説明

陰イオン交換高分子電解質

本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖と、それからペンダントしている少なくとも1つの陽イオン性官能基とを含む、陰イオン交換高分子電解質が提供される。本発明の実施形態による少なくとも1つの陰イオン交換高分子電解質から形成される陰イオン交換膜(AEM)、およびそのようなAEMを備える燃料電池も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2010年9月24日出願の米国仮出願第61/245,517号および2010年3月10日出願の米国仮出願第61/312,434号からの優先権を主張するものであり、それらの各々の開示は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、陰イオン交換高分子電解質に関する。本発明は、陰イオン交換高分子電解質を含むアルカリ燃料電池にも関する。
【背景技術】
【0003】
近年になって、特に、アルカリ燃料電池用途において陰イオン交換膜(AEM)として使用されるもののために、陰イオン交換高分子電解質の開発に関心が高まってきている。高いpHにおける多くの電気化学反応と関係している低い過電圧、および貴金属触媒を使用しないで済ませる可能性のために、AEMは、より幅広く開発されかつ理解されているプロトン交換膜または陽イオン交換膜(PEMまたはCEM)に対する興味深い対応物(counterpoint)としての機能を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、大部分の市販AEMは、アルカリ性環境または電気化学的環境においてあまり安定とはいえない架橋ポリスチレンをベースとしている。加えて、アミノ化架橋ポリスチレンなどのポリスチレンは、物理的特性が不十分なために、他のポリマーおよび繊維支持体とブレンドされることがあり、他のポリマーの添加は、イオン導電率をさらに制限することがあり、膜の化学的安定性を下げることがある。したがって、適当な安定性およびイオン導電率を有する新たな陰イオン交換高分子電解質の必要性が当技術分野において残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一部の実施形態によれば、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖およびそれからペンダントしている少なくとも1つの陽イオン性官能基を包含する陰イオン交換高分子電解質が提供される。一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、式I:
【化1】

(式中、
Aは、単結合、アルキレン、フルオロアルキレン、またはハライド、アルキル、フルオロアルキルおよび/もしくは陽イオン官能基で置換されていてもよいアリーレンであり、
Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋剤および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択され、
式中、A、B、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、フッ素化されている)の反復単位を包含する。
【0006】
一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、ポリスルホン反復単位を包含する。一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、式
【化2】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキルまたはハライド、アルキル、架橋剤および/またはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)である)の反復単位を包含する。
【0007】
一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、式III:
【化3】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋剤および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
式中、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択される)の構造を有する反復単位などのポリアリーレンエーテル反復単位を包含する。
【0008】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、シアノアリーレン反復単位を包含し、一部の実施形態において、フルオレニル反復単位を包含する。例えば、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、式V:
【化4】

(式中、BおよびB’は、各々独立して、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋剤および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)である)の構造を有するフルオレニル反復単位を包含することができる。
【0009】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖の陽イオン性官能基は、少なくとも1つの陽イオン性基を包含するポリマーグラフトを包含することができる。例えば、陽イオン性官能基は、式II:
【化5】

(式中、ZおよびZ’は、各々独立して、CHまたはNである)の構造を有することができる。
【0010】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖は、高分子電解質中の架橋基を介してまたは外部架橋剤を介して架橋される。
【0011】
本発明の一部の実施形態によれば、本発明の実施形態による少なくとも1つのフッ素化された陰イオン交換高分子電解質から形成される陰イオン交換膜(AEM)も提供される。さらに、一部の実施形態において、AEMは、複合膜でもよい。
【0012】
加えて、本発明の一部の実施形態によれば、本発明の実施形態によるAEMを備える燃料電池が提供される。
【0013】
本発明をさらに理解するために包含され、本出願に組み込まれかつ本出願の一部を構成する添付の図面は、本発明のある種の実施形態(複数可)を図示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の一部の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の化学構造を示す図である。
【図1B】陽イオン性部位が、図1Aのフッ素化された陰イオン交換高分子電解質上にどのように位置し得るかを模式的に図示している図である。
【図2】可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)によるブロックコポリマー合成手順の一例を提供する図である。
【図3】フルオレニル系ブロックコポリマー合成の一例を提供する図である。
【図4A】本発明の一部の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の化学構造を示す図である。
【図4B】陽イオン性部位が、図4Aのフッ素化された陰イオン交換高分子電解質上にどのように位置し得るかを模式的に図示している図である。
【図5A】本発明の一部の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の化学構造を示す図である。
【図5B】陽イオン性部位が、図5Aのフッ素化された陰イオン交換高分子電解質上にどのように位置し得るかを模式的に図示している図である。
【図6】本発明の一部の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の化学構造を示す図である。
【図7】新規フルオレニルモノマーおよびフルオレニルモノマーを包含するフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の合成を示す図である。
【図8】本発明の一部の実施形態によるエチニル末端のフッ素化された陰イオン交換高分子電解質を形成する方法を図示する図である。
【図9】エチニル末端のフッ素化された陰イオン交換高分子電解質が、どのように架橋し得るかを模式的に図示している図である。
【図10】本発明の一部の実施形態による架橋するための提案機構を図示する図である。
【図11】本発明の一部の実施形態によるエチニル末端のAEMを形成する方法を図示する図である。
【図12】本発明の一部の実施形態による2つのAEMの導電率に対する温度の効果を図示するグラフの図である。
【図13】本発明の一部の実施形態によるいくつかのAEMの吸水率(%)に対する温度の効果を図示するグラフの図である。
【図14】本発明の一部の実施形態によるいくつかのAEMの導電率に対する温度の効果を図示するグラフの図である。
【図15】本発明の一部の実施形態によるAEMを形成するための合成手順を提供する図である。
【図16】本発明の一部の実施形態によるポリスルホンおよびポリ(アリーレンエーテル)についての60℃におけるハイブリッド電池の分極曲線および出力密度のグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の上記の態様および他の態様について、本明細書で示す説明および方法論に関してより詳細に述べる。本発明は、異なる形態で実施することが可能であり、本明細書に示されている実施形態に制限されると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、十分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように示される。
【0016】
本明細書において本発明の説明で使用される術語は、特定の実施形態のみについて記載するためであり、本発明を制限していることは意図されていない。本発明の実施形態の説明および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈が他のことを明確に指示していない限り、複数形も包含することが意図されている。また、本明細書で使用する場合、「および/または」とは、関係する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを指しかつ包含する。さらに、「約」という用語は、化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な値を指す場合に本明細書で使用する場合、指定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%の変動さえも包含することを意味する。さらに、「含む」および/または「含むこと」という用語は、本明細書で使用される場合に、記述されている特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが理解されるであろう。別段の定義がない限り、説明で使用されている技術用語および科学用語を包含するすべての用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0017】
本明細書で言及されるすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。相反する専門用語の場合、本明細書に支配される。
【0018】
本発明の一態様に記載されている実施形態は、記載されているその態様に制限されない。該実施形態は、本発明の異なる態様がその意図した目的のために作用するのを該実施形態により妨げられない限り、本発明のこうした態様にも適用されることがある。
【0019】
[化学的定義]
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、およびアレニル基を包含する、C1〜20(両端含む)の、線状(すなわち、「直鎖」)、分岐または環状の、飽和、または少なくとも部分的不飽和および一部の場合完全不飽和(すなわち、アルケニルおよびアルキニル)の炭化水素鎖を指す。「分岐の」とは、メチル、エチルまたはプロピルなどの低級アルキル基が、線状のアルキル鎖に接続しているアルキル基を指す。例示的な分岐のアルキル基は、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチルを包含するが、それらに限定されるものではない。「低級アルキル」とは、1〜約8個の炭素原子(すなわち、C1〜8アルキル)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を有するアルキル基を指す。「高級アルキル」とは、約10〜約20個の炭素原子、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有するアルキル基を指す。ある種の実施形態において、「アルキル」とは、特に、C1〜5直鎖アルキルを指す。他の実施形態において、「アルキル」とは、特に、C1〜5分岐鎖アルキルを指す。
【0020】
アルキル基は、同じか異なってもよい1つまたは複数のアルキル基置換基で置換されていてもよい(「置換アルキル」)。「アルキル基置換基」という用語は、アルキル、置換アルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ、およびシクロアルキルを包含するが、それらに限定されるものではない。アルキル鎖に沿って、1つまたは複数の酸素、硫黄または置換もしくは非置換の窒素原子が挿入されていてもよく、窒素置換基は、水素、低級アルキル(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも呼ばれる)、またはアリールである。
【0021】
したがって、本明細書で使用する場合、「置換アルキル」という用語は、アルキル基の1つまたは複数の原子または官能基が、別の原子または、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、サルフェート、およびメルカプトを包含する官能基で置き換えられている、本明細書で定義されているようなアルキル基を包含する。
【0022】
「アリール」という用語は、本明細書において、単一の芳香族環か、縮合している、共有結合している、またはメチレンもしくはエチレン部分などであるがそれらに限定されない共通の基に連結している複数の芳香族環でもよい芳香族置換基を指すために使用される。共通の連結基は、ベンゾフェノンにおけるようなカルボニル、またはジフェニルエーテルにおけるような酸素、またはジフェニルアミンにおけるような窒素であってもよい。「アリール」という用語は、具体的には、ヘテロ環式芳香族化合物を包含する。芳香族環(複数可)は、とりわけ、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミンおよびベンゾフェノンを含むことができる。特定の実施形態において、「アリール」という用語は、約5〜約10個の炭素原子、例えば、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を含み、5および6員の炭化水素およびヘテロ環式芳香族環を包含する環状芳香族を意味する。
【0023】
アリール基は、同じか異なっていてよい1つまたは複数のアリール基置換基で置換されていてもよく(「置換アリール」)、「アリール基置換基」は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン、および−NRR”(式中、RおよびR”は、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびアラルキルであってよい)を包含する。
【0024】
したがって、本明細書で使用する場合、「置換アリール」という用語は、アリール基の1つまたは複数の原子または官能基が、別の原子または、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、サルフェート、およびメルカプトを包含する官能基で置き換えられている、本明細書で定義されているようなアリール基を包含する。アリール基の具体例は、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、カルバゾールなどを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0025】
「環状」および「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子の非芳香族の単環式または多環式の環系を指す。シクロアルキル基は、部分的に不飽和であってもよい。シクロアルキル基は、本明細書で定義されているようなアルキル基置換基、オキソ、および/またはアルキレンで置換されていてもよい。環状アルキル鎖に沿って、1つまたは複数の酸素、硫黄または置換もしくは非置換の窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換基は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであり、こうしてヘテロ環式基を得ることができる。代表的な単環式シクロアルキル環は、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを包含する。多環式シクロアルキル環は、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン、およびノルアダマンチルを包含する。
【0026】
「アルキレン」とは、1から約20個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有する直線または分岐の二価脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基は、直線、分岐、または環状であってよい。アルキレン基は、不飽和でかつ/または1つもしくは複数の「アルキル基置換基」で置換されていてもよい。アルキレン基に沿って、1つまたは複数の酸素、硫黄または置換もしくは非置換の窒素原子(本明細書において「アルキルアミノアルキル」とも呼ばれる)が挿入されていてもよく、窒素置換基は、前に記載されているようなアルキルである。例示的なアルキレン基は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CH−CH−)、プロピレン(−(CH−)、シクロへキシレン(−C10−)、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−(式中、qおよびrの各々は、独立して、0から約20までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20であり、Rは、水素または低級アルキルである)、メチレンジオキシル(−O−CH−O−)、およびエチレンジオキシル(−O−(CH−O−)を包含する。アルキレン基は、約2〜約3個の炭素原子を有することができ、さらに6〜20個の炭素を有することができる。
【0027】
「アリーレン」とは、二価のアリール基を指す。例示的なアリーレンは、互いに関して、すなわち、それぞれ、オルト、メタ、またはパラ位に結合するために利用することができる環炭素原子を有することができるフェニレンである。アリーレン基は、ナフチレンであってもよい。アリーレン基は、同じか異なっていてよい本明細書で定義されているような1つまたは複数の「アリール基置換基」で置換されていてもよい(「置換アリーレン」)。
【0028】
「アミノ」および「アミン」という用語は、NR、NH、NHR、およびNHR(式中、Rは、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキレン、アリーレン、アラルキレンであってよい)などの窒素含有基を指す。したがって、本明細書で使用されているような「アミノ」とは、一級アミン、二級アミン、または三級アミンを指すことができる。一部の実施形態において、アミノ基の1つのRは、陽イオン安定化ジアゼニウムジオレート(すなわち、NONO)であってよい。
【0029】
「陽イオン性アミン」および「四級アミン」という用語は、追加の(すなわち、第四の)基、例えば、水素または窒素と結合しているアルキル基を有するアミノ基を指す。したがって、陽イオン性アミンおよび四級アミンは、正電荷を運ぶ。
【0030】
本明細書で使用されているような「ハロ」、「ハライド」、または「ハロゲン」という用語は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、およびヨード基を指す。
【0031】
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を指す。
【0032】
[フッ素化された陰イオン交換高分子電解質]
本明細書では、少なくとも部分的にフッ素化されている多環芳香族陰イオン交換高分子電解質が提供される。したがって、本発明の実施形態による多環芳香族陰イオン交換高分子電解質は、部分的にフッ素化されている、実質的にフッ素化されている、または完全にフッ素化さえされていてよい。C−F結合は、C−H結合より強く、HO・ラジカルおよびHO・ラジカルによる分解を最小限に抑えるか防ぐことができる。したがって、陰イオン交換高分子電解質中にC−F結合を包含することは、非フッ素化芳香族炭化水素ポリマーと比較して、熱的および酸化的安定性ならびに化学的不活性を高め、表面特性およびフィルム形成特性を改善し、吸湿を減らし、加工を容易にすることができる。一部の実施形態において、本発明の実施形態による多環芳香族陰イオン交換高分子電解質は、アルカリ燃料電池における陰イオン交換膜(AEM)として使用することができる。そのようなAEMは、相対的に低い吸水率および膨潤、望ましいイオン導電率を持つ相対的に低い燃料クロスオーバー、ならびに適当な化学的および電気化学的安定性を有することができる。
【0033】
本発明の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、それらからペンダントしている少なくとも1つの陽イオン性官能基を包含することができる。したがって、ポリマー主鎖は、主鎖から直接ペンダントしている陽イオン性官能基を包含することができ、および/またはポリマー主鎖は、主鎖上にグラフトされたアルキル、オリゴマー鎖もしくはポリマー鎖を有することができ、1つもしくは複数の陽イオン性官能基を、グラフト鎖に付けることができる。
【0034】
本明細書で使用する場合、「高分子電解質」という用語は、陽イオン性基などの電解質基を保有する反復単位を包含するポリマーを指す。「陰イオン交換高分子電解質」という用語は、陽イオンが、ポリマー上に固定されている一方で、ある種の条件下で、対陰イオンが移動できるような、陽イオン性電荷を保有する反復単位を包含するポリマーを指す。一部の実施形態において、高分子電解質中の反復単位の一部のみが電解質基を包含する。例えば、一部の実施形態において、陽イオン性基を包含しない反復単位の比に対する陽イオン性基を包含する反復単位の比は、0.1〜1の範囲である。したがって、一部の実施形態において、反復単位のすべてが、電解質基を包含する。本明細書に記載されているフッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、典型的には、固体であるが、ゲルまたは他の半固体状態などの他の物理的状態で存在することもできる。
【0035】
本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式I:
【化6】

(式中、
Aは、単結合、アルキレン、フルオロアルキレン、またはハライド、アルキル、フルオロアルキルおよび/もしくは陽イオン官能基で置換されていてもよいアリーレンであり、
Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択され、
式中、A、B、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、フッ素化されている)の反復単位を包含する。
【0036】
例えば、一部の実施形態において、Aは、単結合であり、Bは、酸素であり、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々フッ素であり、下に示されている式I−Aの反復単位を形成する。
【化7】

【0037】
別の例として、一部の実施形態において、Aは、−C(CF−であり、Bは、酸素であり、R、R、R、R、R、R、およびRqは、各々独立して、水素であり、Rpは、陽イオン性官能基であり、下に示されている式I−Bの反復単位を形成する。
【化8】

【0038】
別の例として、一部の実施形態において、Aは、−C(CF)(C)−であり、Bは、酸素であり、R、R、R、R、R、R、およびRは、各々独立して、水素であり、Rは、陽イオン性官能基であり、下に示されている式I−Cの反復単位を形成する。
【化9】

【0039】
本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式II:
【化10】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)である)の反復単位を包含する。例えば、一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、下に示されている式II−Aの反復単位を包含する。
【化11】

【0040】
本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式III:
【化12】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
式中、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択される)の反復単位を包含する。
【0041】
例えば、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、下に示されている式III−Aの反復単位を包含する。
【化13】

【0042】
本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、シアノアリーレン反復単位を包含する。例えば、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式IV:
【化14】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)である)の反復単位を包含する。
【0043】
フルオレニル基を含有するポリマー電解質は、1分子当たりにより多くのイオン性基を導入することができることから、相対的に高いイオン導電率を有することができる。したがって、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、フルオレニル反復単位を包含することができる。例えば、一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式V:
【化15】

(式中、BおよびB’は、各々独立して、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、RおよびRは、各々独立して、水素または陽イオン性官能基である)の反復単位を包含することができる。例えば、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、下に示されている式V−Aの反復単位を包含することができる。
【化16】

【0044】
一部の実施形態において、式I、II、III、IVおよび/またはVのうちの2つ以上のサブユニットを組み合わせ、より大きな反復単位を形成することができる。例えば、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式Iの2つのサブユニットから形成される式VI:
【化17】

(式中、AおよびA’は、各々独立して、単結合、アルキレン、フルオロアルキレン、またはハロ、アルキルおよび/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリーレンであり、BおよびB’は、各々独立して、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’は、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択され、式中、A、A’、B、B’、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’のうちの少なくとも1つは、フッ素化されている)の反復単位を包含することができる。
【0045】
例えば、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、
【化18】

などの反復単位を包含することができる。
【0046】
2つの異なるタイプの反復単位から形成されるより大きな反復単位の例は、式VII:
【化19】

(式中、Aは、単結合、アルキレン、フルオロアルキレン、またはハライド、アルキルおよび/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリーレンであり、
BおよびB’は、各々独立して、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択され、
式中、A、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、フッ素化されている)の構造を有する反復単位である。
【0047】
一例として、部分的にフッ素化された多環芳香族高分子電解質は、
【化20】

などの反復単位を包含することができる。
【0048】
2つの異なるタイプの反復単位から形成されるより大きな反復単位の別の例は、式VIII:
【化21】

の構造を有する反復単位である。
【0049】
異なるサブユニットを組み合わせるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質の別の例は、図1Aに示されている。図1Bの模式図に示されているように、このことは、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質の主鎖に沿った陽イオン性部位を可能にすることができる。
【0050】
一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、ブロックコポリマーを包含する。両親媒性ブロックコポリマーは、ミクロ相分離により接続良好な親水性イオン性チャンネルに自己組織化することができ、適切なチャンネルは、低い湿度条件下であってもイオン輸送を容易にすることができる。ブロックコポリマーは、縮合および可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)(図2におけるRAFTの例を参照)などの制御されたラジカル重合法を包含する任意の適当な方法により合成することができる。フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、共連続ミクロ相分離形態を示す膜を形成することができ、結果として、優れた機械的特性および高いイオン導電率を有することができる。
【0051】
一例として、一部の実施形態において、フルオレニル基を包含するブロックコポリマーが提供される。交互の導電セグメントおよび非導電セグメントからなるこのブロックコポリマー構築は、温水における膨潤および機械的強度の喪失を防ぐか最小限に抑えることができる。そのようなブロックコポリマーは、重縮合反応により親水性オリゴマーおよび疎水性オリゴマーのための連結基としての高反応性のフッ素基およびアルコール基を通じて合成することができる(例えば、図3を参照)。
【0052】
本明細書に記載されているフッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、任意の適当な分子量であってよい。しかしながら、数平均分子量は、一部の実施形態において、約500〜約100万の範囲、一部の実施形態において、約100,000〜約200,000の範囲でもよい。
【0053】
[陽イオン性官能基]
任意の適当な陽イオン性官能基を、本発明の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質において使用することができる。一例として、本発明の一部の実施形態において、陽イオン性官能基は、四級アンモニウム、グアニジニウムまたはホスホニウムイオンである。四級アルキルアンモニウム陽イオンおよびアルキルホスホニウム陽イオンなどの単純な陽イオンを使用することができる。しかしながら、一部の実施形態において、脂肪族アルキル系四級アンモニウム水酸化物含有ポリマーは、高いpHにおいて適当に安定ではないことがある。ホスホニウムイオンは、類似のアンモニウム型より低い電荷密度を有する。より低い電荷密度は、水酸化物による直接の求核攻撃のための駆動力を低減し、陰イオン導電率を高めることができる。しかしながら、一部の場合において、脂肪族アルキル系またはフェニル系ホスホニウム水酸化物は、十分な安定性を有していないこともある。したがって、本発明の一部の実施形態において、アルカリ燃料電池用途において使用される陰イオン交換膜を形成するために使用されるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質のために他の陽イオンが使用されることがある。
【0054】
アルカリ安定性が増加し得る陽イオンは、陽イオン中心の周囲が立体的に障害されているものを包含し、水酸化物の攻撃からコアの窒素またはリン原子およびα−炭素原子を守ることができる。同時に、立体的原子は、共役に加わることもでき、強い電子供与体にもなり得る。両方により、四級のアンモニウム基またはホスホニウム基の安定性を高めることができる。立体的に障害されている基の例は、下に示されているトリス(トリメトキシフェニル)ホスホニウム陽イオンおよびトリ(t−ブチル)ピリジニウム陽イオンを包含する。
【化22】

【0055】
本明細書で使用する場合、「陽イオン性官能基」という用語は、陽イオンが、遊離であるか対イオンと結合しているように、陽イオンと中性塩の両方を包含することを意図している。対陰イオンの例は、水酸イオンならびに塩素イオンなどのハロゲンイオン、炭酸イオン、重炭酸イオンおよび硫酸イオンを包含する。
【0056】
陽イオン性官能基の他の例は、−CH(CH、−CH(CH)(C)ならびに式IXおよび式
【化23】

(式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素またはハライドであり、nは、0〜50の範囲、一部の実施形態において、0〜10の範囲である)の構造を有する陽イオンを包含する。
【0057】
本発明の一部の実施形態において、陽イオン性官能基は、少なくとも1つの陽イオン性官能基を包含する多環芳香族ポリマーグラフトである。少なくとも1つの陽イオン性官能基を有する多環芳香族ポリマーグラフトの包含は、疎水性ポリマー主鎖からの親水性陽イオン性基の分離を介して相分離(例えば、ナノスケールで)形態を促進することができる。そのようなフッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、許容できる水膨潤安定性および高い導電率などの燃料電池用途にとって望ましい特性を有する膜を形成することができる。
【0058】
フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、さまざまな鎖長を有するペンダント鎖(「グラフト」と呼ばれることもある)と共に合成することができる(図4A)。図4Bの模式図に示されているように、このことは、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質のグラフトに沿った陽イオン性部位を可能にすることができる。イオン性ドメインのサイズは、ペンダント鎖長、例えば、1つのモノマーからオリゴマーまでの鎖長をさらに長いグラフトに変化させることにより制御することができる。加えて、1グラフト当たりに1つの陽イオンのみが存在することができるか、1グラフト当たりに複数の陽イオンが存在することができる。1グラフト当たりの複数の陽イオンは、連続イオン性チャンネルネットワークを作成するためにミクロ相分離を促進することができる柔軟性のあるポリイオン性の親水性側鎖の使用を可能にすることができ(図5Aおよび図5Bを参照)、低い水和におけるより良い導電率を提供することができる。
【0059】
一例として、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、式XI:
【化24】

(式中、Yは、陽イオン性官能基であり、Zは、CHまたはNであり、nは、0〜50の範囲、一部の実施形態において、0〜20の範囲である)の構造を有する。例えば、一部の実施形態において、多環芳香族ポリマーグラフトは、下に示されている式XI−Aの構造を有する。
【化25】

【0060】
一部の実施形態において、フッ素などの疎水基は、多環芳香族ポリマーグラフトに包含されることがある。疎水基は、陽イオン性グラフトの親水性の変化を可能にすることができる。例えば、多環芳香族ポリマーグラフトは、下に示されている式XI−Bの構造を有することができる(図6を参照)。
【化26】

【0061】
[フッ素化された陰イオン交換高分子電解質を形成する方法]
フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、任意の適当な合成手順により形成することができる。例えば、一部の実施形態において、四級アンモニウム陽イオン性ポリマーは、ポリマー主鎖を形成するためのモノマーの重縮合と、続く、芳香族官能基のクロロメチル化と、続く、四級アンモニウム基を形成するためのクロロメチル基のアミノ化を介して合成することができる。そのような手順は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Zhouら、Journal of Power Sources、190(2009)285〜292に記載されている。
【0062】
一般的に、クロロメチル化およびアミノ化のこの手順は、陰イオン交換高分子電解質を調製するために広く使用される。この手順は便利であるが、この方法により調製される陰イオン交換高分子電解質には一部の欠点が存在する。先ず、クロロメチル基の量およびポリマー主鎖に沿ったそれらの位置は、クロロメチル化反応において正確に制御されないことがある。加えて、典型的に使用されるクロロメチル化試薬、クロロメチルメチルエーテルは、有害な化学物質であり、ヒトの健康に対して潜在的に有害である。さらに、クロロメチルメチルエーテルは、相対的に高価であり、高分子電解質の製造原価を劇的に増大させることがある。
【0063】
したがって、本発明の一部の実施形態によれば、有毒かつ高価なクロロメチル化試薬の使用を回避し、イオン導電率の増加を可能にすることができる陰イオン交換高分子電解質を形成する方法が提供される。合成手順は、図7に示されており、式Vのフルオレニル反復単位を形成することができる新規モノマーを形成する。ポリマーは、これらのモノマーの重縮合により形成することができ、次いで、三級アミン基のメチル化により、式Vの反復単位が生じるであろう(図7を参照)。この方法は、異なるモノマーの比を調整することにより、四級アンモニウム基の含量およびポリマーにおけるそれらの位置を包含するポリマー構造の厳密な制御を可能にすることができる。
【0064】
[架橋]
AEMにおいて使用される高分子電解質中のより高い陽イオン密度は、より高い導電性をもたらし得るが、水またはメタノールによる膜膨潤につながることもあり、したがって、アルカリ燃料電池などの用途において性能を落とすことがある。したがって、本発明の一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、外部架橋剤かまたはフッ素化された陰イオン交換高分子電解質中の架橋基を介して架橋される。架橋は、膜膨潤を軽減し、機械的安定性を改善することができる。
【0065】
本発明の一部の実施形態において、内部架橋基は、少なくとも1つのエチニル基を包含する。特定の実施形態において、少なくとも1つのエチニル基は、末端エチニル基である(図8を参照)。一部の実施形態において、末端エチニル基を有する陰イオン交換高分子電解質は、図9に記載されているプロセスにより形成することができる。熱架橋性基としてのポリマーの端におけるエチニル部分は、熱酸化安定性、耐化学性および寸法安定性を高めることがあり、膜についてのイオン交換容量値を減少させることなく望ましいイオン導電率につながることもある。
【0066】
陽イオン性官能基の形成は、図9に示されているように架橋の前または後に生じることがある。例えば、一部の実施形態において、非イオン性クロロメチル化高分子電解質を、相対的に高い温度(160℃)にて硬化させ、続いて、膜状態でアミノ化することができる。しかしながら、一部の場合において、高い硬化温度は、脆性材料をもたらすことがある。
【0067】
しかしながら、この問題は、塩化物形態の高分子電解質が、水酸化物形態に交換される場合に、克服されることがある。例えば、その水酸化物形態の高分子電解質を、外部架橋剤と混合し、触媒を使用し、したがって60℃などの相対的に低い温度にて架橋することができる。この架橋プロセスについての可能な機構は、図10に示されている。得られる膜は、水および純粋なメタノールの存在下で望ましい物理的および化学的安定性を示し、優れた加水分解安定性をもたらすことができる。加えて、架橋反応に必要とされる低い温度のために、電極(結合材料は、膜と同じである)と膜の間のエポキシ基の架橋反応により適当な膜電極接合体(MEA)を形成することが可能となり得るが、それにより、接触抵抗をさらに下げることができる。
【0068】
任意の適当な架橋基を、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質に組み入れることができ、任意の適当な外部架橋剤を加え、高分子電解質を架橋することができる。一部の実施形態において、外部架橋剤は、エポキシ官能基化架橋剤であってよい。エポキシは、1つの例であり、他の架橋剤は、当技術分野において知られている。例えば、一部の実施形態において、架橋剤は、下に示されている構造のうちの1つを有することができる。
【化27】

【0069】
一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、陽イオン性官能基の形成後に架橋することができる。例えば、図11に示されているように、非イオン性のクロロメチル化高分子電解質を、架橋反応前にトリメチルアミン溶液に浸漬することにより先ずアミノ化することができる。イオン膜における相分離が、疎水性主鎖と親水性陽イオンとの間の非相容性のために流延プロセスの間に形成される。次いで、得られるイオン性チャンネルを持つ膜を、例えば、エチニル部分を通じて、低温にて架橋することができる。その一方で、四級アンモニウム基の分解は、低い硬化温度のためにこの方法により最小限に抑えるか回避することができ、したがって、この架橋手順は、最終膜の導電率に実質的に影響を及ぼさないことがある。
【0070】
[AEMおよびそれらを形成する方法]
陰イオン交換膜は、当技術分野において知られている任意の方法により本発明の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質から形成することができる。一部の実施形態において、流延法が使用される。この場合、膜形態への流延は、架橋前または架橋後に行うことができる。さらに、本発明により得られる陰イオン交換膜は、一般の平坦な形状ばかりでなく、袋、中空繊維、中空管形状、または任意の他の適当な形状にも形成することができる。
【0071】
一部の実施形態において、フッ素化された陰イオン交換高分子電解質を、別のポリマーと混和または混合し、複合膜を形成することができる。任意の適当な混合または混和プロセスを使用することができ、そのような方法は、当技術分野において知られている。本発明の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質と混和することが望ましい場合がある材料の例は、陽イオン交換高分子電解質、Teflon AF、シリコーン、TiO、AlOなどの無機粒子およびゾル−ゲル材料を包含する。
【0072】
一部の実施形態において、膜は、陰イオン交換ポリマーで繊維を強化することにより形成される。反応剤の液体混合物は、繊維上に液体モノマー混合物を流延することにより、または個々の繊維片、積み重ねて配置した複数の繊維片、または連続プロセスにおけるロールからの繊維を用いて、液体混合物に繊維を浸すことにより、繊維に塗布することができる。熱を加えると、反応剤間の反応および重合が起こり、繊維により支持された架橋陰イオン交換膜が形成されよう。
【0073】
一部の実施形態において、陰イオン交換膜は、ラミネートして、または付けて複合膜を形成する。少なくとも1つの他の陰イオン交換高分子電解質、別のポリマーまたは別のタイプの材料に、接続される。このラミネーションは、膜の得られる特性(例えば、導電率)に有益になる、あるいは寸法安定性および/または取扱効率を与えることができる。ラミネーションおよびラミネーション法用の基体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはポリテトラフルオロエチレンの不織布などの例えば多孔質基体、または延伸縮拡張(stretch expansion)法により得られる微多孔膜でもよい。ラミネーション法は、前もって調製された陰イオン交換膜および多孔質基体が、接着剤としての陰イオン交換体前駆体の溶液を使用するいわゆる湿式ラミネーション法により結合される方法でもよい。
【0074】
別の実施形態において、膜は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはTeflon.RTMなどの多孔質プラスチックフィルムに、本発明の実施形態によるフッ素化された陰イオン交換高分子電解質を吸収させることにより形成される。反応剤の液体混合物は、多孔質プラスチックフィルム上に液体モノマー混合物を流延することにより、または液体混合物に多孔質プラスチックフィルムを浸すことにより、多孔質プラスチックフィルムに塗布することができる。熱を加えると、反応剤間の反応および重合が起こり、多孔質プラスチックフィルムにより支持された、架橋されフッ素化された陰イオン交換高分子電解質が形成されよう。
【0075】
フッ素化された陰イオン交換高分子電解質は、固体塊に重合させ、処理し、小粒子に粉砕することもできる。次いで、小粒子は、押出機中で混和し、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの溶融プラスチックと共に加熱することができる。次いで、プラスチックおよびイオン交換混合物を、AEMの薄板に押し出すことができる。
【0076】
フッ素化された陰イオン交換高分子電解質から形成されるAEMは、任意の適当な厚さでもよい。しかしながら、一部の実施形態において、AEMの厚さは、約10μm〜約1000μmの範囲、一部の実施形態において、約20μm〜約200μmの範囲でもよい。
【0077】
AEMは、任意の適当なイオン交換容量を有することができる。しかしながら、一部の実施形態において、イオン交換容量は、約0.1〜約10meq/gの範囲、一部の実施形態において、約1meq/g〜約5meq/gの範囲である。
【0078】
AEMは、任意の適当な導電率を有することができる。しかしながら、一部の実施形態において、導電率は、約10−4〜約1S/cmの範囲であり、一部の実施形態において、導電率は、約10−3〜約0.3S/cmの範囲である。
【0079】
AEMは、公知であり、様々な分離および精製用途、例えば電気透析、中性塩分解およびメタセシスにおいて使用される。例えば、本明細書に記載されている陰イオン交換膜は、電気透析により電解質を濃縮する方法において使用することができ、陽イオン交換膜または水素イオン選択的透過膜、および陰イオン交換膜は、陰極と陽極の間に交互に配置され、電圧が、電解質溶液を供給する間に印加される。AEMは、水精製の電池用電解質として、ならびに二酸化炭素の除去および吸収における用途のために使用することもできる。
【0080】
[アルカリ燃料電池]
本明細書に記載されている陰イオン交換高分子電解質から形成されるAEMは、アルカリ燃料電池を包含する任意の適当な燃料電池において使用することができる。本発明による固体アルカリ燃料電池は、典型的には、2つの電極および上で定義されているAEMを備える。一部の実施形態において、アルカリ燃料電池用の電極は、湿式製法と、続く、焼結の方法により、または電極構造に構成要素を圧延および圧入することを通しての乾式製法の方法により製造される。電極は、一般的に、多孔質導電性拡散層の上部の親水性触媒層からなり(それぞれ、燃料および酸化剤の均一な分布)、通常は金属製である集電器に結合される。一部の実施形態において、電極構造は、例えば、触媒および触媒電解質混合物の連続沈着により得られるいくつかの層から構築される。
【0081】
一部のアルカリ燃料電池において、空気または酸素を、酸化剤として使用することができ、メタノール、エタノール、もしくはイソプロパノールなどのアルコール、またはジメチルエーテルなどの有機化合物を、水成分を含有する溶液の形態で燃料として使用することができる。それらの燃料に含有される水成分は、酸化剤を加湿するための加熱/加湿部において酸化剤に運ぶことができる。燃料電池を形成および使用する構造、構成要素および方法は、Unlu,M.;Zhou,J.;Kohl,P.A. Hybrid Polymer Electrolyte Fuel cells:Alkaline Electrodes with Proton Conducting Membrane.Angewandte Chemie 2010、49、pp1321〜1323;Zhou,J.;Unlu,M.;Anestis−Richard,I.;Kohl,P.A. Crosslinked,epoxy−based anion conductive membranes for alkaline membrane fuel cells.Journal of Membrane Science 2010、350、pp286〜292;Unlu,M.;Zhou,J.;Kohl,P.A. Hybrid Anion and Proton Exchange Membrane Fuel Cells.Journal of Physical Chemistry 2009、113、pp11416〜11423に記載されているように当技術分野において知られている。
【実施例1】
【0082】
ポリマー主鎖に沿って位置するイオン性官能基を含有する部分的にフッ素化された、多環芳香族系の縮合ポリマー(図1に示されている)は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Zhouら、J.Power Sources、2009、190(2)、285〜292に記載されている手順により、重縮合反応、クロロメチル化反応、およびアミノ化反応を通じて合成した。この参考文献で詳細に記載されているように、QAPSF−2は、QAPSF−1よりも多くの陽イオン性部位をポリマー主鎖上に有している。
【0083】
ポリマーを、Teflonプレート上にDMF溶媒から流延し、透明かつ柔軟性のある陰イオン交換高分子電解質を形成した。AEM内の炭酸イオンは、70℃において最高で63.12ms/cmまでの優れた導電率を示す(図12を参照)。
【実施例2】
【0084】
架橋された、エポキシ系の陰イオン導電性膜を、エポキシ官能基(下に示されている)を介して架橋するのに成功し、改善された機械的特性をもたらした。合成および特性決定のデータは、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Zhouら、J.Membr.Sci、2010、350、286〜292に見いだすことができる。
【化28】

【0085】
エポキシ架橋剤、テトラフェニロールエタングリシジルエーテル(4EP)の濃度は、架橋度を制御した。架橋膜の特性を検討した。表1ならびに図13および14を参照されたい。
【表1】

【0086】
架橋膜のすべては、非架橋膜と比較して良好な熱安定性、低い吸水率(図13を参照)、低い膨潤性、および低いメタノール透過率を有していた。架橋膜のイオン導電率(図14を参照)は、わずかに低めであるが、より高い選択性(メタノール透過率に対するイオン導電率の比)が得られた。結果は、架橋膜が、アルカリ膜燃料電池用の陰イオン交換膜として使用される可能性を有することを示している。
【実施例3】
【0087】
ペンダントした四級アンモニウム基を持つ部分的にフッ素化されたコポリ(アリーレンエーテル)高分子電解質を開発した(下に示されている)。合成手順は、図15に示されている。
【化29】

【0088】
得られた高分子電解質は、試験した前のポリスルホンイオノマーと比較して、低い吸水率および膨潤性を有しており、優れたイオン導電率ならびに高いpHにおける良好な化学的および電気化学的安定性も示した(表1を参照)。
【表2】

【0089】
図16に示されているように、望ましい燃料電池性能は、AEMにおいてこの高分子電解質を使用することにより達成することができる。
【0090】
本明細書に示した本発明の多くの変更形態および他の実施形態は、上記の説明および関連する図面に提示されている教示の利益を有する、これらの発明に関係する当業者には思い当たるであろう。したがって、本発明は、開示した具体的な実施形態に制限すべきでなく、変更形態および他の実施形態も、添付の特許請求の範囲内に包含することを意図していることを理解されたい。特定の用語を本明細書において用いているが、それらは、一般的かつ記述的な意味でのみ使用し、制限のために使用してはいない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖と、
それからペンダントしている少なくとも1つの陽イオン性官能基と
を含む陰イオン交換高分子電解質。
【請求項2】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、式I:
【化1】

(式中、
Aは、単結合、アルキレン、フルオロアルキレン、または、ハライド、アルキル、フルオロアルキルおよび/もしくは陽イオン官能基で置換されていてもよいアリーレンであり、
Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択され、
式中、A、B、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、フッ素化されている)
の反復単位を含む、請求項1に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項3】
Aが、−C(CF−または−C(CF)(C)−であり、Bが、酸素であり、R、R、R、R、R、R、RおよびRが、各々独立して、水素または陽イオン性官能基である、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項4】
前記陽イオン性官能基が、−CH(CHである、請求項3に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項5】
前記陽イオン性官能基が、少なくとも1つの陽イオン性基を含むポリマーグラフトを含む、請求項3に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項6】
前記陽イオン性官能基が、式XI:
【化2】

(式中、Yは、陽イオン性官能基であり、Zは、CHまたはNであり、nは、0〜50の範囲である)の構造を有する、請求項5に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項7】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、ポリスルホン反復単位を含む、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項8】
前記ポリスルホン反復単位が、式II:
【化3】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)である)の構造を有する、請求項7に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項9】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、ポリアリーレンエーテル反復単位を含む、請求項1に記載の陰イオン交換膜。
【請求項10】
前記ポリアリーレンエーテル反復単位が、式III:
【化4】

(式中、Bは、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
およびRは、各々独立して、水素、フッ素、架橋基および陽イオン性官能基からなる群から選択される)
の構造を有する、請求項9に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項11】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、シアノアリーレン反復単位を含む、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項12】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、フルオレニル反復単位を含む、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項13】
前記フルオレニル反復単位が、式V:
【化5】

(式中、BおよびB’は、各々独立して、単結合、酸素またはNR(式中、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、またはハライド、アルキル、架橋基および/もしくはフルオロアルキルで置換されていてもよいアリールである)であり、
、R、RおよびRは、各々独立して、水素または陽イオン性官能基である)
の構造を有する、請求項12に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項14】
前記架橋基が、ハロアルキルであり、前記陰イオン交換膜が、少なくとも1つのエチニル基をさらに含む、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項15】
前記少なくとも1つのエチニル基が、末端エチニル基である、請求項14に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項16】
前記陰イオン交換膜が、少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖内の架橋基を介して架橋される、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項17】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖の架橋基が、エポキシ架橋剤で架橋される、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項18】
前記陽イオン性官能基が、四級のアンモニウム、グアニジニウムまたはホスホニウム基である、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項19】
前記少なくとも部分的にフッ素化された多環芳香族ポリマー主鎖が、ブロックコポリマーを含む、請求項2に記載の陰イオン交換高分子電解質。
【請求項20】
請求項1に記載の陰イオン交換高分子電解質と、
前記陰イオン交換高分子電解質に付着している、または陰イオン交換高分子電解質と混和されている少なくとも1つの追加材料と
を含む複合陰イオン交換膜。
【請求項21】
請求項1に記載の陰イオン交換高分子電解質を含むアルカリ燃料電池。
【請求項22】
請求項20に記載の複合陰イオン交換膜を含むアルカリ燃料電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−505825(P2013−505825A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531057(P2012−531057)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/050152
【国際公開番号】WO2011/038198
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(510079053)ジョージア・テック・リサーチ・コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】