説明

除湿機

【課題】本発明は除湿機に関するもので、洗濯物の生乾き特有の臭いの発生を抑制することを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、本体ケース1内に、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気を、吸湿経路14の熱交換器16を通過後、排気口3から本体ケース1外に排気する送風路27と、吸湿経路14の熱交換器16をバイパス後、排気口3から本体ケース1外に排気する送風路17とを設け、送風路17には、静電霧化手段18を設け、送風路17は、本体ケース1の吸気口2と静電霧化手段18とを連通する吸気口側送風路17aと、静電霧化手段18と本体ケース1の排気口3とを連通する排気口側送風路17bとから形成し、静電霧化手段18の一部は、送風路17から本体ケース1内に突出し、吸気口側送風路17aは、静電霧化手段18の下部に位置する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿ロータを用いた除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種除湿機の構造は、以下のようになっていた。
【0003】
すなわち、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、吸湿部と放湿部を有する除湿ロータと、前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、第一の送風路により、前記除湿ロータの吸湿部を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第一の送風機と、前記本体ケース内に設けられた吸湿経路とを備え、前記吸湿経路は、前記除湿ロータの放湿部と、この放湿部の風上側に設けたヒータと、この放湿部の風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第二の送風機とを有する構成となっていた(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−236330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例において、静電霧化手段を設けることで、臭気対策を行うことが検討されている。しかしながら、単に本体ケース内に静電霧化手段を装着すると、静電霧化手段の冷却効率が悪くなり、その結果として静電霧化効率が低下し、十分な臭気対策がとれないことになる。この点を更に詳しく説明すると、本体ケース内の風路内に静電霧化手段を装着すると、風路内の風路抵抗が大きくなり、除湿能力が低下するので、この静電霧化手段は風路外に装着することになる。しかしこのように静電霧化手段を風路外に設けると、静電霧化手段の周囲に空気よどみができ、冷却効率が悪くなり、この影響で十分な臭気対策がとれないものであった。
【0006】
そこで本発明は、十分な臭気対策がとれることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、吸湿部と放湿部を有する除湿ロータと、前記本体ケースの前記吸気口から吸込んだ空気を、第一の送風路により、前記除湿ロータの吸湿部を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第一の送風機と、前記本体ケース内に設けられた吸湿経路とを備え、前記吸湿経路は、前記除湿ロータの放湿部と、この放湿部の風上側に設けたヒータと、この放湿部の風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第二の送風機とを有し、前記本体ケース内に、前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、前記吸湿経路の熱交換器を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第二の送風路と、前記吸湿経路の熱交換器をバイパス後、前記排気口から本体ケース外に排気する第三の送風路とを設け、前記第三の送風路には、静電霧化手段を設け、前記第三の送風路は、前記本体ケースの前記吸気口と前記静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路と、前記静電霧化手段と前記本体ケースの前記排気口とを連通する第三の排気口側送風路とから形成し、前記静電霧化手段の一部は、前記第三の送風路から前記本体ケース内に突出し、前記吸気口側送風路は、前記静電霧化手段の下部に位置する構成とし、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、吸湿部と放湿部を有する除湿ロータと、前記本体ケースの前記吸気口から吸込んだ空気を、第一の送風路により、前記除湿ロータの吸湿部を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第一の送風機と、前記本体ケース内に設けられた吸湿経路とを備え、前記吸湿経路は、前記除湿ロータの放湿部と、この放湿部の風上側に設けたヒータと、この放湿部の風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第二の送風機とを有し、前記本体ケース内に、前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、前記吸湿経路の熱交換器を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第二の送風路と、前記吸湿経路の熱交換器をバイパス後、前記排気口から本体ケース外に排気する第三の送風路とを設け、前記第三の送風路には、静電霧化手段を設け、前記第三の送風路は、前記本体ケースの前記吸気口と前記静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路と、前記静電霧化手段と前記本体ケースの前記排気口とを連通する第三の排気口側送風路とから形成し、前記静電霧化手段の一部は、前記第三の送風路から前記本体ケース内に突出し、前記吸気口側送風路は、前記静電霧化手段の下部に位置する構成としたものであるので、十分な臭気対策がとることができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、本体ケースの吸気口から吸込んだ空気の一部は、第三の送風路である、本体ケースの吸気口と静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路を介し、静電霧化手段に流れ、次に、静電霧化手段と本体ケースの排気口とを連通する第三の排気口側送風路を介し、排気口へ流れる。この静電霧化手段に流れ込んだ空気から、静電霧化手段は、帯電微粒子水を発生させ、排気口から本体ケース外に排気するものである。ここで、静電霧化手段は、帯電微粒子水を発生させると同時に、熱を発生するものであるが、この熱により、静電霧化手段周囲の空気が暖められ、静電霧化手段から上昇気流が発生する。一方、静電霧化手段の下部に位置する吸気口側送風路には、本体ケースの吸気口から吸込んだ空気が流れるので、吸気口側送風路周囲の空気は冷やされ下降気流が発生する。つまり、静電霧化手段と吸気口側送風路との間に負圧領域ができ、この負圧領域によって、静電霧化手段、および吸気口側送風路の周囲に気流が発生し、この気流により静電霧化手段を冷却することができるものである。
【0010】
結果として、静電霧化手段を冷却効率が向上し、十分な臭気対策がとれることができる。また、静電霧化手段を本体ケース内の風路外に設けるので、風路内の風路抵抗が大きくなり、除湿能力が低下することを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同静電霧化手段部分の概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1において、1は背面側に吸気口2、前面上方に排気口3を有する本体ケースであり、この本体ケース1の前面の下方には、受皿4が出没自在に設けられている。
【0014】
また、この本体ケース1内には、吸湿部5と放湿部6を有する除湿ロータ7が回転自在に配置されており、その回転駆動はモータ8によって行われるようになっている。
【0015】
さらに、この本体ケース1内の前方には、図1の矢印Aのごとく、前記本体ケース1の吸気口2から吸込んだ室内空気を、前記除湿ロータ7の吸湿部5を通過後、前記排気口3から本体ケース1外に排気する送風機9を設けている。
【0016】
この送風機9は、背面側の吸込口10と、図2に示す上方の吐出口11を有するケーシング12と、このケーシング12内に設けたファン13と、このファン13を駆動する電動機9aとを有し、前記除湿ロータ7の吸湿部5を通過後の室内空気は、吸込口10からケーシング12内に流入し、ファン13で加圧され、図3のごとく前記吐出口11と、排気口3を介して本体ケース1外に排気される。
【0017】
また、前記本体ケース1内には、図1に示すように吸湿経路14が設けられており、この吸湿経路14は、前記除湿ロータ7の放湿部6と、この放湿部6の風上側に設けたヒータ15と、この放湿部6の風下側に設けた熱交換器16と、この吸湿経路14内の空気を循環させる送風機24とを有している。なお、この吸湿経路14は本体ケース1内の通気路としては独立している。
【0018】
さらに、この本体ケース1内には図1の矢印Bに示すごとく、送風機9によって前記吸気口2から本体ケース1内に吸込んだ室内空気を、前記吸湿経路14の熱交換器16を通過後、送風機24を経由し、前記排気口3から本体ケース1外に排気する送風路が形成されている。
【0019】
ただし、矢印Bの室内空気は、熱交換器16内を通過する吸湿経路14の空気とは、この熱交換器16を構成する熱伝導面を介して熱交換されるだけで、この熱交換器16部分で混合されることはない。
【0020】
ここで、吸湿経路14の動作について説明すると、ヒータ15で加熱された、吸湿経路14の空気は、放湿部6(除湿ロータ7の吸湿部5が回転してこの放湿部6)において、湿気を放出させ、この高温、過湿状態の空気が、風下側の熱交換器16に送られる。
【0021】
この熱交換器16には上述のごとく、矢印Bに示すごとく、送風機9によって室内空気が送風されているので、前記高温、過湿状態の空気は冷却され、これにより結露し、これが前記受皿4内に溜められる。
【0022】
除湿ロータ7の吸湿部5は、矢印Aで示すごとく室内空気が通過するごとに、湿気を吸着し、これが除湿ロータ7の回転により、次に上述した放湿部6となって、吸湿経路14内に湿気を放出させ、このような循環により室内空気の除湿が行われる。
【0023】
本体ケース1内に、矢印Cで示すように、前記吸湿経路14の熱交換器16をバイパス後、前記排気口3から本体ケース1外に排気する送風路17とを設け、この送風路17には、図4で示した静電霧化手段18を設けた。
【0024】
ここで、静電霧化手段18について説明すると、この静電霧化手段18は、放電電極19と、この放電電極19に対向して配置された対向電極20と、これらの対向電極20と放電電極19間に高電圧(この実施形態では−5KV)を印加する高電圧印加部21と、前記放電電極19を冷却する冷却部として配置したペルチェ素子22と、このペルチェ素子22の熱を放熱する放熱フィン23とを備えている。
【0025】
ペルチェ素子22は0.75V〜2.8V程度の電圧を印加するものであり、この実施形態では、放電電極19側を低温に、放熱フィン23側を高温にする。
【0026】
よって、送風路17を通過することで、熱交換器16で加熱されることなく進んだ室内空気が、この放電電極19部分で冷却されることで、結露すると、帯電微粒子水が発生することになる。
【0027】
このため、帯電微粒子水が、次に、乾燥空気とともに、排気口3から本体ケース1外に排気され、帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルが洗濯物の生乾き特有の臭いと反応し、それを酸化させることで、臭いの発生を抑制することができるのである。
【0028】
なお、ヒドロキシルラジカルはヒドロキシ基(水酸基)に反応するラジカルであり、このラジカルは通常2個1組で軌道上を回転しているはずの電子が一つしかないので、電気的に非常に不安定で、周りの原子や分子から欠けた電子を奪おうとするために、酸化力が非常に強いものであり、この酸化作用により洗濯物の生乾き特有の臭いが分解、除去されるのである。
【0029】
さて、本実施形態では、図2に示すように、送風路17は、本体ケース1の吸気口2と静電霧化手段18とを連通する吸気口側送風路17aと、静電霧化手段18と本体ケース1の排気口3とを連通する排気口側送風路17bとから形成している。静電霧化手段18の一部は、送風路17から本体ケース1内に突出し、吸気口側送風路17aは、静電霧化手段18の下部に位置するものである。
【0030】
すなわち、本発明においては、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気の一部は、まず、送風路17である、本体ケース1の吸気口2と静電霧化手段18とを連通する吸気口側送風路17aを介し、静電霧化手段18に流れ、次に、静電霧化手段18と本体ケース1の排気口3とを連通する排気口側送風路17bを介し、排気口3へ流れる。この静電霧化手段18に流れ込んだ空気から、静電霧化手段18は、帯電微粒子水を発生させ、排気口3から本体ケース1外に排気されるものである。ここで、静電霧化手段18は、帯電微粒子水を発生させると同時に、熱が発生するものであるが、この熱により、静電霧化手段18周囲の空気が暖められ、静電霧化手段18から上昇気流が発生する。一方、静電霧化手段18の下部に位置する吸気口側送風路17aには、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気が流れるので、吸気口側送風路17a周囲の空気は冷やされ下降気流が発生する。つまり、静電霧化手段18と吸気口側送風路17aとの間に負圧領域ができ、この負圧領域によって、静電霧化手段18、および吸気口側送風路17aの周囲に気流が発生し、この気流により静電霧化手段18を冷却することができるものである。
【0031】
結果として、静電霧化手段18を冷却効率が向上し、十分な臭気対策がとれることができる。
【0032】
また、静電霧化手段18は、放電電極19と、この放電電極19に対向して配置された対向電極20と、これらの対向電極20と放電電極19間に高電圧を印加する高電圧印加部21と、放電電極19を冷却する冷却部と、この冷却部の熱を放熱する放熱フィン23とを備え、この放熱フィン23は、送風路17から本体ケース1内に突出し、放熱フィン23の下部に吸気口側送風路17aが位置する構成としたものである。
【0033】
すなわち、本発明においては、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気の一部は、まず、送風路17である、本体ケース1の吸気口2と静電霧化手段18とを連通する吸気口側送風路17aを介し、静電霧化手段18の放電電極19、および対向電極20に流れ、次に、静電霧化手段18と本体ケース1の排気口3とを連通する排気口側送風路17bを介し、排気口3へ流れる。この静電霧化手段18の放電電極19、および対向電極20に流れ込んだ空気から、静電霧化手段18は、帯電微粒子水を発生させ、排気口3から本体ケース1外に排気されるものである。ここで、静電霧化手段18は、帯電微粒子水を発生させると同時に、熱が発生する。
【0034】
この熱は、放電電極19を冷却する冷却部として配置したペルチェ素子22で発生し、このペルチェ素子22から放熱フィン23へ伝わるものである。
【0035】
この放熱フィン23の熱により、放熱フィン23周囲の空気が暖められ、放熱フィン23から上昇気流が発生する。一方、放熱フィン23の下部に位置する吸気口側送風路17aには、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気が流れるので、吸気口側送風路17a周囲の空気は冷やされ下降気流が発生する。つまり、放熱フィン23と吸気口側送風路17aとの間に負圧領域ができ、この負圧領域によって、放熱フィン23、および吸気口側送風路17aの周囲に気流が発生し、この気流により放熱フィン23を冷却することができるものである。
【0036】
結果として、放熱フィン23を冷却効率が向上し、十分な臭気対策がとれることができる。
【0037】
また、本体ケース1は、略箱形状で、ヒータ15は、本体ケース1の一方側面寄りに、熱交換器16、および静電霧化手段18は、本体ケース1の他方側面寄りに位置した構成としたものである。具体的には、ヒータ15および熱交換器16は、除湿ロータ7の放湿部6、および送風機24と共に、吸湿経路14内に設けられ、この吸湿経路14は、本体ケース1の背面側に備えている。ヒータ15は、本体ケース1の前面側から見て、本体ケース1の一方側面寄り、つまり、左側側面寄りに位置し、熱交換器16は、本体ケース1の前面側から見て、本体ケース1の他方側面寄り、つまり、右側側面寄りに位置している。また、吸湿経路14の前面側には、送風機9と静電霧化手段18とを備え、この送風機9は、本体ケース1の前面側から見て、本体ケース1の中央に位置し、静電霧化手段18は、本体ケース1の前面側から見て、本体ケース1の他方側面寄り、つまり、右側側面寄りに位置している。
【0038】
すなわち、ヒータ15は、本体ケース1の一方側面寄りに、静電霧化手段18は、本体ケース1の他方側面寄り、つまり、静電霧化手段18は、最も温度の高い部品であるヒータ15と離れた位置にあるので、ヒータ15による温度上昇を抑制することができる。
【0039】
また、送風路17である吸気口側送風路17aは、熱交換器16と本体ケース1の他方側面との間に位置した構成としたものである。具体的には、熱交換器16は、本体ケース1の前面側から見て、本体ケース1の他方側面寄り、つまり、右側側面寄りに位置し、この熱交換器16と本体ケース1の他方側面、つまり、右側側面との間に、送風路17である吸気口側送風路17aが位置するものである。
【0040】
すなわち、送風路17である吸気口側送風路17aは、最も温度の高い部品であるヒータ15と離れた位置にあるので、ヒータ15による温度上昇を抑制することができ、吸気口側送風路17a周囲の空気は冷やされ下降気流を発生することができる。
【0041】
また、静電霧化手段18である放熱フィン23の上部に、空間である上部空間部25と、送風路17である吸気口側送風路17aの下部に、空間である下部空間部26とを設けたものである。
【0042】
すなわち、静電霧化手段18は、帯電微粒子水を発生させると同時に、ペルチェ素子22で発生した熱が、放熱フィン23へ伝わり、この放熱フィン23の熱により、放熱フィン23周囲の空気が暖められ、放熱フィン23から上昇気流が発生する。一方、放熱フィン23の下部に位置する吸気口側送風路17aには、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ空気が流れるので、吸気口側送風路17a周囲の空気は冷やされ下降気流が発生する。ここで、放熱フィン23の上部には、空間である上部空間部25を備え、吸気口側送風路17aの下部には、空間である下部空間部26を備えているので、放熱フィン23からの上昇気流は、上部空間部25を流れ、吸気口側送風路17aからの下降気流は、下部空間部26を流れる。このように、上昇気流、および下降気流は空間を流れるので、気流の乱れを抑制できるので、放熱フィン23と吸気口側送風路17aとの間に負圧領域がよりでき易くなる。
【0043】
また、静電霧化手段18である放熱フィン23の上部の上部空間部25と、送風路27とは隣接し、連通したものである。具体的には、送風路27は、送風機9によって吸気口2から本体ケース1内に吸込んだ室内空気を、吸湿経路14の熱交換器16を通過後、送風機9を経由し、排気口3から本体ケース1外に排気する矢印Bの風路である。この送風路27である熱交換器16から送風機9に流れる風路と、静電霧化手段18である放熱フィン23の上部の上部空間部25とが、隣接し、連通したものである。
【0044】
すなわち、送風路27である熱交換器16から送風機9に流れる風路と、静電霧化手段18である放熱フィン23の上部の上部空間部25とが、隣接し、連通しているので、静電霧化手段18である放熱フィン23から発生した上昇気流の一部は、矢印Bである送風路27を流れる、熱交換器16から送風機9に流れる気流によって誘引され、送風機24から排気口3を介し、本体ケース1外に排気される。つまり、熱交換器16から送風機9に流れる気流によって、上昇気流は加速され、結果として、放熱フィン23と吸気口側送風路17aとの間に負圧領域がよりでき易くなる。
【0045】
また、送風機9は、ケーシング12と、このケーシング12に装着した電動機9aと、この電動機9aにより回転するファン13とから形成し、ケーシング12は、吸込口10と、吐出口11とを備え、この吐出口11は、静電霧化手段18より上部に位置し、送風路17である排気口側送風路17bは、ケーシング12の吐出口11に連通したものである。具体的には、送風機9であるケーシング12は、側面には、円形状の吸込口10を、上面には、略四角形状の吐出口11とを備えている。この吐出口11は、静電霧化手段18より上部に位置し、送風路17である排気口側送風路17bと連通したものである。
【0046】
すなわち、送風路17である排気口側送風路17bは、静電霧化手段18と、静電霧化手段18より上部に位置するケーシング12の吐出口11とを、静電霧化手段18から上方に延び連通している。ここで、静電霧化手段18から発生する帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルは、空気より軽いと考えられるので、静電霧化手段18からケーシング12の吐出口11へ流れやすくなると考えられる。
【0047】
また、送風路17である排気口側送風路17bは、ケーシング12の吐出口11の中央部に連通したものである。具体的には、ケーシング12の吐出口11の側面部28の中央部に連通したものである。
【0048】
すなわち、静電霧化手段18から発生する帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルは、ケーシング12の吐出口11の中央部に流れるので、排気口3の中央部から本体ケース1外に排気される。結果として、排気口3から排気される空気の中央部から、周囲広がりながら本体ケース1外に排気されるので、帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルが偏って排気されることを抑制することができる。
【0049】
また、送風路17である排気口側送風路17bの少なくとも一部は、送風路27内に位置するものである。具体的には、送風路17である排気口側送風路17bは、静電霧化手段18と、静電霧化手段18より上部に位置するケーシング12の吐出口11とを、連通している。この排気口側送風路17bの一部が、送風路27である熱交換器16から送風機24に流れる風路内に位置するものである。
【0050】
すなわち、送風路27である熱交換器16から送風機24に流れる風路内に位置する排気口側送風路17bの一部は、熱交換器16から送風機24に流れる空気により暖められる。これにより、排気口側送風路17b内の空気が、暖められ排気口側送風路17b内を上昇し易くなる。結果として、送風路17である吸気口側送風路17aから、吸込まれる空気が増大するので、静電霧化手段18から発生する帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルも増大し、十分な臭気対策がとれることができる。
【0051】
また、送風路17である排気口側送風路17bの少なくとも一部は、垂直方向に延びた排気口側垂直送風路17cを備え、この排気口側垂直送風路17cの少なくとも一部は、送風路27内に位置するものである。具体的には、送風路17である排気口側送風路17bは、静電霧化手段18と、静電霧化手段18より上部に位置するケーシング12の吐出口11とを、連通している。この排気口側送風路17bの少なくとも一部が、垂直方向に延びた排気口側垂直送風路17cである。この排気口側垂直送風路17cの一部が、送風路27である熱交換器16から送風機24に流れる風路内に位置するものである。
【0052】
すなわち、送風路27である熱交換器16から送風機24に流れる風路内に位置する排気口側垂直送風路17cの一部は、熱交換器16から送風機24に流れる空気により暖められる。これにより、排気口側垂直送風路17c内の空気が、暖められ排気口側垂直送風路17c内を上昇し易くなる。ここで、排気口側垂直送風路17cは垂直方向に延びているので、排気口側垂直送風路17c内を空気が上昇する場合に、排気口側垂直送風路17c内の風路抵抗が小さくなる。結果として、送風路17である吸気口側送風路17aから、吸込まれる空気が増大するので、静電霧化手段18から発生する帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルも増大し、十分な臭気対策がとれることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、吸湿部と放湿部を有する除湿ロータと、前記本体ケースの前記吸気口から吸込んだ空気を、第一の送風路により、前記除湿ロータの吸湿部を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第一の送風機と、前記本体ケース内に設けられた吸湿経路とを備え、前記吸湿経路は、前記除湿ロータの放湿部と、この放湿部の風上側に設けたヒータと、この放湿部の風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第二の送風機とを有し、前記本体ケース内に、前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、前記吸湿経路の熱交換器を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第二の送風路と、前記吸湿経路の熱交換器をバイパス後、前記排気口から本体ケース外に排気する第三の送風路とを設け、前記第三の送風路には、静電霧化手段を設け、前記第三の送風路は、前記本体ケースの前記吸気口と前記静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路と、前記静電霧化手段と前記本体ケースの前記排気口とを連通する第三の排気口側送風路とから形成し、前記静電霧化手段の一部は、前記第三の送風路から前記本体ケース内に突出し、前記吸気口側送風路は、前記静電霧化手段の下部に位置する構成としたものであるので、十分な臭気対策がとることができる。
【0054】
すなわち、本発明においては、本体ケースの吸気口から吸込んだ空気の一部は、第三の送風路である、本体ケースの吸気口と静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路を介し、静電霧化手段に流れ、次に、静電霧化手段と本体ケースの排気口とを連通する第三の排気口側送風路を介し、排気口へ流れる。この静電霧化手段に流れ込んだ空気から、静電霧化手段は、帯電微粒子水を発生させ、排気口から本体ケース外に排気するものである。ここで、静電霧化手段は、帯電微粒子水を発生させると同時に、熱を発生するものであるが、この熱により、静電霧化手段周囲の空気が暖められ、静電霧化手段から上昇気流が発生する。一方、静電霧化手段の下部に位置する吸気口側送風路には、本体ケースの吸気口から吸込んだ空気が流れるので、吸気口側送風路周囲の空気は冷やされ下降気流が発生する。つまり、静電霧化手段と吸気口側送風路との間に負圧領域ができ、この負圧領域によって、静電霧化手段、および吸気口側送風路の周囲に気流が発生し、この気流により静電霧化手段を冷却することができるものである。
【0055】
結果として、静電霧化手段を冷却効率が向上し、十分な臭気対策がとれることができる。また、静電霧化手段を本体ケース内の風路外に設けるので、風路内の風路抵抗が大きくなり、除湿能力が低下することを防止できるものである。
【0056】
従って、家庭用や事務所用などの、除湿装置として活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 本体ケース
2 吸気口
3 排気口
4 受皿
5 吸湿部
6 放湿部
7 除湿ロータ
8 モータ
9 送風機
10 吸込口
11 吐出口
12 ケーシング
13 ファン
14 吸湿経路
15 ヒータ
16 熱交換器
17 送風路
17a 吸気口側送風路
17b 排気口側送風路
17c 排気口側垂直送風路
18 静電霧化手段
19 放電電極
20 対向電極
21 高電圧印加部
22 ペルチェ素子
23 放熱フィン
24 送風機
25 上部空間部
26 下部空間部
27 送風路
28 側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、吸湿部と放湿部を有する除湿ロータと、前記本体ケースの前記吸気口から吸込んだ空気を、第一の送風路により、前記除湿ロータの吸湿部を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第一の送風機と、前記本体ケース内に設けられた吸湿経路とを備え、前記吸湿経路は、前記除湿ロータの放湿部と、この放湿部の風上側に設けたヒータと、この放湿部の風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第二の送風機とを有し、前記本体ケース内に、前記本体ケースの吸気口から吸込んだ空気を、前記吸湿経路の熱交換器を通過後、前記排気口から本体ケース外に排気する第二の送風路と、前記吸湿経路の熱交換器をバイパス後、前記排気口から本体ケース外に排気する第三の送風路とを設け、前記第三の送風路には、静電霧化手段を設け、前記第三の送風路は、前記本体ケースの前記吸気口と前記静電霧化手段とを連通する第三の吸気口側送風路と、前記静電霧化手段と前記本体ケースの前記排気口とを連通する第三の排気口側送風路とから形成し、前記静電霧化手段の一部は、前記第三の送風路から前記本体ケース内に突出し、前記吸気口側送風路は、前記静電霧化手段の下部に位置する構成とした除湿機。
【請求項2】
静電霧化手段は、放電電極と、この放電電極に対向して配置された対向電極と、これらの対向電極と放電電極間に高電圧を印加する高電圧印加部と、前記放電電極を冷却する冷却部と、この冷却部の熱を放熱する放熱フィンとを備え、この放熱フィンは、前記第三の送風路から前記本体ケース内に突出し、前記放熱フィンの下部に前記第三の吸気口側送風路が位置する構成とした請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
本体ケースは、略箱形状で、前記ヒータは、前記本体ケースの一方側面寄りに、前記熱交換器、および前記静電霧化手段は、前記本体ケースの他方側面寄りに位置した構成とした請求項1または2に記載の除湿機。
【請求項4】
第三の送風路である前記第三の吸気口側送風路は、前記熱交換器と前記本体ケースの他方側面との間に位置した構成とした請求項3に記載の除湿機。
【請求項5】
静電霧化手段である前記放熱フィンの上部に、空間である上部空間部と、第三の送風路である前記第三の吸気口側送風路の下部に、空間である下部空間部とを設けた請求項2〜4のいずれか一つに記載の除湿機。
【請求項6】
静電霧化手段である前記放熱フィンの上部の前記上部空間部と、前記第二の送風路とは隣接し、連通した請求項5に記載の除湿機。
【請求項7】
第一の送風機は、第一のケーシング部と、この第一のケーシング部に装着した第一の電動機と、この第一の電動機により回転する第一のファンとから形成し、前記第一のケーシング部は、吸込口と、吐出口とを備え、この吐出口は、前記静電霧化手段より上部に位置し、前記第三の送風路である前記第三の排気口側送風路は、前記第一のケーシング部の前記吐出口に連通した請求項1〜6のいずれか一つに記載の除湿機。
【請求項8】
第三の送風路である前記第三の排気口側送風路は、前記第一のケーシング部の前記吐出口の中央部に連通した請求項7に記載の除湿機。
【請求項9】
第三の送風路である前記第三の排気口側送風路の少なくとも一部は、前記第二の送風路内に位置する請求項1〜8のいずれか一つに記載の除湿機。
【請求項10】
第三の送風路である前記第三の排気口側送風路の少なくとも一部は、垂直方向に延びた第三の排気口側垂直送風路を備え、この第三の排気口側垂直送風路の少なくとも一部は、前記第二の送風路内に位置する請求項1〜9のいずれか一つに記載の除湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−226671(P2011−226671A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94684(P2010−94684)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】