障害物検知装置
【課題】演算処理量を軽減して、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができる障害物検知装置を提供する。
【解決手段】路面から所定の高さH/2の位置に、水平方向に対して第1の角度θ1で下向きに車両Aに設置され、第1のレーザー光を発光・受光して第1の障害物(路面)を検知する第1の検知手段1と、車両Aの上端から所定の高さH/2だけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度θ1と対称の角度である第2の角度θ2で上向きに設置され、第2のレーザー光を発光・受光して第2の障害物(空中障害物)を検知する第2の検知手段2と、第1の検知手段1による発光から受光までの第1の時間T1と第2の検知手段2による発光から受光までの第2の時間T2とを比較して、第2の障害物が車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段3と、を有する。
【解決手段】路面から所定の高さH/2の位置に、水平方向に対して第1の角度θ1で下向きに車両Aに設置され、第1のレーザー光を発光・受光して第1の障害物(路面)を検知する第1の検知手段1と、車両Aの上端から所定の高さH/2だけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度θ1と対称の角度である第2の角度θ2で上向きに設置され、第2のレーザー光を発光・受光して第2の障害物(空中障害物)を検知する第2の検知手段2と、第1の検知手段1による発光から受光までの第1の時間T1と第2の検知手段2による発光から受光までの第2の時間T2とを比較して、第2の障害物が車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段3と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(例えば、車両後部)に設置された超音波センサを用いて、超音波を車両後方に発信し、障害物により反射した反射波を受信することにより車両後方に存在する障害物を検知する障害物検知装置が知られている。
【0003】
また、車両後部に、上下方向に所定間隔を開けて一対の超音波センサを取り付け、送信から受信までの時間に基づいて各超音波センサから障害物までの各距離を測定し、さらに、測定された各距離と一対の超音波センサ間の間隔とに基づいて、障害物の位置(路面からの高さ)を算出するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−145301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば建物の天井などのように、路面よりも上方に存在する障害物(以下、「空中障害物」という)に自車が衝突してしまうか否か(すなわち、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在するか否か)を検知する場合、上述した特許文献1に提案されている障害物検知装置によれば、各超音波センサから障害物までの各距離と予め設定された演算条件(超音波センサ間の間隔、演算式等)を用いて障害物の路面からの高さを算出し、算出された空中障害物の高さと予め設定された自車の車高とを比較する必要がある。
【0006】
このため、演算処理量が多くなり、演算処理能力の高いシステムが必要とされるが、車載の機器では、そのような高性能を実現するのは難しいため、リアルタイム処理を行うことが容易ではないという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、演算処理量を軽減して、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができる障害物検知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の障害物検知装置は、下向きに設置された第1の検知手段と、上向きに設置された第2の検知手段と、がそれぞれレーザー光を発光・受光し、これらの検知手段による発光から受光までの時間を比較することにより、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知するものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る第1の障害物検知装置は、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度(俯角)で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度(仰角)で上方に向いて設置され、第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、前記第1の検知手段による前記発光から前記受光までの第1の時間と前記第2の検知手段による前記発光から前記受光までの第2の時間とを比較して、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明に係る第1の障害物検知装置によれば、第1の検知手段は下向きに設置されているため、第1の検知手段による第1のレーザー光は路面により反射し、第1の障害物として路面が検知される。一方、第2の検知手段は上向きに設置されているため、第2の検知手段による第2のレーザー光は空中障害物により反射し、第2の障害物として空中障害物が検知される。
【0011】
そして、第1の検知手段が、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて設置され、第2の検知手段が、車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度と対称となる角度である第2の角度で上方に向いて設置されているため、車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する場合には、第1の時間と第2の時間とが等しくなる。
【0012】
このため、判断手段は、第1の時間と第2の時間とを比較することにより、第2の障害物が、車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することができる。
【0013】
このように、単純な大小比較だけで自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【0014】
本発明に係る第2の障害物検知装置は、下向きに設置された第1の検知手段と、上向きに設置された第2の検知手段と、がそれぞれ同時にレーザー光を発光し、第1の検知手段よりも先に第2の検知手段が反射したレーザー光を受光した場合には、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在することを検知するものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る第2の障害物検知装置は、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度(俯角)で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度(仰角)で上方に向いて設置され、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を発光するのと同時に第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を受光するよりも先に、前記第2の検知手段が前記第2のレーザー光を受光した場合には、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
このように構成された本発明に係る第2の障害物検知装置によれば、第1の検知手段が、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて設置され、第2の検知手段が、車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度と対称となる角度である第2の角度で上方に向いて設置され、さらに、第1の検知手段が第1のレーザー光を発光するのと同時に第2の検知手段が第2のレーザー光を発光するため、車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する場合には、第1のレーザー光の受光と第2のレーザー光の受光とは同時に行われる。
【0017】
このため、判断手段は、第1の検知手段が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段が第2のレーザー光を受光した場合には、第2の障害物が、路面よりも上方であって車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断することができる。
【0018】
このように、第1のレーザー光と第2のレーザー光のいずれが先に受光されたのかという判断基準だけで、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在することを検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る障害物検知装置によれば、演算処理量を軽減して、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】図1に示した車両の車高よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図4】図1に示した車両の車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図5】図1に示した車両の車高よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図6】図1に示した障害物検知装置の変形例を示した図である。
【図7】実施例2の障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示した障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】(a)は、図7に示した車両の走行速度が速い場合の、第1の検知手段および第2の検知手段の向きを示す図であり、(b)は、図7に示した車両の走行速度が遅い場合の、第1の検知手段および第2の検知手段の向きを示す図である。
【図10】図7に示した車両の車高よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図11】図7に示した車両の車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図12】図7に示した車両の車高よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図13】実施例3の障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の障害物検知装置を実現する実施の形態を、図面に示す実施例1および実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、図1から図5に基づいて本発明の実施形態としての実施例1の障害物検知装置100について説明する。
【0023】
図1は、実施例1の障害物検知装置100の構成を示すブロック図である。
【0024】
実施例1の障害物検知装置100は、図1に示すように、第1の検知手段1と、第2の検知手段2と、判断手段3と、警報手段4と、表示手段5と、を備えている。
【0025】
第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも、レーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光する光源と発光した方向から戻ったレーザー光(反射したレーザー光)を受光する受光部とを備え、それぞれ、車両Aの後部であって、車両Aの高さ方向中央に設置されている。
【0026】
すなわち、車両Aの車高(下端から上端までの高さ)がHである場合、車両Aの下端(=路面)からH/2の高さに第1の検知手段1および第2の検知手段2が設置されている。
【0027】
また、第1の検知手段1は、水平方向に対して第1の角度θ1(俯角)で下方に向いており、第2の検知手段2は、水平方向に対して第2の角度θ2(仰角)で上方に向いている。さらに、第1の角度θ1と第2の角度θ2とは水平方向に対して対称であり、等しい角度である(θ2=θ1)。
【0028】
これら第1の検知手段1および第2の検知手段2は、車両後方に向けて各光源から、同じ波長のレーザー光を発光し、第1の検知手段1の受光部は路面(第1の障害物)により反射した第1のレーザー光の反射光を受光し、第2の検知手段2の受光部は車両後方に存在する空中障害物(第2の障害物)により反射した第2のレーザー光の反射光を受光する。
【0029】
そして、第1の検知手段1は、第1の検知手段1による第1のレーザー光の発光から受光までの時間(第1の時間)T1を計測し、第2の検知手段2は、第2の検知手段2による第2のレーザー光の発光から受光までの時間(第2の時間)T2を計測する。
【0030】
なお、この時間の計測は、第1および第2の検知手段1、2が行うのではなく、判断手段3が行ってもよい。
【0031】
また、判断手段3は、第1の時間T1と第2の時間T2とを比較することにより、車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物の有無を判断する。
【0032】
さらに、警報手段4は、判断手段3による判断の結果に基づいて、車両Aの車高Hよりも低い位置にある空中障害物の存在を音声にて運転者に報知する。
【0033】
また、表示手段5は、判断手段3による判断の結果に基づいて、車両Aの車高Hよりも低い位置にある空中障害物の存在をモニター(図示せず)などに表示して運転者に知らせる。
【0034】
次に、障害物検知装置100の障害物検知処理について説明する。
【0035】
図2は、図1に示した障害物検知装置100の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートであり、図3〜5は、障害物検知装置100を備えた車両Aが、後退しながら屋根付き駐車場に入る様子を示した模式図である。
【0036】
具体的には、図3は、車両Aの車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図4は、車両Aの車高Hと同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図5は、車両Aの車高Hよりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。なお、ここでの空中障害物は、例えば、駐車場の天井や、天井に設けられたダクト等である。
【0037】
障害物検知処理が開始されると、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、各々車両後方に向けてレーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光・受光し、第1の時間T1および第2の時間T2を計測する(ステップS1)。
【0038】
例えば、第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光は、路面により反射し、受光される。また、車両Aの後方に空中障害物が存在する場合には、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は、空中障害物によって反射し、受光される。このため、第1および第2の時間T1、T2が計測される。
【0039】
このような場合には、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、それぞれ第1および第2の時間T1、T2を判断手段3に伝送し、ステップS3に移行する。
【0040】
一方、車両Aの後方に空中障害物が存在しない場合には、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は反射されないため、第2のレーザー光が受光されず、第2の時間T2を計測することができない。
【0041】
このような場合には、第1の検知手段1が検知する第1の時間T1の、例えば10%増しの時間(第1の時間T1×1.1)を足切り時間として、第2の時間T2の計測を完了し、計測することができたか否かを判定し、再びステップS1に戻る(ステップS2)。
【0042】
そして、ステップS3では、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2を比較する。
【0043】
例えば、図3に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも長くなる(T1>T2)。また、図4に示すような状況は、第1の時間T1と第2の時間T2とは等しくなる(T1=T2)。
【0044】
これらの場合には、判断手段3は、その判断の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS4に移行する(ステップS3)。
【0045】
ステップS4では、警報手段4および表示手段5は、車両Aの後方に車高Hよりも低い位置(あるいは、車高Hと同じ高さの位置)に空中障害物が存在し、車両Aが後退を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる(ステップS4)。
【0046】
その後、車両Aの後退が続く場合には、ステップS1に戻り、イグニッションスイッチIGN(図示せず)がOFFに切り替えられる等して、車両Aが駐車状態になったときは障害物検知処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Aが走行状態となると、最初から処理が開始される(ステップS5)。
【0047】
一方、ステップS3での第1の時間T1と第2の時間T2との比較において、例えば、図5に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも短くなり(T1<T2)、このような場合にはステップS5に移行する。
【0048】
なお、図5に示すような状況では、車両Aが後退を続けても空中障害物には衝突しないため、判断手段3が、警報手段4および表示手段5に判断結果を伝送する必要はない(すなわち、ステップS3からステップS4に移行する必要はない)。
【0049】
しかし、判断手段3が警報手段4および表示手段5に判断結果を伝送し、これら警報手段4および表示手段5が、車両Aが空中障害物に衝突する危険がないことを運転者に知らせるような構成としてもよい。
【0050】
また、第1の時間T1および第2の時間T2に基づいて、第1の検知手段1から路面までの距離、および、第2の検知手段2から空中障害物までの距離を算出し、これらを比較するような構成を採用することも可能であるが、演算処理が増すことになるため、第1の時間T1および第2の時間T2のみを比較するような構成とすることが好ましい。
【0051】
さらに、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも車両Aの下端からH/2の高さに設置されているが、例えば、図6に示すように、路面から第1の検知手段1までの高さと、第2の検知手段2から車両Aの上端までの高さと、が同じ高さh(h<(H/2))となるような構成としても良い。
【0052】
しかし、この場合には、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されている場合と比べて、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲の水平方向の距離は短くなる。
【0053】
すなわち、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されている場合には、車両Aの後端から第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL1とすると、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度であることから、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は、車両Aの後端から水平方向に距離L1離れた位置で車高Hの高さに到達し、距離L1以上離れると車高Hよりも高い位置で反射される(図5参照)。
【0054】
このため、図3〜5に示すように、車両Aの後端から水平方向に距離L1が、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲の水平方向の距離となる。
【0055】
これに対し、図6に示すような場合には、高さhは高さH/2よりも低いことから(h<(H/2))、第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL2とすると、距離L2は距離L1より短くなるため(L2<L1)、これにより検知範囲の水平方向の距離が短くなる。
【0056】
したがって、図6に示すものでは、図3〜5に示すものよりも車両Aが障害物に、より近づかないと検知できないことになり、車速が速い状況では、検知してから車両Aを停止操作させるまでの猶予時間が少ない。よって、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されていることが好ましい。
【0057】
このように構成された実施例1に係る障害物検知装置100によれば、第1の検知手段1が、路面から所定の高さの位置(H/2)に、水平方向に対して第1の角度θ1で下方に向いて設置され、第2の検知手段2が、車両Aの上端から所定の高さ(H/2)だけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度θ1と対称の角度である第2の角度θ2で上方に向いて設置されており、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2とを比較して、第2の検知手段2により検知された障害物(第2の障害物)が、路面よりも上方であって車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断するため、単純な大小比較だけで車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができ、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【0058】
また、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも車両Aの高さ方向中央(=H/2)に設置されているため、車両Aの後端から第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離L1が長くなり、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲を広く(検知範囲の水平方向の距離を長く)することができる。
【実施例2】
【0059】
次に、図7から図12に基づいて本発明の実施形態としての実施例2の障害物検知装置200について説明する。
【0060】
図7は、実施例2の障害物検知装置200の構成を示すブロック図である。
【0061】
実施例2の障害物検知装置200は、第1の検知手段1および第2の検知手段2が、車両Bの前部に設置され、また、これら第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きが、車両Bの走行速度に基づいて変化することにより、障害物の検知範囲が変化するものである。
【0062】
図7に示すように、障害物検知装置200の構成は、実施例1の障害物検知装置100の構成に加え、角度調整手段6と、車速センサ7と、を備えている。
【0063】
また、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、車両Bの車高をH´とすると、車両Bの下端(路面)からH´/2の高さであって、車両Bの前部に設置されている。
【0064】
さらに、第1の検知手段1は、水平方向に対して第1の角度θ1で下方に向いており、第2の検知手段2は、水平方向に対して第2の角度θ2で上方に向いているが、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2は、水平方向に対して対称であり、等しい角度(θ1=θ2)を保ちつつ可変であって、後述する角度調整手段6により設定されるように構成されている。
【0065】
角度調整手段6は、車速センサ7によって検出された車両Bの走行速度が速くなるにしたがって、第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定し、車速センサ7によって検出された車両Bの走行速度が遅くなるにしたがって、第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定する。
【0066】
なお、障害物検知装置200の他の構成は、実施例1の障害物検知装置100の構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0067】
次に、障害物検知装置200の障害物検知処理の流れを説明する。
【0068】
図8は、図7に示した障害物検知装置200の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートであり、図9(a)は、車両Bの走行速度が速い場合の、第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きを示す図であり、図9(b)は、車両Bの走行速度が遅い場合の、第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きを示す図であり、図10〜12は、障害物検知装置200を備えた車両Bが、前進しながら屋根付き駐車場やトンネル内等に向かう様子を示した模式図である。
【0069】
具体的には、図10は、車両Bの車高H´よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図11は、車両Bの車高H´と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図12は、車両Bの車高H´よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。なお、ここでの空中障害物は、駐車場の天井や、トンネルの壁面等である。
【0070】
障害物検知処理が開始されると、図8に示すように、角度調整手段6が第1の検知手段1および第2の検知手段2の水平方向に対する向き(第1の角度θ1および第2の角度θ2)を調整する(ステップS21)。
【0071】
例えば、車速センサ7が検出した車両の走行速度が速い場合には、図9(a)に示すように、角度調整手段6は、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度である関係を保ちつつ(θ1=θ2)、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定する。
【0072】
一方、車速センサ7が検出した車両Bの走行速度が遅い場合には、図9(b)に示すように、角度調整手段6は、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度である関係を保ちつつ(θ1=θ2)、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定する。
【0073】
ここで、図7に示すように、車両Bの前端から、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL´1とすると、実施例1において記載のように、車両Bの前端から水平方向に距離L´1が、第2の検知手段2により検知された障害物(第2の障害物)が車高H´よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かの検知範囲の水平方向の距離となる。
【0074】
そして、例えば、角度調整手段6が、第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定すると、図9(a)に示すように、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離がL´2(L´2>L´1)となって、検知範囲が広くなる。
【0075】
また、例えば、角度調整手段6が、第1の角度θ1および第2の角度θ2大きくするように設定すると、図9(b)に示すように、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離がL´3(L´3<L´1)となって、検知範囲が狭くなる。
【0076】
このようにして、角度調整手段6が第1の角度θ1および第2の角度θ2を設定すると、ステップS22〜26に移行する。
【0077】
ステップS22では、第1の検知手段1および第2の検知手段2は第1の時間T1および第2の時間T2を計測する。
【0078】
そして、ステップS23では、第1の時間T1および第2の時間T2が計測できた場合には、ステップS24に移行し、計測できなかった場合にはステップS21に戻る。
【0079】
また、ステップS24では、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2を比較する。
【0080】
例えば、図10に示す状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも長くなる(T1>T2)。また、図11に示すような状況は、第1の時間T1と第2の時間T2とは等しくなる(T1=T2)。
【0081】
これらの場合には、判断手段3は、その比較の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS25に移行する。
【0082】
ステップS25では、警報手段4および表示手段5は、車両Bの前方に車高H´よりも低い位置(あるいは、車高H´と同じ高さの位置)に空中障害物が存在し、車両Bが前進を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる。
【0083】
その後、ステップS26では、車両Bの前進が続く場合には、ステップS21に戻り、イグニッションスイッチIGNがOFFに切り替えられる等して、車両Bが駐車状態になったときは処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Bが走行状態となると、最初から処理が開始される。
【0084】
一方、ステップS24での第1の時間T1と第2の時間T2との比較において、例えば、図12に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも短くなり(T1<T2)、このような場合にはステップS26に移行する。
【0085】
このように構成された実施例2に係る障害物検知装置200によれば、実施例1の障害物検知装置100の構成に加えて、第1の角度θ1および第2の角度θ2とを等しい角度に保ちつつ、第1の角度θ1および第2の角度θ2を変化させる角度調整手段6を有していることにより、検知範囲の水平方向の距離を運転者の所望の距離に変化させることができる。
【0086】
また、車速センサ7を有し、角度調整手段6は、車速センサ7により検出された車両Bの走行速度が速くなるにしたがって第1の角度θ1および前記第2の角度θ2を小さくするように設定し、車両Bの走行速度が遅くなるにしたがって第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定するため、車両Bの走行速度が速い場合には、車高H´よりも低い位置に存在する空中障害物を早めに検知することができ、また、車両Bの走行速度が遅い場合には、しばらく接触するおそれのない程遠く離れた位置に存在する空中障害物については検知しないため、運転者に不要な情報を与えることがない。
【実施例3】
【0087】
本発明の実施形態としての実施例3の障害物検知装置300について説明する。
【0088】
障害物検知装置300の構成は、図1に示すように、実施例1の障害物検知装置100の構成と同様であるが、第1の検知手段1と第2の検知手段2とが同時にレーザー光を発光する。
【0089】
また、判断手段3は、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光した場合には、第2の検知手段2により検知された空中障害物が、車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する。
【0090】
次に、障害物検知装置300の障害物検知処理の流れを説明する。
【0091】
図13は、図1に示した障害物検知装置300の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【0092】
障害物検知処理が開始されると、図13に示すように、第1の検知手段1および第2の検知手段2が同時にレーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光する(ステップS31)。
【0093】
さらに、第1の検知手段1は、路面(第1の障害物)により反射した第1のレーザー光を受光し、第2の検知手段2は、空中障害物(第2の障害物)により反射した第2のレーザー光を受光する。
【0094】
このとき、判断手段3は、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するタイミングと、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光するタイミングと、を比較し、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光した場合には、その比較の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS33に移行する(ステップS32)。
【0095】
なお、第1のレーザー光の受光と第2のレーザー光とが同時に受光された場合にも、ステップS33に移行するような構成としてもよい。
【0096】
そして、ステップS33では、警報手段4および表示手段5は、車両Aの後方に車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在し、車両Aが後退を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる。
【0097】
その後、ステップS34では、車両Aの後退が続く場合には、ステップS31に戻り、イグニッションスイッチIGNがOFFに切り替えられる等して、車両Aが駐車状態になったときは処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Aが走行状態となると、最初から処理が開始される。
【0098】
一方、ステップS32において、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも後に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光したと判断した場合には、ステップS34に移行する。
【0099】
このように構成された障害物検知装置300によれば、第1のレーザー光と第2のレーザー光のいずれが先に受光されたのかという判断基準だけで、車両Aの車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在することを検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
(変形例1)
実施例1から実施例3では、車両Aの後部または車両Bの前部に第1の検知手段1および第2の検知手段2の組合せが一組設置されている場合について説明した。
【0100】
しかし、本発明の障害物検知装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、第1および第2の検知手段の組合せが、車両の後部または前部に、車両の幅方向に並んで複数組設置されている構成としてもよい。
【0101】
このように構成された障害物検知装置によれば、一部分のみが車高よりも低い位置に突出しているような形状の空中障害物が存在する場合であっても検知することができる。
(変形例2)
また、実施例1および実施例2では、第1の検知手段1および第2の検知手段2が、それぞれ第1の時間T1および第2の時間T2を計測し、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2とを比較する場合について説明した。
【0102】
しかし、本発明の障害物検知装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、判断手段は、物理量としての時間を比較する他に、時間に対応するカウント値などを比較するような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 第1の検知手段
2 第2の検知手段
3 判断手段
4 警報手段
5 表示手段
100 障害物検知装置
A 車両
H 車高
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(例えば、車両後部)に設置された超音波センサを用いて、超音波を車両後方に発信し、障害物により反射した反射波を受信することにより車両後方に存在する障害物を検知する障害物検知装置が知られている。
【0003】
また、車両後部に、上下方向に所定間隔を開けて一対の超音波センサを取り付け、送信から受信までの時間に基づいて各超音波センサから障害物までの各距離を測定し、さらに、測定された各距離と一対の超音波センサ間の間隔とに基づいて、障害物の位置(路面からの高さ)を算出するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−145301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば建物の天井などのように、路面よりも上方に存在する障害物(以下、「空中障害物」という)に自車が衝突してしまうか否か(すなわち、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在するか否か)を検知する場合、上述した特許文献1に提案されている障害物検知装置によれば、各超音波センサから障害物までの各距離と予め設定された演算条件(超音波センサ間の間隔、演算式等)を用いて障害物の路面からの高さを算出し、算出された空中障害物の高さと予め設定された自車の車高とを比較する必要がある。
【0006】
このため、演算処理量が多くなり、演算処理能力の高いシステムが必要とされるが、車載の機器では、そのような高性能を実現するのは難しいため、リアルタイム処理を行うことが容易ではないという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、演算処理量を軽減して、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができる障害物検知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の障害物検知装置は、下向きに設置された第1の検知手段と、上向きに設置された第2の検知手段と、がそれぞれレーザー光を発光・受光し、これらの検知手段による発光から受光までの時間を比較することにより、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知するものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る第1の障害物検知装置は、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度(俯角)で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度(仰角)で上方に向いて設置され、第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、前記第1の検知手段による前記発光から前記受光までの第1の時間と前記第2の検知手段による前記発光から前記受光までの第2の時間とを比較して、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明に係る第1の障害物検知装置によれば、第1の検知手段は下向きに設置されているため、第1の検知手段による第1のレーザー光は路面により反射し、第1の障害物として路面が検知される。一方、第2の検知手段は上向きに設置されているため、第2の検知手段による第2のレーザー光は空中障害物により反射し、第2の障害物として空中障害物が検知される。
【0011】
そして、第1の検知手段が、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて設置され、第2の検知手段が、車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度と対称となる角度である第2の角度で上方に向いて設置されているため、車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する場合には、第1の時間と第2の時間とが等しくなる。
【0012】
このため、判断手段は、第1の時間と第2の時間とを比較することにより、第2の障害物が、車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することができる。
【0013】
このように、単純な大小比較だけで自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【0014】
本発明に係る第2の障害物検知装置は、下向きに設置された第1の検知手段と、上向きに設置された第2の検知手段と、がそれぞれ同時にレーザー光を発光し、第1の検知手段よりも先に第2の検知手段が反射したレーザー光を受光した場合には、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在することを検知するものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る第2の障害物検知装置は、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度(俯角)で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度(仰角)で上方に向いて設置され、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を発光するのと同時に第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を受光するよりも先に、前記第2の検知手段が前記第2のレーザー光を受光した場合には、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
このように構成された本発明に係る第2の障害物検知装置によれば、第1の検知手段が、路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて設置され、第2の検知手段が、車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度と対称となる角度である第2の角度で上方に向いて設置され、さらに、第1の検知手段が第1のレーザー光を発光するのと同時に第2の検知手段が第2のレーザー光を発光するため、車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する場合には、第1のレーザー光の受光と第2のレーザー光の受光とは同時に行われる。
【0017】
このため、判断手段は、第1の検知手段が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段が第2のレーザー光を受光した場合には、第2の障害物が、路面よりも上方であって車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断することができる。
【0018】
このように、第1のレーザー光と第2のレーザー光のいずれが先に受光されたのかという判断基準だけで、自車の車高よりも低い位置に空中障害物が存在することを検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る障害物検知装置によれば、演算処理量を軽減して、自車の車高よりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】図1に示した車両の車高よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図4】図1に示した車両の車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図5】図1に示した車両の車高よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図6】図1に示した障害物検知装置の変形例を示した図である。
【図7】実施例2の障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示した障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】(a)は、図7に示した車両の走行速度が速い場合の、第1の検知手段および第2の検知手段の向きを示す図であり、(b)は、図7に示した車両の走行速度が遅い場合の、第1の検知手段および第2の検知手段の向きを示す図である。
【図10】図7に示した車両の車高よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図11】図7に示した車両の車高と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図12】図7に示した車両の車高よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。
【図13】実施例3の障害物検知装置の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の障害物検知装置を実現する実施の形態を、図面に示す実施例1および実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、図1から図5に基づいて本発明の実施形態としての実施例1の障害物検知装置100について説明する。
【0023】
図1は、実施例1の障害物検知装置100の構成を示すブロック図である。
【0024】
実施例1の障害物検知装置100は、図1に示すように、第1の検知手段1と、第2の検知手段2と、判断手段3と、警報手段4と、表示手段5と、を備えている。
【0025】
第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも、レーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光する光源と発光した方向から戻ったレーザー光(反射したレーザー光)を受光する受光部とを備え、それぞれ、車両Aの後部であって、車両Aの高さ方向中央に設置されている。
【0026】
すなわち、車両Aの車高(下端から上端までの高さ)がHである場合、車両Aの下端(=路面)からH/2の高さに第1の検知手段1および第2の検知手段2が設置されている。
【0027】
また、第1の検知手段1は、水平方向に対して第1の角度θ1(俯角)で下方に向いており、第2の検知手段2は、水平方向に対して第2の角度θ2(仰角)で上方に向いている。さらに、第1の角度θ1と第2の角度θ2とは水平方向に対して対称であり、等しい角度である(θ2=θ1)。
【0028】
これら第1の検知手段1および第2の検知手段2は、車両後方に向けて各光源から、同じ波長のレーザー光を発光し、第1の検知手段1の受光部は路面(第1の障害物)により反射した第1のレーザー光の反射光を受光し、第2の検知手段2の受光部は車両後方に存在する空中障害物(第2の障害物)により反射した第2のレーザー光の反射光を受光する。
【0029】
そして、第1の検知手段1は、第1の検知手段1による第1のレーザー光の発光から受光までの時間(第1の時間)T1を計測し、第2の検知手段2は、第2の検知手段2による第2のレーザー光の発光から受光までの時間(第2の時間)T2を計測する。
【0030】
なお、この時間の計測は、第1および第2の検知手段1、2が行うのではなく、判断手段3が行ってもよい。
【0031】
また、判断手段3は、第1の時間T1と第2の時間T2とを比較することにより、車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物の有無を判断する。
【0032】
さらに、警報手段4は、判断手段3による判断の結果に基づいて、車両Aの車高Hよりも低い位置にある空中障害物の存在を音声にて運転者に報知する。
【0033】
また、表示手段5は、判断手段3による判断の結果に基づいて、車両Aの車高Hよりも低い位置にある空中障害物の存在をモニター(図示せず)などに表示して運転者に知らせる。
【0034】
次に、障害物検知装置100の障害物検知処理について説明する。
【0035】
図2は、図1に示した障害物検知装置100の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートであり、図3〜5は、障害物検知装置100を備えた車両Aが、後退しながら屋根付き駐車場に入る様子を示した模式図である。
【0036】
具体的には、図3は、車両Aの車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図4は、車両Aの車高Hと同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図5は、車両Aの車高Hよりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。なお、ここでの空中障害物は、例えば、駐車場の天井や、天井に設けられたダクト等である。
【0037】
障害物検知処理が開始されると、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、各々車両後方に向けてレーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光・受光し、第1の時間T1および第2の時間T2を計測する(ステップS1)。
【0038】
例えば、第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光は、路面により反射し、受光される。また、車両Aの後方に空中障害物が存在する場合には、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は、空中障害物によって反射し、受光される。このため、第1および第2の時間T1、T2が計測される。
【0039】
このような場合には、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、それぞれ第1および第2の時間T1、T2を判断手段3に伝送し、ステップS3に移行する。
【0040】
一方、車両Aの後方に空中障害物が存在しない場合には、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は反射されないため、第2のレーザー光が受光されず、第2の時間T2を計測することができない。
【0041】
このような場合には、第1の検知手段1が検知する第1の時間T1の、例えば10%増しの時間(第1の時間T1×1.1)を足切り時間として、第2の時間T2の計測を完了し、計測することができたか否かを判定し、再びステップS1に戻る(ステップS2)。
【0042】
そして、ステップS3では、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2を比較する。
【0043】
例えば、図3に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも長くなる(T1>T2)。また、図4に示すような状況は、第1の時間T1と第2の時間T2とは等しくなる(T1=T2)。
【0044】
これらの場合には、判断手段3は、その判断の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS4に移行する(ステップS3)。
【0045】
ステップS4では、警報手段4および表示手段5は、車両Aの後方に車高Hよりも低い位置(あるいは、車高Hと同じ高さの位置)に空中障害物が存在し、車両Aが後退を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる(ステップS4)。
【0046】
その後、車両Aの後退が続く場合には、ステップS1に戻り、イグニッションスイッチIGN(図示せず)がOFFに切り替えられる等して、車両Aが駐車状態になったときは障害物検知処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Aが走行状態となると、最初から処理が開始される(ステップS5)。
【0047】
一方、ステップS3での第1の時間T1と第2の時間T2との比較において、例えば、図5に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも短くなり(T1<T2)、このような場合にはステップS5に移行する。
【0048】
なお、図5に示すような状況では、車両Aが後退を続けても空中障害物には衝突しないため、判断手段3が、警報手段4および表示手段5に判断結果を伝送する必要はない(すなわち、ステップS3からステップS4に移行する必要はない)。
【0049】
しかし、判断手段3が警報手段4および表示手段5に判断結果を伝送し、これら警報手段4および表示手段5が、車両Aが空中障害物に衝突する危険がないことを運転者に知らせるような構成としてもよい。
【0050】
また、第1の時間T1および第2の時間T2に基づいて、第1の検知手段1から路面までの距離、および、第2の検知手段2から空中障害物までの距離を算出し、これらを比較するような構成を採用することも可能であるが、演算処理が増すことになるため、第1の時間T1および第2の時間T2のみを比較するような構成とすることが好ましい。
【0051】
さらに、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも車両Aの下端からH/2の高さに設置されているが、例えば、図6に示すように、路面から第1の検知手段1までの高さと、第2の検知手段2から車両Aの上端までの高さと、が同じ高さh(h<(H/2))となるような構成としても良い。
【0052】
しかし、この場合には、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されている場合と比べて、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲の水平方向の距離は短くなる。
【0053】
すなわち、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されている場合には、車両Aの後端から第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL1とすると、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度であることから、第2の検知手段2が発光した第2のレーザー光は、車両Aの後端から水平方向に距離L1離れた位置で車高Hの高さに到達し、距離L1以上離れると車高Hよりも高い位置で反射される(図5参照)。
【0054】
このため、図3〜5に示すように、車両Aの後端から水平方向に距離L1が、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲の水平方向の距離となる。
【0055】
これに対し、図6に示すような場合には、高さhは高さH/2よりも低いことから(h<(H/2))、第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL2とすると、距離L2は距離L1より短くなるため(L2<L1)、これにより検知範囲の水平方向の距離が短くなる。
【0056】
したがって、図6に示すものでは、図3〜5に示すものよりも車両Aが障害物に、より近づかないと検知できないことになり、車速が速い状況では、検知してから車両Aを停止操作させるまでの猶予時間が少ない。よって、第1の検知手段1および第2の検知手段2がいずれも路面からH/2の高さに設置されていることが好ましい。
【0057】
このように構成された実施例1に係る障害物検知装置100によれば、第1の検知手段1が、路面から所定の高さの位置(H/2)に、水平方向に対して第1の角度θ1で下方に向いて設置され、第2の検知手段2が、車両Aの上端から所定の高さ(H/2)だけ低い位置に、水平方向に対して第1の角度θ1と対称の角度である第2の角度θ2で上方に向いて設置されており、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2とを比較して、第2の検知手段2により検知された障害物(第2の障害物)が、路面よりも上方であって車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断するため、単純な大小比較だけで車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物を検知することができ、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
【0058】
また、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、いずれも車両Aの高さ方向中央(=H/2)に設置されているため、車両Aの後端から第1の検知手段1が発光した第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離L1が長くなり、第2の検知手段2により検知された障害物が車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断することのできる検知範囲を広く(検知範囲の水平方向の距離を長く)することができる。
【実施例2】
【0059】
次に、図7から図12に基づいて本発明の実施形態としての実施例2の障害物検知装置200について説明する。
【0060】
図7は、実施例2の障害物検知装置200の構成を示すブロック図である。
【0061】
実施例2の障害物検知装置200は、第1の検知手段1および第2の検知手段2が、車両Bの前部に設置され、また、これら第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きが、車両Bの走行速度に基づいて変化することにより、障害物の検知範囲が変化するものである。
【0062】
図7に示すように、障害物検知装置200の構成は、実施例1の障害物検知装置100の構成に加え、角度調整手段6と、車速センサ7と、を備えている。
【0063】
また、第1の検知手段1および第2の検知手段2は、車両Bの車高をH´とすると、車両Bの下端(路面)からH´/2の高さであって、車両Bの前部に設置されている。
【0064】
さらに、第1の検知手段1は、水平方向に対して第1の角度θ1で下方に向いており、第2の検知手段2は、水平方向に対して第2の角度θ2で上方に向いているが、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2は、水平方向に対して対称であり、等しい角度(θ1=θ2)を保ちつつ可変であって、後述する角度調整手段6により設定されるように構成されている。
【0065】
角度調整手段6は、車速センサ7によって検出された車両Bの走行速度が速くなるにしたがって、第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定し、車速センサ7によって検出された車両Bの走行速度が遅くなるにしたがって、第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定する。
【0066】
なお、障害物検知装置200の他の構成は、実施例1の障害物検知装置100の構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0067】
次に、障害物検知装置200の障害物検知処理の流れを説明する。
【0068】
図8は、図7に示した障害物検知装置200の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートであり、図9(a)は、車両Bの走行速度が速い場合の、第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きを示す図であり、図9(b)は、車両Bの走行速度が遅い場合の、第1の検知手段1および第2の検知手段2の向きを示す図であり、図10〜12は、障害物検知装置200を備えた車両Bが、前進しながら屋根付き駐車場やトンネル内等に向かう様子を示した模式図である。
【0069】
具体的には、図10は、車両Bの車高H´よりも低い位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図11は、車両Bの車高H´と同じ高さの位置に空中障害物が存在する状況を示した図であり、図12は、車両Bの車高H´よりも高い位置に空中障害物が存在する状況を示した図である。なお、ここでの空中障害物は、駐車場の天井や、トンネルの壁面等である。
【0070】
障害物検知処理が開始されると、図8に示すように、角度調整手段6が第1の検知手段1および第2の検知手段2の水平方向に対する向き(第1の角度θ1および第2の角度θ2)を調整する(ステップS21)。
【0071】
例えば、車速センサ7が検出した車両の走行速度が速い場合には、図9(a)に示すように、角度調整手段6は、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度である関係を保ちつつ(θ1=θ2)、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定する。
【0072】
一方、車速センサ7が検出した車両Bの走行速度が遅い場合には、図9(b)に示すように、角度調整手段6は、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが等しい角度である関係を保ちつつ(θ1=θ2)、これら第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定する。
【0073】
ここで、図7に示すように、車両Bの前端から、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離をL´1とすると、実施例1において記載のように、車両Bの前端から水平方向に距離L´1が、第2の検知手段2により検知された障害物(第2の障害物)が車高H´よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かの検知範囲の水平方向の距離となる。
【0074】
そして、例えば、角度調整手段6が、第1の角度θ1および第2の角度θ2を小さくするように設定すると、図9(a)に示すように、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離がL´2(L´2>L´1)となって、検知範囲が広くなる。
【0075】
また、例えば、角度調整手段6が、第1の角度θ1および第2の角度θ2大きくするように設定すると、図9(b)に示すように、第1の検知手段1により発光された第1のレーザー光が路面に到達するまでの水平方向の距離がL´3(L´3<L´1)となって、検知範囲が狭くなる。
【0076】
このようにして、角度調整手段6が第1の角度θ1および第2の角度θ2を設定すると、ステップS22〜26に移行する。
【0077】
ステップS22では、第1の検知手段1および第2の検知手段2は第1の時間T1および第2の時間T2を計測する。
【0078】
そして、ステップS23では、第1の時間T1および第2の時間T2が計測できた場合には、ステップS24に移行し、計測できなかった場合にはステップS21に戻る。
【0079】
また、ステップS24では、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2を比較する。
【0080】
例えば、図10に示す状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも長くなる(T1>T2)。また、図11に示すような状況は、第1の時間T1と第2の時間T2とは等しくなる(T1=T2)。
【0081】
これらの場合には、判断手段3は、その比較の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS25に移行する。
【0082】
ステップS25では、警報手段4および表示手段5は、車両Bの前方に車高H´よりも低い位置(あるいは、車高H´と同じ高さの位置)に空中障害物が存在し、車両Bが前進を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる。
【0083】
その後、ステップS26では、車両Bの前進が続く場合には、ステップS21に戻り、イグニッションスイッチIGNがOFFに切り替えられる等して、車両Bが駐車状態になったときは処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Bが走行状態となると、最初から処理が開始される。
【0084】
一方、ステップS24での第1の時間T1と第2の時間T2との比較において、例えば、図12に示すような状況では、第1の時間T1が第2の時間T2よりも短くなり(T1<T2)、このような場合にはステップS26に移行する。
【0085】
このように構成された実施例2に係る障害物検知装置200によれば、実施例1の障害物検知装置100の構成に加えて、第1の角度θ1および第2の角度θ2とを等しい角度に保ちつつ、第1の角度θ1および第2の角度θ2を変化させる角度調整手段6を有していることにより、検知範囲の水平方向の距離を運転者の所望の距離に変化させることができる。
【0086】
また、車速センサ7を有し、角度調整手段6は、車速センサ7により検出された車両Bの走行速度が速くなるにしたがって第1の角度θ1および前記第2の角度θ2を小さくするように設定し、車両Bの走行速度が遅くなるにしたがって第1の角度θ1および第2の角度θ2を大きくするように設定するため、車両Bの走行速度が速い場合には、車高H´よりも低い位置に存在する空中障害物を早めに検知することができ、また、車両Bの走行速度が遅い場合には、しばらく接触するおそれのない程遠く離れた位置に存在する空中障害物については検知しないため、運転者に不要な情報を与えることがない。
【実施例3】
【0087】
本発明の実施形態としての実施例3の障害物検知装置300について説明する。
【0088】
障害物検知装置300の構成は、図1に示すように、実施例1の障害物検知装置100の構成と同様であるが、第1の検知手段1と第2の検知手段2とが同時にレーザー光を発光する。
【0089】
また、判断手段3は、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光した場合には、第2の検知手段2により検知された空中障害物が、車両Aの車高Hよりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する。
【0090】
次に、障害物検知装置300の障害物検知処理の流れを説明する。
【0091】
図13は、図1に示した障害物検知装置300の障害物検知処理の流れを説明するフローチャートである。
【0092】
障害物検知処理が開始されると、図13に示すように、第1の検知手段1および第2の検知手段2が同時にレーザー光(第1のレーザー光、第2のレーザー光)を発光する(ステップS31)。
【0093】
さらに、第1の検知手段1は、路面(第1の障害物)により反射した第1のレーザー光を受光し、第2の検知手段2は、空中障害物(第2の障害物)により反射した第2のレーザー光を受光する。
【0094】
このとき、判断手段3は、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するタイミングと、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光するタイミングと、を比較し、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも先に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光した場合には、その比較の結果を警報手段4および表示手段5に伝送し、ステップS33に移行する(ステップS32)。
【0095】
なお、第1のレーザー光の受光と第2のレーザー光とが同時に受光された場合にも、ステップS33に移行するような構成としてもよい。
【0096】
そして、ステップS33では、警報手段4および表示手段5は、車両Aの後方に車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在し、車両Aが後退を続けると空中障害物に衝突する危険があることを、音声による報知やモニターなどへの表示により運転者に知らせる。
【0097】
その後、ステップS34では、車両Aの後退が続く場合には、ステップS31に戻り、イグニッションスイッチIGNがOFFに切り替えられる等して、車両Aが駐車状態になったときは処理は終了し、次回、イグニッションスイッチIGNがONに切り替えられる等して、車両Aが走行状態となると、最初から処理が開始される。
【0098】
一方、ステップS32において、第1の検知手段1が第1のレーザー光を受光するよりも後に、第2の検知手段2が第2のレーザー光を受光したと判断した場合には、ステップS34に移行する。
【0099】
このように構成された障害物検知装置300によれば、第1のレーザー光と第2のレーザー光のいずれが先に受光されたのかという判断基準だけで、車両Aの車高Hよりも低い位置に空中障害物が存在することを検知することができるため、従来に比べ演算処理量を軽減することができる。
(変形例1)
実施例1から実施例3では、車両Aの後部または車両Bの前部に第1の検知手段1および第2の検知手段2の組合せが一組設置されている場合について説明した。
【0100】
しかし、本発明の障害物検知装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、第1および第2の検知手段の組合せが、車両の後部または前部に、車両の幅方向に並んで複数組設置されている構成としてもよい。
【0101】
このように構成された障害物検知装置によれば、一部分のみが車高よりも低い位置に突出しているような形状の空中障害物が存在する場合であっても検知することができる。
(変形例2)
また、実施例1および実施例2では、第1の検知手段1および第2の検知手段2が、それぞれ第1の時間T1および第2の時間T2を計測し、判断手段3が第1の時間T1と第2の時間T2とを比較する場合について説明した。
【0102】
しかし、本発明の障害物検知装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、判断手段は、物理量としての時間を比較する他に、時間に対応するカウント値などを比較するような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 第1の検知手段
2 第2の検知手段
3 判断手段
4 警報手段
5 表示手段
100 障害物検知装置
A 車両
H 車高
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、
前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度で上方に向いて設置され、第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段による前記発光から前記受光までの第1の時間と前記第2の検知手段による前記発光から前記受光までの第2の時間とを比較して、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段と、
を有することを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、
前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度で上方に向いて設置され、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を発光するのと同時に第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を受光するよりも先に、前記第2の検知手段が前記第2のレーザー光を受光した場合には、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する判断手段と、
を有することを特徴とする障害物検知装置。
【請求項3】
前記第1の検知手段および前記第2の検知手段は、いずれも前記車両の高さ方向中央に設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記第1の角度と前記第2の角度とを等しい角度に保ちつつ、前記第1の角度および前記第2の角度を変化させる角度調整手段を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
車速センサを有し、
前記角度調整手段は、前記車速センサにより検出された前記車両の走行速度が速くなるにしたがって前記第1の角度および前記第2の角度を小さくするように設定することを特徴とする請求項4に記載の障害物検知装置。
【請求項1】
路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、
前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度で上方に向いて設置され、第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段による前記発光から前記受光までの第1の時間と前記第2の検知手段による前記発光から前記受光までの第2の時間とを比較して、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であるか否かを判断する判断手段と、
を有することを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
路面から所定の高さの位置に、水平方向に対して第1の角度で下方に向いて車両に設置され、第1のレーザー光を発光し、第1の障害物により反射した前記第1のレーザー光の反射光を受光して前記第1の障害物を検知する第1の検知手段と、
前記車両の上端から前記所定の高さだけ低い位置に、水平方向に対して前記第1の角度と対称の角度である第2の角度で上方に向いて設置され、前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を発光するのと同時に第2のレーザー光を発光し、第2の障害物により反射した前記第2のレーザー光の反射光を受光して前記第2の障害物を検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段が前記第1のレーザー光を受光するよりも先に、前記第2の検知手段が前記第2のレーザー光を受光した場合には、前記第2の検知手段により検知された前記第2の障害物が、路面よりも上方であって前記車両の車高よりも低い位置に存在する空中障害物であると判断する判断手段と、
を有することを特徴とする障害物検知装置。
【請求項3】
前記第1の検知手段および前記第2の検知手段は、いずれも前記車両の高さ方向中央に設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記第1の角度と前記第2の角度とを等しい角度に保ちつつ、前記第1の角度および前記第2の角度を変化させる角度調整手段を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
車速センサを有し、
前記角度調整手段は、前記車速センサにより検出された前記車両の走行速度が速くなるにしたがって前記第1の角度および前記第2の角度を小さくするように設定することを特徴とする請求項4に記載の障害物検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−78889(P2012−78889A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220605(P2010−220605)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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