説明

階段昇降車

【課題】従来、幾例かの階段昇降機構または昇降車が提唱されているが昇降車の水平姿勢維持、安定重心の保持並びに接地密着度の高い段差走破能の全てを網羅したものがないか複雑な機構を要していた。
【解決手段】下部車台5の傾斜に応じ上部架台1をカム3及び10に沿い自動移動させる水平姿勢及び安定重心自動維持機構と遊星駆動歯車8の周りに複数の被駆動車輪7を遊星状に配した遊星公転車輪により水平姿勢と安定重心の自動維持、並びに接地密着度の高い段差走破能を備えた自走メカニカル階段昇降車となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は階段昇降車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幾例かの階段昇降機構または昇降車が提唱されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上の技術によれば、階段昇降車が具備すべき車両の水平姿勢の維持、重心の安定保持、接地密着度並びに段差走破能の全てを網羅したものがないか複雑な機構を要している。そこで、この発明は、従来とは異なる機構にて自動的に車両の水平姿勢の維持と重心の安定を保持し、且つ接地密着度の高い段差走破能を備えた階段昇降車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、第一発明は階段昇降時の水平姿勢の維持と安定重心の保持として下部車台の傾斜に応じ上部架台を下部車台と上部架台間に設けたカムに沿って上下前後に2次元移動させることを特徴とする階段昇降車である。
また、第二発明は、下部車台に対する上部架台の2次元移動を下部車台と上部架台の角度検知ジャイロの検出傾斜に応じ、下記論理にて作動する昇段・降段各対応アクチュエーターにて自動的に行うことを特徴とする階段昇降車である。
アクチュエーター作動論理

第三発明は、遊星駆動歯車の周りに複数の被駆動車輪を遊星状に配する車輪構造により、駆動力による接地密着度の高い被駆動車輪の周りに車輪構造全体を公転させて段差を走破することを特徴とする階段昇降車である。
【発明の効果】
【0005】
第一発明、第二発明または第三発明によれば、下部車台姿勢対応上部架台自動移動機構による水平姿勢と安定重心の維持、並びに遊星車輪機構による接地密着度の高い段差走破能を備えた自走メカニカル階段昇降車となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
上部架台1と下部車台5の間には前縁カム3と後縁カム10、及び昇段・降段対応各アクチュエーター9と4が設けられている。また上部架台及び下部車台には各々角度検知ジャイロ2と6が設置され、下部車台には遊星駆動歯車8と被駆動車輪7からなる遊星公転車輪が取り付けられている。
【0007】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば昇段時には下部車台5の角度検知ジャイロ6が下部車台後傾(昇段)を検知次第、上部架台1がカム3と10に沿い、昇段対応アクチュエーター9により自動的に前方へせり上がり、降段時には下部車台前傾(降段)を検知次第、降段対応アクチュエーター4により後方へせり上がって上部架台の水平姿勢と安定重心を維持する。下部車台には遊星公転車輪が装着されており接地密着度を保持しながらの公転にて昇段または降段ができる。
【0008】
「他の実施形態」
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す昇段姿勢側面図である。
【図2】この発明の一実施形態を示す降段姿勢側面図である。
【図3】この発明の一実施形態を示す平地走行姿勢側面図である。平地走行時は昇段及び降段各対応アクチュエーター9と4が最短縮し、上部架台1は下部車台5に対し平行となる。尚、上部架台の動きを規制する前縁カム3と後縁カム10の軌跡は昇段用と降段用で対称である。また平地走行時、遊星公転車輪は公転せず、遊星駆動ギヤ周りの被駆動車輪が走行駆動輪となる。
【図4】この発明の一実施形態を示す遊星公転車輪説明図である。遊星駆動車8の周りに複数の被駆動車輪7を遊星状に配した構造となっており、平地走行等の通常走行では被駆動車輪が駆動輪となって走行する。階段等障害物に遭遇して1ヶの被駆動車輪が固定された場合、その車輪周りに連結棹11が公転し障害物を乗り越える。被駆動車輪には常に回転動力が伝わっているので接地密着性がある。
【図5】この発明の一実施形態を示す遊星公転車輪詳細説明図である。駆動軸たるサンギヤ12の周りに、リングギヤ14の内歯14bと噛み合う遊星ギヤ13を配し、リングギヤの外歯14aと噛み合う第一ギヤ7aを有する被駆動輪7を連結棹11で連結している。サンギヤ12が時計回りすると遊星ギヤ13とリングギヤ14は反時計回り、被駆動輪7は時計回りする。被駆動輪7がロックされると第一ギヤ7aを介してリングギヤ14がロックされ、遊星ギヤ13の軸芯15に取り付けた遊星公転ギヤ16が時計回りし、被駆動輪7の第二ギヤ7bの周りを連結棹11が時計回りに公転する。尚、公転時にも被駆動輪7には常に駆動回転力が働いており、接地密着度を高める。
【符号の説明】
【0010】
1 上部架台 7b 第二ギヤ
2 上部架台角度検知ジャイロ 8 遊星駆動歯車
3 前縁カム 9 昇段対応アクチュエーター
4 降段対応アクチュエーター 10 後縁カム
5 下部車台 11 連結棹 14a リングギヤ外歯
6 下部車台角度検知ジャイロ 12 サンギヤ 14b リングギヤ内歯
7 被駆動車輪 13 遊星ギヤ 15 遊星ギヤ軸芯
7a 第一ギヤ 14 リングギヤ 16 遊星公転ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段昇降時の水平姿勢維持と安定重心保持として下部車台傾斜に応じ上部架台を自動的に上下前後に2次元移動させることを特徴とし、また接地密着度の高い段差走破として遊星駆動歯車の周りに配された被駆動車輪周りに車輪構造全体を公転させることを特徴とする階段昇降車。
【請求項2】
前記上部架台の2次元移動を下部車台と上部架台間に設けたカムにより規制することを特徴とする請求項1記載の階段昇降車。
【請求項3】
前記上部架台の2次元移動を角度検知ジャイロによる下部車台と上部架台の検出傾斜に対し、下記論理にて作動するアクチュエーターにて自動的に行うことを特徴とする請求項1記載の階段昇降車。

【請求項4】
前記被駆動車輪周りに車輪構造全体を公転させて接地密着度の高い段差走破をする機構として遊星駆動歯車の周りに複数の被駆動車輪を遊星状に配することを特徴とする請求項1記載の階段昇降車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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