説明

防護用布帛およびその製造方法

【課題】突き刺し抵抗性及び耐切創性に優れ、しかも、ごわごわ感がなく、作業性に優れた、防護用布帛およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡み合っていることを特徴とする防護用布帛。前記布帛は、式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛に、高圧流体噴射加工を施し、該布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化して絡まり合わせることにより製造される。


但し、Dp:経糸繊度(デシテックス)
Df:緯糸繊度(デシテックス)
Np:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋭利な突起などによる突き刺しや刃物に対して人体などを保護するための防護用布帛およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋭利な突起による突き刺しや刃物に対して人体や物品を防護する防護用品として、金属材料の加工品が古くから用いられている。
【0003】
近年、アイスピック、千枚通し、ナイフなど、鋭利な突起物や刃物を用いる作業の際に、危険から人体などを保護する防護用衣料として、軽量で作業性の良い合成繊維製のものが開発されている。
【0004】
特開昭61−215703号公報には、繊維の横断面扁平化率2.5以上で、表面に無数の縦長の多条溝を有する高分子量ポリエチレン繊維を用いて作成した織物の表面に、エポキシ樹脂を塗布し、熱プレスして得た防護用品が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
一方、アラミド繊維を用いた防護用衣料は、十分な防御性を有し、金属繊維製品に比べて作業性も良好であるため、広範に用いられているが、改良すべき点もある。その欠点を改良しうる素材として、特開2005−144886号公報には、アラミド系繊維で編まれた編物地の生地面を合わせ、複数枚重ねた素材が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
特表平11−503498号公報および特表2000−513413号公報には、500デシテックス以下の線密度と少なくとも30ジュール/gの粘り強さを示すアラミド糸を、生地気密係数が少なくとも0.75になるように織った生地からなる耐貫入性製品が提案されている(特許文献3、4参照)。
【0007】
特表2005−517101号公報には、防刃性と防弾性の両方を有し、かつ、最小収縮率が少なくとも1%である織物を製造する方法であって、約500dtexよりも重いヤーンで構成される高密度な織物を攪拌し、前記攪拌工程の前後またはその最中に前記織物からスピンフィニッシュを実質的に取り除き、そして得られた織物を乾燥させる、ことを含む前記方法が開示されている(特許文献5参照)。
【0008】
米国特許第5,087,499号明細書には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド紡績糸又はそれを用いた製品をブラッシングして糸のエンドをフィブリル化し、鋭い貫通性の物体にかみ合う表面積を増加させることにより、耐針貫通性の製品を得る方法が開示されている(特許文献6参照)。
【特許文献1】特開昭61−215703号公報
【特許文献2】特開2005−144886号公報
【特許文献3】特表平11−503498号公報
【特許文献4】特表2000−513413号公報
【特許文献5】特表2005−517101号公報
【特許文献6】米国特許第5,087,499号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された防護用品は、突き刺し抵抗性が不十分である。また、特許文献2に開示された素材は、突き刺し抵抗性を付与するために編物地を3枚重ねているため、ごわごわ感が有り作業性に劣る欠点がある。さらに、特許文献3〜4に開示された織物は、耐貫入性は有するが、その性能は十分なものではなかった。
【0010】
一方、特許文献5に開示された織物では、平坦な織物をねじってロープ状にしたものをジェット染色装置内で処理した場合などは、織物組織が乱れ易く、安定した防刃性および防弾性が得られなくなるおそれがある。
【0011】
また、特許文献6に開示された方法は、ブラッシングのみ、或いは、ブラッシングと高圧流体処理を組み合わせる方法である。
【0012】
上記したように、突き刺し抵抗性を付与するためには、表面を硬質素材にしたり、布帛の積層枚数を増やしたり、緻密な織物を作製して貫通エネルギーを吸収させる方法が試みられていた。また、従来より耐切創性の付与には、高強度・高弾性率を有する高機能素材の使用が有効と考えられていた。従って、突き刺し抵抗性と耐切創性を兼ね備えた布帛を得るために、高強度・高弾性率の素材を用いて緻密な織物を製造する方法が模索されているが、かかる布帛は得られていないのが実状である。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑みてなされたもので、突き刺し抵抗性かつ耐切創性に優れ、しかも、ごわごわ感がなく、作業性に優れた、防護用布帛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のカバーファクターを有する布帛に高圧流体を噴射し、該布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化させ、繊維が絡み合っている布帛を用いることにより、織物組織の変形や収縮が小さく、ごわごわ感がなく、突き刺し抵抗性および耐切創性に優れた防護用布帛が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡み合っていることを特徴とする防護用布帛およびその製造方法を提供する。ここで、本発明における「マイクロフィラメント化」とは、布帛表面の各々の単繊維から微細化繊維が剥離されている状態を言い、それらの微細化繊維が微細化繊維同士もしくは単繊維と絡み合っている。
【0016】
【数1】

但し、Dp:経糸繊度(デシテックス)
Df:緯糸繊度(デシテックス)
Np:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)
【0017】
本発明は、また、上記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛に、高圧流体噴射加工を施し、該布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化して絡まり合わせることを特徴とする防護用布帛の製造方法を提供する。
【0018】
本発明においては、前記マイクロフィラメント化処理が、高圧流体噴射加工であることが好ましく、該処理がウォータージェットパンチ処理で、その最大処理水圧が5〜30MPaの範囲であることが好ましい。
【0019】
また、本発明においては、前記布帛を構成する繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る本発明によれば、従来の布帛に比べて突き刺し抵抗性が格段に優れるとともに耐切創性にも優れ、しかも、ごわごわ感がなく、作業性に優れた、防護用布帛を提供することができる。本発明の防護用布帛を用いた防護用衣料を着用することにより、鋭利な突起物や刃物などから身体を保護することが可能になる。
【0021】
請求項2および請求項3に係る本発明によれば、攪拌処理を行わないため、繊維を切断することなく布帛の状態で繊維をマイクロフィラメント化して絡ませることができ、また、ウォータージェットパンチ処理した場合はマイクロフィラメント化後の処理も乾燥のみであるので、処理が容易である。柔らかく作業性の良い防護用衣料を提供するのに最適な防護用布帛となる。
請求項4に係る本発明によれば、突き刺し抵抗性のみでなく耐切創性をも有する防護用布帛となる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、布帛を作製し、これに高圧流体噴射加工を施すことによって布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化し絡ませるので、容易に防護用布帛を得ることができると共に、公知の防護用布帛を原料として用いた場合には、さらに優れた突き刺し抵抗性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の防護用布帛は、下記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛に、高圧流体噴射加工などを施し、布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化し絡ませたものである。布帛は、織物、編物の他、不織布などであってもよく、マイクロフィラメント化した繊維が絡み合っておればよい。布帛のカバーファクターが1200未満の場合は、布帛組織の間隔が粗になるため、マイクロフィラメント化後であっても十分な突き刺し抵抗性を付与することが困難となり、一方、カバーファクターが2200を超える場合は、織編物などの作製が困難となる。カバーファクターは、1300〜2200の範囲が好ましい。
【0024】
【数2】

但し、Dp:経糸繊度(デシテックス)
Df:緯糸繊度(デシテックス)
Np:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)
【0025】
本発明の防護用布帛は、所望の繊度の長繊維フィラメント束を用いて製織、製編することにより得ることができる。上記の織編物を構成する経糸および緯糸繊度は、用途目的に応じ、耐切創性、伸縮性、柔軟性、風合い等を考慮して適宜選択すればよい。繊度は、100デシテックス〜4000デシテックスの範囲が好ましく、より好ましくは215デシテックス〜3300デシテックスの範囲である。100デシテックス未満では製織等の製造が難しくなり、4000デシテックスを超えると厚みが大きくなり柔軟性の求められる布帛には向かなくなる。
【0026】
また、単糸繊度は、0.1デシテックス〜10デシテックスの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.4デシテックス〜5デシテックスの範囲である。0.1デシテックス未満では、製糸効率が低くコストアップとなり、10デシテックスを超えると剛性が高く、柔軟性の求められる布帛には向かなくなる。
【0027】
本発明において、布帛は従来公知の方法によって作成したものであれば良く、特に限定されない。織物は平織、綾織、朱子織等のいずれであっても良い。編物はよこ編み、たて編み等のいずれであっても良い。なかでも、平織織物が最も好ましく、繊維が拘束される箇所が最も多いからである。
【0028】
本発明に係る防護用布帛を製造する場合、上記の布帛に高圧流体噴射加工を施し、布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化させて、繊維間を微細に絡ませる。高圧流体噴射加工は特に限定されず、空気流体加工、液流体加工のいずれであっても良いが、単繊維をマイクロフィラメント化し、絡まり合わせる方法として最も効果的な方法は、ウォータージェットパンチによる方法である。
【0029】
ウォータージェットパンチの最大処理水圧は、5〜30MPaであることが好ましい。より好ましくは10〜25MPaである。ここでいう最大処理水圧とは、ウォータージェットパンチ装置に設置された複数本のノズル中、最も高い水圧を意味するものである。最大処理水圧が5MPa未満の場合、布帛表面の繊維が充分マイクロフィラメント化しないのに加え、繊維間の絡合も充分でないため、好ましくない。一方、最大処理水圧が30MPaを超える場合は、繊維のマイクロフィラメント化が進み繊維の脱落が増えるのに加えて、繊維の強度が低下するため、好ましくない。最大処理水圧は、前記範囲の中で繊維の強度やその時の繊維束の太さなどによって、適宜決定すればよい。
【0030】
ウォータージェットパンチ処理は、例えば孔径が0.05〜2.0mmの噴射孔を、孔間隔0.3〜10mmで一列あるいは複数列に多数配列した装置であって、噴射圧力を5〜30MPaとして高圧水流を噴射させるウォータージェットパンチ装置を用いて、従来のウォータージェットパンチ方法に従って行うことができる。噴射孔と布帛との距離は、1cm〜10cm程度とするのがよい。
【0031】
布帛を構成する繊維は、有機繊維、無機繊維のいずれであっても、ウォータージェットパンチによってマイクロフィラメント化可能なものであれば良い。それらのなかでも、高強度かつ高弾性率の高機能繊維を用いるのが、突き刺し抵抗性に加えて布帛に耐切創性も付与できる点より好ましい。
【0032】
高機能繊維としては、JIS L 1013に基づいて測定される引張強度が10cN/デシテックス以上、好ましくは15cN/デシテックス以上という高引張特性と、JISL 1013に基づいて測定される引張り弾性率が400cN/デシテックス以上という高弾性率とを満足する繊維が好ましく使用される。引張強度が10cN/dtex以上、かつ、引張り弾性率が400cN/dtexの高機能繊維を用いることにより、布帛に高度の耐摩耗性、耐鉤裂き性を付与することができるからである。
【0033】
かかる高機能繊維を構成する素材としては、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば株式会社クラレ製、商品名「ベクトラン」)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡株式会社製、商品名「ザイロン」)、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば東洋紡株式会社製、商品名「ダイニーマ」)、LCP(液晶ポリマー)繊維などが挙げられる。本発明の布帛は、上記高機能繊維の1種類からなっていてもよいし、任意の2種以上からなっていてもよい。
【0034】
これらの繊維のなかでも、マイクロフィラメント化しやすく、それによって奏される効果も優れている点から、アラミド繊維が好ましい。
【0035】
前記アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維があり、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名「ノーメックス」)などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。また、パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「テクノーラ」)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、高強度特性および高弾性率であり、耐切創性、耐熱性に優れると共に、ウォータージットパンチ処理によってマイクロフィラメント化し易い点から、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が特に好ましい。該アラミド繊維は、公知またはそれに準ずる方法で製造でき、また、上記のような市販品を用いてもよい。
【0037】
本発明に係る防護用布帛は、高機能繊維などを用いて製織、製編した後、高圧流体噴射加工を施すことによって得られた布帛を、それぞれ単独で1枚又は2枚以上重ね合わせたもの、あるいは、これらを組合せ適宜な順序で積層して2枚以上重ね合わせたものを用いることができる。
【0038】
また、本発明に係る防護用布帛は、上記の方法で得られた布帛の全部又は一部分に、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を塗工し、樹脂加工を施しても良い。
【実施例】
【0039】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各特性値の測定方法は次の通りである。
【0040】
[突き刺し抵抗力]
オートグラフSD−100装置を用いて、針が試料を突き刺さるときの抵抗力(g)を測定した。試料のセット(固定)は、次の治具を使用し測定した。中央部に幅10mm長さ18mmのスリットを有する板状のサンプル支持板2枚の間に、しわ及びたるみが生じないように試料をはさんで固定し、針を試験片に90°(垂直)の角度で突き刺さるようにセットし、針先を試料に100mm/分の速度で押し付け、針が試料を突き刺さるときの最大荷重を測定し、n=5の平均値で示した。
針は、家庭用ミシン針(オルガン針社製#11)を使用した。
【0041】
[耐切創性試験]
ISO13997「防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に準拠し、切創抵抗値を測定した。カット方向は45度方向とした。表中の耐切創性は、次式により求められる値である。耐切創性=(切創抵抗値/目付)×100
【0042】
[供試試料]
実験で用いた織物は次のとおりである。
織物A〜Dは、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率490cN/dtex)を経糸と緯糸に用い、表1に示す糸繊度と織密度にて、表1に示す各々の平組織の織物を得た。
織物Eは、E.I.デュポン社(du Pont de Numours and Co.)から、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)159」引張強度23.8cN/dtex、引張弾性率620cN/dtex)を経糸と緯糸に用いた、表1に示す糸繊度と織密度の平組織の織物を購入した。
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例1)
上記で用意した各々の織物(織物A〜E)の片面に、処理速度1m/min、最大処理水圧20MPaで1回ウォータージェットパンチ(WJP)処理を施し、布帛を得た。
【0045】
[WJP処理の処理条件]
・処理装置:PERFOJET社「JETLACE(登録商標)」
・ノズル径:直径0.1mm
・ノズル列:1列
・ノズルピッチ:0.6mm
・ノズル噴射孔と布帛との距離:1.5cm
【0046】
織物Dから得られた布帛表面を電子顕微鏡(×2,000倍)で観察した結果を、写真(図1)に示す。繊維がマイクロフィラメント化して繊維間で微細に交絡していることがわかる。
【0047】
また、得られた布帛の突き刺し抵抗力の測定結果を表2に、耐切創性の測定結果を表3に示す。なお、積層枚数は1枚(単層)と3枚にて測定した。
【0048】
(比較例1)
ウォータージェットパンチ(WJP)処理前の各々の織物(織物A〜E)の、突き刺し抵抗力の測定結果を表2に、耐切創性の測定結果を表3に示す。積層枚数は、実施例と同様に、1枚(単層)と3枚にて測定した。
【0049】
(実施例2)
上記で用意した各々の織物(織物A〜E)の片面に、最大処理水圧13MPaのほかは実施例1と同じ条件でウォータージェットパンチ(WJP)処理を施し、布帛を得た。得られた布帛は、織物がマイクロフィラメント化して繊維間で微細に交絡したものであった。得られた布帛の突き刺し抵抗力の測定結果を表2に示す。なお、積層枚数は1枚(単層)にて測定した。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
表2および表3の結果から、突き刺し抵抗性および耐切創性の高い布帛が得られていることがわかる。
【0053】
なお、図2は実施例1のウォータージェットパンチ処理後の織物Dの表面を観察した電子顕微鏡写真である(×30倍)。図3はウォータージェットパンチ処理前の織物Dの表面を観察した電子顕微鏡写真である(×30倍)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る防護用布帛は、手袋、作業用手袋、エプロン、前掛け、作業服、手甲、脚絆などの防護用衣料として使用できるだけでなく、該布帛を保護を必要とする個所へ適用して使用することもできる。また、インナー素材として使用することもできる。また、刃物等の貫通を防止する必要のある場所に、カバー布として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ウォータージェットパンチ処理後の布帛表面の拡大顕微鏡写真である。
【図2】ウォータージェットパンチ処理後の布帛表面の顕微鏡写真である。
【図3】ウォータージェットパンチ処理前の布帛表面の顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡み合っていることを特徴とする防護用布帛。
【数1】

但し、Dp:経糸繊度(デシテックス)
Df:緯糸繊度(デシテックス)
Np:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)
【請求項2】
前記マイクロフィラメント化処理が、高圧流体噴射加工である請求項1に記載の防護用布帛。
【請求項3】
前記高圧流体噴射加工が、ウォータージェットパンチ処理で、その最大処理水圧が5〜30MPaの範囲である請求項2に記載の防護用布帛。
【請求項4】
前記布帛を構成する繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の防護用布帛。
【請求項5】
下記式(1)で示されるカバーファクター(CF)が1200〜2200の範囲にある布帛に、高圧流体噴射加工を施し、該布帛表面の繊維をマイクロフィラメント化して絡まり合わせることを特徴とする防護用布帛の製造方法。
【数2】

但し、Dp:経糸繊度(デシテックス)
Df:緯糸繊度(デシテックス)
Np:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)
【請求項6】
前記高圧流体噴射加工が、ウォータージェットパンチ処理で、その最大処理水圧が5〜30MPaの範囲である請求項5に記載の防護用布帛の製造方法。
【請求項7】
前記布帛を構成する繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項5又は6に記載の防護用布帛の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−107139(P2007−107139A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299898(P2005−299898)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】