図11(E)に示されるように、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に移動する。
【0047】
次ぎに、開放位置に配置された開閉部材18を閉止させる動作について説明する。
【0048】
図9、図10に示されるように、開閉部材18の開放位置では、開閉部材18が本体20の開口部22を開放しており、バネ部材50の付勢力Fの分力F1が、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Bに係合させている。これにより、開閉部材18は開放位置で保持されている。そして、図11(E)に示されるように、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に配置される。
【0049】
図7、図8に示されるように、ユーザがカップホルダー12を収納しようとして、開閉部材18を閉方向へ回転移動させようとすると、リブ部材32にエンボス44(図12参照)が押されてアーム部材40が開閉部材18と一体に回転する。アーム部材40が回転することで、係合部42Bを構成する傾斜面が、被係合部52Bを構成する傾斜面を押圧することで、アーム部42が非係合方向に移動し、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部から他端部に移動する(図11(D)参照)。これにより、係合部42Bと被係合部52Bとの係合が解除され、係合部42Bは被係合部材52の案内部52Cへ移行する。
【0050】
図5、図6に示されるように、係合部42Bが案内部52Cに案内され、バネ部材50の付勢力Fがアーム部材40の回転中心に向うまで、ユーザは開閉部材18を閉止させる。この状態では、アーム部材40には、アーム部材40を回転させるモーメントが発生していないため、開閉部材18はこの停止位置で停止する。そして、図11(C)に示されるように、アーム部材40がバネ部材50の付勢力によって軸部30に向って付勢されることで、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に移動する。
【0051】
図3、図4に示されるように、ユーザが停止位置の開閉部材18を閉方向へ回転移動させると、バネ部材50に分力F2が生じる。この分力F2が、アーム部材40に開閉部材18の閉方向に回転させるモーメントを発生させる。これにより、操作力が軽減された(又は無くなった)状態で、係合部42Bが案内部52Cに案内され、開閉部材18が閉方向へ回転移動する。そして、図11(B)に示されるように、係合部42Bが案内部52Cにより軸部30に向って押圧されることで、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの他端部に移動する。
【0052】
図1、図2に示されるように、開口部22が閉止されて開閉部材18が閉止位置に移動すると、バネ部材50の付勢力Fの分力F1が、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Bに係合させている。これにより、開閉部材18は閉止位置で保持されている。そして、図11(A)に示されるように、アーム部42の長孔42Aに挿入された軸部30は、長孔42Aの一端部に移動する。
【0053】
以上説明したように、バネ部材50の付勢力Fが、アーム部材40の回転中心に向ってアーム部材40を付勢して係合部42Bを被係合部52Aに係合させる分力F1と、アーム部材40を回転させるモーメントを発生させる分力F2と、を生じさせることで、安価な構造で、開閉部材18の開閉動作に必要な開閉力を軽減すると共に、開閉部材18を開放位置と閉止位置に保持することができる。
【0054】
また、係合部42Bを凸状とし、被係合部52A、52Bを凹状とすることで確実に係合部42Bと被係合部52A、52Bとを係合させることで、開閉部材18を開放位置と閉止位置に保持することができる。
【0055】
また、軸部30を長孔42Aに挿通することでアーム部材40は、凸状の係合部42Bが凹状の被係合部52A、52Bに入り込む係合方向に移動可能に軸部30に支持される。このため、係合部42Bを係合方向に対して反対方向に移動させることで、係合部42Bと被係合部52A、52Bとの係合状態を容易に解除することができる。
【0056】
また、一対の被係合部52A、52Bの間に設けられた案内部52Cが、アーム部42に設けられた係合部42Bを被係合部52A、52Bへ案内するため、確実に係合部42Bを被係合部52A、52Bに係合させることができる。
【0057】
また、開閉部材18の軸部30に設けられたリブ部材32をアーム部材40の回転中心に設けられるエンボス44に形成されたスリット44Aに嵌めることで、軸部30の回転力を確実にアーム部材40に伝達することができる。
【0058】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る開閉部材の開閉機構及び容器の一例について図14〜図19に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図19に示されるように、本第2実施形態の開閉機構78の係合部80は、アーム部42の端部には設けられておらず、アーム部42に設けられた長孔42Aと円孔42Cとの間であって、本体22の側板36側に突出するように設けられている。
【0060】
詳細には、側方(開閉部材18の回転軸方向)から見て、係合部80は、三角形状とされ、その頂点と係合する被係合部84A、84Bを備えた被係合部材84が側板36に設けられている。さらに、一対の被係合部84A、84Bの間には、係合部80を被係合部84A、84Bへ案内する案内部84Cが設けられている。
【0061】
以上の構成により、図14に示されるように、開閉部材18が閉止位置に配置されるときには、係合部80が被係合部84Aに係合され、開閉部材18が閉止位置に保持される。また、図15、図16、図17に示されるように、開閉部材18を開放しようとすると、係合部80は、案内部84Cに案内される。
【0062】
さらに、図18に示されるように、開閉部材18が開放位置に移動すると、係合部80が被係合部84Bに係合され、開閉部材18が開放位置に保持される。なお、開放位置に配置される開閉部材18を閉止位置へ移動する際は、前述した動作に対して反対の動作によって開放部材18を閉止位置へ移動させることができる。
【0063】
以上説明したように、係合部をアーム部42の端部に設ける場合と比較して、係合部80を長孔42Aと円孔42Cとの間に設けることで、開閉部材18の開閉機構78をコンパクトにすることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 開閉機構
12 カップホルダー(容器)
18 開閉部材
20 本体
22 開口部
30 軸部
32 リブ部材(リブ)
40 アーム部材(回転部材)
42B 係合部
44 エンボス
44A スリット
50 バネ部材(付勢部材)
52 被係合部材
52A 被係合部
52B 被係合部
52C 案内部
78 開閉機構
80 係合部
84 被係合部材
84A 被係合部
84B 被係合部
84C 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に回転可能に支持された軸部を中心に回転移動して本体に設けられた開口部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材の軸部に設けられ、前記軸部と一体に回転する回転部材と、
前記開閉部材が前記開口部を開放したとき及び前記開閉部材が前記開口部を閉止したときの少なくも一方のときに、前記回転部材に設けられた係合部が係合する被係合部を備えた被係合部材と、
一方が前記回転部材に固定され、他方が前記本体に固定され、前記開閉部材の所定の開閉位置から前記回転部材に開放方向のモーメントを発生させ、又は前記開閉部材の所定の開閉位置から前記回転部材に閉止方向のモーメントを発生させると共に、前記係合部を前記被係合部に係合させるように前記回転部材を付勢する付勢部材と、
を備える開閉部材の開閉機構。
【請求項2】
前記被係合部は凹状とされ、前記係合部は前記被係合部に入り込む凸状とされる請求項1に記載の開閉部材の開閉機構。
【請求項3】
前記回転部材は、凸状の前記係合部が凹状の前記被係合部に入り込む係合方向に移動可能に前記軸部に支持される請求項2に記載の開閉部材の開閉機構。
【請求項4】
前記開閉部材が前記開口部を開放したとき及び前記開閉部材が前記開口部を閉止したときに、前記係合部が前記被係合部に係合し、
一対の前記被係合部の間の前記被係合部材には、前記係合部を前記被係合部へ案内する案内部が設けられる請求項1〜3の何れか1項に記載の開閉部材の開閉機構。
【請求項5】
前記付勢部材の付勢力は、前記回転部材を回転させるモーメントを発生させる分力と、前記回転部材の回転中心に向って前記回転部材を付勢して前記係合部を前記被係合部に係合させる分力と、を生じさせる請求項1〜4の何れか1項に記載の開閉部材の開閉機構。
【請求項6】
前記回転部材の回転中心には、円筒状のエンボスが設けられ、前記エンボスには、前記回転部材の回転軸方向に延びるスリットが形成されており、前記開閉部材の軸部には、前記スリットに嵌る板状のリブ部材が設けられる請求項1〜5の何れか1項に記載の開閉部材の開閉機構。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載された開閉部材の開閉機構を備える容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−168224(P2011−168224A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35318(P2010−35318)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】