防振パッド
【課題】安定して重量物を支えながら振動を吸収することの可能な防振パッドを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る防振パッド10は、重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッド10において、弾性材料からなる弾性シート11と、弾性シート11内に設置され、重量物の荷重を受けるための隆起部16が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレート15とを備える。弾性シート11は、粘着性ゲルからなる粘着部12と、粘着部12よりも硬くて反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部13とを有する。隆起部16は、その頂上部が線又は面となるように形成されると共に、高さの異なる複数の隆起部16a,16b,16cが形成されている。
【解決手段】本実施形態に係る防振パッド10は、重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッド10において、弾性材料からなる弾性シート11と、弾性シート11内に設置され、重量物の荷重を受けるための隆起部16が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレート15とを備える。弾性シート11は、粘着性ゲルからなる粘着部12と、粘着部12よりも硬くて反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部13とを有する。隆起部16は、その頂上部が線又は面となるように形成されると共に、高さの異なる複数の隆起部16a,16b,16cが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の振動を抑えて転倒を防止するための防振パッドに関し、特に、比較的小型の重量物への使用に適した防振パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家具や墓石等の比較的小型の重量物が地震時に転倒するのを防止するための転倒防止シートが提供されている。このような転倒防止シートとしては、例えば、弾性樹脂製のシートが広く提供されており、重量物の下に敷いて利用される。
【0003】
ところが、墓石等の50kgを超えるような小型重量物の下に弾性樹脂製シートを敷いた場合、荷重により樹脂製シートがつぶれてしまい、振動を吸収するといった作用効果をほとんど発揮できなくなってしまうケースが発生していた。特に、墓石を多段に積み上げる構造の墓の場合には、弾性樹脂シートを敷く場所によっては、80〜1,500kgの荷重がかかる場合もある。
【0004】
このような問題を解決するために、下記特許文献1乃至3に開示された転倒防止シートが提供されている。下記特許文献1乃至3においては、弾性樹脂製シートと共に、金属製の固い球状体を設置したり、硬質粒子を挟みつつ鋼板を積層したりすることで、荷重により樹脂製シートがつぶれるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4238277号公報
【特許文献2】特開2008−256053号公報
【特許文献3】実用新案登録第3121815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のように球体を転倒防止シートに設置する場合、重量物の荷重が一点に集中してしまい、安定して重量物を支えることができなくなるケースも発生していた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安定して重量物を支えながら振動を吸収することの可能な防振パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る防振パッドは、重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッドにおいて、弾性材料からなる弾性シートと、前記弾性シート内に設置され、前記重量物の荷重を受けるための隆起部が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレートと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る防振パッドによれば、安定して重量物を支えながら振動を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第一実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線による断面図である。
【図3】図3は、第二実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図4】図4は、図3のB−B線による断面図である。
【図5】図5は、第三実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図6】図6は、図5のC−C線による断面図である。
【図7】図7は、第四実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図8】図8は、図7のD−D線による断面図である。
【図9】図9は、第五実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図10】図10は、図9のE−E線による断面図である。
【図11】図11は、第六実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図12】図12は、図11のF−F線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る防振パッドについて説明する。
(第一実施形態)
まず、図1及び図2を参照しながら、第一実施形態に係る防振パッドについて説明する。図1は、第一実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図2は、図1のA−A線による断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、第一実施形態に係る防振パッド10は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート11、金属製の補強プレート15を備えている。
【0013】
弾性シート11は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部12と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部13とから構成される。粘着部12は、略正方形状の薄いシート部12aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部12bとから構成され、シート部12aは弾性シート11の下面全体に位置している。本実施形態における粘着部12の材料は、粘着性を有する透明なシリコーンゲルである。
【0014】
防振ゴム部13は、隆起部12bの部分を除いた粘着部12上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。本実施形態における防振ゴム部13の材料としては、上記粘着部12の材料(シリコーンゲル)よりもゴム硬度、反発弾性率、振動吸収率の高い材料であるブチルゴム(IIR)が用いられる。
【0015】
補強プレート15は、略円盤形状のプレートであり、半径の異なる三つの円周上に隆起した隆起部16が形成されている。複数の隆起部16は、内側から、第一輪状隆起部16a、第二輪状隆起部16b、第三輪状隆起部16cである。また、第一輪状隆起部16aの中心には、小孔16hが開けられている。
【0016】
輪状隆起部16は、各隆起高さが内側から外側にいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一輪状隆起部16aが最も低く、第三輪状隆起部16cが最も高くなっている。また、第三輪状隆起部16cの上面は、粘着部12の隆起部12bの上面と略同じ高さとなっている。本実施形態における補強プレート15の材料はアルミやステンレスである。
【0017】
次に、防振パッド10の製造方法について説明する。まず、金型内に防振ゴム材料を仕込んでコンプレッション成形等により防振ゴム部13を成形する。また、補強プレート15をプレス加工(塑性変形加工)により別途成形する。具体的には、プレス金型を用いて金属製プレートをプレス加工し、略円盤形状の補強プレート15を成形する。
【0018】
続いて、別容器内に防振ゴム部13と補強プレート15をセットし、シリコーンゲル材料を注入して硬化させれば、防振パッド10が完成する。なお、防振パッド10のサイズは、例えば、一辺が50mm、厚さ4mmとする。
【0019】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る防振パッド10によれば、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に重量物に作用する振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。具体的には、本実施形態に係る防振パッド10は、金属製プレートをプレス加工することで形成された補強プレート15を備えているため、重量物の荷重により弾性シート11がつぶれてしまうのを防止することができ、弾性シート11及び補強プレート15の双方が重量物の振動を吸収することができる。
【0020】
また、本実施形態に係る補強プレート15では、頂上部が点ではなく線(円周)となるように、凸部である輪状隆起部16が広い範囲にわたって盛り上がっているので、小型の重量物であれば、補強プレート15により確実に支えることが可能となる。
【0021】
また、補強プレート15の隆起部16は、高さの異なる複数の輪状隆起部16a〜16cが形成されているため、幅広い重さの重量物に適切に対応可能である。例えば、比較的軽い重量物の場合には、最も高い外側の第三輪状隆起部16cだけで重量物が支えられ。一方、重量物が重くなるに従って、第三輪状隆起部16cが凹んで変形し、第三輪状隆起部16cが第二輪状隆起部16bの高さまで凹むと、第三輪状隆起部16cに加えて第二輪状隆起部16bによっても重量物が支えられることになる。
【0022】
また、隆起部16が頑丈すぎて、重量物が補強プレート15のみによって支えられてしまうと、弾性シート11により重量物を支えることができなくなり、弾性シート11による振動の吸収ができなくなってしまう。これに対して、本実施形態では、段階的に高さが異なる隆起部16を複数形成することで、荷重に応じて重量物を支持する隆起部16が選択的に使用されるので、幅広い重さの重量物に対して、弾性シート11の支持による振動吸収作用を発揮させることができる。
【0023】
さらに、段階的に高さが異なる複数の隆起部16が形成されていることで、防振パッド10を使って重量物の傾き調整を行うことも可能である。例えば、墓石を設置する際には、土台の上に竿石を設置するが、そのまま竿石を設置しただけでは竿石が傾いている場合も多いので、従来は、スペーサーを挟んで竿石を叩くなどして傾き調整が行われていた。
【0024】
これに対して、防振パッド10を竿石の下の四隅に敷いておけば、低く調整したい側を叩くことで、段階的に複数の隆起部16を変形させて高さ調整を行うことができるので、竿石の傾きを調整することができる。なお、墓石に防振パッド10を使用する際には、新設の墓石に使用することもできるし、既存の墓石の耐震性向上や傾き修正に用いることもできる。
【0025】
また、本実施形態では、補強プレート15の隆起部16をプレス加工による塑性変形により形成しているので、補強プレート15の強度が高く、丈夫な防振パッド10を提供することができる。ダイカストで鋳造方式により製造した場合には、塑性変形により製造した場合と比較してせん断強度が低くなるため、重量物の荷重が大きくなった場合に破断するおそれもあるが、プレス加工によれば、高いせん断強度を実現できる。
【0026】
また、本実施形態においては、弾性シート11にゴム硬度及び反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部13が設けられているので、地震の際には、この防振ゴム部13が振動を吸収し、重量物の転倒を防止することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態においては、弾性シート11に粘着性のあるゲル材料からなる粘着部12が設けられているので、防振パッド10をセットする際の作業を容易に行うことができる。粘着部12は、防振パッド10の底面全体に設置されており、防振パッド10を重量物の下に配置するにあたって、土台となる下側構造物の上面に置けば、防振パッド10と下側構造物とが粘着部12により強固に接着される。したがって、その後重量物を設置する際に、防振パッド10に何かが接触してしまって所望の設置場所からずれてしまうといったことを防止できる。なお、防振バッド10を設置する際には、接着剤を併用すれば、防振パッド10と構造物との接着性をさらに高めて耐震性をより高めることができる。
【0028】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、粘着部12の材料としては、シリコーンゲルに限らず、高分子ゲル全般等、粘着性のある弾性材料であれば適宜使用することができる。また、補強プレート15の材料としては、鉄や銅など、アルミやステンレス以外の金属を用いることができる。
【0029】
また、防振ゴム部13の材料としても、ブチルゴムに限らず、粘着部12の材料よりもゴム硬度及び反発弾性率や振動吸収率の高い材料であれば、適宜他のゴム系材料を用いることができる。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)を用いることができる。
【0030】
但し、墓石に用いられる場合等、長期に亘って耐久性が要求される場合には、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムや、これらの混合材料を用いることが望ましい。
【0031】
また、防振パッド10の製造方法についても、適宜他の方法で製造することができ、特に、防振ゴム部13の材料の硫黄成分によりシリコーンゲル材料の硬化阻害が生じる場合には、粘着部12と防振ゴム部13とを別々に硬化させておき、後から両者を接合するようにしても良い。
【0032】
(第二実施形態)
次に、図3及び図4を参照しながら、第二実施形態に係る防振パッドについて説明する。図3は、第二実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図4は、図3のB−B線による断面図である。図3及び図4に示すように、第二実施形態に係る防振パッド20は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート21、金属製の補強プレート25を備えている。
【0033】
弾性シート21は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部22と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部23とから構成される。粘着部22は、略正方形状の薄いシート部22aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部22bとから構成される。
【0034】
防振ゴム部23は、隆起部22bの部分を除いた粘着部22及び補強プレート25上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。また、防振ゴム23の上面は、粘着部22の隆起部22bよりも若干低い位置になっている。
【0035】
補強プレート25は、防振パッド20よりも一回り小さい略正方形状のプレートであり、所定の間隔で平行して隆起した複数の隆起部26が形成された波形プレートとなっている。直線上に隆起した複数の隆起部26は、全て同じ高さである。
【0036】
第二実施形態に係る防振パッド20の材料や製造方法は、上記第一実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形も可能である。
【0037】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。なお、本実施形態では、補強プレート25の隆起部26が全て同じ高さであるため、構造が簡単であり、製造コストを低減できる。
【0038】
(第三実施形態)
次に、図5及び図6を参照しながら、第三実施形態に係る防振パッドについて説明する。図5は、第三実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図6は、図5のC−C線による断面図である。図5及び図6に示すように、第三実施形態に係る防振パッド30は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート31、金属製の補強プレート35を備えている。
【0039】
弾性シート31は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部32と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部33とから構成される。粘着部32は、略正方形状の薄いシート部32aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部32bとから構成される。
【0040】
防振ゴム部33は、隆起部32bの部分を除いた粘着部32及び補強プレート35上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。また、防振ゴム33の上面は、粘着部32の隆起部32bよりも若干低い位置になっている。
【0041】
補強プレート35は、細長い板状のプレートであり、隆起部32bの両側に平行に設置されており、それぞれプレートの延伸方向の直線上に隆起した隆起部36が形成されている。両側の補強プレート35の両隆起部36は同じ高さである。
【0042】
第三実施形態に係る防振パッド30の材料や製造方法は、上記第一第施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0043】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、上記第一実施形態及び第二実施形態に係る防振パッドと比較して構成が簡易であるため、比較的低コストで製造することができる。
【0044】
(第四実施形態)
次に、図7及び図8を参照しながら、第四実施形態に係る防振パッドについて説明する。図7は、第四実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図8は、図7のD−D線による断面図である。図7及び図8に示すように、第四実施形態に係る防振パッド40は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート41、金属製の補強プレート45を備えている。
【0045】
弾性シート41は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部42から構成される。補強プレート45は、略正方形状のプレートであり、各辺は防振パッド40の各辺の半分程度の長さである。補強プレート45の四隅の内側には、四つの隆起部46が形成されている。
【0046】
隆起部46は、略円筒形状に盛り上がっており、上面は平面であると共に、上面中心に小孔46hが形成されている。また、隆起部46の上面は、弾性シート41の上面よりも若干高くなっており、弾性シート41の表面から突出している。
【0047】
本実施形態では、上記第一乃至第三実施形態のように固くて反発弾性率の高い防振ゴム部が設けられていない。したがって、補強プレート45により重量物を支持して弾性シート41がつぶれないようにするために、補強プレート45の上端(隆起部46上面)を弾性シート41の上面よりも高く設定している。
【0048】
第四実施形態に係る防振パッド40の材料は、防振ゴム材料が除かれている点を除いて上記第一実施形態と同様である。防振パッド40の製造方法は、まず、補強プレート45をプレス加工により成形し、容器内に補強プレート45をセットする。そして、この容器内にシリコーンゲル材料を注入して硬化させれば、防振パッド40が完成する。
【0049】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0050】
(第五実施形態)
次に、図9及び図10を参照しながら、第五実施形態に係る防振パッドについて説明する。図9は、第五実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図10は、図9のE−E線による断面図である。図9及び図10に示すように、第五実施形態に係る防振パッド50は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート51、金属製の補強プレート55を備えている。
【0051】
弾性シート51は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部52から構成される。補強プレート55は、防振パッド50よりも一回り小さい略円盤形状のプレートであり、半径の異なる三つの円周上に隆起した隆起部56が形成されている。複数の隆起部16は、内側から、第一輪状隆起部56a、第二輪状隆起部56b、第三輪状隆起部56cである。また、第一輪状隆起部56aの中心には、小孔56hが開けられている。
【0052】
輪状隆起部56は、各隆起高さが内側から外側にいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一輪状隆起部56aが最も低く、第三輪状隆起部56cが最も高くなっている。また、第二輪状隆起部56bの上面は、粘着部52の上面と略同じ高さとなっている。第三輪状隆起部56cの上面は、弾性シート51の上面よりも若干高くなっており、弾性シート51の表面から突出して重量物を支持することで、弾性シート51がつぶれるのを防止している。
【0053】
第五実施形態に係る防振パッド50の材料や製造方法は、上記第四実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0054】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。
【0055】
(第六実施形態)
次に、図11及び図12を参照しながら、第六実施形態に係る防振パッドについて説明する。図11は、第六実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図12は、図11のF−F線による断面図である。図11及び図12に示すように、第六実施形態に係る防振パッド60は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート61、金属製の補強プレート65を備えている。
【0056】
弾性シート61は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部62から構成される。補強プレート65は、防振パッド60よりも一回り小さい略正方形状のプレートであり、所定の間隔で並行する直線上に隆起した五つの隆起部66が形成された波形プレートとなっている。五つの隆起部66は、両端の二つの第三直線状隆起部が66c,66c、中央の一つの第一直線状隆起部が66a、これらの間に挟まれた中間の二つの第二直線状隆起部が66b,66bである。
【0057】
隆起部66は、それぞれの隆起高さが中央から両端へいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一直線状隆起部66aが最も低く、第三直線状隆起部66cが最も高くなっている。また、第二直線状隆起部66bの上面は、粘着部62の上面と略同じ高さとなっている。第三直線状隆起部66cの上面は、弾性シート61の上面よりも若干高くなっており、弾性シート61の表面から突出して重量物を支持することで、弾性シート61がつぶれるのを防止している。
【0058】
第六実施形態に係る防振パッド60の材料や製造方法は、上記第四実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0059】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0060】
10,20,30,40,50,60 防振パッド
11,21,31,41,51,61 弾性シート
12,22,32,42,52,62 粘着部
13,23,33 防振ゴム部
15,25,35,45,55,65 補強プレート
16,26,36,46,56,66 隆起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の振動を抑えて転倒を防止するための防振パッドに関し、特に、比較的小型の重量物への使用に適した防振パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家具や墓石等の比較的小型の重量物が地震時に転倒するのを防止するための転倒防止シートが提供されている。このような転倒防止シートとしては、例えば、弾性樹脂製のシートが広く提供されており、重量物の下に敷いて利用される。
【0003】
ところが、墓石等の50kgを超えるような小型重量物の下に弾性樹脂製シートを敷いた場合、荷重により樹脂製シートがつぶれてしまい、振動を吸収するといった作用効果をほとんど発揮できなくなってしまうケースが発生していた。特に、墓石を多段に積み上げる構造の墓の場合には、弾性樹脂シートを敷く場所によっては、80〜1,500kgの荷重がかかる場合もある。
【0004】
このような問題を解決するために、下記特許文献1乃至3に開示された転倒防止シートが提供されている。下記特許文献1乃至3においては、弾性樹脂製シートと共に、金属製の固い球状体を設置したり、硬質粒子を挟みつつ鋼板を積層したりすることで、荷重により樹脂製シートがつぶれるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4238277号公報
【特許文献2】特開2008−256053号公報
【特許文献3】実用新案登録第3121815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のように球体を転倒防止シートに設置する場合、重量物の荷重が一点に集中してしまい、安定して重量物を支えることができなくなるケースも発生していた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安定して重量物を支えながら振動を吸収することの可能な防振パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る防振パッドは、重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッドにおいて、弾性材料からなる弾性シートと、前記弾性シート内に設置され、前記重量物の荷重を受けるための隆起部が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレートと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る防振パッドによれば、安定して重量物を支えながら振動を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第一実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線による断面図である。
【図3】図3は、第二実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図4】図4は、図3のB−B線による断面図である。
【図5】図5は、第三実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図6】図6は、図5のC−C線による断面図である。
【図7】図7は、第四実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図8】図8は、図7のD−D線による断面図である。
【図9】図9は、第五実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図10】図10は、図9のE−E線による断面図である。
【図11】図11は、第六実施形態に係る防振パッドの平面図である。
【図12】図12は、図11のF−F線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る防振パッドについて説明する。
(第一実施形態)
まず、図1及び図2を参照しながら、第一実施形態に係る防振パッドについて説明する。図1は、第一実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図2は、図1のA−A線による断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、第一実施形態に係る防振パッド10は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート11、金属製の補強プレート15を備えている。
【0013】
弾性シート11は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部12と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部13とから構成される。粘着部12は、略正方形状の薄いシート部12aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部12bとから構成され、シート部12aは弾性シート11の下面全体に位置している。本実施形態における粘着部12の材料は、粘着性を有する透明なシリコーンゲルである。
【0014】
防振ゴム部13は、隆起部12bの部分を除いた粘着部12上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。本実施形態における防振ゴム部13の材料としては、上記粘着部12の材料(シリコーンゲル)よりもゴム硬度、反発弾性率、振動吸収率の高い材料であるブチルゴム(IIR)が用いられる。
【0015】
補強プレート15は、略円盤形状のプレートであり、半径の異なる三つの円周上に隆起した隆起部16が形成されている。複数の隆起部16は、内側から、第一輪状隆起部16a、第二輪状隆起部16b、第三輪状隆起部16cである。また、第一輪状隆起部16aの中心には、小孔16hが開けられている。
【0016】
輪状隆起部16は、各隆起高さが内側から外側にいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一輪状隆起部16aが最も低く、第三輪状隆起部16cが最も高くなっている。また、第三輪状隆起部16cの上面は、粘着部12の隆起部12bの上面と略同じ高さとなっている。本実施形態における補強プレート15の材料はアルミやステンレスである。
【0017】
次に、防振パッド10の製造方法について説明する。まず、金型内に防振ゴム材料を仕込んでコンプレッション成形等により防振ゴム部13を成形する。また、補強プレート15をプレス加工(塑性変形加工)により別途成形する。具体的には、プレス金型を用いて金属製プレートをプレス加工し、略円盤形状の補強プレート15を成形する。
【0018】
続いて、別容器内に防振ゴム部13と補強プレート15をセットし、シリコーンゲル材料を注入して硬化させれば、防振パッド10が完成する。なお、防振パッド10のサイズは、例えば、一辺が50mm、厚さ4mmとする。
【0019】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る防振パッド10によれば、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に重量物に作用する振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。具体的には、本実施形態に係る防振パッド10は、金属製プレートをプレス加工することで形成された補強プレート15を備えているため、重量物の荷重により弾性シート11がつぶれてしまうのを防止することができ、弾性シート11及び補強プレート15の双方が重量物の振動を吸収することができる。
【0020】
また、本実施形態に係る補強プレート15では、頂上部が点ではなく線(円周)となるように、凸部である輪状隆起部16が広い範囲にわたって盛り上がっているので、小型の重量物であれば、補強プレート15により確実に支えることが可能となる。
【0021】
また、補強プレート15の隆起部16は、高さの異なる複数の輪状隆起部16a〜16cが形成されているため、幅広い重さの重量物に適切に対応可能である。例えば、比較的軽い重量物の場合には、最も高い外側の第三輪状隆起部16cだけで重量物が支えられ。一方、重量物が重くなるに従って、第三輪状隆起部16cが凹んで変形し、第三輪状隆起部16cが第二輪状隆起部16bの高さまで凹むと、第三輪状隆起部16cに加えて第二輪状隆起部16bによっても重量物が支えられることになる。
【0022】
また、隆起部16が頑丈すぎて、重量物が補強プレート15のみによって支えられてしまうと、弾性シート11により重量物を支えることができなくなり、弾性シート11による振動の吸収ができなくなってしまう。これに対して、本実施形態では、段階的に高さが異なる隆起部16を複数形成することで、荷重に応じて重量物を支持する隆起部16が選択的に使用されるので、幅広い重さの重量物に対して、弾性シート11の支持による振動吸収作用を発揮させることができる。
【0023】
さらに、段階的に高さが異なる複数の隆起部16が形成されていることで、防振パッド10を使って重量物の傾き調整を行うことも可能である。例えば、墓石を設置する際には、土台の上に竿石を設置するが、そのまま竿石を設置しただけでは竿石が傾いている場合も多いので、従来は、スペーサーを挟んで竿石を叩くなどして傾き調整が行われていた。
【0024】
これに対して、防振パッド10を竿石の下の四隅に敷いておけば、低く調整したい側を叩くことで、段階的に複数の隆起部16を変形させて高さ調整を行うことができるので、竿石の傾きを調整することができる。なお、墓石に防振パッド10を使用する際には、新設の墓石に使用することもできるし、既存の墓石の耐震性向上や傾き修正に用いることもできる。
【0025】
また、本実施形態では、補強プレート15の隆起部16をプレス加工による塑性変形により形成しているので、補強プレート15の強度が高く、丈夫な防振パッド10を提供することができる。ダイカストで鋳造方式により製造した場合には、塑性変形により製造した場合と比較してせん断強度が低くなるため、重量物の荷重が大きくなった場合に破断するおそれもあるが、プレス加工によれば、高いせん断強度を実現できる。
【0026】
また、本実施形態においては、弾性シート11にゴム硬度及び反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部13が設けられているので、地震の際には、この防振ゴム部13が振動を吸収し、重量物の転倒を防止することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態においては、弾性シート11に粘着性のあるゲル材料からなる粘着部12が設けられているので、防振パッド10をセットする際の作業を容易に行うことができる。粘着部12は、防振パッド10の底面全体に設置されており、防振パッド10を重量物の下に配置するにあたって、土台となる下側構造物の上面に置けば、防振パッド10と下側構造物とが粘着部12により強固に接着される。したがって、その後重量物を設置する際に、防振パッド10に何かが接触してしまって所望の設置場所からずれてしまうといったことを防止できる。なお、防振バッド10を設置する際には、接着剤を併用すれば、防振パッド10と構造物との接着性をさらに高めて耐震性をより高めることができる。
【0028】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、粘着部12の材料としては、シリコーンゲルに限らず、高分子ゲル全般等、粘着性のある弾性材料であれば適宜使用することができる。また、補強プレート15の材料としては、鉄や銅など、アルミやステンレス以外の金属を用いることができる。
【0029】
また、防振ゴム部13の材料としても、ブチルゴムに限らず、粘着部12の材料よりもゴム硬度及び反発弾性率や振動吸収率の高い材料であれば、適宜他のゴム系材料を用いることができる。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)を用いることができる。
【0030】
但し、墓石に用いられる場合等、長期に亘って耐久性が要求される場合には、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムや、これらの混合材料を用いることが望ましい。
【0031】
また、防振パッド10の製造方法についても、適宜他の方法で製造することができ、特に、防振ゴム部13の材料の硫黄成分によりシリコーンゲル材料の硬化阻害が生じる場合には、粘着部12と防振ゴム部13とを別々に硬化させておき、後から両者を接合するようにしても良い。
【0032】
(第二実施形態)
次に、図3及び図4を参照しながら、第二実施形態に係る防振パッドについて説明する。図3は、第二実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図4は、図3のB−B線による断面図である。図3及び図4に示すように、第二実施形態に係る防振パッド20は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート21、金属製の補強プレート25を備えている。
【0033】
弾性シート21は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部22と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部23とから構成される。粘着部22は、略正方形状の薄いシート部22aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部22bとから構成される。
【0034】
防振ゴム部23は、隆起部22bの部分を除いた粘着部22及び補強プレート25上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。また、防振ゴム23の上面は、粘着部22の隆起部22bよりも若干低い位置になっている。
【0035】
補強プレート25は、防振パッド20よりも一回り小さい略正方形状のプレートであり、所定の間隔で平行して隆起した複数の隆起部26が形成された波形プレートとなっている。直線上に隆起した複数の隆起部26は、全て同じ高さである。
【0036】
第二実施形態に係る防振パッド20の材料や製造方法は、上記第一実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形も可能である。
【0037】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。なお、本実施形態では、補強プレート25の隆起部26が全て同じ高さであるため、構造が簡単であり、製造コストを低減できる。
【0038】
(第三実施形態)
次に、図5及び図6を参照しながら、第三実施形態に係る防振パッドについて説明する。図5は、第三実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図6は、図5のC−C線による断面図である。図5及び図6に示すように、第三実施形態に係る防振パッド30は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート31、金属製の補強プレート35を備えている。
【0039】
弾性シート31は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部32と、防振ゴム材料から形成された防振ゴム部33とから構成される。粘着部32は、略正方形状の薄いシート部32aと、中央に形成された円筒状の厚い部分である隆起部32bとから構成される。
【0040】
防振ゴム部33は、隆起部32bの部分を除いた粘着部32及び補強プレート35上に接合されており、中央に円形穴が形成された略正方形の形状となっている。また、防振ゴム33の上面は、粘着部32の隆起部32bよりも若干低い位置になっている。
【0041】
補強プレート35は、細長い板状のプレートであり、隆起部32bの両側に平行に設置されており、それぞれプレートの延伸方向の直線上に隆起した隆起部36が形成されている。両側の補強プレート35の両隆起部36は同じ高さである。
【0042】
第三実施形態に係る防振パッド30の材料や製造方法は、上記第一第施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0043】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、上記第一実施形態及び第二実施形態に係る防振パッドと比較して構成が簡易であるため、比較的低コストで製造することができる。
【0044】
(第四実施形態)
次に、図7及び図8を参照しながら、第四実施形態に係る防振パッドについて説明する。図7は、第四実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図8は、図7のD−D線による断面図である。図7及び図8に示すように、第四実施形態に係る防振パッド40は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート41、金属製の補強プレート45を備えている。
【0045】
弾性シート41は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部42から構成される。補強プレート45は、略正方形状のプレートであり、各辺は防振パッド40の各辺の半分程度の長さである。補強プレート45の四隅の内側には、四つの隆起部46が形成されている。
【0046】
隆起部46は、略円筒形状に盛り上がっており、上面は平面であると共に、上面中心に小孔46hが形成されている。また、隆起部46の上面は、弾性シート41の上面よりも若干高くなっており、弾性シート41の表面から突出している。
【0047】
本実施形態では、上記第一乃至第三実施形態のように固くて反発弾性率の高い防振ゴム部が設けられていない。したがって、補強プレート45により重量物を支持して弾性シート41がつぶれないようにするために、補強プレート45の上端(隆起部46上面)を弾性シート41の上面よりも高く設定している。
【0048】
第四実施形態に係る防振パッド40の材料は、防振ゴム材料が除かれている点を除いて上記第一実施形態と同様である。防振パッド40の製造方法は、まず、補強プレート45をプレス加工により成形し、容器内に補強プレート45をセットする。そして、この容器内にシリコーンゲル材料を注入して硬化させれば、防振パッド40が完成する。
【0049】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0050】
(第五実施形態)
次に、図9及び図10を参照しながら、第五実施形態に係る防振パッドについて説明する。図9は、第五実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図10は、図9のE−E線による断面図である。図9及び図10に示すように、第五実施形態に係る防振パッド50は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート51、金属製の補強プレート55を備えている。
【0051】
弾性シート51は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部52から構成される。補強プレート55は、防振パッド50よりも一回り小さい略円盤形状のプレートであり、半径の異なる三つの円周上に隆起した隆起部56が形成されている。複数の隆起部16は、内側から、第一輪状隆起部56a、第二輪状隆起部56b、第三輪状隆起部56cである。また、第一輪状隆起部56aの中心には、小孔56hが開けられている。
【0052】
輪状隆起部56は、各隆起高さが内側から外側にいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一輪状隆起部56aが最も低く、第三輪状隆起部56cが最も高くなっている。また、第二輪状隆起部56bの上面は、粘着部52の上面と略同じ高さとなっている。第三輪状隆起部56cの上面は、弾性シート51の上面よりも若干高くなっており、弾性シート51の表面から突出して重量物を支持することで、弾性シート51がつぶれるのを防止している。
【0053】
第五実施形態に係る防振パッド50の材料や製造方法は、上記第四実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0054】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。
【0055】
(第六実施形態)
次に、図11及び図12を参照しながら、第六実施形態に係る防振パッドについて説明する。図11は、第六実施形態に係る防振パッドの平面図であり、図12は、図11のF−F線による断面図である。図11及び図12に示すように、第六実施形態に係る防振パッド60は、略正方形の板状をしており、弾性部材から形成された弾性シート61、金属製の補強プレート65を備えている。
【0056】
弾性シート61は、粘着性のあるゲル材料から形成された粘着部62から構成される。補強プレート65は、防振パッド60よりも一回り小さい略正方形状のプレートであり、所定の間隔で並行する直線上に隆起した五つの隆起部66が形成された波形プレートとなっている。五つの隆起部66は、両端の二つの第三直線状隆起部が66c,66c、中央の一つの第一直線状隆起部が66a、これらの間に挟まれた中間の二つの第二直線状隆起部が66b,66bである。
【0057】
隆起部66は、それぞれの隆起高さが中央から両端へいくに従って徐々に高くなるように形成されており、第一直線状隆起部66aが最も低く、第三直線状隆起部66cが最も高くなっている。また、第二直線状隆起部66bの上面は、粘着部62の上面と略同じ高さとなっている。第三直線状隆起部66cの上面は、弾性シート61の上面よりも若干高くなっており、弾性シート61の表面から突出して重量物を支持することで、弾性シート61がつぶれるのを防止している。
【0058】
第六実施形態に係る防振パッド60の材料や製造方法は、上記第四実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0059】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、小型重量物の下に敷くことで、地震等の発生の際に振動を吸収し、転倒を防止することが可能となる。また、本実施形態によれば、防振ゴム部が設置されていない分、構成が簡単であるため、製造コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0060】
10,20,30,40,50,60 防振パッド
11,21,31,41,51,61 弾性シート
12,22,32,42,52,62 粘着部
13,23,33 防振ゴム部
15,25,35,45,55,65 補強プレート
16,26,36,46,56,66 隆起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッドにおいて、
弾性材料からなる弾性シートと、
前記弾性シート内に設置され、前記重量物の荷重を受けるための隆起部が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレートと、
を備えることを特徴とする転倒防止パッド。
【請求項2】
前記弾性シートは、粘着性ゲルからなる粘着部を有していることを特徴とする請求項1記載の防振パッド。
【請求項3】
前記弾性シートは、前記粘着部よりも硬くて反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部をさらに有していることを特徴とする請求項2記載の防振パッド。
【請求項4】
前記補強プレートの隆起部は、その頂上部が線又は面となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の防振パッド。
【請求項5】
前記補強プレートの隆起部として、高さの異なる複数の隆起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の防振パッド。
【請求項1】
重量物の転倒を防止するために前記重量物の下に敷かれる防振パッドにおいて、
弾性材料からなる弾性シートと、
前記弾性シート内に設置され、前記重量物の荷重を受けるための隆起部が塑性変形加工により形成されている金属製補強プレートと、
を備えることを特徴とする転倒防止パッド。
【請求項2】
前記弾性シートは、粘着性ゲルからなる粘着部を有していることを特徴とする請求項1記載の防振パッド。
【請求項3】
前記弾性シートは、前記粘着部よりも硬くて反発弾性率の高い防振ゴムからなる防振ゴム部をさらに有していることを特徴とする請求項2記載の防振パッド。
【請求項4】
前記補強プレートの隆起部は、その頂上部が線又は面となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の防振パッド。
【請求項5】
前記補強プレートの隆起部として、高さの異なる複数の隆起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の防振パッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−13171(P2012−13171A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151345(P2010−151345)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【特許番号】特許第4606516号(P4606516)
【特許公報発行日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(510183604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【特許番号】特許第4606516号(P4606516)
【特許公報発行日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(510183604)
【Fターム(参考)】
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