説明

防水膜とその施工方法および塗膜形成組成物

【課題】高い防水性能と、高いマイナスイオン発生能を有する防水膜を提供する。
【解決手段】防水膜1は、高速硬化ウレタン樹脂主剤32とその硬化剤42およびマイナスイオン発生粉末2を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズル18から噴射させて形成され、高い防水性能とともに、高いマイナスイオン発生能と水蒸気透過性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の屋上等に形成されるマイナスイオン発生能を有する防水膜とその施工方法および、この防水膜の形成に用いられる塗膜形成組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリートビルの屋上などに緑化施設が設けられ、芝生や樹木などが植えられて、利用者に目に爽やかで、涼しく、マイナスイオンが多く含まれた環境を提供するとともに、その断熱効果により屋下の室内の温度上昇を抑えて、空調費用の節減などに寄与している。
【0003】
マイナスイオンは、環境改善機能を有している。すなわち、マイナスイオンは、プラスイオン化した空気中の有害微粒子を減少させ、あるいは分解するとともに、新陳代謝の活性化、血液や細胞の活性・還元化、疲労回復、内臓疾患、美肌効果、自律神経の安定(リラックス効果)、免疫力の快復あるいは身体の弱アルカリ化等に極めて優れた作用を発現するものとして注目されている。一般に、マイナスイオンによる環境改善効果を得るためには、マイナスイオンの発生個数が100個/cm3 程度あれば良いと言われている。
【0004】
しかしながら、コンクリートビルの屋上などに芝生や樹木を植えようとすると、大掛かりな工事を伴うことから多大な費用がかかり、場合によっては、強度面での問題などから断念せざるを得ないこともある。したがって、このようなコンクリートビルの屋上などに、マイナスイオン発生能を有する防水膜を塗布、形成させる技術が開発されれば、特に大掛かりな工事を伴わず、強度面での問題をかかえるビルなど、どのようなコンクリートビルの屋上にも簡単に施工でき、利用者およびその周辺に居住する者にもマイナスイオンによる環境改善機能の効果を供与することができる。
【0005】
従来、このようなマイナスイオン発生能を有する塗布膜を形成する塗料(塗膜形成組成物)として、天然鉱物(トルマリンや花崗岩系、長石系、雲母系など)や放射性鉱物(モナズ石、サマルスキー石など)を含有した、主として内装建材に塗布する塗料が種々開発されてきている。
【0006】
例えば、特許文献1に開示された塗膜形成組成物は、花崗岩、蛇紋岩、流紋岩、トルマリン石、カオリナイトなどの鉱物を微粉末にし、これにエマルション型樹脂を分散媒とともに混合したものである。エマルション型樹脂として、ウレタンエマルション型樹脂またはアクリルエマルション型樹脂が用いられている。
【0007】
また、特許文献2に開示された塗膜形成組成物は、合成樹脂塗料に、粒径0.01μm〜50μmを有するマイナスイオン発生紛体組成物と分散剤を配合した塗料であって、マイナスイオン発生紛体組成物が、トルマリン粉末と、電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末あるいは電融安定化酸化ジルコニウム粉末とを、特定量配合されてなるものである。
【0008】
さらに、特許文献3に開示された塗膜形成組成物は、アクリル系樹脂エマルション塗料、マイナスイオン生成能を有するセラミック微粉末、および無機亜鉛化合物を含有する層状化合物を所定の配合割合で含有するものであり、マイナスイオン生成能を有するセラミック微粉末として、放射性鉱物を含有するセラミック微粉末が使用され、たとえばトリウムやウラン等を含む放射性希土鉱石と、遠赤外線を放射するジルコン、ジルコニア、アルミナ、シリカ等のセラミックとを混合し、焼成したものが用いられている。
【特許文献1】特開2003−342529号公報
【特許文献2】特開2004−067847号公報
【特許文献3】特開2005−255792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1〜3に開示されたいずれの塗膜形成組成物も、エマルジョン樹脂を主剤とし、ハケ塗りにより、床、天井、壁等に塗装したり、あるいは、スプレー缶型やエアースプレー等により、噴霧スプレー塗装したりすることができる、主に内装建材に塗布する塗料であり、コンクリートビルの屋上などの防水膜に適用しようとすると、何重にも塗り重ねなければならず、しかも、防水性能に劣るものであった。さらに、マイナスイオン発生能が十分に得られないものであった。
【0010】
高いマイナスイオン発生能が得られない原因としては、塗膜形成組成物に用いられる主剤が、アクリル系やウレタン系の樹脂エマルジョンであり、このような塗膜形成組成物を被塗布面に塗布して形成される塗膜は、塗膜中に空孔が存在せず、たとえ存在しても、三次元的に連通する連通孔として形態を持たないものであった。したがって、塗膜中に分散されたマイナスイオン発生粉末で発生したマイナスイオンが塗膜中の樹脂により流路が遮られ、外部(大気中)に放散されるマイナスイオンの量が極めて少ないものとならざるを得なかった。さらに、用いられるマイナスイオン発生粉末が十分なマイナスイオン発生能を有さないものであることも、マイナスイオン発生能が低い原因の一つと考えられる。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高い防水性能と、高いマイナスイオン発生能を有する防水膜とその施工方法および、この防水膜の形成に用いられる塗膜形成組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る防水膜は、上記の課題を解決するため、高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させて形成され、マイナスイオン発生能と水蒸気透過性を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項1に係る防水膜によれば、主剤と硬化剤とマイナスイオン発生粉末とを含む塗膜形成組成物が、圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射されて、水蒸気透過性を有する防水膜、すなわち、水蒸気が通過できる空孔(連通孔)を有する防水膜として形成される。水蒸気がこの防水膜中の空孔を介して発散されるため、この防水膜は、膨れを生じることなく被施工物に密着して高い防水性能を有するとともに、マイナスイオン発生粉末で発生されたマイナスイオンが同じく空孔を介して防水膜から大気中に放散されるため、高いマイナスイオン発生能を有する。なお、マイナスイオン発生粉末は、主剤または硬化剤のいずれかに予め添加されて、混合されたものであってもよく、また、他の方法により、主剤または硬化剤とは別に供給されて、噴射ノズルから噴射させる以前に主剤および硬化剤に混合されるものであってもよい。
【0014】
本発明の請求項2に係る防水膜は、上記の請求項1に係る防水膜において、前記マイナスイオン発生粉末が、マイナスイオン発生能を有する石英斑岩粉末または風化造礁サンゴ粉末であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項2に係る防水膜によれば、石英斑岩粉末(例えば、貴宝石[登録商標])や風化造礁サンゴが、有害な放射性物質を含まず、しかも、トルマリンをはるかに凌ぐ高いマイナスイオン発生能を有することから、これらのマイナスイオン発生粉末を用いて形成される防水膜に、高いマイナスイオン発生能を付与することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る防水膜は、上記の請求項1または2に係る防水膜において、前記マイナスイオン発生粉末が、前記塗膜形成組成物中に10質量%以下含まれることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項3に係る防水膜によれば、塗膜形成組成物中へのマイナスイオン発生粉末の添加量が10質量%以下の少量であっても、高いマイナスイオン発生能を付与することができる。なお、マイナスイオン発生粉末の添加量を増やすにしたがい、マイナスイオン発生能も上昇するが、マイナスイオン発生粉末を余り多く添加しても、マイナスイオン発生粉末の分散性が悪くなり、マイナスイオン発生膜膜の物性値(特に、塗膜強度)が低下するので、余り望ましくない。マイナスイオン発生粉末の添加量は、マイナスイオン発生粉末そのもののマイナスイオン発生能や防水膜施工時の諸条件(防水膜の膜厚や保護膜などの積層構造)によって影響されるため、防水膜からのマイナスイオン発生能を勘案して、10質量%以下の範囲で適宜設定されるのが望ましい。
【0018】
本発明の請求項4に係る防水膜は、上記の請求項1〜3のいずれか一項に係る防水膜において、前記マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項4に係る防水膜によれば、マイナスイオン発生粉末が防水膜中に均一に分散され、高いマイナスイオン発生能を発現させることができる。マイナスイオン発生粉末の平均粒径を0.1μm未満にするためには、粉砕するのに時間とコストがかかり、また、平均粒径が100μmを超えると、防水膜施工装置(例えば、噴出機)に損傷を与える可能性がある。したがって、防水膜中での均一分散性を確保し、防水膜を低コストで施工するためには、マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることが好ましい。
【0020】
本発明の請求項5に係る防水膜は、上記の請求項1〜4のいずれか一項に係る防水膜において、前記防水膜の膜厚が、1mm以上であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項5に係る防水膜によれば、防水膜の膜厚が1mm以上であれば、防水膜中に適度な量のマイナスイオン発生粉末を均一に分散させることができ、用途に応じた高いマイナスイオン発生能を防水膜に発現させることができる。
【0022】
本発明の請求項6に係る防水膜は、上記の請求項1〜5のいずれか一項に係る防水膜において、前記防水膜の上に、マイナスイオン発生能を有さず、水蒸気透過性を有する第2の防水膜が積層形成されることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項6に係る防水膜によれば、防水膜中のマイナスイオン発生粉末で発生したマイナスイオンが、水蒸気透過性を有する第2の防水膜に形成された空孔(連通孔)を介して第2の防水膜中を透過し、大気中に放散されるため、第2の防水膜が積層形成され防水膜は高いマイナスイオン発生能を有することになる。
【0024】
本発明の請求項7に係る防水膜は、上記の請求項1〜5のいずれか一項に係る防水膜において、前記防水膜の上に、耐久性、耐候性に優れ、水蒸気透過性を有する保護膜が積層形成されることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の請求項7に係る防水膜によれば、防水膜中のマイナスイオン発生粉末で発生したマイナスイオンが、水蒸気透過性を有する保護膜に形成された空孔(連通孔)を介して保護膜中を透過し、大気中に放散されるため、保護膜が積層形成された防水膜は高いマイナスイオン発生能を有することになる。しかも、保護膜は、耐久性、耐候性に優れるため、防水膜の表面を保護して、長期間にわたって防水膜の高いマイナスイオン発生能を維持することができる。
【0026】
本発明の請求項8に係る防水膜は、上記の請求項6に係る防水膜において、前記マイナスイオン発生能を有さない第2の防水膜の上に、耐久性、耐候性に優れ、水蒸気透過性を有する保護膜が積層形成されることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項8に係る防水膜によれば、防水膜中のマイナスイオン発生粉末で発生したマイナスイオンが、水蒸気透過性を有する第2の防水膜および保護膜に形成された空孔(連通孔)を介して第2の防水膜および保護膜中を透過し、大気中に放散されるため、保護膜が積層形成された防水膜は高いマイナスイオン発生能を有することになる。しかも、保護膜は、耐久性、耐候性に優れるため、防水膜の表面を保護して、長期間にわたって防水膜の高いマイナスイオン発生能を維持することができる。
【0028】
本発明の請求項9に係る防水膜施工方法は、高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させて、防水膜を形成することを特徴とするものである。
【0029】
本発明の請求項9に係る防水膜施工方法によれば、主剤と硬化剤とマイナスイオン発生粉末とを含む塗膜形成組成物が、圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射されて、水蒸気透過性を有する防水膜、すなわち、水蒸気が通過できる空孔(連通孔)を有する防水膜が形成される。水蒸気がこの防水膜中の空孔を介して発散され、膨れを生じることなく防水膜を被施工物に密着させることができるとともに、マイナスイオン発生粉末で発生されたマイナスイオンを同じく空孔を介して防水膜から大気中に放散させることができる。したがって、この防水膜施工方法により形成された防水膜は、高い防水性能と高いマイナスイオン発生能とを有することになる。なお、マイナスイオン発生粉末は、主剤または硬化剤のいずれかに予め添加されて、混合されたものであってもよく、また、他の方法により、主剤または硬化剤とは別に供給されて、噴射ノズルから噴射させる以前に主剤および硬化剤に混合されるものであってもよい。
【0030】
本発明の請求項10に係る防水膜施工方法は、高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物をスクリューガイドで形成されるスタティック混合部に圧送し、これらをスタティック混合部で混合した後、この混合組成物をスタティック混合部の流出口においてスタティック混合部とこれを覆う外筒との間に形成されるエア流路を流れてくる圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させ、被施工物に吹き付けてその表面に防水膜を形成することを特徴とするものである。
【0031】
本発明の請求項10に係る防水膜施工方法によれば、主剤と硬化剤、マイナスイオン発生粉末とがスタティック混合部で均一に混合され、スタティック混合部とこれを覆う外筒との間に形成されるエア流路を流れる圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射されることにより、マイナスイオン発生粉末が均一に分散され、しかも、水蒸気透過性を有する防水膜が形成される。この防水膜は、水蒸気が防水膜中に形成された空孔(連通孔)を介して発散され、被施工物との間に膨れを生じることなく、被塗布面に密着するとともに、マイナスイオン発生粉末で発生されたマイナスイオンを同じく空孔を介して防水膜から大気中に放散させることができる。したがって、この防水膜施工方法により形成された防水膜は、高い防水性能と高いマイナスイオン発生能とを有することになる。なお、マイナスイオン発生粉末は、主剤または硬化剤のいずれかに予め添加されて、混合されたものであってもよく、また、他の方法により、スタティック混合部に供給されて、このスタティック混合部で主剤および硬化剤と混合されるものであってもよい。
【0032】
本発明の請求項11に係る塗膜形成組成物は、上記の請求項1〜8のいずれか一項に記載の防水膜、あるいは請求項9または10に記載の防水膜施工方法に用いられる塗膜形成組成物であって、高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含むことを特徴とするものである。
【0033】
本発明の請求項11に係る塗膜形成組成物によれば、上記の防水膜あるいは防水膜施工方法に用いられたとき、被施工物の上にマイナスイオン発生能と水蒸気透過性を有する防水膜を形成することができる。すなわち、主剤と硬化剤とマイナスイオン発生粉末とを含む塗膜形成組成物が、圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射されて、水蒸気透過性を有する防水膜、すなわち、水蒸気が通過できる空孔(連通孔)を有する防水膜として形成される。水蒸気がこの防水膜中の空孔を介して発散されるため、この防水膜は、膨れを生じることなく被施工物に密着するとともに、マイナスイオン発生粉末で発生されたマイナスイオンが同じく空孔を介して防水膜から大気中に放散される。したがって、この防水膜は、高い防水性能と高いマイナスイオン発生能とを有することになる。なお、マイナスイオン発生粉末は、主剤または硬化剤のいずれかに予め添加されて、混合されたものであってもよく、また、他の方法により、主剤または硬化剤とは別に供給されて、噴射ノズルから噴射させる以前に主剤および硬化剤に混合されるものであってもよい。
【0034】
本発明の請求項12に係る塗膜形成組成物は、上記の請求項11に係る塗膜形成組成物において、前記マイナスイオン発生粉末が、マイナスイオン発生能を有する石英斑岩粉末または風化造礁サンゴ粉末であることを特徴とするものである。
【0035】
本発明の請求項12に係る塗膜形成組成物によれば、石英斑岩粉末(例えば、貴宝石[登録商標])や風化造礁サンゴは、有害な放射性物質を含まず、しかも、トルマリンをはるかに凌ぐ高いマイナスイオン発生能を有することから、これらのマイナスイオン発生粉末を用いて形成された防水膜に、高いマイナスイオン発生能を付与することができる。
【0036】
本発明の請求項13に係る塗膜形成組成物は、上記の請求項11または12に係る塗膜形成組成物において、前記マイナスイオン発生粉末が、前記塗膜形成組成物中に10質量%以下含まれることを特徴とするものである。
【0037】
本発明の請求項13に係る塗膜形成組成物によれば、塗膜形成組成物中へのマイナスイオン発生粉末の添加量が10質量%以下の少量であっても、高いマイナスイオン発生能を付与することができる。なお、マイナスイオン発生能も上昇するが、マイナスイオン発生粉末を余り多く添加しても、マイナスイオン発生粉末の分散性が悪くなり、マイナスイオン発生膜膜の物性値(特に、塗膜強度)が低下するので、余り望ましくない。マイナスイオン発生粉末の添加量は、マイナスイオン発生粉末そのもののマイナスイオン発生能や防水膜施工時の諸条件(防水膜の膜厚や保護膜などの積層構造)によって影響されるため、防水膜からのマイナスイオン発生能を勘案して、10質量%以下の範囲で適宜設定されるのが望ましい。
【0038】
本発明の請求項14に係る塗膜形成組成物は、上記の請求項11〜13のいずれか一項に係る塗膜形成組成物において、前記マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とするものである。
【0039】
本発明の請求項14に係る塗膜形成組成物によれば、マイナスイオン発生粉末が防水膜中に均一に分散され、高いマイナスイオン発生能を発現させることができる。マイナスイオン発生粉末の平均粒径を0.1μm未満にするためには、粉砕するのに時間とコストがかかり、また、平均粒径が100μmを超えると、防水膜施工装置(例えば、噴出機)に損傷を与える可能性がある。したがって、防水膜中での均一分散性を確保し、防水膜を低コストで施工するためには、マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明の防水膜とその施工方法および、この防水膜の形成に用いられる塗膜形成組成物によれば、高い防水性能と、高いマイナスイオン発生能を有するマイナスイオン発生防水膜を効率的に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の防水膜とその施工方法およびこれに用いられる塗膜形成組成物に係る最良の実施の形態について、図面に基づき説明する。なお、下記に開示される実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、実施の形態で開示された内容ではなく、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれると解されるべきである。
【0042】
まず、本発明に係る防水膜施工方法の説明に先立って、この防水膜施工方法に用いる防水膜施工装置について、図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本発明に係る防水膜施工方法に用いられる防水膜施工装置の構成を説明するための装置構成図であり、図2は、この防水膜施工装置の制御機構を説明するためのブロック構成図である。また、図3は、この防水膜施工装置の噴出機を説明するための一部を切り欠いて示す側面図である。
【0043】
本発明に係る防水膜施工方法に用いられる防水膜施工装置10は、本願発明者等が、先に、コンクリートビルの屋上などの被施工物5の被塗布面6にウレタン防水膜を形成するに際して、ウレタン防水膜の裏面に水蒸気が溜まるのを防いで、水蒸気による膨れ現象を発生させないものとして開発した装置(特許第3248554号公報参照)と同様のものであり、図1に示されるように、防水膜施工用の主剤と硬化剤を混合して吐出する噴出機11と、主剤容器31に収容された主剤を送給路34を介して送給する主剤送給系統30と、硬化剤容器41に収容された硬化剤を送給路44を介して送給する硬化剤送給系統40と、主剤送給系統30と硬化剤送給系統40の動作を制御する制御部50とを備えて構成される。
【0044】
主剤送給系統30においては、主剤容器31に液状のポリエーテル系ポリオールからなる高速硬化ウレタン樹脂主剤32が収容され、主剤32は、モータ33により駆動されるギアポンプ34によって主剤容器31から取り出されて、送給管路35内を圧送される。この供給管路35には、主剤32の圧力を測定する圧力計36、主剤32の圧力が異常昇圧したときに主剤32をリリースする圧力スイッチ37およびその流量を計測する流量計38が配設されており、主剤32は、この送給管路35の端部に接続された送給ホース39を介して、噴出機11に送給される。
【0045】
また、硬化剤送給系統40においては、硬化剤容器41に、液状のイソシアネートプレポリマーからなる硬化剤42が収容され、硬化剤液42は、モータ43により駆動されるギアポンプ44によって硬化剤容器41から取り出されて、送給管路45内を圧送される。この送給管路45には、硬化剤42の圧力を測定する圧力計46、硬化剤42の圧力が異常昇圧したときに硬化剤42をリリースする圧力スイッチ47および硬化剤42の流量を計測する流量計48が配設されており、硬化剤42は、この送給管路45の端部に接続された送給ホース49を介して、噴出機11に送給される。
【0046】
噴出機11については、後に詳述するが、上記のようにして供給された主剤32および硬化剤42を予め十分に混合し、この混合液12を、ウレタン防水膜が形成されるべき被施工物の被塗布面23に向けて噴出する。なお、被塗布面23には予めプライマー(図示せず)が塗布されている。
【0047】
次に、防水膜施工装置10の制御機構について先に説明する。制御部50は、主剤送給系統30と硬化剤送給系統40の周辺に配置され、図2に示されるように、制御部50に接続される操作盤51を備え、操作盤51を介して、主剤32と硬化剤42それぞれの単位時間当たりの供給量などの作業設定情報が作業者によって入力され、これらの作業設定情報が制御部50に入力される。
【0048】
また、制御部50には、上記の流量計38、48で検出された流量検出情報が入力される。なお、流量計38、48は、それぞれ主剤32および硬化剤42の流量に応じた回転数で回転される樹脂製ギア(図示せず)にマグネット(図示せず)が埋め込まれており、このマグネットによる磁界の変化を磁気センサ38a、48aが検知することにより、主剤32および硬化剤42の流量を検出するものである。
【0049】
制御部50は、操作盤51から入力された流量設定情報と流量計38、48の磁気センサ38a、48aから入力される流量検出情報とに基づく演算を行い、流量検出情報と流量設定情報との差がゼロとなる制御情報を算出して、その制御情報をモータドライバー52、53に出力し、モータ33、43を回転制御することにより、主剤圧送用のギアポンプ34および硬化剤圧送用のギアポンプ44の駆動をフィードバック制御する。これにより、噴出機11には、操作盤51で設定された供給量に正確に調整された主剤32および硬化剤42が圧送される。ここで、主剤32および硬化剤42は、それぞれギアポンプ34、44を用いて圧送されているので、シリンダポンプを用いた場合のような圧送時の脈動が生じない。
【0050】
噴出機11は、図3に示されるように、噴出機本体13の前方(図の左方)に円環状のスタティック混合部14が配置され、このスタティック混合部14の内部空間を挿通するように螺旋状のスクリューガイド15が回転自在に配置され、さらに、このスタティック混合部14の外周を覆うように外筒16が配置されている。スタティック混合部14および外筒16は、それらの外周面を覆うナット体17により締め付けられて、噴出機本体13に着脱自在に固定されている。また、外筒16の先端部(図の左端部)には、先端側で縮径されて噴出口18aが開口されたノズル18(噴射ノズル)が着脱自在に固定されている。
【0051】
主剤圧送用の送給ホース39および硬化剤圧送用の送給ホース49は、噴出機本体13の両側面に設けられた主剤流路19および硬化剤流路20(硬化剤流路20は主剤流路19の紙面奥方向に位置)にそれぞれ接続され、送給ホース19、20を介して噴出機本体13に圧送されてきた主剤32および硬化剤42は、それぞれ主剤流路29および硬化剤流路30を介して樹脂製のスタティック混合部14内に向けて圧送される。
【0052】
スタティック混合部14では、主剤流路19および硬化剤流路20を介してそれぞれ圧送されてきた主剤32および硬化剤42が、スタティック混合部14内部に配設された螺旋状のスクリューガイド15の回転により十分に混合攪拌され、その混合液12がスタティック混合部14の前方に位置する混合液流出口21からノズル18に向けて押し出される。
【0053】
噴出機本体13の後端部(図の右端部)に設けられたエア導入パイプ22には、コンプレッサ(図示せず)から供給される圧縮エアが導入される。この圧縮エアは、作業者により操作引き金23を引く操作が行われるのに伴い、図の右方に押圧移動されるバルブ開閉制御軸24によってエア供給バルブ25が開弁されたときに、そのエア供給バルブ25を通ってエア流路26に導入された後、スタティック混合部14とその外周を覆う外筒16との間に設けられたエア経路27内部をノズル18に向けて流れて、混合液流出口21の周辺部を通ってノズル18の噴出口18aから外部に噴出される。
【0054】
一方、混合液流出口21まで導かれたれ混合液12は、エア経路27を圧縮エアが流れることで生じる負圧により吸引されて、ノズル18の噴出口18aに引き出され、噴出口18aから噴出する圧縮エアの流れに乗って、霧状となって外部に噴出される。なお、エア経路27は、外筒16の内周面に筒心方向に沿って配置で形成された複数の溝から構成されている。
【0055】
続いて、上記の噴出機11を具備する防水膜施工装置10を用いた防水膜の施工方法、すなわち、本発明に係るマイナスイオン発生能を有するマイナスイオン発生防水膜1を被施工物5の被塗布面6に形成する方法について説明する。
【0056】
作業者は、先ず、主剤容器31にポリエーテル系ポリオール中に所定の配合割合でマイナスイオン発生粉末2が添加された高速硬化ウレタン樹脂主剤32を収容するとともに、硬化剤容器41にイソシアネートプレポリマー硬化剤42を収容し、次いで、操作盤51から単位時間当たりの主剤32と硬化剤42それぞれの供給量を設定入力する。制御部50は、操作盤51に設定入力された上記供給量に基づく制御情報をモータドライバー52、53に出力し、モータ33、43を回転制御することにより、主剤圧送用のギアポンプ34および硬化剤圧送用のギアポンプ44を駆動させ、これらのギアポンプ34、44の駆動により主剤容器31内の主剤32および硬化剤容器41内の硬化剤42を噴出機11へ向けて圧送する動作を始動させる。
【0057】
次に、制御部50は、各流量計38、48(磁気センサ38a、48a)から入力される流量検出情報と操作盤51から入力される流量設定情報との差がゼロとなるようにモータ33、43を回転制御することにより、ギアポンプ34、44をフィードバック制御する。これにより、噴出機11には、操作盤51に設定入力された供給量に正確に調整された主剤32および硬化剤42が圧送されるから、スタティック混合部14内での主剤32と硬化剤42との混合割合を正確に制御でき、形成される防水膜1の品質の均一化を図ることができる。なお、図示していないが、制御部50は主剤32および硬化剤42の温度管理をも行うように構成されており、これによっても一層高品質の防水膜1を形成することができる。
【0058】
噴出機11では、液状の主剤32および硬化剤42が、ギアポンプ34、44を備えた圧送機構により個々の送給ホース39、49を通って主剤流路19および硬化剤流路20にそれぞれ別々に導入されてくるとともに、コンプレッサから所定圧力の圧縮エアがエア導入パイプ22に導入されてくる。ここで、作業者が噴出機11の操作引き金23を引く操作を行うと、エア供給バルブ25が開弁されて、圧縮エアがエア流路26およびエア経路24を通ってスタティック混合部14の混合液流出口21付近に導かれる。
【0059】
一方、送給ホース39、49を通じて供給されてくるマイナスイオン発生粉末2が添加された主剤32および硬化剤42は、主剤流路19および硬化剤流路20を通じてスタティック混合部14内に送り込まれる。スタティック混合部14では、主剤32と硬化剤42および主剤32中に添加されたマイナスイオン発生粉末2が、スクリューガイド15を通過するときに十分に混合攪拌されて、その混合液12が混合液流出口21に導かれる。この混合液流出口21の付近には、圧縮エアが高速で通過することによって負圧が発生するので、この負圧による吸引力で混合液流出口21からノズル18内に吸引された混合液12は、圧縮エアの流れに乗り、霧状となってノズル18の噴出口18aから被施工物5の被塗布面6に向けて噴出される。この噴出時の混合液12の霧状態での粒径は2〜3μm程度である。そして、被施工物5の被塗布面6に、マイナスイオン発生粉末2を含むマイナスイオン発生防水膜1が形成される。
【0060】
このようにして形成されたマイナスイオン発生防水膜1は、図4(a)に示されるように、防水膜1中にマイナスイオン発生粉末2が均一に分散され、後述するように、マイナスイオン発生防水膜1自体が水蒸気透過性を有するため、被施工物5の被塗布面6に膨れを生じることなく密着し、さらに、水蒸気の透過経路を介してマイナスイオン発生粉末2から多くのマイナスイオンを効果的に放散させることができる。
【0061】
上述した防水膜施工装置10およびこの防水膜施工装置10を用いて防水膜を形成する施工方法は、すでに特許文献1において提案したものであるが、この防水膜施工装置10を用いてマイナスイオン発生防水膜1を形成する防水膜施工方法に適用すると、以下に述べるような種々の顕著な効果を得ることができる。
【0062】
すなわち、上記の噴出機11では、比較的大きな粒径の液滴を有する混合液12を圧縮エアで吸引して噴射させることから、塗膜形成時に適量のエアが含まれ、しかも、被施工物5の被塗布面6上に吹き付けられるまでの間に液滴表面が硬化し始めているので、形成されたマイナスイオン発生防水膜1には、比較的大きく、且つ、潰され難い空孔(連通孔3)が互いに三次元的に連通するように形成されている。その結果、マイナスイオン発生防水膜1は、水を透過させないが、水蒸気の透過が可能な高い透湿性(水蒸気透過性)を有するものとなる。すなわち、上記の噴出機11で形成されたマイナスイオン発生防水膜1は、自身で水蒸気を発散させることができる、いわゆる呼吸性を有する弾性塗膜となるため、十分に乾燥していないコンクリート表面などの、水蒸気を蒸散する可能性のある被塗布面6に形成しても、水蒸気を外部(大気中)に発散させることができるから、従来工法のように通気用スペーサまたは脱気シートおよび脱気筒を用いなくても、マイナスイオン発生防水膜1に膨れ現象が生じるおそれがない。
【0063】
そして、上記の噴出機11では、スタティック混合部14内部におけるスクリューガイド15により主剤32と硬化剤42とマイナスイオン発生粉末2とを予め十分に攪拌混合しているので、マイナスイオン発生粉末2は、形成されたマイナスイオン発生防水膜1中に三次元的に均一に分散され、図4(b)に示されるように、その表面がウレタン樹脂に覆われつつ、かつ、表面の一部で上記の水蒸気を透過させる働きをなす無数の連通孔3に開放され、この無数の連通孔3を介して、マイナスイオン発生粉末2で発生したマイナスイオンが大気中に放散される。したがって、上記の噴出機11で形成されたマイナスイオン発生防水膜1は優れたマイナスイオン発生能(放散性)を有することになる。
【0064】
また、上記の噴出機11では、スタティック混合部14内部で予め十分に攪拌混合され主剤32と硬化剤42とマイナスイオン発生粉末2との混合液12は、混合液流出口21から流出する時点で既に硬化し始めており、被施工物5の被塗布面6上に吹き付けられた時点で半硬化状態となって容易に積層されるので、2〜3mm程度の膜厚のマイナスイオン発生防水膜1を1回の吹き付け工程で形成することできる。これに対して、刷毛やローラによる手作業でマイナスイオン発生粉末2が添加された主剤32および硬化剤42を混合して塗着する従来工法では、2〜3mm程度の膜厚のマイナスイオン発生防水膜1を形成する場合、ほぼ1日の乾燥時間をそれぞれ介在して複数回の塗着作業を繰り返す必要があるため、3日程度の期間を要することになる。
【0065】
さらに、上記の防水膜施工装置10によると、マイナスイオン発生粉末2が添加された主剤32および硬化剤42を収容した主剤容器31、硬化剤容器41や制御部50さらには操作盤51を含む制御システムなどの装置全体を車両に搭載して移動させながら、作業者が噴出機11を操作して広い施工面積に防水膜を容易、且つ能率的に形成することが可能であり、従来工法のように缶に入った主剤32や硬化剤42を注ぎ足しながら手作業する場合とは異なり、防水膜施工作業を格段に機械化および自動化して実施することができる。したがって、作業者は、上記車両を移動させながら噴出機11を操作して、建物の屋上やプールの底壁などのコンクリート面からなる被施工物5の被塗布面6に、噴出機11から噴出する霧状の混合液12を吹き付けることにより、被塗布面6が広い施工面積を有する場合であっても、マイナスイオン発生防水膜1を能率的に形成することができる。
【0066】
以下、上記の防水膜施工装置10を用いた本発明に係る防水膜施工方法により形成される実施の形態のマイナスイオン発生防水膜1について説明する。
【0067】
(実施の形態1)
まず、上記の防水膜施工装置10を用いた防水膜施工方法により形成される実施の形態1のマイナスイオン発生防水膜1Aについて、図4に基づいて説明する。図4は、実施の形態1に係る防水膜(マイナスイオン発生防水膜1A)の構造を概念的に説明するための(a)は斜視図であり、(b)は模式断面図である。
【0068】
本実施の形態1に係るマイナスイオン発生防水膜1Aは、上記の防水膜施工方法により、被施工物5の被塗布面6にマイナスイオン発生能を有する防水膜として形成されたものであり、マイナスイオン発生防水膜1中に形成された連通孔3の存在により、高い水蒸気透過性を有するとともに、マイナスイオン発生防水膜1A中に分散されたマイナスイオン発生粉末2によって発生されたマイナスイオンが、この連通孔3を介して大気中に放散されるため、優れたマイナスイオン発生能をも併せ持つものである。
【0069】
マイナスイオン発生防水膜1Aを形成するための原料である塗膜形成組成物は、マイナスイオン発生粉末2が添加された高速硬化ウレタン樹脂主剤32と、イソシアネート系硬化剤42からなるものであり、本実施の形態1においては、高速硬化ウレタン樹脂主剤32およびイソシアネート系硬化剤42として、(株)カワタ製のジェットスプレーJSを用い、マイナスイオン発生粉末2として、石英斑岩の一種である貴宝石(登録商標)の粉砕粉(平均粒径:12μm)を用いた。
【0070】
貴宝石は、日本の南アルプスで最近発見された自然界で最高レベルの遠赤外線放射エネルギーと、マイナスイオン発生量を持つ、水晶に近い天然鉱石であり、麦飯石、トルマリンをはるかに凌ぐマイナスイオンの発生量が確認されている。
【0071】
上記の防水膜施工装置10を用いた防水膜施工方法により、これらの塗膜形成組成物を用いて、主剤32に添加するマイナスイオン発生粉末2の配合割合を3〜30質量%の範囲で変化させて、実施例1〜6のマイナスイオン発生防水膜1A(膜厚:2mm)を形成し、表面におけるマイナスイオン発生個数(単位:個/cm3)を測定した。また、マイナスイオン発生粉末2を添加していない主剤32(塗膜形成組成物)を用いて、比較例1のウレタン防水膜を形成し、そのマイナスイオン発生個数をも測定した。なお、防水膜施工に当たって、噴射機11に供給される主剤32と硬化剤42との質量比(流量比)を100:100に設定している。このため、マイナスイオン発生防水膜1Aには、主剤32へのマイナスイオン発生粉末2の添加量(質量%)の1/2の添加量(質量%)でマイナスイオン発生粉末2が添加されることになる。表1に示したマイナスイオン発生粉末2の添加量(配合割合)は、マイナスイオン発生粉末2が添加されたマイナスイオン発生防水膜1Aにおけるマイナスイオン発生粉末2の質量の百分率で表している(すなわち、主剤32に添加したマイナスイオン発生粉末2の質量%の1/2とした。以下の表2、表3においても同様)。
【0072】
マイナスイオンの測定には、(株)エコホリスティック社製のマイナスイオン測定器EB−15を用い、マイナスイオン発生防水膜1A上の10箇所で測定してその算術平均値をもって評価した。なお、風袋に封入された状態でのマイナスイオン発生粉末(貴宝石)のマイナスイオン発生個数は8928個/cm3 であった。
【0073】
実施例1〜6のマイナスイオン発生防水膜1Aおよび比較例1のウレタン防水膜上におけるマイナスイオンの測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1から分かるように、実施例1のマイナスイオン発生防水膜1A(マイナスイオン発生粉末2の防水膜1A中への添加量:1.5質量%)からのマイナスイオンの発生個数は200個/cm3 を超え、本発明のマイナスイオン発生防水膜1Aは、少ない添加量であっても、十分なマイナスイオン発生能を有している。また、マイナスイオン発生粉末2の添加量を増やすにしたがい、マイナスイオンの発生個数もしだいに増加する。ただ、マイナスイオン発生粉末2を余り多く添加すると、例えば、主剤32に20質量%を超えて添加すると、主剤32中でのマイナスイオン発生粉末2の分散性が悪くなり、塗着後の硬化にムラが生じるなどして、形成されるマイナスイオン発生膜1Aの物性値(特に、塗膜強度)が低下するので、望ましくない。
【0076】
なお、マイナスイオン発生防水膜1Aの透湿性については、JIS−Z0280に準拠した測定方法により測定した結果、透質係数として0.15〜0.18g/m2 h・mmHgの値が得られており、通常のエアスプレー方式で塗布されたウレタン防水膜の透湿係数が0.08g/m2 h・mmHg程度であるので、上記の防水膜施工方法により形成されたマイナスイオン発生防水膜1Aは、高い透湿性(水蒸気透過性)を有していることが分かる。
【0077】
さらに、本発明のマイナスイオン発生防水膜1Aは、塗布形成後、1ヶ月経過した後においても、マイナスイオン発生能が低下しないことが分かる。
【0078】
次に、実施例5のマイナスイオン発生防水膜1A(マイナスイオン発生粉末2の防水膜1A中への添加量:10質量%)の上にガラス板やゴムシートを重ね、その上でのマイナスイオンの発生個数を測定した。その結果を、表2に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
表2から分かるように、マイナスイオン発生防水膜1Aの上にガラス板やゴムシートを重ねると、マイナスイオンの発生個数の発生個数が大幅に低下する。このことは、マイナスイオン発生防水膜1Aで発生したマイナスイオンが、ガラス板やゴムシートによりその放散流路が塞がれ、ガラス板やゴムシートの上にまで透過してこないことを示している。このことは、マイナスイオン発生防水膜1A内においては、マイナスイオンの流路が確保されていること、すなわち、上述の連通孔3が流路の役割を果たしていることを意味している。
【0081】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る、マイナスイオン発生能を有する防水膜の上にトップコートを積層形成したマイナスイオン発生防水膜について、図5に基づき説明する。図5は、実施の形態2に係る防水膜(マイナスイオン発生防水膜1B)の構造を概念的に説明するための斜視図である。
【0082】
本実施の形態2に係るマイナスイオン発生防水膜1Bは、図5に示されるように、上記の実施の形態1で示した実施例2のマイナスイオン発生防水膜1A(マイナスイオン発生粉末2の防水膜1A中への添加量:3質量%)の上にマイナスイオン発生能を有さない防水膜C(第2の防水膜)やトップコートD(保護膜)を積層形成したものである。
【0083】
マイナスイオン発生能を有さない防水膜Cを形成するための塗膜形成組成物として、高速硬化ウレタン系樹脂主剤とマイナスイオン発生粉末を含まないイソシアネート系硬化剤からなるもの((株)カワタ製のジェットスプレーJS)を用い、トップコートDを形成するための塗膜形成組成物として、高速硬化アクリルウレタン系樹脂主剤とマイナスイオン発生粉末を含まないイソシアネート系硬化剤からなるもの((株)カワタ製のジェットスプレーJT)を用いた。
【0084】
実施例7のマイナスイオン発生防水膜1Bは、実施例2のマイナスイオン発生防水膜1Aの上に、上記の防水膜施工装置10を用いた防水膜施工方法により、マイナスイオン発生能を有さない防水膜C(膜厚:2mm)を積層形成したものであり、実施例8のマイナスイオン発生防水膜1Bは、実施例7のマイナスイオン発生防水膜1Bの上に、さらに、上記の防水膜施工装置10を用いた防水膜施工方法により、マイナスイオン発生能を有さないトップコートD(膜厚:2mm)を積層形成したものである。なお、マイナスイオン発生防水膜1Bにおいて積層形成されるトップコートは、マイナスイオン発生防水膜1Bの耐久性、耐候性を向上させるための保護膜として機能するものである。
【0085】
また、実施例7および実施例8のマイナスイオン発生防水膜1Bとの比較のため、塗膜形成組成物として、手塗り用のウレタン系樹脂主剤(高速硬化性でないもの)とイソシアネート系硬化剤とからなる塗膜形成組成物(新東洋合成(株)製のパネコートLE2)を用い、実施例2のマイナスイオン発生防水膜1Aの上に手塗りウレタン塗膜E(膜厚:2mm)を積層形成した比較例2の防水膜も準備した。
【0086】
これらの実施例7、8のマイナスイオン発生防水膜1Bと、比較例2の防水膜上においてマイナスイオン発生個数を測定した結果を、実施例2のマイナスイオン発生防水膜1Aでの測定結果と併せて、表3に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
表3から分かるように、実施例7、8のマイナスイオン発生防水膜1B上でのマイナスイオン発生個数は、実施例2のマイナスイオン発生防水膜1A上で測定された個数よりも少なくなっているが、実際にマイナスイオン効果が現れるマイナスイオンの発生個数が200個/cm3 程度以上であることから、なお十分なマイナスイオン発生能を有しているといえる。
【0089】
また、実施例7、8のマイナスイオン発生防水膜1B上で測定されたマイナスイオンの発生個数は、前出の表2で示した、ガラス板やゴムマット上で測定された発生個数よりはるかに多く、これに対して、比較例2の手塗りウレタン塗膜Eを積層形成した防水膜上で測定されたマイナスイオンの発生個数は、ガラス板やゴムマット上で測定された発生個数と同程度の少ないものであった。このことは、実施例7、8で形成されたマイナスイオン発生能を有さない防水膜CやトップコートDが、上記の防水膜施工装置10を用いた防水膜施工方法により形成されたことで、マイナスイオンを透過する流路が確保されていること、すなわち、これらの膜C、Dに形成された連通孔3が流路の役割を果たしていることを意味している。
【0090】
以上、実施の形態1,2に示したように、マイナスイオン発生粉末2を含む塗膜形成組成物を用い、本発明に係る防水膜施工方法により形成されたマイナスイオン発生防水膜1は、高い水蒸気透過性とともに、優れたマイナスイオン発生能を有している。
【0091】
上記の実施の形態1では、マイナスイオン発生粉末2を主剤32に添加しており、この添加量が少量であっても、高いマイナスイオン発生能を発現させることができる。ただ、余り多く添加しても、マイナスイオン発生能の発現効果は添加量の増加とともに増大するが、主剤32中でのマイナスイオン発生粉末2の分散性が悪くなり、塗着後の硬化にムラが生じるなどして、形成されるマイナスイオン発生膜1の物性値(特に、塗膜強度)が低下するので、マイナスイオン発生粉末2の主剤32への添加量は20質量%以下(マイナスイオン発生膜1への添加量として10質量%以下)に設定されるのが望ましい。
【0092】
また、マイナスイオン発生粉末2を主剤32に添加しているが、マイナスイオン発生粉末2を硬化剤42に添加してもよい。また、マイナスイオン発生粉末2を主剤32および硬化剤42の双方に添加してもよい。このように主剤32および硬化剤42の双方にマイナスイオン発生粉末2を添加すれば、マイナスイオン発生粉末2の添加量が多くなった場合でも、上記のようなマイナスイオン発生膜1の物性値の低下を抑制することができる。また、このようなマイナスイオン発生粉末2の主剤32、硬化剤42への添加量は、マイナスイオン発生粉末2そのもののマイナスイオン発生能や防水膜施工時の諸条件(マイナスイオン発生防水膜1の膜厚やトップコート4などの積層構造)により影響されるため、マイナスイオン発生防水膜1からのマイナスイオン発生個数(例えば、トップコート4が積層形成された状態での所望の発生個数)を勘案して適宜設定されるのが望ましい。マイナスイオンによる環境改善効果を得るための所望のマイナスイオン発生個数として、200個/cm3 程度以上に設定されるのが好ましい。
【0093】
本発明に係る防水膜施工方法により形成されたマイナスイオン発生防水膜1は、高い水蒸気透過性を備えることから、上述したように、マイナスイオン発生防水膜1中に三次元的に連通する連通路3(空孔)が形成され、この連通路3を介してマイナスイオンが大気中に放散されるものである。したがって、例えば、表2に示されるように、三次元的な連通路を持たない物質(ガラス板やゴムマット)で覆った場合や、表3に示されるように、三次元的な連通路を持たない手塗りウレタン防水膜で覆った場合に、マイナスイオン発生能が極端に損なわれる事例を見ても分かるように、高いマイナスイオン発生能を発現させるためには、マイナスイオン発生防水膜1自体が高い水蒸気透過性を有することが重要である。
【0094】
また、このような高い水蒸気透過性が得られるのは、本発明に係る防水膜施工方法のように、高速硬化性の主剤32と硬化剤42からなる塗膜形成組成物を用いて、ノズル18から圧縮空気の流れに乗せて噴射させてマイナスイオン発生防水膜1を形成することにより、上記のような三次元的な連通路3が形成されることに由来するものである。したがって、高速硬化ウレタン樹脂主剤32とその硬化剤42およびマイナスイオン発生粉末2を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せてノズル18から噴射させる、本発明に係る防水膜施工方法が、高いマイナスイオン発生能を有するマイナスイオン発生防水膜1を形成するために有効であると言える。
【0095】
上記の実施の形態1、2では、マイナスイオン発生粉末2として石英斑岩(貴宝石)の粉末を用いたが、風化造礁サンゴの粉末を用いてもよい。風化造礁サンゴは、サンゴ虫の集合体である造礁サンゴが波の作用で砕かれて海底に堆積したものであり、炭酸カルシウムを主成分としてマグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラル成分を含み、多孔質で、トルマリンをはるかに凌ぐマイナスイオンを発生することが確認されている。貴宝石や風化造礁サンゴは、有害な放射性物質を含まず、いずれも高いマイナスイオン発生能を有することから有用であり、これらのマイナスイオン発生粉末2を用いて形成されたマイナスイオン発生防水膜1は、人体に悪影響を与えることなく、環境改善機能を発揮することができる。すなわち、マイナスイオン発生防水膜1は、プラスイオン化した空気中の有害微粒子を減少させ、あるいは分解するとともに、マイナスイオン発生防水膜1の形成された屋上やプールサイドなどに居る人に対して、新陳代謝の活性化、血液や細胞の活性・還元化、疲労回復、内臓疾患、美肌効果、自律神経の安定(リラックス効果)、免疫力の快復あるいは身体の弱アルカリ化等に極めて優れた作用を発現することができる。
【0096】
また、石英斑岩(貴宝石)や風化造礁サンゴは、いずれも高いマイナスイオン発生能を有することから、トルマリンほどに微細な粉末でなくても、マイナスイオン発生防水膜1中に均一に分散させたとき、高いマイナスイオン発生能を発現させることができ、マイナスイオン発生粉末2の平均粒径は特に限定されるものではなく、通常に入手できるものを使用すればよいが、平均粒径が0.1〜100μmの範囲にあるものが好ましい。平均粒径が0.1μm未満にするためには、粉砕するのにコストがかかり、また、平均粒径が100μmを超えると、噴出機11に損傷を与える可能性があるため、望ましくない。
【0097】
さらに、マイナスイオン発生粉末2の平均粒径が1〜20μmの範囲にあれば、より好適である。このような粒径範囲にあれば、マイナスイオン発生粉末2を主剤32中に投入して、攪拌混合した後に、マイナスイオン発生粉末2が主剤32中に均質に分散し、その結果、マイナスイオン発生粉末2がマイナスイオン発生防水膜1中においても均質に分散されるため、マイナスイオン発生防水膜1に均質で高いマイナスイオン発生能を発現させることができる。なお、マイナスイオン発生粉末2を主剤32中に投入する前に、粒径0.5mm以上の粗粒を除去するのが望ましい。粒径0.5mm以上の粗粒は、主剤32中で攪拌混合した後、あるいは主剤32を主剤容器31に収容した後、しばらく経過すると、底部に沈降しやすく、マイナスイオン発生防水膜1中における均質分散性が損なわれることになる。
【0098】
さらに、上記の実施の形態1、2では、マイナスイオン発生防水膜1の膜厚を2mmとしたが、マイナスイオン発生防水膜1の膜厚は施工対象となる被塗布物の用途や防水膜に求められる性能に応じて適宜設定されればよく、マイナスイオン発生防水膜1の膜厚(保護膜の膜厚を除く)が1mm以上であれば、このマイナスイオン発生防水膜1中に適度な量のマイナスイオン発生粉末2(単位面積当たりの粉末量)を均一に分散させることができ、用途に適応した高いマイナスイオン発生能を発現させることができる。
【0099】
また、上記の実施の形態2で示したように、マイナスイオン発生防水膜1の上にマイナスイオン発生能を有さない第2の防水膜Cや保護膜D(トップコート4)を積層形成してもよい。この場合にあっても、上述したように、マイナスイオン発生防水膜1の上に積層形成される第2の防水膜Cや保護膜Dが高い水蒸気透過性を有することが重要である。このような水蒸気透過性を有する第2の防水膜Cや保護膜Dが積層形成されたマイナスイオン発生防水膜1では、マイナスイオン発生防水膜1中のマイナスイオン発生粉末2で発生したマイナスイオンが、水蒸気透過性を有する第2の防水膜や保護膜に形成された空孔(連通孔3)を介して第2の防水膜Cや保護膜D中を透過し、大気中に放散されるため、第2の防水膜Cや保護膜Dが積層形成されたマイナスイオン発生防水膜1は高いマイナスイオン発生能を有することになる。しかも、保護膜Dは、耐久性、耐候性に優れるため、マイナスイオン発生防水膜1の表面を保護して、長期間にわたって高いマイナスイオン発生能を維持することができる。
【0100】
また、上記の実施の形態1では、被塗布面6上にマイナスイオン発生防水膜1が形成され、また、上記の実施の形態2では、被塗布面6上に形成されたマイナスイオン発生防水膜1の上にマイナスイオン発生能を有さない第2の防水膜Cや保護膜Dが積層形成される例を示したが、以下のような積層形態を採ることも可能である。
1)被塗布面6上にマイナスイオン発生能を有さず、水蒸気透過性を有する第3の防水膜Fが形成され、さらに、この防水膜Fの上にマイナスイオン発生防水膜1が形成される。
2)上記1)のマイナスイオン発生防水膜1の上に、さらに、マイナスイオン発生能を有さない防水膜Cや保護膜Dが形成される。
【0101】
また、上記の実施の形態1、2に示された積層形態や、上記1)、2)に示された積層形態において、マイナスイオン発生防水膜1ならびに第2、第3の防水膜C、Fの層数は、1層に限定されるものではなく、複数層であってもよく、層数およびそれらの膜厚は、所要の防水性能に応じて適宜設定されればよい。なお、マイナスイオン発生防水膜1は、このように積層形成される防水膜の中で、できるだけ表面側(保護層が積層形成される場合には、その直下位置)に位置するような積層形態を採る方が、マイナスイオン発生粉末2で発生したマイナスイオンを効率的に大気中に放散させることができ、望ましい。
【0102】
なお、上記の実施の形態2では、マイナスイオン発生防水膜1の上に保護膜を積層形成するのに、塗膜形成組成物としての主剤32に高速硬化アクリルウレタン系樹脂主剤を用い、硬化剤42にイソシアネート系硬化剤を用いたが、塗膜形成組成物はこれらに限定されず、施工対象となる被施工物5の用途やマイナスイオン発生防水膜1や保護膜に求められる性能に応じて、他の主剤やこれに対応した他の硬化剤を用いてもよい。
【0103】
また、マイナスイオン発生粉末2を予め主剤32に添加したものを防水膜施工装置10の噴射機11に供給しているが、さらに、このような防水膜施工方法ではなく、主剤容器31や硬化剤容器41の他に、マイナスイオン発生粉末収容容器を備え、このマイナスイオン発生粉末収容容器にマイナスイオン発生粉末2を収容し、マイナスイオン発生粉末収容容器に収容されたマイナスイオン発生粉末2を粉末供給量制御機構を介して圧縮エアの流れに導入して、ノズル18から混合液12と共に圧縮エアに乗せて噴出させ、被塗布面6に吹き付けることによりマイナスイオン発生粉末2の混じったマイナスイオン発生防水膜1を形成する防水膜施工方法を適用してもよい。ただ、このような防水膜施工方法に用いられる防水膜施工装置は、マイナスイオン発生粉末収容容器や粉末供給量制御機構といった構成要素を備えなければならず、設備費用も高くなる。マイナスイオン発生粉末2を予め主剤32や硬化剤42に添加しておく本発明に係る防水膜施工方法によれば、マイナスイオン発生粉末収容容器や粉末供給量制御機構を特に設ける必要がなく、設備費用を低減でき、作業現場での作業性も向上させることができ、しかも、マイナスイオン発生粉末2が均質に分散された高品質なマイナスイオン発生防水膜1を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、コンクリートビルにおける屋上庭園や屋上駐車場、産業廃棄物処理場、あるいはプールや貯水路の底壁などの被施工物の表面にマイナスイオン発生防水膜を形成するのに有用に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る防水膜施工方法に用いる防水膜施工装置の構成を説明するための装置構成図である。
【図2】本発明に係る防水膜施工方法に用いる防水膜施工装置の制御機構を説明するためのブロック構成図である。
【図3】本発明に係る防水膜施工方法に用いる防水膜施工装置の噴出機を説明するための一部を切り欠いて示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る防水膜(マイナスイオン発生防水膜1A)の構造を概念的に説明するための(a)は斜視図であり、(b)は模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る防水膜(マイナスイオン発生防水膜1B)の構造を概念的に説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
1 マイナスイオン発生防水膜
2 マイナスイオン発生粉末
3 トップコート(保護膜)
10 防水膜施工装置
11 噴出機
14 スタティック混合部
15 スクリューガイド
16 外筒
18 ノズル
18a 噴出口
26 エア流路
31 主剤容器
32 高速硬化ウレタン樹脂主剤
41 硬化剤容器
42 硬化剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させて形成され、マイナスイオン発生能と水蒸気透過性を有することを特徴とする防水膜。
【請求項2】
前記マイナスイオン発生粉末が、マイナスイオン発生能を有する石英斑岩粉末または風化造礁サンゴ粉末であることを特徴とする請求項1に記載の防水膜。
【請求項3】
前記マイナスイオン発生粉末が、前記塗膜形成組成物中に10質量%以下含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の防水膜。
【請求項4】
前記マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水膜。
【請求項5】
前記防水膜の膜厚が、1mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の防水膜。
【請求項6】
前記防水膜の上に、マイナスイオン発生能を有さず、水蒸気透過性を有する第2の防水膜が積層形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防水膜。
【請求項7】
前記防水膜の上に、耐久性、耐候性に優れ、水蒸気透過性を有する保護膜が積層形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防水膜。
【請求項8】
前記マイナスイオン発生能を有さない第2の防水膜の上に、耐久性、耐候性に優れ、水蒸気透過性を有する保護膜が積層形成されることを特徴とする請求項6に記載の防水膜。
【請求項9】
高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物を圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させて、防水膜を形成することを特徴とする防水膜施工方法。
【請求項10】
高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含む塗膜形成組成物をスクリューガイドで形成されるスタティック混合部に圧送し、これらをスタティック混合部で混合した後、この混合組成物をスタティック混合部の流出口においてスタティック混合部とこれを覆う外筒との間に形成されるエア流路を流れてくる圧縮空気の流れに乗せて噴射ノズルから噴射させ、被施工物に吹き付けてその表面に防水膜を形成することを特徴とする防水膜施工方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の防水膜、あるいは請求項9または10に記載の防水膜施工方法に用いられる塗膜形成組成物であって、
高速硬化ウレタン樹脂主剤とその硬化剤およびマイナスイオン発生粉末を含むことを特徴とする塗膜形成組成物。
【請求項12】
前記マイナスイオン発生粉末が、マイナスイオン発生能を有する石英斑岩粉末または風化造礁サンゴ粉末であることを特徴とする請求項11に記載の塗膜形成組成物。
【請求項13】
前記マイナスイオン発生粉末が、前記塗膜形成組成物中に10質量%以下含まれることを特徴とする請求項11または12に記載の塗膜形成組成物。
【請求項14】
前記マイナスイオン発生粉末の平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の塗膜形成組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−11954(P2009−11954A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177702(P2007−177702)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(501192406)株式会社カワタ (7)
【Fターム(参考)】