説明

隔離プラットホーム

【課題】種々の機器及び(又は)構造体を支持するプラットホームであって、かかる構造体をプラットホームの外部の振動(「騒音」)から隔離するのを助けるプラットホームを提供する。
【解決手段】プラットホーム10は、円錐形の凹み15を備えた上側と下側のプレート30,20を有し、上側プレート30は、上述の構造体をその上に支持し、下側プレート20は、そのようにしなければ支持状態にある構造体が載っていることになる表面/領域に接触する。複数の剛性球形支承体50が、上側プレートと下側プレートの間で円錐形凹み15内に配置され、それにより上側プレート及び下側プレートが互いに対して変位できるようにする。プラットホームは、支持されるべき構造体を保持し、上側プレート及び下側プレートを一緒に維持し、追加の減衰効果をもたらす保持機構を更に備えるのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に種々の構造体を支持する際に用いられる隔離プラットホームに関し、特に、支持している構造体を一般にプラットホーム外部の周囲振動から隔離するプラットホームに関する。
【背景技術】
【0002】
橋、建物、機械及び潜在的に地震現象を受ける他の構造体に用いられる形式の隔離支承体は典型的には、支持荷重、即ち、支持されている構造体の重量に耐えるよう構成されている。この点に関し、特定の免震支承体が、あらゆる横方向変位位置で規定の最大鉛直方向重力加重を支持するよう構成されていることが望ましい。
【0003】
免震支承体の保存性は、地震活動又は他の外部印加力により引き起こされた変位を元に戻す支承体の能力の観点で説明できる。この点に関し、外部印加力により引き起こされた横方向変位に続き、支承体をその元の公称の位置に押し戻すためにゴム性支承本体、板ばね、コイルばね等を用いることができる。これに関連して、支承体は、そのばね、ゴム体積又は塊等中に印加エネルギの相当な部分を蓄えることにより横ベクトル力を「保存」し、外部印加力が止まった際にこの印加エネルギを放出して支承体をその公称の設計位置に引っ張り又は押し戻す。
【0004】
公知の隔離支承体は、鋼製プレートで補強された積層ゴム性支承本体を有する。より詳細には、薄い鋼製プレートが、鋼とゴムが交互に積層された支承本体を生じさせるよう比較的厚いゴム製プレート相互間に配置される。薄い鋼製プレートをスタック中の各ゴム製プレート相互間に用いることは、ゴムが印加された鉛直方向支承応力に応答してその周囲のところが外方に膨れるのを阻止するのを助ける。この構成により、支承本体は、鋼製プレートを用いない状態で等しい体積のゴムにより支持できる場合よりも大きな鉛直方向力を支持することができる。
【0005】
スナッバ(即ち、緩衝器)と組み合わせた鋼製コイルばねは、機械の重量を鉛直方向に支持するために機械と関連して用いられる場合が多い。コイルばねは一般に、支持されるべき構造体(例えば、機械)が上向き鉛直方向力を受ける場合のある用途において鋼/ゴム積層品よりも好ましく、かかる上向き鉛直方向力は、鋼/ゴム積層品を分離する傾向がある。
【0006】
ゴム性支承体は典型的には、高制振ゴムで構成され、或いは、印加エネルギを消散させるのに有用な鉛又は鋼イールダ(yielder )が追加される。しかしながら、現在知られている金属製イールダは、金属製イールダがゴム支承本体をサンドイッチした上側支承プレートとこれと反対側に位置する下側支承プレートの両方に連結された組立体において効果的な鉛直方向隔離を妨げ又は阻止するという欠点がある。
【0007】
現在知られている免震支承体は、高制振ゴム支承体の粘性及びヒステリシス減衰特性を分けることが困難なのでもう1つの欠点があり、かくして、支承体の粘性機能とヒステリシス機能を効果的に切り離す免震支承体が必要とされる。
【0008】
機械と関連して一般に用いられている形式の鋼製ばねマウントは、エネルギを消散させることができず、かかる鋼製ばねマウントを用いた結果として、一般に大幅な支承体の運動が生じる。かかる大幅な支承体の運動は、スナッバ又は緩衝器を用いることにより補償できる。しかしながら、使用中、スナッバは、地震に起因して機械に加えられる加速力程度
又はこれ以上の加速力を機械に与える場合がある。
【0009】
非常に大きな鉛直方向荷重の場合、摺動タイプの免震器が用いられる場合が多い。しかしながら、かかる免震器と関連した摩擦係数を制御し又は維持することが困難であり、更に、かかる免震器では典型的には、鉛直方向の隔離が得られず、かかる免震器は、起き上がり能力が望ましい用途における使用には向いていない。
【0010】
隔離支承体の一例は、剛性プレート相互間に転動支承体を用いることにより騒音の効果を減少させようとするために用いられるものである。例えば、かかる装置の1つは、円錐形キャビティを備えた下側プレート及びこれとほぼ同じキャビティを備えた上側プレートから成り、これら相互間に剛性ボール状支承体が配置された支承体を含む。下側プレートが恐らくは、支持されるべき構造体が通常載る地面又はベース表面上に載り、これに対し、その構造体は、上側プレートの頂面上に載る。かくして、外部振動が生じると、下側プレートは、上側プレート及び下側プレート内及びこれら相互間のボール状支承体の転動により上側プレートに対して動くようになっている。かくして、支持されている構造体は、外部振動から隔離される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、かかる装置は、これら自体に欠点が無いわけでない。例えば、かかる装置は、これらのサイズに応じて、移動範囲が限られている場合がある。即ち、上側プレートと下側プレートとの間の変位の量は、支承体のサイズに基づいて限定される場合がある。加うるに、支承構造体は、それ自体不安定な場合がある。例えば、大型の構造体を比較的小さな支承体上に配置すると、これは、構造体が傾くと共に(或いは)ひっくり返るという恐れが高くなる。明らかなこととして、非常に大型で重量のある構造体の場合、かかる欠点は破局的な場合がある。
【0012】
不安定性と同様、任意特定の支承構造体が耐えることができる荷重の大きさは、その寸法により制限される場合がある。同様に、支承体の不安定性に関しても、もし万が一支持されている構造体の重量が不均等に分布していると、上側プレート又は下側プレートのいずれかの一断面が、別の断面よりも大きく曲がり又は撓む傾向があり、支承構造体全体がばらばらになる場合がある。
【0013】
さらに、依然として多くの場合、かかる大型構造体、例えばサーバ、電子顕微鏡又は他の感度の高い機器を据え付ける場合、建物及びこれらが据え付けられる領域は、例えば上述したような支承体に対応するようには容易には構成されない。
【0014】
かくして、大きな荷重に耐え、安定性が高く(即ち、ばらばらになる傾向が低い)、しかも意図した構造体が収納されるようになった領域中へ容易に組み込むことができる免震構造体が長い間要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、種々の機器及び(又は)構造体を支持するプラットホームであって、かかる構造体をプラットホームの外部の振動(「騒音」)から隔離するのを助けるプラットホームを提供する。一般に、プラットホームは、円錐形の凹みを備えた上側と下側のプレートを有し、上側プレートは、上述の構造体をその上に支持し、下側プレートは、そのようにしなければ支持状態にある構造体が載っていることになる表面/領域に接触する。複数の剛性球形支承体が、上側プレートと下側プレートの間で円錐形凹み内に配置され、それにより上側プレート及び下側プレートが互いに対して変位できるようにする。
【0016】
かくして、横方向力(例えば、振動の形態)がプラットホームに加えられると、上側プレートは、下側プレートに対して横方向に変位し、したがってこれらの間のボールがこれらそれぞれの凹みの周りに転動し、ボールが高い高さ位置まで挙げられるようになる。したがって、構造体に作用する重力が、プラットホーム全体をその元の位置に復元させる傾向のある横方向力成分を生じさせる。かくして、本発明によれば、実質的に一定の復元力及び減衰力が得られる。
【0017】
本発明の追加の特徴によれば、プラットホームの安定性は、その「フットプリント」の寸法(その幅とその高さの関係)及び(又は)種々の保持機構により向上する。例えば、第1の開放パン構造体の頂点相互間の距離は好ましくは、ペイロードの高さ、幅及び(又は)深さに対して1.25未満の比である。加うるに、好ましくは、ペイロードの重量の半分は、ペイロードの上半分に位置している。
【0018】
例えば、上側プレートと下側プレートとの間の種々のストラップを取り付けるのがよく、それによりプレート相互間の横方向変位を可能にするが、プレートの望ましくない分離を阻止する。加うるに、本発明の種々の実施形態によれば、保持機構(例えば、保持ストラップ)は、追加の減衰効果を生じさせることができる。本発明の別の特徴によれば、種々の機構が安定性及び減衰効果を生じさせることができると共に汚染防止手段、例えばゴム、フォーム又は他のシーラント(ガスケット)がプレートの周囲に沿ってぐるりと配置される。
【0019】
これと同様に、好ましい実施形態では、本発明に従ってペイロードを支持する隔離プラットホームは、下向きの支承面を備えた4枚のプレートを有する第1の開放パン構造体を有し、第1の開放パン構造体は、プレートに連結されていて、四辺形を形成する複数の剛性部材を有する。第1の開放パン構造体は、各プレート相互間に位置する開口部を有し、各支承面は、中央頂点及び円錐形表面を備えた凹部を有し、円錐形表面は、中央頂点から凹部の周囲まで連続的に延び、凹部の頂点相互間の距離は少なくとも、ペイロードのフットプリントの対しょ点相互間の距離に等しい。第1の開放パン構造体と実質的に同一の第2の開放パン構造体も又設けられ、第1及び第2の開放パン構造体の支承面がこれらの間に4つのキャビティを構成するよう位置決めされており、各キャビティは、少なくとも1つの剛性ボールを収容し、第1及び第2の開放パン構造体は、ストラップで互いに可動的に締結され、ストラップは、鉛直平面内における第2の開放パン構造体に対する第1の開放パン構造体の変位を制限すると同時に、水平平面内における第2の開放パン構造体に対する第1の開放パン構造体の変位を減少させる。
【0020】
さらに、本発明の種々の実施形態によれば、第1の開放パン構造体は、鉛直平面内において第2の開放パン構造体に対し動くことなく、第2のパンに対する考えられる最大の水平方向変位に関するあらかじめ選択された率で水平平面内において動く。これと同様に、第1の開放パン構造体は、第2の開放パン構造体が最高あらかじめ選択された力までの割合で動いているとき、水平平面内で動くよう構成されているのがよく、この場合、第1の開放パン構造体は、水平平面内において且つ第2の開放パン構造体に対しあらかじめ選択された距離以上動くことはない。
【0021】
本発明の別の特徴は、添付の図面を参照して、明細書及び特許請求の範囲に記載された非限定的な実施形態を参照すると明らかになろう。なお、図中、同一の符号は同一の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の隔離プラットホームの例示の実施形態の断面図である。
【図2】図1の実施形態の下側プレートの平面図である。
【図3】本発明の変形実施形態の荷重板の斜視図である。
【図4】本発明の変形実施形態の荷重板の平面図である。
【図5】本発明の例示の実施形態のストラップ構造の斜視図である。
【図6】本発明の例示の実施形態の「保持器」形態の斜視図である。
【図7】本発明の例示の実施形態の機器拘束器の側面図である。
【図8】入れ子式ダンパ組立体を有する本発明の例示の実施形態の側面図である。
【図9】「アウトリガー」ダンパ組立体を有する本発明の例示の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の種々の例示の実施形態によれば、隔離プラットホーム10が、これによって支持された装置に生じる振動を止めて騒音を軽減させるために設けられている。まず最初に、当業者であれば、以下の説明は例示の実施形態についてのものであるに過ぎず、本発明の範囲、利用可能性又は形態を如何なる意味でも限定するものではないということは理解されるべきである。それどころか、以下の説明は、本発明の種々の実施形態を実施するうえで都合のよい例示を提供するに過ぎない。例えば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態に関して説明する要素の設計及び構造の種々の変更を想到できる。
【0024】
それはそうとして、プラットホーム10は主要構成要素として、構造体を支持するようになった基礎に取り付けられている下側プレート20を有している。第2の反対側に配置された(上側)プレート30が、下側プレート20の上方に配置され、この上側プレートは、支持されるべき構造体に任意的に固定される。種々の実施形態によれば、プレート20,30は各々、複数の対応関係をなした凹状の全体として円錐形表面(凹み面)15を有し、これらの間には複数の円錐形キャビティ40が形成されている。一般的に言って、半径方向又は直線状表面に適当な組合せを本発明に従って凹部15に関し採用できることは理解されるべきである。加うるに、プラットホーム10は、円錐形キャビティ40内でプレート20,30相互間に位置するボール支承体50、即ち、全体的に球形の鋼製ボール支承体を更に有している。
【0025】
より詳細には、上側プレート30は、構造体を支持し、この上側プレートは、複数の下向きの円錐形剛性の支承面を有している。下側プレート20は、支持されるべき構造体を支持する基礎に固定され(例えば、機械的に又はプラットホーム10それ自体の重力及び重量により)、下側プレートは、下向きの円錐形剛性支承面と反対側に配置された複数の上向きの円錐形剛性支承面を有している。かくして、下向き及び上向きの支承面は、上記上側プレートと下側プレートとの間に複数の支承キャビティを構成し、複数の剛性球形ボールが、これら支承キャビティ内で、上記下向き支承面と上向き支承面との間に介在して配置されている。
【0026】
さらに詳細に説明すると、今説明している例示の実施形態では、下向き及び上向き支承面は、復元力が実質的に一定であるように剛性球形ボールと同一の曲率を持つ中央頂点を有している。加うるに、これら表面は、球形ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲を有していて、中央頂点と凹部周囲を連続した勾配で連結している。かくして、球形ボールと上向き及び下向き支承面の曲率は、球形ボール並びに上側及び下側プレートが互いに対して側方に変位すると、上側及び下側プレートの垂直方向変位がほぼゼロであるように構成されている。
【0027】
かくして、一般的に、外部振動、例えば地震による地滑り又は他の周囲振動により横方向力がプラットホーム10に加わると、プレート20,30は、互いに対して動き、ボール50は有利には、各プレート20,30の頂点25a,25bからキャビティ40の縁部
に向かって移動する。プレート20,30をこれらの通常の位置から互いに対して横方向にシフトさせると、プラットホーム10によって支持された構造体の重量により、下向きの力が上側プレート30に加わり、この支承力は、ボール50を介して下側プレート20に伝達される。凹み面15の傾斜角に鑑みて、構造体によって及ぼされる鉛直方向重力の成分は、プレート20,30をこれらの通常位置に押し戻す傾向のある横方向(例えば、水平方向)復元力として現れる。
【0028】
それはともかく、次に図1及び図2に示す例示の実施形態を参照すると、プラットホーム10は適切には上側プレート30及び下側プレート20を有し、各プレートは、頂点25を備えることを特徴とする4つの凹み面15を有している。ボール50はそれぞれ、凹み面15によって形成された内部キャビティ領域内に配置されている。ボール50は、これらの通常の位置では、これらそれぞれの凹部15内に適切に心出しされており、したがって各ボール50がそのそれぞれの頂点内に配置されるようになっている。本発明の別の特徴によれば、本明細書において説明する凹部15はそれぞれ、任意の高強度鋼又は高い降伏強さを示す他の材料から適切に作られたものであるのがよい。加うるに、プラットホーム10の寿命を延ばし、表面15とボール50との間の摩擦を減少させる等のために種々の表面をテフロン(登録商標)又は他の保護層で被覆するのがよい。
【0029】
例えば上述したような多数のキャビティを有する実施形態の一利点は、凹部15の数が増大するにつれてプラットホーム10の耐力が増大することにある。材質及び寸法形状が等しい場合、例えば二重凹部形態の強度は適切には、単一凹部形態の2倍であり、4つの凹部を有する実施形態(例えば、図1及び図2に示す)の耐力の強度は適切には、単一ボール形態の4倍である。かくして、本明細書では一般に4つの凹部に関して説明するが、本発明のプラットホーム10は、支持されるべき荷重の所望の耐力に対応するよう構成される任意特定の用途において使用される凹部の任意の数及び寸法を有することができる。
【0030】
特に図1
を参照すると、ガスケット60をプレート20,30の周囲に沿ってぐるりと適切に配置するのがよい。ガスケット60は適切には、プレート20,30が互いに変位すると、弾性変形できる任意の材料、例えばゴム等の材料から成る。本発明の好ましい実施形態によれば、ガスケット60は、プレート20,30のうち一方又は両方に、好ましくはプレート20,30の外周部のところで接着される(例えば、膠着される)。かくして、かかるガスケット60は有利には、水、埃及び屑がプレート20,30相互間の領域に入るのを阻止する。加うるに、本発明の種々の特徴によれば、ガスケット60は、追加の減衰又は制振効果をもたらすことができる。
【0031】
次に、本発明の別の例示の実施形態によれば、プラットホーム10は、その寸法形状を調節可能にすると共に(或いは)一層軽量にできるような仕方で構成される。特に図3を参照すると、本発明の別の実施形態によれば、プレート20,30の経済的な構成を、複数の実質的に平らで平面状のプレートセグメント70を一連の連結部材80で互いに取り付けることにより達成できる。プレートセグメント70は、適切には、2枚のプレートを互いに上下に配置すると、上述したような支承体50との接触及びプラットホーム10の動作をもたらすよう上述したような凹部15を備える。
【0032】
図3及び図4に示す例示の実施形態によれば、連結部材80は、プラットホーム10が軽減する振動並びにプラットホーム10上に置かれる重量に耐えるほど十分適切に強固な任意の仕方でセグメント70に取り付けられる。これと同様に、セグメント70及び部材80の材料は、これらに耐えるのに十分強固である必要がある。かかる例示の実施形態では、セグメント70は、ステンレス鋼で構成され、部材80は、A36軟鋼で構成される。ただし、これらに代えて上述の特性を示す任意の材料を用いることができる。
【0033】
好ましくは、セグメント70と部材80は、ナットとボルトタイプの締結具により取り付けられる。ただし、これらを取り付ける別の手段としては、溶接、ろう付け等が挙げられる。ボルト止めされたセグメント70と部材80に関する利点としては、プラットホーム10が据え付けられる場所に応じて、プレート20,30を分解できること及びプレート20,30のサイズを調整できることが挙げられる。
【0034】
任意的に、例えば図3に示すような例示の実施形態によれば、それぞれのセグメント70相互間に形成される隙間領域90を充填材料、例えばプラスチック、布、金属等(図示せず)で満たすのがよいが、変形例として開放状態のままであってもよい。しかしながら、変形例では、領域90を開放状態のままにしておくことにより、とりわけワイヤ、ケーブル、アクセスパネル等に関し、支持された構造体への接近を維持できる。
【0035】
次に、本発明の上述の実施形態の種々の特徴によれば、上側プレート30は据え付けられると、好ましくは支持されるべき構造体に適切に係留される。これと同様に、下側プレート20は、これが載る基礎に適切に取り付けられる。上側プレート30の場合と同様、任意の数の手段を利用して下側プレート20を係留することができ、これと同様に、プラットホーム10及び(又は)構造体の重量が下側プレート20を係留することができる。例えば、本発明の種々の実施形態によれば、下側プレート20は、工具室床に設けられた凹部内に配置され、それによりプレートの横方向運動が阻止される。このようにすると、係留手段、例えばボルトが不要になる。
【0036】
次に、図5〜図9を参照すると、本発明の種々の実施形態によれば、プレート20,30を互いに保持する種々の機構が提供されている。保持機構100は適切には、プラットホーム10がその種々の構成部品にばらばらになって分かれるのを阻止すると共に(或いは)追加の減衰又は制振効果をもたらす。
【0037】
例えば、特に図5を参照すると、タイダウン組立体200の形態をしたストラップ(この場合、ナイロン性ストラップ)201,202が、プラットホーム10(分かりやすくするために図示せず)の変位中、接触箇所203のところで結び付けられている。ストラップ201は、両端部(一端部の取付けが示されている)が上記プラットホームの上側部分に取り付けられ、水平方向力206及び垂直方向力207を生じさせている。これと同様に、ストラップ202は、両端部(一端部の取付けが示されている)が上記プラットホームの下側部分に取り付けられ、水平方向力208及び垂直方向力209を生じさせている。かくして、これら力は適切には、地震によるプラットホーム10の浮き上がり及び転倒力を打ち消す。タイダウン組立体200は、プラットホーム10の支承体50相互間に巧妙に配置され、これら支承体50は好ましくは、上記プラットホームの最も遠いコーナー部のところに配置されている。かくして、組立体200は好ましくは、コーナー部からほぼ中間のところで上記プラットホームの側部相互間に結束される。組立体200により、接触力を減少させることなく、上記ストラップの大規模なx及びy方向の運動が可能になり、それによりストラップを箇所203のところで互いに押し付ける。
【0038】
ストラップ201,202の摩擦係数により倍増された接触力は、横方向減衰力を与え、これにより上記プラットホームの地震による運動を減衰させる。上記接触力は常時、力207,209に平行であり、上記減衰力は、力206,208、即ち直交線と一致している。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、図6を参照すると、ボール支承体301が、スリーブ302によって横方向に(他のボールに対し)保持されている(他のボールは、分かりやすくする目的で図示されていない)。連結バー303,304がスリーブ302に適切に連
結されている。バー303は、方向305に延び、この方向305は、y平面内におけるプラットホーム10の方向に平行であり、かくして、プラットホーム10の「北/南」横方向支承運動が可能になる。バー304は、方向306に延び、この方向306は、x平面内におけるプラットホーム10の方向に平行であり、かくしてプラットホーム10の「東/西」支承運動が可能になる。さらに、上記プラットホームのかかる横方向運動中、ケージ300が回転する場合があり、かくして、方向yは、方向305と一致しない場合があり、方向xは、方向306と一致しない場合がある。しかしながら、方向305,306相互間の角度は、同一のまま、例えば90゜のままであり、x,y相互間も又同様である。かくして、ケージ300は、ケージ300により収納されたどのボールについてもその静止位置307が同一ケージ内の任意他のボールに対して同一のままであるが、地面及び上記プラットホームに加わるペイロードに対しては同一のままではないようにする。さらに、荷重が方向z、即ち、ボール301に対して垂直方向に来ると、ケージ300は、ケージ300によって収納されたどのボールについてもこれに加わる荷重のうち1以上が無くなると(例えば、起き上がりにより)、除荷されたボールが上記プラットホームの振動運動中、転動して位置合わせ状態から離脱することがないようにする。
【0040】
次に本発明の別の実施形態によれば、図7を参照すると、床401が、アクセスフロア402を支持し、このアクセスフロアは、プラットホーム403を支持している。上述したように、機器404は、プラットホーム403上に載り、適切には、ケーブルタイ405により上方支持体406、例えば天井に保持されている。かくして、地震による床の運動中、機器404は、位置407に変位する場合があり、その後、タイ405(拘束具)がぴんと張られた状態(408)になり、機器404の転倒を阻止する。
【0041】
本発明の更に別の実施形態によれば、図8を参照すると、下側フレーム501が、上側フレーム502に設けられた隔離支承体(分かりやすくするため図示せず)に当たっている。このように、支承体(分かりやすくするために図示せず)と組み合わされたフレーム501,502は、プラットホーム10を形成する。入れ子状ダンパ503,504,505,506が、フレーム501,502をこれらのそれぞれのコーナー部のところで連結している。種々の実施形態では、ダンパ503,504,505,506は、一般に小さな力を有し、長い行程を有する空気圧、油圧又は摩擦タイプのダンパであるのがよく、上記プラットホームのボール支承体相互間に巧妙に配置されている。図示の実施形態では、ダンパ503,505は、x方向において減衰作用を発揮し、ダンパ504,506は、y方向において減衰作用を発揮する。かくして、ダンパ503,504,505,506は組合せ状態で、プラットホーム10に対して捩り減衰作用を与える。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、図9を参照すると「アウトリガー」ダンパ組立体600が提供されている。この実施形態では、プラットホームを摺動させることができる滑らかな床601が、そのボール支承体でプラットホームベース602を支持するために設けられている。プラットホームトップ603が、ボール支承体に載り、機器の脚部604を受け入れ、この機器脚部604は機器605を支持する。アウトリガープレート606が、プラットホームトップ603又は脚部604のうちの一方に適切にヒンジ止めされ、床601上に適切に載っている。この実施形態の種々の特徴によれば、減衰作用を増すために摩擦力の制御を助けるため、プレート608が、アウトリガープレート606にヒンジ止めされている。プレート608は、ばね力、例えば板ばね609により押し下げられる。この実施形態では、プレート600の表面は、組立体の地震による運動中、アウトリガー606と床601との間の摩擦力を最適化するよう内張りされている。当然のことながら、種々の実施形態では、摩擦を制御するのに機器の重量だけで十分な場合があり、この場合、ばねによる補助は不要である。かくして、アウトリガープレート606は、機器605に安定性をもたらすのを助ける。
【0043】
また、本発明は、下記の[1]〜[9]の通りである。
[1]支持されるべき構造体の隔離プラットホームであって、
支持されるべき構造体が載せられる上側プレートを有し、上記上側プレートは、複数の下向きの円錐形剛性支承面を有し、
基礎に固定された下側プレートを有し、上記基礎は、隔離プラットホーム及び支持されるべき構造体を支持し、上記下側プレートは、上記下向きの円錐形剛性支承面と反対側に位置する複数の上向きの円錐形剛性支承面を有し、上記下向き及び上向き支承面は上記上側プレートと下側プレートとの間に複数の支承キャビティを構成し、
上記下向き支承面と上向き支承面との間に設けられた複数の剛性球形ボールを有し、
上記下向き及び上向き支承面は、復元力が実質的に一定となるよう上記球形ボールと同一の曲率を持つ中央頂点を有すると共に上記球形ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲を有し、上記下向き及び上向き支承面は、上記中央頂点と凹部周囲を連続した勾配で連結し、上記球形ボール並びに上記下向き及び上向き支承面の曲率は更に、上記球形ボール並びに上側及び下側プレートが互いに対して横方向に変位すると、上記上側プレート及び下側プレートの垂直方向変位がほぼゼロになるよう構成されており、
上記下側プレートと上記上側プレートを互いに固定する保持機構を有していることを特徴とする隔離プラットホーム。
[2]上記上側プレートと下側プレートとの間に設けられた弾性変形可能なガスケットを更に有する[1]記載の隔離プラットホーム。
[3]上記上側プレートは、複数の上側プレートセグメントを有し、上記複数の上側プレートセグメントは、これに対応した複数の上側連結部材に取り付けられ、上記上側プレートセグメントは、上記上側プレートを構成し、更に複数の上側隙間領域を構成する[1]記載の隔離プラットホーム。
[4]上記下側プレートは、複数の下側プレートセグメントを有し、上記複数の下側プレートセグメントは、これに対応した複数の下側連結部材に取り付けられ、上記下側プレートセグメントは、上記下側プレートを構成し、更に複数の下側隙間領域を構成する[1]記載の隔離プラットホーム。
[5]上記上側隙間領域は、充填材料で満たされている[3]記載の隔離プラットホーム。
[6]上記下側隙間領域は、充填材料で満たされている[4]記載の隔離プラットホーム。
[7]ペイロードを支持する隔離プラットホームであって、
下向きの支承面を備えた4枚のプレートを有する第1の開放パン構造体を有し、上記第1の開放パン構造体は、上記プレートに連結されていて、四辺形を形成する複数の剛性部材を有し、上記第1の開放パン構造体は、各プレート相互間に位置する開口部を有し、各支承面は、中央頂点及び円錐形表面を備えた凹部を有し、上記円錐形表面は、上記中央頂点から上記凹部の周囲まで連続的に延び、上記凹部の上記頂点相互間の距離は少なくとも、ペイロードのフットプリントの対しょ点相互間の距離に等しく、
上記第1の開放パン構造体と実質的に同一の第2の開放パン構造体を有し、上記第1及び第2の開放パン構造体の上記支承面がこれらの間に4つのキャビティを構成するよう位置決めされており、各キャビティは、少なくとも1つの剛性ボールを収容し、上記第1及び第2の開放パン構造体は、ストラップで互いに可動的に締結され、上記ストラップは、鉛直平面内における上記第2の開放パン構造体に対する上記第1の開放パン構造体の変位を制限すると同時に、水平平面内における上記第2の開放パン構造体に対する上記第1の開放パン構造体の変位を減少させることを特徴とする隔離プラットホーム。
[8]上記第1の開放パン構造体は、上記第1の開放パン構造体の頂面上に設けられたペイロード固定装置を更に有している[7]記載の隔離プラットホーム。
[9]上記第1及び第2の開放パン構造体は、ケーブルに接近できる長手方向一端部が開放している[7]記載の隔離プラットホーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ平らな矩形状の第1上プレートセグメント、第2上プレートセグメント、第3上プレートセグメント、および第4上プレートセグメントと、それぞれ前記第1上プレートセグメント〜前記第4上プレートセグメントに上下対応して配置される平らな矩形状の第1下プレートセグメント、第2下プレートセグメント、第3下プレートセグメント、および第4下プレートセグメントとを有する隔離プラットホームであって、これら前記第1下プレートセグメント〜前記第4下プレートセグメントは、前記第1上プレートセグメント〜前記第4上プレートセグメントとそれぞれ同一に形成され、
前記第1上プレートセグメント〜前記第4上プレートセグメントは、1つの大きな上仮想矩形の4隅に位置し、
前記第1下プレートセグメント〜前記第4下プレートセグメントは、1つの大きな下仮想矩形の4隅に位置し、
前記第1上プレートセグメント〜前記第4上プレートセグメントはそれぞれ下向きに開口する下向凹部を有し、前記第1下プレートセグメント〜前記第4下プレートセグメントはそれぞれ上向きに開口する上向凹部を有し、それぞれ前記下向凹部と前記上向凹部の間には剛性ボール(50)が収容され、それぞれ前記剛性ボール(50)は、地震による地滑り又は周囲振動といった外部振動により横方向力が前記隔離プラットホームに加わると前記下向凹部の下向支承面に対して、前記上向凹部の上向支承面が横方向に移動するのを許容するように、かつ前記剛性ボール(50)同士は互いに連結されていない状態で前記上向支承面に対して前記下向支承面を支承するように配置され、
前記第1上プレートセグメントと前記第3上プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第2上プレートセグメントと前記第4上プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第1上プレートセグメントと前記第2上プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第1上プレートセグメントと前記第2上プレートセグメントの間に矩形の隙間領域(90)が存在し、
前記第3上プレートセグメントと前記第4上プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第3上プレートセグメントと前記第4上プレートセグメントの間に矩形の隙間領域(90)が存在し、
前記第1上プレートセグメントと前記第2上プレートセグメントは、両プレートセグメントの側縁に沿って延び且つこれら前記側縁に位置する棒状の第1上連結部材(80)によって互いに連結され、
前記第3上プレートセグメントと前記第4上プレートセグメントは、両プレートセグメントの側縁に沿って延び且つこれら前記側縁に位置する棒状の第2上連結部材(80)によって互いに連結され、
前記第1下プレートセグメントと前記第3下プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第2下プレートセグメントと前記第4下プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに連結され、
前記第1下プレートセグメントと前記第2下プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第1下プレートセグメントと前記第2下プレートセグメントの間に矩形の隙間領域(90)が存在し、
前記第3下プレートセグメントと前記第4下プレートセグメントの互いに向い合う辺同士は、互いに平行で且つ互いに離間し、よって前記第3下プレートセグメントと前記第4下プレートセグメントの間に矩形の隙間領域(90)が存在し、
前記第1下プレートセグメントと前記第2下プレートセグメントは、両プレートセグメントの側縁に沿って延び且つこれら前記側縁に位置する棒状の第1下連結部材(80)によって互いに連結され、
前記第3下プレートセグメントと前記第4下プレートセグメントは、両プレートセグメントの側縁に沿って延び且つこれら前記側縁に位置する棒状の第2下連結部材(80)によって互いに連結され、
前記上向支承面と前記下向支承面はそれぞれ、中央頂点と;前記剛性ボールと同一の曲率を持つ凹部周囲と;前記中央頂点を前記凹部周囲に連結する連続した勾配の直線状表面とを有することによって、前記中央頂点から横方向に変位した前記剛性ボールを前記中央頂点に戻す復元力が一定であるように構成され、
前記隔離プラットホームは、支持されるべき荷重の所望の耐力に対応するよう使用される前記上向凹部と前記下向凹部の数及び寸法を有するように構成される
ことを特徴とする、隔離プラットホーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−237038(P2011−237038A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152060(P2011−152060)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【分割の表示】特願2009−233451(P2009−233451)の分割
【原出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願人】(510279860)ワークセイフ テクノロジーズ (2)
【氏名又は名称原語表記】Worksafe Technologies
【住所又は居所原語表記】25133 Avenue Tibbitts #F Valencia, CA 91355 U.S.A.
【Fターム(参考)】