説明

集塵カバー

【課題】集塵効果を高くすることができる集塵カバーを提供する。
【解決手段】被固定物1に固定具2を打入したり引き抜いたりするときに生じる粉塵4の拡散を防止するための集塵カバーAに関する。固定具2を囲うための筒状のカバー本体10に、吸引装置と接続されるホース12を連結するための接続部11を形成する。カバー本体10を伸縮自在に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被固定物を固定するための固定具をドライバで回転させた際に生じる粉塵の拡散を防止するための集塵カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石綿平板スレート瓦等の屋根材を用いた屋根の改修工事が行われている(例えば、特許文献1参照)。このような改修工事において、既存の屋根材に打入されたビスやテクスなどの固定具を緩めたり、あるいは当該屋根材に新たに固定具を打ち込んで締め付けたりする際に、屋根材が固定具による切削作用を受けて大量のアスベスト粉が空気中に拡散し、作業者及び近隣に多大な影響が及ぶ恐れがあった。
【0003】
そこで、図5に示すような集塵機が用いられている。この集塵機は、作業者Hが背中に担ぐ吸引装置15と、作業者Hが一方の手首に装着する端末器50と、吸引装置15と端末器50とを接続するホース12とを具備して形成されている。吸引装置15は吸引作用を発生するものである。端末器50はメガホンのような形状である。そして、端末器50を装着していない方の手で電動工具などのドライバ3を操作して固定具2を締めたり緩めたりするが、この時、端末器50の開口を固定具2側に向けて近づけることにより、端末器50、ホース12を通じて吸引装置15へとアスベスト粉を吸引除去するものである。
【0004】
しかし、この方法では、アスベスト粉に及ぶ吸引作用が小さくて集塵効果が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2003−301566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、集塵効果を高くすることができる集塵カバーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る集塵カバーAは、被固定物1に固定具2を打入したり引き抜いたりするときに生じる粉塵4の拡散を防止するための集塵カバーAであって、固定具2を囲うための筒状のカバー本体10に、吸引装置15と接続されるホース12を連結するための接続部11を形成し、カバー本体10を伸縮自在に形成して成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明にあって、カバー本体10に蛇腹部13を設けることによって、伸縮自在に形成することができる。
【0008】
また、本発明にあっては、カバー本体10を弾性変形材料で形成することによって、伸縮自在に形成することができる。
【0009】
また、本発明にあっては、カバー本体10をその内部が透視可能に形成するのが好ましい。
【0010】
また、本発明にあっては、カバー本体10にその内部を透視可能な窓部14を設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
固定具2をカバー本体10で囲った状態で接続部11及びホース12を通じて吸引装置15の吸引作用をカバー本体10の内側空間に及ぼしつつ、カバー本体10を伸縮させながら固定具2を打入したり引き抜いたりすることによって、固定具2の打入や引き抜きで生じる粉塵4をカバー本体10から漏れ出さないようにし、吸引装置15による吸引作用をカバー本体10の内側空間の粉塵4に及ぼしやすくすることができ、粉塵4の拡散を防止して集塵効果を高くすることができるものである。
【0012】
また、カバー体本10を蛇腹部13や弾性変形材料により伸縮させることができ、ドライバ3により固定具2を締め付けたりや緩めたりする作業を容易に行うことができるものである。
【0013】
また、カバー本体10の内部空間を窓部14などにより透視しながらドライバ3により固定具2を締め付けたりや緩めたりする作業を容易に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
図1に本発明の集塵カバーAの一例を示す。この集塵カバーAは、上下方向に長い略円筒状のカバー本体10に接続部11や窓部14などを設けて形成されるものである。
【0016】
カバー本体10は、その内側空間が外側から透かして見えるように透視可能な材料で形成するのが好ましい。また、カバー本体10は、上下方向に伸縮するように弾性変形可能な材料で形成するのが好ましい。すなわち、カバー本体10は弾性と透明性の両方を備えた材料で形成するのが好ましく、後述の蛇腹部13やカバー本体10の先端部分の変形性を考慮して軟質樹脂が好ましく、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンなどを挙げることができ、これら以外にもゴムなどの材料を用いることができる。また、硬質樹脂であっても組合せなどにより使用は可能であり、カバー本体10を形成するにあたって上記のような材料に限定されるものではない。
【0017】
カバー本体10の下面は、囲い口20として開放されている。また、カバー本体10の下側略半分は、蛇腹部13として蛇腹状に形成されていると共にスカートのように下部になるほど径が大きくなるように形成されている。カバー本体10の上面は、取り付け口21として開放されている。また、カバー本体10の上部には締め付けリング22が装着されている。
【0018】
カバー本体10の中央よりもやや上側の側面には、接続部11が一体的に突設されている。接続部11はカバー本体10と同材料で同時に成形することができる。また、接続部11はカバー本体10の内側空間と連通するパイプであって、その先端には締め付けリング23が装着されている。
【0019】
また、カバー本体10の中央よりもやや上側の側面には、窓部14が突設されている。窓部14はカバー本体10の側面に一体的に形成された略逆円錐状の基台部24と、基台部24の上面に形成される透明の透視部25とで形成することができる。基台部24はカバー本体10と同材料で同時に成形することができる。また、透視部25はガラス板やプラスチック板などを基台部24に嵌め込んで形成することができる。
【0020】
上記のような集塵カバーAは、ドライバ3に装着して使用される。すなわち、ドライバ3としてはドライバビット3aを取り付けた電動工具3bを用い、この電動工具3bの回転部分3cの直上の不回転部分3dを取り付け口21内に納めて締め付けリング22で締め付けるようにする。また、この集塵カバーAの接続部11には、図5に示す従来例と同様の吸引装置15と接続されるホース12の端部が連結される。この場合、ホース12の端部を接続部11に差し込んで締め付けリング23で締め付けるようにする。
【0021】
そして、上記の集塵カバーAを装着したドライバ3を用いて固着具2を締め付けたり緩めたりして打入や引き抜きをするにあたっては、以下のようにして行う。まず、ドライバ3で回転させる対象の固定具2の周囲を囲うようにして集塵カバーAを配置する。この時、集塵カバーAの囲い口20が固定具2の周囲において被固定物1の表面に密着する。ここで、被固定物1とは固定具2が挿着された石綿スレート板などの建材を例示することができるが、これに限定されるものではない。また、集塵カバーAと被固定物1との密着性はそれほど高くなくても良く、多少隙間があっても良い。
【0022】
次に、蛇腹部13を収縮させながらドライバ3を下動させていき、ドライバビット3aの先端を固定具2の頭部2aに連結させる。この時、集塵カバーA全体が透明であっても、蛇腹部13などによりドライバビット3aと固定具2の頭部2aとが見えにくく連結させにくい場合がある。そこで、本発明では、図3(a)(b)に示すように、窓部14の透視部25から覗いてドライバビット3aと固定具2の頭部2aとを視認しながら、容易にドライバビット3aの先端を固定具2の頭部2aに連結させることができる。
【0023】
次に、ドライバビット3aを回転させて固定具2を回転させることにより、固定具2を締め付けたり緩めたりしていく。この時、固定具2の回転により被固定物1が削られてアスベスト粉などの粉塵4が発生するが、集塵カバーAには吸引装置15が接続されているので、粉塵4は接続部11及びホース12を通じて吸引装置15に吸引される。これら粉塵4は吸引装置15でHEPAフィルタなどのフィルタで捕捉され、回収・処分される。
【0024】
このようにして本発明の集塵カバーAでは粉塵4の拡散を防止することができる。また、新たに固定具2を被固定物1に螺入する場合も集塵カバーAで囲いながら行うために上記と同様に粉塵4の拡散を防止することができる。
【0025】
本発明の集塵カバーAの形状は任意であって、例えば、図4(a)に示すように、蛇腹部13の上下寸法を短くしたり、図4(b)に示すように、カバー本体10の下側略半分を下部ほど径が小さくなるように絞り込んだりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の使用状態を示す側面図である。
【図3】同上の使用状態を示し、(a)(b)は一部の拡大図である。
【図4】同上の他例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図5】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 被固定物
2 固定具
4 粉塵
10 カバー本体
11 接続部
12 ホース
13 蛇腹部
14 窓部
A 集塵カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定物に固定具を打入したり引き抜いたりするときに生じる粉塵の拡散を防止するための集塵カバーであって、固定具を囲うための筒状のカバー本体に、吸引装置と接続されるホースを連結するための接続部を形成し、カバー本体を伸縮自在に形成して成ることを特徴とする集塵カバー。
【請求項2】
カバー本体に蛇腹部を設けることによって、伸縮自在に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の集塵カバー。
【請求項3】
カバー本体を弾性変形材料で形成することによって、伸縮自在に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵カバー。
【請求項4】
カバー本体をその内部が透視可能に形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の集塵カバー。
【請求項5】
カバー本体にその内部を透視可能な窓部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の集塵カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate