説明

防臭性の吸水性組成物

本発明は、少なくとも1種の吸水性ポリマーおよび少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する防臭性の吸水性組成物、その製造方法およびさらには衛生製品およびその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1種の吸水性ポリマーおよび少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する防臭性の吸水性組成物、その製造方法ならびに衛生製品およびその製造方法に関する。
【0002】
本発明の更なる実施態様は、特許請求の範囲、明細書および実施例から得られるべきものである。前記し、かつ以下に更に説明されるべき本発明の主題の特徴は、そのつど挙げた組み合わせにおいてのみでなく、本発明の枠内を離れることなくその他の組み合わせにおいても使用可能であることが理解される。
【0003】
吸水性ポリマーは、殊に(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、適当なグラフト主鎖上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテルまたはデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体であり、その際、部分中和されたアクリル酸をベースとする吸水性ポリマーが好ましい。かかるポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯、失禁用製品その他の衛生用品を製造するための水溶液を吸収する製品として使用されているが、しかし、農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0004】
衛生製品において、その使用の間に、たとえば尿素の分解によって悪臭が生じ得る。WO-A-98/26808、WO-A-03/053486、EP-A-O 739 635、EP-A-1 034 800およびEP-A-1 214 878では、問題の種々の解決法が提案されている。
【0005】
WO-A-98/26808では、液体のための吸収剤、臭いのための吸収剤ならびに殺生剤、ウレアーゼインヒビターおよびpH調整剤から成る群から選択された1種またはそれ以上の物質を含有する吸収性組成物が記載されている。
【0006】
WO-A-03/053486では、ウレアーゼインヒビターとしてのユッカエクストラクトの使用が開示されている。
【0007】
EP-A-O 739 635では、ホウ酸塩を含有する吸収性組成物が記載されている。
【0008】
EP-A-1 034 800では、悪臭を回避するための臭い吸収剤および酸化剤から成る組合せ物の使用が記載されている。
【0009】
EP-A-1 214 878では、ウレアーゼインヒビターとしての金属キレート剤の使用が教示されている。
【0010】
本発明の課題は、尿または他の体液を負荷した後の悪臭を十分に防止する、改善された吸水性組成物を提供することである。直に皮膚と接触する際の殺生剤の使用は問題があることから、この組成物は、言うに値する殺生剤作用を示す組成物であってはならない。
【0011】
本発明の他の課題は、防臭性の吸水性組成物を提供することであり、この場合、この組成物は貯蔵安定性であって、たとえば組成物は、長時間の貯蔵の際に、変色することもなく、また、その防臭性効果を失うことはない。
【0012】
本発明の課題は、少なくとも1種の吸水性ポリマーおよび少なくとも1種の式(I)
【化1】

[式中、RはC〜C30−アルキル基、好ましくはC〜C10−アルキル基、特に好ましくはC〜C−アルキル基を意味する]の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する組成物によって解決される。アルキル基は、分枝または非分枝であってもよい。
【0013】
〜C10−アルキル基に関する例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、n−デシルおよびイソデシルである。特に好ましいアルキル基はn−プロピルおよびn−ブチルである。
【0014】
本発明による組成物は、通常は0.0001〜5質量%、好ましくは0.003〜1質量%、特に好ましくは0.005〜0.1質量%の少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する。
【0015】
少なくとも1種の吸水性ポリマーは、好ましくは、部分中和され架橋されたアクリル酸をベースとするポリマーである。
【0016】
本発明による組成物は、通常は少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、特に好ましくは少なくとも99質量%の、少なくとも1種の吸水性ポリマーを含有する。
【0017】
式(I)の置換されたチオリン酸トリアミドは、たとえば、チオホスホリルトリクロリドとアルカリアミンおよびアンモニアとの反応によって得られる。
【0018】
置換されたチオリン酸トリアミドの製造は、たとえばUS-5,770,771に記載されている。高い純度は、生成物を適した溶剤、たとえばトルエン中で晶出する場合に達成される。
【0019】
吸水性ポリマーは、たとえば、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合によっては、モノマーa)と共重合可能な1種またはそれ以上のエチレン性および/またはアリル性不飽和モノマーおよび
d)場合によっては、モノマーa)、b)および場合によってはc)上に少なくとも部分的にグラフトすることができる1種またはそれ以上の水溶性ポリマー、
を含有する、モノマー溶液を重合することによって得られる。
【0020】
好適なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸、またはこれらの誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルである。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。殊に好ましくは、アクリル酸である。
【0021】
このモノマーa)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはトコフェロールである。
【0022】
トコフェロールとしては、以下の式
【化2】

[式中、Rは水素またはメチルであり、Rは水素またはメチルであり、Rは水素またはメチルであり、かつRは水素または1〜20個の炭素原子を有する酸基を意味する]の化合物であると理解される。
【0023】
好ましいR4の基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニルおよび生理学的に許容される他のカルボン酸である。カルボン酸は、モノ、ジまたはトリカルボン酸であってもよい。
【0024】
好ましくは、R1=R2=R3=メチルであるα−トコフェロール、特にラセミ体α−トコフェロールである。Rは、特に好ましくは水素またはアセチルである。特に好ましくは、RRR−α−トコフェロールである。
【0025】
このモノマー溶液は、アクリル酸に対して好ましくは多くとも130質量ppm、特に好ましくは多くとも70質量ppmであって、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppmであり、とりわけ好ましくは約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩はアクリル酸として考慮した。例えば、このモノマー溶液の製造のために、相応のヒドロキノン半エーテル含有量を有するアクリル酸を使用することができる。
【0026】
架橋剤b)は、少なくとも2種の重合可能な基を有する化合物であり、この場合、これは、ポリマー網中でラジカル共重合可能であってもよい。好適な架橋剤b)は、たとえばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、例えばEP-A-0530438に記載されているもの、ジ−およびトリアクリレート、例えばEP-A-0547847、EP-A-0559476、EP-A-0632068、WO-A-93/21237、WO-A-03/104299、WO-A-03/104300、WO-A-03/104301およびDE-A-10331450に記載されているもの、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート、例えばDE-A-10331456およびWO-A-04/013064に記載されているもの、または架橋剤混合物、例えばDE-A-19543368、DE-A-19646484、WO-A-90/15830およびWO-A-02/32962に記載されているものである。
【0027】
適切な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオール由来の不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸のエステル、たとえばジアクリラートまたはトリアクリラート、たとえばブタンジオールジアクリラートまたは−メチルアクリラート、エチレングリコールジアクリラートまたは−メチルアクリラート並びにトリメチロールプロパントリアクリラートおよびアリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリラート、トリアリルシアヌラート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルならびにたとえばEP-A-0 343 427中に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に好適な架橋剤b)はペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトールトリ−およびペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテルおよびグリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル並びにそのエトキシル化誘導体である。本発明による方法の場合にポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが使用可能であり、その際、使用されたポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0028】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜15回エトキシ化されたグリセリン、3〜15回エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3〜15回エトキシ化されたトリメチロールエタンのジ−およびトリアクリレート、特に2〜6回エトキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパンのジ−およびトリアクリレート、3回プロポキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン並びに3回混合エトキシまたはプロポキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、15回エトキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパンならびに40回エトキシ化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンである。
【0029】
殊に好ましい架橋剤b)は、例えばWO-A-03/104301に記載されているようなジアクリラート、ジメタクリラートまたはトリアクリラート化された複数回エトキシおよび/またはプロポキシ化されたグリセリンである。3〜10回エトキシル化されたグリセリンのジ−および/またはトリアクリラートが特に有利である。1〜5回エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリラートまたはトリアクリラートがさらに特に有利である。3〜5回エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラートが最も有利である。これは、吸水性ポリマー中の特に小さい残留物含有率(一般的には10質量ppm未満)によって特徴付けられ、かつこれを用いて製造された吸水性ポリマーの水性抽出物は、同じ温度の水と比べてほとんど変わらない表面張力(一般的には0.068N/mを下回ることはない)を有する。
【0030】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)の量に対して、好ましくは0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%、特に好ましくは0.1〜0.3質量%である。
【0031】
モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0032】
水溶性ポリマーd)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコールおよびデンプンを使用することができる。
【0033】
有利な重合阻害剤は、最適な作用のために溶解した酸素を必要とする。従って、この重合阻害剤は、重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、有利には窒素を用いた貫流により溶解した酸素が取り除かれてよい。有利には、このモノマー溶液の酸素含量を、重合前に、1質量ppmより少なく、特に有利には0.5質量ppmより少なく低下させる。
【0034】
好適なベースポリマー並びに更なる好適な親水性エチレン性不飽和モノマーd)の製造は、DE-A-19941423、EP-A-0686650、WO-A-01/45758およびWO-A-03/104300中に記載されている。
【0035】
吸水性ポリマーは、一般的にモノマー水溶液の重合および場合により引き続いてのヒドロゲルの粉砕により得られる。好適な製造方法は、文献に記載されている。吸水性ポリマーは、たとえば、
−回分的方法でか、管型反応器中でのゲル重合および引き続いてのミートグラインダ、押出機またはニーダー中での粉砕によって(EP-A-O 445 619,DE-A-19 846413)、
−ニーダー中での重合によって、その際、たとえば、反転撹拌シャフトによって連続的に粉砕され(WO-A-01/38402)、
−ベルト上での重合および引き続いてのミートグラインダ、押出機またはニーダー中での粉砕によって(DE-A-38 25 366, US-6,241 ,928)、
−エマルション重合によって、この場合、これは、相対的に狭いゲル粒度分布を有するビーズポリマーを生じさせ(EP-A-O 457 660)、
−織布層のin-situ 重合によって、この場合、これは、通常連続的操作において、予め水性モノマー溶液を用いて噴霧し、かつ、引き続いて光重合に暴露する(WO-A-02/94328, WO-A-02/94329)ことによって得ることができる。
【0036】
この反応は、好ましくは、例えばWO-A-01/38402中に記載されているようなニーダー中で実施するか、または例えばEP-A-0955086中に記載されているようなベルト反応器上で実施する。
【0037】
得られたヒドロゲルの酸基は、一般的には部分的に、好ましくは25〜85モル%、有利には27〜80モル%、特に好ましくは27〜30モル%または40〜75モル%中和されており、とりわけ好ましくは50〜65モル%中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩並びにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用してもよい。ナトリウムおよびカリウムはアルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。通常、中和は、水溶液または有利に固体としての中和剤を混合導入することによって達成される。例えば、50質量%を顕著に下回る含水率を有する水酸化ナトリウムが、23℃を上回る融点を有する蝋状の塊として存在していてよい。この場合、温度を高めて個々の物質または溶融物として計量供給することが可能である。
【0038】
中和は、重合後、ヒドロゲルの段階で実施することができる。しかし、40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%の酸基を重合前に、中和剤の一部をモノマー溶液にも添加することにより中和すること、および所望の最終中和度を重合の後に最初にヒドロゲルの段階で調節することも可能である。モノマー溶液は、中和剤の混合導入により中和することができる。このヒドロゲルは、例えばミートグラインダを用いて機械的に粉砕することができ、その際、中和剤を噴霧するか、散布するか、または注ぎ、次いで注意深く混合することができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。最終中和度へのモノマー溶液の中和が好ましい。
【0039】
中和されたヒドロゲルを、次いでベルト型またはドラム型乾燥器を用いて、残湿分率が好ましくは15質量%未満、好ましくは10質量%未満になるまで乾燥させ、その際、この含水率は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨される試験法番号430.2−02「含水率(Moisture content)」により測定する。しかしながら選択的に、この乾燥のために、流動床乾燥器かまたは加熱されたプローシェアミキサを使用することもできる。特に白色の製品を得るために、ゲルの乾燥の際に蒸発された水の急速な搬出を確保することが有利である。このために、空気供給および空気排出を制御すべき乾燥器温度を最適化することを実施し、そしてそれぞれの場合に十分な通気を考慮しなければならない。この乾燥は、ゲルの固体含有率が可能な限り大きい場合に、当然に、より一層容易であり、かつ製品がより一層白い。従って、好ましくは、この乾燥前のゲルの固体含有率は30〜80質量%である。特に有利であるのは、乾燥器の窒素または他の非酸化ガスでの通気である。しかし選択的に、酸化による黄変事象を回避するために、乾燥の間の酸素分圧のみ容易に下げることもできる。一般に、十分な通気および水蒸気の排出によっても、なおも許容可能な製品がもたらされる。色および製品の質に関しては、一般に、可能な限り短い乾燥時間が有利である。
【0040】
この後で、乾燥されたヒドロゲルを微粉砕し、篩別し、その際、微粉砕のために通常、ロールミル、ピンミルまたはスイングミルを使用することができる。篩別され、乾燥されたヒドロゲルの粒度は、好ましくは1000μmより小さく、特に好ましくは900μmより小さく、殊に好ましくは850μmより小さく、かつ好ましくは80μmより大きく、特に好ましくは90μmより大きく、殊に好ましくは100μmより大きい。
【0041】
殊に好ましくは、粒度(篩別分)は106〜850μmである。この粒度は、EDANA(欧州不織布協会)によって推奨された試験方法番号420.2−02「粒度分布(Particle size distribution)」によって測定することができる。
【0042】
ベースポリマーは、好ましくは次いで表面後架橋させる。このために好適な架橋剤は、ヒドロゲルのカルボキシレート基と共有結合を形成できる少なくとも2個の基を含有する化合物である。好適な化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−またはポリエポキシド、例えばEP-A-083022、EP-A-543303およびEP-A-937736に記載されているもの、二官能性または多官能性アルコール、例えばDE-C-3314019、DE-C-3523617およびEP-A-450922中に記載されているもの、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド、例えばDE-A-10204938およびUS-A-6239230中に記載されているものである。
【0043】
更にDE-A-4020780では環式炭酸塩が、DE-A-198075022中ではオキサゾリドンおよびその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE-A-19807992中ではビス−およびポリ−2−オキサゾリジノンが、DE-A-198545732中では2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体が、DE-A-19854574中ではN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE-A-10204937中では環式尿素が、DE-A-10334584中では二環式アミドアセテートが、EP-A-1199327中ではオキセタンおよび環式尿素が、およびWO-A-03/031482中のモルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が好適な表面後架橋剤として記載されている。
【0044】
有利には、表面架橋剤に加えて多価カチオンを、表面架橋のために使用する。使用可能な多価カチオンは、例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタンおよびジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよびカルボン酸イオン、例えば酢酸イオンおよび乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。
【0045】
この後架橋は、一般的には、表面後架橋剤の溶液をヒドロゲルまたは乾燥されたベースポリマー粉末上に噴霧することにより実施する。これに関連して、表面架橋剤および多価のカチオンは、混合溶液中でかまたは別個の溶剤中で噴霧することができる。この噴霧に引続き、ポリマー粉末を熱乾燥させ、この場合架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0046】
架橋剤溶液の噴霧は、好ましくは可動混合器具を有するミキサ中で、例えばスクリューミキサ、パドルミキサ、ディスクミキサ、プローシェアミキサおよびブレードミキサ中で実施する。特に好ましくは、バーティカルミキサ、殊に好ましくはプローシェアミキサおよびブレードミキサである。好適なミキサは、例えばLoedige(R)ミキサ、Bepex(R)ミキサ、Nauta(R)ミキサ、Processall(R)ミキサおよびSchugi(R)ミキサである。特に好ましくは、高速ミキサ、たとえばSchuggi−Flexomix(R)またはTuebolizer(R)を使用する。
【0047】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。好適な乾燥器は、例えばBepex(R)乾燥器およびNara(R)乾燥器である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0048】
乾燥は、ミキサそれ自体中で、ジャケットの加熱または熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉かまたは加熱可能なスクリューは、同様に好適である。しかしながら、たとえば共沸蒸留を乾燥方法として利用することもできる。
【0049】
好ましい乾燥温度は、50〜250℃の範囲内、好ましくは50〜200℃、特に好ましくは50〜150℃である。この温度での反応ミキサまたは乾燥器中での好ましい滞留時間は、30分未満、特に好ましくは10分未満である。
【0050】
本発明の他の対象は、本発明による組成物を製造するための方法に関し、この場合、この方法は、
i)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドと少なくとも1種の吸水性ポリマーとを一緒に混合するか、および/または
ii)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドと、少なくとも1種の吸水性ポリマーとを一緒に粉砕するか、および/または
iii)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを、少なくとも1種の吸水性ポリマー上に噴霧し、および/または
iv)少なくとも1種の吸水性ポリマーを、モノマー溶液の溶液重合によって製造し、かつ少なくとも置換されたチオリン酸トリアミドをモノマー溶液中に溶解するかまたは懸濁し、
かつ、i)、ii)、iii)および/またはiv)によって得られた組成物を場合によっては少なくとも1種の吸水性ポリマーと一緒に混合する。
【0051】
ミキサの種類については何ら制限されるものではなく、かつすでに吸水性ポリマーを製造する際に、たとえば、後架橋後の粉砕または引き続いての篩いがけによってか、あるいは特定のミキサ中で早くも実施することができる。適したミキサは、すでに吸水性ポリマーの後架橋の際に記載した。
【0052】
ミルの方法についても何ら制限されるものではない。適した装置については、すでに吸水性ポリマーの粉砕に関して記載した。
【0053】
噴霧の方法についても何ら制限されるものではない。置換されたチオリン酸トリアミドは、溶液または溶融物として噴霧することができ、たとえばここで挙げられたミキサ中で吸水性ポリマーの後架橋中で噴霧することができる。
【0054】
有利には、適した溶剤中に溶解された少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを噴霧する。適した溶剤は水、水/アセトン−混合物、水/プロピレングリコール混合物ならびに後架橋の際に挙げられた溶剤および溶剤混合物である。溶液中の置換されたチオリン酸トリアミドの濃度は、通常0.5〜30質量%、有利には1〜20質量%、特に有利には2〜10質量%である。
【0055】
他の実施態様において、本発明による組成物は、少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドの高い割合を示し、通常は1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%を示す。このようにして得られた高濃度の組成物は、その後に吸水性ポリマーを用いて、好ましい最終含量に希釈することができる。
【0056】
本発明の他の対象は、少なくとも1種の本発明による組成物を含有する衛生製品、特に重度および/または軽度の失禁のためのおむつまたはパットならびに生理帯、および少なくとも1種の本発明による組成物を使用する衛生製品の製造方法である。
【0057】
本発明による吸水性組成物は、衛生製品中で生じうる悪臭を効果的に防止する。本発明による組成物は貯蔵安定性であり、その結果、その臭い防止効果はさらに長時間に亘って、たとえば6時間に亘って持続する。さらに本発明による組成物は、長時間に亘っての貯蔵の後であっても可視される変色を示すことはない。
【0058】
実施例
例1
吸水性ポリマーの製造
4809gの37.3質量%濃度の水性アクリル酸ナトリウム溶液を、534gのアクリル酸および573gの水と一緒に混合し、かつ窒素を用いて不活性化する。これらの混合物は、窒素で不活性化されたWerner & Pfleiderer LUK 8.0 K2 Kneter(2 Sigma シャフト)中に導入し、かつその後に4.8gのポリエチレングリコールジアクリレート400(平均分子量400g/molを有するポリエチレングリコールのジアクリレート)、4.8gの15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、4.4gの1.0質量%濃度の水性アスコルビン酸溶液、18.1gの15質量%の水性過硫酸ナトリウム溶液および3.9gの3質量%濃度の水性過酸化水素溶液と混合した。ニーダーを、最大回転数(より早いシャフトに関しては98rpm、より遅いシャフトに関しては約49rpm、比約2:1)で撹拌した。過酸化水素を添加するやいなや、ニーダージャケットを80℃で加熱した熱担体を用いて加熱した。最大温度を達成した後に、ジャケット加熱を終了し、かつニーダー中でさらに15分に亘って後反応した。このゲルを65℃で冷却し、かつ搬出した。ゲルの乾燥を、175℃で75分に亘って、循環空気乾燥器中で1トレイ当たり700gの負荷量で実施した。ロールミル中での3回に亘っての粉砕の後に(Gebr. Baumeister LRC125/70,ギャップ幅1000μm、600μm、400μm)、ポリマーを850〜100μmの篩分けサイズ(Siebschnitt)に篩分けした。
【0059】
1200gのこれらのポリマーを、Gebr.Loedige Labormischer (M5R型)中に移し入れた。室温の場合には、12gの1,2−プロパンジオール、1.3gジエチレングリコールジグリシジルエーテルおよび28gの水から成る混合物を第1のノズルを介して、かつ12gの硫酸アルミニウム溶液(26.8質量%、水中Al(SO)を第2のノズルを介して噴霧した。引き続いてミキサを168℃に急激に加熱し、かつこの温度で40分に亘って保持した。冷却後に、ポリマーを850〜100μmの篩分けサイズに篩分けした。
【0060】
例2
例1からの100gの吸水性ポリマーを、タンブルミキサ中で、種々の量のN−シクロヘキシル−チオリン酸トリアミド、N−(n−ブチル)−チオリン酸トリアミドまたはN−(n−プロピル)−チオリン酸トリアミドを用いて、それぞれ20分に亘って混合した。
【0061】
臭い防止作用の測定に関して、それぞれ2gの前記で製造された組成物を100mlのエルレンマイヤーフラスコ中に予め装入し、かつ、30mgのウレアーゼ(ジャックビーン由来;凍結乾燥品5U/mg、尿素測定のために血清中で; Merck KGaA, DE)からなる新鮮に調製された溶液および50mlの0.9質量%濃度の塩化ナトリウム溶液と一緒に混合し、その際、塩化ナトリウム溶液は8.56g/lの尿素を含有し、かつ、内部拡散管(Draeger(R)管;アンモニア20/a−D、20〜1500ppmh)を備えたストッパーで密閉した。測定値を30分毎に記録した。この測定を6時間後に中断した。試験は23℃でおこなった。以下の表は測定結果を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
この組成物は、Escherichia coli、Staphylococcus aureusおよびProteus mirabilisにおいて顕著な殺生作用を有するものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の吸水性ポリマーおよび少なくとも1種の式(I)
【化1】

[式中、RはC〜C30−アルキル基を意味する]の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する組成物。
【請求項2】
組成物が、0.0001〜5質量%の置換されたチオリン酸トリアミドを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、少なくとも90質量%の吸水性ポリマーを含有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
アルキル基Rがn−プロピルまたはn−ブチルである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
吸水性ポリマーが、部分中和され架橋性されたアクリル酸をベースとするポリマーである、請求項1から4までのいずれか1項の組成物。
【請求項6】
吸水性ポリマーが表面後架橋されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物の製造方法において、少なくとも1種の以下の工程、
i)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドと、少なくとも1種の吸水性ポリマーを一緒に混合するか、および/または、
ii)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドと少なくとも1種の吸水性ポリマーを一緒に粉砕し、および/または、
iii)少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドを、少なくとも1種の吸水性ポリマー上に噴霧するか、および/または、
iv)少なくとも1種の吸水性ポリマーを、モノマー溶液を溶液重合することにより製造し、かつ、少なくとも1種の置換されたチオリン酸トリアミドをモノマー溶液中に溶解または懸濁する、
を実施し、かつ、場合によってはi)、ii)、iii)および/またはiv)により得られた組成物を、少なくとも1種の吸水性ポリマーと一緒に混合することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の少なくとも1種の組成物を含有する、衛生製品。
【請求項9】
衛生製品が、重度および/または軽度の失禁のためのおむつまたはパットである、請求項8に記載の衛生製品。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の少なくとも1種の組成物を使用する、衛生製品を製造するための方法。

【公表番号】特表2009−507939(P2009−507939A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523315(P2008−523315)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064354
【国際公開番号】WO2007/012581
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】