説明

集光装置、集束装置及びレンズシート

【課題】高い集光効率が得られる集光装置を提供する。
【解決手段】集光装置は、平行光源からの光を受け、出射する集束装置と、集束装置からの出射光を受ける受光装置とを備える。集束装置は、平行光源と対向する表面312と、表面312と反対側に配置され、平行光源からの光を出射する構造化面313とを有する光学シート311を備える。構造化面313は、配列された複数の線状プリズム314を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光装置、集束装置及びレンズシートに関し、さらに詳しくは、太陽光発電や採光装置、光学センサとして利用される集光装置、集束装置及び集光装置に利用されるレンズシートに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や、屋内に太陽光を取り込む採光システム、光学センサ等に集光装置が利用されている。たとえば、太陽光発電に利用される集光装置は、複数の反射部材と、受光装置とを備える。受光装置は、塔の上部に配置される。複数の反射部材は塔の周りに配置される。反射部材は太陽光を反射して受光装置(レシーバ)に光を集める。レシーバは、反射部材から太陽光を受け、内部に収納される熱媒体(溶融塩等)に熱エネルギを与える。熱エネルギを受けた熱媒体は発電装置に送られ、発電装置は、熱媒体の熱エネルギを利用して発電する。
【0003】
採光システムは、国際公開2005/104819号(特許文献1)、特表2010−52582号公報(特許文献2)、特開2000−57820号公報(特許文献3)及び特開平04−190303号公報(特許文献4)に開示されている。採光システムに利用される集光装置は、レンズと、受光装置とを備える。レンズは、太陽光をレンズの焦点に集光して出射する。受光装置は、光伝送ダクトや光ファイバケーブル等である。受光装置は、レンズにより集光された光を受け、屋内等に伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005/104819号
【特許文献2】特表2010−52582号公報
【特許文献3】特開2000−57820号公報
【特許文献4】特開平04−190303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の太陽光発電や採光システム等に利用される集光装置は、上述のとおり、反射部材を用いたり、焦点に集光するレンズを用いたりする。このような集光装置では、太陽光の集光効率が低くなる場合がある。
【0006】
本発明の他の目的は、高い集光効率が得られる集光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明による集光装置は、集束装置と、受光装置とを備える。集束装置は、平行光源からの光を受け、出射する。受光装置は、集束装置からの出射光を受ける。集束装置は、第1光学シートを備える。第1光学シートは、平行光源と対向する第1表面と、第1表面と反対側に配置され、平行光源からの光を出射する第1構造化面とを有する。第1構造化面は、配列された複数の第1線状プリズムを含む。
【0008】
本発明による集光装置は、集光効率を高める。
【0009】
好ましくは、集束装置はさらに、第1構造化面と対向する第2光学シートを備える。第2光学シートは、第1構造化面と対向する第2構造化面と、第2構造化面と反対側の第2表面とを備える。第2構造化面は、第1線状プリズムの長手方向に沿って延びる複数の第2線状プリズムを含み、受光装置は、前記第2表面からの前記出射光を受ける。
【0010】
この場合、集光効率がさらに高まる。
【0011】
好ましくは、複数の第1及び第2線状プリズムは、中心軸周りに同心円状に配置される。第2表面は、中心軸に向かって光を出射する。集束装置はさらに、第2プリズムシートの第2表面側の中心軸上に配置され、第2表面から離れるに従って幅が狭くなる反射部材を備える。
【0012】
この場合、集光効率がさらに高まる。
【0013】
好ましくは、第1線状プリズムは、主傾斜面と、主傾斜面と背向して配置される補助傾斜面とを有する。第2線状プリズムは、第2補助傾斜面と、第1主傾斜面から出射した光とのなす角度が第2補助傾斜面よりも大きい第2主傾斜面とを有する。第1主傾斜面は中心軸と反対側に傾斜し、第2主傾斜面は中心軸と反対側に傾斜する。
【0014】
好ましくは、複数の第1線状プリズムは中心軸周りに同心円状に配置され、第1主傾斜面は中心軸と反対側に傾斜し、集束装置はさらに、第1プリズムシートの第1構造化面側に第1線状プリズムと同軸に配置され、第1構造化面から離れるに従って幅が狭くなる円錐状の反射部材を備える。
【0015】
この場合、集光効率がさらに高まる。
【0016】
好ましくは、第2線状プリズムは、第2補助傾斜面と、第1主傾斜面から出射した光とのなす角度が第2補助傾斜面よりも大きい第2主傾斜面とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第1の実施の形態による集光装置の構成図である。
【図2】図2は、図1中の集束装置の構成図である。
【図3】図3Aは、図2中の光学部材の平面図である。図3Bは、図3A中の線分B―B線での断面図である。
【図4】図4は、図3B中の領域IVの拡大図である。
【図5】図5は、図3B中の領域Vの拡大図である。
【図6】図6は、図3B中の領域VIの拡大図である。
【図7A】図7Aは、従来の太陽発電装置の平面図である。
【図7B】図7Bは、従来の太陽発電装置の側面図である。
【図8A】図8Aは、第1の実施の形態による集光装置の平面図である。
【図8B】図8Bは、第1の実施の形態による集光装置の側面図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態による集光装置に利用される、集束装置の構成図である。
【図10】図10Aは、図9中の光学部材の平面図である。図10Bは、図10A中の線分B’−B’の断面図である。
【図11】図11は、図10B中の領域IXの拡大図である。
【図12】図12は、図10B中の領域Xの拡大図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態による集光装置の構成図である。
【図14A】図14Aは、図13中の集光部材の平面図である。
【図14B】図14Bは、図13中の集光部材の正面図である。
【図14C】図14Cは、図14A中の線分C−Cの断面図である。
【図15】図15は、図13中の受光装置と異なる構成の受光装置の断面図である。
【図16】図16は、第4の実施の形態による集光装置の構成図である。
【図17】図17は従来の光センサの構成図である。
【図18】図18は、図16と異なる構成の集光装置の構成図である。
【図19】図19は、その他の実施の形態による集光装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
[第1の実施の形態]
[集光装置3の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態による集光装置の模式図である。図1を参照して、集光装置3は太陽光発電として利用される。集光装置3は、受光装置35と、集束装置30とを備える。集束装置30は、平行光源である太陽1から出射される光S0を受け、光S0を集束して光S1を出射する。受光装置35は、周知のレシーバである。受光装置35は、内部に熱媒体(溶融塩等)が収納される。受光装置35は、光S1を受け、熱媒体に熱エネルギを与える。熱エネルギを受けた熱媒体は発電装置に送られ、発電装置は熱エネルギを利用して発電する。上述の受光装置35はレシーバであるが、受光装置35は、太陽電池であってもよい。
【0020】
受光装置35に光S0を集めるため、複数の集束装置30は、受光装置35を中心とした複数の円周状に配置される。
【0021】
[集束装置30の構成]
図2は、集束装置30の側面図である。図2を参照して、集束装置30は、光学部材31と、反射部材32,33とを備える。光学部材31は、平行光である太陽光S0を受け、太陽光S0を集束して太陽光S1を出射する。反射部材32及び33は、太陽光S1を反射して受光装置35に導く。反射部材32及び33は、太陽光S1を全反射する。反射部材32及び33の素材は、全反射すれば特に限定されない。図2では、2つの反射部材32及び33を示したが、反射部材は3以上であってもよいし、1つであってもよい。また、反射部材はなくてもよい。この場合、太陽光S1が直接、受光装置35に入射する。たとえば、図2中の反射部材32に変えて、太陽電池からなる受光装置35が配置されてもよい。
【0022】
集束装置30はさらに、図示しない制御装置を備える。制御装置は、周知の太陽追尾装置を備える。太陽追尾装置は、太陽1を自動追尾する。制御装置は、太陽追尾装置を利用して、光学部材31が平行光S0を常に受光できるように、光学部材31の角度を調整する。制御装置はさらに、反射部材32及び33の配置位置及び角度を調整する。
【0023】
[光学部材31の構成]
図3Aは、光学部材31の平面図である。図3Bは、図3A中の線分B−Bでの断面図である。図3A及び図3Bを参照して、光学部材31は、光学シート311及び315と、反射部材319とを備える。
【0024】
光学シート311及び315は、互いに上下に重ねて配置される。図3A及び図3Bでは、光学シート311は、光学シート315の上に配置される。
【0025】
光学シート311は、円板状である。光学シート311は、表面312と、構造化面313とを有する。表面312は平坦であり、太陽光S0を受ける。
【0026】
構造化面313は、表面312と反対側に配置される。図3Bに示すとおり、構造化面313は、複数の線状プリズム314を備える。線状プリズム314は、長手方向を有し、横断形状が三角形状である。本例では、線状プリズム314は円環状であり、光学シート311の中心軸C周りに同心円状に配置される。要するに、複数の線状プリズム314は互いに同軸に配置される。構造化面313は、線状プリズム314により太陽光S0を屈折して出射する。
【0027】
光学シート315も光学シート311と同様に円板状であり、構造化面316と表面317とを有する。構造化面316は構造化面313と対向する。構造化面316は、複数の線状プリズム318を備える。線状プリズム318も線状プリズム314と同様に、長手方向を有し、横断形状は三角形状である。複数の線状プリズム318は線状プリズム314と同様に、中心軸C周りに同心円状に配置される。したがって、線状プリズム318は線状プリズム314と対向する。構造化面316は、構造化面313からの出射光を受ける。
【0028】
表面317は、第2構造化面316と反対側に配置される。表面317は、平坦である。表面317は、構造化面316に入射した光を屈折し、外部に出射する。
【0029】
反射部材319は、光学シート315の下に配置される。より具体的には、反射部材319は、表面317側であって、表面317の中央部分に配置される。反射部材319の幅は、表面317から離れるにしたがって徐々に狭くなる。本例では、反射部材319は円錐状である。しかしながら、反射部材319は円錐状に限定されない。たとえば、反射部材319は円錐台状であってもよい。要するに、反射部材319の幅が表面317から離れるにしたがって狭くなればよい。
【0030】
反射部材319は、表面317の出射光を全反射して下方に導く。反射部材319の素材は周知の素材を利用できる。好ましくは高反射率のものを利用するのが好ましい。
【0031】
光学部材31は、光学シート311及び315により、太陽光S0を中心軸C1方向に屈折して出射する。換言すれば、光学シート311及び315は、太陽光S0を中心軸C1方向に集光する。反射部材319は集光された太陽光S0を全反射して、太陽光S1として出射する。図3Bを参照して、光学部材31を利用すれば、幅W0で光学部材31に入射した太陽光S0は、幅W0よりも小さい幅W1の太陽光(平行光)S1として出射される。
【0032】
従来の太陽光発電で利用される反射部材の場合、全反射した太陽光の幅は小さくならない。さらに、反射部材に代えて所定の焦点距離で集光するレンズを利用した場合、レンズから出射する光は平行光ではない。そのため、集光効率が低い。しかしながら、本実施の形態による光学部材31は、平行光である太陽光S0を、さらに小さい幅の平行光S1として出射する。したがって、より多くの太陽光S0を受光装置35に導くことができ、高い集光効率が得られる。
【0033】
以下、光学シート311及び315の詳細を説明する。
【0034】
[光学シート311の構成]
図4は、図3B中の領域IVの拡大図である。図4を参照して、線状プリズム314は、主傾斜面314Aと、補助傾斜面314Bとを有する。主傾斜面314Aと補助傾斜面314Bとは互いに背向して配置される。主傾斜面314Aと補助傾斜面314Bとの交差した部分が、線状プリズム314の頂上に相当する。
【0035】
主傾斜面314Aは、表面312に略垂直に入射した光S0を屈折し、外部に出射する。補助傾斜面314Bは、光S0を屈折しない方が好ましい。補助傾斜面314Bで光S0が屈折されれば、主傾斜面314Aの出射光と補助傾斜面314Bの出射光が交差する。そのため、光学シート311の出射光の指向性が低下する可能性がある。好ましくは、補助傾斜面314Bは、表面312に対して90°±5°であり、より好ましくは、90°±2°である。補助傾斜面314Bが表面312に対して90°よりも顕著に小さければ、補助傾斜面314Bにも平行光S0が入射する。主傾斜面314Aの出射光は、補助傾斜面314Bの出射光と交差するため、出射光の指向性が低下し、集光効率が低下する。一方、補助傾斜面314Bが表面312に対して90°よりも顕著に大きければ、主傾斜面314Aから出射した光が、隣の線状プリズム314の補助傾斜面314Bに入射する場合がある。この場合も、出射光の集光指向性が低下する。補助傾斜面314Bが表面312に対して略90°であれば、光S0は補助傾斜面314Bにほとんど入射しない。
【0036】
主傾斜面314Aは、補助傾斜面314Bよりも中心軸Cから離れて配置される換言すれば、補助傾斜面314Bが中心軸C側に配置される。光学シート311の表面312は、光S0を表面312に対して垂直に入射する。主傾斜面314Aは、中心軸Cと反対側に傾斜する。
【0037】
太陽1から出射された平行光S0が、表面312に入射する。このとき、集束装置30の制御装置は、太陽自動追尾装置を利用して、表面312が光S0に対して常時垂直になるように、光学シート311及び315を配置する。
【0038】
光学シート311に入射した平行光S0は、図4に示すとおり、光学シート311内を進み、主傾斜面314Aに到達する。このとき、主傾斜面314Aは中心軸Cと反対側に傾斜するため、光S0は中心軸C側に屈折して外部に出射する。一方、補助傾斜面314Bには光S0がほとんど入射しない。補助傾斜面314Bと光S0とがなす角は、主傾斜面314Aよりも小さいためである。図4に示すとおり、補助傾斜面314Bが表面312に対して略垂直である場合、光S0は補助傾斜面314Bにほとんど入射しない。
【0039】
図3Aに示すとおり、線状プリズム314は中心軸C周りに同心円状に配置される。したがって、表面312に垂直に入射する平行光S0は、各線状プリズム314の主傾斜面314Aにおいて、中心軸C方向に屈折して出射する。
【0040】
[光学シート315の構成]
図5は、図3中の領域Vの拡大図である。図5を参照して、線状プリズム318は、主傾斜面318Aと、補助傾斜面318Bとを有する。線状プリズム314と同様に、主傾斜面318Aと補助傾斜面318Bとは互いに背向して配置され、線状プリズム318の頂上を形成する。
【0041】
主傾斜面314Aの出射光に対する主傾斜面318Aの角度は、補助傾斜面318Bの角度よりも大きい。そのため、線状プリズム318においては主として、主傾斜面318Aが、主傾斜面314Aの出射光を受ける。
【0042】
図5に示すとおり、主傾斜面314Aの出射光S0(つまり、光学シート311の出射光)は、主傾斜面318Aに入射する。このとき、主傾斜面314Aは光S0を透過する。光S0はそのまま光学シート315内を進み、表面317に到達する。光S0は表面317で屈折し、中心軸C1側に出射する。
【0043】
好ましくは、補助傾斜面314Bは、光学シート311の出射光S0と略平行である。具体的には、出射光S0と補助傾斜面318Bとがなす角度は、±5°以内である。この場合、出射光S0は、補助傾斜面318Bにほとんど入射しない。その結果、出射光S0のほとんどは主傾斜面318Aに入射し、中心軸C方向に出射する。そのため、光学シート315の出射光S0の指向性が向上する。
【0044】
さらに好ましくは、主傾斜面318Aは、出射光S0に対して略垂直である。具体的には、好ましくは、主傾斜面318Aと出射光S0とがなす角は、90°±5°である。要するに、出射光S0は、主傾斜面318Aで屈折しない方が好ましい。出射光S0が屈折する場合、屈折した出射光S0が補助傾斜面318Bに入射し、全反射又は屈折する場合がある。この場合、光学シート315の出射光の指向性が低下する場合がある。
【0045】
光学シート315での光S0の挙動は以下のとおりである。主傾斜面314Aの出射光(平行光)S0は、主傾斜面318Aから第2光学シート315に入射する。このとき、光S0は光学シート315内を進み、表面317に到達する。表面317は、光S0を屈折し、中心軸C側に平行光として出射する。上述のとおり、主傾斜面318Aが出射光S0に対して略垂直であり、補助傾斜面318Bに対して略平行である場合、出射光S1の指向性はさらに向上する。
【0046】
以上のとおり、集束装置30は、光学シート311及び315を利用して、太陽光S0を二段階で屈折して中心軸C方向に出射する。そのため、図3Bに示すとおり、太陽光S0は平行光として、反射部材319に集まる。
【0047】
[反射部材319の構成]
図6は図3Bの領域VIの拡大図である。図6を参照して、上述のとおり、反射部材319は、表面317上に配置され、表面317から離れるにしたがい、反射部材319の幅は小さくなる。図6では、反射部材319は円錐状である。
【0048】
光学シート315の出射光S0は、反射部材319の表面で全反射し、出射光S1として下方に進む。以上の動作により、図3Bに示すように、幅W0の太陽光S0は、集束装置30により、幅W0よりも小さい幅W1の出射光S1として出射する。
【0049】
好ましくは、反射部材319の底角θ1は、光S0の反射部材319表面での入射角αと略同じである。より具体的には、底角θ1は、入射角α±5°であるのが好ましい。この場合、光S1は、表面317に対して略垂直に進む。したがって、光S1は平行光として出射する。
【0050】
ただし、反射部材319の底角θ1が上述の条件を満たしていなくても、集束装置30は、光S1をある程度集束して出射することができ、その幅W1は、表面312で受ける太陽光S0の幅W0よりも小さくなる。
【0051】
[集光装置3の動作]
上述のとおり、集光装置3は、集束装置30を利用することにより、太陽光S0の幅を小さくして出射する。つまり、太陽光S0を集束して出射する。そのため、集光効率を向上できる。
【0052】
図7Aは、従来の太陽光発電装置の平面図であり、図7Bはその側面図である。図8Aは集光装置3の平面図であり、図8Bはその側面図である。
【0053】
図7A及び図7Bを参照して、従来の太陽光発電装置は、受光装置(レシーバ)350と、複数の反射部材37とを備える。反射部材37は、太陽光S0を受け、全反射して受光装置35に導く。しかしながら、反射部材37は、太陽光S0の幅を小さくできない。従来の太陽光発電装置では、受光装置350は、各反射部材37の出射光S1を受けるため、受光装置350の幅WP及び高さHPを大きくしなければならない。換言すれば、従来の太陽光発電装置はコンパクト化しにくく、集光効率も高くない。
【0054】
一方、図8A及び図8Bを参照して、集光装置3を太陽光発電に利用する場合、各集束装置30が太陽光S0を集束して光S1を出射する。上述のとおり、光S1の幅は太陽光S0よりも小さい。そのため、同じ太陽光量に対して、集光装置3の受光装置35の幅WI及び高さHIは、従来の太陽光発電装置の受光装置350の幅WP及び高さHPよりも小さくすることができる。したがって、集光装置3は従来よりもコンパクト化が可能であり、集光効率も高くなる。
【0055】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、光学シート311及び315を円形状とし、円環状の線状プリズム314及び318を利用する。しかしながら、線状プリズムは円形状でなくてもよい。
【0056】
第2の実施の形態による集光装置は、集束装置30に代えて、図9に示す集束装置50を備える。集束装置50は、光学部材31に代えて光学部材51を備え、反射部材32及び33に代えて反射部材52を備える。集束装置50のその他の構成は、集束装置30と同じである。
【0057】
光学部材51は、太陽1から受けた平行光S0を屈折して光S1を出射する。反射部材52は、光S1を反射し、受光装置35に導く。
【0058】
図10Aは、光学部材51の平面図である。図10Bは、図10A中の線分B´−B´線での断面図である。図10A及び図10Bを参照して、光学部材51は、光学シート511と、光学シート515とを備える。
【0059】
光学シート511は、表面512と、構造化面513とを有する。表面512は、平行光源(つまり太陽)と対向する。構造化面513は、表面512と反対側に配置される。
【0060】
構造化面513には、複数の線状プリズム514が配置される。線状プリズム514は、線状プリズム314と異なり、長手方向に伸びる直線状である。図10Aに示すとおり、複数の線状プリズム514は、線状プリズム514の幅方向に配列される。
【0061】
光学シート515は、構造化面516と表面517とを有する。構造化面516は構造化面513と対向し、表面517は構造化面516と反対側に配置される。構造化面516は複数の線状プリズム518を備える。線状プリズム518は、線状プリズム514の長手方向に伸びる。そして、複数の線状プリズム518は、線状プリズム518の幅方向に配列される。
【0062】
要するに、光学シート511及び515は、光学シート311及び315と比較して、円環状の線状プリズム314及び318に代えて、直線状の線状プリズム514及び518を備える。
【0063】
図11は、図10B中の領域IXの拡大図であり、図12は、図10中の領域Xの拡大図である。図11を参照して、線状プリズム514の横断形状は、線状プリズム314と同様である。線状プリズム514は、主傾斜面514Aと補助傾斜面514Bとを備える。表面512に垂直に入射した平行光S0は、主傾斜面514Aで主として屈折して外部に出射する。補助傾斜面314Bと同様に、補助傾斜面514Bは、光S0を屈折しない方が好ましい。したがって、好ましい補助傾斜面514Bと表面512との角度は90°±5°であり、より好ましくは、90°±2°である。
【0064】
図12を参照して、線状プリズム518は、主傾斜面518Aと、補助傾斜面518Bとを備える。線状プリズム518の横断形状は、線状プリズム318と同様である。主傾斜面518Aは、主傾斜面514Aの出射光を受ける。好ましくは、補助傾斜面514Bは、光学シート511の出射光S0と略平行である。具体的には、出射光S0と補助傾斜面514Bとがなす角度は、±5°以内である。この場合、光学シート515の出射光S0の指向性が向上する。さらに好ましくは、主傾斜面518Aは、出射光S0に対して略垂直である。具体的には、主傾斜面318Aと出射光S0とがなす角は、90°±5°であるのが好ましい。
【0065】
以上のとおり、線状プリズム514及び518が直線状であっても、本発明の効果が奏される。図11及び図12に示すとおり、光学部材51は、光学シート511及び515を利用して、光S0を2段階で屈折して光S1として出射する。このとき、図10Bに示すとおり、光学部材51から出射する光S1の幅W2は、光S0の幅W0よりも小さくなる。要するに、光学部材51も、光学部材31と同様に、光S0を集束した光S1を出射する。そのため、集束装置50も、集束装置30と同様に、集光効率を高め、集光装置をコンパクト化する。
【0066】
[第3の実施の形態]
上述の実施の形態では、集光装置を太陽光発電システムとして利用した。しかしながら、本発明による集光装置は、採光システムにも利用できる。
【0067】
図13は、本実施の形態による集光装置7の構成図である。集光装置7は、平行光源である太陽1の光S0を、集束して屋内100に導く。
【0068】
集光装置7は、光学部材31と、受光装置700とを備える。光学部材31の構成は、第1の実施の形態と同じである(図3〜図6参照)。本実施の形態では、1つの光学部材31が太陽1の移動に伴い角度を変更し(図13中の符号31A、31B、31C)、太陽光S0を常時垂直に受ける。
【0069】
受光装置700は、光学部材31の出射光を受け、屋内100に伝送する。屋内100は、壁面110及び120で囲まれた空間である。受光装置700は、集光部材70と、反射部材71とを備える。集光部材70は、光学部材31の出射光S1を受け、出射光S1を反射部材71に導く。反射部材71は、出射光を全反射して屋内100に伝送する。
【0070】
壁面110には、たとえば拡散レンズ751が配置される。反射部材71は、光S1を拡散レンズ751に導く。拡散レンズ751は、光S1を拡散して屋内100に出射する。
【0071】
図14Aは、集光部材70の平面図であり、図14Bは正面図である。図14Cは、図14A中の線分C―Cでの断面図である。図13、図14A〜図14Cを参照して、集光部材70は、凹状にくぼんだ反射層701を備える。反射層701は、その表面において光S1を全反射する。図13に示すとおり、光学部材31の出射光S1は、光学部材31の角度に依存することなく集光点80を通過する。具体的には、互いに角度が異なる光学部材31A、31B、31Cからの出射光S1はいずれも、集光点80を通る。
【0072】
図14A〜図14Cを参照して、反射層701の表面の曲率は、集光点80との距離が近いほど大きく、集光点80から離れるほど小さい。換言すれば、反射層701の表面の曲率半径は、集光点80との距離が近づくほど、小さくなる。このような構成により、集光部材70は、異なる方向から入射される出射光S1を反射部材71に導くことができる。
【0073】
以上の構成を有する集光装置7は、光S0を集束した光S1を出射する。そのため、集光効率が高まり、集光装置7をコンパクト化できる。上述の実施の形態では、光学部材31を利用したが、光学部材31に代えて、光学部材51を利用してもよい。また、受光装置700は、集光部材70を備えなくてもよい。受光装置700は出射光S1を伝送できればよい。また、受光装置700はたとえば、反射部材71に代えて、図15に示すように、内面に反射層を有する伝送ダクトであってもよい。この場合、光S1は、伝送ダクト内を全反射しながら屋内100に導かれる。さらに、受光装置700は、光S1を直接受ける光ファイバ等であってもよい。
【0074】
[第4の実施の形態]
本発明による集光装置は、光センサにも利用できる。図16を参照して、光センサに利用される集光装置8は、図示しない光源と、光学部材31と、受光装置81とを備える。光源はLED等で構成され、平行光を出射する。光学部材31の構成は第1の実施の形態と同じである。受光装置81は、いわゆる受光部であり、出射光を検知し、検知結果を外部に出力する。
【0075】
図17は、従来の光学センサの構成図である。従来の光学センサは、光源400と、光学部材であるレンズ500と、受光装置600とを備える。従来の光学センサでは、レンズ500を使用する。そのため、光軸焦点距離DP0近傍に受光装置600を配置する必要がある。したがって、受光装置600とレンズ500との間の距離DP1は、光軸焦点距離DP0に依存し、短くすることができない。そのため、従来の光学センサはコンパクト化しにくい。
【0076】
一方、図16に示す集光装置8では、光学部材31が光S0を集束して光S1を出射する。光学部材31は光学シート311及び315を含み、光軸焦点距離に依存せず、光S0を集束できる。そのため、光学部材31と受光装置81との間の距離DIは、距離DP1よりも顕著に短くすることができる。その結果、集光装置8は従来の光学センサよりもコンパクト化される。
【0077】
上述の実施の形態では、集光装置8は光学部材31を利用した。しかしながら、図18に示すとおり、集光装置8は、光学部材31に代えて、光学部材51を利用してもよい。この場合であっても、集光装置8は、従来の光学センサと比較してヒンパクト化できる。
図18の集光装置8は、1つの光学部材51を備える。しかしながら、集光装置8は、複数の光学部材51を備えてもよい。たとえば、図18に示す受光装置81の位置に、2つ目の光学部材51が配置される。このとき、2つ目の光学部材51は、1つ目の光学部材51と異なる方向に光を集光するよう配置する。そして、2つ目の光学部材51の出射光の出射方向に受光装置81が配置される。この場合、集光装置8は、光を2方向(たとえば上下方向及び左右方向)に集光できる。
【0078】
[他の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態で利用した光学部材31及び51は、2つの光学シートを利用する。しかしながら、光学部材31及び51は、3以上の光学シートを備えてもよい。たとえば、光学部材51は、図19に示すとおり、光学シート511と、515と、520とを備えてもよい。光学シート520は、表面517と対向する構造化面521と、構造化面521と反対側の表面522とを備える。構造化面521の構成は構造化面518と同じである。具体的には、構造化面521は、主傾斜面521Aと、補助傾斜面521Bとを備える。
【0079】
また、光学部材31は、光学シート311を備え、光学シート315を備えなくてもよい。この場合であっても、光S0をある程度集束した光S1を出射することができる。この場合、光学シート311の下面(構造化面313)上に反射部材319が配置される。同様に、光学部材51は、光学シート511を備え、光学シート515を備えなくてもよい。
【0080】
第1の実施の形態では、好ましくは、補助傾斜面314Bが構造化面313に対して略垂直である。しかしながら、たとえば、補助傾斜面314Bが、第1構造化面313に対して90°よりも小さい角度を有してもよいし、90°よりも大きい角度を有してもよい。
【0081】
第1の実施の形態では、光学部材31の背後に反射部材32が設けられ、反射部材32の上部に反射部材33が設けられことにより、反射部材32,33が光S1を受光装置35に伝送する。しかしながら、集束装置30の構成はこれに限定されない。たとえば、反射部材32及び33を備えず、受光装置35は光学部材31の出射光S1を直接受光してもよい。
【実施例1】
【0082】
第1の実施の形態における光学部材31を想定してシミュレーションを実施し、光S0と光S1との面積比を求めた。具体的には、図3〜図6に示す光学部材31において、主傾斜面314Aと平面312とがなす角度を37.7°とし、主傾斜面318Aと平面317とがなす角度を38.79°とした。また、補助傾斜面318Bと表面317とがなす角度を51.21°とした。光学シート311及び315の直径はともに220mmとした。反射部材319の円錐の底面の直径を20mmとした。線状プリズム314及び線状プリズム318の屈折率を1.59とした。
【0083】
シミュレートの結果、光S1の面積は、光S0の面積(つまり、表面312の表面積の1%になった。
【実施例2】
【0084】
実施例1と異なる形状の光学部材31を想定してシミュレーションを実施した。主傾斜面314Aと表面312とがなす角度を41.8°とし、主傾斜面318Aと表面317とがなす角度を41.48°とした。補助傾斜面318Bと表面317とがなす角度を48.52°とした。反射部材319の円錐の底面の直径を36mmとした。線状プリズム314及び線状プリズム318の屈折率を1.49とした。その他の条件は、実施例1と同じとした。
【0085】
シミュレートの結果、光S1の面積は、光S0の面積の3.3%になった。
【実施例3】
【0086】
図19に示す光学部材51を想定してシミュレーションを実施し、光S0と光S1との面積比を求めた。具体的には、図19に示す光学部材51(3枚の光学シート511、515及び520において、主傾斜面514Aと表面512とがなす角度を30.3°とし、主傾斜面318Aと表面517とがなす角度を23.04°とした。補助傾斜面518Bと表面517とがなす角度を66.96°とした。主傾斜面521Aと表面522とがなす角度を38.48°とし、補助傾斜面521Bと表面522とがなす角度を51.52°とした。構造化面513、515及び520の各線状プリズムの屈折率を1.59とした。各光学シートの形状は、100mm×100mmの正方形状とした。
【0087】
シミュレートの結果、光S1の面積は、光S0の面積の14.48%になった。
【0088】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1、400 平行光源
3、7、8 集光装置
30、50 集束装置
31、51 光学部材
35、81、350 受光装置
70 集光部材
81 受光装置
311、315、511、515 光学シート
312、317、512 表面
313、316、513、516 構造化面
314、318、514、518 線状プリズム
314A、318A、514A、518A 主傾斜面
314B、318B、514B、518B 補助傾斜面
319 反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行光源からの光を受け、出射する集束装置と、
前記集束装置からの出射光を受ける受光装置とを備え、
前記集束装置は、
平行光源と対向する第1表面と、前記第1表面と反対側に配置され前記平行光源からの光を出射する第1構造化面とを有する第1光学シートを備え、
前記第1構造化面は、配列された複数の第1線状プリズムを含む、集光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の集光装置であって、
前記集束装置はさらに、
前記第1構造化面と対向する第2光学シートを備え。
前記第2光学シートは、
前記第1構造化面と対向する第2構造化面と、
前記第2構造化面と反対側の第2表面とを備え、
前記第2構造化面は、前記第1線状プリズムの長手方向に沿って延びる複数の第2線状プリズムを含み、
前記受光装置は、前記第2表面からの前記出射光を受ける、集光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の集光装置であって、
前記複数の第1及び第2線状プリズムは中心軸周りに同心円状に配置され、前記第2表面は前記中心軸に向かって光を出射し、
前記集束装置はさらに、
前記第2プリズムシートの前記第2表面側の前記中心軸上に配置され、前記第2表面から離れるに従って幅が狭くなる反射部材を備える、集光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の集光装置であって、
前記第1線状プリズムは、
第1主傾斜面と、前記第1主傾斜面と背向して配置される第1補助傾斜面とを有し、
第2線状プリズムは、
第2補助傾斜面と、
前記第1主傾斜面から出射した光とのなす角度が前記第2補助傾斜面よりも大きい第2主傾斜面とを有し、
前記第1及び第2主傾斜面は前記中心軸と反対側に傾斜する、集光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の集光装置であって、
前記複数の第1線状プリズムは中心軸周りに同心円状に配置され、前記第1主傾斜面は前記中心軸と反対側に傾斜し、
前記集束装置はさらに、
前記第1プリズムシートの前記第1構造化面側に前記第1線状プリズムと同軸に配置され、前記第1構造化面から離れるに従って幅が狭くなる円錐状の反射部材を備える、集光装置。
【請求項6】
請求項2に記載の集光装置であって、
第2線状プリズムは、
第2補助傾斜面と、
前記第1主傾斜面から出射した光とのなす角度が、前記第2補助傾斜面よりも大きい第2主傾斜面とを有する、集光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の集光装置であって、
前記平行光源は太陽であり、
前記受光装置は太陽電池又は太陽発電用レシーバである、集光装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の集光装置であって、
前記平行光源は太陽であり、
前記受光装置は受けた出射光を伝送する、集光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の集光装置であって、
前記集束装置は、前記平行光源の移動に応じて角度が調整され、前記出射光は、前記角度に依存することなく集光点を通過し、
前記受光装置はさらに、集光部材を備え、
前記集光部材は、前記出射光を受ける凹状の反射層を備え、
前記反射層の表面は、前記集光点からの距離が近いほど大きな曲率を有し、
前記受光装置は、前記集光部材が受けた出射光を伝送する、集光装置。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の集光装置であって、
前記受光装置は、前記出射光を検知する、集光装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の集光装置に利用される、集束装置。
【請求項12】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の集光装置に利用される。光学シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−189280(P2012−189280A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54476(P2011−54476)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】