説明

防水気密用両面粘着テープ

【課題】 曲面形状や3次元形状の部位に貼付する場合であっても、貼り合わせ施工作業が容易であり、且つ施工後に被覆材を固定可能な防水気密用両面粘着テープを提供する。
【解決手段】 防水気密用両面粘着テープは、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであって、基材がゴム製シートであり、且つ少なくとも一方の粘着剤層の表面が、伸長性を有する剥離ライナーにより保護されていることを特徴とする。基材としてのゴム製シートは、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の構造物の防水性や気密性を向上させるために使用される防水気密用両面粘着テープに関し、より詳しくは、住宅の構造体と部材、部材間の固定(主として、開口部や異型部など、貼着時にテープの伸長性が必要とされる箇所の固定)等の際に好適に使用される防水気密用両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水・気密用住宅(防水性や気密性が優れている住宅)の品質の促進に関する法律の施行や、住宅の高気密化・高断熱化に伴う省エネルギー化に対応して、住宅の構造体と部材、部材間の間隙など(主として、サッシ開口部廻りや、透湿防水シートの重ね部分等の目地部など)に、防水及び/又は気密を目的とした防水気密用粘着テープが用いられている(特許文献1〜特許文献3参照)。このような防水気密用粘着テープは、基材の片面にのみに粘着剤層が形成された構成を有しており、住宅の構造体や、各種部材の動きに追従することが可能であり、長期間に亘って、防水性や気密性を発揮することが可能となっている。
【0003】
また、住宅の構造体と部材、部材間の目地部分(主として、給配水管の貫通部;窓や換気扇等の開口部;窓台などの3面を有する3面交差構造部の他、出隅、入隅や凸部等の異型部など)について、防水や気密、固定等の施工では、一般的に、粘着テープ、シート類(透湿防水シート、防水防湿シートなど)、板状物(合板、プラスチック板、金属板など)、適用部分の形状に対応した所定形状の立体加工品(プラスチック成型加工品や、金属製の加工品など)などの被覆材が組み合わせて用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−138227号公報
【特許文献2】特開2003−41233号公報
【特許文献3】特開平9−209464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘着テープとしては、不織布、織布、プラスチックフィルム等の基材の片面または両面に、粘着剤層が積層された構成の粘着テープ(片面粘着テープ、両面粘着テープ)が使用されるが、透湿防水シート、防水防湿シート等のシート類を用いて施工する場合では、透湿防水シートや防水防湿シート等のシート類は、例えば、粘着テープを、開口部の枠とサッシ枠との接合目地部分に貼着させた後、該粘着テープの貼着部位上を覆って用いられ、開口部分の不要になる部分は切り取られるので、前記シート類の端末部分は、施工された粘着テープの近辺に位置することになる。この際、透湿防水シートや防水防湿シート等のシート類は、タッカーや釘などにより固定されるので、剥がれることがないが、点状に部分的に固定されるので、防水や気密用の粘着テープとの間に隙間が生じ、強風等が入り込むことによって、剥がれによる機能の低下や、風切り音などが発生してしまう場合がある。このようなことを防ぐために、シート類の端末部分に、粘着テープを貼着させたり、板状の材料を打ち付けたりするなどの作業があるが、粘着テープの重ね合わせ部分などが生じ、施工が煩雑になるだけでなく、防水気密性の低下を招くおそれもある。このため、施工方法にもよるが、粘着テープとして、両面粘着テープを使用することによって、接合部に貼着させた後、もう一方の粘着面に、透湿防水シートや防水防湿シート等のシート類を固定する施工方法が利用されるようになってきている。
【0006】
従って、近年、給配水管の貫通部;窓や換気扇等の開口部;窓台などの3面を有する3面交差構造部の他、出隅、入隅や凸部等の異型部などの施工では、施工が容易であり、且つ防水気密性の信頼性が高くなる両面粘着テープを用いた施工方法が望まれるようになっている。
【0007】
また、開口部や異型部などに、板状物(合板、プラスチック板、金属板など)や、適用部分の形状に対応した所定形状の立体加工品(プラスチック成型加工品や、金属製の加工品など)等の被覆材を覆って、これらの被覆材を、基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着テープを用いて、構造体や部材に固定して、構造体と部材や、部材間の接合目地部分への漏水や通気が及ばないように防水気密性を確保する施工では、構造体と部材との間、部材間の目地部分の防水・気密の施工を、粘着テープを利用して行うことにより、さらに良好な防水気密性を得ることができることから、防水気密用の粘着テープ(片面粘着テープ、両面粘着テープなど)を用いた施工が望まれるようになっている。特に、板状物や所定形状の立体加工品等の被覆材を、構造体や部材に固定する必要がある施工方法では、両面粘着テープを用いた施工が望ましい。
【0008】
このような防水気密用の両面粘着テープ(防水気密用両面粘着テープ)としては、前述のように、不織布、織布、プラスチックフィルム等の基材の両面に粘着剤層が積層され、さらに、紙(グラシン紙、クラフト紙など)やプラスチックフィルムの片面又は両面に離型処理(例えば、シリコーン系剥離剤による離型処理など)が施された剥離ライナー(セパレータ)が、基材の両側にある粘着剤層のうち少なくとも一方の粘着剤層表面に積層され、巻回された形態の防水気密用両面粘着テープが用いられている。また、防水気密用両面粘着テープを用いた施工方法としては、巻回されている防水気密用両面粘着テープを巻き戻して必要量の長さに切断し、必要に応じて一方のセパレータを剥がした後、露出した粘着剤層表面を利用して、接合目地部分に貼着させ、貼着させた後、セパレータを剥がして新たに露出させた粘着剤層表面に、シート類、板状物や所定形状の立体加工品等の被覆材を固定する方法が一般的である。
【0009】
従来の防水気密用両面粘着テープは、例えば、開口部のサッシ枠と窓枠との接合部や、床面と壁面との接合部などの目地部分に使用されており、防水気密用両面粘着テープの伸びや柔軟性が必要とされない水平面、垂直面、又は部材の直角部分(水平面と垂直面との交差部分など)などの平面部分での使用がほとんどであるために、防水気密用両面粘着テープの破断時における伸び率は、通常、20〜70%となっているものがほとんどであり、また、伸び率が高い場合であっても、基材の厚さが厚く、基材の強度が高くなっており、柔軟性に欠ける場合がほとんどである。
【0010】
しかし、給配水管の貫通部、開口部(窓や換気扇など)、異型部(出隅、入隅、凸部など)などのような、構造体と部材との間や、部材間の接合部における目地部分に、両面粘着テープを貼着する際には、両面粘着テープを貼着する貼着部位の面が2面又は3面になり、両面粘着テープに伸びや、構造体や部材の面に追従するような柔軟性又はフィット性(例えば、両面粘着テープが扇形状に展開可能な特性など)が必要とされる。
【0011】
このため、従来の防水気密用両面粘着テープでは、伸び率が低く、伸長時の応力が高いので、施工が困難であり、たとえ施工することができたとしても、防水気密用両面粘着テープが貼付された貼付部において剥れ、シワなどが生じてしまう。そのため、構造体や部材と防水気密用両面粘着テープとの間に、隙間又は空隙、防水気密用両面粘着テープが剥がれてしまう部分が生じてしまい、防水性や気密性を保持させることができなくなるという問題が生じている。
【0012】
さらに、伸長性のあるゴム製シートの両側に粘着剤層が形成され、且つグラシン紙やクラフト紙等の紙などの両面に離型処理が施されたセパレータが用いられ、巻回された構成の両面粘着テープであっても、紙(グラシン紙やクラフト紙など)は、伸び率が非常に低く、数%程度の伸び率であるため、通常の両面粘着テープの利用方法と同様に、一方の粘着面にセパレータを積層させたままの状態で、両面粘着テープを用いて、伸長させて接合目地部分に貼着させることができない。このため、両側のセパレータを一旦剥がして施工する必要があり、両面の粘着剤層表面に手で触れて施工することになってしまうので、粘着剤が手に付着してしまい、施工後に、両面粘着テープから手を離すことができなくなったり、無理に離そうとして、両面粘着テープを伸ばしてしまったり、破断させてしまったりしてしまうなど、施工が非常に難しくなる。
【0013】
これらの問題を解決するために、粘着面に部分的にセパレータをあてがって施工する方法もあるが、施工後、直ちに、シート類、板状物や所定形状の立体加工品等の被覆材などが固定される場合は少なく、長い場合には、施工後、約1日間程度、放置されることもあり、セパレータがあてがわれておらず、粘着面が露出している部分に、雨露、埃、異物などが付着してしまい、粘着性の低下などの問題が生じる。
【0014】
さらにまた、給配水管の貫通部、開口部の下枠と両端立ち上がり部分などで施工する場合では、防水気密用両面粘着テープを折り曲げて施工した方が、施工が容易にできる場合があるが、防水気密用両面粘着テープは、粘着面が両面に形成されているため、セパレータがない場合には、折り曲げた際に、粘着面同士が粘着してしまい、施工することができなくなる。
【0015】
従って、本発明の目的は、曲面形状や3次元形状を有する部位に貼付する場合であっても、貼り合わせ施工作業が容易であり、且つ施工後に、被覆材を固定することが可能であり、優れた防水気密性を発揮させることができる防水気密用両面粘着テープを提供することにある。
本発明の他の目的は、住宅の構造体と部材との間の固定や、部材間の固定の際に用いられ、住宅内部への雨水の浸入を防ぎ、住宅内部での結露や腐食を長期間にわたり防止することができる両面粘着テープとして有用な防水気密用両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、基材としてのゴム製シートの両面に粘着剤層が形成され、且つゴム製シートの少なくとも一方の面に形成された粘着剤層の表面を、特定に剥離ライナーにより保護することにより、一方の粘着剤層に剥離ライナーを重ね合わせた状態であっても、剥離ライナーが両面粘着テープと一体化した状態で両面粘着テープを伸長させて用いることができ、そのため、曲面形状や3次元形状を有する部位に貼付する場合であっても、折り曲げて貼り合わせたり、伸長させて貼り合わたりすることができ、貼り合わせ施工作業が容易であり、しかも、施工後には、剥離ライナーを剥離させて粘着面を露出させることにより、各種の被覆材を固定することが可能であることを見出した。従って、曲面形状や3次元形状を有する部位に貼付する場合であっても、貼付させる際の施工作業性が良好であるとともに、施工後には、シート類、板状物や所定形状の立体加工品等の被覆材を固定させることができ、しかも優れた防水気密性を長期間にわたり発揮させることが可能な両面粘着テープを得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0017】
すなわち、本発明は、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであって、基材がゴム製シートであり、且つ少なくとも一方の粘着剤層の表面が、伸長性を有する剥離ライナーにより保護されていることを特徴とする防水気密用両面粘着テープである。
【0018】
本発明では、基材としてのゴム製シートとしては、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2であることが好ましい。また、伸長性を有する剥離ライナーとしては、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、150〜1200%であることが好ましい。
【0019】
伸長性を有する剥離ライナーとしては、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有するフィルム状物による剥離ライナー、または伸長性を有する基材の少なくとも一方の面に、剥離処理被膜層または非自着性を有する被膜層が形成された構成を有する剥離ライナーが好適である。前記剥離処理被膜層は、シリコーン系剥離処理剤により形成することができ、また、前記非自着性を有する被膜層は、アクリル系重合体または長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物により形成することができる。
【0020】
また、前記ゴム製シートは、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されていてもよく、前記合成ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムから選択された少なくとも1種の合成ゴムを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の防水気密用両面粘着テープによれば、曲面形状や3次元形状を有する部位に貼付する場合であっても、貼り合わせ施工作業が容易であり、且つ施工後に、被覆材を固定することが可能であり、優れた防水気密性を発揮させることができる。そのため、本発明の防水気密用両面粘着テープは、住宅の構造体と部材との間の固定や、部材間の固定の際に用いられ、住宅内部への雨水の浸入を防ぎ、住宅内部での結露や腐食を長期間にわたり防止することができる両面粘着テープとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の防水気密用両面粘着テープは、図1で示されるように、ゴム製シートを基材とし、且つ該ゴム製シートの両面に粘着剤層を有しており、さらに、少なくとも一方の粘着剤層の表面上に、伸長性を有する剥離ライナー(「伸長性剥離ライナー」と称する場合がある)が積層された構成を有している。図1は、本発明の防水気密用両面粘着テープの例を部分的に示す概略断面図であり、図1(a)は、片面のみに剥離機能を有している伸長性剥離ライナーを用いた防水気密用両面粘着テープの例を示しており、図1(b)は、両面に剥離機能を有している伸長性剥離ライナーを用いた防水気密用両面粘着テープの例を示している。図1(a)〜(b)において、1a、1bは、それぞれ、防水気密用両面粘着テープ、2はゴム製シート、3a、3bは、それぞれ、粘着剤層、4aは片面のみに剥離機能を有し且つ伸長性を有している剥離ライナー(「片面剥離面型伸長性剥離ライナー」と称する場合がある)、4b両面に剥離機能を有し且つ伸長性を有している剥離ライナー(「両面剥離面型伸長性剥離ライナー」と称する場合がある)、5は伸長性を有していない剥離ライナー(「非伸長性剥離ライナー」と称する場合がある)である。図1(a)に示される防水気密用両面粘着テープ1aは、ゴム製シート2の一方の面に粘着剤層3aが形成され、他方の面に粘着剤層3bが形成された構成を有しており、粘着剤層3aの表面が片面剥離面型伸長性剥離ライナー4aにより保護され、且つ粘着剤層3bの表面が非伸長性剥離ライナー5により保護された構成を有している。また、図1(b)に示される防水気密用両面粘着テープ1bは、ゴム製シート2の一方の面に粘着剤層3aが形成され、他方の面に粘着剤層3bが形成された構成を有しており、粘着剤層3aの表面が両面剥離面型伸長性剥離ライナー4bにより保護された構成を有している。なお、防水気密用両面粘着テープ1bにおいて、粘着剤層3bは、粘着剤層3bの表面と両面剥離面型伸長性剥離ライナー4bの表面とが接触する形態でロール状に巻回させることにより、保護することができる。
【0023】
(伸長性剥離ライナー)
伸長性剥離ライナーは、伸長性を有しており且つ少なくとも一方の面が粘着剤層に対する剥離性を有している面となっていることが重要である。伸長性剥離ライナーとしては、防水気密用両面粘着テープとともに伸長させるため、防水気密用両面粘着テープの伸長に追従することが可能な伸長性を有していることが好ましい。従って、伸長性剥離ライナーとしては、例えば、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、150〜1200%(好ましくは250〜1200%、さらに好ましくは500〜1200%)であることが好ましい。伸長性剥離ライナーとしては、破断時における伸びが低すぎると、伸長性剥離ライナーの伸長性に劣り、防水気密用両面粘着テープの伸長に追従させることができなくなる場合がある。
【0024】
なお、本発明において、伸長性剥離ライナーの破断時における伸びは、後述する方法により測定される値として定義される。
【0025】
このような伸長性剥離ライナーとしては、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有するフィルム状物による剥離ライナー(「伸長性フィルム型剥離ライナー」と称する場合がある)、伸長性を有する基材の少なくとも一方の面に、剥離処理被膜層または非自着性を有する被膜層が形成された構成を有する剥離ライナー(「伸長性基材含有剥離ライナー」と称する場合がある)を好適に用いることができる。
【0026】
伸長性剥離ライナーにおいて、伸長性フィルム型剥離ライナーとしては、粘着剤層に対する剥離性を有し且つ伸長性を有する熱可塑性樹脂製フィルムを好適に用いることができる。伸長性フィルム型剥離ライナーを構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体(エチレン−プロピレン共重合体)、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1など)との共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなど)との共重合体などのポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。熱可塑性樹脂としては、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有していれば、他の熱可塑性樹脂も用いることが可能である。熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、熱可塑性樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。
【0027】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体が好ましく、中でも、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物(特に、ポリエチレン)を好適に用いることができる。
【0028】
伸長性フィルム型剥離ライナーが、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物などのポリオレフィン系樹脂により形成されていると、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有しているとともに、厚さが薄い薄膜状の形態で形成することができ、しかも、伸長時の応力(残留応力など)を低くさせることができる。
【0029】
伸長性フィルム型剥離ライナーは、例えば、押出し機やカレンダーロール(特に、T型押出し機)によるフィルム成型方法等の公知のフィルム成型方法を利用して製造することができる。例えば、伸長性フィルム型剥離ライナーが、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物などのポリオレフィン系樹脂により形成されている場合、200〜250℃の成型温度で押出成型することにより、伸長性フィルム型剥離ライナーを製造することができる。
【0030】
伸長性フィルム型剥離ライナーには、必要に応じて、滑剤、顔料、充填剤や、その他の添加剤などが含まれていてもよい。
【0031】
なお、このような伸長性フィルム型剥離ライナーにおいて、粘着剤層と接触する側の表面には、下記に示されるような剥離処理被膜層や、非自着性を有する被膜層が形成されていてもよい。
【0032】
伸長性フィルム型剥離ライナーの厚さとしては、特に制限されず、例えば、0.005〜0.5mmの範囲から適宜選択することができるが、好ましくは0.02〜0.100mm(さらに好ましくは0.025〜0.06mm)である。伸長性フィルム型剥離ライナーの厚さが厚すぎると、防水気密用粘着テープを伸長させる際に、必要な応力が高くなり、施工性が低下するようになり、一方、薄すぎると、強度が低下し損傷を受けやすくなり、施工時の伸長により亀裂が生じる恐れがある。
【0033】
なお、本発明では、伸長性フィルム型剥離ライナーの厚さなどの厚さは、JIS Z 0237に規定するダイヤルゲージ(0.01mm目盛)を用いて行う。
【0034】
また、伸長性剥離ライナーにおいて、伸長性基材含有剥離ライナーは、伸長性を有する基材(「剥離ライナー用伸長性基材」と称する場合がある)の片面または両面に、剥離処理被膜層または非自着性を有する被膜層が形成された構成を有している。伸長性基材含有剥離ライナーにおける剥離処理被膜層や、非自着性を有する被膜層が形成された側の面は、粘着剤層と接触する側の面として利用することができる。
【0035】
剥離ライナー用伸長性基材としては、伸長性を有している基材であれば特に制限されないが、ゴム製シートや、ニット織布を好適に用いることができる。なお、剥離ライナー用伸長性基材としては、伸長性フィルム型剥離ライナーにおける熱可塑性樹脂製フィルム(粘着剤層に対する剥離性を有し且つ伸長性を有する熱可塑性樹脂製フィルム)も用いることが可能である。剥離ライナー用伸長性基材におけるゴム製シートとしては、防水気密用両面粘着テープにおける基材としてのゴム製シートと同様のゴム製シート(好ましくはブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、さらに好ましくはブチルゴム)を用いることができる。なお、剥離ライナー用伸長性基材におけるゴム製シートとしては、未加硫ゴムによるゴム製シートが好適である。
【0036】
剥離ライナー用伸長性基材におけるゴム製シートの厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.1mm以上(例えば、0.1〜3.0mm)の範囲から選択することができ、好ましくは0.4〜2.0mm(さらに好ましくは0.5〜1.5mm)である。
【0037】
また、剥離ライナー用伸長性基材におけるニット織布としては、伸長性を有しているニット織布であれば特に制限されない。ニット織布の繊維としては、特に制限されず、化学繊維、天然繊維(例えば、絹、毛、綿など)のいずれであってもよいが、防水性や耐久性の観点から、化学繊維を好適に用いることができる。化学繊維としては、特に制限されず、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリアクリロニトリル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、フッ素系樹脂繊維などが挙げられる。化学繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維が好適である。繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
なお、繊維には、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の適宜な添加剤が、適量配合されていてもよい。
【0039】
ニット織布としては、ニット状に編まれた構造を有していれば、編み構造は特に制限されないが、伸縮性の観点から、特に、メリヤス生地(メリヤス編み状に編まれた構造の生地又は織布)が好適である。
【0040】
ニット織布としては、公知の作製方法(例えば、ニット状の手編み方法、ニット状の機械編み方法など)を利用して、作製することができる。
【0041】
ニット織布の目付け量としては、特に制限されないが、30g/m2以上であることが好ましく、特に、50〜100g/m2であることが好ましい。また、ニット織布の厚みとしては、特に制限されず、0.1〜0.4mmであることが好ましく、特に、0.15〜0.3mmであることが好ましい。
【0042】
伸長性基材含有剥離ライナーにおいて、剥離処理被膜層は、剥離処理剤により構成された層(剥離処理剤層)である。剥離処理被膜層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、公知の剥離処理剤の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などが挙げられる。剥離処理剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。剥離処理剤としては、シリコーン系剥離処理剤を好適に用いることができる。
【0043】
また、伸長性基材含有剥離ライナーにおいて、非自着性を有する被膜層(「非自着性被膜層」と称する場合がある)は、被膜形成組成物により構成され且つ非自着性を有している層である。非自着性被膜層を構成する被膜形成組成物(素材又は材料)としては、剥離ライナー用伸長性基材の表面を被覆し且つ非自着性を発揮できる限り、特に制限されない。非自着性被膜層としては、例えば、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物や、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を調製する際の成分(モノマー成分など)を含有する被膜形成組成物などにより形成することができる。非自着性被膜層を形成する被膜形成組成物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0044】
前記アクリル系重合体としては、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー成分として含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が好適である。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル等が挙げられる。モノマー成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
また、アクリル系重合体は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して共重合性を有するモノマー成分(共重合性モノマー成分)が用いられていてもよい。このような共重合性モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸など);マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸(モノ又はジ)エステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル等のフマル酸(モノ又はジ)エステル;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルや、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルアルコール等のビニルアルコール類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのジエン類;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体などが挙げられる。共重合性モノマー成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
具体的には、アクリル系重合体としては、ポリブチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体が好適である。
【0047】
一方、長鎖アルキル系化合物としては、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコールと、ステアリルイソシアネートなどの炭素数が10〜20の長鎖アルキルイソシアネートとの反応物などを使用することができる。
【0048】
非自着性被膜層に使用される材料の中には、一般的には、剥離剤(剥離処理剤)として使用されるような材料も含まれる。
【0049】
非自着性被膜層において、被膜形成組成物には、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物、またはアクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を調製するための成分(モノマー成分など)の他、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の適宜な添加剤が、適量配合されていてもよい。
【0050】
剥離ライナー用伸長性基材上に形成される剥離処理被膜層や、非自着性被膜層の形成方法としては、特に制限されない。剥離処理被膜層や、非自着性被膜層は、例えば、剥離処理剤または被膜形成組成物を、剥離ライナー用伸長性基材の所定の面に塗布し、必要に応じて乾燥や硬化を行うことにより、形成することができる。なお、剥離処理剤や、被膜形成組成物は、液状状態や溶融状態を有していてもよい。例えば、被膜形成組成物が、液状状態や溶融状態を有している場合や、アクリル系重合体を調製するためのモノマー成分を含有している場合などでは、塗布後に、加熱処理等により、乾燥や硬化を行うことにより、非自着性被膜層を形成することができる。
【0051】
なお、剥離ライナー用伸長性基材上に形成される剥離処理被膜層や、非自着性被膜層の厚みとしては、特に制限されず、適宜設定することができる。
【0052】
(基材)
防水気密用両面粘着テープにおける基材は、ゴム製シートにより形成されている。ゴム製シートの素材又は材料としては、特に制限されず、各種ゴム組成物(例えば、合成ゴムや天然ゴムを含有するゴム組成物など)を用いることができる。ゴム製シートとしては、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されていることが好ましい。このような合成ゴムとしては、特に制限されず、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリブテンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、スチレン−ブタジエン(SB)ゴム、スチレン−イソプレン(SI)ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴムなどが挙げられる。合成ゴムは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0053】
合成ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを好適に用いることができ、特にブチルゴムが好ましい。
【0054】
ゴム組成物は、ゴム成分(合成ゴムなど)の他、軟化剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の適宜な添加剤が、適量配合されていてもよい。
【0055】
ゴム製シートは、公知の形成方法(例えば、押出し成型方法、圧延成型方法など)を利用して作製することができる。
【0056】
なお、ゴム製シートとしては、未加硫ゴムによるゴム製シートが好適である。
【0057】
基材としてのゴム製シートの厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.1mm以上(例えば、0.1〜3.0mm)の範囲から選択することができ、好ましくは0.4〜2.0mm(さらに好ましくは0.5〜1.5mm)である。ゴム製シートの厚みが、薄すぎると、衝撃に弱くなり、一方、厚すぎると、粘着テープを伸ばす際に要する力が大きくなってしまう。
【0058】
基材としてのゴム製シートは、防水気密用両面粘着テープの伸長性の観点より、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有していることが好ましい。
【0059】
ゴム製シートにおける破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min;「破断時伸び」と称する場合がある)としては、長手方法(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、200〜1200%であれば特に制限されないが、好ましくは300〜1200%(さらに好ましくは500〜1200%)である。なお、ゴム製シートの破断時伸びが、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、200%未満となっていると、防水気密用両面粘着テープを貼付する際の伸長性が低下し、一方、1200%を超えていると、防水気密用両面粘着テープを伸長させて貼付する際に、切れやすくなる。
【0060】
なお、このような破断時伸びは、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。破断時伸びとしては、TD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の破断時伸びが200〜1000%(好ましくは300〜900%、さらに好ましくは500〜800%)であり、TD方向の破断時伸びが300〜1200%(好ましくは500〜1200%、さらに好ましくは700〜1200%)であってもよい。
【0061】
また、ゴム製シートにおける100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min;「100%引張り変形応力」と称する場合がある)が、長手方向(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、10〜100N/cm2であれば特に制限されないが、好ましくは10〜80N/cm2、さらに好ましくは10〜70N/cm2)である。なお、ゴム製シートの100%引張り変形応力が、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、10N/cm2未満となっていると、防水気密用両面粘着テープを貼付した際の密着性が低下し、一方、100N/cm2を超えていると、防水気密用両面粘着テープを伸長させて貼付した後に、変形応力により、シワ、切れや剥がれ等が生じやすくなる。
【0062】
なお、このような100%引張り変形応力は、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。100%引張り変形応力としては、MD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の100%引張り変形応力が12〜100N/cm2(好ましくは15〜80N/cm2、さらに好ましくは20〜70N/cm2)であり、TD方向の100%引張り変形応力が10〜80N/cm2(好ましくは10〜50N/cm2、さらに好ましくは10〜30N/cm2)であってもよい。
【0063】
(粘着剤層)
本発明の防水気密用両面粘着テープでは、ゴム製シートによる基材の両面に粘着剤層が形成されている。このような粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
【0064】
基材の両面に形成された各粘着剤層は、同一の粘着剤により形成されていてもよく、異なる粘着剤により形成されていてもよい。
【0065】
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0066】
粘着剤としては、ゴム系粘着剤が好適である。ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴムをベースポリマーとする天然ゴム系粘着剤、合成ゴムをベースポリマーとする合成ゴム系粘着剤のいずれであってもよいが、合成ゴム系粘着剤が好ましい。このような合成ゴム系粘着剤における合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴムや、これらの変性体などが挙げられ、ブチルゴムが特に好ましい。すなわち、粘着剤としては、ブチルゴム系粘着剤が最適である。
【0067】
粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、押出し機やカレンダーロールにより、シート状に成型して、ゴム製シートに貼り合わせる方法を好適に採用することができるが、基材としてのゴム製シートの表面に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を、基材としてのゴム製シート上に転写する方法(転写方法)なども採用することができる。
【0068】
各粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、0.1〜3mm(好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1mm)の範囲から選択することができる。なお、ゴム製シートの両面に形成された粘着剤層は、厚みが同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0069】
(非伸長性剥離ライナー)
図1で示される防水気密用両面粘着テープ1aでは、粘着剤層3bは非伸長性剥離ライナー5により保護されている。該非伸長性剥離ライナー5は、必要に応じて用いられており、そのため、任意に設けることができる。例えば、防水気密用両面粘着テープにおける一方の粘着剤層の表面が、片面のみに剥離機能を有している伸長性剥離ライナーにより保護されている場合、他方の粘着剤層の表面を、非伸長性剥離ライナーにより保護することができる。
【0070】
なお、非伸長性剥離ライナーは、防水気密用両面粘着テープを使用する際に、最初に剥離される側の剥離ライナーとして利用できる。具体的には、下記に示されるように、防水気密用両面粘着テープは、非伸長性剥離ライナーが用いられている場合、まず、非伸長性剥離ライナーを剥離させて粘着面を露出させ、伸長性剥離ライナーが重ね合わせられた状態で伸長させて、防水気密用両面粘着テープを所定の面に貼付した後、伸長性剥離ライナーを剥離させて粘着面を露出させ、該粘着面上に、被覆材を貼付して固定することにより、防水気密用両面粘着テープを利用することができる。
【0071】
このような非伸長性剥離ライナー(セパレータ)としては、特に制限されず、公知の剥離ライナーを適宜選択して用いることができる。
【0072】
(防水気密用両面粘着テープ)
本発明の防水気密用両面粘着テープは、前述のように、基材としてのゴム製シートの両面に粘着剤層を有し、且つ基材の両面に形成された粘着剤層のうち、少なくとも一方の粘着剤層の表面が、伸長性剥離ライナーにより保護された構成を有している。従って、防水気密用両面粘着テープの構成としては、例えば、(1)基材の両面に形成された粘着剤層のうち、一方の粘着剤層上に伸長性剥離ライナーが重ね合わせられ、且つ他方の粘着剤層上に非伸長性剥離ライナーが重ね合わせられた構成、(2)基材の両面に形成された粘着剤層上に、それぞれ、同一または異なる伸長性剥離ライナーが重ね合わせられた構成、(3)基材の両面に形成された粘着剤層のうち、一方の粘着剤層上に、両面が剥離面となっている伸長性剥離ライナーが重ね合わせられ、且つ他方の粘着剤層の表面と、両面が剥離面となっている伸長性剥離ライナーにおける露出している剥離面とが接触する形態でロール状に巻回された構成などが挙げられる。
【0073】
防水気密用両面粘着テープは、例えば、
(1)合成ゴム等のゴム成分に適量の軟化剤、充填剤等の添加剤を配合し、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混合機で混合してゴム組成物を調製し、さらに、カレンダーロールや押出し機等を用いて、シート状に成型してゴム製シートを作製した後、ゴム製シートの両面に、それぞれ、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を付着させ、さらに、ゴム製シートの一方の面に形成されている粘着剤層の表面に、片面のみが剥離面となっている伸長性剥離ライナーを重ね合わせ、ゴム製シートの他方の面に形成されている粘着剤層の表面に非伸長性剥離ライナーを重ね合わせ、必要に応じてロール状に巻回させる方法、
(2)合成ゴム等のゴム成分に適量の軟化剤、充填剤等の添加剤を配合し、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混合機で混合してゴム組成物を調製し、さらに、カレンダーロールや押出し機等を用いて、シート状に成型してゴム製シートを作製した後、ゴム製シートの両面に、それぞれ、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を付着させ、さらに、ゴム製シートの一方の面に形成されている粘着剤層の表面に、両面が剥離面となっている伸長性剥離ライナーを重ね合わせ、その後、粘着剤層の露出している表面と、伸長性剥離ライナーの露出している剥離面とが接触するような形態でロール状に巻回させる方法、
(3)合成ゴム等のゴム成分に適量の軟化剤、充填剤等の添加剤を配合し、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混合機で混合してゴム組成物を調製し、さらに、カレンダーロールや押出し機等を用いて、シート状に成型してゴム製シートを作製する。また、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を、片面のみが剥離面となっている伸長性剥離ライナーと、粘着剤層の一方の表面と剥離面とが接触する形態で重ね合わせて、一方の面が伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を作製する。さらにまた、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を、非伸長性剥離ライナーと、粘着剤層の一方の表面と剥離面とが接触する形態で重ね合わせて、一方の面が非伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を作製する。そして、ゴム製シートの一方の面に、一方の面が伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を付着させ、他方の面に、一方の面が非伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を付着させ、必要に応じてロール状に巻回させる方法、
(4)合成ゴム等のゴム成分に適量の軟化剤、充填剤等の添加剤を配合し、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混合機で混合してゴム組成物を調製し、さらに、カレンダーロールや押出し機等を用いて、シート状に成型してゴム製シートを作製する。また、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を、両面が剥離面となっている伸長性剥離ライナーと、粘着剤層の一方の表面と、一方の剥離面とが接触する形態で重ね合わせて、一方の面が伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を作製する。そして、ゴム製シートの一方の面に、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を付着させ、ゴム製シートの他方の面に、一方の面が伸長性剥離ライナーにより保護された粘着剤層を付着させ、その後、粘着剤層の露出している表面と、伸長性剥離ライナーの露出している剥離面とが接触するような形態でロール状に巻回させる方法、
(5)これらの方法を適宜組み合わせた方法、
などにより作製することができる。
【0074】
なお、伸長性剥離ライナーは、前述のように、その構成などに応じた製造方法により製造することができる。具体的には、伸長性剥離ライナーは、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有するフィルム状物による構成を有している場合(特に、ポリエチレンや、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物等のポリオレフィン系樹脂による構成を有している場合)、フィルム状物を構成する樹脂成分(例えば、ポリエチレンや、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物等のポリオレフィン系樹脂成分など)に、必要に応じて、滑剤、顔料、充填剤等の添加剤を適量加えて、混合機(ミキシングロール、ニーダー)で混合して樹脂組成物を調製した後、押出し機やカレンダーロールによりフィルム状に成型することにより作製することができる。また、伸長性剥離ライナーは、伸長性を有する基材の少なくとも一方の面に、剥離処理被膜層または非自着性被膜層が形成された構成を有している場合、伸長性を有する基材の少なくとも一方の面に、剥離処理被膜層を構成する剥離処理剤、または非自着性被膜層を構成する被膜形成組成物を塗布し、乾燥または硬化させることにより作製することができる。
【0075】
また、粘着剤層が、ゴム系粘着剤による粘着剤層である場合、例えば、ブチルゴム等のゴム成分に、軟化剤、充填剤、粘着付与剤等の添加剤を適量加えて、混合機(ミキシングロール、ニーダー)で混合してゴム系粘着剤(特に、ブチルゴム系粘着剤)を調製した後、押出し機やカレンダーロールにより成型して、シート状の粘着剤層を形成することができる。もちろん、前述のように、溶液状態や溶融状態の粘着剤組成物を、ゴム製シートの所定の表面に塗布したり、剥離フィルム上に塗布した後、ゴム製シートの所定の面に転写したりすることにより、粘着剤層を形成することができる。
【0076】
本発明の防水気密用両面粘着テープは、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)ともに、10〜100N/cm2である特性を有していることが好ましい。
【0077】
防水気密用両面粘着テープにおける破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min;「破断時伸び」と称する場合がある)としては、長手方法(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、200〜1200%であることが好ましく、さらには300〜1200%(特に500〜1200%)であることが好ましい。なお、防水気密用両面粘着テープの破断時伸びが、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、200%未満となっていると、防水気密用両面粘着テープを貼付する際の伸長性が低下し、一方、1200%を超えていると、防水気密用両面粘着テープを伸長させて貼付する際に、切れやすくなる。
【0078】
なお、防水気密用両面粘着テープの破断時伸びは、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。破断時伸びとしては、TD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の破断時伸びが200〜1000%(好ましくは300〜900%、さらに好ましくは500〜800%)であり、TD方向の破断時伸びが300〜1200%(好ましくは500〜1200%、さらに好ましくは700〜1200%)であってもよい。
【0079】
防水気密用両面粘着テープにおける破断時伸びは、防水気密用両面粘着テープを、該防水気密用両面粘着テープにおける長手方向、幅方向のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜き、JIS Z 0237に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、300mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が切断した時点の伸びを測定することにより求めることができる。
【0080】
また、防水気密用両面粘着テープにおける100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min;「100%引張り変形応力」と称する場合がある)が、長手方向(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、10〜100N/cm2であることが好ましく、さらには10〜80N/cm2(特に10〜70N/cm2)であることが好ましい。なお、防水気密用両面粘着テープの100%引張り変形応力が、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、10N/cm2未満となっていると、防水気密用両面粘着テープを貼付した際の密着性が低下し、一方、100N/cm2を超えていると、防水気密用両面粘着テープを伸長させて貼付した後に、変形応力により、シワ、切れや剥がれ等が生じやすくなる。
【0081】
なお、防水気密用両面粘着テープの100%引張り変形応力は、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。100%引張り変形応力としては、MD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の100%引張り変形応力が12〜100N/cm2(好ましくは15〜80N/cm2、さらに好ましくは20〜70N/cm2)であり、TD方向の100%引張り変形応力が10〜80N/cm2(好ましくは10〜50N/cm2、さらに好ましくは10〜30N/cm2)であってもよい。
【0082】
防水気密用両面粘着テープにおける100%引張り変形応力は、防水気密用両面粘着テープを、該防水気密用両面粘着テープにおける長手方向、幅方向のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜き、JIS K 6254に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、50mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が100%伸びた時点で引張りを停止し、このときの荷重を測定し、この荷重の値を引張り前の試験片の断面積(試験片の厚さ×試験片の幅)で割ることにより算出される値である。
【0083】
防水気密用両面粘着テープにおける破断時伸びや100%引張り変形応力は、基材のゴム製シートの物性(破断時伸びや100%引張り変形応力)や、伸長性剥離ライナーの物性を制御することにより、調整することができる。例えば、基材のゴム製シートとして、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有しているゴム製シートを用い、且つ伸長性剥離ライナーとして、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、10N/cm2未満である特性を有している伸長性剥離ライナーを用いることにより、前述のような破断時伸びや100%引張り変形応力を有する防水気密用両面粘着テープを作製することができる。
【0084】
なお、ゴム製シートの破断時伸びや100%引張り変形応力、伸長性剥離ライナーの破断時伸びや100%引張り変形応力は、防水気密用両面粘着テープの破断時伸びや100%引張り変形応力と同様にして測定することができる。
【0085】
本発明の防水気密用両面粘着テープは、前述のように、両面粘着テープの形態を有していても、基材としてのゴム製シートの両面に形成された粘着剤層のうち、少なくとも一方の粘着剤層の表面を保護する剥離ライナーとして、伸長性剥離ライナーが用いられているので、一方の粘着剤層の表面が伸長性剥離ライナーにより保護された状態で、防水気密用両面粘着テープを伸長させることができる。そのため、一方の粘着面のみを利用して粘着テープを貼付させる際には、伸長性剥離ライナーを剥がす必要がなく、例えば、一方の粘着剤層の表面が伸長性剥離ライナーにより保護された状態で、伸長性剥離ライナーの表面同士が接触するように2つ折りに折り曲げて貼付させることができるとともに、伸長させて貼付させることができ、貼り合わせ施工作業性が良好である。また、防水気密用両面粘着テープの破断時伸びや100%引張り変形応力が適切な大きさとすることにより、適度に引っ張って貼付することができるとともに、伸長された状態で貼付されても、その状態を長期間に亘り効果的に保持することができる。しかも、施工後には、伸長性剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させることにより、防水気密用両面粘着テープ上に、シート類(透湿防水シートや防湿シートなど)、板状物(合板、プラスチック板、金属板など)、所定形状の立体加工品(プラスチック成型加工品、金属製加工品など)等の各種被覆材を貼付して固定することができ(特に、仮止めにより固定することができ)、被覆材の施工性を向上させることができるとともに、優れた防水気密性を長期間維持させることが可能である。
【0086】
従って、開口部や異型部(例えば、出隅や凸部など)などの曲線部や3次元形状部に貼付する場合であっても、2つ折りに折り曲げたり、適度に引っ張ったりしながら貼付することができるので、容易に貼り合わせることができる。また、引っ張って伸長された状態で貼付されていても、変形応力によるシワ、切れや剥がれ等が防止されており、その伸長状態を効果的に保持させることができる。さらに、防水気密用両面粘着テープを重ね貼りする際には、粘着剤層表面に、粘着剤層を重ね合わせて貼り合わせることになるので、優れた接着性で貼り合わせることができ、貼付後の粘着テープの接合部の重ね部分や、端末部の重ね部分などにおいて、粘着テープの接着性を効果的に確保することができる。そのため、本発明の防水気密用両面粘着テープを用いると、貼付する部位が曲線部や3次元形状部であっても、貼り合わせ作業を簡便に行うことができ、各部位によって任意な伸長率で伸長させて、例えば、円形状や扇状に綺麗に貼付することができる。しかも、防水気密用両面粘着テープ上に、被覆材を貼付させて固定(特に、仮止めにより固定)させることができる。さらに、貼付後は、優れた防水性および気密性を長期間に亘り発揮させることができる。
【0087】
このように、本発明の防水気密用両面粘着テープは、優れた防水性および気密性を有する状態で貼付することができるので、用途に応じて、防水性及び/又は気密性を有する両面粘着テープとして好適に用いることができる。特に、本発明の防水気密用両面粘着テープは、優れた防水性および気密性を有する状態で貼付することができるだけでなく、両面粘着テープの貼り合わせ施工作業が容易であり、しかも、両面粘着テープ上に各種被覆材を固定させることもできるので、住宅の構造体と部材との間の固定、部材間の固定で使用される防水気密用両面粘着テープとして利用することができ、例えば、住宅外装下地の外壁貫通部の換気口、配管廻り、給排水管の貫通部、換気扇、サッシ開口部廻り(アーチ型形状、円形状のサッシ開口部廻りなど)等の開口部;出隅、入隅や凸部等の異型部(特に、貼付部分が平面状の部位のみならず、曲面形状や3次元形状の部位)などにおける固定で使用される防水気密用両面粘着テープとして有用である。従って、本発明の防水気密用両面粘着テープを用いると、住宅の防水性および気密性を高めることができ、雨水の住宅内部への浸入を防ぎ、住宅内部での結露、腐食などを防止することができる。
【0088】
なお、例えば、給排水管における粘着テープ貼り合せ施工では、躯体と給排管とが垂直に交差した部分に、防水気密用両面粘着テープを貼付する施工があり、この場合、両面粘着テープを1/2幅で伸長性剥離ライナーの表面が接触する状態で折り曲げて、給排管廻り(周囲)に、両面粘着テープを巻き付け、その後、残り1/2幅の部分を躯体に、伸長性剥離ライナーにより一方の粘着剤層表面が保護された状態で伸長させて貼り合せる施工方法が通常採用される。このとき、伸長性剥離ライナーが用いられておらず、一般的な剥離ライナーが用いられている場合、剥離ライナーにより一方の粘着剤層表面を保護させた状態で、防水気密用両面粘着テープを伸長させて貼り合わせることができず、また、剥離ライナーを剥がした状態で防水気密用両面粘着テープを伸長させると、両面が粘着面となっているので、伸長させることが困難である。しかしながら、本発明の防水気密用両面粘着テープを用いると、伸長性剥離ライナーを剥離させなくても、曲面形状や3次元形状を有する部位に、優れた貼り合わせ施工作業性で貼付することができる。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0090】
(基材の調製例1)
ブチルゴム:50重量部、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):50重量部、重質炭酸カルシウム:120重量部、プロセスオイル:15重量部、およびカーボンブラック:10重量部を、混合機(バンバリーミキサー)に投入して、8分間混練りした後、カレンダーロールで、ロール温度:110℃の条件で、シート状に成型して、厚みが0.45mmのゴム製シートを作製した。
【0091】
(粘着剤層の作製例1)
ブチルゴム:100重量部、粘着付与剤:50重量部、重質炭酸カルシウム:100重量部、カーボンブラック:30重量部、および軟化剤:100重量部を、混練り機で混練りさせて混合物を調製した後、該混合物を押出機に導入して、押出成型を行って、厚みが0.8mmのシート状の粘着剤層を作製した。
【0092】
(離型処理剤の調製例1)
市販されている熱硬化型シリコーン系離型処理剤(溶剤型)を使用した。
【0093】
(剥離ライナーの作製例1)
厚さが0.06mmのポリエチレンフィルム[破断時伸び(破断時における伸び)が、長手方向:330%、幅方向:600%である特性を有している]の片面に、離型処理剤の調製例1により得られた離型処理剤(熱硬化型シリコーン系離型処理剤)を、所定量塗布して、100℃で3分間乾燥して、厚さが約0.5μmの離型処理被膜層を形成して、剥離ライナー(「剥離ライナーA」と称する場合がある)を作製した。従って、該剥離ライナーAは伸長性を有している。
【0094】
(剥離ライナーの作製例2)
厚さが0.06mmのポリエチレンフィルムに代えて、ポリエチレンとポリプロピレンとを、重量比で、ポリエチレン/ポリプロピレン=7/3の割合で混合した混合樹脂により形成され、且つ厚さが0.035mmであり、破断時伸びが、長手方向:540%、幅方向:650%であるポリエチレン・ポリプロピレンブレンドフィルムを使用したこと以外は、剥離ライナーの作製例1と同様にして、剥離ライナー(「剥離ライナーB」と称する場合がある)を作製した。従って、該剥離ライナーBは伸長性を有している。
【0095】
(剥離ライナーの作製例3)
基材の調製例1により得られた厚みが0.45mmのゴム製シート(破断時伸びが、長手方向:670%、幅方向:930%である特性を有している)の片面に、離型処理剤の調製例1により得られた離型処理剤を、所定量塗布して、120℃で3分間乾燥乃至硬化させて、厚さが1μmの離型処理被膜層を形成して、剥離ライナー(「剥離ライナーC」と称する場合がある)を作製した。従って、該剥離ライナーCは伸長性を有している。
【0096】
(剥離ライナーの作製例4)
ニット織布(ポリエステル繊維で、ウーリー糸のニット編み;中井メリヤス社製の商品名「75D24F」;破断時伸びが、長手方向:170%、幅方向:320%である特性を有している)を、離型処理剤の調製例1により得られた離型処理剤溶液中に浸して取り出した後、120℃で3分間乾燥乃至硬化させて、剥離ライナー(「剥離ライナーD」と称する場合がある)を作製した。従って、該剥離ライナーDは伸長性を有している。
【0097】
(剥離ライナーの作製例5)
基材としての上質紙(坪量:50g/m2)の両面にポリエチレン層をラミネートした基材(厚さ:0.11mm)の両面に、離型処理剤の調製例1により得られた離型処理剤を、所定量塗布して、100℃で3分間乾燥乃至硬化させて、厚さが0.5μmの離型処理被膜層を形成して、剥離ライナー(「剥離ライナーE」と称する場合がある)を作製した。従って、該剥離ライナーEは伸長性を有していない。
【0098】
(実施例1)
基材の調製例1により得られたゴム製シート(厚み:0.45mm)の一方の面に、粘着剤層の作製例1により得られたシート状の粘着剤層(厚み:0.8mm)貼り合わせた後、該粘着剤層上に、剥離ライナーの作製例5により得られた剥離ライナーE(伸長性を有していない剥離ライナー)を重ね合わせ、さらに、ゴム製シートの他方の面に、同様にして、粘着剤層の作製例1により得られたシート状の粘着剤層(厚み:0.8mm)貼り合わせた後、剥離ライナーの作製例1により得られた剥離ライナーAを重ね合わせることにより、両面粘着テープを得た。
【0099】
(実施例2)
剥離ライナーAに代えて、剥離ライナーBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0100】
(実施例3)
剥離ライナーAに代えて、剥離ライナーCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0101】
(実施例4)
剥離ライナーAに代えて、剥離ライナーDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0102】
(比較例1)
基材の調製例1により得られたゴム製シート(厚み:0.45mm)の一方の面に、粘着剤層の作製例1により得られたシート状の粘着剤層(厚み:0.8mm)貼り合わせた後、該粘着剤層上に、剥離ライナーの作製例5により得られた剥離ライナーE(伸長性を有していない剥離ライナー)を重ね合わせ、さらに、ゴム製シートの他方の面に、同様にして、粘着剤層の作製例1により得られたシート状の粘着剤層(厚み:0.8mm)貼り合わせた後、該露出している粘着剤層の表面と剥離ライナーEの露出している離型処理被膜層の表面とが接触する形態でロール状に巻回させることにより、両面粘着テープを得た。
【0103】
なお、破断時伸びは、以下の測定方法により測定した。
【0104】
(破断時伸びの測定方法)
フィルム状物を、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号の試験片に打ち抜いて試験片(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)を作製し、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅:10mmとして、300mm/minの速度で、クロスヘッド側を引張り、試験片が切断した時点の伸び(%)を測定し、この測定された値を破断時伸びとする。
【0105】
(評価)
実施例1〜4および比較例1により得られた各両面粘着テープを、実施例1〜4に係る両面粘着テープでは、伸長性を有していない剥離ライナー(すなわち、剥離ライナーE)を剥離させた後、一方、比較例1に係る両面粘着テープでは、巻き戻した後、一方の粘着剤層上に剥離ライナー(実施例1〜4に係る両面粘着テープでは、伸長性を有している剥離ライナーA〜D、比較例1に係る両面粘着テープでは、伸長性を有していない剥離ライナーE)が重ね合わせられた状態で、伸長させたところ、実施例1〜4に係る両面粘着テープでは、伸びが約100%になるまで、剥離ライナーが粘着剤層の表面に貼着された状態で伸長させることができたが、比較例1に係る両面粘着テープでは、剥離ライナーが粘着剤層の表面に貼着された状態で伸長させることができなかった。
【0106】
また、実施例1〜4に係る両面粘着テープを、それぞれ、幅:50mm、長さ:250mmに切断して、両面粘着テープ貼付試験片を作製した。図2で示されるように、合板よりなる躯体の表面に、給排水管(外径の60mmφの円筒形状の給排水管)を前記合板の表面に対して垂直に立てた状態で接着させた異型部の周囲に(躯体と給排水管との接合部およびその周囲に)、前記両面粘着テープ貼付試験片を、温度:23±2℃、湿度:50±5%RHの条件下で、下記に示される施工方法により施工して、その際の貼り合わせ施工性を評価したところ、容易に施工作業を行うことができた。
【0107】
(施工方法)
まず、両面粘着テープ貼付試験片を、伸長性を有している剥離ライナー(すなわち、剥離ライナーA〜D)の表面どうしが対向して内面側に位置し、且つ伸長性を有していない剥離ライナー(すなわち、剥離ライナーE)により保護されている側の粘着剤層表面が外面側に位置するような形態で、2つ折り状態となるように折り曲げた後、両外側に位置している伸長性を有していない剥離ライナー(すなわち、剥離ライナーE)のうち、一方の面側の伸長性を有していない剥離ライナーを剥離させ、粘着面を露出させる。そして、露出した粘着面を、給排水管の外周に接触するような形態で、両面粘着テープ貼付試験片を給排水管の外周に貼り合わせる。その後、残部の伸長性を有していない剥離ライナーを剥離させて、残部の粘着面を露出させ、この露出した粘着面の部分の両面粘着テープ貼付試験片を、伸長させながら、図2で示されるような形態で、躯体に貼り合わせる。
【0108】
図2は、実施例における貼り合わせ施工性の評価方法で異型部の周囲に両面粘着テープを貼付して施工する方法を示す概略図である。図2において、6は躯体(合板)、7は給排水管、8は両面粘着テープである。図2では、合板よりなる躯体6の表面に、給排水管7が、前記躯体(合板)6の表面に対して垂直に立てた状態で接着されている。前記給排水管7は外径の60mmφの円筒形状を有している。このような異型部及びその廻り(躯体6と給排水管7との接合部およびその周囲)に、両面粘着テープ8を用いて施工されている。なお、施工後の両面粘着テープ8における表面は、伸長性を有している剥離ライナーの表面となっている。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の防水気密用両面粘着テープの例を部分的に示す概略断面図である。
【図2】実施例における貼り合わせ施工性の評価方法で異型部の周囲に両面粘着テープを貼付して施工する方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0110】
1a 防水気密用両面粘着テープ
1b 防水気密用両面粘着テープ
2 ゴム製シート
3a 粘着剤層
3b 粘着剤層
4a 片面のみに剥離機能を有し且つ伸長性を有している剥離ライナー
4b 両面に剥離機能を有し且つ伸長性を有している剥離ライナー
5 伸長性を有していない剥離ライナー
6 躯体(合板)
7 給排水管
8 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであって、基材がゴム製シートであり、且つ少なくとも一方の粘着剤層の表面が、伸長性を有する剥離ライナーにより保護されていることを特徴とする防水気密用両面粘着テープ。
【請求項2】
基材としてのゴム製シートが、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である請求項1記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項3】
伸長性を有する剥離ライナーが、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、150〜1200%である請求項1又は2記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項4】
伸長性を有する剥離ライナーが、粘着剤層に対する剥離性および伸長性を有するフィルム状物による剥離ライナー、または伸長性を有する基材の少なくとも一方の面に、剥離処理被膜層または非自着性を有する被膜層が形成された構成を有する剥離ライナーである請求項1〜3の何れかの項に記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項5】
剥離処理被膜層が、シリコーン系剥離処理剤により形成されている請求項4記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項6】
非自着性を有する被膜層が、アクリル系重合体または長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物により形成されている請求項4記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項7】
ゴム製シートが、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されている請求項1〜6の何れかの項に記載の防水気密用両面粘着テープ。
【請求項8】
ゴム製シートの合成ゴムが、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムから選択された少なくとも1種の合成ゴムである請求項7記載の防水気密用両面粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−299071(P2006−299071A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122278(P2005−122278)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】