説明

防火機能付き家具及び調度品。

【課題】家屋室内からの発火による火災事故で、居室等の内装建材で防火処理義務箇所は限られており、一端火災発生の場合には急速に燃焼し、消防活動の余裕も無く延焼し、特に夜間等では避難する余裕すら無く、人命までも失われる要因は、単なる建材燃焼だけで無く、室内設置可燃物であるクロ−ゼット、洋服箪笥、茶箪笥、テ−ブル等々の家具及び調度品が火炎促進燃焼材となっている。
【解決手段】 昨今の技術進歩で家具及び調度品素材の領域が新建材的な燃え安い素材に変化しているが、これらの素材の難燃化或は不燃化に移行することによって、仮に、火災時に逃げ遅れても消防活動開始時点で救助も可能であり、当然ながら家具及び調度品素材を防火対応処理して使用製作し、企業の社会的責任の一端を担うべきでもあり、社会貢献にもつながる事は明白である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種陳列棚、書類棚、本棚、机、椅子、応接セット、箪笥、鏡台、台所流し台、吊り戸棚、茶箪笥、飾り棚、テ−ブル、電気機器設置台、等々の建築本体を除く、家具及び調度品類を言い、あらゆる執務或は居住空間で、建築本体の内外装を除く、全てを包括する家具及び調度品の、難燃、準不燃又は不燃化によって、震災やその他の要因による火災に対して可燃物を極限まで着火防御して消化可能時間を延長し、ひいては居住者の避難時間を確保する、耐火機能付き家具及び調度品である。
【背景技術】
【0002】
従来の全ての家具調度品は可燃材による構成物であり、火災時の燃焼増進による人身障害は殆どが、短時間で室内設置の家具の延焼によって火炎が拡大し、一酸化炭素や火炎温度によって健常者人命まで失われ、ましてや動作緩慢な身障者や老人、及び乳幼児迄致命傷をうけ、建築素材の可燃物もさる事ながら、可燃の家具及び調度品による燃焼加速が全ての面で命取りとなっている。
【0003】
その最大の要因は、法条例によって耐熱素材使用で規制されている耐熱部位は外壁と台所のキッチンガスレンジ周辺の一部に限られ、長年に渡って火災人身事故継続の今日でも、法条例に反しないと言うことから、建築及び家具メ−カ−は可燃素材の使用で、単なるデザインの追求にしか意を投じていない。
【発明の開示】
【0004】
従来の家具及び調度品素材のなかで、難燃、準不燃、又は不燃の処理素材を使用した家具及び調度品類は一切見当たらない。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家具及び調度品素材の殆どが木質系であるが、現状の技術革新で、樹木粉によるパ−チクルボ−ド、ハ−ドボ−ド、或はMDF、中には植物繊維集合やシュレッダ−経由の古紙素材によるリサイクルボ−ド等々種々存在している。
【0006】
その多くは、建築材料としての開発であるが、家具及び調度品素材の殆どが、同類の素材を使用しているのが現状である。
【0007】
現状の日常生活で使用している、単なるデザインのみでの家具及び調度品の販売は、形状から一端火災発生の場合の家具及び調度品素材の耐熱温度は低く、特に、家具の特徴とも言える収納空洞や椅子、テ−ブルのごとく、板状で両面が熱空間にさらされており、可燃物である為に燃焼速度も早く、それだけに避難や人命救助の時間的猶予性が無く、危険性が増大している。
【0008】
当然ながら、建築内装素材の防火対策が必要な事は言うまでも無いが、現状の法条例による建築による安全内装素材の使用を望む事は、建築業界の責務であるが、同時に居住或は生活空間に必需品である家具及び調度品素材の火災に対する安全性の追求は家具及び調度品製造企業の責務である。
【0009】
家具及び調度品素材は、本来の樹木から樹木粉やその他有機物の混合加圧成型品では、固形化する為のバインダ−接着材の種類によっては、燃焼も早く、又燃焼ガスに有害物質が含まれることもあり要注意である。
【0010】
家具及び調度品素材を難燃、準不燃、又は不燃に加工すれば、その表面に塗布する化粧仕上げ塗料の物性が不燃塗料塗装なら言うことはないが、現在の化粧仕上げ塗料の全てが可燃塗料であり、容易に着火はするが、家具及び調度品素材が防火処理されておれば、火災促進的家具になる危険性は少ない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各種の家具及び調度品の加工素材の種類は、種々開発拡大存在し、家具及び調度品製造原価との関係もあって安価の方向に進展しており、その為にバインダ−接着剤等の使用薬品種類も増大し、又設置環境から難燃、準不燃、或は不燃の度合い変化もあり、その各処理剤の種別選択においては、種々の難燃、準不燃、及び不燃処理剤の成分開発の必要性から、下部及び調度品素材の種類毎対応した、各種処理剤を開発保有した。
【0012】
難燃、準不燃、或は不燃の各処理剤が容易に塗布含浸可能な家具調度品素材の場合は、加工前の素材の段階で処理が出来る。
【0013】
しかし、厚手や硬質の木材等の素材の場合は、家具又は調度品素材の商品的彫刻、旋削加工後の商品表面に、難燃、準不燃、又は不燃の処理をする事で、製品の表面処理が均等になり、耐熱効果が全面で均等になる。
【0014】
液体の難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤等での材料処理をする場合、時には、処理後の素材の乾燥に時間をかけて、製造した後の家具又は調度品の収縮ひずみを防止する為、継続的な精度維持を図る為に時間をかけて乾燥処理をすることもある。
【発明の効果】
【0015】
全ての商品が機能性を追求する中で、家具調度品だけがデザインにのみ終始している現状から、特に大震災発生予想迄出ている現在、地震揺れによる家具、調度品の倒壊予防にのみ終始しており、火災燃焼助燃材ともなる家具及び調度品素材の火災に対する対応論議が全く無い現状を再考する必要がある。
【0016】
もし、火災発生の場合、家具及び調度品が燃えなかった場合を想定すれば、或る瞬間でも、火炎圧を家具の影でしのぐことも可能であり、人命救助も可能な場合もあり得る。
【0017】
仮に、建築素材で居住区域内を難燃、準不燃、不燃化しても、超可燃物とも言える家具の存在は危険であり、この家具調度品の不燃処理は日時を待たずに入るべき時期であり、家具調度品の製造社は、人身保護の社会的責任と企業イメ−ジアップの為にも、防火機能付きの家具及び調度品素材で製作すべきである。
【0018】
又、家具及び調度品素材の難燃、準不燃、不燃の処理によって、現在のデザインと使用上の便利性が損なわれることも無く、製品製造販売にワンポイントの安全機能性を加えれば企業メリットも増大する。
【0019】
特に、老人介護や、グル−プホ−ムズのような施設で、家屋室内建築材に耐火素材を使用し、自動散水装置の規制が生まれても、家屋構成材以外の家具及び調度品素材の難燃、準不燃、不燃の処理が浸透すれば、今後の団塊の世代の老人急増も目前に来ており、生活周辺環境の安全化が一新し、社会的に大きな安全効果が現れる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0020】
「請求項1」は、家具及び調度品素材(1)が各種素材にまたがっている現状を考慮したものであるが、特に肉厚の木材(2)を、深掘りの彫刻或は旋削して製作する場合に、加工前の厚板材や柱材に不燃材を塗布含浸又は加圧含浸させても、加工前素材形状での表面から均等に含浸する為に、加工による凹凸彫刻や旋削の深度で、難燃度、準不燃度、又は不燃度の部分的効果の濃淡が生じる家具及び調度品素材(1)もあるが、その場合、厚板材や柱材の加工前の素材に難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)で防火処理をする場合、或る一面に均等間隔で深部まで孔開けをして加圧含浸処理をすればよい。
【0021】
この場合、彫刻や旋削加工後の前に、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)で防火処理をしても家具又は調度品素材(1)の表面防火機能の均等効果が可能である。
【0022】
軽度の防火機能処理のみの場合には、表面塗布含浸でも良いが、防火性能の高度化を要する場合には、その処理効果をあげる場合には、その度合いに応じた圧力と時間の加圧含浸の必要がある。
【0023】
加圧含浸に必要な圧力は、加圧時間を30分とした場合で、黒檀、紫檀、チ−ク、樫等の固い樹木等の含浸は僅かしか含浸しないが、これらの硬質樹木は火災時に、着火燃焼しにくい性質がある。
【0024】
又、逆に桐素材や同質の南洋材は含浸浸透しやすく、効果は浸潤だけで十分の場合が多い。
【0025】
次に各種廃材を加工して接着剤で結合する、つき合わせ板(3)の場合は、一定の厚板が多く、樹木種類によって硬度が代わり難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤を塗布してもよい場合と、加圧含浸しなければ浸潤しない固い樹木材も有る。
【0026】
つき合わせ板の場合も、パ−チクルボ−ド、ベヤ板等と同様で、加工前に難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)等の各処理剤を含浸させてから、つき合わせ加工をする場合と、つき合わせ加工済みの板に、含浸する場合の両方法が有るが、つき合わせ板は接着剤によって強度を出している板や柱の為に、接着剤との相互関係をにらんだ各処理加工となり得る。
【0027】
加圧含浸方法でも、圧力槽(21)の上部空間空気層に。加圧空気を送る気体加圧方式と、液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、難燃処理剤(15)の各処理剤自体を加圧する液状加圧方式の二通りがあるが、後者の液状加圧方式がよい。
【0028】
又、家具調度品素材(1)に、つき合わせ板(3)パ−チクルボ−ド(4)、ハ−ドボ−ド(5)、MDF(6),ベニヤ板合板(7)、各種リサイクル木材のつき重ね板(8)、植物繊維板(9)、パルプ紙加工板(10)のような新建材の場合、バインダ−接着剤による圧密成型であり、板状成型や柱形状他、各種成型前のバラバラの素材の段階に、固体の、例えば粉末の、又は液状の、難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の各種処理剤をブレンディング、又は塗布含浸して、その元素材を従来の設備機器で成型加工するのが最良であり、各種の新建材の製造社は製造する段階からこの方法を踏襲すべきである。
【0029】
しかし、パ−チクルボ−ド(4)のような新建材を各種素材から製造している家具及び調度品製造社はなく、新建材製造社から購入して使用せざるを得ず、従って家具及び調度品素材、それ自体への難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の各処理をせざるを得ないのが現状である。
【0030】
パ−チクルボ−ド(4)の厚みが厚い場合、厚み芯部が、大きな塊状木くずで構成されていて、空洞に近い厚みのある合には、加圧含浸方法でも、圧力槽(21)の上部空間空気層に気体加圧するものと、液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、難燃処理剤(15)の各処理剤自体の液状加圧の二通りがあるが、気体加圧方式、及び液状加圧方式では、被処理素材の深部にある空気溜まりが、液体の処理剤によって周囲加圧で放出不能で空気溜まりのままになることもあり、その場合には、真空含浸方式を採ることもある。
【0031】
パ−チクルボ−ド(4)の場合、厚みが3mm前後の薄板は、板形成全部位が微細粉の成型であり、それ以上の厚板は、中間材に塊状樹木等の大きな破砕樹木が装填されている為に、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤液中で処理には多少の加圧力と処理時間を要する。
【0032】
しかし、表面は薄手の微細樹木粉で成型されているので、火災の際に、表面炭化移行はあっても、パ−チクルボ−ド(4)自体の発炎燃焼はない。
【0033】
家具の場合には、後面以外にはパ−チクルボ−ド(4)による表面化粧板としては殆ど使用しないが、書類棚や各種用品の収納棚を含む調度品の場合には、表面は木彫樹脂フイルムラミネ−ト貼りで、その他の内部仕切り板や後面等にも使用されるので加圧含浸による完全な加工処理が望ましい。
【0034】
家具及び調度品素材(1)で、横900mm×縦1800mmサイズ、或は1600mm×2400mmで厚手のパ−チクルボ−ド(4)板規格材を、液体の難燃止痢剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)で処理をする場合、表裏面と周囲の切り口からの液体の処理剤浸潤しかなく、含浸に時間がかかることがあり、その場合には、パ−チクルボ−ド(4)の表裏面のどちらからか、一定間隔で、ドリリングによって小穴を貫通又は貫通寸前で止める孔を開けて難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤液中で加圧処理によりその小穴から全面深部全域に処理剤が浸潤し、防火機能の均等化と機能効果向上を図る。
【0035】
ハ−ドボ−ド、MDF板の場合も、パ−チクルボ−ドと全く同様であるが、厚みは3mm前後の素材が多く、家具及び調度品素材には後板程度しか使用されていない。
【0036】
ベニア合板(7)の難燃又は不燃の処理には次の三通りの処理方法がある。
【0037】
一つは、張り合せの前の樹木薄板の段階で、一枚ごとに液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)を塗布含浸又は加圧含浸して乾燥させ、その後で張り合せ工程に入り、製品化する方法である。
【0038】
二つ目は、製品化された後、液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)を浸潤又は加圧含浸する方法であるが、二枚合わせの合板なら、表裏両面から含浸する為に板の深部まで機能性は発揮される。
【0039】
三つ目は、三枚以上の圧密のベニア合板(7)の張り合せが殆だが、この場合、表裏両面から液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の加圧含浸したとしても、表裏面各一層は十分に浸潤するものの、その中側の板材には接着剤によって接合されている為に処理剤浸潤が遮断されて、表裏両面にしか浸潤しない。
【0040】
これを解消してベニア合板(7)の芯迄防火機能を持たせるには、ベニア合板(7)の表裏のどちらからか小穴を適当間隔でドリリングして、反対面に貫通又は貫通寸前で停止する深さで孔開けし、液体の処理剤を加圧含浸することで、内部まで含浸加工が出来、小穴は不燃パテで潰してもよく、そのままでも一向に機能上では差し支えはない。
【0041】
植物繊維板(9)の素材には種々あるが、リサイクル的な砂糖きび搾りかす繊維、とうもろこし茎繊維、樹木茎枝のかんな片や削り板類、中には野菜硬質茎類の乾燥集積圧密板等々があり、目的に合った難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)を塗布含浸が必要である。
【0042】
パルプ紙加工板(10)については、植物繊維板(9)と同様の処理で十分である。
【0043】
クッション等に使われる軟質樹脂成型(11)、そのカバ−等の合成皮革の軟質樹脂成型品では、樹脂成型する段階の加工前に添加するもので、その難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)はいくつかあるが、不燃処理剤(15)は見当たらず、市販品の中から目的に合致した処理材を使用する。
【0044】
価格が低廉な再生PP等の硬質樹脂成型(12)の成型加工前に、添加剤として難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)不燃処理剤(15)を添加して成型すれば、樹脂という素材から不燃処理は不能でも、難燃処理して高温耐熱素材で、十分に効果が有り、火災時にも、延焼増炎の危険性が減少する。
【0045】
上述の、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)不燃処理剤(15)を添加処理して形成することすら困難な自体があるとすれば、家具及び調度品素材が肝炎物のまま製作し、最終段階で不燃塗料をコ−ティングすれば、少なくとも初期火災には十分な発火防止が可能である。
【0046】
各種家具及び調度品素材(1)の、それぞれ素材の処理方法は、前述の通りであるがその加工の方法に用いる加工方法とその装置について記述する。
【0047】
先ず、家具及び調度品素材(1)の、品種毎、素材性質によって、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤を、塗布又は含浸のどちらかの選択で、含浸の場合の通常気圧含浸と加圧含浸の選択、それに真空含浸の方法があり、同時に常温含浸と加熱含浸があるが、そのいずれの処理方法が最善か考察して処理し、火災時にも火炎促進的危険性を防御する。
【0048】
家具及び調度品素材(1)の加工前に、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤で加工する場合と、家具及び調度品素材(1)の加工後に同上処理剤で加工する場合の二つに分かれるが、家具及び調度品素材(1)の加工前は素材である為に容積が小さいが、後者の加工成型後時点での防火処理は、家具及び調度品の完成姿が立体的で容積をとる事と、塗布するには狭隘な部位がある為に、小型の家具及び調度品素材にしか行われにくい。
【0049】
実施例では、家具及び調度品素材(1)の通常気圧含浸の場合は、それなりの大きさの圧力槽(21)に液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各液体のいずれかの処理剤を充填して、家具及び調度品素材(1)を液中に沈ませて時間経過すればよく、浸潤時間は材質や厚みによって長短がかわるが、素材表面の防火機能付与程度ならば、浸潤させて間もなく撤去も可能であった。
【0050】
それ以外の加圧含浸の場合、実施例では、含浸処理装置(20)として、鋼性の圧力槽(21)に、処理グレ−ドに応じた液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)のいずれかを充填し、その中に家具及び調度品素材(1)を挿入して液中に維持させ、圧力槽蓋(22)を閉鎖して空気圧縮機(23)で加圧する液体の処理剤への加圧法は、圧力槽(21)に加圧空気を送り込み、圧力槽(21)上部位の空気を加圧する方法で実施したが、7kg/cmから10kg/cm未満で30分の加圧継続で効果が十分であった。
【0051】
実施例では、含浸処理装置(20)として、鋼性の圧力槽(21)に液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)のいずれかを目的に応じて充填し、その中に家具及び調度品素材(1)を挿入して処理剤の液中に維持させ、圧力槽蓋(22)を閉鎖して、液体加圧ポンプ(24)で加圧する方法は、処理剤液自体を圧力槽(21)内に充満させて、圧力槽(21)上部位から空気を抜いて膨張率や収縮率が非常に小さい液体だけを加圧する方法で実施したが、これも7kg/cmから10kg/cm未満で30分の加圧継続でより以上の効果があったが、肉厚の家具及び調度品素材(1)には、材質によって圧力を多少上げた実施例では、極端に高圧化すれば、家具及び調度品素材(1)の割れ破壊となったので、素材に対応した圧力設定が必要である。
【0052】
実施例では、含浸処理装置(20)として、鋼性の圧力槽(21)に液体の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)のいずれかを一定量充填し、その中に家具及び調度品素材(1)を挿入して処理剤の液中に維持させ、圧力槽蓋(22)を閉鎖して、真空ポンプ(25)で槽上層部位の空気を抜きとり真空状態で処理する方法は、家具及び調度品素材(1)自体の中にある空気を吸出し、各処理剤液の浸透が容易となる様に試み、好結果が生まれた。
【0053】
これら家具及び調度品素材(1)が発泡軟質樹脂素材(26)、軟質樹脂合成皮革(26)や、再生を含む樹脂成型素材(28)等の樹脂素材の場合は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂、及び発泡樹脂と非発泡樹脂に分かれるが、いずれも、成型加工前に、粉末或はペレット状の、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各処理剤を目的に応じて樹脂に配合添加して成型加工する事が望ましく、その上で必要あれば不燃塗料を塗布すれば防火機能はより以上に充実した。
【0054】
特に、樹脂成型の後、不燃塗料で表面を塗装すれば、900℃バ−ナ−直接噴射炎でも着火せずに火災初期での避難時間には十分な余裕が生じると考察した。
【0055】
各種の樹脂素材には、難燃剤として樹脂性状に合った添加剤が市販されているが、単なる発炎防止程度であり、実用にはそくさない効果の為、別途耐火素材を添加して実施したが、非常に有効な効果が合った。
【0056】
残念ながら樹脂以外の有機物用としての難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)は、繊維製品に臭素系或はそれに近い防炎剤があるが、これは燃焼時点の有害ガス発生で使用に値せず、その他は市販品に適剤が無く、やむを得ず開発せざるを得なかったが、家具及び調度品素材(1)の性状の中で、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)に適合した酸性度の適正選択もあり、それらに合ったものの開発を行ったが、それには粉体等の固体処理剤(17)と液体処理剤(18)の二種があり、粉体は主として化学反応をも考慮に入れた樹脂素材用に、液体はその他の素材の塗布含浸用と不燃塗料用に開発した。
【0057】
次に、家具及び調度品素材(2)で、家具調度品の裏側の背板に多く使用する厚さが薄い2.5mmの、樹木粉をバインダ−接着剤で成型した市販のパ−チクルボ−ド素材を、含浸処理装置(20)の圧力槽(21)内に挿入し、開発済み不燃処理剤(15)の液体処理剤(18)を30分間、6kg/cmの圧縮空気加圧の空気を充填して加圧含浸したものを乾燥、電気炉に装填し、室温から700℃に到達する迄の経過時間を1時間で設定、1時間経過700℃到達後に取り出し検証した過程の、経過時間毎の確認記録及び最終取姿写真、及び同一素材の無処理市販品を同一電気炉に装填して同一条件で試験したが、その効果は目を見張るものであった。
【0058】
これらの防火加工済素材(16)を使用し、「図18」の様に、内部はペ−パ−ハニカム(30)を装填した部屋間仕切の出入り扉の場合は超軽量の防火扉となり、法条例の規制が無い場所でも安全促進野為に大きく役たった。
【0059】
同時に、和室畳の場合、現状の畳床材は昔は藁製品であったが現在は20%迄低下し、殆どが樹脂製品の畳床で構成されているが、この両者共、「図19」のように難燃化、準不燃化、出来れば不燃化することによって、火災事故発生度合いは大きく減少するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】「請求項1」記載の家具及び調度品素材が、木材(2)板の斜視図である。
【図2】「請求項1」記載の家具及び調度品素材が、つき合わせ木材(3)の、接着板成型の斜視図である。
【図3】「請求項1」記載の家具及び調度品素材が、パ−チクルボ−ド(4)薄板成型の斜視図である。
【図4】「請求項1」記載の家具及び調度品素材が、パ−チクルボ−ド(5)厚板成型の斜視図である。
【図5】「請求項1」記載の家具及び調度品素材が、ハ−ドボ−ド(5)成型の斜視図である。
【図6】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、MDF(6)の薄板成型の斜視図である。
【図7】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、ベニヤ合板(7)の厚板で、難燃、準不燃、不燃の各処理液体の板深部含浸用孔あきの、斜視図である。
【図8】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、つき重ね合板(8)の板成型の、斜視図である。
【図9】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、植物繊維板(9)板の斜視図である。
【図10】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、パルプ紙加工板(10)板の斜視図である。
【図11】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、軟質樹脂成型(11)板の、合成皮革成型の斜視図である。
【図12】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、軟質樹脂成型(11)の、クッション用発泡成型の斜視図である。
【図13】「請求項1」記載の家具及び調度品素材の、硬質樹脂成型(11)の、板成型の斜視図である。
【図14】「請求項5」記載の、含浸処理装置で、家具及び調度品素材に、難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の液体の、いずれかの処理剤を空気圧縮機(23)の圧縮空気によって液体含浸させる装置の、斜視図である。
【図15】「請求項5」記載の、含浸処理装置で、家具及び調度品素材に、難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の液体の、いずれかの処理剤を液体加圧ポンプ(24)によって圧力槽内空気を排出し、液体処理剤加圧供給によって含浸させる装置の、斜視図である。
【図16】「請求項5」記載の、含浸処理装置で、家具及び調度品素材に、難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の液体の、いずれかの処理剤を真空ポンプ(25)によって空気を抜き取り、含浸ささせる装置の、斜視図である。
【図17】「請求項5」記載の、含浸処理装置で、形成化された椅子を、難燃処理剤、準不燃処理剤、不燃処理剤の液体の、いずれかの処理剤を空気圧縮機の圧縮空気で、液体含浸させる装置の、斜視図である。
【図18】全ての素材が防火加工済素材で製作された防火扉の、斜視図、一部内部開示の透視図である。
【図19】全ての素材が防火加工済素材で製作された畳の、斜視図、一部内部開示の透視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 家具及び調度品素材
2 木材
3 つき合わせ板
4 パ−チクルボ−ド
5 ハ−ドボ−ド
6 MDF
7 ベニヤ合板
8 つき重ね板
9 植物繊維板
10 パルプ紙加工板
11 軟質樹脂成型
12 硬質樹脂成型
13 難燃処理剤
14 準不燃処理剤
15 不燃処理剤
16 防火加工済素材
17 粉体等の固体処理剤
18 液体処理剤
19 塗料
20 含浸処理装置
21 圧力槽
22 圧力槽蓋
23 空気圧縮機
24 液体加圧ポンプ
25 真空ポンプ
26 発泡軟質樹脂素材
27 軟質樹脂合成皮革
28 再生樹脂成型素材
29 防火扉
30 ペ−パ−ハニカム
31 畳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具及び調度品素材(1)が、木材(2)、つき合わせ木材(3)パ−チクルボ−ド(4)、ハ−ドボ−ド(5)、MDF(6)、ベニヤ合板(7)、つき重ね板(8)、植物繊維板(9)パルプ紙加工板(10)、軟質樹脂成型(11)、硬質樹脂成型(12)の各素材種に、難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)の各目的に応じて、機能ある如何なる処理剤でも、塗布又は含浸して加工した、防火加工済素材(16)の、単独種又は複合種併合でで製作された、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項2】
家具及び調度品素材(1)の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)が、粉体等の固体処理剤(17)の、請求項1記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項3】
家具及び調度品素材(1)の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)が、液体処理剤(18)の、請求項1記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項4】
家具及び調度品素材(1)の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)が、塗料(19)の、請求項1記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項5】
含浸処理装置(20)が、圧力槽(21)に液体処理剤(18)の難燃処理剤(13)、準不燃処理剤(14)、不燃処理剤(15)のいずれかのを充填し、その中に家具及び調度品素材(1)を挿入して液中に維持させ、圧力槽蓋(22)を閉鎖して、空気加圧ポンプ(23)、液体加圧ポンプ(24)、真空ポンプ(25)のいずれかで加圧又は真空にして、家具及び調度品素材(1)の段階で、或は形成組立後の段階で、含浸処理する装置の、請求項1乃記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項6】
クッション等に使われる発泡軟質樹脂素材(26)、そのカバ−等の合成皮革の軟質樹脂合成皮革(27)では、樹脂成型する前の段階での加工前樹脂素材に添加して成型加工するもので、その難燃、準不燃、及び不燃の処理剤にはいくつかあり、目的に合致した処理剤を使用した、請求項1記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項7】
価格が低廉な再生樹脂成型素材(28)の成型加工も、成型加工前に、添加剤として難燃、準不燃、及び不燃の処理剤を添加して成型すれば、樹脂という素材から成型後の防火処理は処理剤の表面付のみで、反復使用摩擦応力で、表面処理塗膜脱落すれば効果が薄れ、火災時には延焼増炎の危険性が生じるので、成型前の樹脂素材に添加して成型した、請求項1乃至3記載の、防火機能付き家具及び調度品。
【請求項8】
本特許請求の範囲における家具及び調度品素材(1)とは、建築基準法に基づく完成建築物の外装材及び内装材で柱、床、内外壁、屋根天井等で固定化されたものを除く、障子、ふすま、扉、壁付き収納棚、畳を含む、人間居住生活空間に装設或は設置使用される構造物素材の総称で、請求項1乃至7記載の、防火機能付き家具及び調度品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−278055(P2007−278055A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133091(P2006−133091)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(591220148)伸洋産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】