説明

防振効果を有する合成地下壁とその構築方法、及び水平多軸回転式の地盤改良装置

【課題】 掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と地下躯体の側壁とで構成される防振効果を有する合成地下壁を提供する。
【解決手段】 山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成され、同改良体に芯材が略等間隔に建て込まれている。山留め壁の芯材の掘削側の改良体が除去され、同芯材と一体化するように地下躯体の側壁が構築され、合成地下壁とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と地下躯体の側壁とで構成される防振効果を有する合成地下壁とその構築方法、及び水平多軸回転式の地盤改良装置の技術分野に属し、更に云うと、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造の山留め壁と地下躯体の側壁とで構成される防振効果を有する合成地下壁とその構築方法、及び水平多軸回転式の地盤改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から山留め壁と、地下躯体の側壁とを一体化して合成地下壁とすることで、同地下躯体の側壁の厚みを薄くし、地下空間の有効利用を図った建物を見聞することができる。
【0003】
特に、音響ホールなどの静寂性が要求される建物の場合は、振動源である鉄道、高速道路、工場等からの地盤振動が建物へ伝達されない防振構造とする必要があり、従来は山留め壁の背面側に、改良体内に防振ゴム層を埋設した連続地中壁を構築したり(特許文献1の図2や段落番号[0018]を参照)、防振材を配置していた(特許文献2の図1を参照)。
【0004】
ところで、最近では防振材料として発泡スチロールビーズ(発泡材)が配合された山留め壁が開発されており、その効果などが論文に発表されている(非特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−247244号公報
【特許文献2】特開2000−64328号公報
【非特許文献1】社団法人地盤工学会編「地盤環境振動の予測と対策の新技術に関するシンポジウム、発表論文集、委員会主催シンポジウムNo131、2004年5月13日、p209〜214)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2の防振構造は、山留め壁と別行程で地中連続壁を構築したり、防振材を配置する必要があり、施工が煩雑である。しかも、コストも嵩み、施工期間の長期化を招く。
【0006】
非特許文献1の山留め壁は防振材料が配合されているので、必然的に強度が低下するだけでなく、止水性も低下する懸念を有する。しかも合成地下壁の技術ではない。
【0007】
以上要するに、従来、防振効果を有する合成地下壁は見聞することができず、その構築方法や、防振効果を有する合成地下壁の構築に用いる水平多軸回転式の地盤改良装置も見聞することができない。
【0008】
したがって本発明の目的は、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体に芯材を建て込んだ山留め壁を構築し、同山留め壁の芯材と一体化するように地下躯体の側壁を構築し、合成地下壁自身が防振効果を有する構成とすることで、簡単に防振構造とすることができ、しかもコストの削減と施工期間の短縮に寄与する防振効果を有する合成地下壁とその構築方法、及び水平多軸回転式の地盤改良装置を提供することである。
【0009】
本発明の次の目的は、合成地下壁を成す山留め壁を、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体に芯材を建て込んだ構成とすることで、十分な強度と止水性を有し、同山留め壁内の掘削地盤を掘削する際に、安全性が高く、地下水の浸水を確実に防ぐことができる、防振効果を有する合成地下壁とその構築方法、及び水平多軸回転式の地盤改良装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る防振効果を有する合成地下壁は、
掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と、同山留め壁内の掘削部に構築される地下躯体の側壁とで構成される合成地下壁であって、
山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成され、同改良体に芯材が略等間隔に建て込まれていること、
山留め壁の芯材より掘削側の改良体が除去され、同芯材と一体化するように地下躯体の側壁が構築され、合成地下壁とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した防振効果を有する合成地下壁において、
防振材料はゴムチップ又は発泡材などであることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載した防振効果を有する合成地下壁において、
芯材にスタッドが設けられており、同スタッドを介して地下躯体の側壁は芯材と一体化されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明に係る防振効果を有する合成地下壁の構築方法は、
掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と、同山留め壁内の掘削部に構築される地下躯体の側壁とで構成される合成地下壁を構築する方法であって、
山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成し、同改良体に芯材を略等間隔に建て込むこと、
山留め壁内の地盤を掘削すると共に、同山留め壁の芯材より掘削側の改良体を除去して、同芯材を露出させ、この露出させた芯材と一体化するように地下躯体の側壁を構築し、合成地下壁とすることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載した防振効果を有する合成地下壁の構築方法において、
平面的に見て、山留め壁の背面側と掘削側とに少なくとも一個ずつセメントミルクの噴出口を有する水平多軸回転式の地盤改良装置を用い、背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させてそれぞれ掘削土壌と混合攪拌し、二層構造改良体を形成することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載した発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置は、
水平回転式のカッターホイールを備えたヘッド部を有する水平多軸回転式の地盤改良装置において、
カッターホイールにおける山留め壁の背面側と掘削側にセメントミルクの噴出口が配置されていること、
背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載した発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置は、
水平回転式のカッターホイールを備えたヘッド部を有する水平多軸回転式の地盤改良装置において、
ヘッド部は背面側のユニット部と掘削側のユニット部から成り、各々のユニット部は二組のカッターホイールが掘進方向に並べられており、その略中央位置にセメントミルクの噴出口が配置されていること、
背面側のユニット部の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側のユニット部の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載した水平多軸回転式の地盤改良装置において、
カッターホイールにおける山留め壁の背面側と掘削側の両外側部位にもセメントミルクの噴出口が配置されており、背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る防振効果を有する合成地下壁とその構築方法は、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体に芯材を建て込んだ山留め壁を構築し、同山留め壁の芯材と一体化するように地下躯体の側壁を構築している。
【0019】
そのため、振動源である鉄道などからの地盤振動は合成地下壁を成す山留め壁の背面側の層で吸収され、建物への伝達を防ぐことができる。つまり、合成地下壁自身が防振効果を有する構成としたので、従来のように山留め壁の背面側に防振効果を有する地中連続壁を構築したり、防振材を配置しなくても簡単に防振構造とすることができ、コストの削減と施工期間の短縮に寄与できる。
【0020】
一方、合成地下壁を成す山留め壁の掘削側の層は背面土圧などに十分耐え得るように、設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクと掘削土壌とが混合攪拌されて成り、十分な強度と止水性を有する構成とされている。そのため、地下躯体を構築するために山留め壁内の掘削地盤を掘削する際に、安全性が高く、地下水の浸水を確実に防ぐことができる。
【0021】
本発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置は、防振材料が配合されたセメントミルクと、防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクとを噴出可能な構成であるので、合成地下壁を成す山留め壁の二層構造改良体を簡単且つ確実に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成され、同改良体に芯材が略等間隔に建て込まれる。山留め壁の芯材より掘削側の改良体が除去され、同芯材と一体化するように地下躯体の側壁が構築され合成地下壁とされる。
【実施例1】
【0023】
以下に、請求項1〜3に記載した発明に係る防振効果を有する合成地下壁、及び請求項4、5に記載した発明に係る防振効果を有する合成地下壁の構築方法、並びに請求項6に記載した発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置の実施例を、図面に基づいて説明する。本発明に係る防振効果を有する合成地下壁1は、図1に示すように、振動源である鉄道2(但し、工場、高速道路などでも良い。)の近傍に、静寂性が要求される音響ホールなどを備えた建物3を構築する際に好適に採用される。
【0024】
防振効果を有する合成地下壁1は、通例の合成地下壁と略同様の構成である。しかし、合成地下壁1を成す山留め壁4は、図1及び図2に示すように平面的に見て、防振材料5(図2を参照)が配合された層6(以下、単に背面側の層6と云う場合がある。)と、掘削側の防振材料5が配合されず(但し、強度や止水性が低下するので配合されていないことが好ましいが、強度や止水性を損なわない程度で配合されても良い。)、且つ設計強度を有する層7(以下、単に掘削側の層7と云う場合がある。)との二層構造改良体8が形成され、同改良体8にH形鋼(但し、角形鋼管、丸形鋼管、I型鋼などでも良い。)から成る芯材9が略等間隔に建て込まれた構成であり、この山留め壁4の芯材9より掘削側の改良体4a(図9を参照)が除去され、同芯材9と一体化するように建物3の地下躯体3aの側壁3bが構築されている。
【0025】
具体的には、山留め壁4の背面側の層6は防振材料5として既に公知である発泡材やゴムチップなどが配合され、鉄道2から伝達される地盤振動を吸収できる構成とされている(請求項2記載の発明)。そのため、鉄道2からの地盤振動は合成地下壁1を成す山留め壁4の背面側の層6で吸収され、建物3への伝達を防ぐことができる。つまり、合成地下壁1自身が防振効果を有する構成とすることで、従来のように山留め壁4の背面側に防振効果を有する地中連続壁を構築したり、防振材を配置しなくても簡単に防振構造とすることができ、コストの削減と施工期間の短縮に寄与できる。
【0026】
一方、山留め壁4の掘削側の層7は背面土圧などに十分耐え得るように、設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクと掘削土壌とが混合攪拌されて成り、十分な強度と止水性を有する構成とされている。そのため、後で詳述するが、地下躯体3aを構築するために山留め壁4内の掘削地盤25(図8及び図9を参照)を掘削する際に、安全性が高く、地下水の浸水を確実に防ぐことができる。
【0027】
上記構成の山留め壁4は、例えば以下の水平多軸回転式の地盤改良装置10を用いて構築される。
前記地盤改良装置10は、通例の水平多軸回転式の地盤改良装置と略同様の構成である。すなわち、図3に示すように、リーダー11の頂部にレール12の上端部が支持されており、同レール12に沿って移動するケリーバ13が吊り下げられている。ケリーバ13の下端部にヘッド部14が接続されており、同ヘッド部14は、図4に示すように背面側と掘削側に並列に並べられたカッターホイール15、15から成る二組のカッターホイール群16、16が、掘進方向に並べられた形態でケーシング17の下端部に回転可能に支持されている。各組のカッターホイール群16、16はそれぞれ駆動手段18、18で回転駆動する構成である。
【0028】
しかし、図5及び図6に示すように、ヘッド部14(つまり、カッターホイール群16)における背面側と掘削側の両外側部位にセメントミルクの噴出口19、20が配置されており、各々の噴出口19、20は異なるプラント21、22へ接続されている。プラント21には防振材料5として発泡材やゴムチップなどが配合されたセメントミルクを蓄蔵しており、このセメントミルクがプラント21からグラウトホース23を介して背面側の噴出口19へ供給される。プラント22には、防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを蓄蔵しており、このセメントミルクがプラント22からグラウトホース24を介して掘削側の噴出口20に供給される(請求項6記載の発明)。
【0029】
上記構成の地盤改良装置10を用いて、図7に示すように背面側の噴出口19からは防振材料5が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口20からは防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させてそれぞれ掘削土壌と混合攪拌し、図8及び図9に示すように掘削地盤25の周囲に、背面側の防振材料5が配合された層6と、掘削側の防振材料5が配合されず、且つ設計強度を有する層7との二層構造改良体8を形成し、同改良体8に芯材9を略等間隔に建て込んで山留め壁4を構築する。そして、前記山留め壁4内の掘削地盤25を掘削すると共に、同山留め壁4の芯材9より掘削側の改良体4aを除去して、同芯材9の掘削側のフランジ9a(図2を参照)を露出させる。前記フランジ9aにスタッド26を接合し、同スタッド26を介して山留め壁4と一体化するように地下躯体3aの側壁3bを構築すると、合成地下壁1の施工が完了する(請求項3〜5記載の発明)。従来のように山留め壁4の背面側に防振効果を有する地中連続壁を構築したり、防振材を配置しなくても簡単に防振構造とすることができるので、コストの削減と施工期間の短縮に寄与できる。しかも、山留め壁4は十分な強度と止水性を有する構成であるので、地下躯体3aを構築するために山留め壁4内の掘削地盤25を掘削する際に、安全性が高く、地下水の浸水を確実に防ぐことができる。
【0030】
また、防振材料5が配合されたセメントミルクと、防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクとを噴出可能な地盤改良装置10を用いて合成地下壁1を成す山留め壁4を構築するので、二層構造改良体8を簡単且つ確実に構築できる。
【実施例2】
【0031】
図10に示す地盤改良装置27は、図3に示す地盤改良装置10と同様にケリーバ13の下端部にヘッド部28が接続されているが、同ヘッド部28の構成が異なる。ちなみに、ケリーバ13内には、図示は省略するが、プラント21(図6(A)を援用)へ接続されたグラウトホースと、プラント22(図6(A)を援用)へ接続されたグラウトホースとが格納されている。
【0032】
ヘッド部28は、背面側のユニット部29aと掘削側のユニット部29bとが並列に並べられ一体化された構成であり、各々のユニット部29a、29bがケリーバ13に支持されている。
【0033】
このユニット部29a(29b)は、図11に示すように、背面側と掘削側に並列に並べられたカッターホイール15、15から成る二組のカッターホイール群16、16が、掘進方向に並べられた形態でケーシング17の下端部に回転可能に支持されており、壁厚方向には前記掘削側と背面側に並列に並べられたカッターホイール15と15の間の位置であって、且つ掘進方向には二組のカッターホイール群16と16の間の位置(即ち略中央位置)にセメントミルクの噴出口30a(30b)を有する。そして、図示は省略するが、背面側のユニット部29aの噴出口30aは、プラント21へ接続されたグラウトホースと接続されており、防振材料5が配合されたセメントミルクを噴出させる構成である。掘削側のユニット部29bの噴出口30bは、プラント22へ接続されたグラウトホースと接続されており、防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成である(請求項7記載の発明)。つまり、通例の水平多軸回転式の地盤改良装置のヘッド部を背面側と掘削側に並列に並べた構成である。上記構成の地盤改良装置27も、防振材料5が配合されたセメントミルクと、防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクとを噴出可能な構成であるので、二層構造改良体8を簡単且つ確実に構築することができる。しかも、厚みのある二層構造改良体8を形成することができる。
【0034】
ちなみに、図10及び図11に示すように、ヘッド部28(つまり、カッターホイール16、16)における背面側と掘削側の両外側部位にもセメントミルクの噴出口31、32が配置され、背面側の噴出口31からは防振材料5が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口32からは防振材料5が配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であると、大量のセメントミルクを噴出させることができ好都合である(請求項8記載の発明)。
【0035】
要するに、二層構造改良体8を形成するための地盤改良装置は、背面側と掘削側にセメントミルクの噴出口を少なくとも一個ずつ有する構成であれば良く、例えば上記地盤改良装置10(27)は背面側と掘削側にカッターホイール15、15が並列に並べられた構成であるが、個数は特に限定されない。
【実施例3】
【0036】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る防振効果を有する合成地下壁とその構築方法の実施例を示した縦断面図である。
【図2】図1の部分水平断面図である。
【図3】本発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置の実施例を示した立面図である。
【図4】ヘッド部を示した構造図である。
【図5】(A)はヘッド部を概略的に示した斜視図である。(B)は底面図である。
【図6】(A)は地盤改良装置とプラントとの接続関係を概略的に示した平面図である。(B)は正面図である。
【図7】山留め壁を構築する際の概略図である。
【図8】本発明に係る防振効果を有する合成地下壁の施工途中の段階を示した縦断面図である。
【図9】図8の水平断面図である。
【図10】本発明に係る水平多軸回転式の地盤改良装置の異なる実施例を示した立面図である。
【図11】(A)はヘッド部を概略的に示した斜視図である。(B)は底面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 防振効果を有する合成地下壁
4 山留め壁
5 防振材料
6 背面側の防振材料が配合された層
7 掘削側の防振材料が配合されず、且つ設計強度を有する層
8 二層構造改良体
9 芯材
10 水平多軸回転式の地盤改良装置
14 ヘッド部
15 カッターホイール
16 カッターホイール群
19 背面側のセメントミルクの噴出口
20 掘削側のセメントミルクの噴出口
26 スタッド
27 水平多軸回転式の地盤改良装置
28 ヘッド部
29a 背面側のユニット部
29b 掘削側のユニット部
30a 背面側のユニット部のセメントミルクの噴出口
30b 掘削側のユニット部のセメントミルクの噴出口
31 背面側のセメントミルクの噴出口
32 掘削側のセメントミルクの噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と、同山留め壁内の掘削部に構築される地下躯体の側壁とで構成される合成地下壁であって、
山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成され、同改良体に芯材が略等間隔に建て込まれていること、
山留め壁の芯材より掘削側の改良体が除去され、同芯材と一体化するように地下躯体の側壁が構築され合成地下壁とされていることを特徴とする、防振効果を有する合成地下壁。
【請求項2】
防振材料はゴムチップ又は発泡材などであることを特徴とする、請求項1に記載した防振効果を有する合成地下壁。
【請求項3】
芯材にスタッドが設けられており、同スタッドを介して地下躯体の側壁は芯材と一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載した防振効果を有する合成地下壁。
【請求項4】
掘削する地盤の外周に構築されるソイルセメント壁による山留め壁と、同山留め壁内の掘削部に構築される地下躯体の側壁とで構成される合成地下壁を構築する方法であって、
山留め壁は、平面的に見て、背面側の防振材料が配合された層と、掘削側の防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する層との二層構造改良体として形成し、同改良体に芯材を略等間隔に建て込むこと、
山留め壁内の地盤を掘削すると共に、同山留め壁の芯材より掘削側の改良体を除去して、同芯材を露出させ、この露出させた芯材と一体化するように地下躯体の側壁を構築し、合成地下壁とすることを特徴とする、防振効果を有する合成地下壁の構築方法。
【請求項5】
平面的に見て、山留め壁の背面側と掘削側とに少なくとも一個ずつセメントミルクの噴出口を有する水平多軸回転式の地盤改良装置を用い、背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させてそれぞれ掘削土壌と混合攪拌し、二層構造改良体を形成することを特徴とする、請求項4に記載した防振効果を有する合成地下壁の構築方法。
【請求項6】
水平回転式のカッターホイールを備えたヘッド部を有する水平多軸回転式の地盤改良装置において、
カッターホイールにおける山留め壁の背面側と掘削側にセメントミルクの噴出口が配置されていること、
背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を満たす量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする、水平多軸回転式の地盤改良装置。
【請求項7】
水平回転式のカッターホイールを備えたヘッド部を有する水平多軸回転式の地盤改良装置において、
ヘッド部は背面側のユニット部と掘削側のユニット部から成り、各々のユニット部は二組のカッターホイールが掘進方向に並べられており、その略中央位置にセメントミルクの噴出口が配置されていること、
背面側のユニット部の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側のユニット部の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする、水平多軸回転式の地盤改良装置。
【請求項8】
カッターホイールにおける山留め壁の背面側と掘削側の両外側部位にもセメントミルクの噴出口が配置されており、背面側の噴出口からは防振材料が配合されたセメントミルクを噴出させ、掘削側の噴出口からは防振材料が好ましくは配合されず、且つ設計強度を有する量のセメントが配合されたセメントミルクを噴出させる構成であることを特徴とする、請求項7に記載した水平多軸回転式の地盤改良装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−46398(P2007−46398A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233958(P2005−233958)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】