説明

防錆被覆鋼撚線の製造方法

【課題】
低リラクセーションの防錆被覆鋼撚線を安価に得られる防錆被覆鋼撚線の製造方法の提供。
【解決手段】
複数の鋼素線1,1…を撚り合わせた鋼撚線Aを合成樹脂押出成形機4,5に通して防錆被覆処理を施し、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填するとともに合成樹脂材が充填された鋼撚線Aの外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆する防錆被覆鋼撚線の製造方法において、各鋼素線1,1…を撚り合わせて鋼撚線Aを形成した後、鋼撚線Aにブルーイング処理を施し、ブルーイング処理により加熱された鋼撚線Aを合成樹脂押出成形機4,5に通し、鋼撚線Aに防錆被覆処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にPC線材や張弦梁用の緊張用弦材等に用いられる防錆被覆鋼撚線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC線材や張弦梁用の緊張用弦材等に用いられる防錆被覆鋼撚線の製造においては、鋼素線からなる芯線の周りに複数の鋼素線からなる側線を配し、それを撚線機により撚り合わせて鋼撚線となし、それを別の防錆加工場に移して防錆被覆処理を施している。
【0003】
鋼撚線の製造においては、各鋼素線を撚り合わせた後、鋼撚線を300℃〜350℃に加熱してブルーイング処理を施して鋼撚線の引張強さ、弾性限、疲労限等を改善したり、鋼撚線を300℃〜350℃程度に加熱しながら引張荷重を加えるなどして一定の永久歪を与え、その後冷却すること(所謂、ホットストレッチング処理)によりリラクセーションの低下を図ったりしている。
【0004】
一方、防錆被覆処理においては、上記のブルーイング処理又はホットストレッチング処理を施した鋼撚線を200℃〜300℃程度に加熱し、それをクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通し、鋼撚線の各鋼素線間の空隙に熱可塑性の合成樹脂材を充填するとともに、鋼撚線の外周を合成樹脂材で被覆するようになっている。
【特許文献1】特開昭57−198211号公報
【特許文献2】特許第2537457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の如き従来の技術では、撚線工程と防錆被覆工程とを別の場所にて行う為、両作業場間で製品、即ち鋼撚線を輸送するのに費用がかかり、製品のコストアップの要因となっているという問題があり、また、作業するにあたり、鋼撚線のディスケール(錆落とし)が必要等の問題があった。
【0006】
また、防錆加工を行う際に、ブルーイング処理又はホットストレッチング処理を施した鋼撚線を再度加熱するため、リラクセーションの増大等、ホットストレッチング処理による効果が損なわれるという問題があり、更に、再度加熱するために高価な加熱装置を必要とするため作業コストが増大するという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題を鑑み、低リラクセーションの防錆被覆鋼撚線を安価に得られる防錆被覆鋼撚線の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、複数の鋼素線を撚り合わせた鋼撚線を加熱し、該加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆する防錆被覆鋼撚線の製造方法であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、各鋼素線を撚り合わせて鋼撚線を形成した後、該鋼撚線にブルーイング処理を施し、該ブルーイング処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加え、鋼撚線に加熱処理しながら一定の永久歪を与え、該加熱処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆し、その後前記鋼撚線を冷却することにある。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3の構成に加え、鋼撚線を合成樹脂押出成形機に通す前に、更に誘導加熱装置により加熱することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3又は4の構成に加え、熱可塑性合成樹脂材がポリエチレン系又はポリプロピレン系の合成樹脂材であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1の構成に加え、鋼撚線を250℃以下で加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る防錆被覆鋼撚線の製造方法は、複数の鋼素線を撚り合わせた鋼撚線を加熱し、該加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆することにより、内部空隙内に好適に合成樹脂材が充填され、高い防錆効果を得ることができる。
【0015】
各鋼素線を撚り合わせて鋼撚線を形成した後、該鋼撚線にブルーイング処理を施し、該ブルーイング処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆することにより、撚線工程と防錆被覆工程とを同じラインで行うことができるので従来の各作業場間の輸送費を減らすことができ、防錆被覆を行う際の加熱にブルーイング処理における熱を利用するので、加熱装置を除くことができるとともに全体の工程を減らすことができ、費用が低減される。
【0016】
鋼撚線に加熱処理しながら一定の永久歪を与え、該加熱処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆し、その後前記鋼撚線を冷却することにより、防錆被覆処理によってリラクセーションが増大しないようにし、低リラクセーションの防錆被覆鋼撚線を得ることができる。
【0017】
鋼撚線を合成樹脂押出成形機に通す前に、更に誘導加熱装置により加熱することにより、安定した加熱状態を得ることができる。
【0018】
熱可塑性合成樹脂材がポリエチレン系又はポリプロピレン系の合成樹脂材であることにより、流動性を失わず好適に充填及び被覆することができる。
【0019】
鋼撚線を250℃以下で加熱することにより、ブルーイング又はホットストレッチング処理の温度を利用せず、他の防錆加工ラインで作業を行うような場合であっても、鋼撚線の品質、特にリラクセーションの劣化を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明方法に使用する防錆被覆鋼撚線の製造装置の概略を示している。
【0021】
この防錆被覆鋼撚線の製造装置は、複数の鋼素線1,1…を撚り合わせて鋼撚線Aとなす撚線機2と、鋼撚線Aにブルーイング処理を施すためのブルーイング用加熱機3と、鋼撚線Aの各鋼素線1,1…間の空隙に熱可塑性合成樹脂材を充填するクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機4と、鋼撚線Aの外周に合成樹脂材を被覆するクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機5と、冷却装置6とを備え、撚線工程、ブルーイング処理工程、防錆被覆工程及び冷却工程を順次行うことにより防錆被覆鋼撚線Bを製造するようになっている。
【0022】
撚線機2は、各鋼素線1,1…を巻き取ったリール7,7…と、各リール7,7…より図示しない送り装置により繰出される各鋼素線1,1…をまとめて撚り合わせる撚り部8とを備え、各リール7,7…より繰出された各鋼素線1,1…を撚り部8で芯線1aの周囲にその他の鋼素線からなる側線1b,1b…が配置された状態に束ねるとともに、それを螺旋状に撚り合わせて鋼撚線Aを形成するようになっている。
【0023】
ブルーイング用加熱機3は、送り込まれた鋼撚線Aを酸化媒体中で高周波誘導加熱コイル若しくは直接通電機構により300℃〜350℃で加熱し、鋼撚線Aの表面が青色の酸化膜で覆われるようになっている。
【0024】
一次処理用合成樹脂成形機4は、図2に示す如きクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機を使用している。この成形機4には、クロスへッド部9の先端延長方向に補助加圧ヘッド10が接合され、その先端に成形ダイス11が備えられている。
【0025】
成形ダイス11は、内周を鋼撚線Aの外形より樹脂被覆の厚さだけ大きくした円形状に成形したものを使用している。尚、図中12は加熱機である。
【0026】
外周被覆用合成樹脂成形機5は、図3に示すクロスヘッド型合成樹脂押出成形機を使用している。この成形機5のクロスヘッド部13の先端に成形ダイス14が装着されている。
【0027】
成形ダイス14は、一次処理用合成樹脂成形機4で一次被覆処理された一次被覆処理鋼撚線外面形状より外周被覆分だけ大きくした形状に成形したものを使用している。
【0028】
次に、防錆被覆鋼撚線の製造方法について説明する。
【0029】
まず、撚線機2により各鋼素線1,1…を撚り合わせ、図4に示す如き芯線1aの周囲に複数の側線1b,1b…が配置され、それが螺旋状に撚り合わされた鋼撚線Aを形成する。
【0030】
次に、この鋼撚線Aをブルーイング用加熱機3に通し、300℃〜350℃で加熱し、ブルーイング処理を施す。
【0031】
ブルーイング処理の施された鋼撚線Aは、表面が青色の酸化膜に覆われる。
【0032】
そして、このブルーイング処理が施されて加熱された状態にある鋼撚線Aを一次処理用合成樹脂成形機4に通し、クロスへッド部9及び補助加圧ヘッド10の中心に鋼撚線Aを通して連続送りさせ、この間に熱可塑性合成樹脂材を溶融させてクロスヘッド部9内に押し出し、補助加圧ヘッド10内を通過中に、前記合成樹脂材を鋼撚線Aの外周より鋼素線1,1…間の空隙を通して内部空隙15,15…内に加圧注入させる。
【0033】
これと同時に、鋼撚線Aの外周面を合成樹脂材で被覆する。これにより図5に示すように、内部充填16及び外周に一次被覆17がなされる。
【0034】
このとき、鋼撚線Aは、ブルーイング処理により加熱されているため、再加熱しなくとも合成樹脂材の流動性が損なわれることがなく、各空隙部15及び外周部(一次被服部)に合成樹脂材を好適に充填することができ、ブルーイング処理による効果を損なうこともない。
【0035】
尚、内部充填及び一次被覆に使用する合成樹脂材には、ポリエチレン系等の高硬質熱可塑性合成樹脂材又は飽和ポリエステル系合成樹脂材等の熱可塑性の合成樹脂材が使用できる。
【0036】
次に、外周被覆用合成樹脂成形機5に通し、鋼撚線Aの外周を熱可塑性の合成樹脂材により外周被覆18を施す。その際、鋼撚線Aは、ブルーイング処理及び内部充填処理による余熱によって熱可塑性の合成樹脂材の流動性が損なわれず、好適に鋼撚線Aの外周を被覆することができるようになっている。
【0037】
尚、外周被覆用の合成樹脂材には、ポリエチレン系、飽和ポリエステル系若しくはナイロン系の硬質熱可塑性合成樹脂材を使用する。
【0038】
これにより被覆の外周面に、外周被覆18が融着状態で一体化され、これが冷却装置6に送り込まれる。この冷却装置6で冷却させることにより、一次被覆17及び外周被覆18が略同時に固化される。この冷却の際に各合成樹脂材が収縮されるが、鋼撚線Aの外周には螺旋状の凹凸があるため、凹部と凸部とでは被覆の厚みに差ができ、そのため樹脂が冷えて収縮する際に「引け」と呼ばれる現象が起こり、被覆の厚みが大きい部分が大きく引けることとなり、防錆被覆鋼撚線Bの断面形状は円形にならず、図6に示すように丸みを帯びた形状となる。
【0039】
尚、上述の実施例では、鋼撚線Aの外周に図5、図6に示すように外周被覆18(一次被覆17)を施したが、図7に示すように、鋼撚線Aの外周形状に合わせて、即ち鋼撚線A外周の螺旋状の凹凸を保った形状に外周被覆18を施すようにしても良い。
【0040】
最後に防錆被覆鋼撚線Bをリール19に巻き取り完成する。
【0041】
尚、図8に示すように、ブルーイング用加熱機3と一次処理用合成樹脂成形機4との間にブレーキ付の定速送り装置20と、ホットストレッチング用加熱機21とを設置するとともに、冷却装置6の後に引張装置22を配置し、ブルーイング処理を施した鋼撚線Aを定速送り装置20、ホットストレッチング用加熱機21、合成樹脂押出成形機4,5、冷却装置6及び引張装置22に順次通し、低レラクセーション処理を施すようにしてもよい。上述の実施例と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
定速送り装置20は、一対のクローラ23,23を備え、両クローラ23,23間に鋼撚線Aを挟み移動させるようになっており、ブルーイング処理の施された鋼撚線Aが一定速度で送られるようになっている。
【0043】
ホットストレッチング用加熱機21は、高周波誘導加熱コイル若しくは直接通電機構により鋼撚線Aを300℃〜350℃に加熱するようになっている。
【0044】
引張装置22は、定速送り装置20と同様に一対のクローラ24,24からなり、防錆被覆処理後の防錆被覆鋼撚線Bを両クローラ24,24にて挟み込んで引張し、定速送り装置20にて制動されつつ一定速度で送り込まれた鋼撚線Aに、その最大引張強さの約70%程度の引張力を附加させて引張するものであり、トルクコンバータ等により引張力を制御するものが好ましい。
【0045】
この加熱条件下で鋼撚線Aが定速送り装置20と引張装置22との間で引張されることによって一定の永久歪が付与されるようになっている。
【0046】
この製造装置では、ブルーイング処理が施された鋼撚線Aが定速送り装置20にて一定速度で送られながらホットストレッチング用加熱機21で加熱され、加熱された状態にある鋼撚線を一次処理用合成樹脂成形機4及び外周被覆用合成樹脂成形機5に通し、各鋼素線1,1…間の空隙に合成樹脂材が充填した後、鋼撚線Aの外周に合成樹脂材による外周被覆18が形成される。
【0047】
このとき、鋼撚線Aは、ブルーイング処理による加熱に加え、ホットストレッチング用加熱機21にも加熱されているので合成樹脂材がその流動性を失わずに好適に空隙に内部充填されるとともに外周に被覆を形成することができる。
【0048】
そして、防錆被覆処理が施された防錆被覆鋼撚線Bが冷却装置6により冷却されることにより、低リラクセーション処理がなされる。
【0049】
尚、上述の実施例では、7本撚りの鋼撚線Aを使用した例について説明したが、その他、図9〜図12に示す19本撚り鋼撚線、その等の多数本撚りの鋼撚線を使用してもよい。
【0050】
図9、図10に示す防錆被覆鋼撚線は、鋼素線からなる芯線1aの周りに芯線1aより径の小さい複数の側線1b,1b…を配置し、更に側線1b,1b…の外側に芯線1aと略同径の複数の外側線1c,1c…を配置し、それを螺旋状に撚り合わせ形成された鋼撚線Cを使用し、図9に示す防錆被覆鋼撚線Dは、上述の図6に示す防錆被覆鋼撚線Bと同様に、内部充填16とともに一次被覆17が施され、その外周に外周被覆18が施されている。
【0051】
一方、図10に示す防錆被覆鋼撚線Eは、内部充填16を施すとともに、鋼撚線Cの外周に鋼撚線Cの外周形状に合わせて、即ち螺旋状の凹凸を保った状態に外周被覆18が施され、その外周被覆18の外周には,螺旋の方向に連続した小凸条30,30…が一体に形成されている。
【0052】
また、図11、図12に示す防錆被覆鋼撚線は、鋼素線からなる芯線1aの周りに芯線1aと略同径の側線1b,1b…を配置し、その側線1b,1b…の外側に芯線1aよりも径の大きな外側線1c,1c…と径の小さな外側線1d,1d…とを周方向に交互に配置し、それを撚り合わせることにより形成された鋼撚線Fを使用し、図11に示す防錆被覆鋼撚線Gは、上述の図6に示す防錆被覆鋼撚線Bと同様に、内部充填16とともに一次被覆17が施され、その外周に外周被覆18が施されている。
【0053】
一方、図12に示す防錆被覆鋼撚線Hは、内部充填16を施すとともに、鋼撚線の外周に鋼撚線Fの外周形状に合わせて、即ち螺旋状の凹凸を保った状態に外周被覆18が施され、その外周被覆18の外周には,螺旋の方向に連続した小凸条30,30…が一体に形成されている。
【0054】
また、上述の実施例では、撚線工程、ブルーイング処理工程、ホットストレッチング工程及び防錆被覆工程を一つのラインで連続して行う例について説明したが、撚線工程を別ラインにて行うようにしてもよい。
【0055】
更に、上述の実施例では、ブルーイング用加熱機3又はホットストレンチング用加熱機12の後に一次処理用合成樹脂成形機4を配置した例について説明したが、ブルーイング用加熱機3又はホットストレッチング用加熱機21と一次処理用合成樹脂成形機4との間に誘導加熱装置を設置し、鋼撚線Aを一次処理用合成樹脂成形機4に通す前に、更に誘導加熱装置により加熱するようにしてもよい。
【0056】
このようにすると、少ない熱量で所定の温度に鋼撚線Aを加熱することができるので、経済的であり、温度にむらが無くなり精度が向上する。
【0057】
また、上述の実施例では、防錆被覆鋼撚線が外周被覆18を備えた例について説明したが、防錆被覆鋼撚線を外周被覆工程を行わずに図5に示すように内部充填及び一次被覆のみの構成としてもよい。
【0058】
尚、ブルーイング又はホットストレッチング処理の温度を利用せず、他の防錆加工ラインで作業を行うような場合にあっては、合成樹脂押出成形機に通す前に鋼撚線を250℃以下で加熱することにより、鋼撚線の品質、特にリラクセーションの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る防錆被覆鋼撚線の製造方法に使用する製造装置の概略を示す模式図である。
【図2】同上の一次処理用合成樹脂成形機を示す断面図である。
【図3】同上の外周被覆用合成樹脂成形機を示す断面図である。
【図4】本発明方法で使用する鋼撚線の一例を示す断面図である。
【図5】同上の内部充填及び一次被覆処理を施した鋼撚線を示す断面図である。
【図6】同上の防錆被覆鋼撚線を示す断面図である。
【図7】本発明方法により製造される防錆被覆鋼撚線の他の一例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る防錆被覆鋼撚線の製造方法に使用する製造装置の他の一例の概略を示す模式図である。
【図9】本発明方法により製造される防錆被覆鋼撚線の更に他の一例を示す断面図である。
【図10】同上の防錆被覆鋼撚線の更に他の一例を示す断面図である。
【図11】同上の防錆被覆鋼撚線の更に他の一例を示す断面図である。
【図12】同上の防錆被覆鋼撚線の更に他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
A 鋼撚線
B 防錆被覆鋼撚線
C 鋼撚線
D,E 防錆被覆鋼撚線
F 鋼撚線
G,H 防錆被覆鋼撚線
1 鋼素線
2 撚線機
3 ブルーイング用加熱機
4 一次処理用合成樹脂成形機
5 外周被覆用合成樹脂成形機
6 冷却装置
7 リール
8 撚り部
9 クロスヘッド部
10 補助加圧ヘッド
11 成形ダイス
12 加熱機
13 クロスヘッド部
14 成形ダイス
15 空隙
16 内部充填
17 一次被覆
18 外周被覆
19 リール
20 定速送り装置
21 ホットストレッチング用加熱機
22 引張装置
23 クローラ
24 クローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼素線を撚り合わせた鋼撚線を加熱し、該加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆することを特徴としてなる防錆被覆鋼撚線の製造方法。
【請求項2】
各鋼素線を撚り合わせて鋼撚線を形成した後、該鋼撚線にブルーイング処理を施し、該ブルーイング処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆する請求項1に記載の防錆被覆鋼撚線の製造方法。
【請求項3】
鋼撚線に加熱処理しながら一定の永久歪を与え、該加熱処理により加熱された状態にある鋼撚線をクロスヘッド型の合成樹脂押出成形機に通して、各鋼素線間に形成された空隙内に熱可塑性の合成樹脂材を充填した後、該合成樹脂材が充填された鋼撚線の外周を熱可塑性の合成樹脂材で被覆し、その後前記鋼撚線を冷却する請求項1又は2に記載の防錆被覆鋼撚線の製造方法。
【請求項4】
鋼撚線を合成樹脂押出成形機に通す前に、更に誘導加熱装置により加熱する請求項1、2又は3に記載の防錆被覆鋼撚線の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性合成樹脂材がポリエチレン系又はポリプロピレン系の合成樹脂材である請求項1〜3又は4に記載の防錆被覆鋼撚線の製造方法。
【請求項6】
鋼撚線を250℃以下で加熱する請求項1に記載の防錆鋼撚線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−28664(P2006−28664A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206638(P2004−206638)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000132873)株式会社タイムスエンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】