説明

防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板

【課題】充分な防眩性及び耐擦傷性を達成し得ると共に、内部ヘーズの制御を容易に行うことのできる防眩性ハードコートフィルム、及び偏光板を提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルムの表面に、(A)(a−1)金属酸化物微粒子、及び(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーを含む活性エネルギー線感応型組成物、並びに(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ(A)成分と(B)成分の屈折率の差が0〜0.5(0を除く)であり、さらに前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム、及びこのハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板に関する。さらに詳しくは、本発明は、金属酸化物微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物と、有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記の活性エネルギー線感応型組成物と有機微粒子との比重差を利用することにより、ハードコート層の内部ヘーズ値を容易にコントロールし得る防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラウン管(CRT)や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)などのディスプレイにおいては、画面に外部から光が入射し、この光が反射して表示画像を見難くすることがあり、特に近年ディスプレイの大型化に伴い、上記問題を解決することが、ますます重要な課題となってきている。この問題を解決する手段の一つとして防眩性ハードコート層を有する部材を用いることが挙げられる。そして該防眩性ハードコート層の形成手法は、(1)ハードコート層を形成するための硬化時に物理的手法で表面を粗面化する方法、(2)ハードコート層形成用のハードコート剤にフィラーを混入する方法、(3)ハードコート層形成用のハードコート剤に非相溶な2成分を混入し、それらの相分離を利用した方法、の3種類に大別することができる。これらはいずれも表面に微細凹凸を形成することにより、外光の正反射を抑え、蛍光灯などの外光の写り込みを防止している。これらの中でも(2)のハードコート剤にフィラーを混入する方法が主流である。フィラーとしては元来シリカに代表される無機微粒子を用いるのが一般的であった。シリカ粒子が使用される理由としては、得られたハードコートフィルムの白色度を低く抑えることができる上、硬化不足による耐擦傷性の低下をもたらさないことなどが挙げられる。
【0003】
一方、透明基板上に、屈折率1.40〜1.60の樹脂ビーズと電離放射線硬化型組成物から構成される防眩層が形成された防眩性フィルムが提案されている。例えば、特許文献1では、防眩性を発現する凹凸を形成するために塗膜の膜厚以上の粒径の有機フィラーによる防眩性フィルムが提案されているが、防眩性を高めるために凹凸を大きくするとヘーズ値が上昇し、透過鮮明度が下がるという問題があった。それを改善するために、特許文献2では、防眩性を発現する凹凸形成用の塗膜の膜厚以上の粒径の有機フィラー添加量を低減し、塗膜の膜厚以下の粒径の有機フィラーを添加することで、バランスのとれた防眩性フィルムを作製することが提案されている。
しかしながら、実際には上記のような方法では光学物性的なバランスをとることはできても、使用微粒子の粒径のばらつきにより、凹凸が存在しない箇所が現れ、全面で防眩性が得られなくなる。また、膜厚による外部ヘーズ値の変動が大きいことにより安定生産性に劣るという問題があった。また、これらの系は膜厚が微粒子のサイズによって決定され、表面硬度のような膜厚によってその性能が変わる物性の調整が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−18706号公報
【特許文献2】特許第3515401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1及び2が有する問題に対処するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、活性エネルギー線感応型組成物と該組成物に対して特定の比重差を有する有機微粒子とを含有するハードコート層形成材料を用いてハードコート層を形成し、かつその厚さを、前記有機微粒子の粒径よりも大きくすることにより、上記問題を解決し得ることを見出し、先に特許を出願した(特願2008−268192号明細書)。
【0006】
この技術は、防眩性の程度及び十分な表面硬度を達成することができる優れた技術であるが、使用微粒子の種類によっては「ぎらつき」とよばれる現象を回避することが困難であることが分かった。ここで、「ぎらつき」とは、防眩性フィルムの表面凹凸それぞれに基づくレンズ効果により、画素に見かけ上の歪みを生じさせ、輝度ばらつきと解像度低下を生じさせる現象である。例えばLCDのブラックマトリックスと防眩性フィルムの表面凹凸が干渉することにより発生する画面のちらつきであり、これを抑制するには、ブラックマトリックスと表面凹凸の間に光拡散層を設けることが有効である。光拡散の程度は内部ヘーズ値に依存し、内部ヘーズは活性エネルギー線感応型組成物と屈折率の異なる微粒子を導入することにより発現可能である。内部ヘーズ値を上昇させるためには、(1)該微粒子の添加量を多くする、(2)使用する該微粒子を変更することにより、該微粒子と活性エネルギー線感応型組成物の屈折率差の大きいものに変更する、(3)活性エネルギー線感応型組成物を変更することにより、該微粒子と活性エネルギー線感応型組成物の屈折率差の大きいものに変更する、の3点が考えられる。しかし、上記(1)の方法を用いた場合、微粒子の分散不足に起因する微粒子の凝集による欠点が発生しやすく、(2)の方法を用いた場合、選定した微粒子が活性エネルギー線感応型組成物との親和性が必ずしも良くない場合があり、やはり分散不良による欠点が発生することが多い。
本発明は、このような状況下になされたもので、前記の特願2008−268192号明細書の技術を利用して、充分な防眩性及び耐擦傷性を達成すると共に、上記(3)の方法を用いて、内部ヘーズの制御を容易に行うことのできる防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属酸化物微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物と、有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記の活性エネルギー線感応型組成物の比重が、前記有機微粒子の比重よりも0.25以上大きく、かつ前記ハードコート層の厚さが、前記有機微粒子の平均粒径よりも大きい防眩性ハードコートフィルムにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]透明プラスチックフィルムの表面に、(A)(a−1)金属酸化物微粒子、及び(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーを含む活性エネルギー線感応型組成物、並びに(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ(A)成分と(B)成分の屈折率の差が0〜0.5(0を除く)であり、さらに前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム、
[2](a−1)金属酸化物微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有する、上記[1]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[3](a−1)金属酸化物微粒子が高屈折率微粒子である、上記[1]又は[2]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[4](A)成分が、さらに、(a−3)シリカ微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物である、上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[5](a−3)シリカ微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有する、上記[4]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[6]ハードコート層上に、さらに低屈折率層を積層してなる上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[7]透明プラスチックフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、粘着剤層を積層してなる上記[1]〜[6]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[8]透明プラスチックフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、別のハードコート層を積層してなる上記[1]〜[6]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、及び
[9]上記[1]〜[7]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、以下に示す効果を奏する。
(1)透明プラスチックフィルムの表面に形成されたハードコート層に含まれる(A)活性エネルギー線感応型組成物と、(B)有機微粒子の比重差を、25℃において0.25以上とすることにより、ハードコート層中の微粒子がハードコート層表面付近に集まり微粒子平均粒径以上の膜厚においても外部ヘーズ(表面凹凸)を発生させることができる。
(2)(A)成分と(B)成分の屈折率の差を0〜0.5(0を除く)として、さらに(A)中の(a−1)金属酸化物微粒子と、(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマー、との成分比をコントロールすることにより内部ヘーズ値を容易にコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】偏光板の1例の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の偏光板の1例の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に設けられるハードコート層の形成に、下記の組成を有するハードコート層形成材料が用いられる。
[ハードコート層形成材料]
本発明におけるハードコート層形成材料は、(A)(a−1)金属酸化物微粒子、及び(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーを含む活性エネルギー線感応型組成物、並びに(B)有機微粒子を含有する。
【0012】
((A)活性エネルギー線感応型組成物)
前記ハードコート層形成材料において、(A)成分として用いられる活性エネルギー線感応型組成物は、(a−1)金属酸化物微粒子、及び(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーを含むと共に、必要に応じて、(a−3)シリカ微粒子を含むものである。
なお、本発明において、活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線や電子線などを指す。
【0013】
<(a−1)金属酸化物微粒子>
本発明においては、(A)活性エネルギー線感応型組成物の(a−1)成分として、金属酸化物微粒子が用いられる。
本発明における金属酸化物微粒子とは、展性、延性に富み、電気及び熱の良導体で、金属光沢をもつ元素、すなわち周期表(長周期型)において、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ヒ素(As)、テルル(Te)及びアスタチン(At)を結ぶ斜めの線より左に位置する元素の酸化物微粒子を指す。さらに、前記周期表にてアルカリ土類金属類(2族)よりも右に位置する元素の酸化物微粒子であることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子としては、ぎらつき防止性などの観点から、高屈折率微粒子、好ましくは屈折率1.6以上の微粒子であるものが好適である。この高屈折率金属酸化物微粒子としては、ZnO(屈折率1.90)、TiO2(屈折率2.3〜2.7)、CeO2(屈折率1.95)、Sb25(屈折率1.71)、SnO2(屈折率2.00)、インジウムドープ酸化錫(ITO;屈折率1.95)、リンドープ酸化錫(PTO;屈折率1.75〜1.85)、Y23(屈折率1.87)、La23(屈折率1.95)、ZrO2(屈折率2.05)、Al23(屈折率1.63)等を例示することができる。これらの金属酸化物微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの高屈折率金属酸化物微粒子は、いずれも高比重であり、温度25℃において、(A)成分の比重を、(B)成分の比重よりも0.25以上高くするのに寄与することができる。
【0014】
前記(a−1)金属酸化物微粒子は、表面官能基として、(メタ)アクリロイル基を含む基を有する微粒子(以下、反応性金属酸化物微粒子と称することがある。)であることが好ましい。このような表面官能基を有する金属酸化物微粒子は、活性エネルギー線硬化成分として、活性エネルギー線の照射により、架橋、硬化し、ハードコート層の耐擦傷性を向上させる効果を有している。
前記反応性金属酸化物微粒子は、例えば平均粒径0.005〜1μm程度の金属酸化物微粒子表面に存在するヒドロキシ基に、該ヒドロキシ基と反応し得る(メタ)アクリロイル基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。
前記ヒドロキシ基と反応し得る(メタ)アクリロイル基含有有機化合物としては、例えば一般式(I)
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2はハロゲン原子又は
【化2】

で示される基である。)
で表される化合物などが好ましく用いられる。
【0015】
このような化合物としては、例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナートエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど及びこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を用いることができる。これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、この(a−1)成分の金属酸化物微粒子の含有量は、(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物の固形分中、通常5〜80質量%程度、好ましくは10〜70質量%である。
なお、この(a−1)成分の金属酸化物微粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱法で測定することができる。この方法では、粒子を分散した液にレーザ光を当てた際に回折・散乱する光の強度変化により、平均粒径を測定する。
【0016】
<(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマー>
本発明においては、(A)活性エネルギー線感応型組成物における(a−2)成分として、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが用いられる。
前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
一方、前記(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらのプレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
【0018】
<(a−3)シリカ微粒子>
本発明においては、必要に応じて、(a−3)シリカ微粒子、例えばコロイド状シリカ微粒子及び/又は表面官能基を有するシリカ微粒子を用いることができる。
コロイド状シリカ微粒子は、平均粒径が1〜400nm程度のものであり、また、表面官能基を有するシリカ微粒子としては、例えば表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子(以下、反応性シリカ微粒子と称することがある。)を好ましく挙げることができる。
上記反応性シリカ微粒子は、例えば、平均粒径0.005〜1μm程度のシリカ微粒子表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る(メタ)アクリロイル基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。この(メタ)アクリロイル基含有有機化合物については、前述した金属酸化物微粒子において説明したとおりである。
このようにして得られた(メタ)アクリロイル基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、活性エネルギー線硬化成分として、活性エネルギー線の照射により架橋、硬化する。
この反応性シリカ微粒子は、得られるハードコートフィルムの耐擦傷性を向上させる効果を有している。
このようなシリカ微粒子に(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物を結合させてなる化合物を含む活性エネルギー線感応型組成物(A)として、例えばJSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」などが上市されている。
本発明においては、この必要に応じて用いられる(a−3)成分のシリカ微粒子の含有量は、(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物の固形分中に、通常5〜80質量%程度、好ましくは10〜70質量%である。
なお、この(a−3)成分のシリカ微粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱法で測定することができる。
【0019】
((B)有機微粒子)
本発明におけるハードコート層形成材料において、(B)成分として用いられる有機微粒子としては、例えばシリコーン系微粒子、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート系微粒子(以下、PMMA系微粒子と称することがある)などが挙げられる)、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などが挙げられる。また、本発明に用いられる有機微粒子の形状は何ら制限されるものではないが、防眩性能の再現性を上げる観点から、球状のものが光の散乱状態を均質化するため好ましい。さらに同様の観点から有機微粒子は、粒度分布の狭いものが特に好ましい。この有機微粒子の平均粒径は、防眩性能の観点から、1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることが特に好ましく、また、同様の観点から、粒度分布はコールターカウンター法で測定したピークトップ値の粒径の±50%以上の粒径の質量分率が全体の70%以上であるものが好ましい。
本発明においては、この(B)成分の有機微粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、防眩性能の観点から、前述した(A)成分である活性エネルギー線感応型組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
また、前記活性エネルギー線感応型組成物の硬化物の屈折率と有機微粒子の屈折率との差は、内部ヘーズ発現性の観点から、絶対値で0〜0.5(0を除く)であることが好ましく、0.01〜0.2であることがより好ましい。さらに、ぎらつき防止性とコントラストを高いレベルで両立する観点から、該屈折率差は0.05〜0.10であることが特に好ましい。
【0020】
本発明においては、前記(B)成分の有機微粒子を、ハードコート層の表面近傍に偏在させて防眩性能を向上させるために、温度25℃において、前記(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物の比重が、前記(B)成分の有機微粒子の比重よりも、0.25以上大きいことを要する。この比重差が0.25未満であれば、該有機微粒子がハードコート層の表面近傍に存在する割合が低くなり、所望の防眩性能が得られない。該比重差は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上である。また、この比重差が大きすぎると、ハードコート層の表面近傍に存在する有機微粒子の量が過多となって、コントラストを低下させるおそれが生じる。したがって該比重差は1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましい。
なお、温度25℃における(A)活性エネルギー線感応型組成物の比重は、エネルギー線照射によって硬化をする前のものであって、JIS Z 8804の比重びんによる比重測定方法に準じて測定した値である。なお、活性エネルギー線感応型組成物の比重は、固形分での比重をいう。また、温度25℃における(B)有機微粒子の比重はJIS Z 8807−1976の比重びんによる比重測定方法に準じて測定した値である。
【0021】
(光重合開始剤)
本発明におけるハードコート層形成材料には、所望により光重合開始剤を含有させることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどが挙げられる。
これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、全活性エネルギー線感応型化合物100質量部に対して、通常0.2〜10質量部の範囲で選ばれる。なお、ここで全活性エネルギー線感応型化合物とは、(a−1)金属酸化物微粒子として、反応性金属酸化物微粒子を用いる場合、あるいは(a−3)シリカ微粒子として、反応性シリカ微粒子を用いる場合には、それらを含むものを表す。
【0022】
(ハードコート層形成材料の調製)
本発明で用いるハードコート層形成材料は、必要に応じ、適当な溶媒中に、前述した(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物、(B)成分の有機微粒子、及び所望により用いられる光重合開始剤や各種添加成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際用いる溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
このようにして調製されたハードコート層形成材料の濃度、粘度としては、コーティング可能な程度であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜調整することができる。
【0023】
[透明プラスチックフィルム]
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、前述のようにして調製したハードコート層形成材料を用いて、ハードコート層を形成する。
前記の透明プラスチックフィルムについては特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0024】
これらのプラスチックフィルムは、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好適である。
これらのプラスチックフィルムの厚さは特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常15〜300μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。また、このプラスチックフィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー層を設けることもできる。
【0025】
[ハードコート層の形成]
前記透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、前記ハードコート層形成材料を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層が形成される。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層の厚さは、本発明においては、使用した有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを要し、したがって、下限は2μm程度であり、上限はハードコート層の硬化収縮によってハードコートフィルムがカールすることを防止する観点から20μm程度である。好ましい厚さは5〜15μmの範囲であり、特に好ましい厚さは、8〜12μmである。
【0026】
[防眩性ハードコートフィルム]
(光学特性)
このようにして形成された本発明の防眩性ハードコートフィルムの光学特性は、次のとおりである。
内部ヘーズ値は、通常1〜80%、好ましくは3〜60%であり、特に好ましくは15〜50%である。内部ヘーズ値が小さすぎるとぎらつき防止性が発揮されない場合があり、一方、内部ヘーズ値が大きすぎるとコントラストが低下する場合があるからである。また、外部ヘーズ値は、通常0.5〜30%、好ましくは1〜7%であり、特に好ましくは1〜4%である。外部ヘーズ値が上記の範囲にあればコントラストと防眩性の両立が可能となるからである。
なお、外部ヘーズ値は、防眩性ハードコートフィルムの全ヘーズ値と内部ヘーズ値を測定し、全ヘーズ値から内部ヘーズ値との差によって得られる値である。
さらに、60°鏡面光沢度は、15〜130が好ましく、20〜120がさらに好ましく、85〜115が特に好ましい。60°鏡面光沢度が130を超えると表面光沢度が大きく(光の反射が大きい)、防眩性に悪影響を及ぼす。60°鏡面光沢度が15未満ではしろ茶けが発生しやすくなる。また、防眩性ハードコートフィルムの全光線透過率は通常85%以上であり、88%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率が85%未満では透明性が不十分となるおそれがある。
なお、前記光学的特性値の測定方法については、後で説明する。
【0027】
(その他機能層)
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、必要により、ハードコート層上に、反射防止性を付与させるなどの目的で低屈折率層、例えばシロキサン系被膜、フッ素系被膜などを設けることができる。この場合、該低屈折率層の厚さは、0.05〜1μm程度が適当である。この低屈折率層を設けることにより、太陽光、蛍光灯などによる反射から生じる画面の映り込みが解消され、また、表面の反射率を抑えることで、全光線透過率が上がり、透明性が向上する。なお、低屈折率層の種類によっては、帯電防止性の向上を図ることができる。
【0028】
(粘着剤層)
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、プラスチックフィルムのハードコート層とは反対側の面に、液晶表示体などの被着体に貼着させるための粘着剤層を形成させることができる。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用途に適した、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。この粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
さらに、この粘着剤層の上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
このような粘着剤層を形成した防眩性ハードコートフィルムは、CRT、LCD、PDPなどのディスプレイに対して、防眩性能や耐擦傷性能などを付与する部材として好適に用いられ、特にLCDなどにおける偏光板貼付用として好適である。
【0029】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、必要に応じて、透明プラスチックフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、別のハードコート層を積層することができる。両方のハードコート層は、それぞれのハードコート層形成材料が同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0030】
[偏光板]
本発明はまた、前述した本発明の防眩性ハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板をも提供する。
LCDにおける液晶セルは一般に配向層を形成した2枚の透明電極基板を、その配向層を内側にして、スペーサにより所定の間隙になるように配置し、その周辺をシールして該間隙に液晶材料を挟持させると共に、上記2枚の透明電極基板の外側表面に、それぞれ粘着剤層を介して偏光板が配設された構造を有している。
図1は、上記偏光板の1例の構成を示す斜視図である。この図で示されるように、該偏光板10は、一般的には、ポリビニルアルコール系偏光子1の両面に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム2及び2'を貼り合わせた3層構造の基材を有しており、そして、その片面には液晶セルなどの光学部品に貼着するための粘着剤層3が形成され、さらに、この粘着剤層3には、剥離シート4が貼着されている。また、この偏光板の該粘着剤層3と反対側の面には、通常表面保護フィルム5が設けられている。
本発明の偏光板は、偏光子1の両面に設けられたTACフィルム2、2'のうち、一方のTACフィルムに上述した本発明に係わるハードコート層が設けられたものである。偏光板に粘着剤層3、剥離シート4及び表面保護フィルム5が設けられている場合は、特に表面保護フィルム5側のTACフィルム2'側に本発明に係わるハードコート層が設けられる。
【0031】
本発明の偏光板を製造する方法としては、例えば以下に示す操作を行うことでできる。
なお、図2は、本発明の偏光板の1例の構成を示す断面模式図である。
まず、基材の透明プラスチックフィルムとしてTACフィルムのような光学異方性のないフィルム12'を用い、その一方の面に本発明に係わるハードコート層13を形成し、防眩性ハードコートフィルム14とする。次に、偏光子11の片面にハードコート層13の形成されていないTACフィルム12を、反対面に前記防眩性ハードコートフィルム14を、接着剤層15、15'を用いて積層する。透明プラスチックフィルムにTACフィルムを使用する場合、接着剤による積層で密着性を向上させるには、前述した表面処理の他けん化処理なども行うことができる。
これにより、防眩性能と耐擦傷性能に優れる偏光板20が得られる。偏光板20も必要に応じて、ハードコート層13の設けられる面に、前記図1に示す剥離可能な表面保護フィルム5や、その反対面に液晶セル等の光学部品に貼付するための粘着剤層16や剥離シート17が設けられてもよい。
本発明の偏光板は、LCDにおける液晶セル用を始め、光量調整用、偏光干渉応用装置用、光学的欠陥検出器用などとして用いることができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例により、なんら限定されるものではない。
なお、有機微粒子の平均粒径、比重及び屈折率、活性エネルギー線感応型組成物の比重及び該組成物の硬化物の屈折率、並びにハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って求めた。
<有機微粒子>
(1)平均粒径
コールターカウンター法により測定した。
(2)温度25℃における比重
JIS Z 8807−1976の比重びんによる比重測定法により測定した。
(3)屈折率
スライドガラス上に測定対象の有機微粒子を載せ、屈折率標準液を微粒子上に滴下したのち、カバーガラスを被せ、試料を作製した。該試料をJIS K 7142のB法に基づき、顕微鏡で観察し、微粒子の輪郭が最も見づらくなった屈折率標準液の屈折率を、該微粒子の屈折率とした。
【0033】
<活性エネルギー線感応型組成物>
(4)温度25℃における比重
活性エネルギー線照射前の活性エネルギー線感応型組成物についてJIS Z 8804の比重びんによる比重測定法により測定した。なお、活性エネルギー線感応型組成物が溶媒等で希釈されている場合、希釈された活性エネルギー線感応型組成物の比重を該測定法で測定し、希釈溶剤分を計算により除くことにより、活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重を算出した。
例えば、活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重をA、希釈溶媒Bの比重をb、希釈された活性エネルギー線感応型組成物中の希釈溶媒Bの配合割合をy×100(%)とし、希釈溶媒Cの比重をc、希釈された活性エネルギー線感応型組成物中の希釈剤Cの配合割合をz×100(%)とし、希釈された活性エネルギー線感応型組成物の比重をDとした場合、活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重Aは、以下の式で算出できる。
A=(D−b×y−c×z)/(1−y−z)
また、活性エネルギー線感応型組成物が2種類以上の活性エネルギー線感応型組成物のブレンドである場合、それぞれの固形分の比重に配合割合を乗じて和することにより算出した。
(5)活性エネルギー線感応型組成物の硬化物の屈折率
各調製例において、活性エネルギー線感応型組成物、光重合開始剤と希釈溶剤からなるコート剤を作製する。これを実施例と同様にしてTACフィルム[富士フィルム(株)製]又はPETフィルム[東洋紡績社製]に塗工し、紫外線照射により硬化させ、該硬化物の屈折率測定用のハードコートフィルムとした。これをJIS K 7142のA法に基づき(株)アタゴ製アッベ屈折計を用いてハードコート層の屈折率を求め、これを活性エネルギー線感応型組成物の硬化物の屈折率とした。
【0034】
<ハードコートフィルム>
(6)全光線透過率
日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH−2000」を用い、JIS K 7361−1に準拠して、各例で作製した防眩性ハードコートフィルムについて全光線透過率を測定した。
(7)ハードコート層の内部ヘーズ値、全ヘーズ値、及び外部ヘーズ値
日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH−2000」を用い、JIS K 7136に準拠して、各例で作製した防眩性ハードコートフィルム、及び該フィルムの構成部材である透明プラスチックフィルム単独のヘーズ値を測定した。
前記測定により得られた防眩性ハードコートフィルムのヘーズ値から透明プラスチックフィルムのヘーズ値を差し引くことにより防眩性ハードコートフィルムのハードコート層の全ヘーズ値を算出した。
次に、アクリル系粘着剤[日本カーバイト社製、商品名「PE−121」]100質量部に、イソシアナート架橋剤[東洋インキ社製、商品名「BHS−8515」]2質量部、及びトルエン100質量部を加えて粘着剤溶液を作製した。
次に、厚さ50μmの透明フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績社製]に、乾燥後の粘着層の厚さが20μmになるように粘着剤溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥して透明粘着シートを作製した。
作製した透明粘着シートを防眩性ハードコートフィルムのハードコート層側に貼付して、内部ヘーズ値算出用試料とした。該透明粘着シートと内部ヘーズ値算出用試料の夫々のヘーズ値を前記同様にJIS K 7136に準拠して測定した。
そして、内部ヘーズ値算出用試料のヘーズ値から、透明粘着シートのヘーズ値及び透明プラスチックフィルムのヘーズ値を差し引くことにより防眩性ハードコートフィルムのハードコート層の内部ヘーズ値を算出した。
最後に、前記全ヘーズ値から内部ヘーズ値を差し引くことにより防眩性ハードコートフィルムのハードコート層の外部ヘーズ値を算出した。
【0035】
(8)防眩性の評価
ハードコートフィルムをアクリル樹脂黒板[三菱レイヨン社製]にアクリル系粘着剤を介して貼り付けたサンプルを蛍光灯下にて目視にて観察し、下記の判定基準で防眩性を評価した。
A:蛍光灯の映り込み防止性が不十分である。
B:蛍光灯の映り込み防止性は十分であり、白化もしていない。
C:蛍光灯の映り込み防止性は十分であるが、白化している。
(9)60°鏡面光沢度
日本電色工業(株)製グロスメーター「VG2000」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定した。
(10)ぎらつき防止性
シャープ社製液晶ディスプレイ「AQUOS LC−20AX5」の表面の偏光板を剥がした表面に各例で得られた防眩性ハードコートフィルムを用いて作製した偏光板を設置し、目視にて輝度のちらつきを観察した。なお、偏光板は、延伸ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させた偏光子の片面に前記防眩性ハードコートフィルムを、もう一方の面にトリアセチルセルロース(以下「TAC」)フィルム[コニカミノルタオプト(株)製、商品名「KC8UX2M」]を貼合して作製した。
◎:輝度のちらつきがない。
○:輝度のちらつきが若干あるが、実用的に問題ない。
△:輝度のちらつきが若干あり、実用的に問題がある。
×:輝度のちらつきが多く、不合格である。
(11)鉛筆硬度
JIS K 5400に準拠して、(株)安田精機製作所の鉛筆引掻塗膜硬さ試験機「No553−M1」を用いて測定した。
(12)テーバー摩擦硬度試験
JIS K 5600−5−9に準じて測定し、試験前後のヘーズ値の変化(Δヘーズ)を求めた。数値が小さいほど表面硬度が高い。
測定条件:CS−10F摩擦輪、4.9N荷重、100回転
(13)ハードコート層の厚さ
各例で作製した防眩性ハードコートフィルム、該防眩性ハードコートフィルムの作製に使用する透明プラスチックフィルムであるTAC(トリアセチルセルロース)フィルム及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの夫々について、定圧厚さ計[ニコン社製、商品名「MH−15M」]にて厚さを測定し、その差を取ることによりハードコート層の厚さを算出した。
(14)塗工ムラ
ハードコート層表面を目視観察し、下記の判定基準に従って、塗工ムラを評価した。
○:塗工面全体が均一に見える。
×:塗工面上に防眩性の高い部分と低い部分が混在しており全体的に不均一に見える。
(15)コントラスト
上記(10)の評価で使用した各例の防眩性ハードコートフィルムによる偏光板付きディスプレイを用いて、暗室にて黒、白表示した際の明るさの差(コントラスト)を目視にて以下の基準に従って評価した。
◎:コントラストがとても高い
○:コントラストが高い
△:コントラストがやや低い
×:コントラストが低い
【0036】
調製例1 ハードコート層用コート剤1
(A)活性エネルギー線感応型組成物として、反応性ジルコニウム微粒子を含むハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターKZ6661」、固形分濃度50質量%、反応性ジルコニウム微粒子と多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーを含有する全活性エネルギー線硬化型化合物45質量%、光開始剤5質量%、メチルイソブチルケトン(MIBK)50質量%、固形分の比重2.29、硬化物の屈折率1.65]100質量部、(B)球状有機微粒子として、PMMA微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径5μm]6質量部、希釈溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル33質量部を均一に混合し、固形分約40質量%であるハードコート層コート剤1を調製した。
【0037】
調製例2 ハードコート層用コート剤2
(A)活性エネルギー線感応型組成物として調製例1のKZ6661を70質量部及び反応性微粒子を含まない活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[大日精化工業(株)製、商品名「セイカビームEXF−L203(CS−1)」、固形分濃度70質量%、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーからなる活性エネルギー線感応型組成物65質量%、光開始剤5質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル30質量%、固形分の比重1.33、硬化物の屈折率1.52]50質量部加えた以外は、調製例1と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤2を調製した。
【0038】
調製例3 ハードコート層用コート剤3
(A)活性エネルギー線感応型組成物として調製例1のKZ6661を42質量部及びL203(CS−1)(前出)を70質量部加えた以外は、調製例2と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤3を調製した。
【0039】
調製例4 ハードコート層用コート剤4
(A)活性エネルギー線感応型組成物として調製例1のKZ6661を14.6質量部及び反応性シリカ微粒子を含むハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」、固形分濃度73質量%、反応性シリカ微粒子と多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーを含有する全活性エネルギー線硬化型化合物70質量%、光開始剤3質量%、メチルエチルケトン27質量%、固形分の比重1.65、硬化物の屈折率1.49]90質量部加えた以外は、調製例2と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤4を調製した。
【0040】
調製例5 ハードコート層用コート剤5
(A)活性エネルギー線感応型組成物として反応性でないリンドープ酸化錫微粒子を含むハードコート剤[東洋インキ(株)製、商品名「リオデュラスTYP65−04」]、固形分濃度35質量%、反応性でないリンドープ酸化錫微粒子と多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーを含有する全活性エネルギー線硬化型化合物42質量%、光開始剤3質量%、MIBK/プロピレングリコールモノメチルエーテル/シクロヘキサノン混合溶媒65質量%、固形分の比重1.75、硬化物の屈折率1.65]100質量部、(B)球状有機微粒子として、PMMA微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3μm]2質量部を均一に混合し、固形分約36質量%であるハードコート層用コート剤5を調製した。
【0041】
調製例6 ハードコート層用コート剤6
(A)活性エネルギー線感応型組成物として反応性でない二酸化チタンを含むハードコート剤[東洋インキ(株)製、商品名「リオデュラスTYT80−01」]、固形分濃度25質量%、反応性でない二酸化チタンと多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーを含有する全活性エネルギー線硬化型化合物22質量%、光開始剤3質量%、MIBK/プロピレングリコールモノメチルエーテル/シクロヘキサノン混合溶媒75質量%、固形分の比重2.10、硬化物の屈折率1.80]100質量部、(B)球状有機微粒子として、PMMA微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3μm]2質量部を均一に混合し、固形分約26質量%であるハードコート層用コート剤6を調製した。
【0042】
調製例7 反射防止層用コート剤7
活性エネルギー線硬化型化合物として、紫外線(UV)硬化型ハードコート剤[荒川化学(株)製、商品名「ビームセット 575CB」、固形分100%]100質量部、多孔性シリカ粒子のメチルイソブチルケトン(MIBK)分散体[触媒化成工業(株)製、商品名[ELCOM RT−1002SIV]、固形分21質量%、多孔性シリカ粒子、硬化物の屈折率1.30、平均粒径60nm]80質量部を混合したのち、全体の固形分濃度が2質量%になるようにMIBKで希釈して、反射防止層用コート剤7を調製した。
【0043】
調製例8 粘着剤層用コート剤8
アクリル酸ブチル/アクリル酸メチル/アクリル酸(質量比77/20/3)のアクリル共重合体(重量平均分子量Mw:80万)100質量部と、紫外線硬化型多官能アクリレート[東亜合成(株)製、商品名「アロニックスM−315」、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、分子量:578]25質量部と、光開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア500」、ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの質量比1:1の混合物]1質量部と、イソシアナート系架橋剤[日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアナート]2質量部とを混合して、粘着剤層用コート剤8を調製した。
【0044】
調製例9 ハードコート層用コート剤9
活性エネルギー線硬化型化合物として、紫外線(UV)硬化型ハードコート剤[荒川化学(株)製、商品名「ビームセット575CB」、固形分100%]100質量部、プロピレングリコールモノメチルアセテート30質量%、比重1.33]50質量部加えた以外は、調製例1と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤9を調製した。
【0045】
調製例10 ハードコート層用コート剤10
活性エネルギー線硬化型化合物として、L203(CS−1)(前出)を100質量部加えた以外は、調製例1と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤10を調製した。
【0046】
調製例11 ハードコート層用コート剤11
活性エネルギー線硬化型化合物として、Z7530(前出)を100質量部加えた以外は、調製例1と同様にして固形分約40質量%であるハードコート層用コート剤11を調製した。
【0047】
実施例1
厚さ80μmのTACフィルム[富士フィルム(株)製]の表面に、調製例1で得た上記ハードコート層用コート剤1を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した。70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射し光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0048】
実施例2
透明基材フィルムとして厚さ100μmのPETフィルム[東洋紡績社製]を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0049】
実施例3
調製例2で得たコート剤2を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0050】
実施例4
調製例3で得たコート剤3を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0051】
実施例5
調製例4で得たコート剤4を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0052】
実施例6
調製例5で得たコート剤5を硬化膜厚が約8μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0053】
実施例7
調製例6で得たコート剤6を硬化膜厚が約6μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0054】
実施例8
実施例1で形成したハードコート層上に、調製例7で得られた反射防止層用コート剤7を硬化膜厚が0.1μmになるようにマイヤーバーで塗工した。70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を有する光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0055】
実施例9
実施例2で得られた光学フィルムにおける透明基材であるPETフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、調製例8で得られた粘着剤層用コート剤8を、乾燥・硬化後膜厚が20μmになるように、ナイフ塗工した。70℃のオーブン中で1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、粘着剤層を有する光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0056】
実施例10
実施例2で得られた光学フィルムにおける透明基材フィルムであるPETフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、調製例9で得られたクリアハードコート層用コート剤9を、硬化膜厚が5μmになるようにマイヤーバーで塗工した。70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、防眩性を有するハードコート層の反対側の面にクリアハードコート層を有する光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0057】
比較例1
調製例10で得たコート剤10を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0058】
比較例2
調製例11で得たコート剤11を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0059】
比較例3
調製例1で得たコート剤1を硬化膜厚が約4μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0060】
比較例4
調製例1で得られたハードコート層用コート剤1を、硬化膜厚が5μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様な操作を行い、光学フィルムを作製した。
この光学フィルムの性能を、各成分の特性と共に第1表に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
第1表から、以下に示すことが分かる。
実施例1〜10のように、活性エネルギー線感応型組成物−有機微粒子比重差が0.25以上の場合、該組成物に対する有機微粒子のみかけの比重が軽くなるため、該有機微粒子の粒子径以上の膜厚においても、防眩性が充分に発揮される。一方、比較例1のように、前記比重差が0.25未満では防眩性が不充分である。
また、実施例1のように、活性エネルギー線感応型組成物の硬化物と有機微粒子との間に屈折率差が存在する場合(屈折率差0.16)、内部ヘーズが発生し、ぎらつき防止性に優れる。一方、比較例2のように、金属酸化物微粒子を含まず、かつ前記屈折率差が小さい場合(屈折率差≒0)、内部ヘーズはほとんど発現せず、ぎらつき防止性能が不充分となる。
また、実施例1と実施例8を比較した場合、実施例8は反射率が低く、反射防止性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルムの表面に形成されたハードコート層に含まれる(A)活性エネルギー線感応型組成物、(B)有機微粒子の比重差を、25℃において0.25以上とすることにより、ハードコート層中の微粒子がハードコート層表面付近に集まり微粒子平均粒径以上の膜厚においても外部ヘーズ(表面凹凸)を発生させることができる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、特にLCDなどにおける偏光板用として好適である。
【符号の説明】
【0066】
1 ポリビニルアルコール系偏光子
2 TACフィルム
2' TACフィルム
3 粘着剤層
4 剥離シート
5 表面保護フィルム
10 偏光板
11 偏光子
12 TACフィルム
12' TACフィルム
13 ハードコート層
14 防眩性ハードコートフィルム
15 接着剤層
15' 接着剤層
16 粘着剤層
17 剥離シート
20 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明プラスチックフィルムの表面に、(A)(a−1)金属酸化物微粒子、及び(a−2)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーを含む活性エネルギー線感応型組成物、並びに(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ(A)成分と(B)成分の屈折率の差が0〜0.5(0を除く)であり、さらに前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
【請求項2】
(a−1)金属酸化物微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有する、請求項1に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項3】
(a−1)金属酸化物微粒子が高屈折率微粒子である、請求項1又は2に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項4】
(A)成分が、さらに、(a−3)シリカ微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項5】
(a−3)シリカ微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有する、請求項4に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項6】
ハードコート層上に、さらに低屈折率層を積層してなる請求項1〜5のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項7】
透明プラスチックフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、粘着剤層を積層してなる請求項1〜6のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項8】
透明プラスチックフィルムのハードコート層が形成されていない側の面に、別のハードコート層を積層してなる請求項1〜6のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−178062(P2011−178062A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45288(P2010−45288)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】