説明

限流遮断器

【課題】限流性能を向上し、装置の小型化、コスト低減を実現可能とする限流遮断器の提供。
【解決手段】直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチ(10、10)と、第1の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続された第1のダイオード(11)、第1のスナバ回路(12)、及び、第1の限流インピーダンス(13)と、前記第2機械スイッチの両端間に互いに並列に接続された第2のダイオード(11)、第2のスナバ回路(12)、及び、第2の限流インピーダンス(13)と、を備え、前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続され、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は限流遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の故障時の電流をある値以下に抑制する限流遮断器は、能動型と受動型の2種類に分類される。
【0003】
受動型は故障電流の自動検出と自動復帰を行う。能動型は、センサを用い、制御信号によって限流遮断器を動作させる。
【0004】
代表的な限流遮断器は、アーク駆動型、半導体スイッチ型、LC共振型、整流器型の外に超伝導を利用したタイプがある。なお、限流遮断器は、故障電流を限流することが目的であるが、最終的には遮断を行う必要があり、遮断機能があることが望ましい。
【0005】
図7は、アーク駆動型限流遮断器の一例である(電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.8より引用、原論文は、市川ほか、「6.6kV配電線用アーク駆動型限流遮断器のフィールド試験」平成13年電気学会B部門大会、No.342)。
【0006】
抵抗性の平行電極間にスイッチ(高速転流スイッチ)を開いてアークを点弧させ、アークに流れる電流と電極に流れる電流の作る磁場によってアークプラズマを高速で走行させ、電流を抑制する。図7の構成では、スイッチ(高速転流スイッチ)が200usで動作し、高速である。このため、第1波から限流動作に入ることが出来る。一般に、アークを消弧させるためにスイッチ部は密閉容器に内に設置され、SF6ガスや窒素ガスなどの絶縁ガスが充填されている。開発状況としては、6.6kV/400A(三相)、短絡容量150MVAの装置が試作され、実験が行われている。
【0007】
図8は、半導体方式の構成図の一例である(特許文献1の図12、電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.9より引用、原報告は、電気学会技術報告第850号「故障電流抑制用限流装置の適用技術と解析評価」p.4,2001年)。
【0008】
図8の構成は、機械式真空バルブ(VCB;vacuum circuit breaker:「真空遮断機」ともいう)と半導体スイッチ(GTOサイリスタ等)を複合して備えたものであり、「複合型半導体方式」とも呼ばれる。なお、図8の構成以外にも、並列2巻線型リアクトル複合方式などがある。
【0009】
図8の限流遮断器の動作について説明する。通常は、機械スイッチ(VCB)に電流が流れている。系統故障発生時には短絡電流を検出して、VCBがopenして、電極間にアークが発生する。同時に、半導体スイッチ(SCR(thyristor)やGTO(gate turn off thyristor))にトリガー信号が入り、ON状態になる。すると、VCBのアークプラズマの電圧(=数十ボルト程度)よりも、半導体スイッチのON電圧(=数ボルト)は低いので、電流はVCBから半導体スイッチに転流する。この転流時間は、回路の抵抗とインダクタンス及びアーク電圧とON電圧の差によって決まる。但し、アーク電圧は、時間的に速やかに変動し、オシロスコープ等で観測すると一種スパイクノイズのようである。これは、VCB電極間に発生するアークプラズマが不安定であることが理由であり、転流によってVCBの電流が減少してある閾値を下回ると急激に減少しVCBに流れる電流はゼロになる。これによって、完全に転流は完成し、全ての電流が半導体スイッチに流れるようになる。
【0010】
半導体スイッチには、「自己消弧型」のデバイスと、「非消弧型」のデバイスがあり、前者の例としてはGTOがあり、後者はSCRなどがある。
【0011】
自己消弧型ではトリガー信号が途切れると、電流を遮断する機能が働く。しかしながら、その時に回路に流れている電流のエネルギーを全てデバイスが吸収する必要があるため(スナバ回路を含む)、場合によっては、デバイスを損傷することがあるため、デバイス特性を考慮したスナバ回路の設計が必要になる。
【0012】
非消弧型デバイスでは、デバイス自身が電流を遮断する機能はないが、交流回路のため電流が反転し、ゼロを横切るときにトリガー信号が入っていないと、その時点以降は電流が流れなくなり、電流遮断を行う。これはダイオードの整流作用と同じ現象である。
【0013】
以上のようにして、VCB及び半導体スイッチで電流が流れなくなると、故障電流は全て、図8の過電圧抑制素子又は限流インピーダンスに流れる。インピーダンスが大であるため、故障電流を抑制し、限流作用が働く。
【0014】
同様なタイプの限流遮断器としてVCBを用いずに半導体スイッチのみで構成するもの(「純半導体方式」という)もある。純半導体方式では、常時、電流が半導体スイッチに流れ、半導体スイッチへのトリガー信号が入力されなくなると、遮断動作に移行し、限流インピーダンスに電流が転流し、限流作用が働く。
【0015】
GTOやSCRのON電圧は、2.5V〜3.5V程度であり、機械スイッチVCBのON電圧は数十mV程度である。このため、半導体スイッチの放熱が必要であり、機器が大型化する。送電網の電力損失も大きくなるという問題がある。半導体スイッチに利用するデバイスの大型化により、コストも上昇する。これが、機械スイッチ(=VCB)と並列接続を行った大きな理由である。
【0016】
自己消弧型素子として、パワーMOSFETやIGBT(insulated gate bipoler transistor)が利用され、高速スイッチング動作可能であり、ON電圧も低い。
【0017】
そして、半導体材料としてSiC(炭化ケイ素)を用いると、放熱器などが不要になる等の特徴がある。しかしながらパワーMOSFETやIGBTは、その耐電圧が、GTOやSCRと比べて低く、電流も小さい。このため、大電力制御への応用は、先の話しである。
【0018】
以上の外には、超伝導材料を利用して、超伝導状態と常伝導状態のS/N転移現象を利用して回路のインピーダンスを大電流には大きくなるようにして事故電流を抑制する方式も開発が行われている。
【0019】
これは、高速動作することや事故検出を行わなくても良い能動型限流遮断器である特徴があるが、超伝導状態を保持するための冷凍機の消費電力が大であること、コストが高いことなどから、現時点では実用化の目途は立っていない。
【0020】
図9に示す例は、限流遮断器ではないが、現在広く使われている、気中遮断器の消弧部の断面構造を示している(電気学会編「電気工学ハンドブック(第6版)」p.755,2001年より引用)。気中遮断器は定格電流が200A〜6kA、定格遮断電流5〜125kAまでの機器が用いられている。この種の気中遮断器は遮断機能だけでなく、アークプラズマの消弧作用を通じて限流機能があることも大きな特徴である。遮断動作にはいると、スイッチ部が開になり、電極間でアークが発生する。図9の隔壁またはひだと、ディアイオングリッドの部位にアークプラズマがぶつかる。アーク電流自身が作る磁場、及び、吹消しコイルの作る磁場とアークプラズマ電流による電磁力によって吹き飛ばされるためである。
【0021】
隔壁は、電圧の低い家庭用などやAC600Vまでの機器では鉄が、図9のような構造で用いられている。アークプラズマがぶつかると、アークは、急激に冷やされるため、温度が下がり、アークプラズマの抵抗が大きくなると同時に、冷やされるため、プラズマ内のイオンと電子が再結合によって、電流キャリアが減少して、抵抗が急激に大きくなる。このため、ON電圧が急激に上昇し、限流作用が現れる。
【0022】
具体的な構造は、図10(「電気工学ハンドブック(第6版)」p.756より引用)に示すようなものとされ、故障電流を検知して高速(半サイクルから1サイクル)で遮断動作を行う。動作時間は、VCBなどと比べて1/10以下であり、大型のGCB(ガス遮断機)に比べて、2桁近く、速く動作をする。可動部の質量が小さく、駆動機構の力が大きいことによる。家庭や工場で多用されており、“No Fuse Breaker”(ノーヒューズブレーカ:NFB)と呼ばれ、受電側に取り付けられる。NFBは、事故検出回路を内蔵し、漏電から短絡事故などの大電流までを検出して遮断する能力がある。なお、NFBは、電圧がAC600Vまでの機種が入手できる。より高電圧ではVCBが利用されるのが一般的になっている。
【0023】
【特許文献1】特開2002−325355号公報(図12)
【非特許文献1】電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.8より引用、原論文は、市川ほか、「6.6kV配電線用アーク駆動型限流遮断器のフィールド試験」平成13年電気学会B部門大会、No.342
【非特許文献2】電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.9より引用、原報告は、電気学会技術報告第850号「故障電流抑制用限流装置の適用技術と解析評価」p.4,2001年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、限流性能を向上し、装置の小型化、コスト低減を実現可能とする限流遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願で開示される発明は前記課題を解決するため概略以下の構成とされる。
【0026】
本発明の一のアスペクト(側面)に係る限流遮断器は、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、前記第1の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続された第1のダイオード、第1のスナバ回路、及び、第1の限流インピーダンスと、前記第2の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続された第2のダイオード、第2のスナバ回路、及び、第2の限流インピーダンスと、を備え、前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続され、該アノード接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続されている。前記第1及び第2の機械スイッチはNFB型高速機械スイッチで構成してもよい。
【0027】
本発明において、前記第1及び第2のダイオードを、前記第1及び第2の機械スイッチに接続する配線が、相対的に高抵抗の配線材料を含む構成としてもよい。あるいは、前記第1及び第2のダイオードを、前記第1及び第2の機械スイッチに接続する配線に相対的に高抵抗の抵抗体が挿入されている構成としてもよい。
【0028】
本発明の他のアスペクト(側面)に係る限流遮断器は、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、前記第1の機械スイッチの前記第2の機械スイッチとの接続点ではない方の一端と、前記第2の機械スイッチの前記第1の機械スイッチとの接続点ではない方の一端とに、一端と他端がそれぞれ接続された限流インピーダンスと、前記第2の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続されたダイオード、及び、スナバ回路と、を備えている。
【0029】
本発明のさらに他のアスペクト(側面)に係る限流遮断器は、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、前記第1及び第2の機械スイッチの一方の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続されたダイオード、スナバ回路、及び、限流インピーダンスとを備えている。
【0030】
本発明のさらに他のアスペクト(側面)に係る限流遮断器は、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、前記第1の機械スイッチの前記第2の機械スイッチとの接続点ではない方の一端と、前記第2の機械スイッチの前記第1の機械スイッチとの接続点ではない方の一端とに、一端と他端がそれぞれ接続された限流インピーダンスと、前記第2の機械スイッチの両端間に互いに並列に接続されたダイオード、及び、スナバ回路と、を備えた構成を一ユニットとし、前記ユニットを複数直列に接続して構成される。
【0031】
本発明において、前記第1及び第2の機械スイッチの少なくとも1つが電子吸収能が相対的に高いガスを有する容器に収容されている構成としてもよい。
【0032】
本発明において、前記第1及び第2の機械スイッチ、前記ダイオード、前記スナバ回路の少なくとも1つが電子吸収能が相対的に高いガスを有する容器に収容されている構成としてもよい。
【0033】
本発明において、前記容器において、前記第1及び第2の機械スイッチからのアークプラズマが接触しないように壁を備えている構成としてもよい。あるいは、前記容器が、前記容器に収容される前記機械スイッチが開状態になると開となる窓を備えている構成としてもよい。本発明において、前記容器内の圧は、大気圧よりも高く設定される。
本発明において、前記限流遮断器から前記限流インピーダンスを取りのぞいて遮断器を構成してもよい。この場合、第1、第2の機械スイッチの直列回路に直列形態に遮断スイッチを設けることを要しない。
本発明によれば、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に、接続された、第1のダイオード、又は、第1のダイオードと第1のスナバ回路の並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、第2のダイオード、又は、第2のダイオードと第2のスナバ回路の並列回路と、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるか、カソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続され、
電流の向きが前記第1のダイオードの順電流方向の場合、前記第1の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第2の機械スイッチを開とし、
電流の向きが前記第2のダイオードの順電流方向の場合、前記第2の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第1の機械スイッチを開とする。
本発明において、前記機械式スイッチの接点と接続する導体の少なくとも1部が絶縁カバーで覆われている。
本発明において、前記絶縁カバーの、前記機械式スイッチ及びアークプラズマ発生領域側に対応する面を遮蔽カバーで覆う。
本発明によれば、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に接続された、第1のダイオード、又は、第1のダイオードと第1のスナバ回路の並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、第2のダイオード、又は、第2のダイオードと第2のスナバ回路の並列回路と、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるか、カソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続され、
直列接続された前記第1及び第2の機械スイッチに並列に、スイッチと超伝導限流器(SC FCL)の直列回路を備えている遮断器が提供される。
本発明によれば、
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に接続された、第1のダイオード、又は、第1の限流インピーダンスの第1のスナバ回路の少なくとも1方と第1のダイオードの並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、第2のダイオード、又は、第2の限流インピーダンスの第2のスナバ回路の少なくとも1方と第2のダイオードの並列回路と
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるかカソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続されている遮断器が提供される。
本発明によれば、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1及び第2の機械スイッチの一方の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード、又は、スナバ回路と限流インピーダンスの少なくとも1方とダイオードの並列回路と、
を備えた遮断器が提供される。
本発明によれば、直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの前記第2の機械スイッチとの接続点ではない方の一端と、前記第2の機械スイッチの前記第1の機械スイッチとの接続点ではない方の一端とに、一端と他端がそれぞれ接続された限流インピーダンスと、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード及びスナバ回路と、
を備えた構成を一ユニットとし、
前記ユニットを複数直列に接続してなる遮断器が提供される。
本発明によれば、電流の向きが前記第1のダイオードの順電流方向の場合、前記第1の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第2の機械スイッチを開とし、
電流の向きが前記第2のダイオードの順電流方向の場合、前記第2の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第1の機械スイッチを開とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、限流性能を向上し、装置の小型化、コスト低減可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
上記した本発明について詳細に説述すべく添付図面を参照して以下に説明する。
【0036】
<実施形態1>
図1は、本発明の一実施形態の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施形態は、半導体デバイスと機械スイッチの両方を用いた複合型半導体限流遮断器である。高速機械式スイッチ(10、10)を直列形態に接続し、高速機械式スイッチ(10、10)の各々の両端間に、ダイオード(11、11)、スナバ回路(12、12)、限流インピーダンス(13、13)が並列に接続されている。ダイオード(11、11)はアノード同士が接続され、アノード接続点は高速機械式スイッチの接続点に接続されている。特に制限されないが、本実施形態において、高速機械式スイッチ(10、10)は、それぞれ、NFB型高速機械式スイッチで構成される。
【0037】
図1の本実施形態は、図8の構成とは以下の点が相違している。
【0038】
VCBではなくて、直列接続した高速機械スイッチ10を備えている。
【0039】
また、半導体デバイスとして、SCR、GTOの代わりに、ダイオード11をそれぞれアノード同士を接続して用いる。
【0040】
本実施形態においては、高速機械スイッチを用いることによって、事故が発生してから、限流動作に入る時間が短くなる。半導体スイッチとしてSCRを用いると、電流遮断を行い限流動作に入るには、動作開示後次の電流ゼロまで待つ必要がある。一方、機械スイッチは高速で動作し、既製品で半サイクルから1サイクルであり、専用の機械スイッチでは200us(microsecond)のものも知られている。
【0041】
SCRなどの非自己消弧型素子を利用する場合、機械スイッチの開動作は、半サイクル以下の時間にする必要はない。限流遮断器では、既にその値を達成している。
【0042】
VCBやGCB(Generator Circuit Breaker)では、開動作の時間は、例えば0.1秒から1.0秒程度要するため、事故電流を検出してから、スイッチが開となるまでの時間は、数サイクルから数十サイクルになり、事故電流が増大し、熱的・機械的な損傷を電力網を作る機器に与えることになる。
【0043】
本実施形態では、高速機械スイッチを利用することにより、図8に示した従来の複合型半導体方式の限流遮断器よりも、限流の高速性を向上している。限流遮断器は故障電流を検出するセンサを内蔵しており、スイッチの開動作を自動的に行う。既製品のNFBは、AC600Vまでの電圧に対応可能であり、より高電圧に対応するには、複数台直列に接続する。
【0044】
本実施形態では、前述したように、半導体スイッチとして、GTOやSCR、IGBTの代わりに、ダイオード11を備えている。ダイオードは整流作用しかないが、図1のような構成にすることによって限流が行える。ダイオードは、順方向電圧VF以下では電流が流れない。ダイオードのオフ時抵抗(漏れ電流)は、高速機械スイッチ(NFB)などの金属接点スイッチと比べて大である。
【0045】
図8の従来構成では、半導体スイッチに対してトリガー信号を入れないと電流が流れないため、通常時の電流はゼロとなる。本実施形態のように、ダイオードを用いても、オフ時の電流をほとんどゼロにすることができる。図12は、ダイオードのV−I特性図である。図12に示すように、順方向電圧VFが、機械スイッチの接点電圧(ON電圧Vm)よりも高いダイオードを選択する。ダイオードのアノード・カソード間の印加電圧がVFを超えると電流が流れる。機械スイッチのON電圧VmがVm<VFの場合、通常動作時には、ダイオードに電流は流れない。すなわち、ダイオードの劣化やダイオードの放熱対策等を特段に節約できる。順方向電圧VFが低い場合、ダイオード側の配線に電気抵抗の高い材料(例えば、ステンレスなど)を利用して配線したり、抵抗を直列に挿入してもよい。この場合、NFBの接点電圧から高抵抗の電圧降下分、降圧された電圧が、ダイオードに印加される。
【0046】
次に、本実施形態における、故障時の動作を説明する。故障電流を検知すると、高速機械スイッチが開になる。高速機械スイッチのアーク電圧はVCBなどに比べて高いため、それ自体でも限流作用を発現するが、電流が型高速機械スイッチ10側からダイオード11側に転流する。図8の構成の場合にはトリガー信号を入れる必要があるが、図1の構成の場合、ダイオードは自動的に転流を開始する。したがって、本実施形態は、システム全体の信頼性を向上する。
【0047】
本実施形態における転流時間は、VCBを用いた図8の従来構成よりも、1桁以上速くなる。理由は2つある。
【0048】
第1の理由は、ダイオードの順方向電圧(0.6V程度)は、SCRやGTOなどのON電圧(2.5Vから3.0V)に比べて数分の1であるためである。
【0049】
第2の理由は、アーク電圧が、(気中遮断器型)の方が、VCBより1桁以上高いためである。
【0050】
本実施形態においては、図8の構成よりも、電流は素速く転流する。ただし、交流回路であるため、転流は、ダイオードA(11)、ダイオードB(11)のいずれかにしか起こらない。転流が生じた高速機械スイッチには電流がゼロになり、電極は開き間のアークプラズマは消弧しているので、電極間の絶縁電圧が回復する。
【0051】
次に、半サイクル時間が経つと、電流の向きは反転する。すると、転流が生じたダイオードにおいて、電流の向きが逆となるため、電流は流れない、この結果、全ての電流は転流が生じたダイオードに並列に接続されている限流インピーダンスに流れるため限流が始まる。そして、転流が起こらなかったダイオード側も、同様に、高速機械スイッチからダイオードに転流が始まり、その次の半サイクルには、同様に、全ての電流が限流インピーダンスに流れるため、限流が完全に始まる。
【0052】
本実施形態では、図8の従来構成のような半導体スイッチのトリガー回路がなくなるため、信頼性の向上、コストの低減を可能としている。電力用半導体デバイスのコストは、電圧と電流をそれぞれ同じ値に対応させ、ダイオードのコストを1とすると、SCRは10、GTOやIGBTは30程度である。このため、本実施形態は、コストの低減を可能としている。一方、図8に示した限流遮断器は、高コストである。
【0053】
<実施形態2>
図2は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。図2を参照すると、ダイオードB(11)が高速機械スイッチ10に対してのみ設けられている。特に制限されないが、本実施形態において、高速機械式スイッチ(10、10)は、それぞれ、NFB型高速機械式スイッチで構成される。
【0054】
第2の実施形態の動作について説明する。通常時は、高速機械スイッチ10、10に電流が流れ、ダイオードB(11)には電流が流れない(あるいは漏れ電流)。すなわち、図1の第1の実施形態と同様である。
【0055】
故障電流を検知すると、2つの高速機械スイッチ10、10が開の状態になり、高速機械スイッチの電極間にアークプラズマが発生する。その時点での電流の向きがBの方向である場合、ダイオードB(11)に電流が転流し、ダイオードB(11)と並列に接続されている高速機械スイッチ10の電極間のアークプラズマは消弧する。
【0056】
次に、半サイクル時間が経つと、電流の向きは反転し、図2では、電流の向きAで示す向きになる。すると、転流が生じたダイオードB(11)には電流は流れない。これによって、ダイオードB(11)に直列に接続されている高速機械スイッチ10の電極間のアークプラズマが消弧し、電極間に絶縁が回復する。全ての電流は転流が生じたダイオードB(11)に接続されている限流インピーダンス13に流れるため限流が始まる。
【0057】
同時に、そして、更に半サイクル経つと、2つの高速機械スイッチ10、10は、共に開状態で電極間も完全に絶縁を回復しているので、電流は完全に限流インピーダンス13に流れることになる。このため、限流が完全に始まる。
なお、
【0058】
<実施形態3>
図2に示す例では、高速機械スイッチ10、10が直列に接続されており、高速機械スイッチ10にはダイオードが接続されていないため、完全な遮断が行える回路にすることができる。これを、第3の実施形態として図3に示す。
【0059】
図3に示す構成において、通常運転時は、図1、図2と同じである。故障電流を検出すると、高速機械スイッチ10、10が開になる。そして、電極間でアークプラズマが発生する。そして、電流の向きがB方向であると、ダイオードB(11)に電流が転流する。逆の時には、半サイクル待つことになる。そして、高速機械スイッチの電極間のアークプラズマは消弧し、限流インピーダンス13に電流が流れ、限流が始まる。特に制限されないが、本実施形態において、高速機械式スイッチ(10、10)は、それぞれ、NFB型高速機械式スイッチで構成される。
【0060】
次に、半サイクル時間が経つと、電流の向きは反転し、図3では、電流の向きはAの向きになる。すると、転流が生じたダイオードB(11)には電流の向きが逆であるため電流は流れない。全ての電流は限流インピーダンス13に流れる。このため、電流値は大きく減少する。そして、電流は、高速機械スイッチ10に流れる。
【0061】
機械スイッチには、遮断機能もあるので、大電流が流れないと、電流を次のゼロ点で遮断することができる。
【0062】
図3の回路では、完全に電流は遮断されるので、限流動作から始まって事故時の遮断が完成する。
【0063】
高速機械スイッチ(既製品)(600V以下)を用いる場合、高電圧に対応するためには、下記の手法をとる。
【0064】
図1及び図2の構成を一つの組として、これを直列接続する。この時、限流インピーダンス13もそれぞれのスイッチに分けて接続する。図4に構成例を示す。ただし、図4には故障電流を検出するセンサ、制御系等は図示されない。
【0065】
<実施形態4>
図4に示す実施形態において、高速機械スイッチを直列接続すると、それ自身のアークプラズマのインピーダンスによって限流作用があることから、高圧でも有効な限流作用が期待できる。限流機能を具備する高速機械スイッチを備えたユニットを2台直列接続しており、1台のユニットと比べて限流性能は2倍になっている。すなわち、図4に示す実施形態では、複数のユニットを接続し、高圧に対応している。高速機械スイッチ部が開状態になると、それだけで、大きな限流作用が期待できる。複数のユニットを直列接続したときには、限流インピーダンスがそれぞれのユニットの電圧を分割することになるので、それを考慮して設計を行う必要がある。
図2乃至図4に示した実施形態において、電流の向きBであると、機械スイッチ102がすぐにオープンし、電流がダイオードに転流するため接点が傷まない。電流の向きが反転してから機械スイッチ101を開き、このとき、電流は流れていないため、機械スイッチ101も接点が傷まない。限流遮断を行う必要があるとき、電流の向きAであったときには、半サイクル待って電流の向きBになってから、上記の動作を行う。
【0066】
<実施形態5>
図5は、本発明の第5実施形態の構成を示す図である。図5に示す例では、高速機械スイッチ10、10を密閉容器15に入れ、6フッ化硫黄ガス(SF6)や窒素ガスなどの電子吸収能の高いガスを密閉容器15に封入する。アークプラズマが発生していない時の電気絶縁性能を向上し、アークプラズマの発生時には、アーク電圧が高くなり、機械スイッチ自身の限流作用を大としダイオードへの転流時間が短くなる。密閉容器15に封入される電子吸収能が相対的に高いガスが、フロン系ガス、水素ガス、アルゴンガスのうちの1つ、又は、フロン系ガス、水素ガス、アルゴンガスのうちの複数種の混合ガスを含む。特に制限されないが、本実施形態において、高速機械式スイッチ(10、10)は、それぞれ、NFB型高速機械式スイッチで構成される。
【0067】
<実施形態6>
図6は、本発明の第6実施形態の構成を示す図である。図6に示すように、ダイオード11及びスナバ回路12部分も含めて、密閉容器15に封入するようにしてもよい。
【0068】
密閉容器15は、限流時にアークプラズマの発生によって内部圧が高くなるので、安全弁をつける必要がある。また、容器材料は絶縁物を用いるとよい。内部圧が高くなるため、例えば円柱状の密閉容器を用いる。
【0069】
SF6ガスは、空気よりも重いので、内部に設置する高速機械スイッチ10を容器の底(=重力の向きと反対側の底)に設置すると、密閉容器が何らかの理由でガスが漏れても、高速機械スイッチ10はSF6ガス中にある確率が高い。GCB(generator circuit breaker)のように、内部圧を前もって加圧してもよい。スイッチのアーク電圧の向上(=限流機能の向上)と遮断能力の向上(=電流ゼロ点での遮断能力の向上)がある。ただし、容器をステンレス等で作り、圧力に耐えるようにする必要がある。
【0070】
密閉容器15に、高速機械スイッチ10、10を封入すると、密閉容器15内部で発生するアークプラズマは2つはある。2つのアークプラズマが互いに接触すると、電気的にその部分で接続される可能性がある。
【0071】
本実施形態において、高速機械スイッチ10、10を入れる密閉容器15は2つに分けるか、容器内部に壁(隔壁)を設けて、アークプラズマが接触しないようにしアークプラズマが高速機械スイッチ10、10から吹き出す方向が異なるようにする。
【0072】
また、密閉容器15に窓を設け、アークプラズマが窓に吹きかけられるようにして、高速機械スイッチが開状態になると、窓も開になるようにしてもよい。かかる構成とすることで、密閉容器15内の圧力は高くならない。
【0073】
また、密閉容器15内の圧力を大気圧より高くしておくと、アークプラズマにSF6ガスが吹き付けられるので、アークプラズマが消弧しやくすくなり、限流動作を確実にする。特に制限されないが、本実施形態において、高速機械式スイッチ(10、10)は、それぞれ、NFB型高速機械式スイッチで構成される。
【0074】
<実施形態7>
図11は、本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。図11を参照すると、本実施形態では、図2の構成において、直列形態に接続された高速機械式スイッチ10、10と直列形態に接続された高耐圧遮断スイッチ16を備えている。高耐圧遮断スイッチ16は、VCB(vacuum circuit breaker)又はGCB(generator circuit breaker)よりなる。高耐圧遮断スイッチ16は限流が完了してから、必要に応じて開状態とされ、回路に流れる電流をゼロとする。
【0075】
<実施形態8>
図13は、本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。図13を参照すると、この実施形態は、図1に示した実施形態の構成から、限流インピーダンス13、13を取りのぞいて構成したものである。電力網での事故発生時、限流よりも、遮断が求められる場合がある(あるいは、本来、遮断が求められる)。図1の構成から限流インピーダンス13、13を取りのぞくことで遮断作用を行うことができる。機械スイッチ10、10の電極間アークが消え、耐電圧を回復し、ダイオード111、112が逆耐圧に対応できれば、限流インピーダンス131、132を並列に挿入することなく、回路を遮断することができる。同様にして、前記各実施の形態において、回路構成から限流インピーダンスを外すことで、遮断作用を実現することができる。この場合、図11の遮断スイッチ(VCB等)を設けることは不要とされる。
【0076】
図13において、電流の向きによってスイッチを開にする時間を可変させるようにしてもよい。図14は、図13において、電流の向きが矢印で示されている。
電流の向きAであれば、高速スイッチAを開にする。そして、半サイクル遅れてから高速スイッチBを開にする。これによって、高速スイッチBの接点間の劣化・損傷を減少させる。
電流の向きBであれば、高速スイッチBを開にする。そして、半サイクル遅れてから高速スイッチAを開にする。これによって、高速スイッチAの接点間の劣化・損傷を減少させる。順方向電流が流れるダイオードに並列接続されている一方のスイッチから開にして、その後、他方のスイッチを開にする。
【0077】
<実施形態9>
図15は、本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。図15(A)は側面図、図15(B)は上からみた平面図である。電流は銅板22に沿って流れる。遮断時には接点24、25間でアークプラズマが発生する。永久磁石27とアークプラズマに流れる電流によって電磁力を発生する。これは、アークプラズマが接点間から離れる方向に働く。ダイオードの接続向きによってアークプラズマの電流方向が決まるので、それによって永久磁石27のNS極を決める。NFBは電流が流れる銅板22が露出(外気に晒されている)ので、その表面を絶縁カバー23で覆う。もしくは、銅板を絶縁ケース28の下側を通すようにする。永久磁石27には、不図示の磁気回路が接続される。
【0078】
図16に、NFBの一例を示す。全体が絶縁ケースに収容され、機械スイッチは可動部(スイッチ可能部)と固定部を備え、スイッチ機構部は、可動部駆動のためのスイッチスプリング部を備える。アークプラズマを消弧するために、グリッドが用いられる場合もある。ただしグリッド材料が鉄等の金属の場合、高電圧で遮断能力が低下する。このため、図16の構成には含まれない。スイッチ可能部と固定部の間にアークプラズマが発生すると、金属の溶融や絶縁ケースの切削等による汚損によって、絶縁性の低下の原因ともなる。すなわち、遮断時に発生するアークプラズマによって絶縁ケース28の表面が汚れる。これによって、絶縁電圧が低下することを防ぐために、本実施形態では、図17に示すように、絶縁ケース28の表面に遮蔽カバー30を配置する。特に制限されないが、遮蔽カバー30は遮蔽カバー支持部29により絶縁ケース28に取り付けられる。遮蔽カバー30により、遮断時に発生するアークプラズマによる絶縁ケース28表面の汚損が回避される。この結果、絶縁ケース28沿面の絶縁電圧の低下を避けることができる。
【0079】
<実施形態10>
近時、超伝導現象を利用した限流器の開発が進んでいる。例えば、米国ではDOE(エネルギー省)が、電力関連の超伝導機器としては最優先課題として取り上げている。超伝導限流器の原理は、超伝導体が超伝導から常伝導に転移することによってインピーダンスが増大し、それによって回路に流れる電流を制限するものであるが、遮断はできない。したがって、これを、遮断器と組み合わせるために、図18の回路が利用される。アノード同士が接続されたダイオードAとダイオードBにそれぞれ並列に接続されるスナバ回路12、12と、高速スイッチ(機械スイッチ)A、B(10、10)を備え、ダイオードAとダイオードBのカソード間には、直列接続された高速スイッチA、B(10、10)と並列に、高速スイッチCと超伝導限流器(SC FCL:Superconducting Fault Current Limiter)18の直列回路が接続されている。
【0080】
運転として、高速スイッチA、B、Cは常時ONであり、超伝導限流器(SC FCL)18もノーマル動作時は超伝導状態であり、極低インピーダンス状態である。このため、電流はほとんどがSCFCL18に流れ、高速スイッチA、B側には流れていない。
【0081】
事故時にはSC FCL18を常伝導に転移させ、インピーダンスを大とすると同時に高速スイッチCを開とする。すると、電流は、高速スイッチA、B側に転流する。その後の遮断運転方法は、上記に述べてきたとおりである。本実施形態の構成により、SC FCLを遮断器に組み込むことができる。
【0082】
図1、図13等において、ダイオード(11、11)のカソード同士を接続し、該接続点を高速機械式スイッチの接続点に接続してもよい。また、スナバ回路を省略した構成としてもよい。図1乃至図6等の遮断器において、限流インピーダンスを省略した構成としてもよい。
【0083】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。
【図7】従来のアーク駆動式限流遮断器の構成を示す図(電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.8より引用、原論文は、市川ほか、「6.6kV配電線用アーク駆動型限流遮断器のフィールド試験」平成13年電気学会B部門大会、No.342)である。
【図8】従来の複合半導体方式の限流遮断器の構成を示す図(電気学会技術報告第1053号「限流遮断器への要求仕様と評価手法」、故障検出技術調査専門委員会編、2006年5月のp.9より引用、原報告は、電気学会技術報告第850号「故障電流抑制用限流装置の適用技術と解析評価」p.4,2001年)である。
【図9】気中遮断器の消弧装置の構成を示す図(電気学会編「電気工学ハンドブック(第6版)」p.755,2001年より引用)である。
【図10】電磁操作気中遮断器の消弧装置の構成を示す図(「電気工学ハンドブック(第6版)」p.756より引用)である。
【図11】本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。
【図12】ダイオードのV−I特性と機械スイッチのON電圧の関係を示す図である。
【図13】本発明の第8の実施形態の構成を示す図である。
【図14】本発明の第8の実施形態の制御動作を説明する図である。
【図15】本発明の第9の実施形態の構成を示す図である。
【図16】NFB(実物)の構成を説明する図である。
【図17】本発明の第9の実施形態の構成を示す図である。
【図18】本発明の第10の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10、10 高速機械スイッチ(NFB型高速機械スイッチ)
11、11 ダイオード
12、12 スナバ回路
13、13 限流インピーダンス
14 制御回路・事故検出回路
15 密閉容器
16 高耐圧遮断スイッチ
17 高速スイッチ
18 SC FCL
20、26 ケーブル
21 機械スイッチ
22 銅版
23 絶縁カバー
24、25 接点
27 永久磁石
28 絶縁ケース
29 遮蔽カバー支持部
30 遮蔽カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、第1のダイオード、第1のスナバ回路、及び、第1の限流インピーダンスと、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、第2のダイオード、第2のスナバ回路、及び、第2の限流インピーダンスと、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続され、該アノード接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続されている限流遮断器。
【請求項2】
前記第1及び第2のダイオードを、前記第1及び第2の機械スイッチにそれぞれ接続する配線が、相対的に高抵抗の配線材料を含む、
請求項1記載の限流遮断器。
【請求項3】
前記第1及び第2のダイオードを、前記第1及び第2の機械スイッチにそれぞれ接続する配線に相対的に高抵抗の抵抗体が挿入されてなる、
請求項1記載の限流遮断器。
【請求項4】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの前記第2の機械スイッチとの接続点ではない方の一端と、前記第2の機械スイッチの前記第1の機械スイッチとの接続点ではない方の一端とに、一端と他端がそれぞれ接続された限流インピーダンスと、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード及びスナバ回路と、
を備えた限流遮断器。
【請求項5】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1及び第2の機械スイッチの一方の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード、スナバ回路、及び、限流インピーダンスと、
を備えた限流遮断器。
【請求項6】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの前記第2の機械スイッチとの接続点ではない方の一端と、前記第2の機械スイッチの前記第1の機械スイッチとの接続点ではない方の一端とに、一端と他端がそれぞれ接続された限流インピーダンスと、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード及びスナバ回路と、
を備えた構成を一ユニットとし、
前記ユニットを複数直列に接続してなる限流遮断器。
【請求項7】
前記第1及び第2の機械スイッチの少なくとも1つが電子吸収能が相対的に高いガスを有する容器に収容されている、
請求項1乃至6のいずれか一記載の限流遮断器。
【請求項8】
前記第1及び第2の機械スイッチ、前記ダイオード、前記スナバ回路のうちの少なくとも1つが電子吸収能が相対的に高いガスを有する容器に収容されている、
請求項1乃至6のいずれか一記載の限流遮断器。
【請求項9】
前記第1及び第2の機械スイッチの少なくとも1つが電子吸収能が相対的に高いガスを有する容器に収容され、
前記容器において、前記第1及び第2の機械スイッチからのアークプラズマが接触しないように壁を備えている、
請求項1乃至6のいずれか一記載の限流遮断器。
【請求項10】
前記容器が、前記容器に収容される前記機械スイッチが開状態になると開となる窓を備えている、
請求項7又は8記載の限流遮断器。
【請求項11】
前記容器内の圧が大気圧よりも高く設定されている、
請求項7又は8記載の限流遮断器。
【請求項12】
前記電子吸収能が相対的に高いガスが、
フロン系ガス、水素ガス、アルゴンガスのうちの1つ、又は、フロン系ガス、水素ガス、アルゴンガスのうちの複数種の混合ガスを含む、
請求項8又は9記載の限流遮断器。
【請求項13】
前記第1及び第2の機械スイッチの直列回路に対して、直列形態に接続された遮断スイッチを備え、
前記遮断スイッチは限流が完了してから開状態に設定される、
請求項1乃至6のいずれか一記載の限流遮断器。
【請求項14】
前記第1及び第2の機械スイッチが、ノーヒューズブレーカ型機械スイッチを含む、
請求項1乃至6、13のいずれか一記載の限流遮断器。
【請求項15】
前記遮断スイッチは、VCB(vacuum circuit breaker)又はGCB(generator circuit breaker)を含む、
請求項13記載の限流遮断器。
【請求項16】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の限流遮断器から前記限流インピーダンスを取りのぞいて構成してなる遮断器。
【請求項17】
前記第1及び第2の機械スイッチの直列回路に直列形態に遮断スイッチを設けることを要せずして、遮断作用をなす請求項16記載の遮断器。
【請求項18】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に、接続された、第1のダイオード、又は、第1のダイオードと第1のスナバ回路の並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、第2のダイオード、又は、第2のダイオードと第2のスナバ回路の並列回路と、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるか、カソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続され、
電流の向きが前記第1のダイオードの順電流方向の場合、前記第1の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第2の機械スイッチを開とし、
電流の向きが前記第2のダイオードの順電流方向の場合、前記第2の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第1の機械スイッチを開とする、遮断器。
【請求項19】
前記機械式スイッチの接点と接続する導体の少なくとも1部が絶縁カバーで覆われている、請求項1乃至15、16のいずれか1項に記載の限流遮断器。
【請求項20】
前記絶縁カバーの、前記機械式スイッチ及びアークプラズマ発生領域側に対応する面を遮蔽カバーで覆う請求項19記載の遮断器。
【請求項21】
前記機械式スイッチの接点と接続する導体の少なくとも1部が絶縁カバーで覆われている、請求項16又は17又は18記載の遮断器。
【請求項22】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に接続された、第1のダイオード、又は、第1のダイオードと第1のスナバ回路の並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、第2のダイオード、又は、第2のダイオードと第2のスナバ回路の並列回路と、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるか、カソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続され、
直列接続された前記第1及び第2の機械スイッチに並列に、スイッチと超伝導限流器(SC FCL)の直列回路を備えている遮断器。
【請求項23】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1の機械スイッチの両端間に接続された、第1のダイオード、又は、第1の限流インピーダンスの第1のスナバ回路の少なくとも1方と第1のダイオードの並列回路と、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、第2のダイオード、又は、第2の限流インピーダンスの第2のスナバ回路の少なくとも1方と第2のダイオードの並列回路と、
を備え、
前記第1及び第2のダイオードのアノード同士が接続されるかカソード同士が接続され、該接続点は、前記第1及び第2の機械スイッチの接続点に接続されている遮断器。
【請求項24】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、ダイオード又は、ダイオードとスナバ回路の並列回路と、
を備えた遮断器。
【請求項25】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第1及び第2の機械スイッチの一方の機械スイッチの両端間に、互いに並列に接続された、ダイオード、又は、スナバ回路と限流インピーダンスの少なくとも1方とダイオードの並列回路と、
を備えた遮断器。
【請求項26】
直列形態に接続された第1及び第2の機械スイッチと、
前記第2の機械スイッチの両端間に接続された、ダイオード又は、ダイオードとスナバ回路の並列回路と、
を備えた構成を一ユニットとし、
前記ユニットを複数直列に接続してなる遮断器。
【請求項27】
電流の向きが前記第1のダイオードの順電流方向の場合、前記第1の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第2の機械スイッチを開とし、
電流の向きが前記第2のダイオードの順電流方向の場合、前記第2の機械スイッチを開とし、その後、電流方向が反転してから、前記第1の機械スイッチを開とする、請求項1乃至17、請求項22乃至26のいずれか1項に記載の遮断器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−270171(P2008−270171A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27616(P2008−27616)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(597008728)株式会社ワイ・ワイ・エル (16)
【Fターム(参考)】