説明

障害物監視装置

【課題】距離成分から障害物の位置を検出すると同時に、速度成分から障害物が固定物か侵入物かを判別でき、高性能で且つ経済的に製品化しやすい障害物監視装置を得る。
【解決手段】鉄道線路などの監視対象の両側に沿わせて1対のLCX1、2を布設し、一方のLCX1から他方のLCX2にFMCW方式の送信電波を放射して障害物Dを検出する。信号処理器14は、ビート周波数信号から求めた距離成分および速度成分を解析することにより、距離成分から障害物Dの位置を検出すると同時に、速度成分から障害物Dが固定物か侵入物かを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の漏洩伝送路からFMCW方式の送信電波を放射して、他方の漏洩伝送路で受信することにより障害物(侵入物)を検出する障害物監視装置に関し、特に高性能で且つ装置構成が簡素な障害物監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道線路などの監視対象において、線路上の障害物を検出した場合には、事故を防止するために運行を制限する必要がある。
そこで、鉄道線路などにおける障害物を検出するために、1対の漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いた障害物監視装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図6を参照しながら、LCXを用いた従来の障害物監視装置について説明する。
図6は特許文献1に示された従来の障害物監視装置(擬レーダ式障害物検知装置)の構成を示すブロック図である。
【0004】
図6において、送信LCX1および受信LCX2は、鉄道線路などの監視対象(図示せず)の両側に沿って配置されており、送信LCX1は、鉄道線路などの一側に布設され、受信LCX2は、鉄道線路などの反対側に布設されている。
【0005】
送信LCX1の長手方向には、送信電波を漏洩して放射するための複数のスロット(図示せず)が所定間隔で設けられており、同様に、受信LCX2の長手方向には、送信電波を受信するための複数のスロット(図示せず)が所定間隔で設けられている。
【0006】
一方の送信LCX1には、方向性結合器6および送信器3を介して、信号発生器5が接続されている。また、他方の受信LCX2には、ミキサ7を介して、信号処理機能を含む受信器4が接続されている。
【0007】
各LCX1、2において、方向性結合器6およびミキサ7が接続された一端とは反対側の端部、すなわち、各LCX1、2の遠端側には、それぞれ無反射終端器(図示せず)が接続されている。
【0008】
信号発生器5はFMCW方式の送信信号(以下、「FMCW信号」という)を発生し、送信器3はFMCW信号を増幅して方向性結合器6に送信する。
方向性結合器6は、送信器3から出力されるFMCW信号の一部を分岐して、同軸ケーブルなどの伝送路を介してミキサ7に入力する。
【0009】
送信器3から出力される三角波のFMCW信号は、方向性結合器6を介して送信LCX1に入射される。
送信LCX1に入射されたFMCW信号は、送信LCX1の長手方向に並ぶ各スロットから順次、送信電波として放射される。
【0010】
送信LCX1の各スロットから放射された送信電波は、送信LCX1に対向配置された受信LCX2の各スロットから入射され、受信信号としてミキサ7に入力される。
これにより、ミキサ7には、各LCX1、2を伝搬し且つ時間的にシフトして重畳した信号が入射されることになる。
【0011】
ミキサ7は、受信LCX2の一端に配置されて、方向性結合器6から分岐されたFMCW信号(送信電波に対応)と各LCX1、2を経由してきた受信信号との周波数差分信号(ビート周波数信号)を抽出する。
具体的には、ミキサ7は、送信器3の出力信号を基準として、各スロット経由の受信信号とのビート周波数信号をダイオードなどで抽出する。
【0012】
各スロット経由の受信信号は、それぞれに時間的ずれが生じるので、その時間的ずれに応じた周波数の差が生じる。
受信器4は、ビート周波数信号を解析して障害物Dを検出する。このとき、ビート周波数信号の解析結果は、FMCW信号の電波を送受信した各スロットの位置が各周波数成分に対応したスペクトルとして表される。
【0013】
ここで、図6に示すように、送信LCX1と受信LCX2との間の線路上に障害物Dが存在する場合には、障害物Dの位置で電波が遮蔽されるので、障害物Dの位置に対応した遅延時間を有する信号の受信強度が減少する。
すなわち、受信器4が解析したスペクトルは、障害物Dの位置に対応した周波数において信号強度が減少したものとなるので、信号強度が減少した周波数から障害物Dの位置を判定することが可能となる。
【0014】
【特許文献1】特開平11−248827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の障害物監視装置では、ミキサ7(ダイオードなどを含む)において、FMCW方式で受信信号を検波して検出した周波数から障害物Dの位置を検出するのみであり、検出した障害物Dの種類が、固定物なのか、または、人や動物などの侵入物なのかを判別することができないという課題があった。
【0016】
また、受信信号の信号対ノイズ比(以下、「S/N比」と略称する)で検出感度が決定することから、検出距離を拡張する場合に制約が生じるという課題があった。
さらに、障害物Dの種類の判別と、S/N比の改善による検出距離の拡張とを可能にするために、スペクトラム拡散などの高度な処理方式を適用した場合には、スペクトラムの拡散および逆拡散の処理を必要とするので、装置構成が複雑になるという課題があった。
【0017】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、監視対象(鉄道線路など)の両側に沿わせて漏洩伝送路を布設し、一方の漏洩伝送路から他方の漏洩伝送路に向けてFMCW方式の送信電波を放射して障害物Dを検出する障害物監視装置において、ビート周波数信号から求めた距離成分および速度成分を解析する信号処理器を設けることにより、距離成分から障害物の位置を検出すると同時に、速度成分から障害物が固定物であるか侵入物であるかを判別することのできる障害物監視装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明による障害物監視装置は、監視対象の両側に沿わせて布設された1対の漏洩伝送路と、一方の漏洩伝送路から他方の漏洩伝送路に向けてFMCW方式の送信電波を放射する送信手段と、他方の漏洩伝送路で受信された受信信号と送信電波に対応した送信信号とをミキシングするミキサと、ミキサからのビート周波数信号に基づいて、1対の漏洩伝送路の間に存在する障害物を検出する信号処理器とを備え、信号処理器は、ビート周波数信号から障害物の距離成分および速度成分を求めて解析することにより、距離成分から障害物の位置を検出すると同時に、速度成分から障害物の種類が固定物であるか侵入物であるかを判別するものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、鉄道線路などに沿わせてその両側に漏洩伝送路を布設し、一方の漏洩伝送路から他方の漏洩伝送路に電波を放射して障害物を検出するFMCW方式の障害物監視装置において、距離成分から障害物の位置を検出すると同時に、速度成分から障害物が固定物か侵入物かを判別でき、高性能であり且つ装置構成が簡素な侵入物障害物監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る障害物監視装置の構成を示すブロック図であり、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号が付されている。
図1において、侵入者を判別可能な障害物監視装置は、送信LCX1および受信LCX2と、送信LCX1の一端側に設けられた信号発生器5、送信器3および方向性結合器6と、受信LCX2側に設けられたミキサ7および信号処理器14とを備えている。
【0021】
送信LCX1は、監視対象(鉄道線路など)の一方の側に布設され、受信LCX2は、監視対象の他方の側に布設されている。
各LCX1、2には、所定間隔で複数のスロットが設けられているが、ここでは代表的に、送信LCX1ではA点およびB点の2箇所のスロットのみを示し、受信LCX2ではA’点およびB’点の2箇所のスロットのみを示している。
また、各LCX1、2の遠端には、それぞれ無反射終端器が接続されている。
【0022】
信号発生器5はFMCW信号を発生し、送信器3はFMCW信号を増幅して送信LCX1の一端に出力する。
方向性結合器6は、送信器3の出力信号の一部を分岐して、同軸ケーブルなどの伝送路を経由してミキサ7に送信するための分岐手段を構成している。
【0023】
ミキサ7は、受信LCX2の一端に設置され、方向性結合器6から分岐された送信信号と、送信LCX1および受信LCX2を経由してきた受信信号との差分に基づくビート周波数信号を抽出する。
信号処理器14は、ビート周波数信号を解析して障害物Dを検出する。
【0024】
図2(a)は信号発生器5から生成されるFMCW信号の周波数fの時間変化を示す説明図であり、横軸は時間t、縦軸は周波数fを示している。
図2(b)はA’点およびB’点に対応するビート周波数信号ΔfA、ΔfBの時間変化を示す説明図であり、横軸は時間t、縦軸はビート周波数Δfを示している。
【0025】
図2(a)において、信号発生器5から送信器3に出力されるFMCW信号(実線波形)は、三角波の形状で周波数fが変化する。すなわち、FMCW信号は、周波数fが直線的に増加したのち減少することを繰り返す。
【0026】
これにより、各LCX1、2を介して、受信LCX2のA’点で受信される受信信号(破線波形)は、送信波形よりも時間的に遅延した三角波の形状で周波数fが変化する。
同様に、受信LCX2のB’点で受信される受信信号(1点鎖線波形)は、されに遅延した三角波の形状で周波数fが変化する。
【0027】
図1において、FMCW信号は、送信器3で増幅された後、方向性結合器6を介して送信LCX1に入射されるとともに、一部が分岐されてミキサ7に伝送される。
送信LCX1に入射されたFMCW信号は、送信LCX1の各スロットから順次、送信電波として放射され、送信LCX1に対向配置された受信LCX2の各スロットに入射する。
【0028】
受信LCX2の各スロットに入射した受信信号は、それぞれ、各LCX1、2を伝搬し且つ時間的にシフトして重畳した信号としてミキサ7に入力される。
この場合、A’点およびB’点の各スロットを経由してミキサ7に入力される各受信信号は、それぞれの遅延時間を有する。
【0029】
したがって、図2(a)に示すように、ミキサ7に入力されるA’点の周波数の変化(破線)は、時間的にずれを生じる。
ここで、A’点と比較して遠方に位置するB’点のスロットから入射される受信信号の周波数変化(1点鎖線)は、A’点の周波数変化(破線)よりも大きな時間的ずれを生じる。
【0030】
ミキサ7は、送信器3の出力信号を基準として、各スロット経由の受信信号とのビート周波数信号を抽出する。
このとき、送信信号の周波数(実線)および各受信信号A’点、B’点の周波数(破線、1点鎖線)は、三角波状に変化するとともに、それぞれに時間的ずれが生じるので、時間的ずれに応じた周波数の差が生じる。
【0031】
図2(b)において、送信信号(実線)と各受信信号A’点、B’点とのビート周波数信号ΔfA、ΔfB(破線、1点鎖線)は、それぞれ台形波状に変化する。
また、B’点におけるビート周波数信号ΔfB(1点鎖線)は、A’点におけるビート周波数信号ΔfA(破線)よりも時間的に遅延し且つピーク値(平坦部)が高い。
【0032】
すなわち、各台形波の平坦部に着目すると、受信LCX2の遠端側に位置するスロットB’点に対応するビート周波数信号ΔfBが、受信LCX2の近端側に位置するスロットA’点に対応するビート周波数信号ΔfAよりも周波数が高い。つまり、高いビート周波数は遠端側に位置し、低いビート周波数は近端側に対応することが分かる。
【0033】
図3(a)は移動する障害物Dを考慮した場合の送信信号(実線)および受信信号A’点(破線)の周波数fの時間変化を示す説明図であり、図3(b)は障害物Dの移動速度Vを考慮した場合のA’点のビート周波数Δfの時間変化を示す説明図である。
【0034】
図3(b)において、ビート周波数信号Δfuは、送信信号(三角波)の上り区間(FMCW信号が直線的に上昇する区間)での周波数値であり、ビート周波数信号Δfdは、送信信号の下り区間(FMCW信号が直線的に下降する区間)での周波数値である。
【0035】
たとえば、図1に示すようにA’点のスロット付近に障害物Dが存在し、且つ障害物Dが移動速度Vを有している場合、図3(a)内の受信信号A’点(破線)には、送信信号と受信信号との時間的ずれによる周波数差(以下、「距離周波数成分」という)frと、障害物Dの移動速度による周波数差(以下、「ドプラ周波数成分」という)fvとが含まれる。
【0036】
このとき、送信信号の上り区間と下り区間とでは、ドプラ周波数成分fvの符号が互いに逆向き(上り区間では「負」方向、下り区間では「正」方向)に重畳される。
【0037】
すなわち、図3(a)、図3(b)において、FMCW信号の上り区間および下り区間のビート周波数信号Δfu、Δfdは、障害物Dの距離周波数成分(ディップ周波数成分)frと、ドプラ周波数成分fvとを用いて、それぞれ、以下の式(1)、式(2)のように表される。
【0038】
Δfu=fr−fv ・・・(1)
Δfd=fr+fv ・・・(2)
【0039】
ただし、式(1)、式(2)において、ドプラ周波数成分fvは、受信LCX2に近づく方向の速度を「+」方向とする。
また、距離周波数成分frおよびドプラ周波数成分fvは、FMCW信号の送信電波の変調周波数FMと、中心周波数f0の変調幅Δfと、光速cと、距離Rと、移動速度Vとを用いて、それぞれ、以下の式(3)、式(4)のように表される。
【0040】
fr={(4×Δf×FM)/c}×R ・・・(3)
fv={(2×f0)/c}×V ・・・(4)
【0041】
なお、距離Rおよび移動速度Vは、ビート周波数信号Δfu、Δfdの検出値から求めることができる。
すなわち、ドプラ周波数成分fvが重畳したスペクトラムを、上り区間と下り区間とで差分を求め、この算出結果からドプラ周波数成分fvのみを抽出することができる。
【0042】
図4(a)、図4(b)は信号処理器14が解析した距離周波数成分frのスペクトルを示す説明図であり、横軸はビート周波数(A点、B点を含む検出位置)を示し、縦軸は受信信号強度を示している。
図4(a)は、障害物Dが存在しない場合でのビート周波数信号から求めた距離周波数成分frのスペクトルを示し、図4(b)は、A点に障害物Dが存在する場合の距離周波数成分frのスペクトルを示している。
【0043】
ただし、図4(a)、図4(b)においては、各LCX1、2の全長にわたって多数のスロットが配置された場合を想定しており、ほぼ連続的なスペクトルが得られている。
また、図4(a)、図4(b)のスペクトル波形において、前述したビート周波数信号の周波数とスロット位置との対応関係に基づき、最高周波数は各LCX1、2の遠端に対応付けることができ、最低周波数は各LCX1、2の近端に対応付けることができる。
【0044】
送信LCX1と受信LCX2との間の監視対象(鉄道線路など)に障害物Dが存在する場合には、障害物Dの存在位置での受信電波が減衰するので、障害物Dの位置に対応した遅延時間を有する受信信号の受信信号強度が減少する。
また、時間tでの距離周波数成分frのスペクトルにおいては、障害物Dの位置に対応した周波数を有する受信信号の受信信号強度が減少する。
【0045】
すなわち、図4(b)に示すように、信号処理器14が解析したスペクトルは、障害物Dの位置(A点)に対応したビート周波数において信号強度が減少した形状となる。
したがって、信号強度が減少した距離周波数成分(ディップ周波数成分)frから障害物Dの位置を判定することができる。
【0046】
信号処理器14は、ミキサ7から送信されたビート周波数信号を受信し、ビート周波数信号を周波数軸(受信LCX2上の位置に対応)で解析する。
図5(a)、図5(b)は信号処理器14が解析したドプラ周波数成分fvのスペクトルを示す説明図であり、横軸はビート周波数(A点、B点を含む検出位置)を示し、縦軸は受信信号強度を示している。
図5(a)は、障害物Dが存在しない場合でのビート周波数信号から求められたドプラ周波数成分fvのスペクトルを示し、図5(b)は、A点に障害物Dが存在する場合のドプラ周波数成分fvのスペクトルを示している。
【0047】
ただし、前述(図4)と同様に、図5(a)、図5(b)においても、各LCX1、2の全長にわたって多数のスロットが配置された場合を想定し、ほぼ連続的なスペクトルが得られており、最高周波数を各LCX1、2の遠端に対応付け、最低周波数を各LCX1、2の近端に対応付けることができる。
【0048】
図5(b)において、送信LCX1と受信LCX2との間の監視対象(鉄道線路など)に障害物Dが存在し、且つ障害物Dが移動速度Vを有する場合には、時間tでのドプラ周波数成分fvのスペクトルは、障害物Dの位置に対応した周波数を有する受信信号の信号強度が変動する。
【0049】
すなわち、図5(b)に示すように、信号処理器14が解析したスペクトルは、障害物Dの位置に対応した周波数において信号強度が変動する。
したがって、信号強度が変動したビート周波数から、障害物Dが静止した物体であるか、または人や動物などの移動速度を有する侵入物であるかを判定することができる。
【0050】
以上のように、この発明の実施の形態1に係る障害物監視装置(図1)は、監視対象の両側に沿わせて布設された1対のLCX1、2と、一方の送信LCX1から他方の受信LCX2に向けてFMCW方式の送信電波を放射する信号発生器5および送信器3(送信手段)と、受信LCX2で受信された受信信号と送信電波に対応した送信信号とをミキシングするミキサ7と、ミキサ7からのビート周波数信号ΔfA、ΔfB、Δfu、Δfdに基づいて、1対のLCX1、2の間に存在する障害物Dを検出する信号処理器14とを備えている。
【0051】
信号処理器14は、ビート周波数信号ΔfA、ΔfB、Δfu、Δfdから障害物Dの距離周波数成分fr(距離成分)およびドプラ周波数成分fv(速度成分)を求めて解析することにより、距離成分から障害物Dの位置を検出すると同時に、速度成分から障害物Dの種類が固定物であるか侵入物であるかを判別する。
【0052】
これにより、障害物Dの位置を検出することのみならず、ドプラ周波数成分fv(速度成分)の信号強度の変動から、検出した障害物Dの種類(固定物であるか、または人や動物などの侵入物であるか)を判別することができる。
【0053】
したがって、距離成分から障害物Dの位置を検出すると同時に、速度成分から障害物Dが固定物か侵入物かを判別できるので、高性能で且つ装置構成が簡素で、経済的に製品化しやすい障害物監視装置を得ることができる。
また、障害物Dの種類に応じた警報を発生するなどにより、適切な対処を施すことができる。
【0054】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、距離周波数成分(ディップ周波数成分)frから障害物Dの種類を判別したが、距離成分に加えて速度成分(ドプラ周波数成分fv)を組み合わせて、ドプラ周波数成分fvの信号強度の変動が検出されたスペクトルから、侵入物(移動する障害物D)の位置を検出してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態1では、信号処理器14は、ビート周波数信号から障害物Dの距離成分および速度成分を求めて解析したが、速度成分のみを求めて解析することにより、速度成分から障害物Dの位置を検出すると同時に、速度成分から障害物Dの種類を判別してもよい。
【0056】
実施の形態3.
さらに、上記実施の形態1では、信号処理器14の解析処理について具体的に言及しなかったが、信号処理器14は、デジタル処理でビート周波数信号を解析してもよい。
この場合、ビート周波数信号を解析するデジタル処理過程において、コヒーレント積分およびFFT処理などの処理利得の効果により、検出感度を向上させることができ、障害物Dの検出距離を拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態1に係る障害物監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における送信信号および受信信号の波形とビート周波数信号の波形とを示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1における移動物体を考慮した場合の送信信号および受信信号の波形とビート周波数信号の波形とを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1における障害物の有無状態に応じた距離周波数成分のスペクトル波形を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1における障害物の有無状態に応じたドプラ周波数成分のスペクトル波形を示す説明図である。
【図6】従来の障害物監視装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1 送信LCX、2 受信LCX、3 送信器、5 信号発生器、6 方向性結合器、7 ミキサ、14 信号処理器、D 障害物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の両側に沿わせて布設された1対の漏洩伝送路と、
一方の漏洩伝送路から他方の漏洩伝送路に向けてFMCW方式の送信電波を放射する送信手段と、
前記他方の漏洩伝送路で受信された受信信号と前記送信電波に対応した送信信号とをミキシングするミキサと、
前記ミキサからのビート周波数信号に基づいて、前記1対の漏洩伝送路の間に存在する障害物を検出する信号処理器と、を備え、
前記信号処理器は、
前記ビート周波数信号から前記障害物の距離成分および速度成分を求めて解析することにより、前記距離成分から前記障害物の位置を検出すると同時に、前記速度成分から前記障害物の種類が固定物であるか侵入物であるかを判別することを特徴とする障害物監視装置。
【請求項2】
前記信号処理器は、前記距離成分に加えて前記速度成分を組み合わせて、前記障害物の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の障害物監視装置。
【請求項3】
監視対象の両側に沿わせて布設された1対の漏洩伝送路と、
一方の漏洩伝送路から他方の漏洩伝送路に向けてFMCW方式の送信電波を放射する送信手段と、
前記他方の漏洩伝送路で受信された受信信号と前記送信電波に対応した送信信号とをミキシングするミキサと、
前記ミキサからのビート周波数信号に基づいて、前記1対の漏洩伝送路の間に存在する障害物を検出する信号処理器と、を備え、
前記信号処理器は、
前記ビート周波数信号から前記障害物の速度成分を求めて解析することにより、前記速度成分から前記障害物の位置を検出すると同時に、前記速度成分から前記障害物の種類が固定物であるか侵入物であるかを判別することを特徴とする障害物監視装置。
【請求項4】
前記信号処理器は、デジタル処理で前記ビート周波数信号を解析することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の障害物監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−151517(P2010−151517A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327921(P2008−327921)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】