説明

限定再生型情報記憶媒体及びそのためのコーティング配合物

本発明は、限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のための配合物であって、1種以上のキャリヤー材料又は硬化性アクリレートモノマー、キャリヤー材料又はアクリレートモノマー中に配置された1種以上の反応性物質、及び1種以上の接着材料中に配置された1種以上の光漂白抑制物質を含む反応性配合物を提供する。1種以上の光漂白抑制物質は、ポリヒドロキシスチレン、セルロース及び官能化セルロース誘導体からなる群から選択される1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶媒体に関する。さらに具体的には、本発明は限定再生型記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
光媒体、磁気媒体及び光磁気媒体は高性能記憶技術の主たる源であり、記憶量1メガバイト当たりの手ごろな価格と共に高い記憶容量を可能にする。光媒体の使用は、コンパクトディスク(CD)、DVD−5やDVD−9のような多層構造及びDVD−10やDVD−18のような多面フォーマットを含むディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、光磁気ディスク(MO)、並びにCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどの他の追記型及び書換型フォーマットのようなフォーマット(以後は総称的に「情報記憶媒体」という)のオーディオ、ビデオ及びコンピューターデータ用途で広く普及している。これらのフォーマットでは、データは基板上にディジタルデータ系列としてエンコードされる。CDのような光媒体に関する先行記録媒体では、データは、射出成形、スタンピングなどの方法で塑性物質基板の表面に形成されたピット及び溝からなるのが通例である。
【0003】
ある種の用途では、光ディスクが限定された寿命を有することが望ましい。例えば、ソフトウェアの購入を勧誘するため、サンプル用コンピュータープログラムが潜在的な顧客に提供される。かかるプログラムは、限定された期間だけ使用するように想定されている。さらに、現在では音楽や映画が限定された期間だけレンタルされている。これらの用途及びその他の用途の各々では、期間が満了した時点でディスクを返却しなければならない。レンタル期間の終了時に返却する必要のない、機械で読出し可能な光ディスクに対するニーズが存在している。限定再生型ディスクは、このような課題に対する解決策を提供する。
【0004】
限定再生型ディスクは、様々なやり方で製造されてきた。一つの方法は、反射層を多孔質層で保護することにより、所定期間後に反射層が酸化されてしまうようにディスクを形成することからなっていた。反射層が一定の酸化レベルに達すると、ディスクはもはや読出し可能でなくなる。この限定再生技術及び他の限定再生技術に関する問題点は、これらの技術が無効化し得ることである。光ディスクに限定再生性を付与する方法が顧客又は零細企業によって容易に無効化し得るならば、ディスクはもはや「限定再生型」でなくなる。例えば、被膜又は材料が光ディスクを再生不可能にしている場合には、その被膜及び/又は材料を単に除去又は変性するだけで、非限定再生可能性をもったディスクを得ることができる。
【0005】
映画スタジオ側からは、その知的財産を保護することが強く要望されている。容易に無効化されて非限定再生可能性をもった情報記憶媒体を与え得る限定再生型情報記憶媒体の商品化は、知的財産の損失という容認できないリスクをもたらすであろう。
【特許文献1】米国特許出願第10/657631号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のためのコーティング配合物であって、
1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
1種以上のキャリヤー、及び
1種以上の反応性物質
を含んでなるコーティング配合物に関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のための接着剤配合物であって、
1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
1種以上の硬化性アクリレートモノマー、及び
1種以上の反応性物質
を含んでなる接着剤配合物に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、1種以上のキャリヤー、及び1種以上の反応性物質(例えば、ロイコメチレンブルー)を含む反応層を有する限定再生型光記憶媒体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲では多くの用語を用いるが、以下の意味を有するものと定義される。
【0010】
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
【0011】
「任意」又は「任意には」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合を包含する。
【0012】
情報記憶媒体の光漂白は、媒体を「限定再生型」にする反応性物質と共に1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物を使用することで効果的に低減されることが判明した。不透明状態の反応性物質が光漂白効果を受ける場合、「使用済み」の限定再生型記憶媒体を光漂白条件に暴露することは、場合によっては、限定され綿密に管理された期間内だけ読出し可能な情報記憶媒体を提供するという製造業者の意図を無効にすることがある。ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンコポリマー並びにセルロース及びその誘導体のような高分子ポリヒドロキシ化合物を限定再生型光記憶媒体の反応層中に単独で又は組み合わせて存在させた場合、これらは意外にも光漂白を抑制又は防止するのに有効であることが見出された。
【0013】
酸素に暴露すると、本質的に無色である反応性物質(例えば、ロイコメチレンブルー)は酸化されて不透明層又は半透明層(例えば、濃青色染料であるメチレンブルー)を形成する。不透明/半透明層を有する情報記憶媒体は、もはやメディアプレイヤーで再生できない。それが不透明になる時間を調整することで、反応層は所定の用途に対して所望の寿命を有する限定再生型情報記憶媒体を得るために使用できる。このように反応性物質層のみを用いて製造した限定再生型情報記憶媒体は、例えば、不透明状態の反応性物質を十分に透明にして記憶媒体の読出しを継続できるようにする光漂白条件下で容易に「無効化」される(即ち、媒体はもはや「限定再生型」でなくなる)。前述の通り、反応層中にポリヒドロキシスチレン化合物、セルロース誘導体又はこれらの組合せを使用すれば、光漂白条件への暴露で無効化できない限定再生型情報記憶媒体が得られる。
【0014】
使用できるポリヒドロキシスチレン化合物の例には、ヒドロキシスチレンのホモポリマー、及びヒドロキシスチレンと1種以上のオレフィンコモノマーとのコポリマーがある。通例、これらのヒドロキシスチレンポリマーは、対応するアセトキシスチレンポリマーの加水分解で導かれる。好適なオレフィンコモノマーには、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、スチレン、エチレン、テトラフルオロエチレンなどがある。こうして製造したポリヒドロキシスチレンコポリマーは、単独で又は組み合わせて使用できると共に、ポリヒドロキシスチレンホモポリマーとのブレンドとしても使用できる。本発明の一実施形態では、反応層はポリヒドロキシスチレン化合物としてポリ(ヒドロキシスチレン−コ−メチルメタクリレート)を含む。本発明の別の実施形態では、反応層はポリヒドロキシスチレン化合物として樹枝状構造を有する枝分れポリヒドロキシスチレンを含むが、かかる化合物は4−ヒドロキシ−α−メチルベンゼンメタノール(CHEMFIRST社製のPHS−B)の脱水及びオリゴマー化で製造できる。使用できる追加の高分子ポリヒドロキシスチレン化合物は、INDSPEC社製のPENACOLITEのようなフェノール−ホルムアルデヒド及びレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合生成物である。
【0015】
前述の通り、限定再生型光記憶媒体中に存在する反応性染料層として使用される配合物は、不透明になった後の反応性染料層の光漂白を防止するために役立つ1種以上の高分子ポリヒドロキシスチレン化合物を含んでいる。ポリヒドロキシスチレン化合物に加えて、セルロース及びその誘導体も「使用済み」光情報記憶媒体(例えば、「使用済み」DVD)の光漂白を防止又は抑制するのに有効であることが見出された。本発明に従って使用するのに適した好適なセルロース誘導体には、セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどがある。
【0016】
情報記憶媒体は、通例、第一の基板、第二の基板、反応性物質又は染料層、データ層及び反射層を含んでいる。第一及び第二の基板の少なくとも一方は、読出しレーザー波長で低い複屈折及び高い光透過率を有する(即ち、光媒体装置で読出し可能である)光学的に透明な材料(例えば、ガラス又はプラスチック)である。通例、読出しレーザー波長は約390〜約430ナノメートルの範囲内(青色及び青紫色レーザー)又は約630〜約650ナノメートルの範囲内(赤色レーザー)にある。通例、第二の基板が光学的に透明であり、情報記憶媒体を媒体装置で読出し可能にするのに十分な光学的透明度(例えば、約±100nm以下の複屈折)を有する材料からなっている。光学的に透明な第二の基板は、反応層とレーザー入射面との間に位置している。理論的には、これらの性質を示す任意の材料を第二の基板として使用できる。コスト、加工性及び取扱いの容易性に関係する多くの理由により、第一及び第二の基板の両方にとってプラスチック材料が好ましい。
【0017】
第一の基板及び第二の基板の両方に使用されるプラスチックは、以後の加工パラメーター(例えば、ほぼ室温(約25℃)から約150℃までのスパッタリング温度のような、以後の層設置の際のパラメーター)及び以後の保存条件(例えば、約70℃までの温度を有する高温の自動車内での保存)に耐える必要がある。即ち、かかるプラスチックは各種の層の蒸着段階中及び最終使用者による保存中の変形を防止するのに十分な熱安定性を有することが望ましい。使用可能なプラスチックは、約100℃以上、好ましくは約125℃以上、さらに好ましくは約150℃以上、さらに一段と好ましくは約200℃以上のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリカーボネートなど)を包含する。約250℃を超えるガラス転移温度を有する材料がさらに好ましく、例えば、とりわけm−フェニレンジアミンをスルホンジアニリン又はオキシジアニリンで置換したポリエーテルイミド、並びにポリイミドや上述のプラスチックの1種以上を含む組合せなどがある。一般に、ポリカーボネートが好ましい。
【0018】
基板材料の若干の使用可能な例には、特に限定されないが、非晶質、結晶質及び半結晶質の熱可塑性材料、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(特に限定されないが、線状及び環状ポリオレフィンを包含し、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン及びポリプロピレンなどを含む)、ポリエステル(特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートなどを含む)、ポリアミド、ポリスルホン(特に限定されないが、水素化ポリスルホンなどを含む)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリスチレン(特に限定されないが、水素化ポリスチレン、シンジオタクチック及びアタクチックポリスチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、スチレン−コ−アクリロニトリル、スチレン−コ−無水マレイン酸などを含む)、ポリブタジエン、ポリアクリレート(特に限定されないが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、メチルメタクリレート−ポリイミドコポリマーなどを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(特に限定されないが、2,6−ジメチルフェノールから導かれるもの、及び2,3,6−トリメチルフェノールとのコポリマーなどを含む)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON)のようなものがある。
【0019】
本明細書中で使用する「ポリカーボネート」及び「ポリカーボネート組成物」という用語は、下記の式(I)の構造単位を有する組成物を包含する。
【0020】
【化1】

式中、R基の総数の約60%以上は芳香族有機基であり、その残部は脂肪族基又は脂環式基である。好ましくは、Rは芳香族有機基であり、さらに好ましくは下記の式(II)の基である。
【0021】
【化2】

式中、A及びAの各々は単環式二価アリール基であり、YはAとAとを隔てる0、1つ又は2つの原子を有する橋かけ基である。例示的な一実施形態では、1つの原子がAとAとを隔てている。この種の基の非限定的な実例は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなどである。別の実施形態では、0の原子がAとAとを隔てており、その実例はビフェノールである。橋かけ基Yは、炭化水素基又は飽和炭化水素基(例えば、メチレン、シクロヘキシリデン又はイソプロピリデン)或いはヘテロ原子(例えば、−O−又は−S−)であり得る。
【0022】
ポリカーボネートは、ただ1つの原子がAとAとを隔てているジヒドロキシ化合物の反応で製造できる。本明細書中で使用する「ジヒドロキシ化合物」という用語は、例えば、下記の一般式(III)を有するビスフェノール化合物を包含する。
【0023】
【化3】

式中、R及びRは各々独立に水素、ハロゲン原子又は一価炭化水素基を表し、p及びqは各々独立に0〜4の整数であり、Xは下記の式(IV)の基の1つを表す。
【0024】
【化4】

式中、R及びRは各々独立に水素原子又は一価線状若しくは環状炭化水素基を表し、Rは二価炭化水素基である。
【0025】
好適なジヒドロキシ化合物の若干の非限定的な実例には、米国特許第4,217,438号に名称或いは式(一般式又は特定式)で開示されているもののような二価フェノール及びジヒドロキシ置換芳香族炭化水素が包含される。式(III)で表すことのできる種類のビスフェノール化合物の具体例の非排他的なリストには、以下のものが包含される。1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後は「ビスフェノールA」又は「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンなど、並びに上述のビスフェノール化合物の1種以上を含む組合せ。
【0026】
また、ホモポリマーではなくカーボネートコポリマーの使用が所望される場合には、2種以上の二価フェノールの重合から得られるポリカーボネート、或いは二価フェノールとグリコール、ヒドロキシ−若しくは酸−末端停止ポリエステル、二塩基酸、ヒドロキシ酸又は脂肪族二酸とのコポリマーを使用することも可能である。一般に、有用な脂肪族二酸は約2〜約40の範囲内の炭素原子を有する。好ましい脂肪族二酸はドデカン二酸である。
【0027】
ポリアリーレート及びポリエステルカーボネート樹脂又はこれらのブレンドも使用できる。枝分れポリカーボネート並びに線状ポリカーボネートと枝分れポカーボネートのブレンドも有用である。枝分れポリカーボネートは、重合時に枝分れ剤を添加することで製造できる。
【0028】
これらの枝分れ剤は公知であり、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、及び上述の枝分れ剤の1種以上を含む混合物であり得る3以上の官能基を含む多官能性有機化合物からなり得る。その具体例には、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸三塩化物、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビスフェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エチル)−α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸など、並びに上述の枝分れ剤の1種以上を含む組合せがある。枝分れ剤は、基板の全重量を基準にして約0.05〜約2.0重量%の範囲内のレベルで添加できる。枝分れ剤の例及び枝分れポリカーボネートの製造方法は、米国特許第3,635,895号及び同第4,001,184号に記載されている。本発明では、あらゆる種類のポリカーボネート末端基が想定されている。
【0029】
好ましいポリカーボネートは、A及びAの各々がp−フェニレンであり、YがイソプロピリデンであるビスフェノールAを基剤とするものである。好ましくは、ポリカーボネートの重量平均分子量は約5000〜約100000原子質量単位の範囲内、さらに好ましくは約10000〜約65000原子質量単位の範囲内、最も好ましくは約15000〜約35000原子質量単位の範囲内にある。
【0030】
ポリカーボネート合成の監視及び評価に際しては、ポリカーボネート生成物中に存在するフリース生成物の濃度を測定することが特に重要である。顕著なフリース生成物の生成はポリマーの枝分れを引き起こし、制御不可能な溶融物挙動をもたらすことがある。本明細書中で使用する「フリース」及び「フリース生成物」という用語は、下記の式(V)を有するポリカーボネート中の繰返し単位を意味する。
【0031】
【化5】

式中、Xは上記の式(III)に関連して記載した二価基である。
【0032】
ポリカーボネート組成物は、この種の樹脂組成物中に通常混入される各種の添加剤も含み得る。かかる添加剤は、例えば、充填材又は補強材、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、追加の樹脂、発泡剤など、並びに上述の添加剤の1種以上を含む組合せがある。
【0033】
基板材料の加工(例えば、溶融法によるポリカーボネートの製造)を助けるため、或いは基板材料の性質(例えば、粘度)を調節するため、触媒を使用することもできる。使用可能な触媒には、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルホスホニウムなどがあり、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルホスホニウムが好ましい。触媒は単独でも使用できるし、酸(例えば、リン酸)などの失活剤と組み合わせても使用できる。さらに、配合時にポリマー溶融物中に水を注入し、ベントから水蒸気として除去して残留揮発性化合物を除去することもできる。
【0034】
情報記憶媒体を製造するためには、まず最初に、各種の前駆体を適切に混合し得る通常の反応器(例えば、一軸又は二軸押出機、ニーダー、ブレンダーなど)を用いて基板材料を生成すればよい。押出機は、分解を引き起こすことなしに基板材料前駆体を溶融するのに十分高い温度に維持すべきである。例えばポリカーボネートに関しては、約220〜約360℃の範囲内、好ましくは約260〜約320℃の範囲内の温度が使用できる。同様に、押出機内の滞留時間は分解を最小限に抑えるように制御すべきである。約2分以上までの滞留時間が使用でき、約1.5分までが好ましく、約1分までが特に好ましい。所望の形態(通例はペレット、シート、ウェブなど)に押し出す前に、例えば溶融濾過、スクリーンパックの使用、又はこれらの組合せにより、混合物を任意に濾過して望ましくない夾雑物又は分解生成物を除去できる。
【0035】
プラスチック組成物が生成された後、各種の成形技術、加工技術又はこれらの組合せを用いてそれを基板に成形できる。使用可能な技術には、射出成形、フィルムキャスティング、押出し、プレス成形、吹込み成形、スタンピングなどがある。基板を製造した後、電気めっき、(スピンコート法、吹付け塗り、蒸着、スクリーン印刷、塗装、浸し塗りなどの)コーティング技術、ラミネーション、スパッタリングなど、並びに上述の加工技術の1以上を含む組合せのような追加の加工を用いて基板上に所望の層を配設できる。通例、基板は約600ミクロン以下の厚さを有する。
【0036】
キャリヤー及び反応性物質の両方を含むコーティング配合物である反応層は、最初は情報記憶媒体装置によるデータ検索を可能にするのに十分な透過性を有し、後には該装置によるデータ検索を阻止する層(例えば、所定装置中のレーザーの波長で十分な量の入射光、反射光又はこれらの組合せを吸収する層)を形成する必要がある。通例、反射層からの初期パーセント反射率を約50%以上とする層が使用でき、約65%以上の初期パーセント反射率が好ましく、約75%以上の初期パーセント反射率がさらに好ましい。媒体が所望の期間(例えば、媒体の所望許容再生時間)にわたって酸素(例えば、空気)に暴露された後には、該層は好ましくは約45%以下のパーセント反射率を示し、約30%以下が好ましく、約20%以下がさらに好ましく、約10%以下が特に好ましい。
【0037】
使用可能な反応性物質には、酸素感受性「ロイコ」形(即ち、還元形)のメチレンブルー、ブリリアントクレジルブルー、ベーシックブルー3及びトルイジン0、並びに上述の物質の1種以上を含む反応生成物や組合せ、及び上述の反応性物質のいずれかの保護形態がある。代表的な酸素感受性染料の構造を以下に示す。
【0038】
【化6】

本発明の一実施形態では、酸素感受性反応性物質は、以下に「TIPSOCLMB」と表示されたN−(トリイソプロピルシリルオキシカルボニル)ロイコメチレンブルーからなる。
【0039】
【化7】

別の使用可能な反応性物質には、約48時間を超えると再酸化される染料がある。
【0040】
下記の酸化−還元反応式は、酸化形メチレンブルーから還元「ロイコ」形への水素化ホウ素ナトリウム還元、及び酸素依存性再酸化による高度着色形メチレンブルー染料の生成を示している。
【0041】
【化8】

本発明に従って使用される高分子ポリヒドロキシ化合物は、光漂白を効果的に低減させる。本明細書中で使用する「光漂白を効果的に低減させる」とは、不透明で再生不可能なディスクを最小限再生可能なディスクに変えるために必要な光漂白条件下での露光時間を測定する光漂白試験に関係する。即ち、限定再生型情報記憶媒体が「読出し不可能」から「読出し可能」に変わると見なされる臨界反射率に達するのに要する時間が、1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物が反応性染料層中に存在する場合には、前記高分子ポリヒドロキシ化合物が存在しない場合より顕著に長くなることをいう。典型的には、臨界反射率は約20%未満であり、さらに典型的には、臨界反射率は約10%未満である。
【0042】
高分子ポリヒドロキシ化合物は、典型的には反応層の全重量を基準にして約1〜約20重量%、さらに典型的には約3〜約15重量%、最も典型的には約5〜約10重量%に相当する量で存在する。
【0043】
上述の反応性物質に加え、その他多数の染料及び遮光性物質を合成及び商業的供給源を通じて入手し、情報記憶媒体を限定再生型にするために使用できる。例えば、他の好適な反応性物質は米国特許第4,404,257号及び同第5,815,484号に開示されている。反応性物質は単独の分子種であってもよいし、構造的に同種又は異種の反応性物質の混合物であってもよい。
【0044】
反応層中の反応性物質の量は、情報記憶媒体の所望寿命に依存する。反応層中の反応性物質の量は、最小では反応層の全重量を基準にして約1重量%であり、約2重量%が好ましい。反応性物質の最大量は約10重量%であり、約7重量%が好ましく、約6重量%がさらに好ましく、約5重量%がさらに一段と好ましい。反応層中の反応性物質の量は、酸素に暴露された媒体の最終反射率が好ましくは10%未満になるようにすべきである。
【0045】
反応性物質は、好ましくは、基板の表面の少なくとも一部に対する付着、含浸、又は付着と含浸の組合せのためにキャリヤーと混合されて反応層を形成する。キャリヤーは、典型的には反応層の全重量を基準にして約65〜約95%の範囲内、さらに典型的には約70〜約80%の範囲内で存在する。使用可能なキャリヤーには、熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、UV硬化性有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド樹脂、ビニル樹脂など、並びに上述のキャリヤーの1種以上を含む組合せがある。ポリエステルには、例えば、例えばフマル酸又はマレイン酸をはじめとする脂肪族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類との反応生成物、並びに上述のものの1種以上を含む反応生成物及び混合物がある。
【0046】
キャリヤーとして使用できる若干のエポキシ樹脂には、1つ又は複数のエポキシ官能基を含むモノマー、ダイマー、オリゴマー又はポリマーのエポキシ材料がある。その例には、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物、エピクロロヒドリンとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との反応生成物、などがある。その他の有機樹脂は、米国特許第3,697,395号及び同第3,697,402号(Kehrら)に示されているようなポリオレフィンとポリチオールの混合物の形態のものであり得る。
【0047】
本明細書中で使用する「熱可塑性アクリルポリマー」という用語は、1種以上のアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーの重合で得られる熱可塑性ポリマーをその範囲内に包含するものである。これらのモノマーは、下記の一般式(VII)で表される。
【0048】
【化9】

式中、Wは水素又はメチル基であり、Rはアルキル基、好ましくは約1〜約20の範囲内の炭素原子を含むアルキル基である。Rで表されるアルキル基の若干の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどがある。
【0049】
式(VII)で表されるアクリル酸エステルモノマーの若干の非限定的な例には、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどがある。式(VII)で表されるメタクリル酸エステルモノマーの若干の非限定的な例には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなど、並びに上述のものの1種以上を含む反応生成物及び組合せがある。
【0050】
上述のアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーのコポリマーも、本明細書中で使用される「熱可塑性アクリルポリマー」という用語の範囲内に包含される。好ましくは、熱可塑性アクリルポリマーはポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸)のコポリマーである。アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーの重合による熱可塑性アクリルポリマーの製造は、任意の公知重合技術で行うことができる。熱可塑性アクリルポリマーは、典型的には約0.300立方センチメートル/グラム(cm−1)未満、さらに典型的には約0.250cm−1未満、最も典型的には約0.200cm−1未満の固有粘度を有する。
【0051】
基板に対する反応層の密着性を向上させるため、これらの間にプライマーを使用できる。プライマーとして有用な熱可塑性アクリルポリマーには、ただ1種のアクリル酸エステルモノマーから導かれたアクリルホモポリマー、ただ1種のメタクリル酸エステルモノマーから導かれたメタクリルホモポリマー、2種以上のアクリル酸エステルモノマー、2種以上のメタクリル酸エステルモノマー、又はアクリル酸エステルモノマーとメタクリル酸エステルモノマーから導かれたコポリマーなど、並びに上述のプライマーの1種以上を含む組合せがある。
【0052】
上述の熱可塑性アクリルポリマーの2種以上(例えば、2種以上のアクリルホモポリマー、2種以上のアクリルコポリマー、2種以上のメタクリルホモポリマー、2種以上のメタクリルコポリマー、アクリルホモポリマーとメタクリルホモポリマー、アクリルコポリマーとメタクリルコポリマー、アクリルホモポリマーとメタクリルコポリマー、アクリルコポリマーとメタクリルホモポリマー、及びこれらの反応生成物)の混合物も使用できる。
【0053】
任意には、塗装、浸し塗り、吹付け、スピンコート法、スクリーン印刷などの各種コーティング技術を用いて基板上に反応層を設置できる。例えば、反応層は、ポリカーボネートに対して実質的に不活性であるが(即ち、ポリカーボネートを攻撃したりそれに悪影響を及ぼしたりしないが)、キャリヤーを溶解し得る比較的揮発性の溶媒(好ましくは有機溶媒)と混合できる。一般に、溶媒中のキャリヤーの濃度は約5重量%以上であり、約10重量%以上が好ましい一方、ポリマーの上限は約25重量%であり、約20重量%以下が好ましい。若干の好適な有機溶媒の例には、エチレングリコールジアセテート、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、低級アルカノールなどがある。一般に、コーティング溶液中の溶媒の濃度は約70重量%以上であり、約75重量%以上が好ましい一方、ポリマーの上限は約95重量%であり、約85重量%以下が好ましい。
【0054】
反応層は、艶消し剤、界面活性剤、チキソトロープ剤など、並びに上述の添加剤の1種以上を含む反応生成物及び組合せのような各種添加剤も任意に含み得る。
【0055】
反応層の厚さは、使用する特定の反応性物質、反応層中でのその濃度、並びに初期及び所望期間後における反応層の所望吸収特性に依存する。反応層は最小で約1ミクロン(μ)の厚さを有し得るが、約2μが好ましく、約3μがさらに好ましい。上限については、厚さは約15μ以上までであり得るが、約10μまでが好ましく、約6μまでがさらに好ましい。例えば、反応層を通しての初期パーセント反射率を約50%以上にし、24時間後のパーセント反射率を約30%以下にするためには、該層は好ましくは約1〜約25μの範囲内の厚さを有し、約2〜約5μの範囲がさらに好ましい。
【0056】
通例、反応層は反射層と第二の基板との間に配設される。反応層及び反射層は、第一の基板と第二の基板との間にサンドイッチ状態にあり得る。サンドイッチ状態にある反応層は、サンドイッチ状態にない場合の反応層に関するパーセント反射率である第二のパーセント反射率を超える第一のパーセント反射率を有する。
【0057】
通例、成形された基板は、反応層を基板上に配設する前に脱気される。さらに、反応層を形成するために使用する反応体は、通例は不活性環境中に保たれる。記憶媒体を製造した後、ディスクは使用時まで不活性環境中に保たれるのが通例である。通例、脱気は任意の不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン又はヘリウム)を用いて行うことができる。
【0058】
記録型媒体では、データはレーザーでエンコードされる。レーザーで照射された活性データ層は相変化を受け、それによってデータストリームを構成する一連の高反射性又は非反射性領域を生じる。これらのフォーマットでは、レーザービームはまず基板を通過してからデータ層に達する。データ層では、ビームはエンコードされたデータに従って反射されるか、又は反射されない。次いで、レーザー光は基板を通って戻り、光検出装置に入射し、そこでデータが解釈される。したがって、データ層は基板と反射層との間に配設される。光用途のためのデータ層は、通例、基板層上に設けられたピット、溝又はこれらの組合せである。好ましくは、データ層は基板の表面に埋め込まれている。通例、基板は射出成形−圧縮技術を用いて製造される。この場合、金型には本明細書中で定義された溶融ポリマーが充填される。金型はプレフォーム、インサートなどを含み得る。ポリマーを冷却し、それが少なくとも部分的に溶融した状態にあるうちに圧縮することで、らせん状、同心円状又は他の適当な整列状態に配列された所望の表面構造(例えば、ピット及び/又は溝)を基板の所望部分(例えば、所望領域の片面又は両面)に刻印する。
【0059】
磁気用途又は光磁気用途のための使用可能なデータ層は、検索可能なデータを記憶し得る任意の材料からなり得る。その例には、特に限定されないが、酸化物(例えば、酸化ケイ素)、希土類元素−遷移金属合金、ニッケル、コバルト、クロム、タンタル、白金、テルビウム、ガドリニウム、鉄、ホウ素、及び上述のものの1種以上を含む組合せや合金、有機染料(例えば、シアニン系及びフタロシアニン系染料)並びに無機相変化化合物(例えば、TeSeSn、InAgSbなど)がある。
【0060】
反射層は、データ検索を可能にするのに十分な量のエネルギー(例えば、光)を反射するのに十分な厚さを有するべきである。通例、反射層は約700Å程度までの厚さを有し得るが、約300〜約600Åの範囲内の厚さが一般に好ましい。使用可能な反射層には、金属(例えば、アルミニウム、銀、金、ケイ素、チタン、及び上述の金属の1種以上を含む合金や組合せ、など)をはじめとして、特定のエネルギー場を反射し得る任意の材料がある。
【0061】
限定再生型ポリカーボネート情報記憶媒体の一例は、射出成形ポリカーボネート基板を含んでいる。基板上に配設し得る他の各種層には、誘電体層、接着剤層、保護層、並びに上述の層の1以上を含む組合せがある。光媒体は、例えば、保護層、反射層、誘電体層及びデータ層を含むと共に、基板に接触した追加の誘電体層及び接着剤層を介して基板の反対側に配設された吸光層を含み、反応層は基板と吸光層との間に配設されることがある。情報記憶媒体の形態はディスク形に限定されず、読出し装置に適応し得る任意の寸法及び形状のものであり得ることは言うまでもない。
【0062】
粉塵、油及びその他の夾雑物からの保護を行う保護層は、約100ミクロン(μ)超から約10Å未満までの厚さを有し得るが、若干の実施形態では約300Å以下の厚さが好ましく、約100Å以下の厚さが特に好ましい。保護層の厚さは、通常、少なくとも一部では、使用する読出し/書込み機構の種類(例えば、光機構、磁気機構又は光磁気機構)によって決定される。使用可能な保護層には、特に、金、銀、窒化物(例えば、とりわけ窒化ケイ素及び窒化アルミニウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素など)、酸化物(例えば、二酸化ケイ素など)、ポリマー材料(例えば、ポリアクリレート及びポリカーボネート)、炭素フィルム(ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素など)、並びに上述の材料の1種以上を含む組合せのような耐食性材料がある。
【0063】
通例はデータ層の片側又は両側に配設されてしばしば熱制御体として使用される誘電体層は、通例、最大では約1000Å以上、最小では約200Å以下の厚さを有し得る。使用可能な誘電体層には、環境に適合すると共に好ましくは周囲の層との反応性をもたない材料のうち、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど)、酸化物(例えば、酸化アルミニウム)、硫化物(例えば、硫化亜鉛)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)及び上述の材料の1種以上を含む組合せがある。
【0064】
上述の層の任意の組合せを接着できる接着剤層も存在し得る。本発明の一実施形態では、本明細書中に記載した「反応層」は、1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物及び1種以上の反応性物質を含む接着剤配合物を用いて形成される接着剤として役立つ。光漂白が重大な制約条件となる限定再生用途で使用すべき接着剤配合物中に混入するために適する高分子ポリヒドロキシ化合物及び反応性物質は、コーティング配合物に適するものとして本明細書中に記載した高分子ポリヒドロキシ化合物及び反応性物質である。通例、接着剤層が反応性物質を含む場合、それはロイコメチレンブルー型の酸素感受性反応性染料であることが好ましい。各種の接着剤配合物中では、好ましい酸素感受性反応性染料はN−(トリイソプロピルシリルオキシカルボニル)ロイコメチレンブルー(TIPSOCLMB)である。「TIPSOCLMB」は、ロイコメチレンブルーの固有酸素感受性をトリガーするために「脱保護」しなければならない保護形のロイコメチレンブルーを表す。接着剤配合物は、通例は接着剤配合物の全重量を基準にして約0.5〜約10重量%、好ましくは約1〜約7重量%、さらに好ましくは約1〜約4重量%の反応性物質を含んでいる。
【0065】
接着剤配合物は、酸素が透過できる接着剤層を形成し得ると共に、データ検索装置に出入りする光が媒体を通して伝送されるのを実質的に妨害しない(例えば、該装置が使用する光の波長で実質的に透明であり、及び/又は媒体からの反射率を約50%以上、好ましくは約65%以上、さらに好ましくは約75%以上にする)任意の材料を含み得る。接着剤配合物の好適な成分には、(架橋アクリレートなどを与える)UV硬化性アクリレート、シリコンハードコートを与える配合物など、並びに上述の材料の1種以上を含む反応生成物及び組合せがある。UV材料の他の例は、米国特許第4,179,548号及び同第4,491,508号に記載されている。若干の有用な多官能性アクリレートモノマーには、例えば、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート又はこれらの混合物がある。
【0066】
一実施形態では、接着剤配合物は単一の多官能性アクリレートモノマーを含む。別の実施形態では、接着剤配合物は1種以上の多官能性アクリレートモノマーと1種以上のモノアクリレートとの混合物を含む。任意には、接着剤配合物は、未硬化接着剤の約50重量%以下の量で非アクリル系のUV硬化性脂肪族不飽和有機モノマーを含み得る。脂肪族不飽和有機モノマーは、N−ビニルピロリドン、スチレンなどで例示される。若干の例では、接着剤配合物は脂肪族不飽和有機モノマー並びに上述の材料の1種以上を含む反応生成物及び組合せの両方を含み得る。
【0067】
若干の実施形態では、接着剤配合物は、接着剤配合物の光硬化を行わせるのに有効な量の光開始剤を含む。一般に、光開始剤の量は接着剤配合物の全重量を基準にして約0.01重量%(好ましくは約0.1重量%)〜約10重量%(好ましくは約5重量%)に相当する。使用可能な光開始剤には、UV線に暴露されると好適な硬質被膜を形成するケトン型及びヒンダードアミン型物質のブレンドがある。ケトン化合物とヒンダードアミン化合物との重量比は約80/20〜約20/80であることが好ましい。通常、約50/50又は約60/40混合物が極めて満足できる。
【0068】
好ましくは窒素のような非酸化雰囲気中で使用される他の使用可能なケトン型光開始剤には、ベンゾフェノン及び他のアセトフェノン類、ベンジル、ベンズアルデヒド及び0−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、9,10−フェナントレンキノン、9,10−アントラキノン、メチルベンゾインエーテル、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシアセトフェノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオール−2−o−ベンゾイルオキシム、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、ホスフィンオキシドなどがある。さらに、上述の光開始剤の1種以上を含む反応生成物及び組合せも包含される。
【0069】
接着剤配合物の光硬化は、吸光層による影響を受けることもある。約330〜約390ナノメートルの範囲内の1以上の波長で約5%を超える光を透過する吸光層、さらに好ましくは約360〜約370ナノメートルの範囲内の1以上の波長で約10%を超える光を透過する吸光層を使用する場合には、接着剤配合物を硬化させることで形成した接着剤層は向上した接着能力を有する。接着剤層が「向上した接着能力」を有する場合、情報記憶媒体が45%反射率に達するのに要する時間は、上述の範囲外の光を吸収する吸光層を有する情報記憶媒体が45%反射率に達するのに要する時間を上回る。
【0070】
任意には、接着剤配合物はまた、艶消し剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、UV光安定剤、UV吸収剤、及び/又はレゾルシノールモノベンゾエートや2−メチルレゾルシノールジベンゾエートなどの安定剤、並びに上述のものの1種以上を含む組合せ及び反応生成物も任意に含み得る。かかる安定剤は、未硬化UV層の重量を基準にして約0.1重量%(好ましくは約3重量%)〜約15重量%の量で存在し得る。
【実施例】
【0071】
当業者が本発明をさらに適切に実施できるようにするため、限定ではなく例示を目的として以下の実施例を示す。
【0072】
例1
PMMA/酸化ロイコメチレンブルーコーティング溶液の調製
INEOS ACRYLICS社から入手できるELVACITE 2008ポリ(メチルメタクリレート)(固有粘度約0.183cm−1)111グラムをボトル内の1−メトキシ−2−プロパノール450グラムに添加し、ローラーミル上で転がして溶解させることで、PMMAの1−メトキシ−2−プロパノール溶液を調製した。得られた溶液をフラスコに移し、溶液の表面上に約100cc/min(立方センチメートル/分)の窒素流をゆっくりと流しながら約80℃に加熱して、PMMAの脱気1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。この「脱気」溶液を、窒素圧により、ゴム隔膜を備えた無酸素ボトルにカニューレで移した。
【0073】
ゴム隔膜を備えた250ミリリットル(mL)フラスコに、メチレンブルー三水塩(4.85グラム)、ショウノウスルホン酸(2.05グラム)及び1−メトキシ−2−プロパノール(148.3グラム)を仕込んだ。窒素入口及び出口の両方に注射針を用いてフラスコ内に約100cc/minの速度で窒素流を流しながら、混合物を撹拌し、90℃に維持した水浴上で加熱した。次いで、熱い(80℃)溶液に、2−エチルヘキサン酸スズ(II)(20.9グラム)を注射器で添加してメチレンブルーを濃いこはく色のロイコメチレンブルーに還元した。得られた溶液に、1.1mLの流動性添加剤(BYK Chemie社から入手できるBYK−301)を添加した。この溶液を、上記で調製した脱気PMMA溶液にカニューレで注入した。
【0074】
得られたPMMA/ロイコメチレンブルーコーティング溶液を周囲条件下で空気に1週間以上暴露したところ、その間にロイコメチレンブルーは酸化してメチレンブルー及びPMMAを含む溶液を生成した。本明細書中では、この溶液をポリ(メチルメタクリレート)/酸化ロイコメチレンブルー(PMMA/酸化ロイコメチレンブルー)コーティング溶液という。
【0075】
例2
PMMA/酸化ロイコメチレンブルーで被覆したディスクの製造及びディスク反射率の測定
実施例1で調製したPMMA/酸化ロイコメチレンブルーコーティング溶液約3mLを、スピンコーター上に保持したDVDの内径の周囲にリングとして塗布した。600回転/分(rpm)で60秒間スピンコートした後、コーティングは不粘着性で濃い青色を示した。DR.SHENK PROmeteus測定器(モデルMT−136E)を用いて被覆ディスクの反射率を測定した。ここに記載した手順を用いて複数のディスクを製造し、DR.SHENK PROmeteus測定器を用いてこれらの反射率を測定した。初期平均反射率は4.9〜8.3%の範囲内にあった。
【0076】
例3〜6
表1に示すコーティング配合物を使用しながら、例1及び2に記載したようにして限定再生型DVDを製造した。
【0077】
【表1】


各溶液に関し、3つの試料をDVDディスクの表面上にスピンコートした(3mLアリコート、600rpm、60秒)。例2に記載したようにして初期反射率を測定した。試料をキセノンWEAHER−O−METER(「WoM」)内に20時間配置した。例2に記載したようにして最終反射率の測定を行った。表2に示す通り、結果を対照試料の結果と比較した。
【0078】
【表2】


反応層中にPHS(ポリヒドロキシスチレン、例6)を用いて製造したDVDは、反応層中にポリヒドロキシ誘導体を含まないDVD(例3)に比べて顕著に向上した耐光漂白性を示した。例5は、反応層中にPHS−co−MMA(ポリ(ヒドロキシスチレン−コ−メチルメタクリレート))コポリマーを使用すると、PHSのみの使用(例6)ほど良好ではないものの、対照試料に比べて多少向上した耐光漂白性を与えることを示している。反応層中へのPHSの使用(例6)は、4,4’−ビフェノールのような小分子のポリヒドロキシ化合物の使用(例4)に比べても向上した耐光漂白性を与える。
【0079】
例7〜9
アルミニウム蒸着ポリカーボネート製の「ハーフDVD」ディスク上に、表1の配合物溶液を用いて3つのフィルムをスピンコートした(3mLアリコート、600rpm、60秒)。追加の添加剤を含まない溶液を用いてさらに3つのフィルムをスピンコートし、これら3つの試料を対照品として使用した。次に、5mLのDAICURE SD698(Dai Nippon Inc.)接着剤をハーフディスクの内径上に供給した。無色透明のポリカーボネート製ハーフディスクをその上に配置し、この「サンドイッチ」を回転させた(1500rpm、20秒)。回転完了の直後、FUSION UV SYSTEMS,INC.のUV光装置(1.1J/cm、1.6W/cm)を用いてディスクを硬化させた。この操作を各試料について繰り返した。対照試料(例7)で認められる光漂白の抑制に関し、ポリヒドロキシスチレン(PHS)及び酢酸セルロースのような高分子ポリヒドロキシ化合物の有効性を例示するデータを表3に示す。
【0080】
【表3】


当業者が本発明をさらに適切に実施できるようにするため、限定ではなく例示を目的として反応性接着剤層用配合物に関する以下の実施例を示す。
【0081】
トリイソプロピルシリルオキシカルボニルロイコメチレンブルーを含むDVD接着剤の例示的な配合
A液
10.65g SR351トリアクリレート(SARTOMER社、トリメチロールプロ パントリアクリレート)
21.29g SR495アクリレート(SARTOMER社、カプロラクトンアクリレ ート)
0.124g TINUVIN 292(CIBA GEIGY社)
0.86g IRGACURE 819(CIBA GEIGY社)
5.0g ポリヒドロキシスチレン(CHEMFIRST社、PHS−8E01)
B液
0.8g TIPSOCLMB(FLEXPLAY社)
9.3g SR339アクリレート(SARTOMER社、フェノキシエチルアクリ レート)
C液
2.0g Sn(II)2−エチルヘキサノエート(ALDRICH社)

このDVD接着剤は、使用前の数時間以内に混合される3種の液(A、B及びC)を含む空気感受性組成物である。A液を調製するためには、まず空気中で静かに撹拌しながらSARTOMER社のモノマーSR351及びSR495を室温でブレンドし、次いで撹拌しながら60℃に約1時間加温してポリヒドロキシスチレン粉末(PHS−8E01)を溶解した。次に、弱めた照明条件下でIrgacure 819を添加し、撹拌及び加熱を約1.5時間続けた。この時点以後、粉末及び混合物全体を弱めた光又は黄色フィルターを通した光の下で取り扱った。最後に、Tinuvin 292を添加し、混合物を均質になるまで短時間だけ(約10分間)暗所で撹拌した。A液は比較的安定であり、使用までの数ヵ月間にわたり室温で暗所に貯蔵することができた。
【0082】
B液は、モレキュラーシーブ上に貯蔵してあったSARTOMER社のSR339PIフェノキシエチルアクリレートから調製した。SARTOMER社のSR339PIを清浄な乾燥したこはく色のガラスボトル内に入れ、次いでN−(トリイソプロピルシリルオキシカルボニル)ロイコメチレンブルー(以後は「TIPSOCLMB」)粉末を添加した。ボトルを密封した後、混合物を室温で約1時間撹拌した。この溶液は限られた貯蔵寿命(約1〜2ヵ月)を有しており、室温以下で暗所に乾燥条件下で貯蔵する必要があった。この配合物は−20℃で比較的安定であった。
【0083】
C液は、適当なサイズの容器にエチルヘキサン酸第一スズ(Aldrich社のSn(II)2−エチルヘキサノエート)を添加することで調製した。
【0084】
DVD接着剤の使用から数時間以内に、以下の手順を用いて3液を混合した。B液容器を開き、C液の全量を注射器で添加した。次いで、(今ではC液を含む)B液容器を閉じて激しく30秒間振りまぜた。次いで、A液容器を開き、B液容器の全内容物を添加した。次いで、A液容器を閉じて激しく1分間振りまぜ、超音波処理浴中に15分間配置した。得られたDVD接着剤配合物は成分A、B及びCの混合から4時間以内に使用した。
【0085】
DVDを接着するための例示的な手順
DVDハーフディスク(厚さ0.6mmのポリカーボネート)を、データ側を上に向けて実験室用スピンコーターの中心に配置した。ディスクを静止状態に保ちながら、ディスクの中心から直径約30〜40mmの位置に材料の一様な円形リングを描くようにして接着剤をデータ側に塗布した。次いで、へりが下部のディスクから離れる方向に僅かにそるようにして、接着すべきディスクを溶液に向けてゆっくりと降下させた。上部及び下部のディスクの間に空気が閉じ込められないように注意した。数秒後、接着剤が上部及び下部のディスクの間に広がった。若干の例では、材料がディスクの外径に到達するようにディスクを回転させた。ディスクを500〜1000rpmで約10秒間回転させることで、接着剤層を平坦にすると共に過剰の材料を除去する。この時点で、約1.5インチのランプ距離でフラッシュUVランプ(XENON CORPORATIONのRC742)を用いてディスクを約2秒間硬化させる。
【0086】
例10〜13
下記の表4中に示すように様々な濃度のポリヒドロキシスチレン(PHS)を含む、上述のDVD接着剤配合に基づく各種のDVD接着剤を用いて以下の試料を作製した。これらの例では、無色のGE LEXAN OQ1030ポリカーボネートを用いてDVD基板を成形した。接着後、DVDを1週間以上空気に暴露することで、反応性染料(ロイコメチレンブルー)をメチレンブルーに実質的に転化させた。次いで、酸化したディスクを、約5〜約5.5kW/mの放射束密度で動作するATLAS 3SUN XENON WEATHER−O−METER(WoM)内に下記表中に示した時間だけ配置する。DR.SCHENK PROmeteus MT−136光ディスクテスターを用いて、ディスクの反射率を露光前及び露光後に測定した。下記に示す反射率の値は、ディスクへの入射光に対する百分率として表した反射光の強度を示している。
【0087】
【表4】


反応性染料接着剤中にPHS(例11〜13)を用いて製造したDVDは、反応性染料接着剤中にポリヒドロキシ誘導体を含まないDVD(例10)に比べて顕著に向上した耐光漂白性を示した。さらに、耐光漂白性は高い濃度のPHSを使用するほど向上することもわかった(15%のPHSを含む例13は、それぞれ5%及び10%のPHSを含む例11及び例12より安定した露光後反射率を有する)。また、反応性染料接着剤の粘度も重要である。
【0088】
商業的な製造装置を用いて高品質のDVDを製造するためには、接着剤は25℃で約200〜600cP(センチポアズ)の粘度を有していなければならない。PHSのような高分子光漂白抑制添加剤を使用すれば、接着装置の粘度要件を満たすため、接着剤粘度を容易に修正することができる。これは、4,4’−ビフェノールのような小分子添加剤に比べ、高分子光漂白抑制添加剤を使用することの明らかな利点である。下記表中に示す通り、PHS濃度を5%から15%に増加させるのに伴って接着剤粘度は180cPから2430cPに上昇した。
【0089】
【表5】


例14〜17
以下の例は、接着剤に酢酸酪酸セルロースを添加した場合、耐光漂白性はポリヒドロキシスチレン(PHS)で認められる程度より一段と顕著に向上することを実証している。試料をWEAHER−O−METER内に一層長い時間(48時間)配置した。接着剤配合物がPHS及び酢酸酪酸セルロースの両方を含む例15では、例14(PHSのみ)に比べて露光に対する安定性の向上を示した。例16及び17(PHSなし)は顕著な光漂白を示したが、それでも酢酸酪酸セルロースの有益な効果は極めて明らかである。5%の酢酸酪酸セルロースでは、%反射率は50%超に増加した(例17)が、2%の酢酸酪酸セルロースでは、%反射率は61%超に増加した(例16)。これらの例も、高分子光漂白抑制剤の組合せが有利に使用できることを実証している。酢酸セルロース、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース系ポリマーのようなセルロース誘導体が、光漂白抑制剤としての意外な有効性を示した。
【0090】
【表6】

【0091】
【表7】


以上、好ましい実施形態を示して説明してきたが、本発明の技術思想及び技術的範囲から逸脱せずに様々な修正及び置換を行うことができる。したがって、本発明はもっぱら例示を目的として記載されたことを理解すべきであり、本明細書中に開示されたかかる例示及び実施形態は特許請求の範囲を限定するものと解すべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のためのコーティング配合物であって、
(a)1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
(b)1種以上のキャリヤー、及び
(c)1種以上の反応性物質
を含んでなるコーティング配合物。
【請求項2】
高分子ポリヒドロキシ化合物が、ポリヒドロキシスチレンホモポリマー、ポリヒドロキシスチレンコポリマー及びセルロース誘導体からなる群から選択される、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシスチレンコポリマーが、4−ヒドロキシスチレン誘導体を1種以上のオレフィンコモノマーと共に重合させることで製造される、請求項2記載のコーティング配合物。
【請求項4】
前記オレフィンコモノマーが、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、スチレン、エチレン及びテトラフルオロエチレンからなる群から選択される、請求項3記載のコーティング配合物。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシスチレンコポリマーがポリ(ヒドロキシスチレン−コ−メチルメタクリレート)である、請求項2記載のコーティング配合物。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシスチレンホモポリマーが枝分れポリヒドロキシスチレンである、請求項2記載のコーティング配合物。
【請求項7】
前記セルロース誘導体が、セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースからなる群から選択される、請求項2記載のコーティング配合物。
【請求項8】
前記反応性物質が、酸素感受性ロイコメチレンブルー、ブリリアントクレジルブルー、ベーシックブルー3、トルイジン0、上述の反応性物質の1種以上を含む組合せ、及び上述の反応性物質のいずれかの保護形態からなる群から選択される、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項9】
前記キャリヤーがポリ(メチルメタクリレート)からなり、前記反応性物質がロイコメチレンブルーからなる、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項10】
前記反応性物質が、当該コーティング配合物の全重量を基準にして約1〜約10重量%に相当する量で存在する、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項11】
前記反応性物質が、当該コーティング配合物の全重量を基準にして約4〜約7重量%に相当する量で存在する、請求項10記載のコーティング配合物。
【請求項12】
前記反応性物質が、当該コーティング配合物の全重量を基準にして約4〜約6重量%に相当する量で存在する、請求項11記載のコーティング配合物。
【請求項13】
前記キャリヤーが、熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、UV硬化性有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド樹脂、ビニル樹脂、並びに上述のキャリヤーの1種以上を含む反応生成物及び組合せからなる群から選択される、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項14】
前記キャリヤーが熱可塑性アクリルポリマーである、請求項13記載のコーティング配合物。
【請求項15】
前記熱可塑性アクリルポリマーがポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸)からなる、請求項14記載のコーティング配合物。
【請求項16】
前記キャリヤーが約0.300cm−1未満の固有粘度を有する、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項17】
前記キャリヤーが約0.250cm−1未満の固有粘度を有する、請求項16記載のコーティング配合物。
【請求項18】
前記キャリヤーが約0.200cm−1未満の固有粘度を有する、請求項17記載のコーティング配合物。
【請求項19】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、当該配合物の全重量を基準にして約1〜約20重量%に相当する量で存在する、請求項1記載のコーティング配合物。
【請求項20】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、当該コーティング配合物の全重量を基準にして約3〜約15重量%の範囲内で存在する、請求項19記載のコーティング配合物。
【請求項21】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、当該コーティング配合物の全重量を基準にして約5〜約10重量%の範囲内で存在する、請求項20記載のコーティング配合物。
【請求項22】
限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のためのコーティング配合物であって、
(a)ポリヒドロキシスチレンホモポリマー、
(b)約0.200cm−1未満の固有粘度を有するポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸)とポリメチルメタクリレートとからなるキャリヤー、及び
(c)N−(トリイソプロピルシリルオキシカルボニル)ロイコメチレンブルーからなる反応性物質
を含んでなり、前記ポリヒドロキシスチレンホモポリマーが反応層の全重量の約5〜約10重量%に相当する量で存在する、コーティング配合物。
【請求項23】
a)第一の光学的に透明な基板、
b)反射層、
c)前記基板と前記反射層との間に配設されたデータ層、
d)(i)1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
(ii)1種以上のキャリヤー、及び
(iii)1種以上の反応性物質
を含む反応層、並びに
e)第二の基板
を含んでなるデータ用限定再生型光記憶媒体。
【請求項24】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物がポリヒドロキシスチレンホモポリマーからなる、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項25】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物がポリ(ヒドロキシスチレン−コ−メチルメタクリレート)からなる、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項26】
前記第一の基板が塑性物質である、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項27】
前記塑性物質が、約100℃以上のガラス転移温度を有する1種以上の熱可塑性樹脂からなる、請求項26記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、並びに上述の熱可塑性樹脂の1種以上を含む混合物、コポリマー、反応生成物及び複合物からなる群から選択される、請求項27記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項29】
前記熱可塑性樹脂がポリカーボネートからなる、請求項28記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項30】
前記反応性物質が、酸素感受性ロイコメチレンブルー、還元形ブリリアントクレジルブルー、還元形ベーシックブルー3、還元形トルイジン0、及び上述の反応性物質の1種以上を含む組合せからなる群から選択される、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項31】
前記反応層がさらにポリ(メチルメタクリレート)及びロイコメチレンブルーを含む、請求項30記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項32】
前記反応性物質が、前記反応層の全重量を基準にして約1〜約10重量%の範囲内で存在する、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項33】
前記反応性物質が、前記反応層の全重量を基準にして約4〜約7重量%の範囲内で存在する、請求項33記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項34】
前記反応性物質が、前記反応層の全重量を基準にして約4〜約6重量%の範囲内で存在する、請求項33記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項35】
前記キャリヤーが、熱可塑性アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオレン、UV硬化性有機樹脂、ポリウレタン、熱硬化性アクリルポリマー、アルキド樹脂、ビニル樹脂、並びに上述のキャリヤーの1種以上を含む反応生成物及び組合せからなる群から選択される、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項36】
前記キャリヤーが熱可塑性アクリルポリマーである、請求項35記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項37】
前記熱可塑性アクリルポリマーがポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸)コポリマーからなる、請求項36記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項38】
前記キャリヤーが約0.300cm−1未満の固有粘度を有する、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項39】
前記キャリヤーが約0.250cm−1未満の固有粘度を有する、請求項38記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項40】
前記キャリヤーが約0.200cm−1未満の固有粘度を有する、請求項39記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項41】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、反応層の全重量の約1〜約20重量%に相当する量で存在する、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項42】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、反応層の全重量の約3〜約15重量%に相当する量で存在する、請求項41記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項43】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物が、反応層の全重量の約5〜約10重量%に相当する量で存在する、請求項42記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項44】
反射層が金属からなる、請求項23記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項45】
金属が、アルミニウム、銀、金、チタン、及びこれらの合金又は組合せからなる群から選択される、請求項44記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項46】
金属がアルミニウムからなる、請求項45記載の限定再生型光記憶媒体。
【請求項47】
a)光学的に透明なポリカーボネート、
b)反射層、
c)前記基板と前記反射層との間に配設されたデータ層、
d)第二の基板、並びに
e)前記反射層と前記第二の基板との間に配設された反応層であって、ポリヒドロキシスチレンホモポリマー、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸)コポリマー、ポリメチルメタクリレートホモポリマー及びロイコメチレンブルーを含み、前記コポリマーが約0.200cm−1未満の固有粘度を有する反応層
を含んでなるデータ用限定再生型光記憶媒体。
【請求項48】
限定再生型光記憶媒体用の反応性染料層のための接着剤配合物であって、
a)1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
b)1種以上の硬化性アクリレートモノマー、及び
c)1種以上の反応性物質
を含んでなる接着剤配合物。
【請求項49】
高分子ポリヒドロキシ化合物が、ポリヒドロキシスチレンホモポリマー、ポリヒドロキシスチレンコポリマー及びセルロース誘導体からなる群から選択される、請求項48記載の接着剤配合物。
【請求項50】
前記ポリヒドロキシスチレンコポリマーが、4−ヒドロキシスチレン誘導体を1種以上のオレフィンコモノマーと共に重合させることで製造される、請求項49記載の接着剤配合物。
【請求項51】
前記オレフィンコモノマーが、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、スチレン、エチレン及びテトラフルオロエチレンからなる群から選択される、請求項50記載の接着剤配合物。
【請求項52】
前記ポリヒドロキシスチレンコポリマーがポリ(ヒドロキシスチレン−コ−メチルメタクリレート)である、請求項49記載の接着剤配合物。
【請求項53】
前記ポリヒドロキシスチレンホモポリマーが枝分れポリヒドロキシスチレンである、請求項49記載の接着剤配合物。
【請求項54】
前記セルロース誘導体が、セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースからなる群から選択される、請求項49記載の接着剤配合物。
【請求項55】
前記反応性物質が、酸素感受性ロイコメチレンブルー、ブリリアントクレジルブルー、ベーシックブルー3、トルイジン0、上述の反応性物質の1種以上を含む組合せ、及び上述の反応性物質のいずれかの保護形態からなる群から選択される、請求項48記載の接着剤配合物。
【請求項56】
前記保護形態がN−(トリイソプロピルシリルオキシカルボニル)ロイコメチレンブルーである、請求項55記載の接着剤配合物。
【請求項57】
前記反応性物質が、当該接着剤配合物の全重量を基準にして約0.5〜約10重量%に相当する量で存在する、請求項48記載の接着剤配合物。
【請求項58】
前記反応性物質が、当該接着剤配合物の全重量を基準にして約1〜約7重量%に相当する量で存在する、請求項57記載の接着剤配合物。
【請求項59】
前記反応性物質が、当該接着剤配合物の全重量を基準にして約1〜約4重量%に相当する量で存在する、請求項58記載の接着剤配合物。
【請求項60】
前記硬化性アクリレートモノマーが、多官能性アクリレート及びモノアクリレートからなる群から選択される、請求項48記載の接着剤配合物。
【請求項61】
前記多官能性アクリレートがトリメチロールプロパントリアクリレートであり、前記モノアクリレートがフェノキシエチルアクリレートである、請求項60記載の接着剤配合物。
【請求項62】
さらにSn(II)2−エチルヘキサノエートを含む、請求項61記載の接着剤配合物。
【請求項63】
25℃で約200〜約600cPの範囲内の粘度を有する、請求項48記載の接着剤配合物。
【請求項64】
a)第一の光学的に透明な基板、
b)反射層、
c)前記基板と前記反射層との間に配設されたデータ層、
d)(i)1種以上の高分子ポリヒドロキシ化合物、
(ii)1種以上の硬化性アクリレートモノマー、及び
(iii)1種以上の反応性物質
を含む接着剤配合物から形成された反応層、並びに
e)第二の基板
を含んでなるデータ用限定再生型光記憶媒体。
【請求項65】
前記高分子ポリヒドロキシ化合物がポリヒドロキシスチレンホモポリマーからなる、請求項24記載の限定再生型光記憶媒体。

【公表番号】特表2007−505434(P2007−505434A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526069(P2006−526069)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/023219
【国際公開番号】WO2005/027110
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】