説明

除湿機

【課題】霧化量が必要以上に多くなることがなく、給水手段の大型化をすることなく、安定的にミストを発生することが出来る除湿機を提供する。
【解決手段】除湿機本体1内部に吸湿材4と送風機5を有した除湿機において、ミストを発生させる静電霧化装置13は、送風機5からの吹き出し風に誘引される位置に開口部14を設け、静電霧化装置13は除湿機本体1内部の独立した空間19に配置されたことにより、静電霧化装置13は除湿部による乾燥空気に暴露されることがないため、霧化量が必要以上に多くなることがなく、静電霧化装置13に給水するペルチェ素子やカートリッジタンク等の給水手段を大型化する必要なく、ミストを安定的に発生することができ、ミストによる除菌効果、脱臭効果を効果的に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置を備えた除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電霧化装置が送風機の送風経路にあるものがあるが、除湿部と送風手段を備えた除湿機にも静電霧化装置を搭載したものがあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−238017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の除湿機は、除湿部を備えることで霧化量が多くなるため、静電霧化装置を搭載するためには給水量を多くする必要があり、給水手段の大型化が必要であった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点を解決して、霧化量が必要以上に多くなることがなく、給水手段の大型化をすることなく、安定的にミストを発生することが出来る除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の除湿機では、ミストを発生させる静電霧化装置は、送風手段からの吹き出し風に誘引される位置に出口部を設け、前記静電霧化装置は本体内部の独立した空間に配置されたものとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、霧化量が必要以上に多くなることがなく、静電霧化装置に給水する給水手段を大型化する必要なく、ミストを安定的に発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例における除湿機の概略説明図である。
【図2】同上、除湿機の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における除湿機の好ましい実施形態について説明する。図1は除湿機における除湿部の一例について示しており、1は除湿乾燥機の外郭をなす除湿機本体であって、この除湿機本体1は吸湿空気2の上流側より熱交換器3,吸湿材4,送風機5が配置され、吸湿空気2は送風機5により除湿機本体1内部に取り込まれて熱交換器3を冷却し、その後、吸湿材4により吸湿されてから除湿機本体1の外部へ排気されるように除湿機構が構成されている。
【0010】
吸湿材4はハニカム状のゼオライトで形成されている。あるいは、吸湿材4には、ハニカム構造で形成された担体に、シリカゲル等の無機系吸湿剤を担持させたものを用いてもよい。そして、吸湿材4は、図示しない駆動手段により回転する円盤状の回転体として設けられている。この回転体として駆動される吸湿材4は、吸湿領域4A,再生領域6を順次回転しながら吸放湿を繰り返すようになっている。
【0011】
また吸湿空気2の下流側には、吸湿材4の再生領域6に臨んでヒータなどの加熱手段7が設けられ、この再生領域6を通過しようとする循環空気8を加熱するように構成されている。さらに、9は循環空気8を循環させる循環送風機である。
【0012】
そして、吸湿材4は、再生領域6において、加熱手段7の輻射熱と加熱手段7により加熱された循環空気8とにより加熱され、吸着した水分を放出し、循環空気8はその放出した水分を多量に含み高温高湿となって、循環送風機9により吸湿材4の流出面から熱交換器3へ送られるようになっている。
【0013】
10は熱交換器3の下方に設けられたタンクであり、吸湿空気2により冷却された熱交換器3内で冷却された循環空気8に含まれる水分が凝縮して熱交換器3の内部表面に結露し、この結露した水は熱交換器3からドレンパン(図示せず)へ流れ落ち、その後、ドレンパンからタンク10へ排水されるようになっている。
【0014】
次に、図2を基づいて本実施例の除湿機の特徴的部分について説明すると、除湿機本体1の背面側(図中奥側)に吸湿空気2の取込口11が設けられるとともに、取込口11より除湿機本体1内部に取り込まれた吸湿空気2を乾燥空気として除湿機本体1外に排気する乾燥空気吹出口12を除湿機本体1の上部前面側(図中手前側)に設けている。
【0015】
除湿機本体1内部の上部には、ピコメートルサイズ(ここで、ピコメートル=pm=10-12メートル)のミストを発生する静電霧化装置13が配置され、この静電霧化装置13の上方には、静電霧化装置13から発生したミストを除湿機本体1内部から放出する開口部14が除湿機本体1の上部前面側に乾燥空気吹出口12と隣接して設けられている。このように、乾燥空気吹出口12と開口部14を隣接して設けたことにより、開口部14より放出されたミストが乾燥空気吹出口12より吹き出される乾燥空気の吹き出し風に誘引される構成となっている。
【0016】
ここで静電霧化装置13は、ペルチェ素子やカートリッジタンク等からなる給水手段(図示せず)と、毛細管現象により給水手段の水が搬送される一方の電極たる放電電極(図示せず)と、この放電電極に対向して設けられる他方の電極たる対向電極(図示せず)と、この放電電極と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加手段(図示せず)とを有している。ここで、放電電極への給水方式については、上述したペルチェ素子方式やカートリッジタンク方式に限定されるものではない。
【0017】
ここで、図2に示すように除湿機本体1内部には、送風機5と静電霧化装置13とを区画する仕切壁15が設けられている。そのため、除湿機本体1の内部では、静電霧化装置13から開口部14にかけて流通するミストの送風路と、送風機5から乾燥空気吹出口12にかけて流通する吸湿空気2の送風路は仕切壁15を隔てて画成されている。
【0018】
仕切壁15は、除湿機本体1内部において乾燥空気吹出口12と開口部14との間より垂直下向きに延設された縦壁部16と、縦壁部16から下方を送風機5の側面から底面にかけての外周形状に沿って形成された屈曲部17を有している。
【0019】
また、除湿機本体1内部の上部には、仕切壁15の縦壁部16と、略L字型に形成された画壁18とによって除湿部から独立して区画された空間19が形成されており、この空間19に静電霧化装置13は設置されている。
【0020】
つぎに、上記構成についてその作用を説明する。除湿乾燥機の運転を開始すると、送風機5が動作することにより吸湿空気2が除湿機本体1に取り込まれる。そして、この吸湿空気2は、熱交換器3を冷却し、その後、吸湿材4により吸湿され、乾燥された空気となって乾燥空気吹出口12から除湿機本体1の外部へ排気される。
【0021】
吸湿材4は図示しない駆動手段により連続的に回転し、水分を吸着した吸湿領域4Aから再生領域6に移動する。また、循環空気8は循環送風機9によって、吸湿材4の吸湿領域4A,再生領域6,熱交換器3を順に循環して循環送風機9に戻る。
【0022】
そして、吸湿材4は再生領域6において、吸湿材4の下流側に設けられた加熱手段7の輻射熱と、加熱手段7により加熱された循環空気8とにより加熱され、この吸湿材4に吸着した水分を放出する。
【0023】
その後、循環空気8は吸湿材4の再生領域6において複数の側面から放出された水分を多量に含んで高温高湿となり、循環送風機9によって熱交換器3へ送られる。
【0024】
そして、熱交換器3へ送られた循環空気8は、熱交換器3内で冷却され、循環空気8に含まれる水分が凝縮して熱交換器3の内部表面に結露する。この結露した水は熱交換器3からドレンパン(図示せず)へ流れ落ち、その後、ドレンパンからタンク10へ効率よく排水される。
【0025】
次に静電霧化装置13によるピコメートルサイズのミストの発生について説明すると、静電霧化装置13において放電電極と対向電極との間に電圧印加手段により電圧が印加されると、放電電極の先端への電荷の集中が起こり、毛細管現象により給水手段から放電電極の先端へと吸い上げられた水と対向電極との間にクーロン力が働くことで水は帯電して、このクーロン力が水の表面張力を超えると水が分裂(レイリー分裂)を繰り返し、OHラジカル(ハイドロキシラジカル又は水酸化ラジカル)等のラジカル(radical又はフリーラジカル、遊離基)たる活性種を含有したピコメートルサイズの粒子径のミストを発生させるものである。
【0026】
この場合、放電電極を、例えば多孔質のセラミックスのその細孔より小さな孔を無数に有する多孔質のポリエステルの集合体から構成することにより、上述したように水は毛細管現象によってこの極めて微小な孔より放電電極の先端へと滲み出るように吸い上げられる。さらに、放電電極の先端を円弧状にすることにより、対向電極に対向する放電電極の対向面積を大きく形成することで、放電電極と対向電極との間に電圧を印加した場合の放電電極の先端への電荷の集中を和らげる。そして、放電電極の先端への電荷の集中を和らげることで、弱い電荷で徐々に水を分裂させていき、ナノメートルサイズより更に微小な粒子径を有するピコメートルサイズのミストを発生させることが可能である。
【0027】
そして、静電霧化装置13により発生するピコメートルサイズのミストに含有するOHラジカル(ハイドロキシラジカル又は水酸化ラジカル)等のラジカル(radical又はフリーラジカル、遊離基)たる活性種によって、室内空気中の浮遊成分や室内壁面への付着物についての除菌・脱臭機能を有効に活用することで、ナノメートルサイズのミストと比べ、さらに広範囲に亘り、顕著で効果的な除菌・脱臭を行うことが可能である。
【0028】
そして、静電霧化装置13から発生したピコメートルサイズのミストは開口部14より除湿機本体1の外部へ放出され、開口部14より放出されたミストは開口部14に隣接して設けられた乾燥空気吹出口12より吹き出される乾燥空気による吹き出し風に誘引されて上昇し、乾燥空気とともに室内に拡散していく。
【0029】
このように、除湿機本体1に、吸湿材4と、この吸湿材4で吸湿される吸湿空気2を送る送風機5と、吸湿材4を再生する循環空気8を送る循環送風機9と、吸湿材4を通過する循環空気8を加熱する加熱手段7と、吸湿材4を通過した循環空気8を冷却して水分を凝縮させる熱交換器3とを備え、ミストを発生させる静電霧化装置13は、乾燥空気吹出口12の吹き出し風に誘引される位置に開口部14を有した除湿機本体1内部にある仕切壁15と画壁18によって画設されて独立した空間19に設けられ、静電霧化装置13によるミストは、乾燥空気による吹き出し風に誘引されて除湿機本体1外に排出される。
【0030】
そのため、静電霧化装置13は除湿部による乾燥空気に暴露されることがないため、霧化量が必要以上に多くなることがなく、静電霧化装置13に給水するペルチェ素子やカートリッジタンク等の給水手段を大型化する必要がなく、ミストを安定的に発生することができ、ミストによる除菌効果、脱臭効果を効果的に得ることができる。
【0031】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、除湿機本体1内部に除湿部としての吸湿材4と送風手段としての送風機5を有した除湿機において、ミストを発生させる静電霧化装置13は、送風機5からの吹き出し風に誘引される位置に出口部としての開口部14を設け、静電霧化装置13は除湿機本体1内部の独立した空間19に配置されたものとする。
【0032】
この場合、静電霧化装置13は除湿部による乾燥空気に暴露されることがないため、霧化量が必要以上に多くなることがなく、静電霧化装置13に給水するペルチェ素子やカートリッジタンク等の給水手段を大型化する必要なく、ミストを安定的に発生することができ、ミストによる除菌効果、脱臭効果を得ることができるようになる。
【0033】
本実施例上の効果としては、静電霧化装置13から発生するミストをピコメートルサイズとしたことで、この微小で流動性に優れたミストは、乾燥空気吹出口12から上向きに吹き出される乾燥空気の吹き出し風からの誘引によって乾燥空気吹出口12に隣接した開口部14付近に負圧が発生して、開口部14から除湿機本体1外部へと吸引されて放出されるので、開口部14へと空気を送り出すためのファン等の換気装置を空間19に備えなくともミストを開口部14から放出できる構造となっているため、除湿機の構造を簡単にして製造コストを抑制することができる。
【0034】
また、乾燥空気吹出口12及び開口部14がともに除湿機本体1の上部に隣接して設けられたことで、乾燥空気吹出口12より上向きに吹き出される乾燥空気の吹き出し風に、開口部14から放出されたピコメートルサイズのミストが誘引されるため、この上向きの風とピコメートルサイズという微小で流動性に優れたミストの組み合せによって、ミストがさらに広範囲に亘って拡散し、さらに顕著で効果的な除菌・脱臭を行うことが可能である。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、本実施例では除湿機を例に説明したが、本発明は除湿機に限らず除湿部と同様の除湿機構を有する乾燥機等にも適用可能である。また、本実施形態では除湿部をゼオライト式による吸着タイプとして説明したが、例えば冷媒を循環(流通)するコンプレッサに、冷媒中の熱を放出するコンデンサと、ドライヤと、キャピラリチューブと、空気中の水分を凝縮する熱交換器に相当するエバポレータとを順次連結して構成されると共に、エバポレータからコンプレッサに至る経路と並列に、冷凍サイクル切換部としての二方弁を設けた冷凍サイクル機構としてもよく、上記の吸着タイプとの組み合わせても良いものとする。さらに、本実施例の静電霧化装置にナノメートルサイズのミストを発生させる機能を備えてもよく、ピコメートルサイズのミストとナノメートルサイズのミストを両方発生させる機能を備えてもよい。さらに、静電霧化装置は、対向電極を設けない場合であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 除湿機本体
5 送風機(送風手段)
13 静電霧化装置
14 開口部(出口部)
19 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミストを発生させる静電霧化装置は、送風手段からの吹き出し風に誘引される位置に出口部を設け、
前記静電霧化装置は本体内部の独立した空間に配置されたものとすることを特徴とする除湿機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−71251(P2012−71251A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217711(P2010−217711)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】